JP3573357B2 - 3−アミノ−2−ヒドロキシ−酪酸エステル誘導体を出発原料とする光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法及びその中間体 - Google Patents
3−アミノ−2−ヒドロキシ−酪酸エステル誘導体を出発原料とする光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法及びその中間体 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、医薬品重要中間体として、例えば、降圧剤レニンインヒビターの中間体、HIVプロテアーゼ阻害剤の中間体として有用な、光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法及びその中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製法としては、2−アミノプロパナール誘導体とグリニャール試薬とのカップリング反応を利用した方法が既に知られている(特開昭63−253097)。また、2−アミノプロパナール誘導体の一般的な製法としては、α−アミノ酸を原料として用いる2通りの方法が知られている。まず第一の方法は、α−アミノ酸をα−アミノアルコールまで還元した後、アルデヒドに酸化する方法であり、もう一つの方法は、エステル化した後、温和な条件下でアルデヒドに還元する方法である(合成例としては、例えばJournal of Organic Chemistry,52,1487(1987)があげられる。)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製法では、グリニャール試薬等による2−アミノプロパナール誘導体への求核付加反応を行うため、立体選択性の発現には極めて低い温度設定が必要であり、しかもその立体選択性はあまり期待できず、加えて副生成物が得られる可能性も高い。そのため、カラムクロマトグラフィーによる単離精製が必要となってくるなど様々の問題点を含んでいる。
【0004】
また、原料となる2−アミノプロパナール誘導体は、それ自体が不安定であり、さらにα位のアミノ基がアルデヒドの影響でエピメリ化し易い特徴を持っているため、前記のどちらの方法を用いても、高純度の光学活性アルデヒドを収率よく得るには、かなり細かい条件設定が必要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記したような課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。即ち本発明は、(1)式(1)
【0006】
【化9】
【0007】
(式中、R1はフェニル基もしくはシクロヘキシル基を、R2およびR3はそれぞれ独立して水素または保護基を、R4は水素、炭素数1〜4のアルキル基またはアリル基を示す。*1および*2の立体配置は、S配置またはR配置を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体を還元し、得られる式(2)
【0008】
【化10】
【0009】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1,2−ブタンジオール誘導体の1級水酸基をスルホニル化し、得られる式(3)
【0010】
【化11】
【0011】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示し、R5は低級アルキル基またはアリール基を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1−スルホニルオキシ−2−ブタノール誘導体を1,3−脱離によりエポキシ化し、次いで得られる式(4)
【0012】
【化12】
【0013】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1−ブテンオキシド誘導体に有機金属試薬を位置選択的に求核置換反応させることを特徴とする式(5)
【0014】
【化13】
【0015】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示し、R6は水素、炭素数1〜4のアルキル基またはアリル基を示す。)で表わされる光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法、
【0016】
(2)上記式(1)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入した後還元するか、又は、式(2)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入し、次いで1級水酸基をスルホニル化することにより得られる式(6)
【0017】
【化14】
【0018】
(式中、R1はフェニル基もしくはシクロヘキシル基を、R2およびR3はそれぞれ独立して水素または保護基を、R5は低級アルキル基またはアリール基を、R7は保護基を示し、*1および*2の立体配置は、S配置またはR配置を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1−スルホニルオキシ−2−オキシブタン誘導体に有機金属試薬を求核置換反応させることを特徴とする式(7)
【0019】
【化15】
【0020】
(式中、R1、R2、R3、R7、*1、*2は前記と同じ意味を示し、R6は水素、炭素数1〜4のアルキル基またはアリル基を示す。)で表わされる光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法、
【0021】
(3)上記式(3)で表されるか、又は、式(3)の−OH基が保護基で保護されている即ち式(6)で表される3−アミノ−1−スルホニルオキシ−2−ブタノール誘導体、
に関する。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるアミノ基の保護基(R2、R3)としては、公知のアミノ基の保護基はいずれも使用できるが、好ましくはアシル型保護基としてホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、置換および非置換ベンゾイル等、ウレタン型保護基として置換および非置換ベンジルオキシカルボニル、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル、シクロアルカノオキシカルボニル等、その他の保護基として、置換および非置換アリールスルホニル、フタリル、o−ニトロベンゼンスルホニル、トリチル等があげられる。
【0023】
また水酸基の保護基(R7)としては、求核試薬と反応しないものであれば全て使用できるが、好ましくは反応後、脱保護容易な保護基がよく、アセタール型保護基として置換および非置換テトラヒドロピラン、エトキシエチル等、エーテル型保護基として置換および非置換ベンジル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、シリル型保護基としてトリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、セキシルジメチルシリル等のアルキルシリル、トリフェニルシリル等のアリールシリルなどがあげられる。さらに、アミノ基の保護基(R2、R3)と水酸基の保護基(R7)はお互いに結合して酸素原子及び窒素原子を含む複素環を形成してもよく、例えば、イソプロピリデン等のアルキリデンやオキサゾリジノン構造によりアミノ基と水酸基を同時に保護することができる。
【0024】
R4、R6は水素、炭素数1〜4のアルキル基又はアリル基を示すが、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。R5の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、置換又は非置換のフェニル基、ナフチル基例えばp−メチルフェニル、p−ニトロフェニル、p−ブロモフェニル等が挙げられる。
【0025】
本発明における式(1)の化合物から式(2)の化合物への還元反応としては、たとえば水素化ほう素化合物、水素化アルミニウム化合物、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム等を用いる方法、ジボランによる方法、ナトリウム、リチウムを使ったBirch還元などがあげられ特に限定されないが、一般的には水素化ほう素化合物、水素化アルミニウム化合物、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム等を用いる方法が用いられる。
【0026】
水素化ほう素化合物を用いる場合、反応基はエステル(R4が水素以外を示す式(1)の化合物)に限られるが、N−保護基は特に限定はされない。反応に用いられる水素化ほう素化合物としては、水素化ほう素ナトリウム、水素化ほう素カルシウム、水素化ほう素リチウムなどがあげられ、その使用量としては、式(1)の化合物に対して通常1〜10倍当量、好ましくは、2〜4倍当量加えて反応を行なう。水素化ほう素ナトリウムの場合、溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールを用い、通常−20℃〜溶媒還流温度、好ましくは、10〜40℃で反応を行なう。水素化ほう素カルシウムの場合、溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールを用い、通常−20〜30℃、好ましくは、−10〜10℃で反応を行なう。水素化ほう素リチウムの場合には、溶媒としてジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用い、通常10℃〜溶媒還流温度、好ましくは、反応速度の速い溶媒還流温度で反応を行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(2)の化合物を得ることができる。
【0027】
得られた式(2)の化合物からエポキシドを得る方法としては、たとえば1,2−ジオールから直接得る方法、一方の水酸基をハロゲンなどに官能基変換してから1,3−脱離により得る方法、一方の水酸基をアリールスルホネートまたはアルキルスルホネートにしてから塩基により閉環する方法などがあげられる。しかしながら、これらの方法のうち、1,2−ジオールから直接得る方法では、毒性のあるトリフェニルホスフィンやジエチルアゾジカーボネートを過剰量用いる必要があり、官能基変換する方法では、片方の水酸基の保護が必要であり、また直接ハロゲン化するには三臭化リンや塩化チオニルなどの酸性物質を使用するため、N−保護基が制限されるという問題がある。本発明では比較的温和な反応条件が可能なスルホネートを経る方法を採用しており、特に好ましくは1級水酸基のみを選択的にスルホネート化できる、アリールスルホネートを経て塩基により閉環する方法が良い。
【0028】
アリールスルホネートとしては、p−トルエンスルホネート、p−ニトロベンゼンスルホネート、p−ブロモベンゼンスルホネートなどがあげられるが、一般には比較的安価で、取扱い易いp−トルエンスルホネート(トシレート)を経由する方法が用いられる。式(3)の化合物を得る方法としては、式(2)の化合物に塩基性条件下で、トシルクロライド等のXSO2 R5(式中Xは塩素等のハロゲン原子を、R5は前記と同じ意味を示す)で示される化合物を反応させる方法が一般的である。XSO2 R5で示される化合物の使用量としては、式(2)の化合物に対して通常1〜1.5倍当量、好ましくは、1級水酸基のみを選択的にスルホニル化するために1〜1.2倍当量加えて反応を行なう。用いる塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の塩基性無機化合物があげられるが、好ましくは、有機溶媒に容易に溶解する有機アミン類、なかでも塩基性が比較的低く溶媒として使用可能なピリジンがよい。反応温度は通常−5〜30℃、好ましくは、温度調節を必要としない室温で行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(3)の化合物を得ることができる。
【0029】
得られた式(3)の化合物をエポキシ化する反応としては、塩基性条件下で行なう方法が一般的であり、用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属類、または炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸塩類があげられ、それらを式(3)の化合物に対して、通常1〜5倍当量、好ましくは、2〜3倍当量用いる。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールのような低級アルコールがあげられるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば、特に限定されない。反応温度は通常−10〜30℃、好ましくは副反応が抑えられ、比較的調整容易な−5〜10℃で行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(4)の化合物を得ることができる。
【0030】
得られた式(4)の化合物の求核置換反応に用いられる有機金属試薬としては、グリニャール試薬、有機リチウム、有機アルミニウム等があげられるが、好ましくは、調製及び取扱いが容易であり、応用範囲の広いグリニャール試薬を用いるのがよい。またグリニャール試薬を用いる場合、添加物として反応系中にヨウ化第1銅、塩化第1銅、シアン化第1銅などの1価の銅塩を、触媒量共存させて金属交換することにより触媒的有機銅試薬を調製する方法や、ルイス酸である三フッ化ホウ素エーテラート錯体を共存させる方法などが知られているが、好ましくは、反応を促進し、ハロヒドリン等の副生成物が抑えられる触媒的有機銅試薬を用いる方法がよい。
【0031】
反応に用いられるグリニャール試薬の使用量としては、式(4)で表される化合物に対して、通常1倍当量〜10倍当量、好ましくは、2〜4倍当量加えて反応を行なう。また、触媒として加える1価の銅塩は、加えるグリニャール試薬に対して0.1〜1倍当量、好ましくは、0.15〜0.3倍当量程度がよい。反応溶媒としては、水分を含まず、グリニャール試薬と反応しない非極性溶媒なら特に限定はないが、金属に配位可能なジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素等を用い、−78℃〜溶媒還流温度、好ましくは副反応が抑えられ、比較的調整容易な−40〜0℃で反応を行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(5)の化合物を得ることができる。
【0032】
式(6)の化合物は、式(1)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入した後還元するか、又は、式(2)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入し、次いで1級水酸基をスルホニル化することにより得られる。2位の水酸基に保護基を導入する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、アミノ基の保護基を水酸基と反応させることにより水酸基に保護基を導入する場合は、保護基を構成することになる化合物を用いなくてもよいが、保護基を構成することになる化合物を別途使用して式(1)の化合物と反応させてもよい。保護基を構成することになる化合物を用いる場合、該化合物としては例えばアセタール型保護基を構成するジヒドロピラン、エチルビニルエーテル、2,2−ジメトキシプロパン等、エーテル型保護基を構成するベンジルハライド、クロロメチルメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルクロライド、シリル型保護基を構成するクロロトリメチルシラン、ターシャリーブチルクロロジメチルシラン、ジメチルセキシルシリルクロライド、クロロトリフェニルシラン等が使用でき、その使用量は、式(1)の化合物に対して通常1〜10倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
【0033】
アセタール型保護基を導入する場合、反応試薬としては酸を用い、用いられる酸としてp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩、カンファースルホン酸等の有機溶媒に易溶の有機酸類があげられ、酸の使用量としては、式(1)の化合物に対して通常0.1〜1倍当量、好ましくは0.1〜0.3倍当量程度用いられる。反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類等を用い、−20〜溶媒還流温度、好ましくは比較的調整容易な0〜30℃程度で反応を行うのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(1)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0034】
エーテル型保護基を導入する場合、反応試薬としては水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性無機化合物やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基性有機化合物があげられる。それら塩基の使用量、反応溶媒、反応温度等の反応条件は、用いる塩基によってそれぞれ異なり特に限定されないが、通常塩基を式(1)の化合物に対して1〜10倍当量、好ましくは1〜3倍当量程度用い、反応溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類や塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられ、反応温度としては、−10〜100℃、通常は0〜50℃程度で反応を行う。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(1)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0035】
シリル型保護基を導入する場合、反応試薬としてはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール等の塩基性有機化合物を用い、それらの使用量としては、式(1)の化合物に対して通常1〜10倍当量、好ましくは1〜3倍当量程度用いられる。反応溶媒としては、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類や塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等を用い、通常−10〜溶媒還流温度、好ましくは0〜30℃程度で反応を行うのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより式(1)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0036】
一方、アミノ基の保護基を水酸基と反応させることにより水酸基に保護基を導入する方法としては、置換および非置換ベンジルオキシカルボニル保護基に塩基を作用させ、隣接水酸基とオキサゾリジノンを形成させる方法があげられる。用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性無機化合物やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基性有機化合物があげられ、その使用量としては、アミノ基が保護基により保護されている原料化合物に対し1〜10倍当量、好ましくは1〜5倍当量程度用いられる。反応溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類や塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類があげられ、通常0℃〜溶媒還流温度、好ましくは温度調節を必要としない室温程度で反応を行うのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより式(1)又は式(2)の化合物の2級水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0037】
また、式(2)の化合物の2位の水酸基に選択的に保護基を導入する方法としては、通常2位の水酸基より1位の水酸基の方が反応しやすいため、隣接基効果により選択的に保護できる前記のオキサゾリジノン形成による方法に限られる。用いられる試薬、反応条件等は、前記と同様であり、この方法により、式(2)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0038】
又、還元及びスルホニル化は、前記と同様にして行うことができる。
【0039】
式(6)の化合物を式(7)の化合物へと導くための求核置換反応に用いられる有機金属試薬としては、ジリチウムテトラクロロキュープレートを触媒として添加したグリニャール試薬、有機リチウムと銅塩から調製される銅アート錯体、混合銅アート錯体、ヘテロ銅アート錯体、高次銅アート錯体などがあげられる。このうち一般的に用いられるのは、調製及び取扱いが容易なグリニャール試薬と銅アート錯体である。
【0040】
反応に用いられるグリニャール試薬の使用量としては、式(6)で表される化合物に対して、通常1倍当量〜10倍当量、好ましくは、1.5〜3倍当量程度であり、塩化リチウムと塩化第二銅から調製したジリチウムテトラクロロキュープレートを触媒として式(6)で表される化合物に対して、通常0.01〜0.5倍当量、好ましくは、0.01〜0.1倍当量程度添加して反応を行なう。反応溶媒としては、水分を含まず、グリニャール試薬と反応しない非極性溶媒なら特に限定されないが、一般的に金属に配位可能なジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類が用いられ、−78〜30℃程度で反応を行なう。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(7)の化合物を得ることができる。
【0041】
一方、銅アート錯体は、ヨウ化第一銅とそれに対して2倍molの有機リチウムから調製し、使用量としては、式(6)で表される化合物に対して、通常1〜10倍当量、好ましくは1.5〜3倍当量用いるのがよい。反応溶媒としては、水分を含まず、求核剤と反応しない非極性溶媒なら特に限定されないが、一般的に金属に配位可能なジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類が用いられ、通常−78〜30℃程度、好ましくは−78〜0℃で反応を行なう。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(7)の化合物を得ることができる。
【0042】
さらに、得られた式(7)の化合物は、水酸基の保護基を常法により脱離することにより容易に式(5)の化合物へと導くことができる。
【0043】
なお、原料である式(1)の化合物は公知であり、例えばR1がフェニルの化合物は、例えば特公昭57−58338号記載の光学活性3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸のアミノ基を保護することにより容易に得ることができ、R1がシクロヘキシルの化合物は、さらに接触水素添加することによって得ることができる。
【0044】
本発明によれば、入手が容易な式(1)で表される3−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体から、毒性のある化合物を用いることなく、比較的温和な反応条件で、容易に目的とする光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体を高い光学純度で収率よく得ることが出来る。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1
a)(2R,3S)−3−(N−ベンジルオキシカルボニル)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオールの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ酪酸イソプロピル(ここで、N−ZはN−ベンジルオキシカルボニルを示し、以下も同様とする)216.8gをエタノール1750mlに溶解し、撹拌しながら水素化ほう素ナトリウムを86.6g加え、0℃に冷却した。エタノール857mlに溶解した塩化カルシウムのエタノール溶液を徐々に滴下し、4時間撹拌し、反応を行なった。反応終了後は、3N−HClで中和してpHを5とした後、エタノールの減圧留去を行なった。濃縮物に水、酢酸エチルを加えて抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥終了後、ろ過、濃縮し、再結晶で精製することにより、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオール147.1gを収率80%で得、その物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0047】
1 H−NMR (CDCl3 +D2 O)
δ(ppm)0.72〜1.86(m,13H)
3.42〜3.71(br,3H)
3.78〜3.95(br,1H)
4.86〜5.03(br,1H)
5.11(s,2H)
7.27〜7.42(m,5H)
【0048】
旋光度[α]20D =−29.53(c1.002,MeOH)
【0049】
融点 78.5〜79.5℃
【0050】
b)(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ブタノールの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオール10.0gをピリジン67mlに溶解し、0℃で撹拌しながらトシルクロライド6.57gを加えた。反応温度を室温まで徐々に上昇させながら16時間撹拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ブタノール14.0gを収率95%で得、そのNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0051】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.78〜1.78(m,13H)
2.44(s,3H)
2.91(br,1H)
3.72(m,1H)
3.85(m,1H)
4.03(m,2H)
4.91(d,1H,J=9.2Hz)
5.06(m,2H)
7.28〜7.42(m,7H)
7.77(d,2H,J=8.4Hz)
【0052】
c)(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−ブテンオキシドの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ブタノール14.0gをメタノール140mlに溶解し、0℃に冷却した。撹拌しながら、無水炭酸カリウム8.14gを加え、3時間反応を行った。反応終了後、無機塩を濾別し、5%のクエン酸水溶液で中和してpHを7とした後、メタノールを減圧留去した。濃縮物に酢酸エチルを加えて抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−ブテンオキシド6.57gを収率74%で得、そのNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0053】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.78〜1.87(m,13H)
2.57(dd,1H,J=2.6Hz,4.6Hz)
2.71(dd,1H,J=4.0Hz,4.6Hz)
2.99(m,1H)
4.06(m,1H)
4.57(d,1H,J=9.6Hz)
5.09(s,2H)
7.34(s,5H)
【0054】
d)(2S,3S)−2−(N−Z)−アミノ−1−シクロヘキシル−6−メチル−3−ヘプタノールの合成
アルゴンガス雰囲気下、ヨウ化銅184mgを無水THF53mlに懸濁させ、0℃に冷却した。撹拌しながら、イソブチルマグネシウムブロマイドの1MのTHF溶液18.3mlを滴下した。さらに、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−ブテンオキシド1.85gのTHF26ml溶液を30分かけて滴下し、2時間反応を行なった。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(2S,3S)−2−(N−Z)−アミノ−1−シクロヘキシル−6−メチル−3−ヘプタノール1.93gを収率88%で得、そのNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0055】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.78〜1.87(m,24H)
3.51(m,1H)
3.71(m,1H)
4.87(d,1H,J=9.8Hz)
5.10(s,2H)
7.34(s,5H)
【0056】
実施例2
a)(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オンの合成
実施例1a)で得られた(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオール5.0gをメタノール5mlに溶解し、6N NaOH6.5mlを加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、水を加え、塩化メチレンで抽出し、水、飽和塩化アンモニウム水溶液により洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過し、濃縮することにより(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オン4.04gを得、この化合物の物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0057】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.79〜1.82(m,13H)
3.22(t,1H,J=6.6Hz)
3.57〜3.73(m,1H)
3.77〜3.93(m,2H)
6.26(s,1H)
【0058】
旋光度[α]20D =−82.51(c1.004,MeOH)
【0059】
融点 97.0〜98.0℃
【0060】
b)(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オンの合成
(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オン4.04gを塩化メチレン40mlに溶解し、ピリジン4.4mlを加え、0℃で撹拌しながらトシルクロライド3.97gを加えた。反応温度を室温まで徐々に上昇させながら一昼夜撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出し、0.5N HCl、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン5.85gを収率84%で得、この化合物の物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0061】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.75〜1.80(m,13H)
2.46(s,3H)
3.67〜3.79(m,1H)
4.12(d,3H,J=4.68Hz)
4.30(q,1H,J=4.83Hz)
6.08(s,1H)
7.38,7.79(AB,4H,J=8.2Hz)
【0062】
旋光度[α]20D =−59.57(c1.011,MeOH)
【0063】
融点 98.5〜99.5℃
【0064】
c)(4S,5S)−4−シクロヘキシルメチル−5−ペンチルオキサゾリジン−2−オンの合成
アルゴンガス雰囲気下、ヨウ化銅1.55gを無水ジエチルエーテル10mlに懸濁させ、−30℃に冷却した。それに1.68Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液9.7mlを滴下し、1時間撹拌した。さらに(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン1.0gの無水ジエチルエーテル10ml溶液を加え徐々に室温まで昇温しながら4時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5S)−4−シクロヘキシルメチル−5−ペンチルオキサゾリジン−2−オン0.49gを収率71%で得、この化合物の物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0065】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.77〜1.83(m,24H)
3.46〜3.59(m,1H)
4.05〜4.18(m,1H)
6.27(s,1H)
【0066】
旋光度[α]20D =−84.27(c1.000,MeOH)
【0067】
融点 79.5〜80.5℃
【0068】
実施例3
a)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−メトキシカルボニル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ酪酸メチル141.1gをベンゼンに溶解し、2,2−ジメトキシプロパン83mlとp−トルエンスルホン酸0.68gを加え、13時間かけて溶媒を還流留去した。反応終了後、飽和重曹水を加え洗浄した後、水層を酢酸エチルで抽出し、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−メトキシカルボニル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン154.4gを得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0069】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.63〜1.97(m,19H)
3.77(s,3H)
4.31〜4.48(br,2H)
4.99〜5.22(m,2H)
7.29〜7.41(m,5H)
【0070】
b)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−メトキシカルボニル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン154.4gをエタノール750mlに溶解し、0℃に冷却し、水素化ほう素ナトリウム40.63gを加え、さらに塩化カルシウム59.58gをエタノール450mlに溶解した溶液を滴下した。3〜4時間撹拌した後、3N HClを加えて液性をpH5に調整し、濃縮した。濃縮液に水、酢酸エチルを加え、さらに酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン135.32gを収率91%で得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0071】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.58〜2.11(m,20H)
3.51〜3.72(m,2H)
3.77〜4.06(m,2H)
4.99〜5.22(m,2H)
7.28〜7.46(m,5H)
【0072】
c)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン5.11gをピリジン30mlに溶解し、0℃で撹拌しながらトシルクロライド2.82gを加えた。反応温度を室温まで徐々に上昇させながら一昼夜撹拌した後、飽和塩化アンモニウムを加え、塩化メチレンで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン6.78gを収率97%で得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0073】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.54〜1.87(m,19H)
2.43(s,3H)
3.81〜4.11(m,4H)
4.98〜5.21(m,2H)
7.23〜7.42(m,7H)
7.78(d,2H,J=8.3Hz)
【0074】
d)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(2−メチルブチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
アルゴンガス雰囲気下、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン5.68gをTHF12mlに溶解し、−65℃まで冷却し、0.1MのジリチウムテトラクロロキュープレイトTHF溶液を0.53ml加えたイソブチルマグネシウムブロマイドの1MのTHF溶液30mlを滴下した。10分間撹拌した後、室温まで昇温し、一昼夜撹拌した。反応終了後、3N HClを加えて液性をpH4〜5に調整し、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(2−メチルブチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン1.80gを収率46%で得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0075】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.65〜1.90(m,30H)
3.66〜3.89(m,2H)
5.02〜5.22(m,2H)
7.27〜7.43(m,5H)
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、入手容易な光学活性3−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体を用い、そのアミノ基および水酸基の立体を利用することにより、光学純度の高い光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体を収率良く得ることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、医薬品重要中間体として、例えば、降圧剤レニンインヒビターの中間体、HIVプロテアーゼ阻害剤の中間体として有用な、光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法及びその中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製法としては、2−アミノプロパナール誘導体とグリニャール試薬とのカップリング反応を利用した方法が既に知られている(特開昭63−253097)。また、2−アミノプロパナール誘導体の一般的な製法としては、α−アミノ酸を原料として用いる2通りの方法が知られている。まず第一の方法は、α−アミノ酸をα−アミノアルコールまで還元した後、アルデヒドに酸化する方法であり、もう一つの方法は、エステル化した後、温和な条件下でアルデヒドに還元する方法である(合成例としては、例えばJournal of Organic Chemistry,52,1487(1987)があげられる。)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製法では、グリニャール試薬等による2−アミノプロパナール誘導体への求核付加反応を行うため、立体選択性の発現には極めて低い温度設定が必要であり、しかもその立体選択性はあまり期待できず、加えて副生成物が得られる可能性も高い。そのため、カラムクロマトグラフィーによる単離精製が必要となってくるなど様々の問題点を含んでいる。
【0004】
また、原料となる2−アミノプロパナール誘導体は、それ自体が不安定であり、さらにα位のアミノ基がアルデヒドの影響でエピメリ化し易い特徴を持っているため、前記のどちらの方法を用いても、高純度の光学活性アルデヒドを収率よく得るには、かなり細かい条件設定が必要である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記したような課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。即ち本発明は、(1)式(1)
【0006】
【化9】
【0007】
(式中、R1はフェニル基もしくはシクロヘキシル基を、R2およびR3はそれぞれ独立して水素または保護基を、R4は水素、炭素数1〜4のアルキル基またはアリル基を示す。*1および*2の立体配置は、S配置またはR配置を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体を還元し、得られる式(2)
【0008】
【化10】
【0009】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1,2−ブタンジオール誘導体の1級水酸基をスルホニル化し、得られる式(3)
【0010】
【化11】
【0011】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示し、R5は低級アルキル基またはアリール基を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1−スルホニルオキシ−2−ブタノール誘導体を1,3−脱離によりエポキシ化し、次いで得られる式(4)
【0012】
【化12】
【0013】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1−ブテンオキシド誘導体に有機金属試薬を位置選択的に求核置換反応させることを特徴とする式(5)
【0014】
【化13】
【0015】
(式中、R1、R2、R3、*1、*2は前記と同じ意味を示し、R6は水素、炭素数1〜4のアルキル基またはアリル基を示す。)で表わされる光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法、
【0016】
(2)上記式(1)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入した後還元するか、又は、式(2)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入し、次いで1級水酸基をスルホニル化することにより得られる式(6)
【0017】
【化14】
【0018】
(式中、R1はフェニル基もしくはシクロヘキシル基を、R2およびR3はそれぞれ独立して水素または保護基を、R5は低級アルキル基またはアリール基を、R7は保護基を示し、*1および*2の立体配置は、S配置またはR配置を示す。)
で表わされる光学活性3−アミノ−1−スルホニルオキシ−2−オキシブタン誘導体に有機金属試薬を求核置換反応させることを特徴とする式(7)
【0019】
【化15】
【0020】
(式中、R1、R2、R3、R7、*1、*2は前記と同じ意味を示し、R6は水素、炭素数1〜4のアルキル基またはアリル基を示す。)で表わされる光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法、
【0021】
(3)上記式(3)で表されるか、又は、式(3)の−OH基が保護基で保護されている即ち式(6)で表される3−アミノ−1−スルホニルオキシ−2−ブタノール誘導体、
に関する。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるアミノ基の保護基(R2、R3)としては、公知のアミノ基の保護基はいずれも使用できるが、好ましくはアシル型保護基としてホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、置換および非置換ベンゾイル等、ウレタン型保護基として置換および非置換ベンジルオキシカルボニル、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル、シクロアルカノオキシカルボニル等、その他の保護基として、置換および非置換アリールスルホニル、フタリル、o−ニトロベンゼンスルホニル、トリチル等があげられる。
【0023】
また水酸基の保護基(R7)としては、求核試薬と反応しないものであれば全て使用できるが、好ましくは反応後、脱保護容易な保護基がよく、アセタール型保護基として置換および非置換テトラヒドロピラン、エトキシエチル等、エーテル型保護基として置換および非置換ベンジル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、シリル型保護基としてトリメチルシリル、ターシャリーブチルジメチルシリル、セキシルジメチルシリル等のアルキルシリル、トリフェニルシリル等のアリールシリルなどがあげられる。さらに、アミノ基の保護基(R2、R3)と水酸基の保護基(R7)はお互いに結合して酸素原子及び窒素原子を含む複素環を形成してもよく、例えば、イソプロピリデン等のアルキリデンやオキサゾリジノン構造によりアミノ基と水酸基を同時に保護することができる。
【0024】
R4、R6は水素、炭素数1〜4のアルキル基又はアリル基を示すが、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。R5の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アリール基としては、置換又は非置換のフェニル基、ナフチル基例えばp−メチルフェニル、p−ニトロフェニル、p−ブロモフェニル等が挙げられる。
【0025】
本発明における式(1)の化合物から式(2)の化合物への還元反応としては、たとえば水素化ほう素化合物、水素化アルミニウム化合物、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム等を用いる方法、ジボランによる方法、ナトリウム、リチウムを使ったBirch還元などがあげられ特に限定されないが、一般的には水素化ほう素化合物、水素化アルミニウム化合物、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム等を用いる方法が用いられる。
【0026】
水素化ほう素化合物を用いる場合、反応基はエステル(R4が水素以外を示す式(1)の化合物)に限られるが、N−保護基は特に限定はされない。反応に用いられる水素化ほう素化合物としては、水素化ほう素ナトリウム、水素化ほう素カルシウム、水素化ほう素リチウムなどがあげられ、その使用量としては、式(1)の化合物に対して通常1〜10倍当量、好ましくは、2〜4倍当量加えて反応を行なう。水素化ほう素ナトリウムの場合、溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールを用い、通常−20℃〜溶媒還流温度、好ましくは、10〜40℃で反応を行なう。水素化ほう素カルシウムの場合、溶媒としてメタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールを用い、通常−20〜30℃、好ましくは、−10〜10℃で反応を行なう。水素化ほう素リチウムの場合には、溶媒としてジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用い、通常10℃〜溶媒還流温度、好ましくは、反応速度の速い溶媒還流温度で反応を行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(2)の化合物を得ることができる。
【0027】
得られた式(2)の化合物からエポキシドを得る方法としては、たとえば1,2−ジオールから直接得る方法、一方の水酸基をハロゲンなどに官能基変換してから1,3−脱離により得る方法、一方の水酸基をアリールスルホネートまたはアルキルスルホネートにしてから塩基により閉環する方法などがあげられる。しかしながら、これらの方法のうち、1,2−ジオールから直接得る方法では、毒性のあるトリフェニルホスフィンやジエチルアゾジカーボネートを過剰量用いる必要があり、官能基変換する方法では、片方の水酸基の保護が必要であり、また直接ハロゲン化するには三臭化リンや塩化チオニルなどの酸性物質を使用するため、N−保護基が制限されるという問題がある。本発明では比較的温和な反応条件が可能なスルホネートを経る方法を採用しており、特に好ましくは1級水酸基のみを選択的にスルホネート化できる、アリールスルホネートを経て塩基により閉環する方法が良い。
【0028】
アリールスルホネートとしては、p−トルエンスルホネート、p−ニトロベンゼンスルホネート、p−ブロモベンゼンスルホネートなどがあげられるが、一般には比較的安価で、取扱い易いp−トルエンスルホネート(トシレート)を経由する方法が用いられる。式(3)の化合物を得る方法としては、式(2)の化合物に塩基性条件下で、トシルクロライド等のXSO2 R5(式中Xは塩素等のハロゲン原子を、R5は前記と同じ意味を示す)で示される化合物を反応させる方法が一般的である。XSO2 R5で示される化合物の使用量としては、式(2)の化合物に対して通常1〜1.5倍当量、好ましくは、1級水酸基のみを選択的にスルホニル化するために1〜1.2倍当量加えて反応を行なう。用いる塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の塩基性無機化合物があげられるが、好ましくは、有機溶媒に容易に溶解する有機アミン類、なかでも塩基性が比較的低く溶媒として使用可能なピリジンがよい。反応温度は通常−5〜30℃、好ましくは、温度調節を必要としない室温で行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(3)の化合物を得ることができる。
【0029】
得られた式(3)の化合物をエポキシ化する反応としては、塩基性条件下で行なう方法が一般的であり、用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属類、または炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸塩類があげられ、それらを式(3)の化合物に対して、通常1〜5倍当量、好ましくは、2〜3倍当量用いる。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールのような低級アルコールがあげられるが、反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば、特に限定されない。反応温度は通常−10〜30℃、好ましくは副反応が抑えられ、比較的調整容易な−5〜10℃で行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(4)の化合物を得ることができる。
【0030】
得られた式(4)の化合物の求核置換反応に用いられる有機金属試薬としては、グリニャール試薬、有機リチウム、有機アルミニウム等があげられるが、好ましくは、調製及び取扱いが容易であり、応用範囲の広いグリニャール試薬を用いるのがよい。またグリニャール試薬を用いる場合、添加物として反応系中にヨウ化第1銅、塩化第1銅、シアン化第1銅などの1価の銅塩を、触媒量共存させて金属交換することにより触媒的有機銅試薬を調製する方法や、ルイス酸である三フッ化ホウ素エーテラート錯体を共存させる方法などが知られているが、好ましくは、反応を促進し、ハロヒドリン等の副生成物が抑えられる触媒的有機銅試薬を用いる方法がよい。
【0031】
反応に用いられるグリニャール試薬の使用量としては、式(4)で表される化合物に対して、通常1倍当量〜10倍当量、好ましくは、2〜4倍当量加えて反応を行なう。また、触媒として加える1価の銅塩は、加えるグリニャール試薬に対して0.1〜1倍当量、好ましくは、0.15〜0.3倍当量程度がよい。反応溶媒としては、水分を含まず、グリニャール試薬と反応しない非極性溶媒なら特に限定はないが、金属に配位可能なジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素等を用い、−78℃〜溶媒還流温度、好ましくは副反応が抑えられ、比較的調整容易な−40〜0℃で反応を行なうのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(5)の化合物を得ることができる。
【0032】
式(6)の化合物は、式(1)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入した後還元するか、又は、式(2)の化合物の2位の水酸基に保護基を導入し、次いで1級水酸基をスルホニル化することにより得られる。2位の水酸基に保護基を導入する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、アミノ基の保護基を水酸基と反応させることにより水酸基に保護基を導入する場合は、保護基を構成することになる化合物を用いなくてもよいが、保護基を構成することになる化合物を別途使用して式(1)の化合物と反応させてもよい。保護基を構成することになる化合物を用いる場合、該化合物としては例えばアセタール型保護基を構成するジヒドロピラン、エチルビニルエーテル、2,2−ジメトキシプロパン等、エーテル型保護基を構成するベンジルハライド、クロロメチルメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルクロライド、シリル型保護基を構成するクロロトリメチルシラン、ターシャリーブチルクロロジメチルシラン、ジメチルセキシルシリルクロライド、クロロトリフェニルシラン等が使用でき、その使用量は、式(1)の化合物に対して通常1〜10倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
【0033】
アセタール型保護基を導入する場合、反応試薬としては酸を用い、用いられる酸としてp−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩、カンファースルホン酸等の有機溶媒に易溶の有機酸類があげられ、酸の使用量としては、式(1)の化合物に対して通常0.1〜1倍当量、好ましくは0.1〜0.3倍当量程度用いられる。反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素類等を用い、−20〜溶媒還流温度、好ましくは比較的調整容易な0〜30℃程度で反応を行うのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(1)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0034】
エーテル型保護基を導入する場合、反応試薬としては水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性無機化合物やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基性有機化合物があげられる。それら塩基の使用量、反応溶媒、反応温度等の反応条件は、用いる塩基によってそれぞれ異なり特に限定されないが、通常塩基を式(1)の化合物に対して1〜10倍当量、好ましくは1〜3倍当量程度用い、反応溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類や塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられ、反応温度としては、−10〜100℃、通常は0〜50℃程度で反応を行う。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(1)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0035】
シリル型保護基を導入する場合、反応試薬としてはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、イミダゾール等の塩基性有機化合物を用い、それらの使用量としては、式(1)の化合物に対して通常1〜10倍当量、好ましくは1〜3倍当量程度用いられる。反応溶媒としては、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類や塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等を用い、通常−10〜溶媒還流温度、好ましくは0〜30℃程度で反応を行うのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより式(1)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0036】
一方、アミノ基の保護基を水酸基と反応させることにより水酸基に保護基を導入する方法としては、置換および非置換ベンジルオキシカルボニル保護基に塩基を作用させ、隣接水酸基とオキサゾリジノンを形成させる方法があげられる。用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性無機化合物やトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基性有機化合物があげられ、その使用量としては、アミノ基が保護基により保護されている原料化合物に対し1〜10倍当量、好ましくは1〜5倍当量程度用いられる。反応溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類や塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類があげられ、通常0℃〜溶媒還流温度、好ましくは温度調節を必要としない室温程度で反応を行うのがよい。反応終了後は、常法に従って処理することにより式(1)又は式(2)の化合物の2級水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0037】
また、式(2)の化合物の2位の水酸基に選択的に保護基を導入する方法としては、通常2位の水酸基より1位の水酸基の方が反応しやすいため、隣接基効果により選択的に保護できる前記のオキサゾリジノン形成による方法に限られる。用いられる試薬、反応条件等は、前記と同様であり、この方法により、式(2)の化合物の水酸基を保護した化合物を得ることができる。
【0038】
又、還元及びスルホニル化は、前記と同様にして行うことができる。
【0039】
式(6)の化合物を式(7)の化合物へと導くための求核置換反応に用いられる有機金属試薬としては、ジリチウムテトラクロロキュープレートを触媒として添加したグリニャール試薬、有機リチウムと銅塩から調製される銅アート錯体、混合銅アート錯体、ヘテロ銅アート錯体、高次銅アート錯体などがあげられる。このうち一般的に用いられるのは、調製及び取扱いが容易なグリニャール試薬と銅アート錯体である。
【0040】
反応に用いられるグリニャール試薬の使用量としては、式(6)で表される化合物に対して、通常1倍当量〜10倍当量、好ましくは、1.5〜3倍当量程度であり、塩化リチウムと塩化第二銅から調製したジリチウムテトラクロロキュープレートを触媒として式(6)で表される化合物に対して、通常0.01〜0.5倍当量、好ましくは、0.01〜0.1倍当量程度添加して反応を行なう。反応溶媒としては、水分を含まず、グリニャール試薬と反応しない非極性溶媒なら特に限定されないが、一般的に金属に配位可能なジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類が用いられ、−78〜30℃程度で反応を行なう。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(7)の化合物を得ることができる。
【0041】
一方、銅アート錯体は、ヨウ化第一銅とそれに対して2倍molの有機リチウムから調製し、使用量としては、式(6)で表される化合物に対して、通常1〜10倍当量、好ましくは1.5〜3倍当量用いるのがよい。反応溶媒としては、水分を含まず、求核剤と反応しない非極性溶媒なら特に限定されないが、一般的に金属に配位可能なジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類が用いられ、通常−78〜30℃程度、好ましくは−78〜0℃で反応を行なう。反応終了後は、常法に従って処理することにより、式(7)の化合物を得ることができる。
【0042】
さらに、得られた式(7)の化合物は、水酸基の保護基を常法により脱離することにより容易に式(5)の化合物へと導くことができる。
【0043】
なお、原料である式(1)の化合物は公知であり、例えばR1がフェニルの化合物は、例えば特公昭57−58338号記載の光学活性3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸のアミノ基を保護することにより容易に得ることができ、R1がシクロヘキシルの化合物は、さらに接触水素添加することによって得ることができる。
【0044】
本発明によれば、入手が容易な式(1)で表される3−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体から、毒性のある化合物を用いることなく、比較的温和な反応条件で、容易に目的とする光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体を高い光学純度で収率よく得ることが出来る。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1
a)(2R,3S)−3−(N−ベンジルオキシカルボニル)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオールの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ酪酸イソプロピル(ここで、N−ZはN−ベンジルオキシカルボニルを示し、以下も同様とする)216.8gをエタノール1750mlに溶解し、撹拌しながら水素化ほう素ナトリウムを86.6g加え、0℃に冷却した。エタノール857mlに溶解した塩化カルシウムのエタノール溶液を徐々に滴下し、4時間撹拌し、反応を行なった。反応終了後は、3N−HClで中和してpHを5とした後、エタノールの減圧留去を行なった。濃縮物に水、酢酸エチルを加えて抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥終了後、ろ過、濃縮し、再結晶で精製することにより、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオール147.1gを収率80%で得、その物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0047】
1 H−NMR (CDCl3 +D2 O)
δ(ppm)0.72〜1.86(m,13H)
3.42〜3.71(br,3H)
3.78〜3.95(br,1H)
4.86〜5.03(br,1H)
5.11(s,2H)
7.27〜7.42(m,5H)
【0048】
旋光度[α]20D =−29.53(c1.002,MeOH)
【0049】
融点 78.5〜79.5℃
【0050】
b)(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ブタノールの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオール10.0gをピリジン67mlに溶解し、0℃で撹拌しながらトシルクロライド6.57gを加えた。反応温度を室温まで徐々に上昇させながら16時間撹拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ブタノール14.0gを収率95%で得、そのNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0051】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.78〜1.78(m,13H)
2.44(s,3H)
2.91(br,1H)
3.72(m,1H)
3.85(m,1H)
4.03(m,2H)
4.91(d,1H,J=9.2Hz)
5.06(m,2H)
7.28〜7.42(m,7H)
7.77(d,2H,J=8.4Hz)
【0052】
c)(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−ブテンオキシドの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−(p−トルエンスルホニルオキシ)−2−ブタノール14.0gをメタノール140mlに溶解し、0℃に冷却した。撹拌しながら、無水炭酸カリウム8.14gを加え、3時間反応を行った。反応終了後、無機塩を濾別し、5%のクエン酸水溶液で中和してpHを7とした後、メタノールを減圧留去した。濃縮物に酢酸エチルを加えて抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−ブテンオキシド6.57gを収率74%で得、そのNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0053】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.78〜1.87(m,13H)
2.57(dd,1H,J=2.6Hz,4.6Hz)
2.71(dd,1H,J=4.0Hz,4.6Hz)
2.99(m,1H)
4.06(m,1H)
4.57(d,1H,J=9.6Hz)
5.09(s,2H)
7.34(s,5H)
【0054】
d)(2S,3S)−2−(N−Z)−アミノ−1−シクロヘキシル−6−メチル−3−ヘプタノールの合成
アルゴンガス雰囲気下、ヨウ化銅184mgを無水THF53mlに懸濁させ、0℃に冷却した。撹拌しながら、イソブチルマグネシウムブロマイドの1MのTHF溶液18.3mlを滴下した。さらに、(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1−ブテンオキシド1.85gのTHF26ml溶液を30分かけて滴下し、2時間反応を行なった。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(2S,3S)−2−(N−Z)−アミノ−1−シクロヘキシル−6−メチル−3−ヘプタノール1.93gを収率88%で得、そのNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0055】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.78〜1.87(m,24H)
3.51(m,1H)
3.71(m,1H)
4.87(d,1H,J=9.8Hz)
5.10(s,2H)
7.34(s,5H)
【0056】
実施例2
a)(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オンの合成
実施例1a)で得られた(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−1,2−ブタンジオール5.0gをメタノール5mlに溶解し、6N NaOH6.5mlを加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、水を加え、塩化メチレンで抽出し、水、飽和塩化アンモニウム水溶液により洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過し、濃縮することにより(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オン4.04gを得、この化合物の物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0057】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.79〜1.82(m,13H)
3.22(t,1H,J=6.6Hz)
3.57〜3.73(m,1H)
3.77〜3.93(m,2H)
6.26(s,1H)
【0058】
旋光度[α]20D =−82.51(c1.004,MeOH)
【0059】
融点 97.0〜98.0℃
【0060】
b)(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オンの合成
(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−ヒドロキシメチルオキサゾリジン−2−オン4.04gを塩化メチレン40mlに溶解し、ピリジン4.4mlを加え、0℃で撹拌しながらトシルクロライド3.97gを加えた。反応温度を室温まで徐々に上昇させながら一昼夜撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、塩化メチレンで抽出し、0.5N HCl、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン5.85gを収率84%で得、この化合物の物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0061】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.75〜1.80(m,13H)
2.46(s,3H)
3.67〜3.79(m,1H)
4.12(d,3H,J=4.68Hz)
4.30(q,1H,J=4.83Hz)
6.08(s,1H)
7.38,7.79(AB,4H,J=8.2Hz)
【0062】
旋光度[α]20D =−59.57(c1.011,MeOH)
【0063】
融点 98.5〜99.5℃
【0064】
c)(4S,5S)−4−シクロヘキシルメチル−5−ペンチルオキサゾリジン−2−オンの合成
アルゴンガス雰囲気下、ヨウ化銅1.55gを無水ジエチルエーテル10mlに懸濁させ、−30℃に冷却した。それに1.68Mのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液9.7mlを滴下し、1時間撹拌した。さらに(4S,5R)−4−シクロヘキシルメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン1.0gの無水ジエチルエーテル10ml溶液を加え徐々に室温まで昇温しながら4時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5S)−4−シクロヘキシルメチル−5−ペンチルオキサゾリジン−2−オン0.49gを収率71%で得、この化合物の物理化学的性質は以下のとおりであった。
【0065】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.77〜1.83(m,24H)
3.46〜3.59(m,1H)
4.05〜4.18(m,1H)
6.27(s,1H)
【0066】
旋光度[α]20D =−84.27(c1.000,MeOH)
【0067】
融点 79.5〜80.5℃
【0068】
実施例3
a)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−メトキシカルボニル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
(2R,3S)−3−(N−Z)−アミノ−4−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ酪酸メチル141.1gをベンゼンに溶解し、2,2−ジメトキシプロパン83mlとp−トルエンスルホン酸0.68gを加え、13時間かけて溶媒を還流留去した。反応終了後、飽和重曹水を加え洗浄した後、水層を酢酸エチルで抽出し、さらに飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−メトキシカルボニル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン154.4gを得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0069】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.63〜1.97(m,19H)
3.77(s,3H)
4.31〜4.48(br,2H)
4.99〜5.22(m,2H)
7.29〜7.41(m,5H)
【0070】
b)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−メトキシカルボニル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン154.4gをエタノール750mlに溶解し、0℃に冷却し、水素化ほう素ナトリウム40.63gを加え、さらに塩化カルシウム59.58gをエタノール450mlに溶解した溶液を滴下した。3〜4時間撹拌した後、3N HClを加えて液性をpH5に調整し、濃縮した。濃縮液に水、酢酸エチルを加え、さらに酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン135.32gを収率91%で得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0071】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.58〜2.11(m,20H)
3.51〜3.72(m,2H)
3.77〜4.06(m,2H)
4.99〜5.22(m,2H)
7.28〜7.46(m,5H)
【0072】
c)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−ヒドロキシメチル−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン5.11gをピリジン30mlに溶解し、0℃で撹拌しながらトシルクロライド2.82gを加えた。反応温度を室温まで徐々に上昇させながら一昼夜撹拌した後、飽和塩化アンモニウムを加え、塩化メチレンで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン6.78gを収率97%で得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0073】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.54〜1.87(m,19H)
2.43(s,3H)
3.81〜4.11(m,4H)
4.98〜5.21(m,2H)
7.23〜7.42(m,7H)
7.78(d,2H,J=8.3Hz)
【0074】
d)(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(2−メチルブチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジンの合成
アルゴンガス雰囲気下、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン5.68gをTHF12mlに溶解し、−65℃まで冷却し、0.1MのジリチウムテトラクロロキュープレイトTHF溶液を0.53ml加えたイソブチルマグネシウムブロマイドの1MのTHF溶液30mlを滴下した。10分間撹拌した後、室温まで昇温し、一昼夜撹拌した。反応終了後、3N HClを加えて液性をpH4〜5に調整し、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後、濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(4S,5R)−3−(N−Z)−2,2−ジメチル−5−(2−メチルブチル)−4−シクロヘキシルメチルオキサゾリジン1.80gを収率46%で得、この化合物のNMR分析結果は以下のとおりであった。
【0075】
1 H−NMR (CDCl3 )
δ(ppm)0.65〜1.90(m,30H)
3.66〜3.89(m,2H)
5.02〜5.22(m,2H)
7.27〜7.43(m,5H)
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、入手容易な光学活性3−アミノ−2−ヒドロキシ酪酸エステル誘導体を用い、そのアミノ基および水酸基の立体を利用することにより、光学純度の高い光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体を収率良く得ることができる。
Claims (1)
- 式(1)
Priority Applications (1)
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JP34546693A JP3573357B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | 3−アミノ−2−ヒドロキシ−酪酸エステル誘導体を出発原料とする光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法及びその中間体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP34546693A JP3573357B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | 3−アミノ−2−ヒドロキシ−酪酸エステル誘導体を出発原料とする光学活性3−アミノ−2−ブタノール誘導体の製造法及びその中間体 |
Publications (2)
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