JP3573635B2 - 旋回式車輪装置を有する産業車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば大型の走行台車など、車体に、ハンドルを有する運転部と荷台とが設けられるとともに、車体の下部側に、車幅方向の複数列でかつ車長方向の複数箇所にそれぞれ旋回式車輪装置が設けられた産業車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の産業車両において、旋回式車輪装置は、車体に対して縦軸心の周りで旋回自在な旋回体と、この旋回体の下部にアクスルを介して設けられた複数の車輪とにより構成されている。そして、車幅方向で隣接された旋回式車輪装置群を一つのグループとして、車長方向で複数のグループに形成され、各グループでは、旋回式車輪装置群を同期旋回すべく連動するとともに旋回用シリンダー装置が設けられている。各グループは車長方向で二つのブロックに分けられ、両ブロックでは、それぞれ旋回式車輪装置群を同期旋回すべくグループ間が連動されるとともに、旋回用シリンダー装置群を作動させるコントロールバルブが設けられている。
【0003】
このような産業車両において、旋回式車輪装置群の旋回(換向)の同期は次のようにして行われている。すなわち、車体には、車長方向のほぼ全長に亘って作動軸が配設され、この作動軸の端部には、ハンドルの回転がギヤ(ギヤボックス)などを介して連動されている。そして作動軸の回転は、それぞれ車長方向で振分けて配設されたギヤ、中間伝動軸、リンクなどを介して、対応するコントロールバルブに連動されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来構成によると、ハンドルの回転を、ギヤ、作動軸、ギヤ、中間伝動軸、リンクなどを介してコントロールバルブに伝達することで、旋回式車輪装置群の旋回(換向)の同期を行うことから、ハンドル操作が重いという不具合があり、また部品点数も多いものとなる。
【0005】
そこで本発明のうち請求項1記載の発明は、旋回式車輪装置群の旋回(換向)の同期を軽いハンドル操作で行えるとともに、部品点数を少なくして構成し得る旋回式車輪装置を有する産業車両を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の旋回式車輪装置を有する産業車両は、車体に、ハンドルを有する運転部と荷台とが設けられるとともに、車体の下部側には、車幅方向に複数列でかつ車長方向の複数箇所にそれぞれ旋回式車輪装置が設けられた産業車両であって、各旋回式車輪装置は、車幅方向で隣接された旋回式車輪装置群を一つのグループとして、車長方向で複数のグループに形成され、各グループでは、旋回式車輪装置群を同期旋回すべく連動されるとともに旋回用シリンダー装置が設けられ、各グループは車長方向で二つのブロックに分けられるとともに、中央部分には非旋回式車輪装置が設けられ、各ブロックでは、それぞれ旋回式車輪装置群を同期旋回すべくグループ間が連動されるとともに、旋回用シリンダー装置群を作動させるコントロールバルブが設けられ、車体側の車長方向の中央部分には、ハンドルのオービットロールからの油圧で作動されるシリンダー装置が、各ブロックに対応してそれぞれ設けられ、各シリンダー装置と対応するブロックのコントロールバルブとの連動手段が設けられていることを特徴としたものである。
【0007】
したがって請求項1の発明によると、産業車両は、運転部に乗り込んでの運転により前方または後方へ走行し得る。その際に、各旋回式車輪装置を正逆に同期して旋回させることにより、産業車両を左旋回や右旋回しながら前後走行し得る。すなわち、運転部におけるハンドルの操作により、そのオービットロールからの油圧でシリンダー装置を伸展または収縮作動させ、そして、シリンダー装置の作動力を、連動手段を介してコントロールバルブに伝えてバルブ操作することで、旋回用シリンダー装置群を伸展または収縮作動し得る。
【0008】
これら旋回用シリンダー装置群の伸展または収縮作動により、旋回式車輪装置に旋回力を付与し得、以て各グループでは旋回式車輪装置群を同期して旋回し得る。さらに各ブロックでは、それぞれのグループ間で旋回式車輪装置群を同期して旋回し得る。
【0009】
また本発明の請求項2記載の旋回式車輪装置を有する産業車両は、上記した請求項1記載の構成において、各旋回式車輪装置は、車体に対して縦軸心の周りで旋回自在な旋回体と、この旋回体の下部側にアクスルを介して設けられた複数の車輪とにより構成され、グループ内での旋回連動とグループ間での旋回連動が、旋回体群を介して行われることを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項2の発明によると、各旋回式車輪装置の旋回体を縦軸心の周りで正逆に同期して旋回させることにより、産業車両を左旋回や右旋回しながら前後走行し得る。そして旋回用シリンダー装置群の伸展または収縮作動により、旋回式車輪装置における旋回体に旋回力を付与し得、以て各グループでは旋回式車輪装置群を同期して旋回し得る。さらに各ブロックでは、それぞれのグループ間で旋回式車輪装置における旋回体群を同期して旋回し得る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、前後運転部形式の走行台車に採用した状態として、図に基づいて説明する。
【0012】
産業車両の一例である走行台車1は、その車体2の前後両端部分それぞれにハンドル3を有する運転部4が設けられ、そして両運転部4の上方もカバーする状態で、車体2の上部には荷台5が設けられている。前記車体2の下部側には、車幅方向(左右方向)Xに三列(複数列)でかつ車長方向(前後方向)Yの八箇所(複数箇所)にそれぞれ旋回式車輪装置10が設けられ、そして中央部分の二箇所には車幅方向Xに三列で非旋回式車輪装置40が設けられている。
【0013】
ここで各旋回式車輪装置10は、車幅方向Xで隣接された旋回式車輪装置10群を一つのグループとして、車長方向Yで八つ(複数)のグループA,B,C,D,E,F,G,Hに形成され、そして各グループA〜Hは車長方向Yで二つ(複数)のブロックK,Lに分けられている。
【0014】
各旋回式車輪装置10は、車体2に対して縦軸心11の周りで旋回自在な旋回体12と、この旋回体12の下面側に連結された上部ブラケット13と、この上部ブラケット13の下端に横方向軸14を介して回動自在に連結された下部ブラケット15と、この下部ブラケット15の遊端部分に設けられたアクスル16と、このアクスル16に設けられた四個(複数)の車輪17ならびに車輪駆動部18と、両ブラケット13,15間に設けられたシリンダー装置19などにより、その一例が構成される。
【0015】
各グループA〜Hでは旋回式車輪装置10群が、これら旋回式車輪装置10を同期旋回すべく旋回体12群を介して連動されている。すなわち、各旋回体12からはブラケット20が連設され、そして車幅方向Xで隣接されたブラケット20間が、ロッドやリンクなどからなる車幅方向連結体21を介して相対回動自在に連結されている。さらに両側の旋回体12からはブラケット22が連設され、そしてブラケット22と車体2側との間には、それぞれ旋回用シリンダー装置23が設けられている。
【0016】
両ブロックK,Lでは、それぞれ旋回式車輪装置10群を同期旋回すべく、グループA〜D、E〜H間が旋回体12群を介して連動されている。すなわち、中央部の旋回体12からはブラケット24が連設され、そして車長方向Yで隣接されたブラケット24間が、ロッドやリンクなどからなる車長方向連結体25を介して相対回動自在に連結されている。さらに両ブロックK,Lの中央部近辺には、前記旋回用シリンダー装置23群を作動させるステアコントロールバルブ26がそれぞれ設けられている。
【0017】
前記車体2側の車長方向Yの中央部分には、ハンドル3のオービットロール6からの油圧で作動される小型のシリンダー装置27が、両ブロックK,Lに対応してそれぞれ設けられている。そして、両シリンダー装置27と、これに対応するブロックK,Lのステアコントロールバルブ26との間が、それぞれ連動手段28により連動されている。
【0018】
すなわち、シリンダー装置27の近くにはI形リンク29が、またステアコントロールバルブ26の近くにはL形リンク30が、それぞれ中間部を回動中心として回動自在に設けられている。前記I形リンク29には前記シリンダー装置27のピストンロッドが連結され、またL形リンク30の一端には前記ステアコントロールバルブ26の作動杆が連結されている。そして、I形リンク29とL形リンク30との間が、押し引きロッド31を介して相対回動自在に連結されている。さらにI形リンク29間が、中間ロッド32を介して相対回動自在に連結されている。以上の29〜32により連動手段28の一例が構成される。
【0019】
前記非旋回式車輪装置40は、車体2側に設けられた上部ブラケット41と、この上部ブラケット41の下端に横方向軸42を介して回動自在に連結された下部ブラケット43と、この下部ブラケット43の遊端部分に設けられたアクスル44と、このアクスル44に設けられた四個(複数)の車輪45ならびに車輪駆動部(図示せず。)と、両ブラケット41,43間に設けられたシリンダー装置(図示せず。)などにより、その一例が構成される。
【0020】
以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。
走行台車1は、一方の運転部4に乗り込んでの運転により、たとえば前方へ走行され、また他方の運転部4に乗り込んでの運転により後方へ走行される。その際に、各旋回式車輪装置10の旋回体12を縦軸心11の周りで正逆に同期して旋回させることにより、走行台車1を左旋回や右旋回しながら前後走行し得る。
【0021】
すなわち、運転部4におけるハンドル3の操作により、そのオービットロール6からの油圧でシリンダー装置27が伸展または収縮作動され、中間ロッド32により連動されている両I形リンク29が回動される。そして、両I形リンク29の回動により両押し引きロッド31が押し引き動されて、それぞれのL形リンク30が回動される。これらL形リンク30の回動によってステアコントロールバルブ26がバルブ操作され、以て旋回用シリンダー装置23群が伸展または収縮作動される。
【0022】
これら旋回用シリンダー装置23群の伸展または収縮作動により、両側の旋回式車輪装置10における旋回体12に旋回力が付与されるが、このとき、車幅方向Xで隣接された旋回式車輪装置10の旋回体12間が車幅方向連結体21を介して相対回動自在に連結されていることで、各グループA〜Hでは旋回式車輪装置10群が同期して旋回される。
【0023】
さらに車長方向Yで隣接された中央部の旋回式車輪装置10における旋回体12間が、車長方向連結体25を介して相対回動自在に連結されていることで、両ブロックK,Lでは、それぞれのグループA〜D、E〜H間で旋回式車輪装置10群が同期して旋回される。
【0024】
これにより、ハンドル3の軽い操作力により、このハンドル3のオービットロール6からの油圧で、車体2の中央部分に設けられた小型のシリンダー装置27を伸展または収縮作動させることによって、全ての旋回式車輪装置10を同期して旋回(換向)し得ることになる。しかも同期旋回のための構成は、部品点数を少なくして可能となり、以てコストダウンを図れる。また、グループA〜H内での旋回連動とグループA〜D、E〜H間での旋回連動が、旋回体12群を介して行われることで、各旋回連動を安定して確実に行える。
【0025】
なお、旋回式車輪装置10のシリンダー装置19を収縮動して下部ブラケット15などを横方向軸14の周りに上方へ回動させ、図5の仮想線に示すように、アクスル16を介して車輪17を上昇させるとともに、非旋回式車輪装置40のシリンダー装置を収縮動して下部ブラケット43を横方向軸42の周りに上方へ回動させ、アクスル44を介して車輪45を上昇させることで、荷台5側を下降位置にし得る。
【0026】
この状態で、被運搬物50を載置してなる(または空の)門型状の支持枠(支持台)51内で走行台車1を走行させることで、図3に示すように、荷台5を支持枠51の下方に位置させる。
【0027】
次いで、上述とは逆に、旋回式車輪装置10のシリンダー装置19を伸展動して下部ブラケット15などを下方へ回動させ、図5の実線に示すように、アクスル16を介して車輪17を下降させるとともに、非旋回式車輪装置40のシリンダー装置を伸展動して下部ブラケット43を下方へ回動させ、アクスル44を介して車輪45を下降させることで、図4に示すように、荷台5側を上昇させて支持枠51を持ち上げ得、以て被運搬物50の運搬を行える。
【0028】
上記した実施の形態では、車体2の前後両端部分にそれぞれ運転部4が設けられているが、これは、いずれか一方のみに運転部4が設けられた形式であってもよい。
【0029】
上記した実施の形態では、両運転部4の上方をカバーする状態で、車体2の上部に荷台5が設けられているが、これは運転部4の上方には荷台5の部分が位置しない形式であってもよい。
【0030】
上記した実施の形態では、八つのグループA〜Hが示されているが、このグループ数は、走行台車1の規模や形式に応じて任意に変更されるものである。
【0031】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項1によると、産業車両は、運転部に乗り込んでの運転により前方または後方へ走行でき、その際に、各旋回式車輪装置を正逆に同期して旋回させることで、産業車両を左旋回や右旋回しながら前後走行できる。すなわち、運転部におけるハンドルの操作により、オービットロールからの油圧でシリンダー装置を伸展または収縮作動させ、シリンダー装置の作動力を、連動手段を介してコントロールバルブに伝えてバルブ操作することで、旋回用シリンダー装置群を伸展または収縮作動できる。これら旋回用シリンダー装置群の作動により、旋回式車輪装置に旋回力を付与できて、各グループでは旋回式車輪装置群を同期して旋回でき、さらに各ブロックでは、それぞれのグループ間で旋回式車輪装置群を同期して旋回できる。
【0032】
これにより、ハンドルの軽い操作力により、全ての旋回式車輪装置を同期して旋回(換向)でき、しかも同期旋回のための構成は、部品点数を少なくして可能となり、以てコストダウンを図ることができる。
【0033】
また上記した本発明の請求項2によると、各旋回式車輪装置の旋回体を縦軸心の周りで正逆に同期して旋回させることで、産業車両を左旋回や右旋回しながら前後走行できる。そして旋回用シリンダー装置群の伸展または収縮作動により、旋回式車輪装置における旋回体に旋回力を付与できて、各グループでは旋回式車輪装置群を同期して旋回でき、さらに各ブロックでは、それぞれのグループ間で旋回式車輪装置における旋回体群を同期して旋回できる。このように、グループ内での旋回連動とグループ間での旋回連動を旋回体群を介して行うることで、各旋回連動を安定して確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、旋回式車輪装置を有する産業車両の一部切り欠き平面図である。
【図2】同旋回式車輪装置を有する産業車両の側面図である。
【図3】同旋回式車輪装置を有する産業車両における荷台下降時の正面図である。
【図4】同旋回式車輪装置を有する産業車両における荷台上昇時の正面図である。
【図5】同旋回式車輪装置を有する産業車両における旋回式車輪装置部分の一部切り欠き側面図である。
【符号の説明】
1 走行台車(産業車両)
2 車体
3 ハンドル
4 運転部
5 荷台
オービットロール
10 旋回式車輪装置
11 縦軸心
12 旋回体
13 上部ブラケット
15 下部ブラケット
16 アクスル
17 車輪
18 車輪駆動部
19 シリンダー装置
21 車幅方向連結体
23 旋回用シリンダー装置
25 車長方向連結体
26 ステアコントロールバルブ
27 シリンダー装置
28 連動手段
29 I形リンク
30 L形リンク
31 押し引きロッド
32 中間ロッド
40 非旋回式車輪装置
X 車幅方向
Y 車長方向
A〜H グループ
K,L ブロック

Claims (2)

  1. 車体に、ハンドルを有する運転部と荷台とが設けられるとともに、車体の下部側には、車幅方向に複数列でかつ車長方向の複数箇所にそれぞれ旋回式車輪装置が設けられた産業車両であって、
    各旋回式車輪装置は、車幅方向で隣接された旋回式車輪装置群を一つのグループとして、車長方向で複数のグループに形成され、各グループでは、旋回式車輪装置群を同期旋回すべく連動されるとともに旋回用シリンダー装置が設けられ、各グループは車長方向で二つのブロックに分けられるとともに、中央部分には非旋回式車輪装置が設けられ、各ブロックでは、それぞれ旋回式車輪装置群を同期旋回すべくグループ間が連動されるとともに、旋回用シリンダー装置群を作動させるコントロールバルブが設けられ、車体側の車長方向の中央部分には、ハンドルのオービットロールからの油圧で作動されるシリンダー装置が、各ブロックに対応してそれぞれ設けられ、各シリンダー装置と対応するブロックのコントロールバルブとの連動手段が設けられていることを特徴とする旋回式車輪装置を有する産業車両。
  2. 各旋回式車輪装置は、車体に対して縦軸心の周りで旋回自在な旋回体と、この旋回体の下部側にアクスルを介して設けられた複数の車輪とにより構成され、グループ内での旋回連動とグループ間での旋回連動が、旋回体群を介して行われることを特徴とする請求項1記載の旋回式車輪装置を有する産業車両。
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