JP3572687B2 - 磁気テープの巻取装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、テープレコーダ或いはビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置に用いられる磁気テープの巻取装置に関し、さらに詳しくは幅広の磁気テープ原反から細幅に裁断された磁気テープを多数個の巻取用ハブに巻き取るための磁気テープの巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
テープレコーダ或いはビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置に用いられる磁気テープは、幅広の非磁性材支持体上に磁気記録層を形成して磁気テープ原反を作成した後、この幅広の磁気テープ原反をスリッタにより製品幅に裁断して形成される。スリッタは、幅広の磁気テープ原反を供給する原反供給装置と、この原反供給装置から供給された磁気テープ原反を製品幅に裁断する裁断装置と、この際断装置によって裁断された磁気テープを多数個の巻取用ハブにそれぞれ巻き取る巻取装置とから構成されている。
【0003】
巻取装置は、駆動機構によって回転駆動される巻取軸上に筒状のハブホルダを回転方向に固定した状態で組み付けるとともに、このハブホルダ上に少なくとも裁断数分の巻取用ハブが組み付けられて構成される。裁断装置において製品幅に裁断された磁気テープは、例えばあらかじめ接着剤が塗布された巻取用ハブの外周部にガイド機構を介して導かれる。
【0004】
巻取装置は、裁断装置と同期して巻取軸が回転駆動されることによって、巻取用ハブの外周部に裁断された磁気テープが順次巻き取られるとともに、この巻取用ハブに所定量の磁気テープが巻き取られると巻取軸の回転動作が停止される。巻取用ハブは、磁気テープの巻取操作が終了すると、例えば装置の側面部を開放して巻取軸の一方側から取り外され、次工程へと搬送される。
【0005】
上述した巻取装置においては、巻取軸が多数個の巻取用ハブを組み付けるために全体として長軸に構成されるとともに、巻取用ハブの軸穴径に制限があるために軸長に対して比較的小径に構成されている。また、この巻取軸は、外周部に巻取用ハブを脱着するために、少なくとも一端部側を軸受部に対して取り外し自在に軸支する必要がある。このため、巻取軸は、両端部の近傍をそれぞれ軸受部材によって回転自在に支持されるとともに、弾性手段によって両側から圧縮付勢されることにより抜け止めが図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スリッタの磁気テープ原反の高速処理化は、裁断装置の高速化とともに巻取装置の巻取軸を高速で回転駆動することが必要となる。しかしながら、巻取軸は、上述したように、全体として長軸で、軸長に対して比較的小径に構成されるとともに両側から圧縮付勢されるため、高速で回転駆動されると支持位置で振れ現象を生じてしまう。そして、巻取軸は、高速での回転駆動を続けるとこの振れ現象により全体として遠心力を生じ、その結果たわみが生じる。
【0007】
このように、巻取軸は、高速で回転駆動されてたわみが生じることにより、回転速度が一定以上となると遠心力が巻取軸の剛性抵抗力に打ちかって、破壊されてしまう。従来の磁気テープの巻取装置においては、巻取軸を駆動する回転速度に制限があるため、裁断された磁気テープの巻き取り速度を上げて磁気テープ原反の高速処理化を図ることが困難であるといった問題点があった。
【0008】
また、巻取装置は、巻取軸の振れ現象により、巻取用ハブに巻き取られる裁断された製品幅の磁気テープが一定の状態で巻き取られず、巻取精度の向上を図ることができないといった問題点があった。
【0009】
したがって、本発明は、巻取軸が回転駆動する際に生じるたわみを抑制して磁気テープを高速で巻取り可能とするとともに、巻取軸の振れ現象を抑制して磁気テープの巻取精度の向上を可能とした磁気テープの巻取装置を提供することを目的として提案されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成した本発明に係る磁気テープの巻取装置は、巻取軸と、上記巻取軸の外周部上に回転方向に固定されて軸装されたハブホルダと、上記ハブホルダの外周部上に回転方向に固定されて組み付けられ外周部に裁断された磁気テープが巻き取られる巻取用ハブと、上記巻取軸の一端部を軸方向に固定した状態で回転自在に支持する固定軸受部と、上記巻取軸の他端部に取外し可能に連結された連結部と、上記連結部の一端部側を回転自在に支持する可動軸受部とを備え、上記可動軸受部は上記巻取軸を軸方向に上記固定軸受部と対向する上記可動軸受部側へ引張り力を付与することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る磁気テープの巻取装置は、上記連結部に、上記巻取軸の一端部に取り外し可能に組み付けられて上記巻取軸に軸装された上記ハブホルダを軸方向に係止する軸キャップ部材と、一端部が上記可動軸受部に回転自在に支持された連結軸部材と、上記連結軸部材と上記軸キャップ部材との間に配設されて上記連結軸部材と上記軸キャップ部材とを連結するクラッチ部材とを備え、上記可動軸受部は、上記連結部の連結軸部材を軸方向に対して一体化した状態で回転自在に支持するとともに外周部に環状凸部が設けられた可動軸受部材と、上記可動軸受部材をスライド自在に収納するとともに上記可動軸受部材の環状凸部によって軸方向に第1のエアー室と第2のエアー室とに区割りされるシリンダ空間部が内周壁に設けられたシリンダ部材とを備え、上記可動軸受部を構成する上記可動軸受部材と上記シリンダ部材とは、上記シリンダ空間部に圧縮空気が供給されて上記可動軸受部材を上記シリンダ部材の内部にスライド動作させるととによって、上記連結部を介して上記巻取軸に対して軸方向の引張り力を付与する引張り機構を構成することを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明に係る磁気テープの巻取装置は、上記固定軸受部には、上記巻取軸の一端部を回転自在に支持する軸受部の外周面に臨んで軸受部材に設けられた複数の調整ネジ穴と、これら調整ネジ穴にねじ込まれることによって軸受の外周部を軸芯方向に押圧する複数の調整ネジとからなる軸受調整機構が設けられ、上記軸受に回転自在に支持された巻取軸は、上記調整ネジのねじ込み量が調整されることによって、回転方向の振れが規制されることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
以上のように構成された本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、巻取軸は、一端部が固定軸受部によって軸方向に固定された状態で回転自在に支持されるとともに、引張り機構によって軸方向に引っ張られた状態で、他端部側が連結部を介して可動軸受部に回転自在に支持される。巻取軸は、回転駆動されて巻取用ハブの外周部に所定量の磁気テープが巻き取られると回転動作が停止され、しかる後連結部から開放されて外周部から巻取用ハブが取り出される。
【0014】
巻取軸は、外周部に多数の巻取用ハブを軸装支持することによって、比較的細径で長軸に構成されるが、固定軸受部と可動軸受部間に引張り機構による引張り力を付与された状態で回転自在に支持されることによって、たわみが抑制された状態で回転駆動される。したがって、磁気テープの巻取装置は、巻取軸が高速で回転駆動された場合でも、たわみに起因する軸振れ現象の発生が抑制されるため、磁気テープを巻取用ハブの外周部に良好な状態で高速で巻き取ることを可能とする。
【0015】
また、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、可動軸受部を構成する可動軸受部材とシリンダ部材とは、シリンダ空間部に圧縮空気を供給することによって可動軸受部材がシリンダ部材の内部を軸方向にスライド動作し、連結部を介して巻取軸を軸方向に引っ張る引張り機構を構成する。また、可動軸受部材とシリンダ部材とによって構成される引張り機構は、第1のエアー室又は第2のエアー室に供給する圧縮空気を調整することによって、可動軸受部材の移動量が調整されて巻取軸に対する軸方向の引張り力が調整される。したがって、磁気テープの巻取装置によれば、巻取軸は、最適な状態で固定軸受部と可動軸受部間に回転自在に支持される。
【0016】
さらに、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、固定軸受部と可動軸受部間に回転自在に支持された巻取軸は、固定軸受部側の軸受調整機構を構成する調整ネジのねじ込み量が調整されることによって、回転方向の振れが規制される。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
実施例磁気テープの巻取装置Dは、図1に示すように、幅広の磁気テープ原反を製品幅に裁断するスリッタAの装置の一部を構成する。スリッタAは、原反製造工程において製造された磁気テープ原反を供給する原反供給装置Bと、供給された磁気テープ原反を製品幅に高精度に裁断する裁断装置Cと、裁断された磁気テープを巻取用ハブにそれぞれ巻き取る巻取装置Dとから構成される。スリッタAを構成する各装置B乃至Dは、磁気テープ原反及び裁断された磁気テープが安定した状態で連続走行されるように、互いに連動して動作される。
【0019】
磁気テープの巻取装置Dは、図2及び図3に示すように、巻取軸6と、ハブホルダ11及び巻取用ハブ12とから構成される磁気テープ巻取部1と、巻取軸6の一端部側に取外し可能な状態で組み合わされた連結部2と、巻取軸6の一端部側を軸方向に固定した状態で回転自在に支持する固定軸受部3と、連結部2の他端部側を回転自在に支持する可動軸受部4とから構成されている。
【0020】
磁気テープ巻取部1は、スリッタAを構成する上述した他の装置と連動された駆動機構によって回転駆動され、製品幅に裁断されてガイド機構或いは整巻機構を介して供給される磁気テープの巻き取りを行う。固定軸受部3は、装置フレームの固定側板14Aに組み付けられている。また、可動軸受部4は、固定側板14Aに対して対向間隔が可変される可動側板14Bに組み付けられている。可動側板14Bは、例えばプランジャ49を駆動することによって、回動動作され、磁気テープ巻取部1と連結部2とを取り外し可能とする。
【0021】
巻取軸6は、裁断装置Cにおいて磁気テープ原反が製品幅に多数条に裁断された磁気テープをそれぞれ巻き取るための多数個の巻取用ハブ12を軸装するに充分な軸長を有するとともに、この巻取用ハブ12とハブホルダ11とが外周部に軸装されるために比較的小径に構成されている。巻取軸6は、一端部が固定軸受部3を貫通して外方へと突出されており、やや小径とされたこの露呈端部の外周部にネジが形成されてプーリ固定部20が一体に設けられている。このプーリ固定部20には、図示しない駆動機構からの回転伝達を受けるプーリ5が固定されている。また、巻取軸6には、他端部の端面からネジ穴21が形成されている。
【0022】
巻取軸6には、外周部にハブホルダ11を介して巻取用ハブ12が軸装されている。ハブホルダ11と巻取用ハブ12とは、少なくとも裁断された磁気テープの本数に対応した個数が備えられる。ハブホルダ11は、それぞれ巻取軸6の軸径とほぼ同径の軸穴を有するとともに外径が巻取用ハブ12の軸穴径とほぼ等しくされた筒状に形成され、例えば図示しない相対係合するキー及びキー溝の構成によって巻取軸6の外周部に回転方向に対して固定されるとともに軸方向に対してスライド自在な状態で軸装されている。また、ハブホルダ11は、外周部に複数条の回止め凸部36が一体に形成されている。なお、固定軸受部3側に軸装されるハブホルダ11Aには、側面部に大径部として構成された巻取用ハブ12を係止する円盤状のストッパ部11aが一体に形成されている。
【0023】
巻取用ハブ12は、軸穴の内周壁にハブホルダ11の回止め凸部36と相対係合する複数条の回止め凹部37が形成されている。したがって、巻取用ハブ12は、それぞれのハブホルダ11の外周部に、回転方向に対して固定されるとともに軸方向に対してスライド自在な状態で軸装されている。
【0024】
巻取用ハブ12は、後述する磁気テープの巻取操作に際して、外周部に磁気テープの特性等に影響を及ぼさない接着剤があらかじめ塗布される。したがって、磁気テープは、回転駆動された巻取用ハブ12の外周部に押し付けられると、接着剤の作用によって巻き取られる。
【0025】
連結部2は、巻取軸6の一端部にネジ穴21にねじ込まれる固定ネジ8によって組み合わされる軸キャップ部材7と、この軸キャップ部材7の側面部に組み合わされるクラッチ部材9及びこのクラッチ部材9の側面部に組み合わされる連結軸部材10とから構成されている。
【0026】
軸キャップ部材7は、巻取軸6の自由端側に対向しハブホルダ11の外径よりもやや大径とされた略円柱部22と、この円柱部22の一方側面部に一体に連設された円錐部23とから構成されている。また、この軸キャップ部材7は、円柱部22の外周部に軸方向の略中央部に位置して段部24が全周に亘って形成されている。さらに、軸キャップ部材7の外周部には、この段部24に対向するようにして円錐部23との境界部分に円弧状の係合部25A、25Bが一体に張り出し形成されている。
【0027】
軸キャップ部材7には、円柱部22の端面に巻取軸6の自由端部が係合される座ぐり穴26が設けられている。そして、この座ぐり穴26の底面部には、円錐部23を貫通して固定ネジ8が挿入されるネジ穴27が設けられている。
【0028】
固定ネジ8は、長さ寸法が軸キャップ部材7の座ぐり穴26の軸方向の長さ寸法よりもやや大とされており、軸キャップ部材7の円錐部23側からネジ穴27にねじ込まれることによって、先端部が座ぐり穴26に係合された巻取軸6のネジ穴21にねじ込まれる。したがって、軸キャップ部材7は、固定ネジ8によって巻取軸6の自由端部側に取り付けられる。また、軸キャップ部材7は、固定ネジ8を外すことにより、巻取軸6から取り外される。軸キャップ部材7は、巻取軸6に取り付けられた状態において、この巻取軸6に軸装されたハブホルダ11を軸方向に係止する。
【0029】
クラッチ部材9は、やや厚みのある円盤状の部材であって、軸キャップ部材7との対向側面部から、この軸キャップ部材7の円錐部23が組み合わされる円錐台状の軸キャップ穴28が設けられている。この軸キャップ穴28の底面部には、固定ネジ8の頭部を逃げる逃げ凹部29が設けられている。クラッチ部材9には、軸キャップ穴28が開口する一方側面部側に一体の係合部30A、30Bが一体に形成されている。これら係合部30A、30Bは、クラッチ部材9の側面部の軸対称位置に、外周縁から軸方向に突出されかつ先端部において中心方向へと折曲されることによってそれぞれ断面L字状を呈して形成されている。
【0030】
これら係合部30A、30Bは、軸キャップ部材7の外周部に形成した係合部25A、25Bとそれぞれ円周方向の長さ寸法がほぼ等しい円弧状に形成されるとともに、内径寸法が係合部25A、25Bの外径寸法よりも小径とされて形成されている。また、これら係合部30A、30Bは、軸キャップ部材7の係合部25A、25B間に構成される円周方向の間隙から段部24との間に差し入れ得る円周方向の長さ寸法を有している。したがって、クラッチ部材9は、係合部25A、25Bと係合部30A、30Bとを組み合わせることによって、軸方向に連結される。
【0031】
クラッチ部材9は、他方側面部に係合凸部31A、31Bが一体に形成されている。これら係合凸部31A、31Bは、クラッチ部材9の側面部の軸対称位置に、軸方向に突出されかつ先端部において外周側へと折曲されることによって断面L字状を呈して形成されている。また、これら係合凸部31A、31Bは、円周方向にそれぞれ略90゜の範囲に亘る長さ寸法を有している。
【0032】
連結軸部材10は、クラッチ部材9の外径よりもやや小径の円盤部32とこの円盤32の一方側面部に一体に形成された軸部33とから構成されている。円盤部32には、クラッチ部材9との対向側面部に、係合凸部34A、34Bが一体に形成されている。これら34A、34Bは、円盤部32の側面部の軸対称位置に、軸方向に突出されかつ先端部において中心方向へと折曲されることによってそれぞれ断面L字状を呈して形成されている。また、これら係合凸部34A、34Bは、円周方向にそれぞれ略90゜の範囲に亘る長さ寸法を有している。
【0033】
さらに、係合凸部34A、34Bは、基部の内径が、クラッチ部材9の係合凸部31A、31Bの基部の外周径とほぼ等しく形成されている。軸部33は、巻取軸6とほぼ同径であって、先端部には細径とされるとともに外周部にネジ溝が形成されたベアリングナット止め部35が一体に形成されている。連結軸部材10は、係合凸部34A、34Bを係合凸部31A、31Bの円周方向の間隙から差し入れて約90゜回転させることによって、クラッチ部材9と軸方向に連結される。
【0034】
固定軸受部3は、一対のベアリング軸受が軸穴に組み付けられた固定軸受部材13と、この固定軸受部材13とハブホルダ11との間に位置して巻取軸6に組み込まれる第1のディスタンスロッド15Aと、巻取軸6の一端部に形成したプーリ固定部20にねじ込まれることによって固定軸受部材13の一端側を係止するベアリングナット16Aとから構成されている。固定軸受部材13は、外周部に複数のネジ穴が設けられた取付用フランジ部が一体に形成されることによって、装置フレームの固定側板14Aにねじ止め固定される。巻取軸6は、この固定軸受部材13によって回転自在に支持されるとともに、一端部にベアリングナット16Aがねじ込まれることによって軸方向に固定される。
【0035】
第1のディスタンスロッド15Aは、巻取軸6の外径よりもやや大径の軸穴を有し、ベアリング軸受或いは固定側板14Aとハブホルダ11とが直接接触しないように間隔を保持する。したがって、ハブホルダ11は、巻取軸6と一体に安定した状態で回転動作する。ベアリングナット16Aは、ベアリング軸受を係止する大径部39と、この大径部39の側面部に一体に形成された小径部40とから構成されている。小径部40は、プーリ固定部20に軸装されたプーリ5を軸方向に規制する。
【0036】
可動軸受部4は、連結部2を構成する連結軸部材10を回転自在に支持する一対のベアリング軸受が軸穴に組み込まれた可動軸受部材18と、この可動軸受部材18を軸方向にスライド自在に支持するシリンダ穴を有する有底筒状のシリンダ部材17と、このシリンダ部材17の開口部に嵌め込まれたピストンリング部材19と、連結軸部材10の軸部33に組み込まれる第2のディスタンスロッド15Bと、軸部33の先端部に形成しベアリングナット止め部35にねじ込まれることによって可動軸受部材18の一端側を係止するベアリングナット16Bとから構成されている。
【0037】
可動軸受部材18は、外径がシリンダ部材17のシリンダ穴の内径とほぼ等しい筒状に形成されている。この可動軸受部材18には、外周部の軸方向の略中央部に位置して環状凸部41が全周にわたって一体に突出形成されている。また、可動軸受部材18には、外周部に環状凸部41によって軸方向に区割りされた凹部42が設けられている。連結軸部材10は、軸部33がベアリング軸受が組み込まれた軸穴に貫通されることによって可動軸受部材18に回転自在に支持されるとともに、この可動軸受部材18を貫通した露呈端部のベアリングナット止め部35にねじ込まれたベアリングナット16Bによって軸方向に固定される。
【0038】
シリンダ部材17は、外周部に図示しない複数のネジ穴が設けられた取付用フランジ部が一体に形成されることによって、装置フレームの可動側板14Bにネジ止め固定される。シリンダ部材17のシリンダ穴は、内径が上述したようにスライド動作される可動軸受部材18の外径とほぼ等しく形成されているが、開口部から可動軸受部材18の外周部に形成した凹部42の長さに対応した領域部分が穴径を大径とするように全周亘って凹部44として構成される。この凹部44は、内径が可動軸受部材18の環状凸部41の外径とほぼ等しい。
【0039】
シリンダ部材17の凹部44と可動軸受部材18の凹部42とは、可動軸受部材18をシリンダ部材17のシリンダ穴に組み込んだ状態において、協動してシリンダ空間部45を構成する。このシリンダ空間部45は、可動軸受部材18の外周部に設けた環状凸部41によって、軸方向に第1のエアー室45Aと第2のエアー室45Bとに区割りされる。シリンダ部材17には、第1のエアー室45Aと第2のエアー室45Bとにそれぞれ連通するエアー給排管46A、46Bが設けられている。これらエアー給排管46A、46Bは、それぞれ電磁バルブ47A、47Bを介してコンプレッサ48と接続されている。これら電磁バルブ47A、47Bは、図示しない制御装置によって一方が給気状態を呈する場合に、他方が排気状態となるように開閉され、コンプレッサ48から供給される圧縮空気を第1のエアー室45A或いは第2のエアー室45Bへと供給するとともに第1のエアー室45A或いは第2のエアー室45Bから空気を排気する。
【0040】
ピストンリング部材19は、シリンダ部材17のシリンダ穴の開口部に嵌め込まれることによって、スライド自在に組み込まれた可動軸受部材18の軸方向の抜け止め作用を奏するとともにシリンダ穴の一端部を閉塞してシリンダ空間部45を密閉空間部として構成する。ベアリングナット16Bは、ベアリング軸受を係止する大径部39と、この大径部39の側面部に一体に形成された小径部40とから構成されている。
【0041】
以上のように構成された可動軸受部4は、後述するように、可動軸受部材18が、シリンダ部材17の内部を底面部側へとスライド動作することによって、連結部2を介して磁気テープ巻取部1を構成する巻取軸6を可動側板14B側へと引っ張る引張り機構を構成する。
【0042】
巻取装置Dは、例えば第1のエアー室45Aに臨むエアー給排管46Aに対応した電磁バルブ47Aを給気側に、また第2のエアー室45Bに臨むエアー室給排管46Bに対応した電磁バルブ47Bを排気側に開放した状態でコンプレッサ48が起動されると、コンプレッサ48から供給された圧縮空気がエアー給排管46Aから第1のエアー室45Aに送り込まれて体積が増す。このとき、第2のエアー室45Bは、室内の空気が排気側に開放された電磁バルブ47Bを介してコンプレッサ48へと吸引されるため、全体として負圧となる。このため、可動軸受部材18は、図5に示すように外周部の環状凸部41が第1のエアー室45Aの体積の増加によって、第2のエアー室45B側へと移動するため、全体としてシリンダ部材17の内部を底面部側へと移動する。可動軸受部材18は、この移動動作によって連結部2を可動側板14B側へと吸引する。これによって巻取軸6は、連結部2を介して可動側板14Bへと引っ張られる。
【0043】
巻取装置Dは、裁断装置Cと同期して巻取軸6が引っ張られた状態で駆動機構からプーリ5に回転動力が伝えられて、巻取軸6が高速で回転駆動される。巻取装置Dは、巻取軸6が巻取軸6の支持位置で振れを生じずに高速で回転駆動される。そして、巻取装置Dは、巻取軸6がたわみを生じずに高速で回転駆動される。巻取装置Dは、巻取用ハブ12の外周部に裁断された磁気テープが順次高速で巻き取られる。巻取装置Dは、この巻取用ハブ12に所定量の磁気テープが巻き取られると巻取軸の回転が停止される。
【0044】
巻取装置Dは、巻取操作が終了すると、軸キャップ部材7を固定し、クラッチ部材9を手動にて回転し、軸キャップ部材7の係合部25A、25B間に構成された円周方向の間隙からクラッチ部材9の係合部30A、30Bを取り出される。次に、軸キャップ部材7は、固定ネジ8を外すことにより、巻取軸6から取り外される。巻取装置Dは、全体として軸方向の係合状態を解除した状態で、可動側板14Bを開放すると、軸キャップ7とクラッチ部材9との部分が解除される。巻取用ハブ12は、軸キャップ部材7が取り外された巻取軸6の開放側から取り外され、次工程へと搬出される。
【0045】
上述したように、第1の実施例巻取装置Dは、固定軸受部3によって巻取軸6の固定端側が軸方向に固定され、可動軸受部4によって巻取軸6の自由端側が軸方向に可動側板14Bへ引っ張られることにより、巻取軸6が回転駆動されることによって生じる振れが抑制される。したがって、この巻取装置Dは、巻取軸の振れが抑制されることにより、裁断された製品幅の磁気テープの巻取状態が一定となり、巻取精度の向上が図られる。
【0046】
また、巻取装置Dは、巻取軸6が振れを生じずに高速で回転駆動されるので、高速での回転駆動を続けてもたわみが生じない。したがって、巻取装置Dは、裁断された磁気テープの巻取の高速化が図られる。
【0047】
スリッタAは、巻取装置Dによる裁断された磁気テープの巻取の高速化が図られるので、全体として磁気テープ原反の高速処理化が可能となる。
【0048】
本発明に係る第2の実施例巻取装置50は、図5に示すように、巻取軸6と、ハブホルダ11及び巻取用ハブ12とから構成される磁気テープ巻取部1と、巻取軸6の一端部側に取り外し可能な状態で組み合わされた連結部2と、巻取軸6の一端部側を軸方向に固定した状態で回転自在に支持する固定軸受部51と、連結部2の他端部側を回転自在に支持する可動軸受部4とから構成されている。
【0049】
固定軸受部51は、一対のベアリング軸受が軸穴に組み付けられた固定軸受部材52と、この固定軸受部材52とハブホルダ11との間に位置して巻取軸6に組み込まれる第1のディスタンスロッド15Aと、巻取軸6の一端部に形成したプーリ固定部20にねじ込まれることによって固定軸受部材52の一端側を係止するベアリングナット16Aとから構成されている。
【0050】
固定軸受部材52は、外周部に複数のネジ穴が設けられた取付用フランジ部が一体に形成されることによって、装置フレームの固定側板14Aにネジ止め固定される。
【0051】
固定軸受部材52には、巻取軸6の一端部を回転自在に支持するベアリング軸受の外周面に臨んで固定軸受部材52の外部から開口部に貫通する第1の調整ネジ穴54A及び第2の調整ネジ穴54Bと、これら調整ネジ穴54A、54Bにそれぞれねじ込まれることによってベアリング軸受の外周部を軸芯方向に押圧する第1の調整ネジ53A及び第2の調整ネジ53Bとからなる調整機構が固定軸受部材52を介して対向する位置に設けられる。
【0052】
第1の調整ネジ穴54A及び第2の調整ネジ穴54Bは、深さ寸法が固定軸受部材52の厚さ寸法と略等しいとされ、内周にネジ溝が切られている。
【0053】
第1の調整ネジ53A及び第2の調整ネジ53Bは、長さ寸法が固定軸受部材52の厚さ寸法よりもやや大とされ、外周にネジ溝が切られている。これら調整ネジ53A、53Bは、固定軸受部材52の調整ネジ穴54A、54Bにそれぞれねじ込まれる。
【0054】
したがって、巻取装置50の固定軸受部51を構成する固定軸受部材52は、図5に示すように、調整ネジ53A、53Bが固定軸受部材52を介して、ベアリング軸受の外周部を軸芯方向に押圧する。ベアリング軸受に回転自在に支持された巻取軸6は、調整ネジのねじ込み量が調整されることによって回転方向の振れが規制される。
【0055】
上述したように、実施例巻取装置50は、調整ネジ53をねじ込むことによって、巻取軸6が押圧して支持され、巻取軸6の振れが生じなくなる。したがって、巻取装置50は、巻取軸の振れを抑制することにより、裁断された製品幅の磁気テープの巻取状態が一定となり、より一層の巻取精度の向上が図られる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、可動軸受部によって巻取軸の自由端が軸方向に固定軸受部と対向する可動軸受部側へ引っ張られることにより、巻取軸が高速で回転駆動されるときに生じるたわみを抑制でき、磁気テープの巻取の高速化が図られる。さらに、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、巻取軸の振れを抑制するので磁気テープの巻取精度の向上が図られる。したがって、スリッタは、巻取装置による裁断された磁気テープの巻取装置の高速化が図られるので、全体として磁気テープ原反の高速処理化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る巻取装置を含むスリッタを示す構成図である。
【図2】本発明に係る第1の実施例磁気テープの巻取装置を示す分解斜視図である。
【図3】同磁気テープの巻取装置を示す縦断面図である。
【図4】同磁気テープの巻取装置を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る第2の実施例磁気テープの巻取装置を構成する軸受支持部を示す縦断面拡大図である。
【符号の説明】
A スリッタ
D 磁気テープの巻取装置
1 磁気テープ巻取部
2 連結部
3 固定軸受部
4 可動軸受部
6 巻取軸
7 軸キャップ部材
9 クラッチ部材
10 連結軸部材
11 ハブホルダ
12 巻取用ハブ
13 固定軸受部材
17 シリンダ部材
18 可動軸受部材
41 可動軸受部材の環状凸部
45 シリンダ空間部
45A・・・第1のエアー室
45B・・・第2のエアー室
【産業上の利用分野】
本発明は、テープレコーダ或いはビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置に用いられる磁気テープの巻取装置に関し、さらに詳しくは幅広の磁気テープ原反から細幅に裁断された磁気テープを多数個の巻取用ハブに巻き取るための磁気テープの巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
テープレコーダ或いはビデオテープレコーダ等の磁気記録再生装置に用いられる磁気テープは、幅広の非磁性材支持体上に磁気記録層を形成して磁気テープ原反を作成した後、この幅広の磁気テープ原反をスリッタにより製品幅に裁断して形成される。スリッタは、幅広の磁気テープ原反を供給する原反供給装置と、この原反供給装置から供給された磁気テープ原反を製品幅に裁断する裁断装置と、この際断装置によって裁断された磁気テープを多数個の巻取用ハブにそれぞれ巻き取る巻取装置とから構成されている。
【0003】
巻取装置は、駆動機構によって回転駆動される巻取軸上に筒状のハブホルダを回転方向に固定した状態で組み付けるとともに、このハブホルダ上に少なくとも裁断数分の巻取用ハブが組み付けられて構成される。裁断装置において製品幅に裁断された磁気テープは、例えばあらかじめ接着剤が塗布された巻取用ハブの外周部にガイド機構を介して導かれる。
【0004】
巻取装置は、裁断装置と同期して巻取軸が回転駆動されることによって、巻取用ハブの外周部に裁断された磁気テープが順次巻き取られるとともに、この巻取用ハブに所定量の磁気テープが巻き取られると巻取軸の回転動作が停止される。巻取用ハブは、磁気テープの巻取操作が終了すると、例えば装置の側面部を開放して巻取軸の一方側から取り外され、次工程へと搬送される。
【0005】
上述した巻取装置においては、巻取軸が多数個の巻取用ハブを組み付けるために全体として長軸に構成されるとともに、巻取用ハブの軸穴径に制限があるために軸長に対して比較的小径に構成されている。また、この巻取軸は、外周部に巻取用ハブを脱着するために、少なくとも一端部側を軸受部に対して取り外し自在に軸支する必要がある。このため、巻取軸は、両端部の近傍をそれぞれ軸受部材によって回転自在に支持されるとともに、弾性手段によって両側から圧縮付勢されることにより抜け止めが図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スリッタの磁気テープ原反の高速処理化は、裁断装置の高速化とともに巻取装置の巻取軸を高速で回転駆動することが必要となる。しかしながら、巻取軸は、上述したように、全体として長軸で、軸長に対して比較的小径に構成されるとともに両側から圧縮付勢されるため、高速で回転駆動されると支持位置で振れ現象を生じてしまう。そして、巻取軸は、高速での回転駆動を続けるとこの振れ現象により全体として遠心力を生じ、その結果たわみが生じる。
【0007】
このように、巻取軸は、高速で回転駆動されてたわみが生じることにより、回転速度が一定以上となると遠心力が巻取軸の剛性抵抗力に打ちかって、破壊されてしまう。従来の磁気テープの巻取装置においては、巻取軸を駆動する回転速度に制限があるため、裁断された磁気テープの巻き取り速度を上げて磁気テープ原反の高速処理化を図ることが困難であるといった問題点があった。
【0008】
また、巻取装置は、巻取軸の振れ現象により、巻取用ハブに巻き取られる裁断された製品幅の磁気テープが一定の状態で巻き取られず、巻取精度の向上を図ることができないといった問題点があった。
【0009】
したがって、本発明は、巻取軸が回転駆動する際に生じるたわみを抑制して磁気テープを高速で巻取り可能とするとともに、巻取軸の振れ現象を抑制して磁気テープの巻取精度の向上を可能とした磁気テープの巻取装置を提供することを目的として提案されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成した本発明に係る磁気テープの巻取装置は、巻取軸と、上記巻取軸の外周部上に回転方向に固定されて軸装されたハブホルダと、上記ハブホルダの外周部上に回転方向に固定されて組み付けられ外周部に裁断された磁気テープが巻き取られる巻取用ハブと、上記巻取軸の一端部を軸方向に固定した状態で回転自在に支持する固定軸受部と、上記巻取軸の他端部に取外し可能に連結された連結部と、上記連結部の一端部側を回転自在に支持する可動軸受部とを備え、上記可動軸受部は上記巻取軸を軸方向に上記固定軸受部と対向する上記可動軸受部側へ引張り力を付与することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る磁気テープの巻取装置は、上記連結部に、上記巻取軸の一端部に取り外し可能に組み付けられて上記巻取軸に軸装された上記ハブホルダを軸方向に係止する軸キャップ部材と、一端部が上記可動軸受部に回転自在に支持された連結軸部材と、上記連結軸部材と上記軸キャップ部材との間に配設されて上記連結軸部材と上記軸キャップ部材とを連結するクラッチ部材とを備え、上記可動軸受部は、上記連結部の連結軸部材を軸方向に対して一体化した状態で回転自在に支持するとともに外周部に環状凸部が設けられた可動軸受部材と、上記可動軸受部材をスライド自在に収納するとともに上記可動軸受部材の環状凸部によって軸方向に第1のエアー室と第2のエアー室とに区割りされるシリンダ空間部が内周壁に設けられたシリンダ部材とを備え、上記可動軸受部を構成する上記可動軸受部材と上記シリンダ部材とは、上記シリンダ空間部に圧縮空気が供給されて上記可動軸受部材を上記シリンダ部材の内部にスライド動作させるととによって、上記連結部を介して上記巻取軸に対して軸方向の引張り力を付与する引張り機構を構成することを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明に係る磁気テープの巻取装置は、上記固定軸受部には、上記巻取軸の一端部を回転自在に支持する軸受部の外周面に臨んで軸受部材に設けられた複数の調整ネジ穴と、これら調整ネジ穴にねじ込まれることによって軸受の外周部を軸芯方向に押圧する複数の調整ネジとからなる軸受調整機構が設けられ、上記軸受に回転自在に支持された巻取軸は、上記調整ネジのねじ込み量が調整されることによって、回転方向の振れが規制されることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】
以上のように構成された本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、巻取軸は、一端部が固定軸受部によって軸方向に固定された状態で回転自在に支持されるとともに、引張り機構によって軸方向に引っ張られた状態で、他端部側が連結部を介して可動軸受部に回転自在に支持される。巻取軸は、回転駆動されて巻取用ハブの外周部に所定量の磁気テープが巻き取られると回転動作が停止され、しかる後連結部から開放されて外周部から巻取用ハブが取り出される。
【0014】
巻取軸は、外周部に多数の巻取用ハブを軸装支持することによって、比較的細径で長軸に構成されるが、固定軸受部と可動軸受部間に引張り機構による引張り力を付与された状態で回転自在に支持されることによって、たわみが抑制された状態で回転駆動される。したがって、磁気テープの巻取装置は、巻取軸が高速で回転駆動された場合でも、たわみに起因する軸振れ現象の発生が抑制されるため、磁気テープを巻取用ハブの外周部に良好な状態で高速で巻き取ることを可能とする。
【0015】
また、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、可動軸受部を構成する可動軸受部材とシリンダ部材とは、シリンダ空間部に圧縮空気を供給することによって可動軸受部材がシリンダ部材の内部を軸方向にスライド動作し、連結部を介して巻取軸を軸方向に引っ張る引張り機構を構成する。また、可動軸受部材とシリンダ部材とによって構成される引張り機構は、第1のエアー室又は第2のエアー室に供給する圧縮空気を調整することによって、可動軸受部材の移動量が調整されて巻取軸に対する軸方向の引張り力が調整される。したがって、磁気テープの巻取装置によれば、巻取軸は、最適な状態で固定軸受部と可動軸受部間に回転自在に支持される。
【0016】
さらに、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、固定軸受部と可動軸受部間に回転自在に支持された巻取軸は、固定軸受部側の軸受調整機構を構成する調整ネジのねじ込み量が調整されることによって、回転方向の振れが規制される。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
実施例磁気テープの巻取装置Dは、図1に示すように、幅広の磁気テープ原反を製品幅に裁断するスリッタAの装置の一部を構成する。スリッタAは、原反製造工程において製造された磁気テープ原反を供給する原反供給装置Bと、供給された磁気テープ原反を製品幅に高精度に裁断する裁断装置Cと、裁断された磁気テープを巻取用ハブにそれぞれ巻き取る巻取装置Dとから構成される。スリッタAを構成する各装置B乃至Dは、磁気テープ原反及び裁断された磁気テープが安定した状態で連続走行されるように、互いに連動して動作される。
【0019】
磁気テープの巻取装置Dは、図2及び図3に示すように、巻取軸6と、ハブホルダ11及び巻取用ハブ12とから構成される磁気テープ巻取部1と、巻取軸6の一端部側に取外し可能な状態で組み合わされた連結部2と、巻取軸6の一端部側を軸方向に固定した状態で回転自在に支持する固定軸受部3と、連結部2の他端部側を回転自在に支持する可動軸受部4とから構成されている。
【0020】
磁気テープ巻取部1は、スリッタAを構成する上述した他の装置と連動された駆動機構によって回転駆動され、製品幅に裁断されてガイド機構或いは整巻機構を介して供給される磁気テープの巻き取りを行う。固定軸受部3は、装置フレームの固定側板14Aに組み付けられている。また、可動軸受部4は、固定側板14Aに対して対向間隔が可変される可動側板14Bに組み付けられている。可動側板14Bは、例えばプランジャ49を駆動することによって、回動動作され、磁気テープ巻取部1と連結部2とを取り外し可能とする。
【0021】
巻取軸6は、裁断装置Cにおいて磁気テープ原反が製品幅に多数条に裁断された磁気テープをそれぞれ巻き取るための多数個の巻取用ハブ12を軸装するに充分な軸長を有するとともに、この巻取用ハブ12とハブホルダ11とが外周部に軸装されるために比較的小径に構成されている。巻取軸6は、一端部が固定軸受部3を貫通して外方へと突出されており、やや小径とされたこの露呈端部の外周部にネジが形成されてプーリ固定部20が一体に設けられている。このプーリ固定部20には、図示しない駆動機構からの回転伝達を受けるプーリ5が固定されている。また、巻取軸6には、他端部の端面からネジ穴21が形成されている。
【0022】
巻取軸6には、外周部にハブホルダ11を介して巻取用ハブ12が軸装されている。ハブホルダ11と巻取用ハブ12とは、少なくとも裁断された磁気テープの本数に対応した個数が備えられる。ハブホルダ11は、それぞれ巻取軸6の軸径とほぼ同径の軸穴を有するとともに外径が巻取用ハブ12の軸穴径とほぼ等しくされた筒状に形成され、例えば図示しない相対係合するキー及びキー溝の構成によって巻取軸6の外周部に回転方向に対して固定されるとともに軸方向に対してスライド自在な状態で軸装されている。また、ハブホルダ11は、外周部に複数条の回止め凸部36が一体に形成されている。なお、固定軸受部3側に軸装されるハブホルダ11Aには、側面部に大径部として構成された巻取用ハブ12を係止する円盤状のストッパ部11aが一体に形成されている。
【0023】
巻取用ハブ12は、軸穴の内周壁にハブホルダ11の回止め凸部36と相対係合する複数条の回止め凹部37が形成されている。したがって、巻取用ハブ12は、それぞれのハブホルダ11の外周部に、回転方向に対して固定されるとともに軸方向に対してスライド自在な状態で軸装されている。
【0024】
巻取用ハブ12は、後述する磁気テープの巻取操作に際して、外周部に磁気テープの特性等に影響を及ぼさない接着剤があらかじめ塗布される。したがって、磁気テープは、回転駆動された巻取用ハブ12の外周部に押し付けられると、接着剤の作用によって巻き取られる。
【0025】
連結部2は、巻取軸6の一端部にネジ穴21にねじ込まれる固定ネジ8によって組み合わされる軸キャップ部材7と、この軸キャップ部材7の側面部に組み合わされるクラッチ部材9及びこのクラッチ部材9の側面部に組み合わされる連結軸部材10とから構成されている。
【0026】
軸キャップ部材7は、巻取軸6の自由端側に対向しハブホルダ11の外径よりもやや大径とされた略円柱部22と、この円柱部22の一方側面部に一体に連設された円錐部23とから構成されている。また、この軸キャップ部材7は、円柱部22の外周部に軸方向の略中央部に位置して段部24が全周に亘って形成されている。さらに、軸キャップ部材7の外周部には、この段部24に対向するようにして円錐部23との境界部分に円弧状の係合部25A、25Bが一体に張り出し形成されている。
【0027】
軸キャップ部材7には、円柱部22の端面に巻取軸6の自由端部が係合される座ぐり穴26が設けられている。そして、この座ぐり穴26の底面部には、円錐部23を貫通して固定ネジ8が挿入されるネジ穴27が設けられている。
【0028】
固定ネジ8は、長さ寸法が軸キャップ部材7の座ぐり穴26の軸方向の長さ寸法よりもやや大とされており、軸キャップ部材7の円錐部23側からネジ穴27にねじ込まれることによって、先端部が座ぐり穴26に係合された巻取軸6のネジ穴21にねじ込まれる。したがって、軸キャップ部材7は、固定ネジ8によって巻取軸6の自由端部側に取り付けられる。また、軸キャップ部材7は、固定ネジ8を外すことにより、巻取軸6から取り外される。軸キャップ部材7は、巻取軸6に取り付けられた状態において、この巻取軸6に軸装されたハブホルダ11を軸方向に係止する。
【0029】
クラッチ部材9は、やや厚みのある円盤状の部材であって、軸キャップ部材7との対向側面部から、この軸キャップ部材7の円錐部23が組み合わされる円錐台状の軸キャップ穴28が設けられている。この軸キャップ穴28の底面部には、固定ネジ8の頭部を逃げる逃げ凹部29が設けられている。クラッチ部材9には、軸キャップ穴28が開口する一方側面部側に一体の係合部30A、30Bが一体に形成されている。これら係合部30A、30Bは、クラッチ部材9の側面部の軸対称位置に、外周縁から軸方向に突出されかつ先端部において中心方向へと折曲されることによってそれぞれ断面L字状を呈して形成されている。
【0030】
これら係合部30A、30Bは、軸キャップ部材7の外周部に形成した係合部25A、25Bとそれぞれ円周方向の長さ寸法がほぼ等しい円弧状に形成されるとともに、内径寸法が係合部25A、25Bの外径寸法よりも小径とされて形成されている。また、これら係合部30A、30Bは、軸キャップ部材7の係合部25A、25B間に構成される円周方向の間隙から段部24との間に差し入れ得る円周方向の長さ寸法を有している。したがって、クラッチ部材9は、係合部25A、25Bと係合部30A、30Bとを組み合わせることによって、軸方向に連結される。
【0031】
クラッチ部材9は、他方側面部に係合凸部31A、31Bが一体に形成されている。これら係合凸部31A、31Bは、クラッチ部材9の側面部の軸対称位置に、軸方向に突出されかつ先端部において外周側へと折曲されることによって断面L字状を呈して形成されている。また、これら係合凸部31A、31Bは、円周方向にそれぞれ略90゜の範囲に亘る長さ寸法を有している。
【0032】
連結軸部材10は、クラッチ部材9の外径よりもやや小径の円盤部32とこの円盤32の一方側面部に一体に形成された軸部33とから構成されている。円盤部32には、クラッチ部材9との対向側面部に、係合凸部34A、34Bが一体に形成されている。これら34A、34Bは、円盤部32の側面部の軸対称位置に、軸方向に突出されかつ先端部において中心方向へと折曲されることによってそれぞれ断面L字状を呈して形成されている。また、これら係合凸部34A、34Bは、円周方向にそれぞれ略90゜の範囲に亘る長さ寸法を有している。
【0033】
さらに、係合凸部34A、34Bは、基部の内径が、クラッチ部材9の係合凸部31A、31Bの基部の外周径とほぼ等しく形成されている。軸部33は、巻取軸6とほぼ同径であって、先端部には細径とされるとともに外周部にネジ溝が形成されたベアリングナット止め部35が一体に形成されている。連結軸部材10は、係合凸部34A、34Bを係合凸部31A、31Bの円周方向の間隙から差し入れて約90゜回転させることによって、クラッチ部材9と軸方向に連結される。
【0034】
固定軸受部3は、一対のベアリング軸受が軸穴に組み付けられた固定軸受部材13と、この固定軸受部材13とハブホルダ11との間に位置して巻取軸6に組み込まれる第1のディスタンスロッド15Aと、巻取軸6の一端部に形成したプーリ固定部20にねじ込まれることによって固定軸受部材13の一端側を係止するベアリングナット16Aとから構成されている。固定軸受部材13は、外周部に複数のネジ穴が設けられた取付用フランジ部が一体に形成されることによって、装置フレームの固定側板14Aにねじ止め固定される。巻取軸6は、この固定軸受部材13によって回転自在に支持されるとともに、一端部にベアリングナット16Aがねじ込まれることによって軸方向に固定される。
【0035】
第1のディスタンスロッド15Aは、巻取軸6の外径よりもやや大径の軸穴を有し、ベアリング軸受或いは固定側板14Aとハブホルダ11とが直接接触しないように間隔を保持する。したがって、ハブホルダ11は、巻取軸6と一体に安定した状態で回転動作する。ベアリングナット16Aは、ベアリング軸受を係止する大径部39と、この大径部39の側面部に一体に形成された小径部40とから構成されている。小径部40は、プーリ固定部20に軸装されたプーリ5を軸方向に規制する。
【0036】
可動軸受部4は、連結部2を構成する連結軸部材10を回転自在に支持する一対のベアリング軸受が軸穴に組み込まれた可動軸受部材18と、この可動軸受部材18を軸方向にスライド自在に支持するシリンダ穴を有する有底筒状のシリンダ部材17と、このシリンダ部材17の開口部に嵌め込まれたピストンリング部材19と、連結軸部材10の軸部33に組み込まれる第2のディスタンスロッド15Bと、軸部33の先端部に形成しベアリングナット止め部35にねじ込まれることによって可動軸受部材18の一端側を係止するベアリングナット16Bとから構成されている。
【0037】
可動軸受部材18は、外径がシリンダ部材17のシリンダ穴の内径とほぼ等しい筒状に形成されている。この可動軸受部材18には、外周部の軸方向の略中央部に位置して環状凸部41が全周にわたって一体に突出形成されている。また、可動軸受部材18には、外周部に環状凸部41によって軸方向に区割りされた凹部42が設けられている。連結軸部材10は、軸部33がベアリング軸受が組み込まれた軸穴に貫通されることによって可動軸受部材18に回転自在に支持されるとともに、この可動軸受部材18を貫通した露呈端部のベアリングナット止め部35にねじ込まれたベアリングナット16Bによって軸方向に固定される。
【0038】
シリンダ部材17は、外周部に図示しない複数のネジ穴が設けられた取付用フランジ部が一体に形成されることによって、装置フレームの可動側板14Bにネジ止め固定される。シリンダ部材17のシリンダ穴は、内径が上述したようにスライド動作される可動軸受部材18の外径とほぼ等しく形成されているが、開口部から可動軸受部材18の外周部に形成した凹部42の長さに対応した領域部分が穴径を大径とするように全周亘って凹部44として構成される。この凹部44は、内径が可動軸受部材18の環状凸部41の外径とほぼ等しい。
【0039】
シリンダ部材17の凹部44と可動軸受部材18の凹部42とは、可動軸受部材18をシリンダ部材17のシリンダ穴に組み込んだ状態において、協動してシリンダ空間部45を構成する。このシリンダ空間部45は、可動軸受部材18の外周部に設けた環状凸部41によって、軸方向に第1のエアー室45Aと第2のエアー室45Bとに区割りされる。シリンダ部材17には、第1のエアー室45Aと第2のエアー室45Bとにそれぞれ連通するエアー給排管46A、46Bが設けられている。これらエアー給排管46A、46Bは、それぞれ電磁バルブ47A、47Bを介してコンプレッサ48と接続されている。これら電磁バルブ47A、47Bは、図示しない制御装置によって一方が給気状態を呈する場合に、他方が排気状態となるように開閉され、コンプレッサ48から供給される圧縮空気を第1のエアー室45A或いは第2のエアー室45Bへと供給するとともに第1のエアー室45A或いは第2のエアー室45Bから空気を排気する。
【0040】
ピストンリング部材19は、シリンダ部材17のシリンダ穴の開口部に嵌め込まれることによって、スライド自在に組み込まれた可動軸受部材18の軸方向の抜け止め作用を奏するとともにシリンダ穴の一端部を閉塞してシリンダ空間部45を密閉空間部として構成する。ベアリングナット16Bは、ベアリング軸受を係止する大径部39と、この大径部39の側面部に一体に形成された小径部40とから構成されている。
【0041】
以上のように構成された可動軸受部4は、後述するように、可動軸受部材18が、シリンダ部材17の内部を底面部側へとスライド動作することによって、連結部2を介して磁気テープ巻取部1を構成する巻取軸6を可動側板14B側へと引っ張る引張り機構を構成する。
【0042】
巻取装置Dは、例えば第1のエアー室45Aに臨むエアー給排管46Aに対応した電磁バルブ47Aを給気側に、また第2のエアー室45Bに臨むエアー室給排管46Bに対応した電磁バルブ47Bを排気側に開放した状態でコンプレッサ48が起動されると、コンプレッサ48から供給された圧縮空気がエアー給排管46Aから第1のエアー室45Aに送り込まれて体積が増す。このとき、第2のエアー室45Bは、室内の空気が排気側に開放された電磁バルブ47Bを介してコンプレッサ48へと吸引されるため、全体として負圧となる。このため、可動軸受部材18は、図5に示すように外周部の環状凸部41が第1のエアー室45Aの体積の増加によって、第2のエアー室45B側へと移動するため、全体としてシリンダ部材17の内部を底面部側へと移動する。可動軸受部材18は、この移動動作によって連結部2を可動側板14B側へと吸引する。これによって巻取軸6は、連結部2を介して可動側板14Bへと引っ張られる。
【0043】
巻取装置Dは、裁断装置Cと同期して巻取軸6が引っ張られた状態で駆動機構からプーリ5に回転動力が伝えられて、巻取軸6が高速で回転駆動される。巻取装置Dは、巻取軸6が巻取軸6の支持位置で振れを生じずに高速で回転駆動される。そして、巻取装置Dは、巻取軸6がたわみを生じずに高速で回転駆動される。巻取装置Dは、巻取用ハブ12の外周部に裁断された磁気テープが順次高速で巻き取られる。巻取装置Dは、この巻取用ハブ12に所定量の磁気テープが巻き取られると巻取軸の回転が停止される。
【0044】
巻取装置Dは、巻取操作が終了すると、軸キャップ部材7を固定し、クラッチ部材9を手動にて回転し、軸キャップ部材7の係合部25A、25B間に構成された円周方向の間隙からクラッチ部材9の係合部30A、30Bを取り出される。次に、軸キャップ部材7は、固定ネジ8を外すことにより、巻取軸6から取り外される。巻取装置Dは、全体として軸方向の係合状態を解除した状態で、可動側板14Bを開放すると、軸キャップ7とクラッチ部材9との部分が解除される。巻取用ハブ12は、軸キャップ部材7が取り外された巻取軸6の開放側から取り外され、次工程へと搬出される。
【0045】
上述したように、第1の実施例巻取装置Dは、固定軸受部3によって巻取軸6の固定端側が軸方向に固定され、可動軸受部4によって巻取軸6の自由端側が軸方向に可動側板14Bへ引っ張られることにより、巻取軸6が回転駆動されることによって生じる振れが抑制される。したがって、この巻取装置Dは、巻取軸の振れが抑制されることにより、裁断された製品幅の磁気テープの巻取状態が一定となり、巻取精度の向上が図られる。
【0046】
また、巻取装置Dは、巻取軸6が振れを生じずに高速で回転駆動されるので、高速での回転駆動を続けてもたわみが生じない。したがって、巻取装置Dは、裁断された磁気テープの巻取の高速化が図られる。
【0047】
スリッタAは、巻取装置Dによる裁断された磁気テープの巻取の高速化が図られるので、全体として磁気テープ原反の高速処理化が可能となる。
【0048】
本発明に係る第2の実施例巻取装置50は、図5に示すように、巻取軸6と、ハブホルダ11及び巻取用ハブ12とから構成される磁気テープ巻取部1と、巻取軸6の一端部側に取り外し可能な状態で組み合わされた連結部2と、巻取軸6の一端部側を軸方向に固定した状態で回転自在に支持する固定軸受部51と、連結部2の他端部側を回転自在に支持する可動軸受部4とから構成されている。
【0049】
固定軸受部51は、一対のベアリング軸受が軸穴に組み付けられた固定軸受部材52と、この固定軸受部材52とハブホルダ11との間に位置して巻取軸6に組み込まれる第1のディスタンスロッド15Aと、巻取軸6の一端部に形成したプーリ固定部20にねじ込まれることによって固定軸受部材52の一端側を係止するベアリングナット16Aとから構成されている。
【0050】
固定軸受部材52は、外周部に複数のネジ穴が設けられた取付用フランジ部が一体に形成されることによって、装置フレームの固定側板14Aにネジ止め固定される。
【0051】
固定軸受部材52には、巻取軸6の一端部を回転自在に支持するベアリング軸受の外周面に臨んで固定軸受部材52の外部から開口部に貫通する第1の調整ネジ穴54A及び第2の調整ネジ穴54Bと、これら調整ネジ穴54A、54Bにそれぞれねじ込まれることによってベアリング軸受の外周部を軸芯方向に押圧する第1の調整ネジ53A及び第2の調整ネジ53Bとからなる調整機構が固定軸受部材52を介して対向する位置に設けられる。
【0052】
第1の調整ネジ穴54A及び第2の調整ネジ穴54Bは、深さ寸法が固定軸受部材52の厚さ寸法と略等しいとされ、内周にネジ溝が切られている。
【0053】
第1の調整ネジ53A及び第2の調整ネジ53Bは、長さ寸法が固定軸受部材52の厚さ寸法よりもやや大とされ、外周にネジ溝が切られている。これら調整ネジ53A、53Bは、固定軸受部材52の調整ネジ穴54A、54Bにそれぞれねじ込まれる。
【0054】
したがって、巻取装置50の固定軸受部51を構成する固定軸受部材52は、図5に示すように、調整ネジ53A、53Bが固定軸受部材52を介して、ベアリング軸受の外周部を軸芯方向に押圧する。ベアリング軸受に回転自在に支持された巻取軸6は、調整ネジのねじ込み量が調整されることによって回転方向の振れが規制される。
【0055】
上述したように、実施例巻取装置50は、調整ネジ53をねじ込むことによって、巻取軸6が押圧して支持され、巻取軸6の振れが生じなくなる。したがって、巻取装置50は、巻取軸の振れを抑制することにより、裁断された製品幅の磁気テープの巻取状態が一定となり、より一層の巻取精度の向上が図られる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、可動軸受部によって巻取軸の自由端が軸方向に固定軸受部と対向する可動軸受部側へ引っ張られることにより、巻取軸が高速で回転駆動されるときに生じるたわみを抑制でき、磁気テープの巻取の高速化が図られる。さらに、本発明に係る磁気テープの巻取装置によれば、巻取軸の振れを抑制するので磁気テープの巻取精度の向上が図られる。したがって、スリッタは、巻取装置による裁断された磁気テープの巻取装置の高速化が図られるので、全体として磁気テープ原反の高速処理化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る巻取装置を含むスリッタを示す構成図である。
【図2】本発明に係る第1の実施例磁気テープの巻取装置を示す分解斜視図である。
【図3】同磁気テープの巻取装置を示す縦断面図である。
【図4】同磁気テープの巻取装置を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る第2の実施例磁気テープの巻取装置を構成する軸受支持部を示す縦断面拡大図である。
【符号の説明】
A スリッタ
D 磁気テープの巻取装置
1 磁気テープ巻取部
2 連結部
3 固定軸受部
4 可動軸受部
6 巻取軸
7 軸キャップ部材
9 クラッチ部材
10 連結軸部材
11 ハブホルダ
12 巻取用ハブ
13 固定軸受部材
17 シリンダ部材
18 可動軸受部材
41 可動軸受部材の環状凸部
45 シリンダ空間部
45A・・・第1のエアー室
45B・・・第2のエアー室
Claims (3)
- 巻取軸と、
上記巻取軸の外周部上に回転方向に固定されて軸装されたハブホルダと、
上記ハブホルダの外周部上に回転方向に固定されて組み付けられ外周部に裁断された磁気テープが巻き取られる巻取用ハブと、
上記巻取軸の一端部を軸方向に固定した状態で回転自在に支持する固定軸受部と、
上記巻取軸の他端部に取外し可能に連結された連結部と、
上記連結部の一端部側を回転自在に支持する可動軸受部とを備え、
上記可動軸受部は上記巻取軸を軸方向に上記固定軸受部と対向する上記可動軸受部側へ引張り力を付与することを特徴とする磁気テープの巻取装置。 - 上記連結部は、上記巻取軸の一端部に取り外し可能に組み付けられて上記巻取軸に軸装された上記ハブホルダを軸方向に係止する軸キャップ部材と、一端部が上記可動軸受部に回転自在に支持された連結軸部材と、上記連結軸部材と上記軸キャップ部材との間に配設されて上記連結軸部材と上記軸キャップ部材とを連結するクラッチ部材とを備え、上記可動軸受部は、上記連結部の連結軸部材を軸方向に対して一体化した状態で回転自在に支持するとともに外周部に環状凸部が設けられた可動軸受部材と、上記可動軸受部材をスライド自在に収納するとともに上記可動軸受部材の環状凸部によって軸方向に第1のエアー室と第2のエアー室とに区割りされるシリンダ空間部が内周壁に設けられたシリンダ部材とを備え、
上記可動軸受部を構成する上記可動軸受部材と上記シリンダ部材とは、上記シリンダ空間部に圧縮空気が供給されて上記可動軸受部材を上記シリンダ部材の内部にスライド動作させるととによって、上記連結部を介して上記巻取軸に対して軸方向の引張り力を付与する引張り機構を構成することを特徴とする請求項1に記載の磁気テープの巻取装置。 - 上記固定軸受部には、上記巻取軸の一端部を回転自在に支持する軸受部の外周面に臨んで軸受部材に設けられた複数の調整ネジ穴と、これら調整ネジ穴にねじ込まれることによって軸受の外周部を軸芯方向に押圧する複数の調整ネジとからなる軸受調整機構が設けられ、
上記軸受に回転自在に支持された巻取軸は、上記調整ネジのねじ込み量が調整されることによって、回転方向の振れが規制されることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の磁気テープの巻取装置。
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