JP3575582B2 - 非水二次電池用正極活物質とその製造方法 - Google Patents

非水二次電池用正極活物質とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解液二次電池、特にリチウム二次電池に用いる正極活物質、その原料およびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在リチウム二次電池の正極活物質としてはLiCoO が使用されている。容量120〜140mAh/g、サイクル特性(寿命)は約500サイクルである。エレクトロニクス機器の高性能化、小型化、コードレス化が進み駆動電源としての電池も小型化・軽量化が要求されている。その方策として正極活物質としてLiNiO への代替が考えられている。LiNiO は容量が高いが寿命が短いという問題がある。改良の方法としてNi以外の元素を添加することが試みられているが、効果が十分ではない。また粒子径の最適化、活物質の造粒、緻密化も提案されているが、これも十分な効果が得られていない。LiNiO は寿命以外にも問題があり、特に製造規模を大きくするにつれ、あるいはロット毎に、さらに同一ロット内においてさえも異なる部分間で特性がばらつき安定した特性のものを製造することが困難である。
【0003】
リチウム複合酸化物を少量合成する場合は酸素ガスまたは空気を供給する通常の焼成炉内で均質なものが得られるが、生産性を高めるために処理量を増大して合成したものを正極活物質として用いた電池では充放電特性が低下したり特性偏差値が大きいなどの問題があったので、工業的な製造規模で焼成処理量を多くしながらも、全体を均質に反応させるために強制通気することが特開平5−62678号により提案されている。
【0004】
すなわち提案の方法は焼成炉内で上記リチウム複合酸化物を合成するに際し、所定の温度に加熱した空気もしくは酸素、または酸素と窒素の混合ガスを混合粉体層中に強制通気させながら焼成するものであって、電気ヒーターを配置した焼成炉に混合粉体を収納する反応容器を置き、その底部に混合粉体が落下しないセラミック製多孔板が配置され、炉外に設けたエアーポンプから圧縮空気がこれを予熱する熱交換機を経て反応容器底部に送りこまれ混合粉体層中に強制通気されるようになっている。しかしながら、この方法ではむしろバラツキを増加させてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
異種元素を含んだLiNiO である組成式Li Ni のリチウムニッケル複合酸化物の容量とサイクル特性とを改善するとともに、工業的規模の製造においても、バラツキのない製造方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
容量とサイクル特性を改良するために活物質としての粒子構造に着目し、メディアン径(D50)と比表面積径(D )との比R=D50/D の適切な範囲を求めた。このRを制御して特性の優れた活物質を得るために、原料である水酸化ニッケルまたは水酸化ニッケル主体の共沈物の粉体特性の適正な範囲と製造条件を求め焼成方法も改良した。また特に規模拡大時にバラツキをなくす焼成方法とした。
すなわち、リチウム複合酸化物は非水電解液二次電池用正極活物質として用いられているが、粉末であるが故に、形態が主として結晶粒子からなる一次粒子であるかあるいは一次粒子の集合した二次粒子であるかにかかわらず、その粉体特性は電池特性に対して影響を与えている。
【0007】
粒子径が与える影響としては、例えば径が大きくなるにつれて初期容量は低下するがサイクル特性は改善されること、比表面積が与える影響としては、例えば比表面積が大きくなるにつれて初期容量は高くなるがサイクル特性は低下するというように、サイクル特性と高い初期容量とを兼ね備えることは困難であって、粒子径と化学成分を調整することにより特性を改良する提案が知られているが十分に満足できるものではなかった。
本発明者らは粉体特性としてメディアン径が適切な範囲であり、かつ比表面積径とメディアン径との比が適切な範囲になるようにすれば、初期容量が高く、かつサイクル特性が良好なリチウム複合酸化物活物質が得られることを見いだしたのである。
【0008】
活物質の粉体特性Rが実際にどのようにして容量とサイクル特性に影響するのかは不明である。粒子外観が二次粒であっても単結晶(一次粒)的であっても効果があり、表面の原子レベルでの構造によるものと推測する。容量の数値は高い程、エネルギーとして多く保有できることを示す。LiNiO の理論容量は280mAh/g程であるが、現在使用されているLiCoO が同等の理論値でありながら、130〜140mAh/gしか利用できないでいるため、LiNiO として実際の容量が150mAh/g以上を利用できる容量の目標値とした。
また、サイクル特性として重要なことは15サイクル以前の初期の容量低下が大きなものはその後の容量が回復できず、結果として寿命が短くなることである。
【0009】
15サイクル後のサイクル低下量は多くの試行錯誤の結果、初期容量の12%以下にすることが望ましいと判断し、本発明実施例での容量は150〜205mAh/gの間であるので低下量は18mAh/g以下とすることが望ましい。
電池特性の評価方法は後述する。
Rは主に原料の粉体特性、焼成条件、特に通気条件と温度に依存する。原料の粉体特性はその製造方法(pH、温度、投入条件)によって制御される。
焼成方法としては成形体の充填層に強制通気させることによって焼成中の原料の反応を十分に行うとともに、充填層全体が均一でバラツキの少ない焼成がなされ、その結果として活物質の粉体特性がバラツキの少ないものとなる。
【0010】
すなわち本発明は第1に、ニッケル水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物であってその結晶相がα相またはβ相またはα相とβ相との混合相の水酸化ニッケルであり、かつそのタップ密度が0.6〜1.4g/ccである粉末状原料物質をリチウム化合物粉末と混合して得た混合粉末を成形し、得られた成形体を反応容器内に充填して充填層をつくり、該充填層内の雰囲気が加圧された状態で酸化ガスを強制通気させて焼成し、焼成物を砕解して、LiaNibcdで示されるような化学組成(但し0.95≦a≦1.05、b+c=1、0<c<0.4、d≒2、MはCo、Mn、Fe、V、Ti、Al、Sn、Zn、Cu、In、Ga、Si、Ge、Sb、B、P、K、Na、Mg、Ca、Ba、Sr、W、Mo、Nb、Ta、Y、ランタニド元素のうちから選択される1種以上の元素である。)を有し、メディアン径が5〜30μmの範囲であり、かつメディアン径の比表面積径に対する比・R=D50/DSが1.5〜6である粉末物質を得ることを特徴とする非水二次電池用正極活物質の製造方法;第2に、ニッケル水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物であってその結晶相がα相またはβ相またはα相とβ相との混合相の水酸化ニッケルであり、かつそのタップ密度が0.6〜1.4g/ccである粉末状原料物質をリチウム化合物粉末と混合して得た混合粉末を成形し、得られた成形体を、少なくとも内部接触部が金属ニッケル、高ニッケル合金、ニッケルを主体とする化合物またはこれら三者のうち二つ以上のものの組み合わせか、表面に酸化皮膜を形成した金属ニッケル、高ニッケル合金、金属ニッケルか高ニッケル合金とニッケルを主体とする化合物とからなる複合材である反応容器内に充填して充填層をつくり、該充填層に酸化ガスを通気させて焼成し、焼成物を砕解して、LiaNibcdで示されるような化学組成(但し0.95≦a≦1.05、b+c=1、0<c<0.4、d≒2、MはCo、Mn、Fe、V、Ti、Al、Sn、Zn、Cu、In、Ga、Si、Ge、Sb、B、P、K、Na、Mg、Ca、Ba、Sr、W、Mo、Nb、Ta、Y、ランタニド元素のうちから選択される1種以上の元素である。)を有し、メディアン径が5〜30μmの範囲であり、かつメディアン径の比表面積径に対する比・R=D50/DSが1.5〜6である粉末物質を得ることを特徴とする非水二次電池用正極活物質の製造方法;第3に、ニッケル水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物であってその結晶相がα相またはβ相またはα相とβ相との混合相の水酸化ニッケルであり、かつそのタップ密度が0.6〜1.4g/ccである粉末状原料物質をリチウム化合物粉末と混合して得た混合粉末を成形し、得られた成形体を、少なくとも内部接触部が金属ニッケル、高ニッケル合金、ニッケルを主体とする化合物またはこれら三者のうち二つ以上のものの組み合わせか、表面に酸化皮膜を形成した金属ニッケル、高ニッケル合金、金属ニッケルか高ニッケル合金とニッケルを主体とする化合物とからなる複合材である反応容器内に充填して充填層をつくり、該充填層内の雰囲気が加圧された状態で酸化ガスを強制通気させて焼成し、焼成物を砕解して、LiaNibcdで示されるような化学組成(但し0.95≦a≦1.05、b+c=1、0<c<0.4、d≒2、MはCo、Mn、Fe、V、Ti、Al、Sn、Zn、Cu、In、Ga、Si、Ge、Sb、B、P、K、Na、Mg、Ca、Ba、Sr、W、Mo、Nb、Ta、Y、ランタニド元素のうちから選択される1種以上の元素である。)を有し、メディアン径が5〜30μmの範囲であり、かつメディアン径の比表面積径に対する比・R=D50/DSが1.5〜6である粉末物質を得ることを特徴とする非水二次電池用正極活物質の製造方法;第4に、前記粉末物質を用いた非水二次電池の初期容量が150mAh/g以上であり、15サイクル後の容量低下が18mAh/g以下であることを特徴とする第1〜3のいずれかに記載の非水二次電池用正極活物質の製造方法;第5に、前記粉末状原料物質は、反応槽にアルカリと金属塩の水溶液とを連続的または間けつ的に供給し、pHを6.5〜11の範囲、かつ90℃以下の温度で反応させながら反応物を含む液からなるスラリーを連続的または一部を間けつ的に反応槽外に取り出す工程と、スラリー中の固形反応物と液とを分離してケーキ状またはペースト状とする工程と洗浄によって不要分を除去する工程を経て、ニッケルの水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物として得ることを特徴とする第1〜4のいずれかに記載の非水二次電池用正極活物質の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における水酸化ニッケルの製造は、ニッケル塩の水溶液とアルカリ水溶液とを同一の反応槽に連続的または間けつ的に供給し、このときにpHを6.5〜11の間の一定の値に固定できるようアルカリ水溶液の供給量を調整する。反応温度も90℃以下の一定温度となるように加温調節する。必要に応じてニッケル塩水溶液および/またはアルカリ水溶液を予め加温してもよい。
ニッケル塩としては硝酸塩、硫酸塩、塩化物が使用でき、アルカリはNaOH、KOH、LiOH、NHOHが使用できる。反応としては反応式Ni2++2OH→Ni(OH)のように水酸化物が析出し、副生成物としてアルカリイオンと酸とによる塩が生成するが、水溶性であるため、ニッケル水酸化物のように析出しない。
【0012】
反応をpH6.5〜11の間で行うのは第1に、粉体特性を制御するためであり、第2に結晶相をα相およびまたはβ相に制御するためである。温度は90℃以下とする理由は副次的な化合物の生成を防ぐためである。またpH6.5未満では未反応のNi塩が多く生産効率が低いからである。このような条件下で共沈できる元素はニッケル塩水溶液と混合した液で反応槽に供給することが望ましい。
反応によって生成する水酸化物と塩の水溶液はスラリー状となり、このスラリーを反応槽の上部または下部から連続的または間けつ的に取り出し、遠心脱水機によって固液分離し、精製水によって不要な塩類を洗浄除去して水酸化物のケーキまたはペーストを得る。ケーキまたはペーストを乾燥し砕解して水酸化物の粉末を得る。
【0013】
この粉末をリチウム化合物、好ましくは水酸化リチウムと混合し、成形体とした後に焼成する。焼成後は成形体とほぼ同様な形状の緻密な焼結体が得られる。図1は本発明の実施例に用いられた上向き送風型焼成炉を示す模式断面図である。
すなわち電気ヒーターを配置し、かつ熱電対により温度制御ができる焼成炉8には、支持台10上に成形体を収容する反応容器7があり、内部下側に多孔体5が設けられている。通気を圧縮するエアーポンプ1、流量調節器2を連結する送気配管3の途中には空気等の酸化性ガスを予熱するための予熱ヒーター4が設けてある。
【0014】
高圧ボンベから酸素等を取り出す場合にはエアーポンプ1を用いないで減圧弁を使用する。多孔体5の上には混合粉体成形体が充填されており、この充填層6を通過したガスは換気口9を通って大気中に放出される。ここで予熱ヒーター以降の送気配管が接粉部と同様の材料であれば汚染元素の問題はなくなる。なお、焼成炉8を水冷された金属ケースに収納するようにすれば雰囲気の制御を厳密に行なうことができる。例えば初期に真空にした後に雰囲気ガスの装入が可能であり、雰囲気を加圧できる他、雰囲気漏出を抑制できるので必要に応じて一定の組成比のガスが使用できる等である。
焼成は600℃以上で行うが一次粒子を5μm以上とするためには800℃以上の温度で行うことが望ましい。
【0015】
本発明で製造される水酸化物を用いれば、一次粒であっても二次粒であってもRが適切な範囲であれば電池特性が高くなる。さらなる特徴は焼結体が緻密であっても、一次粒子の粒径が制御されかつ粒界が弱いため、焼結体を砕解して容易に必要な粒度の一次粒子が得られる(活物質としての粒度分布は1〜100μmが適しているとされるがメディアン径としては5〜30μmが適している)。
またタップ密度が0.6g/ccよりも低ければ、メディアン径が5μm以上とならず、1.4g/ccを超えると一次粒子が成長し過ぎてフラックス法と同様の粉砕が必要となり、粒子内にクラックが生じやすくサイクル特性が低下する。
【0016】
本発明は原料となる粉体を酸化性ガスを通気しながら焼成する製造方法において、原料粉体を成形することによって密度を高め、その成形体の充填層内をある一定値以上の流速で通気するようにしたため、焼成量が多くなった場合でも、反応容器全体の反応が均質かつ十分に行なわれ、その結果電池特性に優れたリチウム複合酸化物活物質が得られる。
原料としてはLiの酸化物、水酸化物、硝酸リチウムなどの無機酸塩、酢酸リチウムなどの有機酸塩が使用できる。Ni等の遷移金属化合物としては同様に酸化物、水酸化物、硝酸塩などの無機酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩が使用でき、当然共析沈澱法または同様手法において生成する化合物も焼成できる。Niの化合物としては水酸化物が特に好ましい。Ni以外の遷移金属およびその他の元素Mの化合物としては、同様に酸化物、水酸化物、硝酸塩などの無機酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩が使用できる。ここにMは、Co、Mn、Fe、V、Ti、Al、Sn、Zn、Cu、In、Ga、Si、Ge、Sb、B、P、K、Na、Mg、Ca、Ba、Sr、W、Mo、Nb、Ta、Y、ランタニド元素のうちから選択される1種以上の元素である。Li Ni はLiNiO の固溶体であり、本質的な結晶構造はLiNiO と同様である。したがって、aは0.95〜1.05であり、dはほぼ2である。Mは結晶構造に固溶させることによりサイクルに伴う結晶構造の劣化を防止する。したがってb+c=1である。Mは添加するので当然0<cとなる。Mは元素の種類によって固溶量の限度があるが、0.4≦cとなった場合には結晶構造が変化し、活物質としての特性が低下してしまう。混合は攪拌機付混合機(アトライター、自由型混合機、コンクリートミキサー)、回転容器式(ポットミル、V型混合機)が使用できるが他の型式の機械であってもよい。
【0017】
成形には以下の方法が使用できるが、形状によっては他の方法でもよい。(A)プレス(一軸プレス、打錠機、静水圧プレス、振動プレス)、(B)ロールブリケッター、(C)押出機、(D)転動造粒機。成形体の形状は球、レンズ、棒状、板状、麺状が一般的な技術で製造可能であるが、その他の形状でもよい。寸法としては断面の一辺または径が1mm以上20mm以下が適している。大きな成形体に貫通孔を設けてもよい。焼成中に強制通気で吹き飛んだりしない密度にすることも重要であり、相対密度として40%以上が望ましい。実施例で述べられているように、電池容量の評価では一般に空塔速度の増大に従って評価が向上するが、通気流速が低過ぎては初期容量が低く、また容量のバラツキが大きいためである。酸化性ガスとしては酸素、空気、酸素と窒素の混合ガス、窒素酸化物ガス等が使用できる。
【0018】
なお炉の構造としては送気配管およびまたは換気口が複数であってもよい。上部の配管が水平または斜めであってもよい(上向き送風での換気口、下向き送風での送気配管を示す)。下部の配管(上向き送風での送気配管、下向き送風での換気口)を炉の下部から垂直または斜めに設けてもよい。送気管の先端に散気口を設けたり、換気口に集気口を設けてもよい。加圧するには換気口に圧力逃がし弁を設けてもよい。
また、上記焼成に用いられる容器をニッケル材料とすることによって電池特性の低下の原因となる異物混入を防止することによって、電池特性の優れた活物質が得られる。ニッケル材は少なくとも反応容器の内面の成形体と接する部分に用いるが通気管に使用することも可能である。ニッケル材とは主に金属ニッケル、高ニッケル合金、ニッケル酸化物およびこれらの複合材を示し、ニッケル酸化物は複合酸化物である場合も含まれる。これらの複合部材の表面に酸化皮膜を形成したものを用いる場合も含まれる。必要ならば焼成が二段階以上および二度以上の焼成である場合も含み、通気ガスは循環使用する場合も含まれる。
【0019】
また、前述のメディアン径(D50)はレーザー散乱法によって測定した重量積算分布曲線の50%に相当する径とした。比表面積径(D)は気体の吸着を利用して比表面積を求めるいわゆるBET法によって測定した比表面積S(m/g)と、ピクノメーターによって測定した比重ρ(g/cm)とからD=6/ρ・Sなる式によって計算した。
50とSは原料の充填特性、粒径と製法、特に温度と空塔速度によって制御される。
50が5μmより小さいか、あるいは30μmより大きいときは正極合剤の充填密度または合剤形成後の表面性のいずれかが満足すべきものとならない。したがってD50は5μm〜30μmであることが好ましい。またRについては通常は1に近い値を示すがRが1.5より小さいと初期容量が小さくなると共に、15サイクル後の容量低下が大きい。一方、Rが6より大きくなると、初期容量は高いが15サイクル後の容量低下が著しく増大する。したがってRは1.5以上6以下であることが好ましい。この他にSEM写真により粒子の外観を観察し1次粒、2次粒を判別した。
【0020】
LiNiO の場合には遷移金属化合物として水酸化ニッケルを原料として用いることおよび結晶相はβ相が望ましいとの提案がなされている。α相、α相主体、α相とβ相の混相原料を使用して電池特性が優れたものになるとの提案はない。β相であっても粉体特性、タップ密度の範囲の指定および活物質のRについては提案されていない。
また、その粉体特性のうちで充填性に影響するタップ密度を1.4より低い密度とすべきであることについては提案はない。本発明では成形体を焼成焼結する工程を経て活物質の粉体特性を制御するためタップ密度は重大な影響を与える。活物質粉末を78重量%、導電材として黒鉛粉末を15重量%、フッ素樹脂粉末を結着剤として7重量%を混合した後、成形して正極合剤とした。
【0021】
試験用電池の作成
得られた正極合剤を電池に組み込んで電池容量を評価するために試験用コイン形電池を作成した。図4は試験用電池として作成されたコイン電池を示す模式断面図である。コインの直径は20mmφである。図4において11はステンレスケース、13は同材料の封口板、12はポリプロピレン製ガスケット、14は金属リチウムを用いた負極、15は正極合剤をプレス成形した正極、16は微孔性のポリプロピレンセパレーターである。
なお、電解液は炭酸プロピレンと炭酸ジエチルを1対1の体積比で混合した溶媒に電解質としてLiPFを1mol/l 濃度で溶解させたものを用いた。
充放電は20℃の温度で行なった。電流は2mAとし、充電終了電圧を4.3V、放電終了電圧を2.7Vで充放電サイクル試験を行った。電池特性の良否は活物質1gあたりの初期の容量と15サイクル後の劣化量(低下量)で比較した。
【0022】
【実施例1】
1.5モル/lの硝酸ニッケルと20%NaOH液とによって水酸化ニッケルを合成した。すなわち硝酸ニッケルを3lビーカーに0.2l/minの速度で投入し、同時にNaOHをビーカーに供給してビーカー内の液を60RPMで攪拌しながら反応を行わせた。この際NaOHは常にpHを測定して±0.1変動に応じて自動的にポンプを作動、停止させて注入した。この場合はNaOHは連続的には供給されず間けつ的に供給される。定比で注入できるようにして連続的に供給することも可能である。
スラリーをオーバーフローによって回収し、ブフナーロートによってろ過、洗浄した後に120℃で10時間乾燥した。乾燥物は乳鉢で解砕してから100メッシュの篩でふるった。
タップ密度は50mlシリンダーに15gを入れ、1000回タップして求めた。水酸化ニッケル合成時のpH別、温度別のタップ密度の測定値を図5に示す。
【0023】
次に、LiNi1−x Coの合成試験を行った。すなわち、水酸化ニッケルと2μmの水酸化コバルトと15μmの水酸化リチウムとを原子数でNi:Co:Li=0.8:0.2:1.0の比率で混合して圧力500kg/cmで径5mmの球形に成形し、酸素気流中で870℃で15時間焼成した。
球形に成形しφ5cm、20cm高さのニッケル容器に充填し、空塔速度5m/minで酸素を通気させて焼成した。
焼成物を10分間乳鉢で砕解し、得られたものの粒度と比表面積を求めRを算出した。結果を表1に示す。なお、粒子の外観をSEM写真により観察した。また、結晶相はXRDによって判定した。原料の水酸化物では合成条件によって異なったが、焼成物の場合はすべて単相でLiNiO同様のプロフィールとなった。本発明のものは全て初期容量が170〜190mAh/g、15サイクル後の容量低下率が5〜7%であったが、本発明外のもの(比較例と表示)は2種類とも初期容量100mAh/g未満で容量低下率が15〜18%であった。
【0024】
【表1】
Figure 0003575582
【0025】
次いで同じ水酸化物を用い図1に示すような焼成炉を用いて酸素気流中で920℃で10時間焼成試験を行った。焼成物のXRDは全て単相でLiNiOと同様のプロフィールとなった。試験結果を表2に示す。本発明の合成条件のものは初期容量は150〜180mAh/g、15サイクル後の容量低下割合が4〜6%であったが、本発明の合成条件外のもの(表では比較例と表示)では初期容量が100mAh/g、15サイクル後の容量低下割合は12〜14%であった。
【0026】
【表2】
Figure 0003575582
【0027】
次に、50℃,pH9で合成したもの、50℃,pH11で合成したもの、20℃,pH10で合成したものを用いて各々を酸素気流中で820℃で24時間焼成した。結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
Figure 0003575582
【0029】
【実施例2】
NiとCoとを共沈させた水酸化物を使用した。すなわち水酸化リチウムをNiとCoを原子数で0.8と0.2の割合で共沈させた合量に対してLiを原子数で1:1の比となるように混合し、実施例1と同様に成形し、成形体を50cm高さに充填して20m/minの空塔速度の酸素を通気させて825℃で15時間焼成した。結果を表4に示す。
【0030】
【表4】
Figure 0003575582
【0031】
【実施例3】
実施例1で合成した水酸化ニッケル(50℃、pH9、タップ密度1.03g/cc)を用い、Coと他の元素の水酸化物を混合時に添加した。充填高さを7cmとして1m/minの空塔速度の酸素通気し、850℃で20時間焼成した。成形体は径5mm×高さ15mmの円柱状に1ton/cmの圧力で金型成形した。
この場合に、離型剤兼添加元素となるようにBN(窒化硼素)をLi:Ni+M:B=1.03:1:0.01の原子数比となるように添加した。結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
Figure 0003575582
【0033】
【実施例4】
Ni/Co比が原子数で0.85/0.15であるような共沈水酸化物を用いLiとNi+Coとの原子数比が1/1となるように水酸化リチウムを秤量して混合した。次いで混合粉を打錠機にて直径5mmの近似球形に成形し、φ50×750mm高さに充填して焼成した。焼成を700℃で15時間とし、通気条件は表6、表7および表8に示す範囲で影響を検討した。
700℃台での焼成では焼成物のメディアン径は原料で共沈水酸化物のメディアン径によってほぼ決まり水酸化物のメディアン径の80〜95%となる。
反応容器内の各部における焼成物のメディアン径と比表面積の分布は全体の平均値に対して±6%以内であったため、焼成物全体をまとめて砕解してから、サンプリングしてメディアン径、比表面積、初期容量、15サイクル後の容量低下量を測定した。
【0034】
3種の水酸化物のメディアン径、タップ密度は以下に示す条件で合成して制御した。
Figure 0003575582
【0035】
【表6】
Figure 0003575582
【0036】
【表7】
Figure 0003575582
【0037】
【表8】
Figure 0003575582
【0038】
上記いずれの場合であっても、焼成、砕解後の粉末粒子は二次粒子であり、一次粒子の大きさは0.2μm程であって、本来比表面積としては6m/gとなるが実際には0.09m/g程度となり、メデイアン径は二次粒子の平均径を示すことになる。
表6〜表8に見られるように空塔速度が低い場合は反応が十分に進行せずに未反応のLi化合物が残り、液状となって表面を覆い粒界を塞ぐため、BET法による測定におけるガスの吸着が妨げられるものと考えられる。
空塔速度を0.5m/min以上に高めることによって反応が進行し、未反応物は減少し、初期容量、サイクル特性ともに改善される。一方空塔速度を高くし過ぎれば二次粒子間か粒子内での焼結が進みマイクロクラックが生成し、破面で電解液が分解されるためにサイクル特性が低下する。したがって、空塔速度は250m/minを越えないようにすることが好ましい。
比表面積が一次粒子の大きさに対応しない他の理由としては、一次粒子は顕微鏡観察で粒界が確認できるが、粒間の焼結が強固なため、BET法による測定の際、ガスが吸着しないことも考えられ、極微量のLi化合物が粒界を塞ぐことも否定できない。
【0039】
【実施例5】
タップ密度1.15g/ccα相とβ相の比率がほぼ1:1の水酸化ニッケルと四三酸化コバルト(Co )と水酸化リチウム(LiOH)を用い、Ni:Co:Liの原子数比が0.75:0.25:1となるように秤量し、IPA(イソプロピルアルコール)を加えアルミナポットに入れて30分間水冷却しながら混合した。IPAをろ過、加熱蒸発させてから直径4mm長さ6mmの円柱状に打錠機で成形した。次いで成形体を反応容器に入れ925℃×15時間焼成した。反応容器の各部における焼成物のメディアン径と比表面積の分布は全体の平均値に対し±4%以内であったので、焼成物全体をまとめて砕解してからメディアン径、比表面積、初期容量および15サイクル後の容量低下を測定する試料を得るためサンプリングした。焼成物のメディアン径は種々の試行をくりかえした後に成形時の圧力を変えることによって制御した。
焼成物のメデイアン径15μm級(成形圧力700kg/cm、成形密度1.4g/c.c.)、5μm級(成形圧力150kg/cm、成形密度1.2g/c.c.)および25μm級(成形圧力1.6トン/cm、成形密度2.3g/c.c.)測定結果を表9および表10に示す。
【0040】
【表9】
Figure 0003575582
【0041】
【表10】
Figure 0003575582
【0042】
本実施例において、焼成物のメディアン径が15μm級で空塔速度250m/minの場合を除き外観は一次粒子的であり、したがって比表面積径はメディアン径とほぼ同じとなり、Rは1に近い値となるはずであったが、実際にはRの2.1〜4.9が適正な範囲となった。このことの正確な理由は不明である。
【0043】
【実施例6】
原子数比がNi:Co:Al:Mg:Li=0.90:0.08:0.05:0.01:1となるように各元素の水酸化物を混合し、成形圧力500kg/cm、6×6×15mmの直方体を成形し、830℃×24時間酸素を流しながら焼成した。Ni水酸化物のタップ密度は1.27g/cc、α相とβ相の比は7:3でCo水酸化物のタップ密度は0.95g/ccであった。
Figure 0003575582
【0044】
【実施例7】
原子数比がNi:Co=0.8:0.2のタップ密度0.76、α相とβ相の比が4:6の共沈水酸化物とB・Al組成の酸化物と水酸化リチウムによって、Ni+Co:B+Al:Li=0.97:0.03:1となるように混合した後に成形し、7kg/cmの圧力、3m/minの空塔速度で酸素を通気させて850℃×24時間焼成したところ、メデイアン径11.7μm、比表面積径2.72μmすなわちR=4.3で、初期容量が168mAh/g.15サイクル後の低下量が3の活物質が得られた。
【0045】
【実施例8】
Li原料としての水酸化リチウム(LiOH・HO)と遷移金属原料としてのNi/Co比が原子数比で85/15であるような共沈水酸化物(タップ密度0.96g/cc、α相とβ相の比が3:7)とを用いてLiとNi+Coとの原子数比が1対1となるように秤量して混合した。次いで混合粉を打錠機にて直径5mmの近似球形に成形し、前述焼成炉の金属ニッケル製反応容器内に設けた酸化ニッケル製多孔体上に約2kg充填し、その充填成形体の高さは7.5cmとなった。
焼成は図1に示す上向き送風型焼成炉を用いて750℃で10時間行なった。送風量は断面積×速度(空塔速度)にて算出した風量(l/min)を流し、空塔速度の影響を検討した。ガスは酸素を送気しながら焼成した。焼成後、図3の斜視図に示すように、成形体充填層のサンプリング位置A、EおよびIからサンプリングし、これを150メッシュパスの粒径に砕解し、その粉末を活物質として電池特性を評価した。その結果を表11に示した。
【0046】
【表11】
Figure 0003575582
【0047】
各サンプル集団内での初期容量の差は0.5m/min以上では平均値に対して±4〜7%内であった。0.3m/minでも改良効果はあるが特性は十分ではないので0.5m/min以上が必要である。
焼成後の成形体充填高さは約5cmとなったが、上面の高低差は5mm以内であり、成形体は焼成後も球状であった。換気口の真下の上面に偏流による凹部が形成される等の異常は見られなかった。ニッケル容器の表面は黒味がかったが、剥離、付着は生じなかった。粉末X線回折によっても各部で異物や二次相の検出はなく、ニッケル容器の側面と成形体との隙間はGの位置で最大2mmであった。
【0048】
【実施例9】
焼成雰囲気を加圧下で行えるようにするため加圧容器内に焼成装置を設置し、真空ポンプで大気を排気した後に酸素ガスを供給し、所定の内圧を設定し、反応容器、成形体およびその充填条件など他の条件は実施例1と同じにした。平均空塔速度は5m/minとなるように元圧を内圧よりも高めて供給した。この場合の速度は加圧通気の実測速度ではなく、流量調節器での流量(l/min)を容器断面積で除したものであり、通気は循環させず放出した。
焼成温度750℃、10時間の条件で炉内圧力(ゲージ圧力kg/cm)を0.5〜15kg/cmで焼成されたサンプルを使用して、コイン電池で電池容量を評価した結果を表12に示す。
【0049】
【表12】
Figure 0003575582
【0050】
次に、焼成温度900℃、10時間の条件で同様の試験を行った結果を表13に示す。
【0051】
【表13】
Figure 0003575582
【0052】
加圧を行う焼成であっても焼成後の状態は実施例1の場合と同じであった。ニッケル容器表面は完全に黒皮となったが剥離、亀裂などは生じなかった。各サンプル集団内での初期容量の差は±4〜6%内であった。
【0053】
【実施例10】
以上の実施例8、9では成形体充填層上部のサンプルのサイクル特性が低い傾向にある。改良のため、図2に示すように、焼成炉8の上部から送気し、充填層6、多孔体5を通過させて炉外へ放出させた。焼成炉炉体はガス漏れがないように継目などをシールして使用し、加圧の場合は実施例9の場合と同じく加圧容器内に設置した。
焼成温度720℃で10時間保持の場合、および焼成温度875℃で10時間保持の場合について初期容量等試験結果を表14に示す。
【0054】
【表14】
Figure 0003575582
【0055】
【実施例11】
リチウム二次電池の正極材料としてリチウムを含むNiとCoの複合酸化物が用いられているが、Co以外の元素を添加組み合わせた場合、例えば水酸化ニッケルとオキシ水酸化マンガン、水酸化ニッケルと水酸化マグネシウム、水酸化ニッケルと四三酸化コバルトと酸化硼素との組み合わせについて、表15に示すように、焼成温度、時間、炉内圧力、空塔速度を特定して成形体を焼成したサンプルを用いてコイン電池による初期容量および15サイクル後の容量低下を測定し結果を表15に示す。
【0056】
【表15】
Figure 0003575582
【0057】
【実施例12】
実施例8〜11において焼成される成形体の寸法は直径5mmの球形であったが、成形体の形状を例えばロールブリケッターによる幅5×長20×厚1mmの小板片あるいは押出成形された径4mmの麺状材について同様の試験を行った。組成、装置は実施例1と同じで平均空塔速度を3m/minとし、750℃、7時間保持の条件で焼成した。焼成試料を用いて電池を作製し、初期容量および15サイクル後の容量低下について測定を行った。結果を表16に示した。
【0058】
【表16】
Figure 0003575582
【0059】
【実施例13】
遷移金属がNi主成分の場合には通気ガス成分は酸素が適しているが、化学成分的に酸素以外の成分が含まれていてもよい場合もある。そこでNiとCoとを70/30のモル比で共沈させた水酸化物を用い、LiOH・HO粉末と混合し、直径10×厚5mmの成形体をプレスで成形し、700℃、15時間焼成した。なお通気はエアーポンプで空気を10m/minで通気した。焼成試料を用いて電池を作製し、初期容量および15サイクル後の容量低下について測定を行った。結果を表17に示す。
【0060】
【表17】
Figure 0003575582
【0061】
【実施例14】
実施例8と同様条件で充填容器を大きくしてバラツキの大小を確認した。
Figure 0003575582
実施例8で得られた結果とほぼ同等の特性が容器内の位置間でバラツキ少なく得られた。この結果から本法が焼成規模拡大においても他法のようなバラツキを生じることなく工業的に生産できることが明らかになった。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法によれば水酸化ニッケル粉末とリチウム化合物粉末との混合物を成形、焼成してリチウム・ニッケル系複合酸化物正極活物質とする際、原料としての水酸化ニッケルの粉体特性と結晶構造を制御するために水酸化ニッケル合成時のpH、温度、その他の工程要素を規制することにより、得られた焼結体において5〜30μmのメディアン径およびRが1.5〜6の範囲であるような活物質粉末が得られるので、電池特性例えば初期容量が高く、15サイクル後の容量低下率が小さい正極活物質が得られる。
また、原料粉体を成形することによって密度を高め、その成形体充填層内を一定以上の流速で強制通気しながら焼成するので、焼成量が多くなった場合でも反応容器全体の反応が均質で、しかも粉体の飛散や通気の偏流がないので、電池特性に優れたリチウム複合酸化物活物質を工業的規模で有利に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いられた上向き送風型焼成炉を示す模式断面図である。
【図2】本発明の実施例に用いられた下向き送風型焼成炉を示す模式断面図である。
【図3】本発明の実施例および比較例における焼成後のサンプリング位置を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例および比較例において試験用電池として作成されたコイン電池を示す模式断面図である。
【図5】硝酸ニッケルの水溶液とカセイソーダ液とによって水酸化ニッケルを合成する際、水酸化ニッケルのタップ密度に及ぼす液温、pHの影響を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エアーポンプ
2 流量調節器
3 送気配管
4 予熱ヒーター
5 多孔体
6 成形体充填層
7 反応容器
8 焼成炉
9 換気口
10 支持台
11 ステンレスケース
12 ガスケット
13 封口板
14 負極
15 正極
16 セパレーター

Claims (5)

  1. ニッケル水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物であってその結晶相がα相またはβ相またはα相とβ相との混合相の水酸化ニッケルであり、かつそのタップ密度が0.6〜1.4g/ccである粉末状原料物質をリチウム化合物粉末と混合して得た混合粉末を成形し、得られた成形体を反応容器内に充填して充填層をつくり、該充填層内の雰囲気が加圧された状態で酸化ガスを強制通気させて焼成し、焼成物を砕解して、LiaNibcdで示されるような化学組成(但し0.95≦a≦1.05、b+c=1、0<c<0.4、d≒2、MはCo、Mn、Fe、V、Ti、Al、Sn、Zn、Cu、In、Ga、Si、Ge、Sb、B、P、K、Na、Mg、Ca、Ba、Sr、W、Mo、Nb、Ta、Y、ランタニド元素のうちから選択される1種以上の元素である。)を有し、メディアン径が5〜30μmの範囲であり、かつメディアン径の比表面積径に対する比・R=D50/DSが1.5〜6である粉末物質を得ることを特徴とする非水二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. ニッケル水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物であってその結晶相がα相またはβ相またはα相とβ相との混合相の水酸化ニッケルであり、かつそのタップ密度が0.6〜1.4g/ccである粉末状原料物質をリチウム化合物粉末と混合して得た混合粉末を成形し、得られた成形体を、少なくとも内部接触部が金属ニッケル、高ニッケル合金、ニッケルを主体とする化合物またはこれら三者のうち二つ以上のものの組み合わせか、表面に酸化皮膜を形成した金属ニッケル、高ニッケル合金、金属ニッケルか高ニッケル合金とニッケルを主体とする化合物とからなる複合材である反応容器内に充填して充填層をつくり、該充填層に酸化ガスを通気させて焼成し、焼成物を砕解して、LiaNibcdで示されるような化学組成(但し0.95≦a≦1.05、b+c=1、0<c<0.4、d≒2、MはCo、Mn、Fe、V、Ti、Al、Sn、Zn、Cu、In、Ga、Si、Ge、Sb、B、P、K、Na、Mg、Ca、Ba、Sr、W、Mo、Nb、Ta、Y、ランタニド元素のうちから選択される1種以上の元素である。)を有し、メディアン径が5〜30μmの範囲であり、かつメディアン径の比表面積径に対する比・R=D50/DSが1.5〜6である粉末物質を得ることを特徴とする非水二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. ニッケル水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物であってその結晶相がα相またはβ相またはα相とβ相との混合相の水酸化ニッケルであり、かつそのタップ密度が0.6〜1.4g/ccである粉末状原料物質をリチウム化合物粉末と混合して得た混合粉末を成形し、得られた成形体を、少なくとも内部接触部が金属ニッケル、高ニッケル合金、ニッケルを主体とする化合物またはこれら三者のうち二つ以上のものの組み合わせか、表面に酸化皮膜を形成した金属ニッケル、高ニッケル合金、金属ニッケルか高ニッケル合金とニッケルを主体とする化合物とからなる複合材である反応容器内に充填して充填層をつくり、該充填層内の雰囲気が加圧された状態で酸化ガスを強制通気させて焼成し、焼成物を砕解して、LiaNibcdで示されるような化学組成(但し0.95≦a≦1.05、b+c=1、0<c<0.4、d≒2、MはCo、Mn、Fe、V、Ti、Al、Sn、Zn、Cu、In、Ga、Si、Ge、Sb、B、P、K、Na、Mg、Ca、Ba、Sr、W、Mo、Nb、Ta、Y、ランタニド元素のうちから選択される1種以上の元素である。)を有し、メディアン径が5〜30μmの範囲であり、かつメディアン径の比表面積径に対する比・R=D50/DSが1.5〜6である粉末物質を得ることを特徴とする非水二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記粉末物質を用いた非水二次電池の初期容量が150mAh/g以上であり、15サイクル後の容量低下が18mAh/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 前記粉末状原料物質は、反応槽にアルカリと金属塩の水溶液とを連続的または間けつ的に供給し、pHを6.5〜11の範囲、かつ90℃以下の温度で反応させながら反応物を含む液からなるスラリーを連続的または一部を間けつ的に反応槽外に取り出す工程と、スラリー中の固形反応物と液とを分離してケーキ状またはペースト状とする工程と洗浄によって不要分を除去する工程を経て、ニッケルの水酸化物またはニッケルと他の元素との共沈物として得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池用正極活物質の製造方法。
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