JP3576989B2 - 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法に関し、特に、画像形成装置等の電子ビーム源として用いられる電子放出素子に好適に用いることのできる導電性膜の形成技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、配線、電極材料に用いられる導電性薄膜は、数百nmから数千nmの膜厚で用いられ、その容易な作成方法として、蒸着、スパッタリング等の真空技術を用いた方法によって、形成されてきた。
【0003】
また、前述の作成方法で形成した薄膜は、一般に、膜厚とその膜の導電率が、比例する領域で用いられる。なぜなら、膜厚と導電率が、比例する領域から逸脱した領域では、特に、導電率が急激に変化し、導電率の制御が困難であるからである。また、前述の作成方法においては、製膜初期は、膜質等が安定せず、必ずしも、導電率等の電気特性が、安定に得られるわけではないからである。したがって、数百nm以下の膜厚、特に数十nm以下の膜厚での電気特性の制御は、前述の従来の作成方法では、困難であった。この領域の導電性薄膜の用途は、次に述べる電子放出素子のうち、特に、表面伝導型電子放出素子の電子放出部を形成する導電性薄膜、あるいは、液晶を用いた表示装置の液晶配向膜等が、挙げられる。まず、電子放出素子について、述べる。
【0004】
従来より、電子放出素子としては大別して熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MIM型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が有る。
【0005】
FE型の例としては、W.P. Dyke and W.W. Dolan,“Field Emission”, Advance in Electron Physics, 8,89(1956)あるいはC.A. Spindt, ”Physical Properties of thin−film field emission cathodes with molybdenum cones”, J. Appl. Phys. ,47,5248(1976)等に開示されたものが知られている。
【0006】
MIM型の例としては、C.A. Mead, ”Operation ofTunnel−Emission Devices”, J. Appl.Phys., 32,646(1961)等に開示されたものが知られている。
【0007】
表面伝導型電子放出素子の例としては、M.I. Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10,1290(1965)等に開示されたものがある。
【0008】
表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等によるSnO薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:“Thin Solid Films”, 9,317(1972)]、In/SnO薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G. Fonstad:“IEEE Trans. ED Conf.”, 519(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0009】
これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図2に模式的に示す。同図において1は基板である。3は導電性薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部2が形成される。尚、図中の素子電極間隔L1は0.5〜1mm、W1は0.1mmで設定されている。
【0010】
従来、これらの表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を行う前に導電性薄膜3を予め通電フォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部2を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミングとは前記導電性薄膜3の両端に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加通電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部2を形成することである。尚、電子放出部2は導電性薄膜3の一部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行われる。前記通電フォーミング処理した表面伝導型電子放出素子は、上述の導電性薄膜3に電圧を印加し、素子に電流を流すことにより、上述の電子放出部2より電子を放出せしめるものである。
【0011】
次に、液晶を用いた表示装置について、述べる。液晶を表示装置に用いるためには、例えば、ツイステッドネマチックモード(一般には、「TNモード」と略す。)で用いるときには、対向する2枚の基板に電極を形成した上に、更に、配向膜を形成し、互いに直交する方向にラビングと呼ばれる工程を行い、この間に液晶を充填した構成となる。こうした構成で、液晶分子は、規則正しく配向し、電気的に動作し、偏向板を通過した入力光は、液晶によって、透過率が大きく変化し、画像の表示がなされる。
【0012】
前述の電子放出素子のうち、表面伝導型電子放出素子は、構成及び製法が容易であるため、大面積の画像形成装置に適したものであるが、本出願人が鋭意検討した結果、均一で、電気特性に優れた表面伝導型電子放出素子を形成するためには、前述の通電フォーミングの工程が、特に、影響を与え、導電性薄膜の膜厚が、数百nm、特に20nm以下が適することがわかっており、本出願人は、表面伝導型電子放出素子に適したこの膜厚の領域の導電性薄膜の形成方法の改善を行ってきた。具体的には、有機金属錯体を含有する溶液を、スピンナー等の塗布法で基板に塗布したのち、大気中等で高温で焼成を行い、金属及びその金属酸化物等の微粒子から構成される導電性薄膜を形成する方法が挙げられる。この方法は、前述の蒸着等の様に、真空装置を用いないため、大面積にわたり導電性薄膜を形成できる利点があるが、一般に、有機金属錯体は凝集性が高いため、スピンナーを用いた塗布法において、均一な膜を形成するのに問題があった。凝集性を緩和するためには、例えば、有機金属錯体の有機部位の炭化水素の量を増大することにより対処できるが、炭化水素の量を増大するにともない、該有機部位の脱着に要するエネルギーも大きくなる。そのため、加熱焼成工程において、溶融した有機金属錯体が、凝集をおこし、結果として、膜厚の不均一な導電性薄膜となりやすい。一方、有機部位の炭化水素の量の小さい有機金属錯体は、塗布において、不均一になりやすく、加熱焼成工程において、有機金属錯体が部分的に昇華し、結果として、不均一な膜厚となったり、製膜の再現性が劣るという問題があった。
【0013】
また、複数個の表面伝導型電子放出素子を形成してなる電子源では大面積に亙って、導電性薄膜を均一に最適な膜厚に形成する必要があるため、膜厚、電気特性が不均一であると、表面伝導型電子放出素子の電子放出特性にも影響するため、電子源内での電子放出特性のムラを生じてしまう。
【0014】
一方、前述の液晶を用いた画像形成装置においては、数十nm以下、特には、15nm以下の膜厚のポリイミド膜等の誘電体膜を配向膜として広く用いられるが、膜厚が大面積に亙って、必ずしも均一にならず、更に、液晶の動作を行ったとき、表示ムラや透過率等の電気光学特性において、液晶配向膜において電荷蓄積が生じ、ヒステリシス、残像現象等を発生し表示品位の低下を起こすと言う問題があった。
【0015】
そこでポリイミドの抵抗率を制御することができれば(若干の導電性を持たせる)、上記問題を解決することができる。この場合、幾つかの手法が考えられるが簡易な手法としては、ポリイミド中に金属若しくは金属酸化物を分散させてインピーダンスを制御する方法が考えられる。
【0016】
一般にポリイミドは対応する前駆体のポリアミック酸を化学的或は熱的に脱水・環化すること(イミド化)により得られる。そこで、金属或は金属酸化物が分散されたポリイミドからなる膜を簡単に得るための案としては、ポリアミック酸に金属若しくは有機金属化合物を混合し、係る混合物を所望の基板上に成膜した後、イミド化するという方法に思い至る。然しながら係る方法は実際には利用不可能である。何故なら、ポリアミック酸中のカルボキシル基と金属との間で架橋反応を起こしゲル化してしまうからであり、一旦ゲル化した高分子材料を成膜することは、最早著しく困難であるといわざるをえない。
【0017】
上記の方法に代る案としては、可溶性ポリイミドに金属若しくは有機金属化合物を混合した上で、係る混合物を適当な方法により所望の基板上に積層する方法が考えられる。この場合、可溶性ポリイミドに金属と強力に錯体を作る基、例えばカルボキシル基、を特別に導入した場合を除いて、ゲル化を防ぐことが可能である。然し乍ら、利用できるポリイミドの構造は特定のものに限定され、その種類も少ない。
【0018】
ポリアミック酸と金属若しくは有機金属化合物との混合物のゲル化を防ぐ別の方法として、新たに2以上の配位子が配位しないような金属化合物の利用も考えられるが、残された配位部位が1箇所である金属化合物というのは比較的種類も限定され、0箇所の場合には、ポリアミック酸と金属化合物との理想的な混合は比較的困難であり、従って相分離する可能性が大きく、結果として均一な金属及び/又は金属酸化物を含むポリイミド膜を形成することが困難である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、主として、上記問題を鑑み、電子放出特性の均一な電子放出素子、および各電子放出素子が均一な電子放出特性を示す電子源、該電子源を用いて構成した画像形成装置を提供することにある。さらに、具体的には、数百nm、特に20nm以下の該導電性膜の膜厚の薄い領域でも、均一な膜厚で良好な導電率等の電気特性を示す導電性膜の形成に用いられる材料および該導電性膜の形成方法を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく成された本発明の構成は以下の通りである。
【0022】
即ち、本発明の電子放出素子の製造方法は、電子放出部を有する導電性膜を備える電子放出素子の製造方法において、
基板上に導電性膜形成用材料からなる単分子累積膜を形成する工程と、該単分子累積膜を焼成して導電性膜を形成する工程と、該導電性膜に、亀裂を含む電子放出部を形成するための通電処理を施す工程とを有することを特徴とする
【0023】
上記本発明の電子放出素子の製造方法は、更なる好ましい特徴として、
更に、前記単分子累積膜に紫外線を照射する工程を有すること、
前記紫外線の照射が、O 3 存在下にて行われること、
前記導電性膜形成用材料が、金属、疎水性部分、及び、親水性部分とを有すること、
前記疎水性部分が、アルキル基またはアルケニル基を有し、前記親水性部分が、カルボニル基またはアミノ基を有すること、
前記導電性膜形成用材料が、前記疎水性部分と前記親水性部分とを一分子内に有する化合物を含有すること、
前記化合物が、有機金属化合物であること、
前記有機金属化合物が、下記一般式(I)にて表される有機金属錯体であること、
(R 1 COO) n M(NR 2 3 4 m ・・・(I)
[但し、R 1 はアルキル基、R 2 ,R 3 ,R 4 は水素またはアルキル基またはアルケニル基、Mは金属、n,mは1以上の整数である。]
前記有機金属錯体が、R 1 が炭素数1〜4のアルキル基、R 2 ,R 3 ,R 4 は水素または炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基であり、R 2 ,R 3 ,R 4 のうち、少なくとも一つは炭素数18以上、または、R 2 ,R 3 ,R 4 の炭素数の総和が18以上、m=2〜4の整数、n=1〜4の整数であること、
前記化合物が、下記一般式(II)にて表されること、
5 COOH・・・(II)
[但し、R 5 は炭素数18〜30のアルキル基またはアルケニル基である。]
前記化合物が、高分子化合物であること、
前記高分子化合物が、ポリアミック酸エステルであること、
前記ポリアミック酸エステルが、炭素数8〜30のアルコキシカルボニル基を有すること、
前記導電性膜形成用材料が、更に、有機金属化合物を含有すること、
前記金属が、Pd,Ru,Ag,Cu,Cr,Tb,Cd,Fe,Pb,Znの中から選択されること、
を含むものである。
【0026】
また、本発明の電子源の製造方法は、電子放出部を有する導電性膜を備える電子放出素子を複数有する電子源の製造方法において、前記電子放出素子が以上説明した本発明の電子放出素子の製造方法にて製造されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の画像形成装置の製造方法は、電子放出部を有する導電性膜を備える電子放出素子と、画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法において、前記電子放出素子が以上説明した本発明の電子放出素子の製造方法にて製造されることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる導電性膜形成用材料は、導電性を有するための金属、塗布・焼成時の膜の均一性、膜厚制御性などを良好にするための疎水性及び親水性部分を有する。
【0033】
導電性を有するための金属としてはPd、Ru、Ag、Cu、Tb、Fe、PbまたはZnなどの金属が使用可能であり、これらの金属を材料内に分散させる、イオンとして存在させるなどの方法で材料内に導入して用いる。又、その濃度は0.1〜2重量%が好ましく用いられる。
【0034】
疎水性部分としては炭素数の多いアルキルまたはアルケニル基が挙げられる。一方、疎水性部分の炭素数が多すぎると後述する導電性膜または電子放出部の作製の際に良好に成膜できなくなる。上述の条件を満たすためには特に炭素数が18以上30以下のアルキルまたはアルケニル基のものが好ましい。
【0035】
また、親水性部分としてはカルボン酸、金属カルボン酸塩、アルコール及びアミノ基等が挙げられる。特に金属カルボン酸塩は金属部分と親水性部分を一分子内に有するため望ましい。
【0036】
また、本発明の導電性膜形成用材料は、上述の疎水性部分・親水性部分のどちらかを有する化合物を混合して又は、それらの両方を一分子内に有する化合物を単独もしくは混合して用いられる。特に一分子内に疎水性及び親水性の両方を有している化合物が好ましく、具体的には金属の長鎖カルボン酸塩(例えばパルミチン酸パラジウム、ペンタデカン酸テルビウム、オレイン酸鉄など)、種々の長鎖カルボン酸(例えばステアリン酸、パルミチン酸など)、または長鎖アルキルまたはアルケニルアミン(例えばジデシルアミン、メチルジオクタデシルアミンなど)などが挙げられる。
【0037】
本発明の導電性膜形成用材料は上述した化合物を任意の割合で混合して、また必要な際には有機溶媒に溶解して用いられ、基板上に種々の方法(例えば回転塗布、ディップ法、ラングミュア・ブロジェット法(以下、「LB法」と称す。)など)で塗布される。
【0038】
以後、導電性膜形成用材料として、好ましく用いられるパラジウム又は酸化パラジウム膜を用いて、本発明を詳述する。本発明は、導電性膜の形成方法を提供するものであり、基板上に少なくとも有機パラジウム錯体からなる有機混合物を基板上に堆積させる工程と、堆積させた有機混合物膜に紫外線を照射する工程、更に当該膜を加熱焼成する工程からなることを特徴とするものである。
【0039】
本発明において、有機混合物を基板上に堆積させる方法としては、回転塗布法、ディップ法、LB法等、従来公知の各種薄膜堆積方法を利用することができる。これらの内、回転塗布法やディップ法は工程が最も簡単ではあるが、LB法によると、均一な膜厚の膜を比較的容易に再現性良く得ることができるため好ましく用いられる。
【0040】
以下、LB法による有機混合物膜の堆積方法について説明する。
【0041】
LB法に用いるのに好適な有機パラジウム錯体としては、例えば、下記一般式(1)に示すパラジウム1等量に対して2等量のアルキルアミンと2等量の脂肪酸(酢酸を含む)からなる酸パラジウム塩アルキルアミン錯体を挙げることができる。
【0042】
Pd2+[RCOO[RN] (1)
【0043】
ここでR,R,R,Rは各々1以上30以下の炭素からなる炭化水素を示す。また特に、R,R,Rに関してはこれらの内の1乃至2つが水素であっても良い。即ちアルキルアミンは1級、2級、3級のいずれのアミンでも良い。係る炭化水素鎖を構成する水素の一部もしくは全てがフッ素で置換されていても良い。但し、R,R,Rは各含有されるCの総数が、疎水性を示すためには、5以上が好ましい。更に、好ましくは、R,R,Rの内少なくとも1つの炭素数は18以上、または炭素数の総和は18以上である。
【0044】
式(1)で示されるような酸パラジウム塩アルキルアミン錯体のみを用いてLB膜(LB法により形成された薄膜)を形成する場合には、R,R,R,Rの内少なくとも1つが、炭素数18以上であることが望ましい。一例を挙げると、例えば式(2)のような錯体である。
【0045】
Pd2+[CHCOO[(C1837NCH (2)
【0046】
また適当な構造を有する有機パラジウム錯体を、LB法を用いて成膜するのに好適な両親媒性材料(以下バインダーと記す)と混合した上で用いても良い。係るバインダーとしては、炭素数18以上30以下の飽和又は不飽和脂肪酸、具体的には、オクタデシル酸、エキオサン酸、ドコサン酸等の直鎖飽和脂肪酸を挙げることができる。また、ポリイソブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートやポリ酪酸等の高分子材料を用いることも可能である。
【0047】
本発明においてバインダーを用いる場合には、バインダーとなる材料のLB膜形成能力が高いため、使用可能な有機パラジウム錯体の選択肢が広がる。即ち、有機パラジウム錯体が必ずしもこれ単体で安定なLB膜形成能を有している必要はない。例えば一般式(1)で示される酸パラジウム塩アルキルアミン錯体を用いる場合、これを単体で用いる場合と異なって、R,R,R,Rの炭素数がより少なくても差し支えない。例えば、式(3)のような錯体である。
【0048】
Pd2+[CHCOO[(C1021NH] (3)
【0049】
係る有機パラジウム錯体とバインダーとの混合比に関する制限は特にはないが、通常mol比(バインダーが重合体である場合には、単量体換算モル比)で有機パラジウム錯体1に対してバインダーが0.01〜100になるように選択される。バインダーの比率が高い程、係る混合物のLB膜を形成することが容易となる反面、パラジウムの面内密度が低下するため、所望の厚さのパラジウム又は酸化パラジウム膜を得るためには、バインダーの比率が小さい時と比較して、全体の膜厚を大きくする必要がある。
【0050】
逆にバインダーの比率が小さいとバインダーによるLB膜形成能の効果が低下してしまう。係る観点から、より好ましいバインダーの比率は有機パラジウム錯体1mol濃度に対して0.4〜10mol濃度である。但し、用いる有機パラジウム錯体が十分なLB膜形成能を有する場合には、上記比率にこだわることなく混合比を選択して構わない。この場合、混合膜を用いる効果として、有機パラジウム錯体の面内密度を加減することができるので、最終的に形成されたパラジウム或いは酸化パラジウムの凝集性、膜厚及び導電性等を制御することが期待できる。
【0051】
以上述べた有機混合物からLB膜を形成するには、従来公知の手法によって行なえば良く、特に大きな設計変更は必要としない。尚、本発明で用いられる材料を用いてLB法により成膜する場合、下相水は純水で良く、パラジウムイオンを混合する必要がない。よって、コストの低減が図れるばかりでなく、使用後の下相水を廃棄する際の環境面に与える影響についても問題がない。
【0052】
本発明においては、好ましくは上記に記載したようなLB法により有機パラジウム錯体を少なくとも含む有機混合物を所望の厚さ好ましくは10〜50Åになるように基板上に堆積した後、該有機混合物膜に対して紫外線照射を行ない、膜中の有機部位の分解を行なう。この時、オゾン雰囲気下、即ち酸素導入下で行なうと有機部位の分解速度が加速されるので好ましい。
【0053】
また、当該工程においては、加熱により有機部位の分解が促進されるため、有機混合物膜が溶融しない範囲で加熱することが好ましい。この時、紫外線光源近傍は光源の発熱により高温になり易いため配慮することが望ましい。
【0054】
本発明において、紫外線を照射する時間は、用いる紫外線の強度、オゾン濃度や膜材料に依存するため限定することはできないが、膜中の有機部位の少なくとも50%以上が分解されている必要がある。更に、90%以上、望ましくは99%以上が分解されていると、引き続いて行なう加熱焼成工程において膜材料の融解に伴う凝集を少なくすることができ、好ましい。
【0055】
上記紫外線照射工程に続いて、加熱焼成工程を行なう。係る焼成は、温度250℃以上で行なうことが好ましく、焼成時間は10分程度で良いが、これに限定されるものではなく、更に長く行なっても良い。当該焼成工程を酸素存在下で行なえばパラジウムが熱酸化されて酸化パラジウム膜が形成される。一方、酸素非存在下にて焼成すればパラジウム膜を形成することができる。
【0056】
当該加熱焼成工程中、前記紫外線照射を継続して行なっても特に問題はない。また、紫外線照射工程をオゾン雰囲気下にて行う場合には、上記加熱焼成工程を行なわずに直接、酸化パラジウムを得ることもできるが、非常に長い照射時間を必要とする。
【0057】
本発明の導電性膜の形成方法では、紫外線照射を適宜行なった後焼成することにより、極めて短時間にパラジウム或いは酸化パラジウム膜を得ることができるのである。
【0058】
また本発明は、ポリアミック酸エステルと金属若しくは有機金属化合物の混合物からなる材料を基板上に積層させる工程と、次いで該ポリアミック酸エステルをイミド化する工程を有することを特徴とする金属及び/又は金属酸化物を含む導電性膜であるポリイミド膜及び該金属及び/又は金属酸化物を含む導電性膜であるポリイミド膜形成方法である。
【0059】
以下、本発明の導電性膜であるポリイミド膜及び該膜の形成方法について述べる。
【0060】
本発明においては、目的とする導電性膜であるポリイミドの前駆体としてポリアミック酸エステルを用い、係るポリアミック酸エステルと金属若しくは有機金属化合物の混合物、好ましくはパラジウムとポリアミック酸エステルのエステル部位との間に弱い相互作用を有する錯体化合物からなる材料を基板上に積層させる工程と、引き続いて上記ポリアミック酸エステルを化学的及び/又は熱的にイミド化する工程とによって達成される。
【0061】
前記ポリアミック酸エステルの構造は、下記の式(4)に示される。
【0062】
【化1】
Figure 0003576989
【0063】
式(4)中、Rは炭素数1以上のアルキル基であるが、これを水素に置換したものがポリアミック酸であって、従って、R,Rとしては、従来公知のポリアミック酸と同じ構造を有するものを用いることができるのは勿論、これら以外のものであってもよい。R,Rの具体例を下記の[化2]に示す。尚、2種以上のポリアミック酸エステルからなるコポリマーを用いてもよい。
【0064】
【化2】
Figure 0003576989
【0065】
ポリアミック酸エステルは従来公知の方法により容易に合成可能であって、例えば、対応するポリアミック酸を出発物質として、その酸クロライドと所望のアルキル基(この場合R)を有するアルコール或はアルコキサイドと反応させることによって得られる。
【0066】
の炭素数の上限は特に限定されるものではないが、イミド化時において脱離させる必要があるので、極端に大きなものは好ましいとはいえず、好ましくは1以上30以下、より好ましくは1以上22以下である。ポリアミック酸エステルは通常、N,N−ジメチルアセトアミド(以下DMAc)、2−N−メチルピロリドン(以下NMP)、γ−ブチルラクトン等の極性溶媒、或はこれらを含む混合溶媒に可溶である。
【0067】
つぎに、上述の溶媒に溶かしたポリアミック酸エステル溶液に金属若しくは有機金属化合物を混合し、これらの混合物(以下ポリアミック酸エステル−金属混合物と記す)溶液を調製する。ここで、有機溶剤に比較的容易に溶ける点から、金属単体よりも有機金属化合物の利用が好ましい。用いる金属種としては、特に限定されるものではなく、Pd,Ru,Ag,Cu,Cr,Tb,Cd,Fe,PbまたはZn等を挙げることができる。有機金属化合物の構造としては、先に述べたように、ポリアミック酸エステルのエステル部との間で弱い錯体を形成し得るものであることが特に好ましい。
【0068】
すなわち、好ましい有機金属化合物は1乃至2つの未配位の配位子を有するものか、或は配位子で飽和されていて、その内の1乃至は2つが容易に脱離可能なものである。この場合、ポリアミック酸エステルと金属との間で錯体形成することが可能であり、従ってこの場合には、上記ポリアミック酸エステル金属混合物という名称に代えて、ポリアミック酸エステル−金属錯体と呼ぶことにする。
【0069】
以下、有機金属化合物の一例として有機パラジウム化合物を選んでより具体的に説明するが、他の金属を含む従来公知の有機金属化合物を広く利用可能である。
【0070】
有機パラジウム化合物の具体的な構造例を下記の一般式(5)に示す。
【0071】
Pd2+[RCOO[RN] (5)
【0072】
式(5)中、Rの炭素数は1以上4以下、R,R,Rは各々炭素数1以上30以下の炭化水素鎖を示す。具体的には、メチル基、デシル基、オクタデシル基などが挙げられる。
【0073】
また、R,R,Rに関してはこれらの内の1乃至2つが水素であっても良い。すなわちパラジウムに配位しているアルキルアミンは1級,2級,3級のいずれのアミンでも良い。また上記R,R,R,Rを構成する水素の一部若しくは全てがフッ素で置換されていても良い。
【0074】
これら有機パラジウム化合物と前記ポリアミック酸エステルとを用いて調製されたポリアミック酸エステル−Pd錯体を適当な方法により所望の基板上に積層させて、ポリアミック酸エステル−Pd錯体膜を得る。ここで、前記ポリアミック酸エステル−Pd錯体はゲル化していないので、これを基板上に積層させる手法としては、回転塗布法、ディップ法、LB法等、従来公知の各種薄膜積層方法を利用することができる。
【0075】
これらの内、回転塗布法によっても、該材料が親水性部分及び疎水性部分の両方を有するために、基板の表面状態によらない均一な膜とすることが可能であり、更にLB法により塗布することにより一層均一な膜とすることが可能である。
【0083】
発明における、導電性膜の用途の例として、前述したように、表面伝導型電子放出素子が挙げられる。
【0084】
以下に、本発明の表面伝導型電子放出素子の実施態様例を説明する。
【0085】
表面伝導型電子放出素子には平面型と垂直型があり、本発明についてはいずれの表面伝導型電子放出素子の構成もとることができる。まず、平面型表面伝導型電子放出素子の基本的な構成について説明する。
【0086】
図4(a)、(b)は、平面型表面伝導型電子放出素子の基本的な構成を示す図である。
【0087】
図4において1は基板、2は電子放出部、3は導電性膜、4と5は素子電極である。
【0088】
基板1としては、例えば石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等によりSiOを積層した積層体、アルミナ等のセラミックス等が挙げられる。
【0089】
対向する素子電極4,5の材料としては、一般的導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属あるいは合金及びPd、Ag、Au、RuO、Pd−Ag等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In−SnO等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択される。
【0090】
素子電極間隔L1、素子電極長さW1、導電性膜3の形状等は、応用される形態等によって設計される。
【0091】
素子電極間隔L1は、数百Å〜数百μmであることが好ましく、より好ましくは、素子電極4,5間に印加する電圧等により、数μm〜数十μmである。
【0092】
素子電極長さW1は、電極の抵抗値や電子放出特性を考慮すると、好ましくは数μm〜数百μmであり、また素子電極厚dは、数百Å〜数μmである。
【0093】
尚、図4に示される表面伝導型電子放出素子は、基板1上に、素子電極4,5、導電性膜3の順に積層されたものとなっているが、基板1上に、導電性膜3、素子電極4,5の順に積層したものとしてもよい。
【0094】
導電性膜3は、良好な電子放出特性を得るためには、微粒子で構成された微粒子膜であることが特に好ましく、その膜厚は、素子電極4,5へのステップカバレージ、素子電極4,5間の抵抗値及び後述するフォーミング条件等によって適宜選択される。この導電性膜3の膜厚は、好ましくは数Å〜数千Åで、特に好ましくは10Å〜200Åであり、その抵抗値は、10〜10Ω/□のシート抵抗値である。
【0095】
導電性膜3を構成する材料の金属原子としては、例えばPd,Ru,Ag,Cu,Cr,Tb,Cd,Fe,Pb,Znが挙げられる。
【0096】
尚、上記微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさす。微粒子膜である場合、微粒子の粒径は、数Å〜数千Åであることが好ましく、特に好ましくは10Å〜200Åである。
【0097】
電子放出部2には亀裂が含まれており、電子放出はこの亀裂付近から行われる。この亀裂を含む電子放出部2及び亀裂自体は、導電性膜3の膜厚、膜質、材料及び後述するフォーミング条件等の製法に依存して形成される。従って、電子放出部2の位置及び形状は図4に示されるような位置及び形状に特定されるものではない。
【0098】
亀裂は、数Å〜数百Åの粒径の導電性微粒子を有することもある。この導電性微粒子は、導電性膜3を構成する材料の元素の一部、あるいは総てと同様のものである。また、亀裂を含む電子放出部2及びその近傍の導電性膜3は炭素及び炭素化合物を有することもある。
【0099】
次に、垂直型表面伝導型電子放出素子の基本的な構成について説明する。
【0100】
図5は、垂直型表面伝導型電子放出素子の基本的な構成を示す図で、図中21は段差形成部材で、その他図4と同じ符号は同じ部材を示すものである。
【0101】
基板1、電子放出部2、導電性膜3及び素子電極4,5は、前述した平面型表面伝導型電子放出素子と同様の材料で構成されたものである。
【0102】
段差形成部材21は、例えば真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で付設されたSiO等の絶縁性材料で構成されたものである。この段差形成部材21の膜厚は、先に述べた平面型表面伝導型電子放出素子の素子電極間隔L1(図4参照)に対応するもので、段差形成部材21の作製法や素子電極4,5間に印加する電圧等により設定されるが、好ましくは数百Å〜数十μmであり、特に好ましくは数百Å〜数μmである。
【0103】
導電性膜3は、通常、素子電極4,5の作成後に形成されるので、素子電極4,5の上に積層されるが、導電性膜3の形成後に素子電極4,5を作成し、導電性膜3の上に素子電極4,5が積層されるようにすることも可能である。また、平面型表面伝導型電子放出素子の説明においても述べたように、電子放出部2の形成は、導電性膜3の膜厚、膜質、材料及び後述するフォーミング条件等の製法に依存するので、その位置及び形状は図5に示されるような位置及び形状に特定されるものではない。
【0104】
尚、以下の説明は、上述の平面型表面伝導型電子放出素子と垂直型表面伝導型電子放出素子の内、平面型を例にして説明するが、平面型表面伝導型電子放出素子に代えて垂直型表面伝導型電子放出素子としてもよい。
【0105】
本発明の表面伝導型電子放出素子の製法としては様々な方法が考えられるが、その一例を図6に基づいて説明する。尚、図6において図4と同じ符号は同じ部材を示すものである。
【0106】
1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤により十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を堆積させた後、フォトリソグラフィー技術により基板1の面上に素子電極4,5を形成する(図6(a))。
【0107】
2)素子電極4,5を設けた基板1上に、全面に、前述した導電性膜形成用材料を回転塗布法、或はディップ法、LB法等の従来公知の方法により形成する。尚、本発明においては、好ましくは回転塗布法により形成し、前述したように、塗布膜の均一性、及び膜厚の制御性の観点からは、さらに好ましくはLB法により形成される。
【0108】
このようにして、所望の厚さになるように前述の導電性膜形成用材料を基板上に堆積した後、該導電性膜形成用材料の膜に対してO雰囲気下紫外線照射を行ない、膜中の有機部位の分解を行なう。この時、O雰囲気下、即ち酸素導入下で行なうこと、及び加熱により有機部位の分解速度が加速される。但し当該加熱は上記膜が溶融しない範囲で行なううことが好ましい。特に、紫外線光源近傍では高温になり易いため配慮が必要である。
【0109】
本発明において、紫外線を照射する時間は、用いる紫外線の強度、O濃度や膜材料に依存するため限定することはできないが、膜中の有機部位の少なくとも50%以上が分解されていることが好ましい。更に好ましくは90%以上、望ましくは99%以上が分解されていると、引き続いて行なう加熱焼成工程において膜材料の融解に伴う凝集を少なくすることができ、好ましい。
【0110】
上記紫外線照射工程に続いて、加熱焼成工程を行なう。係る焼成は、温度250℃以上で行なうことが好ましく、焼成時間は10分程度で良いが、これに限定されるものではなく、更に長く行なっても良い。
【0111】
この後、リフトオフ、エッチング等によりパターニングされた導電性膜3を形成する(図6(b))。
【0112】
尚、本発明で用いられる材料を用いてLB法により成膜する場合、下相水は純水で良く、金属イオンを混合する必要がない。よって、コストの低減が図れるばかりでなく、使用後の下相水を廃棄する際の環境面に与える影響についても問題がない。
【0113】
3)上記のようにして堆積した導電性膜に、フォーミングと呼ばれる通電処理を施す。素子電極4,5間に、不図示の電源より通電すると、導電性膜3の部位に構造の変化した電子放出部2が形成される(図6(c))。この通電処理により導電性膜3を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化した部位が電子放出部2である。
【0114】
フォーミングの電圧波形の例を図7に示す。
【0115】
電圧波形は、特にパルス波形が好ましく、パルス波高値を定電圧とした電圧パルスを連続的に印加する場合(図7(a))と、パルス波高値を増加させながら電圧パルスを印加する場合(図7(b))とがある。
【0116】
まず、パルス波高値を定電圧とした場合について図7(a)で説明する。
【0117】
図7(a)におけるT及びTは電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、例えば、Tを1μsec〜10msec、Tを10μsec〜100msecとし、波高値(フォーミング時のピーク電圧)を前述した表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選択して、適当な真空度の真空雰囲気下で、数秒から数十分印加する。尚、印加する電圧波形は、図示される三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波形を用いることができる。
【0118】
次に、パルス波高値を増加させながら電圧パルスを印加する場合について図7(b)で説明する。
【0119】
図7(b)におけるT及びTは図7(a)と同様であり、波高値(フォーミング時のピーク電圧)を、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させ、図7(a)の説明と同様の適当な真空雰囲気下で印加する。
【0120】
尚、パルス間隔T中に、導電性膜(図4及び図5参照)を局所的に破壊、変形もしくは変質させない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧で素子電流を測定して抵抗値を求め、例えば1MΩ以上の抵抗を示した時にフォーミングを終了する。
【0121】
4)次に、フォーミング工程が終了した素子に活性化工程を施すのが好ましい。
【0122】
活性化工程とは、例えば10−4〜10−5torr程度の真空度で、フォーミング工程での説明と同様に、パルス波高値を定電圧としたパルスの印加を繰り返す処理のことをいい、真空雰囲気中に存在する有機物質から炭素及び炭素化合物を電子放出部2(図4及び図5参照)に堆積させることで、素子電流、放出電流の状態を向上させることができる工程である。この活性化工程は、例えば素子電流や放出電流を測定しながら行って、例えば放出電流が飽和した時点で終了するようにすれば効果的であるので好ましい。また、活性化工程でのパルス波高値は、好ましくは駆動電圧の波高値である。
【0123】
尚、上記炭素及び炭素化合物とは、グラファイト(単結晶及び多結晶の双方を指す)、非晶質カーボン(非晶質カーボン及びこれと多結晶グラファイトとの混合物を指す)である。また、その堆積膜厚は、好ましくは500Å以下、より好ましくは300Å以下である。
【0124】
5)更に好ましくは、こうして作製した表面伝導型電子放出素子を、フォーミング工程、活性化工程での真空度より高い真空度の真空雰囲気にして動作駆動する。また、より好ましくは、このより高い真空度の真空雰囲気下で80℃〜250℃の加熱後、動作駆動する。
【0125】
尚、フォーミング工程、活性化処理した真空度より高い真空度の真空雰囲気とは、例えば約5×10−6torrよりも高い真空度を有する真空度であり、より好ましくは、超高真空系であり、炭素及び炭素化合物が新たに堆積しない真空度である。
【0126】
上記5)の工程によりこれ以上の炭素及び炭素化合物の堆積が抑制され、素子電流及び放出電流が安定する。
【0127】
このようにして得られる表面伝導型電子放出素子の基本特性を以下に説明する。
【0128】
図8は、表面伝導型電子放出素子の電子放出特性を測定するための測定評価系の一例を示す概略構成図で、まずこの測定評価系を説明する。
【0129】
図8において、図4と同じ符号は同じ部材を示す。また、51は素子に素子電圧Vを印加するための電源、50は素子電極4,5間の導電性膜3を流れる素子電流Iを測定するための電流計、54は電子放出部より放出される放出電流Iを捕捉するためのアノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は放出電流Iを測定するための電流計、55は真空装置、56は排気ポンプである。
【0130】
表面伝導型電子放出素子及びアノード電極54等は真空装置55内に設置され、この真空装置55には不図示の真空系等の必要な機器が具備されていて、所望の真空下で表面伝導型電子放出素子の測定評価ができるようになっている。
【0131】
排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータリーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポンプ等からなる超高真空装置系とから構成されている。また、真空装置55全体及び表面伝導型電子放出素子の基板1は、ヒーターにより200℃程度まで加熱できるようになっている。尚、この測定評価系は、後述するような表示パネル(図11における201参照)の組み立て段階において、表示パネル及びその内部を真空装置55及びその内部として構成することで、前述のフォーミング工程、活性化工程及び後述するそれ以後の工程における側定評価及び処理に応用することができるものである。
【0132】
以下に述べる表面伝導型電子放出素子の基本特性は、上記測定評価系のアノード電極54の電圧を1kV〜10kVとし、アノード電極54と表面伝導型電子放出素子の距離Hを2〜8mmとして通常の測定を行った。
【0133】
まず、放出電流I及び素子電流Iと、素子電圧Vとの関係の典型的な例を図9に示す。尚、図9において、放出電流Iは素子電流Iに比べて著しく小さいので、任意単位で示されている。尚、縦・横軸ともにリニアスケールである。
【0134】
図9から明らかなように、表面伝導型電子放出素子は、放出電流Iに対する次の3つの特徴的特性を有する。
【0135】
まず第1に、表面伝導型電子放出素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ:図9中のVth)以上の素子電圧Vを印加すると急激に放出電流Iが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Iが殆ど検出されない。即ち、放出電流Iに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0136】
第2に、放出電流Iが素子電圧Vに対して単調増加する特性(MI特性と呼ぶ)を有するため、放出電流Iは素子電圧Vで制御できる。
【0137】
第3に、アノード電極54(図8参照)に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vを印加する時間に依存する。即ち、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vを印加する時間により制御できる。
【0138】
放出電流Iが素子電圧Vに対してMI特性を有すると同時に、素子電流Iも素子電圧Vに対してMI特性を有する場合もある。このような表面伝導型電子放出素子の特性の例が図9の実線で示す特性である。一方、図9に破線で示すように、素子電流Iは素子電圧Vに対して電圧制御型負性抵抗特性(VCNR特性と呼ぶ)を示す場合もある。ただし、スケールは同一でない。いずれの特性を示すかは、表面伝導型電子放出素子の製法及び測定時の測定条件等に依存する。但し、素子電流Iが素子電圧Vに対してVCNR特性を有する表面伝導型電子放出素子でも、放出電流Iは素子電圧Vに対してMI特性を有する。
【0139】
次に、本発明の電子源における表面伝導型電子放出素子の配列について説明する。
【0140】
本発明の電子源における表面伝導型電子放出素子の配列方式としては、従来の技術の項で述べたような梯型配置の他、m本のX方向配線の上にn本のY方向配線を層間絶縁層を介して設置し、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極に夫々X方向配線、Y方向配線を接続した配置方式が挙げられる。これを以後単純マトリクス配置と呼ぶ。まず、この単純マトリクス配置について詳述する。
【0141】
前述した表面伝導型電子放出素子の基本的特性によれば、単純マトリクス配置された表面伝導型電子放出素子における放出電子は、しきい値電圧を超える電圧では、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値とパルス幅で制御できる。一方、しきい値電圧以下では殆ど電子は放出されない。従って、多数の表面伝導型電子放出素子を配置した場合においても、個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて表面伝導型電子放出素子を選択し、その電子放出量が制御でき、単純なマトリクス配線だけで個別の表面伝導型電子放出素子を選択して独立に駆動可能となる。
【0142】
単純マトリクス配置はこのような原理に基づくもので、本発明の電子源の一例である、この単純マトリクス配置の電子源の構成について図10に基づいて更に説明する。
【0143】
図10において基板1は既に説明したようなガラス板等であり、この基板1上に配列された表面伝導型電子放出素子104の個数及び形状は用途に応じて適宜設定されるものである。
【0144】
m本のX方向配線102は、夫々外部端子Dx1,Dx2,……,Dxmを有するもので、基板1上に、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成した導電性金属等である。また、多数の表面伝導型電子放出素子104にほぼ均等に電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅が設定されている。
【0145】
n本のY方向配線103は、夫々外部端子Dy1,Dy2,……,Dynを有するもので、X方向配線102と同様に作製される。
【0146】
これらm本のX方向配線102とn本のY方向配線103間には、不図示の層間絶縁層が設置され、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成している。尚、このm,nは共に正の整数である。
【0147】
不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成されたSiO等であり、X方向配線102を形成した基板1の全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線102とY方向配線103の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。
【0148】
更に、表面伝導型電子放出素子104の対向する素子電極(不図示)が、m本のX方向配線102と、n本のY方向配線103と、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成された導電性金属等からなる結線105によって電気的に接続されているものである。
【0149】
ここで、m本のX方向配線102と、n本のY方向配線103と、結線105と、対向する素子電極とは、その構成元素の一部あるいは全部が同一であっても、また夫々異なっていてもよく、前述の素子電極の材料等より適宜選択される。これら素子電極への配線は、素子電極と材料が同一である場合は素子電極と総称する場合もある。また、表面伝導型電子放出素子104は、基板1あるいは不図示の層間絶縁層上どちらに形成してもよい。
【0150】
また、詳しくは後述するが、前記X方向配線102には、X方向に配列された表面伝導型電子放出素子104の行を入力信号に応じて走査するために、走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が電気的に接続されている。
【0151】
一方、Y方向配線103には、Y方向に配列された表面伝導型電子放出素子104の列の各列を入力信号に応じて変調するために、変調信号を印加する不図示の変調信号発生手段が電気的に接続されている。更に、各表面伝導型電子放出素子104に印加される駆動電圧は、当該表面伝導型電子放出素子104に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給されるものである。
【0152】
次に、以上のような単純マトリクス配置の本発明の電子源を用いた本発明の画像形成装置の一例を、図11〜図13を用いて説明する。尚、図11は表示パネル201の基本構成図であり、図12は蛍光膜114を示す図であり、図13は図11の表示パネル201で、NTSC方式のテレビ信号に応じてテレビジョン表示を行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0153】
図11において、1は上述のようにして表面伝導型電子放出素子を配置した電子源の基板、111は基板1を固定したリアプレート、116はガラス基板113の内面に蛍光膜114とメタルバック115等が形成されたフェースプレート、112は支持枠であり、リアプレート111、支持枠112及びフェースプレート116にフリットガラス等を塗布し、大気中あるいは窒素中で、400〜500℃で10分以上焼成することで封着して外囲器118を構成している。
【0154】
図11において、2は図4における電子放出部に相当する。102、103は、表面伝導型電子放出素子104の一対の素子電極4,5と接続されたX方向配線及びY方向配線で、夫々外部端子Dx1〜Dxm,Dy1〜Dynを有している。
【0155】
外囲器118は、上述の如く、フェースープレート116、支持枠112、リアプレート111で構成されている。しかし、リアプレート111は主に基板1の強度を補強する目的で設けられるものであり、基板1自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート111は不要で、基板1に直接支持枠112を封着し、フェースプレート116、支持枠112、基板1にて外囲器118を構成してもよい。また、フェースプレート116、リアプレート111の間にスぺーサーと呼ばれる不図示の支持体を更に設置することで、大気圧に対して十分な強度を有する外囲器118とすることもできる。
【0156】
蛍光膜114は、モノクロームの場合は蛍光体122のみからなるが、カラーの蛍光膜114の場合は、蛍光体122の配列により、ブラックストライプ(図12(a))あるいはブラックマトリクス(図12(b))等と呼ばれる黒色導伝材121と蛍光体122とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる三原色の各蛍光体122間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜114における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。黒色導伝材121の材料としては、通常良く用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料であれば他の材料を用いることもできる。
【0157】
ガラス基板113に蛍光体122を塗布する方法としては、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法が用いられる。
【0158】
また、図11に示されるように、蛍光膜114の内面側には通常メタルバック115が設けられる。メタルバック115の目的は、蛍光体122(図12参照)の発光のうち内面側への光をガラス基板113側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用すること、外囲器118内で発生した負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体122の保護等である。メタルバック115は、蛍光膜114の作製後、蛍光膜114の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0159】
フェースプレート116には、更に蛍光膜114の導電性を高めるため、蛍光膜114の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
【0160】
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体122と表面伝導型電子放出素子104とを対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行なう必要がある。
【0161】
外囲器118内は、不図示の排気管を通じ、10−7torr程度の真空度にされ、封止される。また、外囲器118の封止を行う直前あるいは封止後に、ゲッター処理を行うこともある。これは、外囲器118内の所定の位置に配置したゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10−5〜1×10−7torrの真空度を維持するためのものである。
【0162】
尚、前述したフォーミング及びこれ以降の表面伝導型電子放出素子の各製造工程は、通常、外囲器118の封止直前又は封止後に行われるもので、その内容は前述の通りである。
【0163】
上述の表示パネル201は、例えば図13に示されるような駆動回路で駆動することができる。尚、図13において、201は表示パネル、202は走査回路、203は制御回路、204はシフトレジスタ、205はラインメモリ、206は同期信号分離回路、207は変調信号発生器、V及びVは直流電圧源である。
【0164】
図13に示されるように、表示パネル201は、外部端子Dx1〜Dxm、外部端子Dy1〜Dyn及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と接続されている。この内、外部端子Dx1〜Dxmには前記表示パネル201内に設けられている表面伝導型電子放出素子、即ちm行n列の行列状にマトリクス配置された表面伝導型電子放出素子群を1行(n素子ずつ)順次駆動して行くための走査信号が印加される。
【0165】
一方、外部端子Dy1〜Dynには、前記走査信号により選択された1行の各表面伝導型電子放出素子の出力電子ビームを制御するための変調信号が印加される。また、高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10kVの直流電圧が供給される。これは表面伝導型電子放出素子より出力される電子ビームに、蛍光体を励起するのに十分なエネルギーを付与するための加速電圧である。
【0166】
走査回路202は、内部にm個のスイッチング素子(図13中S〜Sで模式的に示す)を備えるもので、各スイッチング素子S〜Sは、直流電圧電源Vの出力電圧もしくは0V(グランドレベル)のいずれか一方を選択して、表示パネル201の外部端子Dx1〜Dxmと電気的に接続するものである。各スイッチング素子S〜Sは、制御回路203が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するもので、実際には、例えばFETのようなスイッチング機能を有する素子を組み合わせることにより容易に構成することが可能である。
【0167】
本例における前記直流電圧源Vは、前記表面伝導型電子放出素子の特性(しきい値電圧)に基づき、走査されていない表面伝導型電子放出素子に印加される駆動電圧がしきい値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定されている。
【0168】
制御回路203は、外部より入力される画像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の動作を整合させる働きを持つものである。次に説明する同期信号分離回路206より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan、Tsft及びTmryの各制御信号を発生する。
【0169】
同期信号分離回路206は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と輝度信号成分を分離するための回路で、よく知られているように、周波数分離(フィルター)回路を用いれば、容易に構成できるものである。同期信号分離回路206により分離された同期信号は、これもよく知られるように、垂直同期信号と水平同期信号よりなる。ここでは、説明の便宜上Tsyncとして図示する。一方、前記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分を便宜上DATA信号と図示する。このDATA信号はシフトレジスタ204に入力される。
【0170】
シフトレジスタ204は、時系列的にシリアル入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御回路203より送られる制御信号Tsftに基づいて作動する。この制御信号Tsftは、シフトレジスタ204のシフトクロックであると言い換えてもよい。また、シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(表面伝導型電子放出素子のn素子分の駆動データに相当する)のデータは、Id1〜Idnのn個の並列信号として前記シフトレジスタ204より出力される。
【0171】
ラインメモリ205は、画像1ライン分のデータを必要時間だけ記憶するための記憶装置であり、制御回路203より送られる制御信号Tmryに従って適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、Id’1〜Id’nとして出力され、変調信号発生器207に入力される。
【0172】
変調信号発生器207は、前記画像データId’1〜Id’nの各々に応じて、表面伝導型電子放出素子の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その出力信号は、端子Doy1〜Doynを通じて表示パネル201内の表面伝導型電子放出素子に印加される。
【0173】
前述したように、表面伝導型電子放出素子は電子放出に明確なしきい値電圧を有しており、しきい値電圧を超える電圧が印加された場合にのみ電子放出が生じる。また、しきい値電圧を超える電圧に対しては表面伝導型電子放出素子への印加電圧の変化に応じて放出電流も変化して行く。表面伝導型電子放出素子の材料、構成、製造方法を変えることにより、しきい値電圧の値や印加電圧に対する放出電流の変化度合いが変わる場合もあるが、いずれにしても以下のことがいえる。
【0174】
即ち、表面伝導型電子放出素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えばしきい値電圧以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、しきい値電圧を超える電圧を印加する場合には電子放出を生じる。その際、第1には電圧パルスの波高値を変化させることにより、出力される電子ビームの強度を制御することが可能である。第2には、電圧パルスの幅を変化させることにより、出力される電子ビームの電荷の総量を制御することが可能である。
【0175】
従って、入力信号に応じて表面伝導型電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方式とが挙げられる。電圧変調方式を行う場合、変調信号発生器207としては、一定の長さの電圧パルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値を変調できる電圧変調方式の回路を用いる。また、パルス幅変調方式を行う場合、変調信号発生器207としては、一定の波高値の電圧パルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜パルス幅を変調できるパルス幅変調方式の回路を用いる。
【0176】
シフトレジスタ204やラインメモリ205は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のものでもよく、画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が所定の速度で行えるものであればよい。
【0177】
デジタル信号式を用いる場合には、同期信号分離回路206の出力信号DATAをデジタル信号化する必要がある。これは同期信号分離回路206の出力部にA/D変換器を設けることで行える。
【0178】
また、これと関連して、ラインメモリ205の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、変調信号発生器207に設けられる回路が若干異なるものとなる。
【0179】
即ち、デジタル信号で電圧変調方式の場合、変調信号発生器207には、例えばよく知られているD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付け加えればよい。また、デジタル信号でパルス幅変調方式の場合、変調信号発生器207は、例えば高速の発振器及び発振器の出力する波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いることで容易に構成することができる。更に、必要に応じて、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0180】
一方、アナログ信号で電圧変調方式の場合、変調信号発生器207には、例えばよく知られているオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、必要に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。また、アナログ信号でパルス幅変調方式の場合、例えばよく知られている電圧制御型発振回路(VCO)を用いればよく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0181】
以上のような表示パネル201及び駆動回路を有する本発明の画像形成装置は、端子Dx1〜Dxm及びDy1〜Dynから電圧を印加することにより、必要な表面伝導型電子放出素子から電子を放出させることができ、高圧端子Hvを通じて、メタルバック115あるいは透明電極(不図示)に高電圧を印加して電子ビームを加速し、加速した電子ビームを蛍光膜114に衝突させることで生じる励起・発光によって、NTSC方式のテレビ信号に応じてテレビジョン表示を行うことができるものである。
【0182】
尚、以上説明した構成は、表示等に用いられる本発明の画像形成装置を得る上で必要な概略構成であり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述の内容に限られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよう、適宜選択されるものである。また、入力信号としてNTSC方式を挙げたが、本発明に係る画像形成装置はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方式等の他の方式でもよく、更にはこれらよりも多数の走査線からなるTV信号、例えばMUSE方式を初めとする高品位TV方式でもよい。
【0183】
次に、前述の梯型配置の電子源及びこれを用いた本発明の画像形成装置の一例について図14及び図15を用いて説明する。
【0184】
図14において、1は基板、104は表面伝導型電子放出素子、304は表面伝導型電子放出素子104を接続する共通配線で10本設けられており、各々外部端子D〜D10を有している。
【0185】
表面伝導型電子放出素子104は、基板1上に並列に複数個配置されている。これを素子行と呼ぶ。そしてこの素子行が複数行配置されて電子源を構成している。
【0186】
各素子行の共通配線304(例えば外部端子DとDの共通配線304)間に適宜の駆動電圧を印加することで、各素子行を独立に駆動することが可能である。即ち、電子ビームを放出させたい素子行にはしきい値電圧を超える電圧を印加し、電子ビームを放出させたくない素子行にはしきい値電圧以下の電圧を印加するようにすればよい。このような駆動電圧の印加は、各素子行間に位置する共通配線D〜Dについて、夫々相隣接する共通配線304、即ち夫々相隣接する外部端子DとD,DとD,DとD,DとDの共通配線304を一体の同一配線としても行うことができる。
【0187】
図15は、本発明の電子源の他の例である、上記梯型配置の電子源を備えた表示パネル301の構造を示す図である。
【0188】
図15中302はグリッド電極、303は電子が通過するための開口、D〜Dは各表面伝導型電子放出素子に電圧を印加するための外部端子、G〜Gはグリッド電極302に接続された外部端子である。また、各素子行間の共通配線304は一体の同一配線として基板1上に形成されている。
【0189】
尚、図15において図11と同じ符号は同じ部材を示すものであり、図11に示される単純マトリクス配置の電子源を用いた表示パネル201との大きな違いは、基板1とフェースプレート116の間にグリッド電極302を備えている点である。
【0190】
基板1とフェースプレート116の間には、上記のようにグリッド電極302が設けられている。このグリッド電極302は、表面伝導型電子放出素子104から放出された電子ビームを変調することができるもので、梯型配置の素子行と直行して設けられたストライプ状の電極に、電子ビームを通過させるために、各表面伝導型電子放出素子104に対応して1個ずつ円形の開口303を設けたものとなっている。
【0191】
グリッド電極302の形状や配置位置は、必ずしも図15に示すようなものでなければならないものではなく、開口303をメッシュ状に多数設けることもあり、またグリッド電極302を、例えば表面伝導型電子放出素子104の周囲や近傍に設けてもよい。
【0192】
外部端子D〜D及びG〜Gは不図示の駆動回路に接続されている。そして、素子行を1列ずつ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電極302の列に画像1ライン分の変調信号を印加することにより、各電子ビームの蛍光膜114への照射を制御し、画像を1ラインずつ表示することができる。
【0193】
以上のように、本発明の画像形成装置は、単純マトリクス配置及び梯型配置のいずれの本発明の電子源を用いても得ることができ、上述したテレビジョン放送の表示装置のみならず、テレビ会議システム、コンピューター等の表示装置として好適な画像形成装置が得られる。更には、感光ドラムとで構成した光プリンターの露光装置としても用いることができるものである。
【0194】
また、本発明の画像表示装置によれば、複数の表面伝導型電子放出素子の作製工程において、導電性薄膜が、前述したように、凝集や昇華などを起こさず形成できるため、従って、複数の表面伝導型電子放出素子が、ばらつきの少ない電子放出特性を有するので、均一で、画像品位に優れた画像形成装置が得られる。
【0195】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。尚、実施例1〜33は、本発明の電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法に用いる導電性膜形成用材料に関連する製造例である。
【0196】
[実施例1]
本実施例の導電性膜形成用材料で使用する有機金属錯体である酢酸パラジウム(以下PAと略す)−メチルジプロピルアミン(以下MDPAと略す)を以下のようにして合成した。
【0197】
10gのPAを200cmのクロロホルムに溶解させ、更に12.8gのMDPAを徐々に加え室温で2時間攪拌させた。反応終了後、シリカゲルカラムにて原料を除き500cmのPA−MDPA/クロロホルム溶液を得た。溶液を100cmにまで濃縮し、50cmの水で3回洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後クロロホルムを除き、16.4gのPA−MDPAを得た。
【0198】
次に、0.4MのPA−MDPA/酢酸ブチル溶液を調製し、導電性膜形成用材料とした。
【0199】
[実施例2〜6]
実施例1と同様にして表1に示すように有機金属錯体を合成し、更に有機溶媒に溶解し0.4Mの導電性膜形成用材料を調製した。
【0200】
【表1】
Figure 0003576989
【0201】
但し、SA−EDHAに関しては反応を暗室中で行い、光分解を防いだ。
【0202】
[実施例7]
本実施例の導電性膜形成用材料で使用する有機金属錯体であるプロピオン酸パラジウム(以下PPと略す)−DDAを以下のようにして合成した。
【0203】
12.7gのPAを100cmの15.0gのプロピオン酸に加え、80℃に加熱して3時間反応させた。冷却後、クロロホルム溶液としシリカゲルカラムで精製し、クロロホルムを除いて12.7gのPPを得た。
【0204】
次に、10.1gのPPを200cmのクロロホルムに溶解させ、更に35.7gのDDAを徐々に加え室温で2時間攪拌させた。反応終了後、シリカゲルカラムにて原料を除き500cmのPP−DDA/クロロホルム溶液を得た。溶液を100cmにまで濃縮し、50cmの水で3回洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後クロロホルムを除き、28.7gのPP−DDAを得た。
【0205】
次に、0.4MのPP−DDA/クロロホルム溶液を調製し、導電性膜形成用材料とした。
【0206】
[実施例8〜11]
実施例7と同様にして出発原料として表2に示す金属錯体とカルボン酸を用いて金属錯体の配位子交換反応を行い、次にアミンと反応させて本実施例の導電性膜形成用材料で使用する有機金属錯体を合成し、更に0.4Mの有機金属錯体/クロロホルム溶液に調製して導電性膜形成用材料とした。
【0207】
【表2】
Figure 0003576989
【0208】
[実施例12]
実施例1で調製した導電性膜形成用材料の0.4M−酢酸ブチル溶液(0.4M−PA−MDPA/酢酸ブチル)をガラス基板上にスピンコートして、本実施例で使用する導電性膜形成用材料として使用できることを確認した。以下に具体的に説明する。
【0209】
式(8)に示す酸パラジウム塩アルキルアミン錯体からなる膜をガラス基板上(25mm×38mm)に回転塗布法により形成した。
【0210】
Pd2+[CHCOO[(CNCH (8)
【0211】
この際用いた溶液は式(8)に示された酸パラジウム塩アルキルアミン錯体を酢酸ブチルに濃度0.4mol/Lに溶解させたものであり、回転塗布条件は1000rpm,30秒であった。
【0212】
次にこの試料に対して、市販のUV/Oアッシング(Samco International製,UV−300)を用い、O雰囲気下にて紫外線照射を2時間行なった。この際基板加熱は行なわず、酸素流量は0.5L/min(L:リットル)であった。この時点で、四端子法を用いて膜のシート抵抗を測定したところ、シート抵抗値は10Ω/cm以上であった。
【0213】
引き続き係る試料を300℃に温度制御された電気炉(大気中)で12分間処理を行ない、酸化パラジウム(PdO)膜を得た。PdOの同定はX線回折法(以下XD法と記す)により、酸化パラジウムの(101)面の面間隔に相当するピーク(2.647Å)を確認した。形成された酸化パラジウム膜のシート抵抗値を測定したところ、3×10Ω/cmであった。この他、目視において、形成された酸化パラジウム膜(黒茶色)に色ムラはなかった。
【0214】
[比較例1]
UV/O処理工程を省略した他は、実施例12と全く同様の工程により試料を作製したところ、目視において、若干の色ムラを確認した他、膜厚の平均値も実施例12と比較して約30%減少していた。
【0215】
[実施例13〜15]
実施例12と同様にして表3に示す導電性膜形成用材料をガラス基板上にスピンコートして、本実施例で使用する導電性膜形成用材料として使用できることを確認した。
【0216】
【表3】
Figure 0003576989
【0217】
[実施例16]
実施例3で合成したPA−MDODAからなる膜をガラス基板上に作製し更にUV/O処理などを施し、本実施例で使用する導電性膜形成用材料として使用できることを確認した。以下、その作製方法について述べる。
【0218】
Pd2+[CHCOO[(C1837NCH (9)
【0219】
上記式(9)に示したPA−MDODAのクロロホルム溶液(0.4mol/L)を20℃の純水上に添加した後、表面圧を20mN/mにまで高め、PA−MDODAの単分子膜を上記純水上に形成した。係る表面圧を保持したまま、予めヘキサメチルジシラザン雰囲気下に暴露して表面を疎水下したガラス基板を、速度3mm/minにて前記単分子膜を横切る方向に静かに浸漬し、引き続き同じ速度でこれを引き上げてPA−MDODAの2層LB膜をガラス基板上に積層した。係る浸漬・引き上げ操作を繰り返してPA−MDODAからなる80層のLB膜を形成した。
【0220】
次に実施例12と全く同様の条件にてUV/O処理及び焼成を行ない、酸化Pd膜を得た。酸化パラジウムの確認は実施例12と同じくXD法によった。シート抵抗値は4×10Ω/cmであった。
【0221】
[実施例17〜19]
実施例16と同様にして表4の導電性膜形成用材料をガラス基板上にLB法により形成して、本実施例で使用する導電性膜形成用材料として使用できることを確認した。
【0222】
【表4】
Figure 0003576989
【0223】
[実施例20]
実施例4で合成したPA−DDAとドコサン酸の混合物からなるLB膜を直径1インチのシリコン・ウェハ上に作製し、更に酸化膜とした。以下、その作製方法について述べる。
【0224】
Pd2+[CHCOO[(C1021NH] (10)
【0225】
上記式(10)に示した酸パラジウム塩アルキルアミン錯体(以下PA−DDAと記す)とドコサン酸(以下C22と記す)の混合物からなるLB膜を直径1インチのシリコン・ウエハ上に形成した。以下、その作製方法について述べる。
【0226】
PA−DDAのクロロホルム溶液(0.5mol/L)とC22のクロロホルム溶液(0.5mol/L)とを容量比1:4になるように混合し、係る混合溶液を20℃の純水上に展開した後、表面圧を20mN/mにまで高め、PA−DDA:C22=1:4の混合単分子膜を上記純水上に形成した。係る表面圧を保持したまま、予め1%のフッ化水素酸で表面の自然酸化層を除去し、表面が疎水性となったシリコン・ウエハを、速度2mm/secにて前記単分子膜を横切る方向に静かに浸漬し、引き続き同じ速度でこれを引き上げて、2層のPA−DDA:C22=1:4の混合LB膜をシリコン・ウエハ上に積層した。係る浸漬・引き上げ操作を繰り返して、PA−DDA:C22=1:4の混合物からなる200層のLB膜を形成した。同様の試料を合計6枚作製した。この時点で、これらの試料のFT−IRスペクトルを測定した。
【0227】
次に実施例12と同様に、これらの試料に対して、市販のUV/Oアッシング装置(Samco International製,UV−300)を用い、O雰囲気下にて紫外線照射を各々0(即ち未処理)、0.5、1、1.5、2、3時間行なった。この際基板加熱は行なわず、酸素流量は0.5L/minであった。
【0228】
再度、これらの試料のFT−IRスペクトルを測定したところ、有機部位に基づく吸収ピークの強度が、処理前と比較して減少していることがわかった。具体的には、CHの振動に基づく2918cm−1、2851cm−1、1474cm−1、721cm−1の吸収強度は、処理前の値と比較して、処理時間が0.5時間の場合、約65%、1時間では約25%、1.5時間では約3%、2及び3時間では1%以下に各々減少した。この時点におけるシート抵抗値は、いずれの試料についても10Ω/cm以上であった。
【0229】
引き続き、各試料を実施例12と全く同様の工程により熱処理(300℃、12分、大気中)したところ、UV/O処理に関して未処理及び0.5時間処理の試料では、焼成処理後の試料は斑点状と化しており、膜状とは言えないものとなった。また1時間処理の試料では、膜の一部、特に端部に凝集・融解によると思われる不均一部分の発生が認められた。この他の試料では、特に膜材料の融解・凝集は認められなかった。
【0230】
この時点で、UV/O処理の時間が1.5時間以上の試料のシート抵抗値は、何れも2×10Ω/cmであった。またこれらの試料のFT−IRスペクトルには、PdOの吸収(590cm−1等)が認められた。
【0231】
[実施例21〜23]
実施例20と同様にして表5の導電性膜形成用材料からなるLB膜を直径1インチのシリコン・ウエハ上に作製し、更に酸化膜とし、本実施例で使用する導電性膜形成用材料として使用できることを確認した。
【0232】
【表5】
Figure 0003576989
【0233】
[実施例24]
実施例20におけるLB膜の積層回数を変更した。以下、その作製方法について述べる。
【0234】
実施例20におけるLB膜の積層層数を100、150、250、500に変更し、基板をヘキサメチルジシラザンで疎水処理したガラス基板(25mm×38mm)に変更した他は実施例20と全く同様の方法により試料を作製した。各試料のシート抵抗値を求めたところ、各々1.0×10Ω/cm、3.1×10Ω/cm、1.6×10Ω/cm、3.9×10Ω/cmであった。
【0235】
[実施例25]
実施例20におけるUV/O処理を変更した。以下、その作製方法について述べる。
【0236】
UV/O処理工程に代えて、大気中にてUV照射工程を行なった他は、実施例20と全く同様の工程により試料を作製した。以下、係るUV照射工程について記す。
【0237】
UV照射は波長197nmと248nmの紫外光照射可能な200W低圧水銀灯を用い、大気中で連続48時間照射を行なった。水銀灯と試料との距離は10cmであった。
【0238】
この時点で試料のシート抵抗を測定したところ、10Ω/cm以上であったが、引き続いて実施例20と同様の焼成処理を行なった結果、シート抵抗値は2×10Ω/cmとなった。
【0239】
[実施例26]
実施例20における基板を変更した。以下、その作製方法について述べる。
【0240】
実施例20における基板を直径5インチのガラス基板に変更した他は実施例20と全く同様の方法により試料を作製した。試料上、図1に示す位置にてシート抵抗値を求めたところ、以下のようになった。
【0241】
【表6】
Figure 0003576989
【0242】
以上から、膜面内方向の均一性が高いことがわかった。
【0243】
[実施例27]
実施例20と同様にして、LB膜をガラス基板上に形成した。以下に、その作製方法について述べる。
【0244】
式(11)に示す酸パラジウム塩アルキルアミン錯体(以下PA−OAと記す)とポリイソブチルメタクリレート(以下PIBMと記す)の混合物からなるLB膜をヘキサメチルジシラザンで疎水処理したガラス基板(25mm×38mm)上に形成した。
【0245】
Pd2+[CHCOO[(C17NH] (11)
【0246】
PA−OAのクロロホルム溶液(0.5mol/L)とPIBMのクロロホルム溶液(単量体換算0.5mol/L)とを容量比1:2になるように混合し、係る混合溶液を20℃の純水上に展開した後、表面圧を10mN/mにまで高め、PA−OA:PIBM=1:2の混合単分子膜を上記純水上に形成した。係る表面圧を保持したまま、予めヘキサチルジシラザンで疎水処理したガラス基板を、速度2mm/secにて前記単分子膜を横切る方向に静かに浸漬し、引き続き同じ速度でこれを引き上げて、2層のPA−OA:PIBM=1:2の混合LB膜をガラス基板上に積層した。係る浸漬・引き上げ操作を繰り返して、PA−OA:PIBM=1:2の混合物からなる200層のLB膜を形成した。
【0247】
次に実施例12と同様に、これらの試料に対して、前記市販ののUV/Oアッシング装置を用い、O雰囲気下にて紫外線照射を2時間行なった。この際基板加熱は行なわず、酸素流量は0.5L/minであった。この時点におけるシート抵抗値は、10Ω/cm以上であった。
【0248】
引き続き、実施例12と全く同様の工程により熱処理(300℃、12分、大気中)して、酸化パラジウム膜を得た。シート抵抗値は2×10Ω/cmであった。
【0249】
[実施例28]
実施例20における熱処理工程を変更した。以下に、その作製方法について述べる。
【0250】
実施例20における熱処理工程を空気中に代えて窒素雰囲気下にて行った他は、実施例20と全く同様の方法により試料を作成した。
【0251】
UV/O処理に関して未処理及び0.5時間処理の使用では、焼成処理後の試料は斑点状と化しており、最早、膜状とはいえないものとなった。また1時間処理の試料では、膜の一部、特に端部に凝部・融解によると思われる不均一部分の発生が認められた。この他の試料(UV/O処理時間が1.5時間以上)では、目視観察では膜材料の融解・凝集は認められず、むらのない均一な膜が得られた。
【0252】
UV/O処理の時間が1.5時間以上の試料のシート抵抗値は、何れも2×10Ω/cm以下であった。Pdの同定はXD法により、PdOの(110)面の面間隔に相当するピーク(2.39Å)を確認した。
【0253】
[実施例29]
下記の式(12)に示すポリアミック酸メチルエステルのDMAc溶液(単量体換算濃度:2mmol/l)と酢酸パラジウムのクロロホルム溶液(濃度:40mmol/l)とを20:1(v/v)に混合した(こうして調製した混合物を以下、混合物Iと記す)。
【0254】
【化5】
Figure 0003576989
【0255】
係る混合物Iを回転塗布法により、直径1インチのシリコンウエハ上に成膜した。回転塗布条件は1000rpm,30秒であった。
【0256】
次にこの試料に対して、電気炉を用いて150℃で30分間加熱し、引続き300℃で30分間加熱した。係る試料がポリイミドと酸化パラジウムとから成るものであることを、IRスペクトルより確認した。
【0257】
また、導電率を測定したところ、1×10−9S/cmであった。尚、式(12)に示したポリアミック酸メチルエステルのみから形成したポリイミド(式(13))の導電率を測定したところ1×10−13S/cm以下であった。
【0258】
【化6】
Figure 0003576989
【0259】
[実施例30]
下記の式(14)に示すポリアミック酸オクタデシルエステルのDMAc溶液(単量体換算濃度:2mmol/l)と酢酸パラジウムのクロロホルム溶液(濃度:40mmol/l)とを20:1(v/v)に混合した(こうして調製した混合物を以下、混合物IIと記す)。
【0260】
【化7】
Figure 0003576989
【0261】
係る混合物IIをLB法により、直径1インチのシリコンウエハ上に成膜した。以下、LB法の詳細について述べる。
【0262】
混合物IIのDMAc−クロロホルム(20:1)混合溶液を20℃の純水上に展開した後、表面圧を20mN/mにまで高め、混合物IIの単分子膜を上記純水上に形成した。係る表面圧を保持したまま、予めフッ化水素酸で表面の自然酸化膜を除去したシリコンウエハ(直径1インチ)を、速度6mm/minにて前記単分子膜を横切る方向に静かに浸漬し、引き続き同じ速度でこれを引き上げて、混合物IIの2層LB膜をシリコンウエハ上に積層した。係る浸漬・引き上げ操作を繰り返して、混合物IIからなる20層のLB膜を形成させた。
【0263】
次にこの試料に対して、電気炉を用いて減圧下、300℃で30分間加熱した後、引き続き常圧に戻し(空気置換)、350℃で15分間加熱を行った。係る試料がポリイミドと酸化パラジウムとから成るものであることを、IRスペクトルより確認した。また、導電率を測定したところ、7×10−8S/cmであった。
【0264】
[実施例31]
実施例30と全く同様にして、混合物IIからなる20層のLB膜を形成させた後、窒素雰囲気下にて300℃で30分間加熱を行った。係る試料がポリイミドとパラジウムとから成るものであることを、IRスペクトルより確認した。また導電率を測定したところ、5×10−7S/cmであった。
【0265】
[実施例32]
実施例30と全く同様にして、混合物IIからなる20層のLB膜をシリコンウエハ上に形成させた。
【0266】
次に、この試料に対して、ピリジン:無水酢酸:ベンゼン=1:1:10(積層比)の混合溶媒に12時間浸漬し、イミド化及び、有機パラジウム化合物からの配位子の脱離を行った。係る試料がポリイミドとパラジウムとから成るものであることを、IRスペクトルより確認した。また導電率を測定したところ、6×10−7S/cmであった。
【0267】
[実施例33]
式(12)に示したポリアミック酸メチルエステルのDMAc溶液(単量体換算濃度:2mmol/l)とビス(ドデシルアミン)パラジウム錯体のクロロホルム溶液(濃度:40mmol/l)とを20:1(v/v)に混合した(こうして調製した混合物を以下、混合物IIIと記す)。
【0268】
係る混合物IIIをLB法により、直径1インチのシリコンウエハ上に成膜した。以下、LB法の詳細について述べる。
【0269】
混合物IIIのDMAc−クロロホルム(20:1)混合溶液を20℃の純水上に展開した後、表面圧を20mN/mにまで高め、混合物IIIの単分子膜を上記純水上に形成した。係る表面圧を保持したまま、予めフッ化水素酸で表面の自然酸化膜を除去したシリコンウエハ(直径1インチ)を、速度10mm/minにて前記単分子膜を横切る方向に静かに浸漬し、引き続き同じ速度でこれを引き上げて、混合物IIIの2層LB膜をシリコンウエハ上に積層した。係る浸漬・引き上げ操作を繰り返して、混合物IIIからなる20層のLB膜を形成させた。
【0270】
次に、この試料に対して、電気炉を用いて減圧下、300℃で30分間加熱した後、引き続き常圧に戻し(空気置換)、350℃で15分間加熱を行った。係る試料がポリイミドと酸化パラジウムとから成るものであることを、IRスペクトルより確認した。また、導電率を測定したところ、8×10−8S/cmであった。
【0284】
[実施例3
図4に示した表面伝導型電子放出素子を作製した。その工程を下記に述べる。
【0285】
絶縁性基板1として石英基板を用い、これを有機溶剤により十分に洗浄後、Ptからなる素子電極4,5を形成した。この時、素子間隙L1は3μmとし、素子電極の幅w1を500μm、その厚さdを300Åとした。
【0286】
次に、上記素子電極を形成した絶縁性基板全面に導電性膜3として、実施例4で作製したPA−DDA/CHClをLB法により80層形成した。基板温度を80℃として30分間UV/O照射を行なった後、クリーンオーブンで300℃、10分間の大気焼成を行ない酸化パラジウム(PdO)微粒子(平均粒径60Å)からなる微粒子膜を形成した。この微粒子膜の膜厚は0.02μm、シート抵抗は2×10Ω/□であった。
【0287】
OMRレジストにて、上記微粒子膜の所望の領域200μm×300μmをマスクした後、Arガスにて余分なPdO微粒子をドライエッチングして除去した。その後UV/Oアッシャーにて上記レジストを除去して、導電性膜3とした。
【0288】
素子電極間4,5に電圧を印加し、上記導電性膜3にフォーミング処理を施すことにより電子放出部2を形成した。フォーミング処理には図7(a)に示す電圧波形を用いた。本実施例においては、図7(a)中のTを1msec、Tを10msec、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)を5Vとし、10−6torrの真空雰囲気下で60秒間行なった。
【0289】
以上のようにして作製した表面伝導型電子放出素子の電子放出特性を図8に示した測定評価系を用いて行なった。測定条件はアノード電極54と表面伝導型電子放出素子間の距離Hを4mm、アノード電極の電位を1kV、真空度を1×10−6torrとした。本表面伝導型電子放出素子では、素子電圧8V程度から急激に放出電流Iが増加し、素子電圧14Vで素子電流Iが2.0mA、放出電流Iが1.0μAとなり、電子放出効率η=I/I(%)は0.05%であった。
【0290】
[実施例3
本実施例では実施例3で作成した表面伝導型電子放出素子を用いて、図10に示したマトリクス配置の電子源で図11に示した表示パネルを形成し、画像形成装置を構成した。
【0291】
電子源の一部の平面図を図16に示す。また、図中のA−A’断面図を図17に示す。但し、図10と同じ符号で示したものは、同じ部材を示す。図中、141は層間絶縁層、142は素子電極5と下配線(X方向配線)との電気的接続のためのコンタクトホールである。
【0292】
先ず電子源の製造工程を図18、図19により工程順に従って具体的に説明する。尚、下記工程a〜hは図18(a)〜(d)及び図19(e)〜(h)に対応する。
【0293】
工程a:清浄化した石英基板1上に、真空蒸着により厚さ50ÅのCr、厚さ6000ÅのAuを順次積層した後、フォトレジスト(AZ1350SF,ヘキスト社製)をスピンナーにより回転塗布、ベークした後、フォトマスク像を露光、現像して、下配線102のレジストパターンを形成し、Au/Cr堆積膜をウェットエッチングして、所望の下配線102を形成する。
【0294】
工程b:厚さ0.5μmのシリコン酸化膜からなる層間絶縁層141をRFスパッタ法により堆積する。
【0295】
工程c:工程bで堆積したシリコン酸化膜にコンタクトホール142を形成するためのフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとして層間絶縁層141をエッチングしてコンタクトホール142を形成する。エッチングはCFとHガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)法によった。
【0296】
工程d:素子電極と素子電極間ギャップとなるべきパターンをフォトレジスト(RD−2000N−10,日立化成社製)で形成し、真空蒸着法により厚さ50ÅのTi、厚さ1000ÅのNiを順次堆積した。フォトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Ni/Ti堆積膜をリフトオフし、素子電極間隙(L)が3μm、素子電極の幅が300μmとなる素子電極4,5を形成した。
【0297】
工程e:素子電極4,5上に上配線(Y方向配線)103のフォトレジストパターンを形成した後、厚さ50ÅのTi、厚さ5000ÅのAuを順次真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要の部分を除去して所望の上配線103を形成した。続いてコンタクトホール142以外にレジストを塗布するようなパターンを形成し、真空蒸着により厚さ50ÅのTi、厚さ5000ÅのAuを逐次堆積し、リフトオフにより不要の部分を除去することによりコンタクトホール142を埋め込んだ。
【0298】
工程f:上記基板全面に実施例3と同様の方法でPdO微粒子膜161を形成した。
【0299】
工程g:導電性膜とする領域をOMRレジストを用いてパターンニングした。
【0300】
工程h:Arガスを用いて工程gにてパターンニングした部分以外のPdO微粒子膜161をエッチング除去し、UV/Oアッシングによりレジストを剥離して導電性膜3を形成した。
【0301】
以上のようにして未フォーミングの表面伝導型電子放出素子を同一基板上に多数個同時に作製し、各素子抵抗のバラツキをみたところ、従来の製造方法で作製した電子源と比較してそのバラツキが3分の1以下に抑えられていた。
【0302】
次に、上記未フォーミングの電子源を用いて図11に示す表示パネルを作製した。
【0303】
先ず、未フォーミングの電子源基板1をリアプレート111に固定した後、電子源1の5mm上方に、フェースプレート116(ガラス基板113の内面に蛍光膜114とメタルバック116が形成されている)を支持枠112を介して十分に位置合わせをして配置し、フェースプレート116、支持枠112、リアプレート111の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中で400℃で10分焼成することで封着した。またリアプレート111への電子源基板1の固定もフリットガラスで行なった。
【0304】
本実施例では蛍光体はストライプ形状(図12(a)参照)を採用し、ブラックストライプの材料としては黒鉛を主成分とする材料を用い、ガラス基板113に蛍光体を塗布する方法としてはスラリー法を用いた。
【0305】
また、蛍光膜114の内面側に設けられるメタルバック115は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(フィルミング)を行ない、その後Alを真空蒸着することで作製した。フェースプレート116には、更に蛍光膜114の導電性を高めるため、蛍光膜114の外面側に透明電極が設けられる場合もあるが、本実施例では、メタルバック115のみで十分な導電性が得られたため省略した。
【0306】
以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気管(不図示)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxmないしDy1〜Dynを通じ、実施例3と同様にして素子電極間に電圧を印加し、フォーミング処理を行ない、電子放出部を形成した。
【0307】
次に、10−7torr程度の真空度で不図示の排気管をガスバーナーで熱することで融着し、外囲器118の封止を行なった。
【0308】
最後に、封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なった。
【0309】
以上のようにして作製した表示パネルの容器外端子Dx1〜DxmないしDy1〜Dyn、及び高圧端子Hvをそれぞれ必要な駆動系に接続し、画像形成装置を完成した。各表面伝導型電子放出素子に容器外端子Dx1〜DxmないしDy1〜Dynを通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段によりそれぞれ印加することにより、電子放出を行ない、高圧端子Hvを通じ、メタルバック115に数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜114に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示した。得られた表示画像は従来の画像形成装置に比較してムラがなく、良好な画質であった。
【0310】
[実施例3
は実施例3で説明した表面伝導型電子放出素子を電子ビーム源として用いたディスプレイパネルに、例えばテレビジョン放送をはじめとする種々の画像情報源より提供される画像情報を表示できるように構成した表示装置の一例を示すためのブロック図である。
【0311】
図中190はディスプレイパネル、171はディスプレイパネルの駆動回路、172はディスプレイパネルコントローラ、173はマルチプレクサ、174はデコーダ、175は入出力インターフェース回路、176はCPU、177は画像生成回路、178および179および180は画像メモリーインターフェース回路、181は画像入力インターフェース回路、182および183はTV信号受信回路、184は入力部である。
【0312】
なお、本表示装置は、たとえばテレビジョン信号のように映像情報と音声情報の両方を含む信号を受信する場合には、当然映像の表示と同時に音声を再生するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声情報の受信、分離、再生、処理、記憶などに関する回路やスピーカーなどについては説明を省略する。
【0313】
以下、画像信号の流れに沿って各部を説明してゆく。
【0314】
先ず、TV信号受信回路183は、例えば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路である。受信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、例えば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式などの諸方式でも良い。また、これらよりさらに多数の走査線よりなるTV信号(例えばMUSE方式をはじめとするいわゆる高品位TV)は、大面積化や大画素数化に適した前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信号源である。
【0315】
TV信号受信回路183で受信されたTV信号は、デコーダ174に出力される。TV信号受信回路182は、例えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回路であるが、前記TV信号受信回路183と同様に、受信するTV信号の方式は特に限られるものではない。本回路で受信されたTV信号もデコーダ174に出力される。
【0316】
画像入力インターフェース回路181は、例えばTVカメラや画像読取スキャナーなどの画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ174に出力される。
【0317】
画像メモリーインターフェース回路180は、ビデオテープレコーダー(以下VTRと略す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ174に出力される。
【0318】
画像メモリーインターフェース回路179は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ174に出力される。
【0319】
画像メモリ−インターフェース回路178は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画像データを記憶している装置から画像信号を取り込むための回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ174に出力される。
【0320】
入出力インターフェース回路175は、本表示装置と外部のコンピュータもしくはコンピュータネットワークもしくはプリンターなどの出力装置とを接続するための回路である。画像データや文字・図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によっては本表示装置の備えるCPU176と外部との間で制御信号や数値データの入出力などを行なうことも可能である。
【0321】
画像生成回路177は、前記入出力インターフェース回路175を介して外部から入力される画像データや文字・図形情報や、或いはCPU176より出力される画像データや文字・図形情報に基づき表示用画像データを生成するための回路である。
【0322】
本回路の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積するための書き換え可能メモリーや、文字コードに対応する画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリーや、画像処理を行なうためのプロセッサなどをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0323】
本回路により生成された表示用画像データはデコーダ174に出力されるが、場合によっては前記入出力インターフェース回路175を介して、外部のコンピュータネットワークやプリンターに出力することも可能である。
【0324】
CPU176は、主として本表示装置の動作制御や、表示画像の選択・編集に関わる作業を行なう。一例を挙げれば、マルチプレクサ173に制御信号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際には表示する画像信号に応じて、ディスプレイパネルコントローラ172に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走査方法(例えばインターレースかノンインターレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制御する。
【0325】
また、前記画像生成回路177に対して画像データや文字・図形情報を直接出力したり、或いは前記入出力インターフェース回路175を介して外部のコンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・図形情報を入力する。尚、CPU176は、むろんこれ以外の目的の作業にも関わるものであっても良い。例えば、パーソナルコンピュータやワードプロセッサなどのように、情報処理する機能に直接関わっても良い。或は、前述したように入出力インターフェース回路175を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、例えば数値計算などの作業を外部機器と協同して行なっても良い。
【0326】
入力部184は、前記CPU176に使用者が命令やプログラム、或いはデータなどを入力するためのものであり、例えばキーボードやマウスの他、ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識装置など多様な入力機器を用いることが可能である。
【0327】
デコーダ174は、前記177ないし183より入力される種々の画像信号を3原色信号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回路である。尚、同図中に点線で示すように、デコーダ174は内部に画像メモリを備えるのが望ましい。これは、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するに際して画像メモリーを必要とするようなテレビ信号を扱うためである。
【0328】
また、画像メモリーを備えることにより、静止画の表示が容易になる、或いは前記画像生成回路177及びCPU176と協同して画像の間引き、補間、拡大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が容易に行なえるようになるという利点が生まれるからである。
【0329】
マルチプレクサ173は、前記CPU176より入力される制御信号に基づき表示画像を適宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ173はデコーダ174から入力される逆変換された画像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動回路171に出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信号を切り換えて選択することにより、いわゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分けて領域によって異なる画像を表示することも可能である。
【0330】
ディスプレイパネルコントローラ172は、前記CPU176より入力される制御信号に基づき、駆動回路171の動作を制御するための回路である。その基本的動作は、例えば、ディスプレイパネルの駆動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御するための信号を駆動回路171に対して出力したり、画像表示周波数や走査方法(例えばインターレースかノンインターレースか)を制御するための信号を駆動回路171に対して出力したりするものである。また、場合によっては、表示画像の輝度やコントラストや色調やシャープネスといった、画質の調整に関わる制御信号を駆動回路171に対して出力する場合もある。
【0331】
駆動回路171は、ディスプレイパネル190に印加する駆動信号を発生するための回路であり、前記マルチプレクサ173から入力される画像信号と、前記ディスプレイパネルコントローラ172より入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0332】
以上、各部の機能を説明したが、図に例示した構成により、本表示装置においては、多様な画像情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル190に表示することが可能である。即ち、テレビジョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ174において逆変換された後、マルチプレクサ173において適宜選択され、駆動回路171に入力される。
【0333】
一方、ディスプレイコントローラ172は、表示する画像信号に応じて駆動回路171の動作を制御するための制御信号を発生する。駆動回路171は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレイパネル190に駆動信号を印加する。これにより、ディスプレイパネル190において画像が表示される。これらの一連の動作は、CPU176により統括的に制御される。
【0334】
また、本表示装置においては、前記デコーダ174に内蔵する画像メモリや、画像生成回路177及び情報の中から選択したものを表示するだけでなく、表示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合成、消去、接続、入れ替え、はめ込みなどをはじめとする画像編集を行なうことも可能である。また、本実施例の説明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行なうための専用回路を設けても良い。
【0335】
従って、本表示装置は、テレビジョン放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び動画像を扱う画像編集機器、コンピューターの端末機器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、ゲーム機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業用或いは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0336】
尚、上記図は、表面伝導型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルを用いた表示装置の構成の一例を示したに過ぎず、係る構成のみに限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、図の構成要素のうち使用目的上必要のない機能に関わる回路は省いても差し支えない。
【0337】
また、これとは逆に、使用目的によってはさらに構成要素を追加しても良い。例えば、本表示装置をテレビ電話機として応用する場合には、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデムを含む送受信回路などを構成要素に追加するのが好適である。
【0338】
本表示装置においては、とりわけ表面伝導型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルの薄型化が容易なため、表示装置の奥行きを小さくすることができる。それに加えて、表面伝導型電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネルは大画面化が容易で輝度が高く視野角特性にも優れるため、本表示装置は臨場感あふれ迫力に富んだ画像を視認性良く表示することが可能である。
【0339】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、膜厚の薄い領域でも、均一な膜厚で良好な導電率等の電気特性を示す導電性薄膜材料およびその製造方法が提供でき、また、該導電性薄膜を、電子放出部を形成する導電性薄膜として用いた表面伝導型電子放出素子においては、電子放出特性の均一な電子放出素子、及び各電子放出素子が均一な電子放出特性を示す電子源、該電子源を用いて構成した画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例26で用いたガラス基板を示す図である。
【図2】従来の電子放出素子の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例36の画像形成装置のブロック図である。
【図4】本発明の表面伝導型電子放出素子の一実施態様を示す断面図である。
【図5】本発明の表面伝導型電子放出素子の他の実施態様を示す断面図である。
【図6】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造工程例を示す図である。
【図7】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造に係るフォーミング処理の電圧波形を示す図である。
【図8】本発明の表面伝導型電子放出素子の電子放出特性を評価するための測定評価系を示す図である。
【図9】本発明の表面伝導型電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
【図10】本発明の単純マトリクス電子源の模式図である。
【図11】本発明の画像形成装置の表示パネルの一実施態様を示す図である。
【図12】本発明の画像形成装置に用いる蛍光膜を示す図である。
【図13】本発明の画像形成装置の一実施態様のブロック図である。
【図14】本発明の梯子型電子源の模式図である。
【図15】梯子型電子源を用いた本発明の画像形成装置の表示パネルを示す図である。
【図16】図10の電子源の拡大図である。
【図17】図16の電子源のA−A’部分断面図である。
【図18】実施例35の電子源の製造工程図である。
【図19】実施例35の電子源の製造工程図である。
【符号の説明】
1 基板
2 電子放出部
3 導電性膜
4,5 素子電極
21 段差形成部
50 電流計
51 電源
52 電流計
53 高圧電源
54 アノード電極
55 真空装置
56 排気ポンプ
102 X方向配線
103 Y方向配線
104 表面伝導型電子放出素子
105 結線
111 リアプレート
112 支持枠
113 ガラス基板
114 蛍光膜
115 メタルバック
116 フェースプレート
118 外囲器
121 黒色導伝材
122 蛍光体
141 層間絶縁層
142 コンタクトホール
161 PdO微粒子膜
171 駆動回路
172 ディスプレイパネルコントローラ
173 マルチプレクサ
174 デコーダ
175 入出力インターフェース
176 CPU
177 画像生成回路
178 画像メモリーインターフェース
179 画像メモリーインターフェース
180 画像メモリーインターフェース
181 画像入力メモリーインターフェース
182 TV信号受信回路
183 TV信号受信回路
184 入力部
190 ディスプレイパネル
201 表示パネル
202 走査回路
203 制御回路
204 シフトレジスタ
205 ラインメモリ
206 同期信号分離回路
207 変調信号発生器
301 表示パネル
302 グリッド電極
303 開口
304 共通配線

Claims (17)

  1. 電子放出部を有する導電性膜を備える電子放出素子の製造方法において、基板上に導電性膜形成用材料からなる単分子累積膜を形成する工程と、該単分子累積膜を焼成して導電性膜を形成する工程と、該導電性膜に、亀裂を含む電子放出部を形成するための通電処理を施す工程とを有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  2. 更に、前記単分子累積膜に紫外線を照射する工程を有する請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 前記紫外線の照射が、O3存在下にて行われる請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
  4. 前記導電性膜形成用材料が、金属、疎水性部分、及び、親水性部分とを有する請求項1〜3に記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 前記疎水性部分が、アルキル基またはアルケニル基を有し、前記親水性部分が、カルボニル基またはアミノ基を有する請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 前記導電性膜形成用材料が、前記疎水性部分と前記親水性部分とを一分子内に有する化合物を含有する請求項4又は5に記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 前記化合物が、有機金属化合物である請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 前記有機金属化合物が、下記一般式(I)にて表される有機金属錯体である請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
    (R1COO)nM(NR234m・・・(I)
    [但し、R1はアルキル基、R2,R3,R4は水素またはアルキル基またはアルケニル基、Mは金属、n,mは1以上の整数である。]
  9. 前記有機金属錯体が、R1が炭素数1〜4のアルキル基、R2,R3,R4は水素または炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基であり、R2,R3,R4のうち、少なくとも一つは炭素数18以上、または、R2,R3,R4の炭素数の総和が18以上、m=2〜4の整数、n=1〜4の整数である請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
  10. 前記化合物が、下記一般式(II)にて表される請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
    5COOH・・・(II)
    [但し、R5は炭素数18〜30のアルキル基またはアルケニル基である。]
  11. 前記化合物が、高分子化合物である請求項に記載の電子放出素子の製造方法。
  12. 前記高分子化合物が、ポリアミック酸エステルである請求項11に記載の電子放出素子の製造方法。
  13. 前記ポリアミック酸エステルが、炭素数8〜30のアルコキシカルボニル基を有する請求項12に記載の電子放出素子の製造方法。
  14. 前記導電性膜形成用材料が、更に、有機金属化合物を含有する請求項10〜13のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  15. 前記金属が、Pd,Ru,Ag,Cu,Cr,Tb,Cd,Fe,Pb,Znの中から選択される請求項4〜14のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  16. 電子放出部を有する導電性膜を備える電子放出素子を複数有する電子源の製造方法において、前記電子放出素子が請求項1〜15のいずれかに記載の方法にて製造されることを特徴とする電子源の製造方法。
  17. 電子放出部を有する導電性膜を備える電子放出素子と、画像形成部材とを有する画像形成装置の製造方法において、前記電子放出素子が請求項16に記載の方法にて製造されることを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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