JP3573263B2 - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁コイルを中心として構成された電磁アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁アクチュエータは、エンジンバルブ駆動用等に用いられるアクチュエータである。
ここで、永久磁石及び電磁コイルで構成されたエンジンバルブ駆動用の電磁アクチュエータについて、図8を参照して説明する。図8は、従来技術における電磁アクチュエータの構成を示す縦断面図である。
【0003】
図8に示されるように、この電磁アクチュエータ42は、第1コア6,中間コア16A,16B,第2コア20を基本として構成されている。第1コア6には第1コイル8が巻かれており、第2コア20には第2コイル18が巻かれている。また、第1コイル8と第2コイル18の間には、紙面に垂直方向に直線状に伸びた一対の永久磁石14A,14Bが、中間コア16A,16Bにそれぞれ固定されている。
【0004】
そして、これら第1コア6,第1コイル8,永久磁石14A,14B,第2コイル18,第2コア20の間の空間に、可動子12が移動可能に収容されている。さらに、第1コア6にはばね用孔10aが設けられており、可動子12をエンジンバルブ38が開く方向(図8では下方向)に付勢する第1コイルばね10が収容されている。
一方、可動子12の下面にはロッド22が固定されており、このロッド22の下方には、エンジンバルブ38のステム30がバルブガイド32によって上下動可能に支持されている。
【0005】
このステム30の上端にはばね受け部材26が設けられており、このばね受け部材26には、ステム30すなわちエンジンバルブ38を閉じる方向(図8では上方向)に付勢する第2コイルばね28が取り付けられている。前記ロッド22とステム30は一体に接続されており、エンジンバルブ38が閉じた状態においては、可動子12と第1コア6の間に隙間が生じるように設定されている。これによって、第2コイルばね28の付勢力によってエンジンバルブ38を弁座36に確実に密着させることができ、吸排気通路34と燃焼室40との間が完全に遮断される。
【0006】
かかる構造を有する電磁アクチュエータ42の作動について、図8を参照して説明する。図8は、エンジンキーがオフの状態を示している。エンジンキーがオフのときには、第1コイルばね10と第2コイルばね28の付勢力等によって、可動子12は中立位置にある。この状態からエンジンキーがオンすると、第1コイル8に通電される。これによって、可動子12と第1コア6との間に吸引力が発生し、可動子12は第1コイルばね10の付勢力に抗してエンジンバルブ38を閉じる方向(上方向)に移動する。そして、エンジンバルブ38が弁座36に当接した状態で第1コイル8への通電を停止する。このとき、可動子12は永久磁石14A,14Bの磁力によって閉位置に保持される。これによって、エンジンバルブ38が全閉状態となる。
【0007】
この状態からエンジンバルブ38を全開にするには、永久磁石14A,14Bの磁力による吸引力を打ち消す方向に第1コイル8に通電される。これによって、永久磁石14A,14Bの磁力による吸引力が打ち消されて、第1コイルばね10の付勢力によって可動子12がバルブ開方向(下方向)に移動する。同時に、第2コイル18に通電される。これによって、可動子12と第2コア20との間に吸引力が発生し、可動子12は第2コイルばね28の付勢力に抗してさらに下方に移動する。そして、可動子12が開位置に達したとき第2コイル18への通電を停止する。このとき可動子12は、永久磁石14A,14Bの磁力によって開位置に保持される。
【0008】
エンジンバルブ38を再び全閉にするには、永久磁石14A,14Bの磁力による吸引力を打ち消す方向に第2コイル18に通電される。これによって、永久磁石14A,14Bの磁力による吸引力が打ち消されて、第2コイルばね28の付勢力によって可動子12が閉方向に移動する。同時に、第1コイル8に通電され、可動子12は第1コイルばね10の付勢力に抗してさらに上昇する。そして、可動子12が閉位置に達したときに第1コイル8への通電を停止する。このとき可動子12は、永久磁石14A,14Bの磁力による吸引力で閉位置に保持される。
このようにして、第1コイル8および第2コイル18に通電することによって可動子12が移動し、エンジンバルブ38が開閉される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の電磁アクチュエータ42においては、図8に示されるように、可動子12と第1コア6及び第2コア20との間に大きなエアーギャップが生ずる。このため、電磁効率が悪く、可動子12を移動させるのに大きな電流が必要となるため、消費電力が大きいという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明の課題は、エアーギャップを小さくして電磁効率を向上させることによって消費電力を低減した電磁アクチュエータを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明においては、コア内の空間部に移動可能に設けられ、移動方向に平行な方向に互いにスライド可能な第1の可動子と第2の可動子からなる可動子と、前記可動子の移動方向両側に設けられたコイルと、前記第1の可動子を前記第2の可動子方向に付勢する第1のばねと、前記第2の可動子を前記第1の可動子方向に付勢する第2のばねと、前記第1の可動子と前記第2の可動子の間に設けられ、前記第1の可動子と前記第2の可動子が離れる方向に付勢する第3のばねとを有し、前記第3のばねの縮んだときの付勢力が、前記第1のばねの伸びたときの付勢力及び前記第2のばねの伸びたときの付勢力より大きく設定されている電磁アクチュエータを創出した。
【0012】
この発明に係る電磁アクチュエータの作動について説明すると、いずれかのコイルに通電されている状態では、可動子はコイルの磁力によって吸引されてそのコイル側の移動端にある。第1の可動子側のコイル(以下、「第1コイル」という。)に通電されている場合には、第1の可動子は、第1コイルの吸引力によって第1のばねの付勢力に打ち勝ってコアに密着している。また、第2の可動子は第3のばねの付勢力に打ち勝って第1の可動子に最接近して縮んだ状態にあり、また第2のばねは伸びた状態にある。
【0013】
この状態から、第1コイルへの通電を停止すると、第1コイルの吸引力から開放された第2の可動子は、第3のばねの付勢力によって第1の可動子から離れる方向にスライドする。ここで、第3のばねの縮んだときの付勢力が第2のばねの伸びたときの付勢力より大きく設定されているために、第2の可動子は第2のばねの付勢力に打ち勝ってスライドするのである。
この結果、可動子は全体として伸びた状態となり、可動子とコアとの間のエアーギャップが小さくなる。これによって電磁効率が向上し、続いて第2可動子側のコイル(以下、「第2コイル」という。)に通電する際に可動子を移動させるために必要な電流値が小さくて済み、消費電力が低減される。
【0014】
第2コイルに通電されることによって、第2コイルの吸引力によって可動子が第2コイル側の移動端まで移動すると、第2の可動子は第2のばねの付勢力に打ち勝ってコアと密着した状態となる。また、第1の可動子は第3のばねの付勢力に打ち勝って第2の可動子に最接近して縮んだ状態になり、第1のばねは伸びた状態となる。そして、第2コイルへの通電が維持されることによって、この状態が保持される。
【0015】
この状態から、再び可動子を第1コイル側の移動端に移動させるには、第2コイルへの通電を停止する。すると、第2コイルの吸引力から開放された第1の可動子は、第3のばねの付勢力によって第2の可動子から離れる方向にスライドする。ここで、第3のばねの縮んだときの付勢力が第1のばねの伸びたときの付勢力より大きく設定されているために、第1の可動子は第1のばねの付勢力に打ち勝ってスライドするのである。
この結果、可動子はまた全体として伸びた状態となり、可動子とコアとの間のエアーギャップが小さくなる。これによって電磁効率が向上し、続いて第1コイルに通電する際に可動子を移動させるために必要な電流値が小さくて済み、消費電力が低減される。
【0016】
第1コイルに通電されることによって、第1コイルの吸引力によって可動子が第1コイル側の移動端まで移動すると、第1の可動子は第1のばねの付勢力に打ち勝ってコアと密着した状態となる。また、第2の可動子は第3のばねの付勢力に打ち勝って第1の可動子に最接近して縮んだ状態になり、第2のばねは伸びた状態となる。そして、第1コイルへの通電が維持されて、最初の状態に戻る。
このようにして、本発明の電磁アクチュエータによれば、可動子の移動の際のエアーギャップを小さくして電磁効率を向上させることによって、消費電力を低減することができる。
【0017】
また、上記の課題を解決するために、請求項2に係る発明においては、請求項1に記載された電磁アクチュエータであって、前記コイルの間に永久磁石が設けられている電磁アクチュエータを創出した。
【0018】
この発明に係る電磁アクチュエータにおいては、第1コイルと第2コイルの間に永久磁石が設けられている。従って、可動子がいずれかのコイルの吸引力によってそのコイル側の移動端に移動したときに、永久磁石の磁力によって吸引されてその移動端に保持される。これによって、そのコイルへの通電を停止しても、可動子はそのコイル側の移動端に保持されるので、可動子の保持のためにコイルに通電する必要がなくなり、消費電力を低減することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具現化した一実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。まず、本実施形態の電磁アクチュエータの構成について、図1を参照して説明する。図1は本実施形態の電磁アクチュエータの構成を示す縦断面図である。
本実施形態の電磁アクチュエータ2は、図8に示される従来技術の電磁アクチュエータ42と同様に、エンジンバルブ駆動用の電磁アクチュエータであって、第1コア6,中間コア16A,16B,第2コア20を基本として構成されている。第1コア6には第1コイル8が巻かれており、第2コア20には第2コイル18が巻かれている。また、第1コイル8と第2コイル18の間には、紙面に垂直方向に直線状に伸びた一対の永久磁石14A,14Bが、中間コア16A,16Bにそれぞれ固定されている。
【0020】
そして、これら第1コア6,第1コイル8,永久磁石14A,14B,第2コイル18,第2コア20の間の空間に、可動子24が移動可能に収容されている。この可動子24は、移動方向(図1では上下方向)に平行な方向にスライド可能に嵌合した第1可動子24Aと第2可動子24Bから構成されている。さらに、第1可動子24Aと第2可動子24Bの間には第3コイルばね4が収容されており、両者を引き離す方向に付勢力を与えている。
【0021】
一方、第1コア6にはばね用孔10aが設けられており、第1可動子24Aを第2可動子24Bに押し付ける方向(図1では下方向)に付勢する第1コイルばね10が収容されている。
また、第2可動子24Bの下面にはロッド22が固定されており、このロッド22の下方には、エンジンバルブ38のステム30がバルブガイド32によって上下動可能に支持されている。
【0022】
このステム30の上端にはばね受け部材26が設けられており、このばね受け部材26には、ステム30すなわちエンジンバルブ38を閉じる方向(図1では上方向)に付勢する第2コイルばね28が取り付けられている。
ここで、従来技術と異なり、前記ロッド22とステム30は別体で分離しており、ステム30の長さは、エンジンバルブ38が弁座36に密着した状態で、可動子24が第1コア6に密着したときにロッド22とステム30の間に隙間が生じるように設定されている。これによって、可動子24の上端面と第1コア6との間に隙間を設定しなくても、エンジンバルブ38を弁座36に確実に密着させることができ、吸排気通路34と燃焼室40との間が完全に遮断される。
【0023】
さらに、前記第1可動子24Aと第2可動子24Bが密着して第3コイルばね4が縮んだ状態の付勢力は、第1コイルばね10あるいは第2コイルばね28の、可動子24が中立位置にある状態より伸びた状態における付勢力より大きくなるように設定されている。
【0024】
本実施形態では、第1コイルばね10,第2コイルばね28,第3コイルばね4が、それぞれ本発明における第1のばね,第2のばね,第3のばねに相当する。また、第1コア6,中間コア16A,16B,第2コア20が、本発明におけるコアに相当する。
さらに、第1コイル8及び第2コイル18が、本発明におけるコイルに相当する。
【0025】
次に、かかる構成を有する電磁アクチュエータ2の作動について、図1乃至図3を参照して説明する。図2及び図3は、電磁アクチュエータ2の作動を示す模式図である。
図1は、電磁アクチュエータ2について、エンジンキーがオフの状態を示している。エンジンキーがオフのときには、第1コイルばね10と第2コイルばね28の付勢力等によって、可動子24は中立位置にある。この状態からエンジンキーがオンすると、第1コイル8に通電される。これによって、可動子24と第1コア6との間に吸引力が発生し、可動子24は第1コイルばね10の付勢力に抗してエンジンバルブ38を閉じる方向(上方向)に移動する。そして、エンジンバルブ38が弁座36に当接した状態で第1コイル8への通電を停止する。
【0026】
このとき、図2(A)に示されるように、可動子24は永久磁石14A,14Bの磁力によって上部コア6に密着して閉位置に保持される。永久磁石14A,14Bの発する磁束が実線で示されている。これによって、エンジンバルブ38が弁座36に密着して、吸排気通路34と燃焼室40との間が完全に遮断される。すなわち、エンジンバルブ38が全閉状態となる。
【0027】
この状態からエンジンバルブ38を開けるには、図2(B)に示されるように、破線で示される永久磁石14A,14Bによる磁束と逆の方向に磁束が発生するように、第1コイル8に通電される。なお、実線で示されるように、永久磁石14A,14Bの部分は磁気抵抗が高いため、第1コイル8の磁束は第2コイル18の下方(第2コア20)を通ることになる。
【0028】
これによって、永久磁石14A,14Bの磁力による吸引力が打ち消される。このとき、上述したように、縮んだ状態の第3コイルばね4の付勢力は、伸びた状態の第2コイルばね28の付勢力より大きくなるように設定されているため、第3コイルばね4の付勢力によって、第2可動子24Bがバルブ開方向(下方向)に移動する。
【0029】
同時に、第2コイル18に通電される。このとき、図2(B)に示されるように、第2可動子24Bが第1可動子24Aに対して下方に移動しているため、第2コア20との間のエアーギャップが小さくなっている。一方、第1可動子24Aは第1コア6に密着しているため、この部分にはエアーギャップはない。従って、全体として可動子24とコア間のエアーギャップは小さくなり、電磁効率が向上して、可動子24を移動させるために必要な電流が小さくて済む。これによって、第2コイル18の消費電力は低減される。
【0030】
このようにして、図3(A)に示されるように、第2可動子24Bが第2コア20に密着するまで可動子24が移動する。これによって、ロッド22が下降してステム30が第2コイルばね28の付勢力に抗して下降し、エンジンバルブ38が全開状態となる。
【0031】
そして、図3(B)に示されるように、第1コイル8及び第2コイル18への通電が停止され、実線で示される永久磁石14A,14Bの磁束の吸引力によって第1可動子24Aが第3コイルばね28の付勢力に抗して第2可動子24Bに密着する。これによって、可動子24が第2コア20に密着して保持され、エンジンバルブ38の全開状態が保たれる。
【0032】
この状態からエンジンバルブ38を再び閉じるには、図3(B)に実線で示される永久磁石14A,14Bによる磁束と逆の方向に磁束が発生するように、第2コイル18に通電される。
これによって、永久磁石14A,14Bの磁力による吸引力が打ち消される。このとき、上述したように、縮んだ状態の第3コイルばね4の付勢力は、伸びた状態の第1コイルばね10の付勢力より大きくなるように設定されているため、第3コイルばね4の付勢力によって、第1可動子24Aがバルブ閉方向(上方向)に移動する。
【0033】
同時に、第1コイル8に通電される。このとき、第1可動子24Aが第2可動子24Bに対して上方にスライドしているため、第1コア6との間のエアーギャップが小さくなっている。一方、第2可動子24Bは第2コア20に密着しているため、この部分にはエアーギャップはない。従って、全体として可動子24とコア間のエアーギャップは小さくなり、電磁効率が向上して、可動子24を移動させるために必要な電流が小さくて済む。これによって、第1コイル8の消費電力は低減される。
【0034】
このようにして、第1可動子24Aが第1コア6に密着するまで可動子24が移動する。そして、永久磁石14A,14Bの吸引力によって、第2可動子24Bが第3コイルばね28の付勢力に抗して第1可動子24Aに密着する。これによって、ロッド22が上昇してステム30が第2コイルばね28の付勢力によって上昇し、エンジンバルブ38が全閉状態となる。
【0035】
そして、図2(A)に示されるように、可動子24は永久磁石14A,14Bの磁力によって上部コア6に密着して閉位置に保持される。これによって、エンジンバルブ38が弁座36に密着して、吸排気通路34と燃焼室40との間が完全に遮断された状態が保持される。すなわち、エンジンバルブ38の全閉状態が保たれる。
【0036】
次に、このようなエンジンバルブ38の開閉と第1コイル8,第2コイル18への通電のタイミングの関係について、図4を参照して説明する。図4は、第1コイル8,第2コイル18への通電のタイミングを示したタイミングチャートである。斜線を施した部分が、通電されている時間帯を表している。ここでは、上述の説明とは逆にエンジンバルブ38が全開の状態から説明する。
【0037】
まず、第2コイル18へ永久磁石14A,14Bの磁束を打ち消す(キャンセル)ように通電され、同時に第1コイル8に可動子24を吸引するように通電される。これによって、上述の如く、第1可動子24Aが第2可動子24Bから上方に移動し、可動子24全体として伸びた状態で上昇する。これによって、ステム30がロッド22に追随して上昇し、エンジンバルブ38が閉じられる。
このとき、可動子24が上昇を開始するとともに第2コイル18への通電は停止される。また、第1コイル8への通電は、可動子24が第1コア6と密着して第1可動子24Aと第2可動子24Bが密着した時点で、すなわちエンジンバルブ38が全閉状態になった時点で停止される。
【0038】
これに対してエンジンバルブ38を開ける際には、まず、第1コイル8へ永久磁石14A,14Bの磁束を打ち消す(キャンセル)ように通電され、同時に第2コイル18に可動子24を吸引するように通電される。これによって、上述の如く、第2可動子24Bが第1可動子24Aから下方に移動し、可動子24全体として伸びた状態で下降する。これによって、ステム30がロッド22に押されて下降し、エンジンバルブ38が開かれる。
このとき、可動子24が下降を開始するとともに第1コイル8への通電は停止される。また、第2コイル18への通電は、可動子24が第2コア20と密着して第1可動子24Aと第2可動子24Bが密着した時点で、すなわちエンジンバルブ38が全開状態になった時点で停止される。
【0039】
次に、エアーギャップと電磁吸引力との関係について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は、先に説明した図2(A)の状態を示す縦断面図である。また、図6は、先に説明した図2(B)の状態を示す縦断面図である。そして、図7は、エアーギャップと電磁吸引力との関係を示すグラフである。
図5に示されるように、永久磁石14A,14Bの吸引力によって第1可動子24Aに第2可動子24Bが密着し、さらに可動子24全体として第1コア6に密着した状態における可動子24と第2コア20とのエアーギャップをL1とする。
【0040】
これに対して、図6に示されるように、永久磁石14A,14Bの吸引力が打ち消されて、第3コイルばね4の付勢力によって第2可動子24Bが第1可動子24Aに対して下方に移動した状態における可動子24と第2コア20とのエアーギャップをL2とする。本実施形態においては、L2はL1のほぼ半分の長さになっている。
図7に示されるように、エアーギャップと電磁吸引力とはほぼ反比例する関係にあるので、エアーギャップがL2からL1へとほぼ半分の長さになったことによって、電磁吸引力はおよそ2倍の大きさになる。従って、同じ電磁吸引力を生じさせるのに必要な電流値はほぼ半分で済むことになる。
【0041】
このように本実施形態の電磁アクチュエータ2によれば、可動子24を第1可動子24Aと第2可動子24Bに二分割し、両者の間に第3コイルばね4を収容したことによって、可動子24を移動させる際のエアーギャップが小さくなって電磁効率が改良され、消費電力を少なくすることができる。
【0042】
さらに、本実施形態に特有の効果として、ロッド22とステム30を別体としてステム30の長さをエンジンバルブ38が弁座36に密着して可動子24が第1コア6に密着したときにロッド22とステム30の間に隙間が生じるように設定したことによって、可動子24の上端面と第1コア6との間に隙間を設定しなくても、エンジンバルブ38を弁座36に確実に密着させることができる。
従って、可動子24の上端面と第1コア6との間にエアーギャップを設ける必要がないため、さらにエアーギャップを小さくすることができる。
【0043】
なお、本実施形態においてはロッド22とステム30を別体としているが、従来技術のようにロッド22とステム30を一体としても良い。この場合には上述の如く、エンジンバルブ38を弁座36に密着させるためには、可動子24の上端面と第1コア6との間に隙間を設定しなくてはならない。しかし、その分可動子24の下端面が第2コア20に接近するため、同様なエアーギャップ減少の効果を得ることができる。
【0044】
本実施形態においては、電磁アクチュエータ2をエンジンバルブ駆動用に適用した例について説明したが、本発明の電磁アクチュエータはあらゆる被駆動体のアクチュエータとして使用することが可能である。
また、本実施形態においては、可動子24が上下動する場合について説明したが、移動方向は種々変更可能である。例えば、電磁アクチュエータ2を横向きに配置して、可動子24を水平方向にスライドさせることも可能である。
【0045】
さらに、本実施形態においては、第1コイル及び第2コイルが巻かれるコアを第1コア6と第2コア20とに分割して中間コア16A,16Bで接続する構成を採っているが、これを一体のコアとして構成しても良い。
また、本実施形態においては、第1コイル8と第2コイル18の間に永久磁石14A,14Bを設けているが、第1コイル8及び第2コイル18のみでも可動子24をそれぞれの移動端に保持することができるので、永久磁石14A,14Bは必ずしもなくても良い。
電磁アクチュエータのその他の部分の構造,形状,寸法,材質,接続関係等についても、本実施形態に限定されるものではない。
【0046】
【発明の効果】
本発明においては、電磁アクチュエータのエアーギャップを小さくすることによって電磁効率を向上させて消費電力を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電磁アクチュエータの一実施形態の構造を示す縦断面図である。
【図2】電磁アクチュエータの一実施形態の作動を示す模式図である。
【図3】電磁アクチュエータの一実施形態の作動を示す模式図である。
【図4】電磁アクチュエータの一実施形態の第1コイル及び第2コイルへの通電のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図5】電磁アクチュエータの一実施形態の作動状態を示す縦断面図である。
【図6】電磁アクチュエータの一実施形態の作動状態を示す縦断面図である。
【図7】電磁アクチュエータの一実施形態におけるエアーギャップと電磁吸引力との関係を示す図である。
【図8】従来技術の電磁アクチュエータの構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
2 電磁アクチュエータ
4 第3のばね
6,16A,16B,20 コア
8,18 コイル
10 第1のばね
14A,14B 永久磁石
24 可動子
24A 第1の可動子
24B 第2の可動子
28 第2のばね
Claims (2)
- コア内の空間部に移動可能に設けられ、移動方向に平行な方向に互いにスライド可能な第1の可動子と第2の可動子からなる可動子と、
前記可動子の移動方向両側に設けられたコイルと、
前記第1の可動子を前記第2の可動子方向に付勢する第1のばねと、
前記第2の可動子を前記第1の可動子方向に付勢する第2のばねと、
前記第1の可動子と前記第2の可動子の間に設けられ、前記第1の可動子と前記第2の可動子が離れる方向に付勢する第3のばねとを有し、
前記第3のばねの縮んだときの付勢力が、前記第1のばねの伸びたときの付勢力及び前記第2のばねの伸びたときの付勢力より大きく設定されている電磁アクチュエータ。 - 請求項1に記載された電磁アクチュエータであって、
前記コイルの間に永久磁石が設けられている電磁アクチュエータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20651799A JP3573263B2 (ja) | 1999-07-21 | 1999-07-21 | 電磁アクチュエータ |
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