JP3574568B2 - スターリングエンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温の発生に用いられるスターリングエンジンに関し、特に、ピストン位置を精密に保持できるスターリングエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
冷熱の発生を目的としたフリーピストン型スターリングエンジンは、熱サイクル的には逆スターリングサイクルエンジンとも呼ばれている。図6に示すように、一般的には、直線往復運動するピストン1とディスプレーサ2を含むシリンダー3を有する。ピストン1及びディスプレーサ2は同軸上に構成されており、ディスプレーサに形成されたロッド2−aはピストン中心部に設けた摺動穴1−aを貫通し、ピストン1、ディスプレーサ2はシリンダー内周摺動面3−aを滑らかに摺動可能である。またピストン1はピストン支持バネ5、ディスプレーサ2はディスプレーサ支持バネ6によってシリンダー底面3−bに対して弾性支持されている。
【0003】
シリンダー3により形成される空間はピストン1によって2つの空間に分割される。一つはピストン1のディスプレーサ2側である作動空間7であり、もう一つはピストン1のディスプレーサ2側と反対側である背面空間8である。この2つの空間には高圧のヘリウムガス等の作動媒体が充填されている。ピストンはリニアモータ等の図示しないピストン駆動体により所定周期で往復動される。これにより作動媒体は作動空間内で圧縮、膨張される。ディスプレーサ2は、作動空間内で圧縮、膨張される作動媒体の圧力変化により直線的に往復動される。この時ピストン1とディスプレーサ2は、一般に約90度の位相差をもって同一周期にて往復動するよう設定されている。
【0004】
また、作動空間7は、ディスプレーサ2によってさらに2つの空間に分割されている。一つはピストン1とディスプレーサ2に挟まれた圧縮空間(第1の作動空間)7−aであり、もう一つはシリンダー先端部の膨張空間(第2の作動空間)7−bである。この2つの空間は再生器9を介して連結され、再生器9は一般にメッシュ形状の銅材などにより形成されている。膨張空間7−bにおける作動媒体により、シリンダー先端のコールドヘッドにおいて冷熱の発生がなされる。この冷熱の発生原理等の逆スターリング熱サイクルに関しては、一般によく知られているので、ここでは説明を省略する。
【0005】
シリンダー摺動面3−aとピストン摺動面1−bとの間には、作動空間7−aと背面空間8とを遮断する図示しないシール手段が設けられる。シール手段は一般に、単純な構成で安価なシールリングが用いられる。しかし、熱膨張の影響や、長期間の運転によるシールリングの摩耗などから完全に遮断することはできず、シリンダー摺動面3−aとピストン摺動面1−bとの間には微小な隙間が生じる。エンジン駆動時にはピストン1の往復動により、作動空間7−a、背面空間8ともに作動媒体の圧力変動が生じるため、両空間の圧力差により作動媒体は前記微小隙間を通って両空間間を流れる。したがって、作動空間7−aの圧力が背面空間8の圧力より高い場合は、作動空間7−aから背面空間8に向かって作動媒体が漏れることになる。また逆に、背面空間8の圧力が作動空間7−aの圧力より高い場合は、背面空間8から作動空間7−aに向かって作動媒体が流れる。
【0006】
ところで、シリンダー摺動面3−aとピストン摺動面1−bとの間に生じる微小隙間は常に一定の隙間量ではなく、摺動部の表面状態やシールリングの接触状態、摩耗状態等により変化するため、作動空間7−aからみた背面空間8への作動媒体の流出量、流入量が全く同量であることはない。このためエンジンを連続駆動し、仮に作動空間7−aから背面空間8へ少しずつ作動媒体が漏れていった場合、ピストン振幅の中心位置は圧力が低下した作動空間7−a側に徐々に移動する。その結果、作動空間内の作動媒体圧力低下に伴う冷却特性の低下が生じたり、ピストンの振幅中心が初期位置からずれることによりピストン1とディスプレーサ2が衝突を起こしたりするなどの問題を生じる。
【0007】
これに対し、ピストン支持バネ5のバネ定数を大きくしてピストン1の支持力を増す方法が考えられるが、作動空間7−a内からの作動媒体の漏洩には効果がないのに加え、ピストン駆動手段の必要駆動力の増加は入力電力の増加となり、結果、冷却効率が落ちるという別の問題が生じる。
【0008】
そこで、作動空間と背面空間との作動媒体の圧力バランスを保ちピストン振幅の中心位置の変動を抑える方法が、米国特許USP4,583,364号,米国特許USP5,461,859号に開示されている。
【0009】
図7は米国特許USP4,583,364号に記載のスターリングエンジンの構成を示す図である。ここでは、固定されたセンターポスト13内部に圧縮空間7−a連結された作動媒体流路13−aと、該センターポスト13に沿って往復動するピストン1内部に背面空間8と連結された作動媒体流路10が設けられており、ピストン1が設定された振幅中心位置にある場合、作動空間7−aと背面空間8は該流路によって結ばれるようにされている。ピストン1がこの中心位置を通過するごとに、作動空間7−aと背面空間8との間で、作動媒体圧力が高い側から低い側へが作動媒体が流れるため両空間の圧力差が是正され、ピストンの振幅中心位置が保持される。
【0010】
図8は米国特許USP5,461,859号に記載のスターリングエンジンの構成を示す図である。ここでは、作動空間7−aと背面空間8とを結ぶ流路に、背面空間側から作動空間側の一方向のみ作動媒体を流す弁構造14が設けられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ピストン振幅の中心位置を当初の設定位置に保つために、ピストンが設定された中心位置で作動空間と背面空間とを微小流路で結ぶ手法が有効であることは上に述べた。ところが、この微小流路をピストン及びシリンダーに形成することは非常に困難である。
【0012】
図7に示した米国特許USP4,583,364号に開示されたものでは、センターポール13内に微小流路の一部15が形成される。この微小流路形状はコ字型であり、センターポール内部に形成されたセンターポール中心軸との平行部15−aは単純な穴加工で形成することはできない。加工方法の一例としては、センターポール端面から穴加工した後、穴端部を塞ぐ方法があるが、作動媒体が漏れないように穴端部を確実にシールする工程が必要であり、微小流路形成時のコストアップに繋がるばかりでなく、長期間のエンジン運転時に前記シール部から作動媒体が漏れるようになる危険性があり信頼性にも問題がある。
【0013】
また、図8に示した米国特許USP5,461,859号に開示されたものは、ピストン1が摺動するシリンダー内周壁面3−aに微小流路の一部3−cが形成されている。ピストン形状は一般に円筒型であり、円筒中心軸に対して同心円形状である。シリンダー内周壁面形状はピストンが摺動可能となるようにピストン外径寸法に微小なクリアランスを設けた形状であり、基本的にピストンと同形状である。シリンダー外形状についてもピストンと同様に円筒型が一般であり、旋盤加工によりシリンダー内周壁面3−aは寸法精度良く仕上げられる。したがって、シリンダー内周壁面3−aへの流路加工は、中心軸X回りへの加工は比較的容易であるが、中心軸と平行方向へピストン長さを超える長さの微小流路加工は非常に困難であり大きなコストアップに繋がるという問題点がある。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもであって、容易な加工で安価に微小流路を形成した上で、ピストンの振幅中心位置が変動しない信頼性の高いスターリングエンジンを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に記載のスターリングエンジンは、シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンであって、前記背面空間は、前記ピストンの往復運動の方向に垂直な方向において、前記シリンダーの側壁の少なくとも一部と隣接する部分にまで延びて形成されており、前記ピストンに設けられ第1の作動空間と結ばれる第1の流路と、前記シリンダーの側壁を貫通して前記シリンダーに隣接する部分の前記背面空間と結ばれる第2の流路とを有し、前記ピストンがその往復運動の中立位置にあるときに、第1の流路と第2の流路とが結合して第1の作動空間と前記背面空間とを結ぶよう形成されてなることを特徴とするスターリングエンジンにおいて、第2の流路は、少なくとも第1の流路と結合する側の開口部が前記ピストンの往復運動の方向に対して傾いて形成されてなることを特徴とする。
また、本発明に記載のスターリングエンジンは、第2の流路は、少なくとも第1の流路と結合する側の開口部が第1の流路の位置ずれを吸収できる溝形状であることを特徴とする。
【0016】
本発明のスターリングエンジンは、シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンであって、前記背面空間は、前記ピストンの往復運動の方向に垂直な方向において、前記シリンダーの側壁の少なくとも一部と隣接する部分にまで延びて形成されており、前記ピストンに設けられ第1の作動空間と結ばれる第1の流路と、前記シリンダーの側壁を貫通して前記シリンダーに隣接する部分の前記背面空間と結ばれる第2の流路とを有し、前記ピストンがその往復運動の中立位置にあるときに、第1の流路と第2の流路とが結合して第1の作動空間と前記背面空間とを結ぶよう形成されてなることを特徴とするスターリングエンジンにおいて、第1の流路は、少なくとも第2の流路と結合する部分が前記ピストンの往復運動の方向に対して傾いて形成されてなることを特徴とする。
また、本発明に記載のスターリングエンジンは、第1の流路は、ピストンの摺動面に設けられた溝形状であることを特徴とする。
【0018】
本発明に記載のスターリングエンジンは、シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンにおいて、前記シリンダーは、前記ピストンの摺動面の長さが前記ピストンの長さよりも短く形成されており、前記ピストンは、前記ピストンが往復運動の中立位置にあるときに第1の作動空間と背面空間とを結び、前記摺動面よりも長く形成された溝部を有してなるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明によるスターリングエンジンの一構成例を示す断面構成図である。
図1に示すように、ピストン1とディスプレーサ2はシリンダー3の内周壁面3−aを往復摺動可能に配されている。該シリンダー3は密閉された圧力容器4に固定されている。ピストン1及びディスプレーサ2は同軸上に構成されており、ディスプレーサ2に形成されたロッド2−aはシリンダー中心部に設けた摺動穴1−aを貫通し、それぞれはシリンダー内周摺動面3−aを滑らかに摺動可能である。また、ピストン1はピストン支持バネ5、ディスプレーサ2はディスプレーサ支持バネ6によって圧力容器4に対して弾性支持されており、該ピストン支持バネ5が変形していない状態において、ピストン1はある設定された振幅中心位置に位置決めされる。
【0021】
圧力容器4とシリンダー3により形成される空間はピストン1によって2つの空間に分割される。一つはピストン1のディスプレーサ2側である作動空間7であり、もう一つはピストン1のディスプレーサ2側と反対側である背面空間8である。作動空間7はディスプレーサ2でさらに2つの空間に分割されており、一つはピストン1とディスプレーサ2とに挟まれた圧縮空間7−aであり、もう一つはシリンダー先端部の膨張空間7−bである。この2つの空間は再生器9を介して連結されている。背面空間8はシリンダー3のピストン1が挿入された側を取囲むように形成されている。つまり、背面空間8はシリンダー3の内周摺動面3−aに隣接する位置まで延びて形成されている。なお、これらの空間には高圧のヘリウムガス等の作動媒体が充填されている。
【0022】
ピストン1は背面空間8に収められたリニアモータ等のピストン駆動体(図示せず)により所定周期で往復動される。これにより作動媒体は作動空間7内で圧縮、膨張される。ディスプレーサ2は、作動空間内で圧縮、膨張される作動媒体の圧力変化により直線的に往復動される。この時ピストン1とディスプレーサ2は、一般に約90度の位相差をもって同一周期にて往復動するようディスプレーサ支持バネ6のバネ定数等は設定されている。また、シリンダー内周摺動面3−aとピストン摺動面1−bとの間には、圧縮空間7−aと背面空間8とを遮断するシール手段(図示せず)が設けられる。
【0023】
図2(a)は、ピストン1が予め設定された振幅中心位置にある場合におけるその主要部を示す図である。ピストン1には、作動空間側端面1−cとシリンダー側摺動面1−bとを結ぶ微小な第1の穴部(第1の流路)10が形成されている。この第1の穴部は、例えば作動空間側端面1−cとシリンダー側摺動面1−bからのドリル加工のみで形成可能であり、加工後に穴端部をシールするなどの工程は不要である。
【0024】
一方、ピストン摺動面1−bに形成された穴部10−aに対向するシリンダー内周壁面位置には、シリンダー壁面3を貫通し背面空間8と結ばれた第2の穴部11(第2の流路)が形成されている。この第2の穴部11も、シリンダー壁3を貫通する穴をシリンダー外側からのドリル加工のみで形成可能であり非常に形成は容易である。
【0025】
図2(b)は、上記した第1の穴部10と第2の穴部11の他の例を示す図である。ここでは、ピストン1の内部に形成され作動空間側端面1−cとシリンダー側摺動面1−bとを結ぶ微小流路が、ピストン中心軸Xに対して傾きを持つ一本の穴10−bにより形成されている。
【0026】
図2(a)、2(b)に示された構成において、ピストン1に形成された第1の穴部のシリンダー側開口部10−aと、シリンダー3に設けられた第2の穴部のピストン側開口部11とは、ピストン1が所定の振幅中心位置にある時、互い対向し合う位置に配される必要がある。これは、作動空間7−aと背面空間8との間で作動媒体の流れをスムーズに行うためである。
【0027】
ところで、ピストン1はある一定周期で駆動されており、ピストン1が所定の振幅中立位置にあって前記作動媒体が微小流路を流れることが可能な時間は非常に短時間である。そのため、第1の穴部開口部10−aと第2の穴部11の開口部との位置が僅かでもずれていると、作動媒体の流れはスムーズにいかず作動空間と背面空間との間の作動媒体圧力調整が十分にできず、ピストン振幅中心位置を所定位置に保つことができなくなる。前述のようにピストン1は、ピストン支持バネ5を介して圧力容器4に弾性支持されている。このため、ピストン1をピストン支持バネ5に固定する際の取付け誤差や、ピストン支持バネ5が変形する際に直線的に変形せずピストンが僅かに回転して往復動されるなどの問題により、第1の穴部開口部10−aと第2の穴部11の開口部との位置を精度良く合わせることは非常に困難である。
【0028】
図3は上記問題を解決する一手法を示すものである。この図は、背面空間8側から見たシリンダー3及びシリンダー3内に収められたピストン1を示している。ここで、ピストン1は所定の振幅中心位置に位置している。図3において、シリンダー3に設けられた第2の穴部11は、少なくともそのピストン内側の開口部11−aがピストンの往復運動方向Xに対して傾き(図3では90度)を持つように、背面空間8に連通している。
【0029】
シリンダー壁面を貫通して形成された第2の穴部11は、少なくともその開口部11−aがピストンの往復運動方向Xに対して傾きを持つ形状であり、ここでは往復運動方向Xに対して約90度傾いている。このため、ピストンが振幅の中心位置にあるとき、ピストン1に設けられた第1の穴部10の開口部10−aの位置が上記した理由により多少回転したとしても、第2の穴部の開口部11−aが第1の穴部の開口部10−aの位置ずれを吸収できる溝形状であるため、第1の穴部開口部10−aと第2の穴部開口部11−aの位置は必ず対向する。
【0030】
また、シリンダー3に設けた開口部(例えば溝部)11−aが、ピストン往復運動方向Xに対して傾斜している構成であり、ピストン1が所定の振幅中心位置にあるときのみピストン1に設けられた第1の穴部10と流路を形成し、ピストン1が所定の振幅中心位置以外にある場合には流路が形成されない。これにより、第1、第2の穴部を溝ではなく穴にて形成した場合と同じ効果を得ることができ、作動空間と背面空間との間の作動媒体圧力調整が確実に行うことができ、ピストン振幅中心位置を所定位置に保つことが可能となる。
【0031】
(実施の形態2)
図4(a),4(b)図は、上記した第1の穴部10,第2の穴部11の他の例を示すものであり、背面空間8側から見たシリンダー3及び、シリンダー内に収められたピストン1を示している。ここで、ピストン1は所定の振幅中心位置に位置している。シリンダー3の壁面を貫通するように設けられ背面空間8と結ばれた穴部11と、ピストン摺動面に設けられ、前記穴部11の対向位置にピストン1の往復運動方向に対して傾きを持つように作動空間と結ばれた溝部とにより形成された微小流路構成を示している。
【0032】
図4(a)において、ピストン摺動面1−bにはピストンの往復運動方向Xに対して傾きを持つ溝部10−cが形成されている。この溝部10−cは、ピストン作動空間側端部1−cから設けられており溝部内の作動媒体圧力は作動空間内圧力と等しい。ピストン摺動部1−bへの溝加工は、例えば旋盤加工やエンドミルによるフライス加工にて非常に容易に形成可能である。また、加工後に穴端部をシールするなどの工程も不要である。
【0033】
前述のように、ピストンが僅かに回転して往復動したとしても、このピストン1に設けられた傾斜溝10−cとシリンダー壁面3を貫通して形成された穴部11とは必ず対向し結合するため、作動空間と背面空間との間の作動媒体圧力調整が確実に行うことができ、ピストン振幅中心位置を所定位置に保つことが可能である。
【0034】
図4(b)は、ピストン摺動部1−bに形成された傾斜溝が、ピストンの往復運動方向Xの溝10−dと、運動方向Xに対して傾きを持つ連続溝10−eによって形成された状態を示す。
【0035】
このような構成によっても、取り付け誤差等に起因するピストン1の位置ずれを吸収して、常に振幅中心位置を所定位置に保持できる。
【0036】
(実施の形態3)
図5(a)は、本発明によるスターリングエンジンの他の構成例を示す断面構成図である。
【0037】
シリンダーの内周壁面3−aは、ピストン側からディスプレーサ側まで同一内径ではなく、ディスプレーサ2により2つの空間に分割された作動空間7のうち、ピストン1とディスプレーサ2に挟まれた圧縮空間部3−bの内径がピストン摺動部3−c内径より大きく形成されている。また、振幅中心位置にあるピストン1のピストン長さL1に対して、シリンダー3のピストン摺動面長さL2はシリンダー前後方向ともに短くなるよう形成されている。
【0038】
ピストンの摺動面3−aには、ピストン往復運動方向Xと平行な溝部10−fが形成されている。この溝部長さL3は、前記シリンダーのピストン摺動面長さL2より、その前後方向とも僅かに長く形成されている。したがって、ピストン1が所定の振幅中心位置にある場合、ピストン摺動部に設けられた溝部10−fによって作動空間7−aと背面空間8との間は流路が形成され、両空間の間で作動媒体の圧力調整が行われる。
【0039】
一方、図5(b)に示すように、一定周期で駆動されるピストン1が振幅中心位置を超えると、ピストン摺動部の溝部端部10−gがシリンダーの内周摺動面3−cによって隠されてしまい、作動空間7−aと背面空間8との間の流路は形成されず作動媒体の流れは生じない。
【0040】
ここでは、図5(c)に示すように、ピストン摺動面1−bのみにピストン往復運動方向Xと平行な溝部10−fが形成されている。ピストン摺動部3−cへの溝加工は、例えばエンドミルによるフライス加工にて形成可能であり非常に容易で安価である。
【0041】
【発明の効果】
本発明のスターリングエンジンでは、ピストンとシリンダー壁面に第1の流路,第2の流路を設け、ピストンが予め設定された振幅中心位置に位置したときに、第1の流路と第2の流路が結合して作動空間と背面空間とを結ぶ微小流路を形成する。
【0042】
このため、作動空間と背面空間との間を作動媒体が流れ、両空間の作動媒体圧力差を是正し、ピストンの振幅中心位置ずれを防ぐことができる。
【0043】
また、ピストン及びシリンダーに形成する第1の流路,第2の流路は、形成が容易な穴や溝で構成できるため、スターリングエンジンの製造を非常に安価に微行える。
【0044】
さらに、微小流路形成時にシール工程が入らないため、長期間の運転時にも信頼性の高いスターリングエンジンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスターリングエンジン構成を示す図である。
【図2】図1の第1の穴部と第2の穴部の構成を示す図である。
【図3】第1の穴部と第2の穴部の他の構成例を示す図である。
【図4】第1の穴部と第2の穴部のさらに他の構成例を示す図である。
【図5】本発明のスターリングエンジンの他の構成を示す図である。
【図6】従来のスターリングエンジンの構成を示す図である。
【図7】従来のスターリングエンジンの他の構成を示す図である。
【図8】従来のスターリングエンジンのさらに他の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ピストン
2 ディスプレーサ
3 シリンダー
4 圧力容器
5 ピストン支持バネ
6 ディスプレーサ支持バネ
7 作動空間
7−a 圧縮空間(第1の作動空間)
7−b 膨張空間(第2の作動空間)
8 背面空間
9 再生器
10 第1の穴部
11 第2の穴部
12 コールドヘッド
Claims (5)
- シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンであって、
前記背面空間は、前記ピストンの往復運動の方向に垂直な方向において、前記シリンダーの側壁の少なくとも一部と隣接する部分にまで延びて形成されており、
前記ピストンに設けられ第1の作動空間と結ばれる第1の流路と、前記シリンダーの側壁を貫通して前記シリンダーに隣接する部分の前記背面空間と結ばれる第2の流路とを有し、前記ピストンがその往復運動の中立位置にあるときに、第1の流路と第2の流路とが結合して第1の作動空間と前記背面空間とを結ぶよう形成されてなることを特徴とするスターリングエンジンにおいて、
第2の流路は、少なくとも第1の流路と結合する側の開口部が前記ピストンの往復運動の方向に対して傾いて形成されてなることを特徴とするスターリングエンジン。 - シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンであって、
前記背面空間は、前記ピストンの往復運動の方向に垂直な方向において、前記 シリンダーの側壁の少なくとも一部と隣接する部分にまで延びて形成されており、
前記ピストンに設けられ第1の作動空間と結ばれる第1の流路と、前記シリンダーの側壁を貫通して前記シリンダーに隣接する部分の前記背面空間と結ばれる第2の流路とを有し、前記ピストンがその往復運動の中立位置にあるときに、第1の流路と第2の流路とが結合して第1の作動空間と前記背面空間とを結ぶよう形成されてなることを特徴とするスターリングエンジンにおいて、
第2の流路は、少なくとも第1の流路と結合する側の開口部が第1の流路の位置ずれを吸収できる溝形状であることを特徴とするスターリングエンジン。 - シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンであって、
前記背面空間は、前記ピストンの往復運動の方向に垂直な方向において、前記シリンダーの側壁の少なくとも一部と隣接する部分にまで延びて形成されており、
前記ピストンに設けられ第1の作動空間と結ばれる第1の流路と、前記シリンダーの側壁を貫通して前記シリンダーに隣接する部分の前記背面空間と結ばれる第2の流路とを有し、前記ピストンがその往復運動の中立位置にあるときに、第1の流路と第2の流路とが結合して第1の作動空間と前記背面空間とを結ぶよう形成されてなることを特徴とするスターリングエンジンにおいて、
第1の流路は、少なくとも第2の流路と結合する部分が前記ピストンの往復運動の方向に対して傾いて形成されてなることを特徴とするスターリングエンジン。 - シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンであって、
前記背面空間は、前記ピストンの往復運動の方向に垂直な方向において、前記シリンダーの側壁の少なくとも一部と隣接する部分にまで延びて形成されており、
前記ピストンに設けられ第1の作動空間と結ばれる第1の流路と、前記シリンダーの側壁を貫通して前記シリンダーに隣接する部分の前記背面空間と結ばれる第2の流路とを有し、前記ピストンがその往復運動の中立位置にあるときに、第1の流路と第2の流路とが結合して第1の作動空間と前記背面空間とを結ぶよう形成されてなることを特徴とするスターリングエンジンにおいて、
第1の流路は、ピストンの摺動面に設けられた溝形状であることを特徴とするスターリングエンジン。 - シリンダーの内側を往復運動するピストンと、前記シリンダーの内側において前記ピストンに対向し、前記ピストンの動きによって圧縮,膨張する作動媒体の働きにより駆動されるディスプレーサーと、を備え、前記ディスプレーサーと前記ピストンとの間に第1の作動空間を、前記ディスプレーサーの前記ピストンとの対向側とは反対側に第2の作動空間を、前記ピストンの前記ディスプレーサーとの対向側とは反対側に背面空間を有するように密閉して形成されたフリーピストン型のスターリングエンジンにおいて、
前記シリンダーは、ピストン摺動面の長さが前記ピストンの長さよりも短く形成されており、
前記ピストンは、前記ピストンが往復運動の中立位置にあるときに第1の作動空間と背面空間とを結ぶ、前記ピストン摺動面よりも長く形成された溝部を有してなることを特徴とするスターリングエンジン。
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