JP3572107B2 - 傾斜エンドリングを有する空気バネ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、鉄道車両、大型自動車、超精密工作機械、その他の防振装置に組み込まれる空気バネに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気バネには、公知のように、金属製のピストンとシリンダからなる形式と、繊維で補強されたゴム膜を用いる形式とがある。そしてゴム膜を用いる形式には更に、ストローク中にゴム膜が蛇腹状に伸縮するのみで反転することのない非反転形のもの(ベローズ型)と、ストローク中にゴム膜が反転してゆく反転形のもの(ダイヤフラム型)とがあり、反転形と非反転形とを組み合わせた形式のもの(コンバインド型)も開発されている。
【0003】
空気バネは、固有振動数を荷重負荷の変化に関係なくほぼ一定に保つことができ、高周波振動の絶縁性が良く騒音を防止でき、バネに対する給脂が不要であるなどの利点を有するが、空気バネ自体上下方向以外に剛性がないため、位置拘束部材を必要とする。
【0004】
例えば図1に示されるダイヤフラム型空気バネにおいては、繊維補強されたゴム製ダイヤフラム1が、基面4にエンドリング5で位置固定されるとともに、内部に空気圧をかけられ台車等に取り付けられた内筒2を上下方向において支持している。そしてダイヤフラム1に接触するように外筒3が配置され、内筒2が水平方向に移動した場合に、元の位置へ復元するように作用する。
【0005】
これをイラスト的に説明すると次のようになる。即ち、図2に示されるように、内筒2が右よりに位置ずれすると、ダイヤフラムの右側部分1’は、エンドリング5から内筒2底への取付位置8までの膜長さが補強繊維の存在により変化せず、また外筒3によってダイヤフラムが変位制限を受けているので、内筒2と外筒3の間の距離が縮まる分に対応して、内筒2への接触面積を増すように高くなり(L2)、一方、ダイヤフラムの左側部分1’’は、これとは逆に内筒2への接触面積を減らすように低くなる(L1)。その結果、内筒2を挟んでダイヤフラムの左右で高低差(ΔL1)が生まれ、内筒2のダイヤフラム1からの受圧面積が右側面と左側面とで相違することになって、内筒2に対して左方向への復元力Fが作用する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この復元力Fは、ダイヤフラム1内にかけられた空気圧と、内筒2と外筒3の寸法及び位置関係(w1、w2)とにより定まるものであり、数トンに及ぶ重量を1m強径に作られた4乃至6個の空気バネで支える在来型の鉄道車両では、外筒と内筒の寸法差を比較的大きくとることで客車として適度な復元力を得るように調整されている。
【0007】
しかしながら、空気バネの寸法を小さくした上でかなりの重量を支持しようとする場合、外筒と内筒の寸法差を大きくすることが困難で、内筒の位置ずれが同じ程度でも受圧面積の変動が大きくなり、したがって復元力が大きくなりすぎる問題がある。
【0008】
図3に示されるように、仮に外筒を取り除いた状態で、ダイヤフラム1が基面4にエンドリング5で位置固定されるとともに内筒2を上下方向に支持するならば、ダイヤフラム単独で水平方向の復元力を生じるものではないので、内筒2が右よりに位置ずれを起こすと、図4に示されるように、ダイヤフラムの右側部分1’は、固定部分たるエンドリング5を乗り越えるようにたわみ、高さが低くなって、左側部分1’’との間で内筒2への加圧面積(ΔL2)に差異が生じ、通常の上記外筒拘束型空気バネの場合とは逆に、内筒2を一段と右へずらすように作用してしまい、いわば負の復元力(−F’)が生じる。
【0009】
更に外筒を図1に示されるものよりも内筒に対して低く構成した場合、内筒の水平方向での位置ずれの際に、ダイヤフラムが外筒を乗り越えるようにたわむ現象が起こり、非外筒拘束型と同じく、必要とする復元力が生じない。
【0010】
即ち、従来のダイヤフラム型空気バネの構成では、比較的サイズの小さなもので大重量を支えようとするならば、水平方向の動きに対してはかなり強い復元力を伴うことになり、当該復元力では大き過ぎるならば、まったく復元力がなく上下方向にのみ作用を受ける非外筒拘束型空気バネで足りる条件下でのみ利用するしかなく、実用性に大きな制約を受けていた。
【0011】
そこで本発明は、以上のような従来構成のダイヤフラム型空気バネの問題に鑑み、比較的サイズの小さな空気バネで大重量を支える場合でも、適度な復元力を自由に設定することが可能なダイヤフラム型空気バネを提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
当該課題を解決するために、本発明に係る空気バネでは、内圧をかけられた可撓性ダイヤフラムの端部を位置固定するエンドリングが、上方へ拡がった傾斜内面を有しダイヤフラム外面を支え、ダイヤフラムの高さに少なくとも相当する高さを有した外筒が、傾斜内面を有するエンドリングの外周側にしてダイヤフラムに接触しない位置に配置されている。
【0013】
上記傾斜内面が、ダイヤフラム上面に取り付けられた内筒の水平方向変位範囲をカバーする大きさに形成されていることが、好適である。
【0015】
【実施例】
本発明の詳細を、図に示された実施例に基づいて、説明する。
【0016】
図5に本発明の一実施例を示す。ほぼ円筒状のゴム製ダイヤフラム1は、斜め方向に繊維を編み込むことで補強されている。繊維補強の結果、ダイヤフラム1には伸縮性に制約が加えられる一方で、反転性を損ねない程度の可撓性は保持される。このような構成のダイヤフラム自体は既に公知である。このダイヤフラム1の端部は、基面4にエンドリング6で位置固定されていて、内部には所定の空気圧(例えば5kgf/cm2)がかけられている。当該ダイヤフラム1は、その上側平坦部分で内筒2を取り付けて支持している。
【0017】
エンドリング6は所定傾斜角をもって基面4に対して傾いた内面7を有している。この傾斜角は、ダイヤフラム寸法と負荷重量によって影響される復元力を適度なものとする観点から決定できるもので、弱めの復元力を選択する場合には傾斜角を小さくし、強めの復元力のためには傾斜角を大きくすればよい。
【0019】
ダイヤフラム1の外周には外筒3が配置されている。当該外筒3は、従来の外筒拘束型空気バネの場合と異なり、内筒2が水平方向にずれない初期位置にある状態ではダイヤフラム1と接触しないように位置どりされている。その結果、内筒2の位置ずれが僅かな段階では、傾斜エンドリング6による弱い復元力が内筒2に作用し、位置ずれが大きくなってダイヤフラム1が外筒3に接触する段階で、従来の外筒拘束型と同じく、外筒3による強い復元力が内筒2に作用することとなる。
【0020】
このように構成することで、正常な範囲での横ずれに対しては傾斜エンドリングによる弱い復元力を作用させ、異常に大きな横ずれを生じた場合には非常用として強い復元力を作用させる使い分けをすることができる。例えば鉄道車両に本実施例の空気バネを用いれば、横変位の小さな通常運転状態では弱い横案内力による良好な乗り心地を得て、横変位の大きな異常運転状態では強い横案内力による安全性を確保することが可能となる。
【0021】
5kgf/cm2の内圧をかけられたダイヤフラム1で140mm径の内筒2を支持し、傾斜エンドリング6の傾斜角を30°とし、外筒2とダイヤフラム1の距離を5mm、外筒径を210mm、外筒長さを70mmとした場合の変位と復元力荷重の関係を、同じサイズで外筒がなく傾斜エンドリングのみで復元力を与える構成のものと、内筒が初期位置にある時からダイヤフラムが外筒に接触している従来の外筒拘束型のものとの比較の上に、図6に示す。傾斜エンドリングのみもつ構成では、変位の全域において復元力が穏やかに発生するのに対して、組み合わせ型の構成ではダイヤフラムが外筒と接触する変位5mmを越えた段階で急速に復元力が大きくなる。従来型では僅かな変位の段階から急激に復元力が増加することが理解されよう。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、内圧をかけられた可撓性ダイヤフラムの端部を位置固定するエンドリングが、上方へ拡がった傾斜内面を有しダイヤフラム外面を支えて構成され、ダイヤフラムの高さに少なくとも相当する高さを有した外筒が、傾斜内面を有するエンドリングの外周側にしてダイヤフラムに接触しない位置に配置されているので、比較的サイズの小さな空気バネで大重量を支える場合に、内筒の横変位が小さい範囲では弱い復元力を発生させ、横変位が所定範囲を越える大きな範囲では強い復元力を発生させることができ、エンドリング傾斜内面の傾斜程度と外筒とダイヤフラムの間隔程度を調整することで復元力に適切な変化をもたせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来公知の外筒拘束型のダイヤフラム空気バネを示す概略図である。
【図2】図1の空気バネにおいて内筒が変位した場合の復元力の発生を説明する概略図である。
【図3】外筒の存在しない場合のダイヤフラム空気バネを示す概略図である。
【図4】図3の空気バネにおいて内筒が変位した場合の水平方向の動きを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施例を示す概略図である。
【図6】各種ダイヤフラムでの内筒変位と復元力の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ダイヤフラム
2 内筒
4 基面
6 エンドリング
7 傾斜内面
Claims (1)
- 内圧をかけられた可撓性ダイヤフラムと、当該ダイヤフラム上面に取り付けられた内筒と、ダイヤフラム端部を位置固定するエンドリングとを備える空気バネにして、前記エンドリングが上方へ拡がった傾斜内面を有しダイヤフラム外面を支えているような空気バネにおいて、
前記ダイヤフラムの高さに少なくとも相当する高さを有した外筒が、傾斜内面を有するエンドリングの外周側にしてダイヤフラムに接触しない位置に配置されたことを特徴とする空気バネ。
Priority Applications (1)
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JP29680594A JP3572107B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | 傾斜エンドリングを有する空気バネ |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH08159198A JPH08159198A (ja) | 1996-06-18 |
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Family Applications (1)
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JP29680594A Expired - Lifetime JP3572107B2 (ja) | 1994-11-30 | 1994-11-30 | 傾斜エンドリングを有する空気バネ |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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JP4536604B2 (ja) * | 2005-06-10 | 2010-09-01 | 日本原子力発電株式会社 | 建築物用空気ばねの設計方法 |
JP2007182110A (ja) * | 2006-01-05 | 2007-07-19 | Jamco Corp | 常電導吸引型磁気浮上式車両 |
-
1994
- 1994-11-30 JP JP29680594A patent/JP3572107B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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