JP3574525B2 - 内視鏡のシール部の補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、外壁部がプラスチックで形成された内視鏡のシール部の補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の操作部やコネクタ部等は、軽量化や形状設計の自由性等から、外壁部をプラスチック製の部品で形成するのが一般的になってきている。
【0003】
また、内視鏡使用後に洗浄および消毒を行うためには、全体を水密構造にする必要があるので、外壁部品とその隣接部品との間にはシール用のOリングを介在させて、外部と内部との間のシールをしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図12に例示されるように、外壁部品91とその隣接部品92との継ぎ目部分にOリング93を介在させるためには、その部分だけ外壁部品91を薄肉に形成する必要がある。91aがその薄肉部である。
【0005】
ところが、内視鏡を滅菌消毒するためにオートクレーブ(高圧蒸気滅菌)装置に入れると、内視鏡の外壁部品91は蒸気による高温にさらされ、しかも内部と外部との間に最大3気圧程度の大きな圧力変化が加わる。
【0006】
そのため、オートクレーブ装置に入れられた内視鏡の外壁部品91は、高温と大きな内外圧力差によって薄肉部91aが図13に示されるように内方に変形し、オートクレーブ装置から取り出されて内外圧力差がなくなった後も、図14に示されるように反った変形が残る。
【0007】
その結果、Oリング93によるシールが不完全になって、水分が内視鏡の内部に侵入するいわゆる水漏れ事故が発生してしまう場合がある。なお、変形防止を考慮して薄肉部91a全体を厚くするような肉付けをすると、プラスチックモールド成型時にひけが発生し易くなって、部品成形がうまくいかない。
【0008】
そこで本発明は、Oリングを配置するために薄肉に形成された内視鏡の外壁部を構成するプラスチック製部品の薄肉部が、オートクレーブ等によって変形しない優れた耐久性を有し、しかもモールド成型時にひけ等が発生しない内視鏡のシール部の補強構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡のシール部の補強構造は、内視鏡の外壁部を構成するプラスチック製の外壁部品とその隣接部品との間にシール用のOリングを装着するために、上記外壁部品が上記Oリング装着部分において薄肉に形成された内視鏡のシール部の補強構造において、上記外壁部品内に配置された剛性部材に、上記外壁部品が内没するのを妨げるための受け部材を上記外壁部品の内面に近接して対向するように取り付けたことを特徴とする。
【0010】
なお、上記受け部材が互いの間隔をあけて上記剛性部材にねじ込まれたビスであってもよく、上記受け部材が上記剛性部材に対して固定手段によって固定されていてもよく、或いは上記剛性部材を構成する部品の一部によって固定されていてもよい。
【0011】
また、上記剛性部材が、上記外壁部品内に配置された配線基板を囲んで設けられたシールド部材であっもよく、上記剛性部材が、上記外壁部品内に配置された構造物、或いは上記外壁部品とその内部の構造物を支持するフレームであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図3は、内視鏡観察画像を固体撮像素子で撮像するようにした電子内視鏡を示しており、全体として外部から内部に水等が侵入しない水密構造に構成されている。
【0013】
電子内視鏡は、先端に固体撮像素子が内蔵された挿入部1の基端が操作部2に連結されていて、図示されていない光源装置兼ビデオプロセッサに接続されるコネクタ部3が、操作部2に一端が連結された可撓性の連結管4の先端に取り付けられている。
【0014】
図4はコネクタ部3を示しており、例えばポリサルフォンのような耐熱性のあるプラスチック製のケース31によって周囲が囲まれていて、その端面側開口部分は同様の耐熱性のあるプラスチックからなる前板32によって塞がれている。
【0015】
ケース31内には、固体撮像素子の駆動回路が実装された回路基板301等が内蔵されている。35は、内視鏡の内圧を外圧に対応して調整するための内外圧調整弁である。
【0016】
前板32には、図示が省略されている照明用のライトガイドファイババンドルの入射端部が内挿されたライトガイド接続管33と、内視鏡観察画像の撮像信号等を伝送するための接点ピンが配置された信号コネクタ34とが突設されている。
【0017】
コネクタ部3は、他の部分と同様に、外部から内部に水等が侵入しない水密構造に構成されており、そのために、ケース31と前板32との連結接続部の継ぎ目部分には、ゴム材のような弾力性部材からなるOリング36が潰された状態で装着されていて、コネクタ部3の外部と内部との間のシールをしている。
【0018】
ケース31と前板32は、接続部では互いを重ね合わせるために各々肉厚が薄く形成されている。31aは、ケース31の薄肉部である。重ね合わせ部で内側に配置された前板32は、Oリング36が嵌め込まれる部分ではさらに薄肉に形成されている。32aがその薄肉部である。
【0019】
なお、ケース31と前板32との連結は、まず回路基板301を囲んで配置された金属製の剛体であるシールド枠302の先側を、ライトガイド接続管33及び信号コネクタ34を固定するためのナット303,304で前板32に固定して行われる。
【0020】
そして、外端側に可撓性連結管4を連結するための金属製の連結筒307の内端側をシールド枠302の後側にビスで固定する。308は電気絶縁材からなるスペーサである。
【0021】
連結筒307の外端部分はケース31の後端部で固定ナットによってケース31に固定されていて、連結筒307とシールド枠302を介して前板32がケース31側に引き寄せられ、それによって前板32とケース31とが分離しないように固定されている。その結果、シールド枠302は、ケース31内で全くガタツキがない状態に固定されている。
【0022】
図1は、図4におけるI−I断面を示している。ケース31はこの位置においては薄肉部31aの近傍の厚肉部になっている。シールド枠302は、部品としては左右に分割された2部品で構成されて、連結部材311によって一体的に連結されていて、全体にケース31の内面との間に隙間をあけて配置されている。
【0023】
そしてシールド枠302には、互いの間にほぼ均等な間隔をあけて例えば6か所に、図2に拡大図示されるように、ビス310がねじ込まれている。各ビス頭の頂点はケース31の内面に対向していて、ケース31の内面との間にごく僅かな隙間eがあくように設けられている。
【0024】
この隙間eは、ケース31が外圧によって内側に変形してビス310で受けられたときに、ケース31の変形が弾性変形の範囲で止まるように設定されていればよく、隙間eがちょうどゼロであってもよい。
【0025】
内視鏡をオートクレーブ滅菌機に入れたとき、シール用のOリング36を配置するために薄肉に形成されたケース31の薄肉部31aが、高温と大きな圧力変化によって内没しようとする。
【0026】
しかし、薄肉部31aのすぐ近傍にビス310を取り付けたことにより、ケース31の内没が防がれて、Oリング36によるシール部からの水漏れ事故が発生しない。また、ケース31には何ら特別の加工を施す必要がないので、モールド成型時にひけ等の問題が生じない。なお、ビス310に代えてリベット等を用いてもよい。
【0027】
図5は本発明の第2の実施の形態を示しており、ケース31の内没を阻止するための受け部材として、第1の実施の形態ではビス頭を用いていたのに対し、独立した受け部材320を設けて、それをシールド枠302にビス止めしたものである。
【0028】
この実施の形態の受け部材320は、ケース31の内面がモールド成型時の抜き勾配を有しているのに合わせて、図6に拡大図示されるように、斜めに形成されている。
【0029】
図7は本発明の第3の実施の形態を示しており、ケース31の内没を阻止するための受け部材が、第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、間隔をあけてシールド枠302の片面について3個設けられていたのに対して、受け部材330を細長く形成してシールド枠302の片面につき1個にして、シールド枠302にビス等により固定したものである。
【0030】
図8は本発明の第4の実施の形態を示しており、シールド枠302を外側に向けて折り曲げて、その部分を受け部材340にしたもの、図9及びそのX−X断面図である図10は本発明の第5の実施の形態を示しており、シールド枠302にプレス加工で突起を形成して、その部分を受け部材350にしたものである。このようにすると構造が極めて簡単になり、製造コストを低減することができる。
【0031】
図11は本発明の第6の実施の形態を示しており、本発明を操作部2に適用したものである。図11は、プラスチック製の操作部ケース21の継ぎ目の近傍における操作部2の断面図であり、その位置の近傍に、シール用のOリングと操作部ケース21の薄肉部とがあるが、その図示は省略されている。
【0032】
24は、湾曲操作機構のうちの操作ワイヤの走行機構であり、操作部全体を支持する金属板製のフレーム23に支持されている。24は、操作ワイヤ走行機構24のカバーであり、これも金属板製である。
【0033】
ここでは、操作部ケース21の内没を阻止するための受け部材210が、片面側ではフレーム23に固定されていて、もう一方の側では操作ワイヤ走行機構カバー24に固定されている。
【0034】
この各受け部材210の上端面は操作部ケース21の内面に対向していて、操作部ケース21の内面との間にごく僅かな隙間があくように設けられており、内視鏡をオートクレーブ滅菌装置内に入れたとき、シール用のOリングを配置するために薄肉に形成された操作部ケースの薄肉部の内没が防がれて、シール部からの水漏れ事故が発生しない。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、外壁部品内に配置された剛性部材に、外壁部品が内没するのを妨げるように外壁部品の内面に近接して対向する受け部材を取り付けたことにより、外壁部品の薄肉部が、オートクレーブ等によって変形せず優れた耐久性を有し、しかもモールド成型時にひけ等が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のI−I断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の内視鏡の側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態のコネクタ部の部分断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の部分拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の受け部材の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態のシールド枠の斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態のシールド枠の斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態のシールド枠の斜視図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態のX−X断面図である。
【図11】本発明を操作部に適用した実施の形態の操作部の断面図である。
【図12】従来の内視鏡のシール部の部分断面図である。
【図13】従来のオートクレーブ装置に入れられた内視鏡のシール部の部分断面図である。
【図14】従来のオートクレーブ装置から出された内視鏡のシール部の部分断面図である。
【符号の説明】
2 操作部
3 コネクタ部
21 操作部ケース
23 フレーム
31 ケース
31a 薄肉部
32 前板
36 Oリング
302 シールド枠
210,320,330,340,350 受け部材
Claims (2)
- 内視鏡の外壁部を構成するプラスチック製の外壁部品とその隣接部品との間にシール用のOリングを装着するために、上記外壁部品が上記Oリング装着部分において薄肉に形成された内視鏡のシール部の補強構造において、
上記外壁部品の内面に対して隙間をあけて上記外壁部品内に配置された剛性部材に、上記外壁部品が内没するのを妨げるための受け部材としてのビスを、そのビス頭の頂点が上記外壁部品の内面に近接して対向するように上記剛性部材にねじ込んで取り付けたことを特徴とする内視鏡のシール部の補強構造。 - 上記剛性部材が、上記外壁部品内に配置された配線基板を囲んで設けられたシールド部材である請求項1記載の内視鏡のシール部の補強構造。
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JP06951496A JP3574525B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 内視鏡のシール部の補強構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP06951496A JP3574525B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 内視鏡のシール部の補強構造 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09253027A JPH09253027A (ja) | 1997-09-30 |
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Family
ID=13404926
Family Applications (1)
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JP06951496A Expired - Lifetime JP3574525B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 内視鏡のシール部の補強構造 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
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CN111031881B (zh) | 2017-08-31 | 2022-08-16 | 富士胶片株式会社 | 内窥镜的连接器装置 |
-
1996
- 1996-03-26 JP JP06951496A patent/JP3574525B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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