JP3575853B2 - 内視鏡下手術用排気チューブ - Google Patents

内視鏡下手術用排気チューブ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、胸腔鏡や腹腔鏡等を含む内視鏡下手術時に、電気メスの使用によって発生する煙と、臓器からの水蒸気の排気を行い、内視鏡のレンズのクリヤ度を維持するためのチューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、内視鏡下手術において、電気メスによる処置中に発煙した場合、空のトラカールから吸引嘴管を入れて吸引排煙を行っていた。このようにして排気を行った場合、トラカール1本が吸引用に占有され、また、排気を行うときになって吸引嘴管を体内に挿入するため、手術中に余分な作業をしなければならない問題がある。更に、体腔内の水蒸気により内視鏡は曇りやすく、これを排除するためには持続的な吸引が望まれていた。
【0003】
また更に、吸引嘴管がほぼ真直に体腔内に入るため、術中の処置の邪魔になったり、さらには、排煙時に、胸腔の場合には胸腔内に陰圧がかかるため、肺が膨張して視野が狭くなったりするという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は内視鏡下手術時の排気において、前述のような問題点を解決するために種々検討した結果なされたもので、その目的とするところは、肺の膨張がなく、また術中の処置の邪魔にならないように体腔内の排気が出来、鏡視野のクリヤ度を維持し、曇りによる内視鏡の交換頻度を少なくできる排気チューブを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による内視鏡下手術用排気チューブは、長さ方向に2つの独立貫通した内腔を有し、先端付近でほぼ90度屈曲して形成させた脚部とその後端側の胴部からなる可撓性の本体チューブと、該チューブ本体の後端に接続されたコネクター部から基本的に構成されている。また本体チューブの一方のルーメンは脚部に側孔が複数個設けられており、そのルーメンとコネクター部とが流通路を成している。さらに、もう一方のルーメンには、脚部の屈曲部近傍の側面にベント孔が開いており、後端側はコネクターとは連通せず、後端部又は後端部付近の側孔に連結する流通路を形成していることを特徴とする。
【0006】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明による内視鏡下手術用排気チューブの構成を示す概要図で、図2はその使用状態を示す概要図である。
【0007】
本発明による内視鏡下手術用排気チューブは、長さ方向に2つの独立貫通した内腔を有し、先端付近で屈曲して形成させた脚部(13)とその後端側の胴部(14)からなる可撓性の本体チューブ(1)と、該チューブ本体の後端に接続されたコネクター(3)とから基本的に構成されている。本体チューブ(1)には排気吸引ルーメン(7)とベントルーメン(8)の2つの内腔があり、排気吸引ルーメン(7)には脚部(13)の側面に吸引孔(5)が複数個設けられており、そのルーメンの後端に直接接続、又は接続チューブ(2)を介してコネクター(3)が連通接続され、流通路を形成している。
【0008】
もう一方のベントルーメン(8)は、本体チューブ(1)の先端部または脚部(13)の屈曲部近傍の側面にベント孔(4)が設けられ、ベントルーメン(8)の後端部はコネクター(3)部には接続せず開放しているか、又はベントルーメン(8)の後端部に封止部(6)を設け、そのベントルーメン(8)後端部付近の側面に大気開放孔(12)を設けることにより、コネクター(3)とは流通路を成さず、大気との流通路を成している。
【0009】
本体チューブ(1)は全長に亘って均一な外径を有し、先端の脚部(13)が体腔(10)内に入ったときは、図2に示すように、術中の処置の邪魔にならないように体壁(9)内腔に沿って入っており、脚部(13)の後端部が曲がって胴部(14)へと続き、体外へ出ている。水平部と垂直部の角度は90度付近の角度が好ましく、本体チューブ(1)の胴部(14)が体外へ出たときは、真直に直立するのでなく、本体チューブ(1)は体表面に沿う程度の可撓性がある方が好ましい。
【0010】
本体チューブ(1)は、体腔(10)内に発生する煙や、水蒸気を排気するための排気吸引ルーメン(7)と、体腔内に陰圧がかかるのを防止するためのベントルーメン(8)の独立した2つのルーメンを有しており、体腔内に入る本体チューブ(1)先端側の脚部(13)の排気吸引ルーメン(7)には、側部に1〜10コの吸引孔(5)を設け、その排気吸引ルーメン(7)後端側はコネクター(3)を直接接続するか、又は接続チューブ(2)を経由してコネクター(3)を接続し、吸引をかけることにより体腔内の排気が出来るようになっている。また好ましくは、本体チューブ(1)の先端に封止部(6′)を設け、吸引孔(5)を等間隔に開けて、排気吸引ルーメン(7)が体腔内側に向くように配置することにより、吸引孔(5)からより効率よく排気を行うことができる。
【0011】
また、ベントルーメン(8)も、先端を開放するか又は先端部を閉じ、本体チューブ(1)脚部(13)屈曲部近傍の側部にベント孔(4)を設け、後端部はコネクター(3)には接続せず開放し、又は後端に封止部(6)を設け、後端部付近の側部に大気開放孔(12)を設けている。そのため、コネクター(3)により吸引をかけたときも、ベントルーメン(8)には吸引がかからず、体腔(10)内と外気とが流通し、胸腔の場合には排気時の陰圧による肺の膨張で、胸腔内の術野が狭くならないように過吸引を防止する。ベント孔(4)の位置は、本体チューブ(1)の脚部(13)先端側より、排気吸引に影響しにくい後端側、すなわち脚部(13)と胴部(14)の境目付近が好ましい。また、ベントルーメン(8)後端の開放部、又は、大気開放孔(12)には、大気と体腔内が連通しているため、体腔(10)内への異物侵入を防ぐフィルターを設けるのが好ましい。
【0012】
本体チューブ(1)の材質は、例えば軟質塩化ビニル樹脂、シリコーンゴム、ポリウレタンエラストマー等の可撓性材料によって押出成形されたものである。その硬度は、チューブの曲げ形状を保ち、曲げたときに内腔がつぶれにくい材料が適当である。また、本体チューブ(1)寸法は特に限定されるものではないが、通常は外径3〜15mm、全長300〜800mmで、その内、脚部(13)の長さは30〜100mmの範囲とする。また、吸引孔(5)、ベント孔(4)及び大気開放孔(12)は内径1〜4mmが適当である。更に本体チューブ(1)の先端部に封止部(6′)を設ける場合は、熱加工や接着によって封止加工が施してあり、体腔内を傷つけないよう丸目加工している。
【0013】
次に、本発明における内視鏡下手術用排気チューブの使用方法について、胸腔に使用した場合について説明する。先ず、胸壁(9)の切開部より本体チューブ(1)先端の脚部(13)を含むL字部を、吸引孔(5)とベント孔(4)を含めて全体が胸腔(10)内に入るように挿入し、胸壁(9)の内壁に沿わせて留置し、本体チューブ(1)の後端側に付設されているコネクター(3)に、サクションチューブ(11)を接続し、陰圧源に接続する。基本的に、手術操作中は陰圧源の吸引口を開いて持続的に吸引を行い、胸腔内の湿度を減じ、また、電気メス等の使用によって発生した焼煙を吸引除去することにより、鏡視野を保つ。
【0014】
【発明の効果】
本発明による内視鏡下手術用排気チューブは、先端部がL字形状になっており、体腔内に留置を行った時も体腔内壁に沿っているため、術中の処置の邪魔になることがない。また、排気吸引ルーメンとは独立してベントルーメンが設けられており、外気と体腔内が連通しているため、胸腔内の排気のために吸引を行ったときも、胸腔内に高陰圧がかかり肺が膨張して術野が狭くなると言うことがなく、良好な鏡視野が保たれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる内視鏡下手術用排気チューブの構成を示す概要図である。
【図2】本発明による内視鏡下手術用排気チューブの使用状態を示す概要図である。
【符号の説明】
1 本体チューブ
2 接続チューブ
3 コネクター
4 ベント孔
5 吸引孔
6、6′ 封止部
7 排気吸引ルーメン
8 ベントルーメン
9 体壁
10 体腔
11 サクションチューブ
12 大気開放孔
13 脚部
14 胴部

Claims (1)

  1. 長さ方向に2つの独立貫通した内腔を有し、先端付近でほぼ90度屈曲して形成させた脚部とその後端側の胴部からなる可撓性の本体チューブと、該チューブ本体の後端に接続されたコネクター部から基本的に構成され、本体チューブの一方のルーメンは脚部に側孔が複数個設けられており、その後端側はコネクター部と連通接続されて流通路を成し、もう一方のルーメンは脚部の屈曲部近傍の側面に側孔が開いており、後端部はコネクターには接続せず開放しているか、もしくは後端部に封止部を設け、後端部付近の側面に側孔を設けたことを特徴とする内視鏡下手術用排気チューブ。
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