JP3574389B2 - キセノンランプ用着色フィルター及びその製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の照明に用いられているキセノンランプに装着する着色フィルターに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、自動車の照明に用いられているキセノンランプは、電流を流した直後は青白色の光が発せられているが、３〜５分後にはこの光の色温度が低下し、黄色に変化する傾向にあった。
また、ランプに用いるガスの組成を代えると、色温度を上げることが出来るが、青くなりすぎて車検に通らないという問題点もあった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、自動車の照明に用いられているキセノンランプに手軽に装着できる着色フィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。
従来は、キセノンランプのガラス管１１に顔料をバインダーと共に直接塗布していた。キセノンランプには強い紫外線及び熱が含まれるため、バインダーが劣化し、ガラス管１１の表面から剥がれ落ちて、ランプの反射鏡などに付着し美観を損ねていた。
本発明は、安定な青白色光を供給する着色フィルターで、しかも長時間使用しても、顔料が剥がれ落ちないキセノンランプに手軽に装着できる着色フィルター及びその製造方法を提供する。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動車の照明に用いられているキセノンランプに手軽に装着できる着色フィルターの代表例を図１に示す。
着色フィルター２は、通常、パイレックスガラス若しくは石英ガラスで作られており、透明で６００℃以上の高温にたえるものであれば、この着色フィルターに適した材料である。
着色フィルター２は、スリット２２を持つ透明円筒体２１であり、透明円筒体の内面２３に顔料を塗布している。
本発明のさらなる特徴は、顔料はバインダーを用いず、溶剤のみを使用して、透明円筒体の内面に塗布着色する点である。
本発明において塗布は、浸漬塗装方法（ディピングコート）や回転塗装方法（スピンコート）があるが、円筒体を軸方向に回転させ、内部に顔料と溶剤からなる着色組成物をスピンコートにより、塗布するのが望ましい。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルターに用いられる透明円筒体２１は、石英ガラスかパイレックスが用いられ、主として経済的な理由からパイレックスが好適に用いられる。
また、透明円筒体２１は図１に示すようにスリットが入れられているが、これはキセノンランプが既に作成され取り付けられている場合、図２に示すようにリード線の接合部１４をスリット２２に通して、後からキセノンランプのガラス管にフィルターを嵌合し、装着するためのものである。だからリード線を接合する前にキセノンランプのガラス管にフィルターを嵌合し、装着する場合には、スリット２２は必用がない。
また、スリット２２は内部に顔料を焼き付けてから設けても良いが、初めからスリット２２がある透明円筒体であっても、顔料を回転塗布（スピンコート）できる。
さらにスリット２２付き透明円筒体の場合において、透明円筒体２１をキセノンランプのガラス管１１に嵌合した場合において、嵌合に隙間があって、透明円筒体２１が不安定な場合には、透明円筒体２１と台座１２の間にガラス管１１の外径よりやや大きいスプリングを入れて、リード線との接合部１４をスリット２２に合わせて着色フィルター２を嵌合させた後、透明円筒体２１の先端部をリード線との接合部１４を過ぎるまで押し込み、透明円筒体２１を約９０度回転させ、スプリングの付勢により、台座１２とリード線との接合部１４の間に、着色フィルター２を保持する。
また、この構成は透明円筒体２１が短い場合にも有効に適用できる。
本発明において用いる顔料は、無機顔料及び有機顔料いずれでも良いが、紫外線に強いものであれば何でも良い。特に若者たちに青色系統の発光が望まれているから青系統顔料が望ましい。しかし、青色系統に限らず、黄色、赤色、緑色、バイオレット等どのような色であっても差し支えない。
本発明において用いる溶剤は、顔料と親和性があるのもであれば何でも良い。セロソルブ系、アルコール系、エステル系のものなどがある。
焼付け温度は１５０℃〜６００℃で、焼付け時間は２０分から２時間程度が良い。
【０００６】
発明の実施の形態を挙げれば、以下のとおりである。
（１） 透明円筒体の内面に顔料のみを焼き付けしてなるキセノンランプ用着色フィルター。
（２） 透明円筒体が、キセノンランプのガラス管外径に嵌合する上記１記載のキセノンランプ用着色フィルター。
（３）
透明円筒体が長さ方向の全長に亘ってスリットを有する上記２記載のキセノンランプ用着色フィルター。
（４）
透明円筒体と台座の間にスプリング（バネ）を有する上記３記載のキセノンランプ用着色フィルター。
（５） 顔料が青色、黄色、赤色、緑色、バイオレットから選ばれる１種又は２種以上である上記１〜４のいずれかひとつに記載したキセノンランプ用着色フィルター。
（６） 顔料と溶剤のみからなる着色組成物を、透明円筒体を軸方向に回転させ、透明円筒体の内部に滴下し、内面を均一に塗装した後、乾燥させ、加熱焼き付けるキセノンランプ用着色フィルターの製造方法。
【０００７】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
［実施例１］ 着色フィルターの製造
外径１１ｍｍ、内径９ｍｍ、長さ３３ｍｍ、スリットの幅１ｍｍの透明円筒体（パイレックス）２１を用意した。
一方、青色顔料ＭＳＤＳ（商品名ＳＦ ＢＬＵＥ 山陽色素株式会社製）３ｇをイソプロピルアルコール１０ｍｌと混合した。
透明円筒体２１を垂直方向に置き、回転装置で軸方向に回転させながら、スポイトで３〜４滴透明円筒体の内部２３の上部に落とした。１〜２分間回転を続けると、透明円筒体の内部２３に均一な顔料の膜が出来た。１２０℃で３〜６時間乾燥させたのち、４００℃で２時間焼き付けた。１時間室温に放置した。
【０００８】
着色フィルターの装着
図２に示すように、プラスチック製の台座１２に設けられたキセノンランプのガラス管１１に、実施例１で作成した着色フィルター２を嵌合させるべく、着色フィルターのスリット２２とリード線１３と放電管からのリード線との接合部１４を合わせ、リード線１３とガラス管１１の間に、着色フィルターのスリット２２を入れた。
【０００９】
キセノンランプに通電し点火したところ、通常は３〜５分で白色光が黄色味を帯びるのが、１時間後、２時間後、３時間後、４時間後、５時間後にも青白色光のままであった。
同じものを使ってこの実験を１００回行ったが、いずれも青白色光のままであった。
５００時間後、着色フィルターを点検したところ、顔料の一部に劣化が見られたが、着色フィルター２とキセノンランプのガラス管１１がピッタリ嵌合しているため、劣化した顔料が剥がれ落ちてはいなかった。
【００１０】
【発明の効果】
本発明のキセノンランプ用着色フィルターは、手軽に製造できるばかりか、安定な青白色光を供給し、しかも長時間使用しても、劣化しやすい有機バインダーを含まないため、顔料が剥がれ落ちないことが確認された。
【００１１】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたフィルターの見取り図
【図２】キセノンランプとフィルターの見取り図
【符号の説明】
１ キセノンランプ
１１ ガラス管
１２ 台座
１３ リード線
１４ 接合部
２ 着色フィルター
２１ 透明円筒体
２２ スリット
２３ 透明円筒体の内面

Claims (4)

1. 長さ方向の全長に亘ってスリット２２を有し、内面２３に顔料のみを焼付けしてなる着色透明円筒体２１を、スリット２２とリード線１３とキセノンランプからのリード線との接合部１４を合わせて押し込むことにより、着色透明円筒体２１をガラス管１１に装着保持させたキセノンランプ用着色フィルター。
2. 押し込んだ着色透明円筒体２１と台座１２の間にスプリングを設け、押し込んだ着色透明円筒体２１をスリットの幅以上に回転させて、透明円筒体２１の一方の端面をスプリングの付勢により接合部１４に押し付けて保持させたキセノンランプ用着色フィルター。
3. 顔料が青色、黄色、赤色、緑色、バイオレットから選ばれる１種又は２種以上である請求項１又は請求項２に記載したキセノンランプ用着色フィルター。
4. 着色透明円筒体２１が、石英ガラス又はパイレックスガラスで作られている請求項１ないし請求項３のいずれかひとつに記載したキセノンランプ用着色フィルター。

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