JP3571640B2 - カートリッジフィルター用マルチフィラメントおよびその製造方法、ならびにフィラメントワインド型カートリッジフィルター - Google Patents

カートリッジフィルター用マルチフィラメントおよびその製造方法、ならびにフィラメントワインド型カートリッジフィルター Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメントおよびその製造方法、ならびに該マルチフィラメントを用いて得られるフィラメントワインド型カートリッジフィルターに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、繊維油剤が実質上付着されておらず、特に製薬工業、食品工業、電子工業などの分野で使用されるフィラメントワインド型カートリッジフィルター用として好適なポリオレフィン製マルチフィラメント、およびこのものを、繊維油剤を実質上使用せずに効率よく製造する方法、ならびに該マルチフィラメントを用いて得られるフィラメントワインド型カートリッジフィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カートリッジフィルターは、有孔芯材に紡績糸やマルチフィラメントを巻き付けたフィラメントワインド型のものと、同じく有孔芯材に単繊維カードウェブや織布を巻き付けたシートワインド型に大別することができる。また、フィラメントワインド型およびシートワインド型には、それぞれ使用する繊維材料、例えば低融点鞘成分を有する複合繊維をカートリッジフィルター形状に賦形後、上記低融点鞘成分の融着温度以上で熱処理することにより、鞘成分を融着させて隣接する溶融鞘成分同士を接着固定化することにより、自己賦形性をもたせた芯材のないコアレスタイプのものが知られている。
【0003】
これらのカートリッジフィルターのろ過層を構成する繊維としては、通常綿繊維などの天然繊維や合成繊維など、様々なものが使用されるが、耐腐食性の点で、合成繊維が汎用されている。特に、耐薬品性が要求される分野においては、耐薬品性に優れるポリオレフィン系繊維、中でもポリプロピレン繊維が賞用されている。
【0004】
しかしながら、合成繊維を紡糸したり、延伸処理後カードを通してウェブを作製する場合、通常油剤が付与され、その結果、最終製品のカートリッジフィルターに加工した際に、そのろ過層には上記油剤成分が残留するため、このカートリッジフィルターを液体のろ過に供した場合、ろ過液に油剤が溶け出すおそれがある。したがって、このようなカートリッジフィルターは、特に不純物の溶出を嫌う製薬工業、食品工業、電子工業分野、中でも電子工業分野での使用が困難であった。
【0005】
ところで、上記のシートワインド型カートリッジフィルターについては、例えばカードウェブをウォータージェット法により交絡させることによって、付着油剤量を0.02重量%以下にして使用することが開示されている(特許第207997号)。このウォータージェット法は、高圧の水流によって、予め作製したウェブを交絡させる方法であり、基本的には激しく水洗しているのと同じ効果があるため、繊維に付着した油剤の大部分が洗い流されることから、最終製品の付着油剤量を少なくしうるものと思われる。しかしながら、このシートワインド型のカートリッジフィルターは、上述のように、カード設備や、さらには付着油剤量を減少するためのウォータージェット設備などが必要となり、加工コストが非常に高くつくのを免れないという欠点を有している。
【0006】
これに対し、フィラメントワインド型カートリッジフィルターは、大掛かりな設備を必要とせず、加工コストが低いが、製品中の繊維油剤を除去するには、フィラメントワインド型カートリッジフィルターを、製品として出荷する前に、予め水などを循環させるなどの処理を行って、油剤成分を除去する方法が採られていた。しかしながら、このような方法においては、油剤成分の除去処理に新たなコストがかかると共に、水などの循環処理を行うことにより、巻き付けたフィラメントの目ズレなどが生じ、当初の設定した仕様と同じでなくなり、所望のろ過性能が得られなくなるなど、好ましくない事態を招来する傾向があった。
【0007】
一方、ポリプロピレンやナイロンなどの熱可塑性合成繊維は、適当な熱と力とにより、容易にヒートセットできる性質を有しており、そして、このようなヒートセット性を利用したマルチフィラメントの嵩高加工機が古くから知られている。このような加工機で加工されるフィラメントは、一般に「BCF」(Bulked Continuous Filament)と呼ばれる。このBCF用の加工機を用いるフィラメントの加工方法として、例えばジェットノズルより、加熱圧縮流体と共に、フィラメントを針布、金網、多孔板などを巻き付けたドラム又はベルト上に吹きつけ、軟化した合成繊維を、その衝突の衝撃で座屈させて、いわゆる流体捲縮が付与されたフィラメントを得る方法が知られている(特公昭37−8620号公報、特公昭40−28129号公報、特開昭56−107028号公報など)。
【0008】
また、単糸直径が100μm以下の合成繊維のマルチフィラメント糸からなる実質的に無撚の長繊維捲縮糸を巻糸として、有孔ボビンに巻き付けてなる糸巻きカートリッジが提案されている(実開昭60−79521号公報)。この他にも、類似の特定の捲縮加工を施したものを用いてなるフィラメントワインド型カートリッジフィルターは、数多く知られているが、繊維油剤のない(油剤レス)マルチフィラメントを用いて得られたフィラメントワインド型カートリッジフィルターは、これまで知られていないのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、繊維油剤が実質上付着されておらず、特に製薬工業、食品工業、電子工業などの分野で使用されるフィラメントワインド型カートリッジフィルター用として好適なポリオレフィン製マルチフィラメント、およびこのものを、繊維油剤を実質上使用せずに、各工程でのトラブルがなく、効率よく製造する方法を提供すること、ならびに該マルチフィラメントを用いて得られるフィラメントワインド型カートリッジフィルターを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、表面に針布状部材を装着したドラム上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、ポリオレフィン製マルチフィラメントを連続的に吹き付けて捲縮処理したのち、水などの低温揮発性液体を付与し、このマルチフィラメントを該ドラムから巻出す前に、さらに低温揮発性液体を付与して巻取ることにより、所望のフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメントが、なんらトラブルもなく、効率よく得られること、およびこのようにして得られたマルチフィラメントからフィラメントワインド型カートリッジフィルターが得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、ポリオレフィン製であって、繊維油剤が実質上付着しておらず、かつ流体による捲縮が付与されてなるマルチフィラメントからなることを特徴とするフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメントおよび該マルチフィラメントを用いて得られたものであることを特徴とするフィラメントワインド型カートリッジフィルターを提供するものである。
【0012】
上記フィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメントは、本発明に従えば、表面に針布状部材を装着したドラム上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、ポリオレフィン製マルチフィラメントを連続的に吹き付け、該マルチフィラメントに捲縮付与処理を施したのち、低温揮発性液体を付与すると共に、上記ドラムから捲縮が付与されたマルチフィラメントを巻出す前に、さらに低温揮発性液体を付与し、次いで該マルチフィラメントを巻取ることにより、製造することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメント(以下、単に「本発明のマルチフィラメント」と称すことがある。)および該マルチフィラメントを用いて得られるフィラメントワインド型カートリッジフィルターは、合成繊維フィラメントの集束剤などとして通常用いられている繊維油剤が、実質上付着しておらず、かつ流体による捲縮(以下、流体捲縮と称すことがある。)が付与されてなるものである。
【0014】
本発明でいう「流体捲縮」とは、前述の従来の技術において記載したように、古くから知られる、例えばジェットノズルから加熱・軟化させたマルチフィラメントを勢いよく針布ドラム上に噴射して、その衝撃で繊維を座屈させることにより発現する捲縮のことであり、クリンパーボックスを用いる、いわゆる「機械捲縮」や収縮率の異なる樹脂成分を偏心の鞘芯構造あるいはサイドバイサイド構造として、熱処理等で収縮率の差を利用して発現させる、いわゆる「自然捲縮」とは異なるものである。
【0015】
ここで、繊維油剤が実質上付着していないということは、該油剤の付着率が、マルチフィラメントに対して、通常多くとも0.02質量%、好ましくは0〜0.01質量%の範囲にあることを意味する。また、捲縮付与のための流体としては、フィラメントに捲縮を付与しうるものであればよく、特に制限はないが、通常空気からなる加熱圧縮流体が用いられる。
【0016】
本発明のマルチフィラメントにおける単糸の繊度は、通常2.0〜50.0dTex(デシテックス)、好ましくは10.0〜12.5dTexの範囲で選定され、また、フィラメント数は、通常15〜500本、好ましくは60〜120本の範囲である。
【0017】
本発明のマルチフィラメントはポリオレフィン製であり、該フィラメントの素材として用いられるポリオレフィン系樹脂としては、特に制限はなく、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単独重合体やこれらの共重合体、あるいはこれらと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。代表例としては、高密度、中密度、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などのポリエチレン類、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体やランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン化合物共重合体などのポリプロピレン類、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などを挙げることができる。
【0018】
これらの中で、耐化学薬品性、機械特性、紡糸性などの点から、ポリプロピレン類が好ましく、中でも結晶性ポリプロピレン系樹脂が好適である。この結晶性ポリプロピレン系樹脂としては、例えば結晶性を有するアイソタクチックプロピレン単独重合体、エチレン単位の含有量の少ないエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン単独重合体からなるホモ部とエチレン単位の含有量の比較的多いエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる共重合部とから構成されたプロピレンブロック共重合体、さらには前記プロピレンブロック共重合体における各ホモ部又は共重合部が、さらにブテン−1などのα−オレフィンを共重合したものからなる結晶性のプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0019】
上記性状を有する本発明のマルチフィラメントは、以下に示す本発明の方法により、各工程におけるトラブルがなく、効果的に製造することができる。
本発明の方法においては、表面に針布状部材を装着したドラム(以下、針布ドラムと略称することがある。)上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、ポリオレフィン製マルチフィラメントを連続的に吹き付け、該マルチフィラメントに捲縮付与処理を施すが、本発明においては、下記の方法により、該マルチフィラメントに延伸処理を施してから、上記捲縮付与処理を施すのが有利である。
【0020】
すなわち、まず所望の繊度および本数を有するポリオレフィン製、好ましくはポリプロピレン製マルチフィラメントを溶融紡糸し、風冷法などにより冷却したのち、該マルチフィラメントに低温揮発性液体を付与する。この低温揮発性液体としては、沸点が70〜100℃の範囲にあるものが好ましく、例えば水、アルコール、ケトンおよびこれらの混合物などを挙げることができるが、これらの中で、特に水が好適である。この水としては、通常の水道水、工業用水、イオン交換水、純水などが用いられる。この場合、低温揮発性液体の付着率は、マルチフィラメントに対し、10質量%以上が好ましい。この付着率が10質量%未満では、続いて行われる加熱延伸処理工程において、加熱されたフィードローラーやドローローラーなどの上で、該マルチフィラメントが完全に乾燥して集束性を失うと共に、静電気の発生などが生じ、トラブルの発生率が著しく高くなるので、好ましくない。
【0021】
次いで、このようにして低温揮発性液体が付与されたマルチフィラメントを、例えば該低温揮発性液体の蒸発点以上の温度に加熱されたフィードローラーおよびドローローラーなどを用いて、加熱延伸処理する。この際の延伸処理温度は、マルチフィラメントを構成する樹脂の種類に応じて適宜選ばれるが、該樹脂がポリプロピレンの場合、通常100〜130℃の範囲で選定される。また、延伸倍率は、1.5〜2.5倍の範囲が好ましい。
【0022】
次に、このようにして延伸処理してなるマルチフィラメントを、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、針布ドラム上に吹き付け、該マルチフィラメントに捲縮付与処理を施す。この際用いられる加熱圧縮流体としては、例えば温度が、好ましくは180〜210℃、より好ましくは185〜195℃の範囲にあり、かつ圧力が、好ましくは19.6〜39.2N/cm、より好ましくは24.5〜34.3N/cmの範囲にある空気を用いるのが有利である。
【0023】
この流体捲縮付与マルチフィラメントは、低温揮発性液体がある程度蒸発し、集束性が低下しているので、本発明においては、針布ドラム上の適当な位置において、前述の低温揮発性液体を、該マルチフィラメントに付与する。この際の低温揮発性液体の付着率は、マルチフィラメントに対し、1.5質量%以上が好ましい。この付着率が1.5質量%未満では静電気の発生により、針布との剥離性が悪くなるなどの問題が生じるおそれがある。
【0024】
本発明においては、針布ドラムから上記マルチフィラメントを巻出す前に、針布ドラム上の適当な位置において、さらに前述の低温揮発性液体を付与したのちに、巻取り機に巻取る。この際の低温揮発性液体の付着率は、マルチフィラメントに対し、3.0質量%以上であるのが好ましい。この付着率が3.0質量%未満ではマルチフィラメントに損傷などが生じるおそれがある。
【0025】
なお、針布ドラム上での低温揮発性液体の付与については、該液体と空気とを混合噴射して得られるミスト状物を非接触式で付与するのが好ましい。この方法によると、ミスト状物の付与時に適度の噴射圧がかかることにより、針布へのフィラメント群の食い込みが良くなることから、より好ましい捲縮が得られると共に、加熱、軟化した流体捲縮付与マルチフィラメントを、迅速に軟化点以下に冷却するなどの効果を奏する。また、針布ドラム上のマルチフィラメントは、冷却空気などを吹き付けて冷却することもできる。
【0026】
巻取り機に巻取られたマルチフィラメントに付着した低温揮発性液体を乾燥することにより、本発明の繊維油剤が実質上付着していない流体捲縮付与マルチフィラメントが得られる。
この流体捲縮付与マルチフィラメントを原糸として、有孔芯材に巻き付けることにより、繊維油剤が実質上付着していないフィラメントワインド型カートリッジフィルターを得ることができる。なお、前記巻取り機として、カートリッジフィルター用の有孔芯材を用い、これに直接該マルチフィラメントを巻取り、カートリッジフィルター形状にしてもよい。
前記のBCF加工後のマルチフィラメントは、付与された捲縮により、フィラメント群が適度に絡み合い、繊維油剤が実質上ない状態でもバラケることなく、有孔芯材に巻付けることが可能となる。
【0027】
次に、添付図面に従い、本発明のマルチフィラメントの製造方法の好適な実施態様について説明する。
図1は、本発明のフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメントの製造方法の1例を示す工程概略図であって、この図で示すように、本発明の方法においては、押出機1の紡糸ノズル2からポリオレフィン製マルチフィラメント10を紡出し、風冷法などにより冷却したのち、低温揮発性液体付与機構3により、低温揮発性液体をマルチフィラメントに付与する。
【0028】
次いで、低温揮発性液体が付着したマルチフィラメントは、プリテンションローラー4を介してフィードローラー5に送られ、予熱されたのち、ドローローラー6、6′により、所望の倍率に加熱延伸処理される。続いて、この延伸処理マルチフィラメントを、ジェットノズル7から、加熱圧縮流体と共に、針布ドラム8上に吹き付けて、該マルチフィラメントに捲縮付与処理を施す。
【0029】
次に、この流体捲縮付与マルチフィラメントに、針布ドラム8上の適当な位置において、低温揮発性液体と空気とを混合噴射して得られるミスト状物Aを非接触式で付与し、さらに、このマルチフィラメントを針布ドラム8から巻出す前に、針布ドラム上の適当な位置において、上記ミスト状物A′を非接触式で付与する。また、この流体捲縮付与マルチフィラメントは、通常針布ドラム8上において、空冷パイプ11より冷却空気が吹き付けられて冷却される。
【0030】
最後に、上記マルチフィラメント12を、針布ドラム8から引き剥がし、巻取り機9に巻き取り、該マルチフィラメントに付着した低温揮発性液体を乾燥することにより、本発明の繊維油剤が実質上付着していない流体捲縮付与マルチフィラメントが得られる。
このようにして得られたマルチフィラメントを、有孔芯材に巻き付けることにより、繊維油剤が実質上付着していないフィラメントワインド型カートリッジフィルターを得ることができる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0032】
実施例
Y断面を有するポリプロピレン製マルチフィラメント(紡出糸単糸の繊度22dTex、フィラメント数120本、トータル繊度2640dTex)を紡糸ノズルから紡出し、風冷却したのち、タッチローラーにてイオン交換水を付着させた。なお、その直後のプリテンションローラーでの水分付着率は13.1質量%であった。
次いで、このイオン交換水が付着したマルチフィラメントを、速度550m/分の105℃に加熱されたフィードローラーで予熱したのち、速度1100m/分の120℃に加熱されたドローローラーにて2倍延伸処理した。
【0033】
次に、この延伸処理されたマルチフィラメントを、エアー温度190℃、エアー圧力29.4N/cmのジェットノズルにて、速度87m/分、針密度150本/cmの針布ドラム上に噴射し、該マルチフィラメントに流体捲縮を付与した。針布ドラム上において、上記噴射位置から20cm進行した位置で、2流体微噴射ノズル(スプレーインクシステムジャパン社製「AIR ATOM 1/4」)を用いて、圧縮エアー圧7.8N/cm、供給量30ミリリットル/分でイオン交換水を付与し、その後冷却エアーで針布ドラムごと冷却した。この冷却直後の水分付着率は3.0質量%であった。
【0034】
続いて、上記マルチフィラメントを針布ドラムから引き剥がし、巻取りボビンに巻取りを行うが、この際、針布ドラム上の引き剥がし位置の手前20cmの位置で、上記と同様の2流体微噴霧ノズルを用い、同様の条件でイオン交換水の付与を行ったのち、速度800m/分で巻取った。
巻取った状態における流体捲縮付与ポリプロピレン製マルチフィラメントの水分付着率は4.9質量%であった。このようにして、トータル繊度1320dTex(フィラメント数120本)の流体捲縮付与ポリプロピレン製マルチフィラメントが得られた。
【0035】
上記流体捲縮付与マルチフィラメントを、常温下、48時間乾燥処理して、フィラメントワインド型カートリッジフィルターの原糸とした。このマルチフィラメントの油剤付着率を測定したところ、0.0質量%であった。
これを有孔芯材に巻き付けることによって、トラブルなくポリプロピレン製のフィラメントワインド型カートリッジフィルターを得ることができた。さらに、上記カートリッジフィルターを用いて、水の循環テストを行ったところ、油剤が溶出した際に生じる泡立ちが全く認められず、油剤の溶出がないことを確認した。
【0036】
なお、水分付着率および繊維油剤付着率の測定は、下記の方法に従って行った。
〈水分付着率の測定〉
水分付着率の測定は、紡糸−冷却後のタッチローラーによるイオン交換水付着直後の位置、針布ドラム上の2流体微噴霧ノズルでのイオン交換水付与後の冷却エアーでの冷却直後の位置、および巻取り機に巻き取ったボビンの3箇所で測定した。測定方法は、各箇所で約50gのサンプルを採り、乾燥前の質量(A)およびファインオーブン中110℃で16時間乾燥を行った後の質量(B)を求め、下記式
[(A−B)/A]×100(単位:%)
より、算出した。本明細書に記載の水分付着率は同じ箇所で5点測定し、その平均値である。
【0037】
〈繊維油剤付着率の測定〉
迅速残脂抽出装置(東海計器社製R−II型)を使用し、フィラメント質量約2gに対し、油剤洗浄溶剤としてエタノール/メタノール混合溶剤(混合質量比2/1)を20ミリリットル用いた。測定は5点行い、本明細書に記載の繊維油剤付着率は、その平均値である。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、繊維油剤が実質上付着されておらず、特に製薬工業、食品工業、電子工業などの分野で使用されるフィラメントワインド型カートリッジフィルター用として好適なポリオレフィン製マルチフィラメントを、繊維油剤を実質上使用せずに、各工程でのトラブルがなく、効率よく製造することができ、該マルチフィラメントを用いて得られるフィラメントワインド型カートリッジフィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメントの製造方法の1例を示す工程概略図である。
【符号の説明】
1 押出機
2 紡糸ノズル
3 低温揮発性液体付与機構
4 プリテンションローラー
5 フィードローラー
6,6′ ドローローラー
7 ジェットノズル
8 針布ドラム
9 巻取り機
10 ポリオレフィン製マルチフィラメント(未延伸フィラメント)
11 空冷パイプ
12 ポリオレフィン製マルチフィラメント
A,A′ ミスト状物

Claims (9)

  1. ポリオレフィン製であって、繊維油剤が実質上付着しておらず、かつ表面に針布状部材を装着したドラム上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、ポリオレフィン製マルチフィラメントを連続的に吹き付け、該マルチフィラメントに捲縮付与処理を施したのち、低温揮発性液体を付与すると共に、上記ドラムから捲縮が付与されたマルチフィラメントを巻出す前に、さらに低温揮発性液体を付与し、次いで該マルチフィラメントを巻取ることにより得られたものであることを特徴とするフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメント。
  2. 繊維油剤の付着率がマルチフィラメントに対し、多くとも0.02質量%である請求項1に記載のフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメント。
  3. ポリオレフィン製マルチフィラメントがポリプロピレン製マルチフィラメントである請求項1または2に記載のフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメント。
  4. 表面に針布状部材を装着したドラム上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、ポリオレフィン製マルチフィラメントを連続的に吹き付け、該マルチフィラメントに捲縮付与処理を施したのち、低温揮発性液体を付与すると共に、上記ドラムから捲縮が付与されたマルチフィラメントを巻出す前に、さらに低温揮発性液体を付与し、次いで該マルチフィラメントを巻取ることを特徴とする請求項1、2または3に記載のフィラメントワインド型カートリッジフィルター用マルチフィラメントの製造方法。
  5. 表面に針布状部材を装着したドラム上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に連続的に吹き付けられるポリオレフィン製マルチフィラメントが、溶融紡糸後、延伸処理されたものである請求項5に記載の方法。
  6. ポリオレフィン製マルチフィラメントが、溶融紡糸後、低温揮発性液体が付与され、延伸処理されたものである請求項4に記載の方法。
  7. ポリオレフィン製であって、繊維油剤が実質上付着しておらず、かつ表面に針布状部材を装着したドラム上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、ポリオレフィン製マルチフィラメントを連続的に吹き付け、該マルチフィラメントに捲縮付与処理を施したのち、低温揮発性液体を付与すると共に、上記ドラムから捲縮が付与されたマルチフィラメントを巻出す前に、さらに低温揮発性液体を付与し、次いで巻取ることにより得られたマルチフィラメントを用いたものであることを特徴とするフィラメントワインド型カートリッジフィルター。
  8. 繊維油剤の付着率がマルチフィラメントに対し、多くとも0.02質量%である請求項7に記載のフィラメントワインド型カートリッジフィルター。
  9. ポリオレフィン製マルチフィラメントがポリプロピレン製マルチフィラメントである請求項7または8に記載のフィラメントワインド型カートリッジフィルター。
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