JP3574194B2 - スクレイパー装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、駅構内の床面や道路面等に付着しているチューインガム,汚物,その他の付着物を掻き取るためのスクレイパー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、駅のプラットホーム等の床面に付着したチューインガムを除去する場合には、作業者がヘラ等を手に持ち、かがんだりしゃがみこんだりして作業をしていた。
【0003】
しかしながら、ヘラ等による付着物の剥離に予想以上の力を必要とし、さらに特異な作業姿勢が要求されるため苦痛を伴うほか、作業能率が悪いなどの問題があった。
【0004】
一方、かかる作業者の作業負担や作業能率の悪さを改善するために、例えば、実開平4−52847号に記載のチューインガム等の掻取り装置、図7に示すようなスクレイパー装置が提案されている。
【0005】
図7に示すスクレイパー装置は、両手で把持可能な前ハンドル1および後ハンドル2を上端部にそれぞれ有する操作桿3と、該操作桿3の下部に連設されて、内部にモータなどの原動機4やこの原動機4により駆動されるカム6とを有するケース5と、該ケース5の下部から突出し、前記カム6の回転に応動して、操作桿3の軸線方向に往復振動する掻刃支持部材7とを有する。
【0006】
また、8は前記掻刃支持部材7の下端にねじ部材9によって基部が固定された掻刃である。なお、前記原動機4がモータである場合には、ケース部5内には、外部電源を引込むリード線やバッテリなどが収納される。
【0007】
さらに、10はメインスイッチ、11は前記掻刃による掻き取り時ごとに操作される操作スイッチ、12はチューインガムなどの路面上等に付着した付着物である。
【0008】
かかる従来のスクレイパー装置では、前記前ハンドル1および後ハンドル2を手で握り、メインスイッチ10および操作スイッチ11を順に指先で操作し、原動機4を始動させることができる。
【0009】
そして、この原動機4の始動後は、前記カム6の回転によって、掻刃支持部材7は操作桿3の軸線方向に小振幅かつ高い振動周波数で往復振動する。
【0010】
従って、この往復振動開始の前後に路面に付着した付着物12を掻き上げるように、掻刃8の刃先を路面との間に圧入操作することで、その付着物12は前記振動を受けて次第に路面から掻き上げられて剥離する。
【0011】
この結果、かかる従来の原動機式のスクレイパー装置を使用することで、作業者は体をかがめることなく起立状態で、負担なく迅速かつ容易に付着物12の掻き取り作業を実施できることとなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来のスクレイパー装置にあっては、このスクレイパー装置の使用による付着物の掻き取り作業が終了した後は、作業者がほうきと塵取りを使用して、その掻き取った付着物をはき集めるなどの掃除作業が必要になり、付着物除去作業全体の能率が著しく悪いばかりか、掻き取りおよび掃除のそれぞれについて作業を分担する作業員が必要になり、作業コストが高くなるなどの問題点があった。
【0013】
請求項1の発明は前記のような従来の問題点に着目してなされたものであり、最適な作業姿勢にて作業者が付着物の掻き取り作業および掃除作業を容易かつ迅速に実施でき、この作業を能率的かつ人件費などについてローコストにて実施できるスクレイパー装置を得ることを目的とする。
【0014】
請求項2の発明は簡単な構造の遠隔操作トリガを手元の操作部位を牽引および牽引解除する操作だけ、簡単かつ確実に、掻刃上に掻き上げられた付着物を挟持および挟持解除できるスクレイパー装置を得ることを目的とする。
【0015】
請求項3の発明は牽引部材のテンションを最適に調節することで、遠隔操作トリガが動きを高感度かつ確実に挟持部材に伝えることができるスクレイパー装置を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るスクレイパー装置は、操作桿の下端に連結され、原動機によって前記操作桿の軸線方向に往復振動するように駆動される掻刃と、前記掻刃に対し開閉自在に対向配置されて、該掻刃上に掻き上げられた付着物をばねの弾発力を利用して挟持する挟持部材とを設けて、開閉操作手段により、該挟持部材を開閉操作可能にしたものである。
【0017】
請求項2の発明に係るスクレイパー装置は、開閉操作手段を、挟持部材に一端が支持された棒状または線状の牽引部材と、操作桿の操作部位にて、前記牽引部材をばねに抗して牽引操作する遠隔操作トリガとから構成したものである。
【0018】
請求項3の発明に係るスクレイパー装置は、牽引部材の途中に、該牽引部材のテンションを調節するテンション調節部材を介装したものである。
【0019】
【作用】
請求項1の発明におけるスクレイパー装置は、原動機の回転に同期して回転するカムが掻刃支持部材を、操作桿の軸線方向に振動させるため、掻刃は路面等に付着した付着物を、これの付着面から徐々に掻き上げるように動作する。
【0020】
一方、このようにして掻き取られた付着物は、手元で開閉操作部材を操作することによって、掻刃に対向する挟持部材を開かせることで、その掻刃上に載せることができ、この掻刃上の付着物を、前記開閉操作部材の操作によって、ばね付勢された挟持部材により挟圧保持させる。
【0021】
また、この挟圧保持した前記付着物は、再び前記開閉操作部材を操作して挟持部材を開かせることで、ごみ箱などへ落下,廃棄することができ、かかる一連の作業を負担のない楽な姿勢にて何人も容易に実施可能にする。
【0022】
請求項2の発明におけるスクレイパー装置は、開閉操作部材を構成する遠隔操作トリガの操作力を棒状や線状の牽引部材を介して挟持部材に伝えることで、簡単な機構にて挟持部材の開閉を円滑かつローコストにて実現可能にする。
【0023】
請求項3の発明におけるスクレイパー装置は、牽引部材に介在したテンション調節部材により、この牽引部材のテンションを一定に保つことで、開閉操作部材の操作を高感度にて直接挟持部材に伝えることを可能にするとともに、必要に応じ挟持部材の開度調整も実施可能にする。
【0024】
【実施例】
以下に、この発明の一実施例を図について説明する。図1において、1,2は両手で把握可能な前ハンドルおよび後ハンドル、3はこれらの各ハンドル1,2を一端部(上部)に有する操作桿である。
【0025】
また、5はこの操作桿3の下部に連設されて、内部にモータなどの原動機4や、この原動機4により同期駆動されるカム6を有するケース部である。
【0026】
さらに、7は先端部に掻刃8をねじ部材9によって取り付けいてる掻刃支持部材であり、前記カム6の回転に同期して操作桿3の軸線方向に高速で振動する。10は後ハンドル2のリング部下面に取り付けられたメインスイッチ、11は付着物の掻き取り作業ごとに、前記原動機4を駆動するために操作される操作スイッチで、後ハンドル2のリング部内周面に取り付けられている。12は路面などに付着しているチューインガムなどの付着物である。
【0027】
また、13は前記掻刃8上の取付台8aに取り付けられた挟持部材であり、先端には、図2及び図3に示すように粘着性のチューインガムなどが密着しにくいかあるいはそのチューインガムなどの剥離を容易化するフッ素樹脂などの剥離容易化部材14が、2本の支持棒15を介して取り付けられている。なお、8bは取付台8aを掻刃8上に固定するねじである。
【0028】
16は挟持部材13の基部に取り付けられた水平軸であり、この水平軸16は取付台8a上の一対のブラケット17に対して、回転自在に支持されている。
【0029】
また、この水平軸16には、一端が取付台8a側に係止され、他端が挟持部材13に係止させたばね部材としてのねじりばね18が嵌挿されている。従って、このねじりばね18によって、挟持部材13の支持棒15や剥離容易化部材14は、図3に示すように、矢印A方向に、掻刃8側に閉じるように付勢されることとなる。
【0030】
また、19は前記挟持部材13の一部に一端が取り付けられた棒状または線状の牽引部材で、ここではワイヤが用いられている。そして、このワイヤ19の他端は前記ケース部5の外側部付近に案内されて、ここにテンション調節部材としての連結板20が止着されている。
【0031】
さらに、この連結板20は、前記ワイヤ19が該連結板20の下部及び上部に設けた挿通孔21を挿通させ、そして、遠隔操作用のトリガリング23を介して折り返し、前記連結板20の固定孔22を通して前記ワイヤ19を図示の様に結んで固定する。
【0032】
また、ワイヤ24の一方は、前記トリガリング23に結び固定され、他方は前ハンドル1の取付孔1aを通って抜け止め部材25にて処理されている。
【0033】
そして、前記ワイヤ19、連結板20、トリガリング23及びワイヤ24が開閉操作部材Kを構成している。
【0034】
なお、前記ワイヤ19及び24の固定処理を結んで固定しているが、一般的に使用される固定部材を使用してよいことは設計上の問題なのである。
【0035】
次に動作について説明する。まず、付着物の掻取作業する前に、作業者は自己の体形に合った作業姿勢が得られるように、前ハンドル1の位置や向きを、取付ねじ26を緩めるなどして調整する。
【0036】
続いて、連結板20の取付孔21に通したワイヤ19の長さ調整を、前記連結板20のスライド移動によって行うことにより、挟持部材13が掻刃8に対し、図3に実線で示すように閉じた状態となるように、ワイヤ19を十分に緊張させる。
【0037】
そして、前述した前準備が完了したら、メインスイッチ10をオン操作し、前ハンドル1および後ハンドル2を手で把持して作業体勢をとり、掻刃8の先端を、路面などとこれに付着する付着物12との付着面に適当な角度で差し込む。
【0038】
次に、このような状態にて、操作スイッチ11を指でオン操作すると、ケース部5内の原動機が駆動開始し、これに同期してカム6も回転する。このため、このカム6のカム面に上端を接している掻刃支持部材7は所定ストロークの小振幅で往復振動する。
【0039】
このため、この往復振動を受けて前記付着物はその付着面から掻き上げられ遂には路面から剥離する。なお、その付着物が完全に剥離する少し前に、トリガリング23をねじりばね18の反発力に抗して引き上げておく。
【0040】
挟持部材15の先端部、ここでは剥離容易化部材14が、図3の点線で示すように掻刃8に対し開いているため、その掻刃8上に前記付着物12をすくい上げ、次にトリガリング23の引き上げを解除して、前記ねじりばね18の反発力により戻すことで、その付着物12を掻刃8および挟持部材13間に挟持させることができる。
【0041】
このようにし、所定数の例えば2,3箇所にある前記付着物12の掻き取りおよび挟持を行った場合には、そのスクレイパー装置をごみ箱や塵取りに廃棄する作業に移る。すなわち、ここでは、前記トリガリング23を再び引き上げ、ワイヤ19などを介して挟持部材13を開かせることで、前記付着物12の挟持が解除され、付着物12を前記ごみ箱などに落下,廃棄することができる。
【0042】
なお、付着物12のうち、夏季にかみ捨てられたチューインガムなどでは、その粘着性によって前記掻き取り作業中に掻刃8にこれが付着してしまう。この場合には、次々に別の付着物12を続けて掻き取ることで、前記掻刃8に付着した付着物12が、次に掻き取った付着物12により掻刃8上に押し上げられ、遂には剥離容易化部材14の後端から剥離して、ごみ箱などへの落下が容易化することとなる。
【0043】
図4はこの発明のスクレイパー装置の他の実施例を示す。この実施例が図1〜図3に示したものと異るところは、牽引部材としてのワイヤ19、テンション調節部材としの連結板20,トリガリング23およびワイヤト24に代えて、牽引部材としてのロッドやワイヤ、ここではロッド31、これらのロッド31の途中に介装されたテンション調節部材としてのターンバックル部材32およびワイヤ39の上端部を引き上げるトリガボタン33を用いた点である。
【0044】
ここで、前記ワイヤ39は前記ケース部5および操作桿3内に図示しないプーリなどを介してガイドされ、さらに、図5に示すように、後ハンドル2内の複数のプーリ34を介してボビン35に前記ワイヤ39の上端部が巻き付けられている。
以上
【0045】
そして、このボビン35は回転軸36端に取り付けられ、この回転軸36に取り付けられたピニオン37に、前記トリガボタン33端に取り付けられたラック38が噛合されている。このため、トリガボタン33のプッシュ操作により、ラック38を介してピニオン37および回転軸36を回転付勢することができ、これによりボビン35にワイヤ39を巻き上げることができる。
【0046】
この結果、ロッド31はターンバックル部材32を介して挟持部材13を掻刃8に対して開かせることができる。
【0047】
図6は前記ターンバックル部材32の詳細を示し、一端においてケース部5側のロッド31のリング溝41にフランジ部42を回転自在に嵌合されており、他端部の内周面に形成した雌ねじ部43が、掻刃8側のロッド31の外周に形成した雄ねじ部44に螺合されている。
【0048】
従って、このターンバックル部材32を一方向または他方向に回転操作することで、雄ねじ部44の雌ねじ部43に対する螺合量を変えれば、これらが相対的に軸線方向移動するため、前記ロッド31及びワイヤ39のテンションを任意かつ容易に調節することができる。
【0049】
また、この実施例では、ロッド31及びワイヤ39の大部分をケース部5内に納めてあるため、外観上の美感を維持でき、前記トリガボタン33の簡単なプッシュ操作のみで、挟持部材による挟持動作を確実に行わせることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、操作桿の下端に連結され、原動機によって前記操作桿の軸線方向に往復振動するように駆動される掻刃と、前記掻刃に対し開閉自在に対向配置されて、付着物をばねの弾発力を利用して挟持する挟持部材とを設けて、開閉操作手段により、該挟持部材を開閉操作できるように構成したので、最適な作業姿勢にて作業者が付着物の掻き取り作業および掃除作業を容易かつ迅速に実施でき、この作業を能率的かつ人件費などについてローコストにて実施できるものが得られる効果がある。
【0051】
請求項2の発明によれば、開閉操作手段を、挟持部材に一端が支持された棒状または線状の牽引部材と、操作桿の操作部位にて、前記牽引部材をばねに抗して牽引操作する遠隔操作トリガとから構成したので、簡単な構造の遠隔操作トリガを手元の操作部位を牽引および牽引解除する操作だけ、簡単かつ確実に、掻刃上に掻き上げられた付着物を挟持および挟持解除できるものが得られる効果がある。
【0052】
請求項3の発明によれば、牽引部材の途中に、該牽引部材のテンションを調節するテンション調節部材を介装するように構成したので、牽引部材のテンションを最適に調節することで、遠隔操作トリガの動きを高感度かつ確実に挟持部材に伝えることができるものが得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例によるスクレイパー装置を示す斜視図である。
【図2】図1における掻刃付近を拡大して示す平面図である。
【図3】図1における掻刃付近を拡大して示す正面図である。
【図4】この発明の他の実施例によるスクレイパー装置を示す正面図である。
【図5】図4における後ハンドル付近の内部構造を示す概念図である。
【図6】図4におけるターンバックル部材の概略を示す断面図である。
【図7】従来のスクレイパー装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
3 操作桿
4 原動機
8 掻刃
13 挟持部材
18 ばね
19,24,39 ワイヤ(牽引部材)
20 連結板(テンション調節部材)
23 トリガリング
31 ロッド(牽引部材)
32 ターンバックル部材(テンション調節部材)
33 トリガボタン(遠隔操作トリガ)
K 開閉操作部材
Claims (3)
- 操作桿の下端に連結され、原動機によって前記操作桿の軸線方向に往復振動するように駆動される掻刃を備えたスクレイパー装置において、前記掻刃に対し開閉自在に対向配置されて、該掻刃上に掻き上げられた付着物をばねの弾発力を利用して挟持する挟持部材と、該挟持部材を開閉操作する開閉手段とを設けたことを特徴とするスクレイパー装置。
- 開閉操作手段が、挟持部材に一端が支持された棒状または線状の牽引部材と、操作桿の操作部位にて、前記牽引部材をばねに抗して牽引操作する遠隔操作トリガとから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスクレイパー装置。
- 牽引部材の途中に、該牽引部材のテンションを調節するテンション調節部材が介装されていることを特徴とする請求項2に記載のスクレイパー装置。
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