JP3572957B2 - 静電容量式液面計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、静電容量式液面計に関し、特に、容量センサが液中に位置している場合の静電容量式液面計の調整が容易である静電容量式液面計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例を図5を参照して説明する。図5は液体貯蔵部に貯蔵される液体の液面レベルを測定する静電容量式液面計の従来例を説明する図である。この液体貯蔵部は貯蔵タンク、配管部の如きものであり、貯蔵される液体としては一般の液体の他に、液体窒素、液体酸素、LNG、LPGその他の液化ガスが貯蔵される。
【0003】
図5において、1は液面レベルを検知する容量センサであり、液体貯蔵部の液面検出レベルに取り付け固定されている。2は容量センサ1に並列に接続される調整キャパシタである。3は切り替えスイッチであり、調整キャパシタ2を容量センサ1に並列に接続し、或いはこれから切り離すスイッチである。41は増幅器であり、その入力端と出力端との間には容量センサ1が接続されると共に調整キャパシタ2が切り替えスイッチ3を介して接続されて、正帰還経路が構成されている。5は可変抵抗器、6は負帰還バランスキャパシタであり、これらは42により示される反転増幅器と直列接続して負帰還経路を形成し、増幅器41の入力端と出力端との間に接続し、全体として負帰還増幅器を構成している。
【0004】
容量センサ1を図2(a)を参照して説明するに、これは1対のリング状電極11および12により構成され、液体貯蔵部の液面検出レベルに取り付け固定されている。容量センサ1のリング状電極11およびリング状電極12の形成する静電容量の増減を検知することにより液体の有無を検出する。リング状電極11同志を相互接続すると共にリング状電極12同志を相互接続することにより、リング状電極11とリング状電極12との間において1対の電気容量を形成することができる。図示されるリング状電極は合計4本であるが、この本数は特に4本に限定される訳ではなく、任意に設計することができる。リング状電極11および12自体はその厚さを数mm程度に構成され、原理的には数mm程度の精度で液面レベルを検知することができる。
【0005】
以下、図2(b)をも参照して容量センサ1の静電容量の増減を検知することにより液体の有無を検出する仕方を説明する。
容量センサ1が気体中に露出しているときの気中容量:C
容量センサ1が液体中に没入しているときの液中容量:C=εC
液体の誘電率:ε
調整キャパシタ2の調整容量:C
とする。静電容量の増減を検知するには、静電容量式液面計に対する入力容量を(C−C)/2=(ε−1)C/2とし、この点において負帰還増幅器を発振させるべく調整する。この発振調整を静電容量式液面計の動作調整という。即ち、動作調整は液中容量Cと気中容量Cの中間点である両者の差の1/2の点をトリガレベルとしこの点で負帰還増幅器を発振させるべく調整する。液体が増加して液体貯蔵部において液面が液面検出レベルに到達し、容量センサ1の容量が気中容量Cから液中容量Cに増加してトリガレベルを超えると、負帰還増幅器が発振して、発振出力は整流素子7を介して出力リレー8に供給され、これを動作させることにより液面検出レベルを測定することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の静電容量式液面計はその動作調整を以下の通りに実施する。
容量センサ1が気体中に露出しているとき動作調整を実施する場合があるが、先ず、これについて説明する。ところで、容量センサ1が気体中に露出している場合、その容量は気中容量Cより大きいトリガレベル容量における発振を調整する必要上、切り替えスイッチ3を切り替えて調整キャパシタ2を容量センサ1に並列に接続し、気中容量Cを調整キャパシタ2の調整容量Cだけ増加させて動作調整を実施する。調整容量Cは(気中容量C+調整容量C)がトリガレベルに等しくなる値に予め選定されるものである。そして、更に、負帰還経路の可変抵抗器5を調整して第1の増幅器41を含む負帰還増幅器を発振状態に調整する。
【0007】
次に、容量センサ1が液体中に没入しているときの動作調整について説明するに、この場合、容量センサ1は液中容量Cを示しており、図5の回路をそのまま使用して液中容量Cより低いトリガレベル容量を実現することはできない。図5の回路は調整キャパシタ2を容量センサ1に並列に接続して容量センサ1の液中容量Cを増加することになるからである。容量センサ1の液中容量Cを減少せしめる何らかの設計変更を図5の回路に施さなければならない。
【0008】
この発明は、容量センサが液中に没入している場合の静電容量式液面計の動作調整を容易に実施することができる上述の問題を解消した静電容量式液面計を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1:液体貯蔵部の液面検出レベルに取り付け固定される容量センサ1を有し、入力端TI と出力端TO との間に容量センサ1が跨って接続される増幅器41を有し、可変抵抗器5および負帰還バランスキャパシタ6を直列接続して反転増幅器42を介して増幅器41の入力端TI と出力端TO との間に接続される負帰還経路を有する静電容量式液面計において、容量センサ1および負帰還バランスキャパシタ6に並列に切り替え接続される調整キャパシタ2を具備する静電容量式液面計を構成した。
【0010】
そして、請求項2:請求項1に記載される静電容量式液面計において、調整キャパシタ2は調整時切り替えスイッチ21および気中/液中切り替えスイッチ22を介して切り替え接続されるものである静電容量式液面計を構成した。
また、請求項3:請求項2に記載される静電容量式液面計において、調整キャパシタ2はその一方の端子を増幅器41の入力端TI に接続すると共に他方の端子を調整時切り替えスイッチ21の固定端子21に接続し、調整時切り替えスイッチ21の一方の切り替え端子21は気中/液中切り替えスイッチ22の固定端子22に接続すると共に他方の切り替え端子21は接地或いは解放しており、気中/液中切り替えスイッチ22の一方の切り替え端子22は可変抵抗器5と負帰還バランスキャパシタ6の相互接続点に接続すると共に、他方の切り替え端子22は増幅器41の出力端TO に接続する静電容量式液面計を構成した。
【0011】
更に、請求項4:請求項1ないし請求項3の内の何れかに記載される静電容量式液面計において、容量センサ1は1対のリング状電極11および12により構成されるものである静電容量式液面計を構成した。
そして、請求項5:請求項4に記載される静電容量式液面計において、1対のリング状電極11および12自体はその厚さを数mm程度に構成したものである静電容量式液面計を構成した。
【0012】
また、請求項6:請求項1ないし請求項5の内の何れかに記載される静電容量式液面計において、相異なる静電容量C2の調整キャパシタ2を準備し、選択設定して動作調整をする静電容量式液面計を構成した。
更に、請求項7:請求項6に記載される静電容量式液面計において、
相異なる静電容量の調整キャパシタを液の比誘電率に対応して同一値に回路設定し、切り替えスイッチにより切り替え接続する静電容量式液面計を構成した。
【0013】
また、請求項8:請求項1ないし請求項7の内の何れかに記載される静電容量式液面計において、反転増幅器42に接続して発振出力により動作せしめられる出力リレー8を具備する静電容量式液面計を構成した。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図1を参照して説明する。図1において、従来例の参照符号と共通する参照符号は互いに同一の部材を示している。
図1において、液面レベルを検知する容量センサ1は液体貯蔵部の液面検出レベルに取り付け固定されている。増幅器41の入力端TI と出力端TO との間に容量センサ1が跨って接続している。可変抵抗器5および負帰還バランスキャパシタ6は反転増幅器42と直列接続して負帰還経路を形成し、増幅器41の入力端TI と出力端TO との間に接続し、全体として負帰還増幅器を構成している。出力リレー8は整流素子7を介して反転増幅器42に接続し、その発振出力により動作せしめられる。
【0015】
容量センサ1は、先に図2を参照して説明した通りの1対のリング状電極11および12により構成され、液体貯蔵部の液面検出レベルに取り付け固定されている。1対のリング状電極11および12自体はその厚さを数mm程度に構成され、原理的には数mm程度の精度で液面レベルを検知することができる。
この発明において、調整キャパシタ2は、その一方の端子を増幅器41の入力端TI に接続すると共に他方の端子を調整時切り替えスイッチ21の固定端子21に接続している。調整時切り替えスイッチ21の一方の切り替え端子21は気中/液中切り替えスイッチ22の固定端子22に接続すると共に他方の切り替え端子21は解放している。ここで、端子21は接地しても差し支えない。気中/液中切り替えスイッチ22の一方の切り替え端子22は可変抵抗器5と負帰還バランスキャパシタ6の相互接続点に接続すると共に、他方の切り替え端子22は増幅器41の出力端TO に接続している。
【0016】
ここで、容量センサ1が気体中に露出しているときの動作調整について説明する。この場合、調整キャパシタ2を容量センサ1に並列に接続して増幅器41の正帰還量を増加させる。即ち、容量センサ1が空気中に露出している場合において、調整時切り替えスイッチ21を一方の切り替え端子21側に切り替え接続し、気中/液中切り替えスイッチ22を他方の切り替え端子22側に切り替え接続することにより、調整キャパシタ2を容量センサ1に並列に接続されることとなる。これは、従来例において容量センサ1が気体中に露出しているときの動作調整の状態と同様の状態にあり、従来例と同様にして容量センサ1が気体中に露出している時の動作調整を実施することができる。
【0017】
次に、容量センサ1が液体中に没入している時の動作調整について説明する。この場合、負帰還バランスキャパシタ6に並列に調整キャパシタ2を接続し、負帰還バランスキャパシタ6の静電容量C6を、負帰還バランスキャパシタ静電容量C6と調整キャパシタ静電容量C2の和であるものとして可変抵抗器5を調整して増幅器41を含む負帰還増幅器を発振させる。即ち、容量センサ1が液体中に没入している場合においては、調整時切り替えスイッチ21を一方の切り替え端子21側に切り替え接続し、気中/液中切り替えスイッチ22を一方の切り替え端子22側に切り替え接続することにより、調整キャパシタ2は負帰還バランスキャパシタ6に並列に接続される。調整キャパシタ2を負帰還バランスキャパシタ6に並列に接続するということは、負帰還量をそれだけ増加して等価的に容量センサ1の液中容量Cを低下させたことに相当する。これにより液中容量Cをこれより低いトリガレベル容量に低下する余地が与えられるに到り、容量センサ1が液中に没入している場合においても、容量センサ1を含めた静電容量式液面計全体の動作調整を実施することができる。以下、図1の等価回路である図3を参照し、数式を使用して説明する。
【0018】
:C、C、C
=G
とする。
但し、Cは容量センサの静電容量であり、センサが検知対象液に浸漬している場合と、気中に露出している場合で以下の通りに変化する。
【0019】
はセンサが気中に露出している時の静電容量、
はセンサが液中に浸漬している時の静電容量、
は帰還増幅器が発振する最低容量値であり、CとCの中間値
である。また、
は反転増幅器Gの利得、
は調整用可変抵抗器の利得、
はG、Gによる合計利得
である。
【0020】
=−E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
=E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
但し、Eは増幅器41の出力電圧、Eは可変抵抗器5の分岐出力電圧、Cは帰還増幅器の負帰還容量である。
よって、
=−E・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
即ち、
=−G・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3’)
=−G・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
よって、G=−Cとなる様にGを決めれば、静電容量式液面計の運用に使用することができる。例えば、
=C
とすれば、
=−1
とすることができる。ここで、C=εCである。
従って、
△C=C−C=εC−C=(ε−1)C
を△Cの50%とすると、
=C+△C/2=C+(ε−1)C/2=(ε+1)C/2
よって、式(4)は、
=(ε+1)C/2=−G ・・・・・・・・(5)
次に、Cが増加して、C→Cになると、式(5)の左辺は、
=εC ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
であるので、式(5)の左辺はその倍率が、
/C=εC/C(ε+1)/2=2ε/(ε+1)・・・・(7)
となる。
よって、式(5)の右辺:Gも2ε/(ε+1)倍するとバランスする。
【0021】
2ε/(ε+1)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
即ち、(C+△C)をC2ε/(ε+1)とすればバランスし、GはC入力での調整点と同一点に調整することができることになる。
図1の実施例においては調整キャパシタ2の静電容量はC2であるものとして説明してきたが、ここで図1の他の等価回路を示す図4を参照するに、静電容量式液面計の実際の運用においては、相異なる静電容量C2の調整キャパシタ2および6’を準備しておき、スイッチSW1 およびスイッチSW2 を切り替えて、容量センサ1が気体中に露出している場合と液体中に没入している場合とで適宜に調整キャパシタ2および6’選択設定して動作調整をすると調整を容易にすることができる。これに対して、図4において、測定対象液の比誘電率に対応して調整キャパシタ2の静電容量と帰還増幅器の負帰還キャパシタ6’の静電容量とを等しく、即ち、△CP =△CN と回路定数を設定しておけば、この場合の調整キャパシタは共通の1種で済むことになる。
【0022】
【発明の効果】
以上の通りであって、この発明に依れば、液体貯蔵部の液面検出レベルに取り付け固定される容量センサを有し、入力端と出力端との間に容量センサが跨って接続される増幅器を有し、可変抵抗器および負帰還バランスキャパシタを直列接続して反転増幅器を介して増幅器の入力端と出力端との間に接続される負帰還経路を有する静電容量式液面計において、容量センサおよび負帰還バランスキャパシタに並列に切り替え接続される調整キャパシタを具備することにより、調整キャパシタを負帰還バランスキャパシタに並列に接続して負帰還量を増加し、この増加により液中容量をこれより低いトリガレベル容量にする余地が与えられるに到り、容量センサが液中に没入している場合においても、容量センサを含めた静電容量式液面計全体の動作調整を実施することができる。
【0023】
そして、静電容量式液面計の実際の運用においては、相異なる静電容量の調整キャパシタを準備し、容量センサが気体中に露出している場合と液体中に没入している場合とで適宜に選択設定して動作調整をすると調整が容易となる。これに対して、測定対象液の比誘電率に対応して正帰還側の調整キャパシタの静電容量と帰還増幅器の負帰還キャパシタに並列接続する容量センサ液中時調整用調整キャパシタとを等しく回路定数を設定しておけば、この場合の調整キャパシタは共通の1種で済むことになる。
【0024】
また、以上の静電容量式液面計において、容量センサを1対のリング状電極により構成し、これをその厚さを数mm程度に構成することにより数mm程度の高精度の液面レベルの測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を説明する図。
【図2】容量センサを説明する図。
【図3】図1の等価回路を示す図。
【図4】図1の他の等価回路を示す図。
【図5】従来例を説明する図。
【符号の説明】
1 容量センサ
11 リング状電極
12 リング状電極
2 調整キャパシタ
21 調整時切り替えスイッチ
21切り替え端子
21切り替え端子
21固定端子
22 気中/液中切り替えスイッチ
22切り替え端子
22切り替え端子
22固定端子
3 切り替えスイッチ
41 増幅器
42 反転増幅器
5 可変抵抗器
6 負帰還バランスキャパシタ
7 整流素子
8 出力リレー

Claims (8)

  1. 液体貯蔵部の液面検出レベルに取り付け固定される容量センサを有し、入力端と出力端の間に容量センサが跨って接続される増幅器を有し、可変抵抗器および負帰還バランスキャパシタを直列接続して反転増幅器を介して増幅器の入力端と出力端との間に接続される負帰還経路を有する静電容量式液面計において、
    容量センサおよび負帰還バランスキャパシタに並列に切り替え接続される調整キャパシタを具備することを特徴とする静電容量式液面計。
  2. 請求項1に記載される静電容量式液面計において、
    調整キャパシタは調整時切り替えスイッチおよび気中/液中切り替えスイッチを介して切り替え接続されるものであることを特徴とする静電容量式液面計。
  3. 請求項2に記載される静電容量式液面計において、
    調整キャパシタはその一方の端子を増幅器の入力端に接続すると共に他方の端子を調整時切り替えスイッチの固定端子に接続し、調整時切り替えスイッチの一方の切り替え端子は気中/液中切り替えスイッチの固定端子に接続すると共に他方の切り替え端子は接地或いは解放しており、気中/液中切り替えスイッチの一方の切り替え端子は可変抵抗器と負帰還バランスキャパシタの相互接続点に接続すると共に他方の切り替え端子は増幅器の出力端に接続することを特徴とする静電容量式液面計。
  4. 請求項1ないし請求項3の内の何れかに記載される静電容量式液面計において、
    容量センサは1対のリング状電極により構成されるものであることを特徴とする静電容量式液面計。
  5. 請求項4に記載される静電容量式液面計において、
    1対のリング状電極自体はその厚さを数mm程度に構成したものであることを特徴とする静電容量式液面計。
  6. 請求項1ないし請求項5の内の何れかに記載される静電容量式液面計において、
    相異なる静電容量の調整キャパシタを準備し、選択設定して動作調整をすることを特徴とする静電容量式液面計。
  7. 請求項6に記載される静電容量式液面計において、
    相異なる静電容量の調整キャパシタを液の比誘電率に対応して同一値に回路設定し、切り替えスイッチにより切り替え接続することを特徴とする静電容量式液面計。
  8. 請求項1ないし請求項7の内の何れかに記載される静電容量式液面計において、
    反転増幅器に接続して発振出力により動作せしめられる出力リレーを具備することを特徴とする静電容量式液面計。
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