JP3575758B2 - ピンホール検査用接触型電極および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソーセージなど導電性の食品を封入した非導電性容器のピンホール検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食料品や薬液等を容器に封入した製品では、その容器にピンホールがあると、ピンホール部分から細菌などが侵入して内容物の品質を変化させるおそれがある。そのため、導電性を有する内容物を、電気絶縁性を有する容器に封入した製品の場合には、製造工程でピンホール検査が行われている。ピンホール検査は、容器の一部分に放電検知電極を配置し、ピンホール検査部分に高電圧印加電極を配置して行われる。ピンホールが存在すると、当該ピンホール部分を通して高電圧印加電極から内容物に火花放電が発生する。その際に流れる電流を放電検知電極が検知して放電の発生を知ることにより、ピンホールの有無を判断している。
【0003】
従来のピンホール検査装置では、リング状の外枠からその中心に向けて導電性を有するブラシを配置した高電圧印加電極を設け、その前後には被検査物を移動させるベルトコンベアが設置されている。さらに入口側コンベアおよび出口側コンベアの上方には、導電性を有するブラシを備えた入口側放電検知電極および出口側放電検知電極が設置されている。
【0004】
この装置を使用したピンホール検査では、まず高電圧印加電極に高電圧を印加する。次に入口側コンベアにより被検査物の前半部を高電圧印加電極の中心部に挿入し、高電圧印加電極のブラシを前半部の外周に接触させる。そのとき被検査物の後半部は入口側放電検知電極に接触しているので、前半部におけるピンホール検査が行われる。さらに被検査物を移動させて、高電圧印加電極のブラシを後半部の外周に接触させる。そのとき被検査物の前半部は出口側放電検知電極に接触しているので、後半部におけるピンホール検査が行われる。そして出口側コンベアにより、被検査物を高電圧印加電極の中心部から排出する。このようにして、被検査物全体のピンホール検査が行われる。
【0005】
このようなピンホール検査装置では、主にブラシ電極を用いている。中にはリング状電極や針電極を用いた装置もあるが、リング状電極や針電極は、その構造上から被検査物に対して非接触での検査となるため、被検査物と各電極との間隔が大きく開くことになり、ピンホール検査の結果に対する信用性は、ブラシ電極を使用した装置に比べて低いものとなる。従って、通常はブラシ電極を被検査物に接触させ、電流を流してピンホールの有無を検出しているのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところでピンホール検査において、被検査物にブラシ電極が充分に接触できない場合に、ピンホールの検出漏れが生じる可能性がある。これはブラシ繊維の復元力にも依存するが、被検査物の搬送速度を速くすればブラシ繊維の追従性が悪くなり、特に被検査物に絞り形状部分があると、検査漏れが発生する場合がある。また、被検査物形状の大きさのばらつきや形状の変化により、ブラシ電極が被検査物に接触する面積が刻々と変化することで、ブラシ電極と被検査物との接触がうまく保たれないために発生する問題もある。
【0007】
また従来のピンホール検査装置に用いられるブラシ電極は、アモルファス金属またはリン青銅により形成されている。しかし、アモルファス金属またはリン青銅をブラシ電極として用いた場合、被検査物との接触および放電等によりブラシ電極の毛先に負担がかかるため、消耗が激しく劣化が早い。すなわちピンホール検査装置におけるブラシ電極の耐久性が悪く、早い段階でのブラシ電極の交換を余儀なくされることからコストがかかってしまうものであった。
【0008】
さらに、ピンホール検査を長時間行った場合や、湿気を帯びた製品の検査をする場合において、ブラシ電極の先端部の形状が変化してしまうことがある。このように形状が変化すると、被検査物にブラシ電極が接触しないという事態が生じ、ピンホールの検出漏れに繋がるおそれがある。
【0009】
このようなピンホール検査を行う対象として、被検査物には様々な種類の製品が列挙される。このとき、電極が被検査物と接触不足であった場合に、ピンホールの検出漏れが発生するおそれがある。そのため、それらの種々の製品の形状に応じてブラシ電極が接触するように、電極を形成する必要があった。
【0010】
本発明は上記問題に着目し、被検査物への接触を保持する高い追従性と、種々の被検査物に対応する互換性を兼備したピンホール検査用接触型電極および装置の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るピンホール検査用接触型電極は、複数の可撓性電極材としての線条材を張り渡して拡縮可能な多角形通路を形成し、前記多角形通路を被検査物通路としたことを特徴としている。
前記ピンホール検査用接触型電極は、可撓性電極材とこれを係合可能な係合部を有するフレームとから構成し、前記係合部をフレーム周縁部の複数箇所に形成して前記可撓性電極材の係合位置を変更することにより前記多角形通路サイズを可変としたものである。
【0012】
前記ピンホール検査用接触型電極において、前記可撓性電極材はスプリングにより形成されている。また前記可撓性電極材は、弾性線条材に金属ワイヤを巻き付けて構成することも可能である。前記ピンホール検査用接触型電極は、多角形通路へ検査物を誘導する案内部材を備えている。
【0013】
本発明に係るピンホール検査装置は、導電性物質を密封した非導電性容器のピンホール検査装置であって、被検査物の搬送経路の途中に複数の接触型電極を配置するとともに、当該接触型電極は、複数の可撓性電極材としての線条材を張り渡して、前記搬送経路と交差する方向に、被検査物の外形に倣って拡縮可能な多角形通路を形成し、前記多角形通路を被検査物通路としたものである。
【0014】
【作用】
上記構成により、本発明のピンホール検査用接触型電極は、被検査物を通過させる通路として、可撓性電極を張り渡して多角形通路を形成している。このような電極の中央の多角形通路に被検査物を通過させたとき、可撓性電極は被検査物の外形に沿うように常に接触を保ちながら自在に拡縮することになる。また、可撓性電極には復元力があり、被検査物に接触した部位が拡縮をなしたとしても、被検査物の通過後には元の形状に戻るものである。
【0015】
前記可撓性電極は、フレーム周縁部に形成された係合部の係合位置を変更することによって、被検査物を通過させる多角形通路のサイズを変えることが可能である。従って、種々の被検査物のピンホール検査を行うにあたって、被検査物の大きさが異なる場合に、前記弾性体の取付位置を変更することによって多角形通路の拡縮範囲を変化させることが可能となり、弾性体を無理なく被検査物に接触させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係るピンホール検査用接触型電極および装置の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1に本実施の形態に係る電極の斜視図、図2に本実施の形態に係るピンホール検査装置の概略図を示す。また図3に本実施の形態に係るピンホール検査装置を使用したピンホール検査工程の説明図を示す。
【0017】
ソーセージのような、導電性を有する内容物を電気絶縁性のある容器に封入した概略軸形状の製品のピンホール検査を行うため、図3に示すように、被検査物2である製品を搬送するベルトコンベア8上に、ピンホール検査領域4を設ける。ベルトコンベア8は図示しないモータにより、図3の左方向から右方向へと周回運動を行うものとする。被検査物2は前記ベルトコンベア8によって搬送され、ピンホール検査領域4を通過するが、このとき被検査物2の軸方向が、ベルトコンベア8の搬送方向と平行であるように被検査物をベルトコンベア8に搭載する。被検査物2は、ピンホール検査領域4を通過した後、包装領域6に搬送される。
【0018】
上記ピンホール検査領域4には、本実施の形態に係るピンホール検査装置10を設置する。このピンホール検査装置10は、検査領域4に接触型の電極を合わせて3個設置し、電流を計測することによって被検査物2のピンホールの有無を確実に検査するものである。これらの電極は、ベルトコンベアの搬送方向に沿って、前方から放電検知電極12、高電圧印加電極14、放電検知電極12の順に設置される。
【0019】
前記接触型電極は、複数の可撓性電極材としての線条材を張り渡して中央部に拡縮可能な多角形通路を形成し、前記多角形通路を被検査物通路としたものである。被検査物2は、この接触型電極の多角形の通路を通過することによってピンホール検査を行うものである。被検査物2の外形が完全な筒状でない場合にも、常に接触型電極が被検査物2の外周に接触するように、本実施の形態では電極に弾性体を用いることによって、被検査物2の形状に沿って拡縮できるようにしている。
【0020】
放電検知電極12および高電圧印加電極14の概略図を図1に示す。可撓性電極として、本実施の形態ではスプリング16を使用している。このスプリング16は、中心部に被検査物の断面径の1/2程度の相当直径をもつ、多角形の通路ができるように取り付ける。たとえば図1に示すように、平行な二本のスプリング16を一対として、合計四対のスプリング16を45度ずつ傾けて、中心に8角形の通路ができるように設置する。
【0021】
スプリング16を設置するフレームとして、本実施の形態ではプラスチックなどの絶縁体で形成したブラケット18を用いている。このブラケット18は、周縁部にスプリング16を係合可能とする取付孔20を穿設し、当該取付孔20に長い一本のスプリング16を、ブラケット18の中央部に8角形が形成されるように通している。このとき、図1のように一本のスプリング16で電極を形成するのではなく、複数のスプリング16を用いて中央部が円形に近い形状になるように形成し、それら複数のスプリング16を導線などで繋いで電極としてもよい。
【0022】
またブラケット18には取付孔20を複数穿設しておき、スプリング16の取り付け位置を変化させることを可能とする。これによって、ブラケット18の中央部にできるスプリング16によって形成される多角形の大きさが変化するため、種々の被検査物2の形状に対応することができる。
【0023】
このようにスプリング16を取り付けたブラケット18は、スプリング16で形成した8角形が被検査物の搬送経路と交差するよう取り付ける。3個の電極を一組としてベルトコンベア8の搬送方向に沿って設置し、図2に示すように、中央部の電極を高電圧印加電極14とし、前後を放電検知電極12とする。従って、中央にある高電圧印加電極に高圧電源24を接続し、また前後の放電検知電極12には、電流測定計26を接続して接地し、放電電流を検知可能とする。
【0024】
ところで上記の放電検知電極12および高電圧印加電極14の中心部に構成された多角形の通路を、被検査物2が確実に通過しなければならない。そのため、被検査物2を前記通路に誘導するための案内部材として、ガイドブラケット28を、放電検知電極12および高電圧印加電極14のブラケット18に取り付ける。図1(2)に示すように、ガイドブラケット28は、入口から奥に進むごとに徐々に径が小さくなっており、出口側の位置をスプリング16で構成した通路に合わせることで、被検査物2を前記通路へと誘導できる。
【0025】
上記構成により、本実施の形態に係る動作を説明する。図示しないモータによりベルトコンベア8を駆動する。被検査物2は、ベルトコンベア8上を搬送され、ピンホール検査領域4に入り、ガイドブラケット28によって、ピンホール検査装置10に設置された放電検知電極12の中央部の通路に案内される。放電検知電極12に案内された被検査物2は、中心部にスプリンク16で形成された8角形の電極を通過し、このとき被検査物2に対して中心部の8角形は1/2程度の径になるよう形成されているため、被検査物2の外形に押されて形状が拡大する。しかしスプリングは弾性体であるため、被検査物2の外形に沿って形状が変化して、被検査物2が放電検知電極12を通過した後は、伸縮して元の形状に復元する。
【0026】
放電検知電極12と高電圧印加電極14とは同じ形状のものであるから、上記と同様の動作が、ベルトコンベア8上に設置した高電圧印加電極14においても起こる。このようにして、3個の電極に被検査物2は接触し、通過する。
このとき、各電極には電流が流れており、被検査物2は電気絶縁性を有する材料によって包装されているので、ピンホールがない部分において火花放電を発生させ得る最小電圧(火花電圧)Vsaは、ピンホールがある部分における火花電圧Vsbより大きい。そこで、VsaとVsbとの間の電圧Vsを被検査物2に印加することにより、ピンホールが存在する部分でのみ火花放電を発生させることができる。
【0027】
高電圧印加電極14と被検査物2との間に空間がある場合には、その空間部分の電気抵抗によって火花電圧Vsbが高くなり、印加電圧Vsでは火花電圧が発生しなくなるが、本実施の形態においては高電圧印加電極14をスプリング16を用いて形成したため、スプリング16が拡縮しながら被検査物2に常時接触させるものである。
【0028】
火花放電はもちろん視認することが可能であるが、放電検知電極12に接続した電流測定計26にて電流を計測し、放電して逃れた電流を検知することで、より確実にピンホールの有無を検査することができる。
上記のピンホール検査にて良品と判定された被検査物2は、ベルトコンベア8により次工程へと搬送される。また不良と判定された被検査物2に対しては、ピンホール検査領域4を通過後に図示しないエアージェット式の選別装置により系外へ排出される。
【0029】
上記構成により、スプリング16を電極に用いたことにより、被検査物2に対して電極が常に接触している状態が保たれるため、放電によるピンホール検査をより正確に行うことができる。またブラケット18に穿設した取付孔20に対し、スプリング16の取付位置を変えることが可能であるため、一組の電極において種々の製品の形状に対応することができる。従って、製品の種類に応じて電極を取り換える必要がなく、一組の電極を用いることで対応可能であるため、コスト面においても安価にすることができる。
【0030】
また、図1においてスプリング16にて形成した電極の中心部の形状を8角形としているが、8角形以外の多角形となるようにスプリング16を設置し、電極を形成することも可能である。電極として用いる弾性体の形状によっては、多角形以外の曲線を利用した形状を用いることもできる。電極の中央部に形成される図形は、被検査物2における外形の1/2程度の径をもつ円形に類似した形状を形成することが最も重要である。
【0031】
上記の電極は、取付孔20に配置する位置を変化させることにより、中央部の多角形の形状または大きさを変化させることが可能である。本実施の形態においては、スプリング16の取付位置を変更する手段として、ブラケット18に取付孔20を穿孔しているが、多角形の形状を変化させるために他の方法を用いてもよい。例えば、ブラケット18の外周に、スプリング16を引っ掛けるための凸部を複数形成しておき、この凸部にスプリング16を渡し掛けて多角形を形成することも可能である。このとき、スプリング16がブラケット18から外れる可能性を解消するため、ブラケット18に押さえ板を取り付けて渡し掛けたスプリング16を固定するようにしてもよい。また、スプリング16は、凸部へ渡し掛ける位置を変えることにより、多角形の形状を変化できるものとする。
【0032】
本実施の形態では、電極に用いる弾性体をスプリング16としたが、金属製の弾性体の以外に、ゴムなどの非金属の弾性体に金属の線条材を螺旋状に巻いたものを利用した場合も、同様の効果が得られるものである。
【0033】
【発明の効果】
上記構成により、本発明にかかるピンホール検査用接触型電極は、高電圧印加電極および放電検知電極として金属製の弾性体を用いることで、被検査物の形状に沿って弾性体は自在に拡縮しながら接触するものである。このような弾性体の電極は、被検査物の大きさのばらつきや形状の変化によらず、常に接触状態を保つことが可能であって、電極の被検査物に対する追従性に非常に優れている。また弾性体であるため、被検査物が通過したのちに、元の形状への復元が容易である。このため、被検査物の形状によって電極がねじ曲げられて変形した場合にもすぐに復元するので、電極形状が変形して使用不可能になる可能性が著しく低く、長時間の使用や製品の湿気などにも耐えうるものであり、耐久性の面でも良好である。
【0034】
また、弾性体の取付位置を可変としたため、弾性体を張り渡して形成される多角形の通路の形状を変化させることができる。この多角形の通路は、被検査物を通過させるものであり、この通路の形状または大きさを変化させることによりより、被検査物となる製品の形状や大きさに対応しうるものとなっている。従って、一組の電極を用いて多種の製品に対してピンホール検査を行うことが可能となり、検査対象となる製品の種類によって異なる電極を用意する必要がなくなるため、コストの低下にも役立っている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るピンホール検査装置の斜視図および側面図である。
【図2】本実施の形態に係る放電検知電極および高電圧印加電極の概略図である。
【図3】本実施の形態に係るピンホール検査装置を使用したピンホール検査工程の説明図である。
【符号の説明】
2………被検査物、4………ピンホール検査領域、6………包装領域、
8………ベルトコンベア、10………ピンホール検査装置、
12………放電検知電極、14………高電圧印加電極、16………スプリング、
18………ブラケット、20………取付孔、24………高圧電源、
26………電流測定計、28………ガイドブラケット。

Claims (6)

  1. ピンホール検査用接触型電極であって、複数の可撓性電極材としての線条材を張り渡して拡縮可能な多角形通路を形成し、前記多角形通路を被検査物通路としたことを特徴とするピンホール検査用接触型電極。
  2. 前記ピンホール検査用接触型電極は、可撓性電極材とこれを係合可能な係合部を有するフレームとから構成し、前記係合部をフレーム周縁部の複数箇所に形成して前記可撓性電極材の係合位置を変更することにより前記多角形通路サイズを可変としたことを特徴とする請求項1に記載のピンホール検査用接触型電極。
  3. 前記可撓性電極材はスプリングにより形成してなることを特徴とする請求項1記載のピンホール検査用接触型電極。
  4. 前記可撓性電極材は弾性線条材に金属ワイヤを巻き付けて構成されていることを特徴とする請求項1記載のピンホール検査用接触型電極。
  5. 前記ピンホール検査用接触型電極の多角形通路へ検査物を誘導する案内部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載のピンホール検査用接触型電極。
  6. 導電性物質を密封した非導電性容器のピンホール検査装置であって、被検査物の搬送経路の途中に複数の接触型電極を配置するとともに、当該接触型電極は、複数の可撓性電極材としての線条材を張り渡して、前記搬送経路と交差する方向に、被検査物の外形に倣って拡縮可能な多角形通路を形成し、前記多角形通路を被検査物通路としたことを特徴としたピンホール検査装置。
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