JP3571563B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板の表面に処理液を供給して処理する基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造においては,例えば半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)等の表面にパターンを形成するリソグラフィ工程が行われている。このリソグラフィ工程は,ウェハの表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布工程,レジスト膜の形成されたウェハを露光する露光処理工程,そして露光処理後のウェハに対して現像液を供給して処理する現像処理工程等の各種処理工程を有している。
【0003】
かかる処理工程のうち,現像処理工程にあっては,先ずウェハに現像液を供給し,このウェハの表面に現像液を盛り上げた状態でレジスト膜を現像する。次いで,ウェハを高速で回転させてウェハの表面に残った現像液を振り切ると共に,純水等の洗浄液を供給して当該ウェハの表面を洗浄している。
【0004】
そして,ウェハに現像液を供給する際には,従来から現像液供給ノズルが使用されている。現像液供給ノズルは略棒状に形成されており,その全長はウェハの直径以上になっている。また,現像液供給ノズルの内部には現像液を貯留する貯留部が形成されており,その底部にはウェハに対して現像液を吐出するための多数の現像液吐出孔が現像液供給ノズルの長手方向に沿って設けられている。このような構成により,ウェハを低速で回転させながら貯留部の現像液を現像液吐出孔から吐出させると,ウェハの表面に現像液が均一に供給されるようになっている。
【0005】
ところで,現在ではサブミクロン単位の微細なウェハの表面加工技術が必要となっており,ウェハに形成された微細なパターンを現像する際には,温度変化に敏感な現像液を好適に温度管理することが必要である。そこで従来より,貯留部に貯留された現像液を好適な温度に調整することが行われている。
具体的には,貯留部の内部に流路を設け,この流路に所定の温度に調整された温度調整水等を流通させている。これにより,温度調整水からの熱で貯留部内の現像液が好適に温度調整されて,ウェハの全面に対して等温度の現像液が均一に供給されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,現像液の供給されるウェハはスピンチャックに載置されており,スピンチャックに直接支持されるウェハの中心部は,スピンチャックに直接支持されないウェハの周縁部よりも面内温度が高くなる。従って従来のように,ウェハの全面に等温度の現像液を供給したのでは,ウェハの中心部と周縁部との間で均一な現像処理ができなくなるおそれが生じる。
【0007】
そこで本発明は,基板の全面にわたって均一な処理が可能な基板処理装置を提供して上記課題を解決することを目的としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記目的を達成するために,請求項1によれば,基板に対して供給する処理液を貯留可能な貯留部を有するノズルと,当該ノズルの底部の長手方向に沿って設けられた処理液吐出孔と,前記貯留部に対して処理液を供給する処理液供給源とを備え,前記基板に処理液を供給して当該基板を処理する装置であって,少なくとも前記貯留部の両端部近傍及び中央部の処理液の温度を個別に調整可能な複数の温度調整機構を備えたことを特徴とする,基板処理装置が提供される。
【0009】
請求項1に記載の基板処理装置にあっては,貯留部の両端部近傍及び中央部の処理液の温度を個別に温度調整可能な温度調整機構を備えているので,貯留部の中央部にある処理液を低い温度に調整し,貯留部の両端部近傍にある処理液を高い温度に調整することが可能である。従って,面内温度の高い基板の中心部には温度の低い処理液を,面内温度の低い基板の周縁部近傍には温度の高い処理液をそれぞれ供給することができ,基板に対する均一な処理が可能となる。また,貯留部の両端部近傍にある処理液を温度調整する温度調整機構は,共用化してもよい。
【0010】
請求項2によれば,基板に対して供給する処理液を貯留可能な貯留部を有するノズルと,当該ノズルの底部の長手方向に沿って設けられた処理液吐出孔と,前記貯留部に対して処理液を供給する処理液供給源とを備え,前記基板に処理液を供給して当該基板を処理する装置であって,少なくとも前記貯留部の周辺部及び中心部に処理液を供給する複数の前記処理液供給源と,これらの処理液供給源から供給される処理液の温度を各々個別に調整する複数の温度調整機構とを備えたことを特徴とする,基板処理装置が提供される。
【0011】
請求項2に記載の基板処理装置にあっては,処理液供給源から供給される処理液を温度調整機構によって温度調整した後にノズルの貯留部に供給する。そして,貯留部の周辺部及び中央部に対してそれぞれ供給する処理液の温度を複数の温度調整機構によって個別に調整する。従って,温度の高い処理液を貯留部の周辺部に,温度の低い処理液を貯留部の中央部に対して夫々供給することが可能となる。
【0012】
そして請求項1または2に記載の基板処理装置は,請求項3のように,前記貯留部の周辺部から基板に対して供給する処理液の供給量と,前記貯留部の中心部から基板に対して供給する処理液の供給量とが異なるようにしてもよい。
【0013】
請求項3に記載の基板処理装置にあっては,例えば基板がウェハ等の円盤状の場合であって,ノズルをウェハの直径状に配置して,このウェハを回転させながら処理液を供給する場合,貯留部の周辺部近傍から基板の周辺部に対して供給する処理液の供給量を,貯留部の中央部から基板の中心部に対して供給する処理液の供給量よりも多くすることにより,基板上に均一に処理液を供給して均一な処理を行うことが可能である。
【0014】
請求項4に記載の発明は,請求項1,2または3に記載の基板処理装置において,前記温度調整機構は,前記貯留部内に設けられかつ所定温度に調整された流体が流通する流路を有することを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の基板処理装置にあっては,貯留部内に設けられた流路にそれぞれ所定の温度に調整した流体を流通させて,流体から各々発せられる熱で貯留部内にある処理液をエリア毎に温度調整することが可能である。
【0016】
請求項5に記載の発明は,請求項1,2,3または4に記載の基板処理装置において,前記貯留部の中央部に温度調整手段を設けたことを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の基板処理装置にあっては,温度調整手段,例えばペルチェ素子でさらに貯留部内の処理液を冷却して温度調整することが可能であり,貯留部の中央部にこのような温度調整手段を設けることで,貯留部の中央部にある処理液の温度を貯留部の両端部近傍にある処理液の温度よりも低く温度調整することが可能である。また,微細な処理液の温度調整も可能である。
【0018】
請求項6に記載の発明は,請求項4または5に記載の基板処理装置において,前記貯留部を区画する仕切り板を備え,当該仕切り板によって区画された領域に各々前記流路が配置されていることを特徴としている。
【0019】
請求項6に記載の基板処理装置にあっては,流路毎に所定の温度の流体を流通させて,仕切り板で区画された各領域を個別に分割して温度調整することが可能である。この場合,貯留部を仕切り板で完全に区画するのではなく,仕切り板を介して隣接する領域の処理液が連通できるように構成すれば,仕切り板の近傍で高い温度の処理液と低い温度の処理液とが混じり合うので温度勾配を徐々に変化させた態様で基板に供給することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は,請求項1,2,3,4,5または6に記載の基板処理装置において,前記処理液供給源と前記ノズルとの間に処理液を貯留可能なタンクを介在させ,このタンクは貯留した処理液の温度を調整する温度調整装置を備えたことを特徴としている。
【0021】
請求項7に記載の基板処理装置にあっては,処理液供給源から供給される処理液を一旦タンクに貯留する。そして,このタンクに貯留された処理液を温度調整装置によって温度調整した後にノズルの貯留部に対して供給する。このように,タンクにて温度調整装置により予め温度調整した処理液を貯留部内でさらに温度調整するので,貯留部の処理液をより正確に温度調整することが可能である。
【0022】
この場合,請求項8のように,前記温度調整装置内を流通する流体は,前記温度調整機構を流通した流体であればなお好ましい。
【0023】
請求項8に記載の基板処理装置にあっては,温度調整機構にて使用した流体を温度調整装置にて再利用できるから,温度調整装置専用の流体が不要となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニットを備えた塗布現像処理装置について説明する。図1〜3は塗布現像処理装置の外観を示しており,図1は平面図,図2は正面図,図3は背面図である。
【0025】
塗布現像処理装置1は図1に示すように,例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理装置1に対して搬入出したり,カセットCに対してウェハWを搬入出したりするためのカセットステーション2と,塗布現像処理工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理ユニットを多段配置してなる処理ステーション3と,この処理ステーション3に隣接して設けられる露光装置4との間でウェハWの受け渡しをするためのインターフェイス部5とを一体に接続した構成を有している。
【0026】
カセットステーション2では,カセット載置台6上の所定の位置に複数のカセットCがウェハWの出入口を処理ステーション3側に向けてX方向(図1中の上下方向)一列に載置自在である。そして,このカセット配列方向(X方向)及びカセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;垂直方向)に移動可能なウェハ搬送体8が搬送路9に沿って移動自在であり,カセットCに対して選択的にアクセスできるようになっている。
【0027】
ウェハ搬送体8はθ方向(Z軸を中心とする回転方向)にも回転自在に構成されており,後述するように処理ステーション3側の第3の処理装置群Gに属するアライメントユニット32及びエクステンションユニット33に対してもアクセスできるように構成されている。
【0028】
処理ステーション3では,ウェハWを保持するピンセット10,11,12を上中下3本備えた主搬送装置13が中心部に配置されており,主搬送装置13の周囲には各種処理ユニットが多段に配置されて処理装置群を構成している。塗布現像処理装置1においては,4つの処理装置群G,G,G,Gが配置可能である。第1及び第2の処理装置群G,Gは塗布現像処理装置1の正面側に配置されており,第3の処理装置群Gはカセットステーション2に隣接して配置されており,第4の処理装置群Gはインターフェイス部5に隣接して配置されている。また,必要に応じて第5の処理装置群Gも背面側に配置可能である。
【0029】
第1の処理装置群Gでは図2に示すように,2種類のスピンナ型処理ユニット,例えばウェハWに対してレジスト液を塗布するレジスト塗布処理ユニット15と,ウェハWに対して現像液を供給して処理する現像処理ユニット16とが下から順に2段に配置されている。第2の処理装置群Gでは,レジスト塗布処理ユニット15と基本的に同様な構成を有するレジスト塗布処理ユニット17と,現像処理ユニット16と基本的に同様な構成を有する現像処理ユニット18とが下から順に2段に積み重ねられている。そして,レジスト塗布処理ユニット15,17の下方には後述する現像液タンク81を収納可能な収納ボックス19が設けられている。
【0030】
第3の処理装置群Gでは図3に示すように,ウェハWを載置台に載せて所定の処理を施すオーブン型の処理ユニット,例えば冷却処理を行うクーリングユニット30,レジストとウェハWとの定着性を高めるアドヒージョンユニット31,ウェハWの位置合わせを行うアライメントユニット32,ウェハWを待機させるエクステンションユニット33,露光処理前の加熱処理を行うプリベーキングユニット34,35及び現像処理後の加熱処理を施すポストベーキングユニット36,37等が下から順に8段に重ねられている。
【0031】
第4の処理装置群Gでは,例えばクーリングユニット40,載置したウェハWを自然冷却させるエクステンション・クーリングユニット41,エクステンションユニット42,クーリングユニット43,露光処理後の加熱処理を行うポストエクスポージャーベーキングユニット44,45,ポストベーキングユニット46,47等が下から順に8段に積み重ねられている。
【0032】
インターフェイス部5にはウェハWの周縁部を露光する周辺露光装置51と,ウェハ搬送体52とが備えられている。ウェハ搬送体52はX方向(図1中の上下方向),Z方向(垂直方向)の移動と,θ方向(Z軸を中心とする回転方向)の回転とが夫々自在となるように形成されており,露光装置4,エクステンション・クーリングユニット41,エクステンションユニット42,そして周辺露光装置51に対してそれぞれアクセスすることができるようになっている。
【0033】
塗布現像処理装置1は以上のように構成されている。次に,本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニット16について説明する。
【0034】
現像処理ユニット16の中心部には図4、5に示すように、ウェハWを吸着保持可能なスピンチャック55が備えられている。スピンチャック55は駆動モータ56によって回転可能であり上下動自在に構成されている。スピンチャック55の周囲には、現像液等の飛散を防止する環状のカップ57が設けられている。
【0035】
カップ57の底部には傾斜面58が設けられており、傾斜面58の最下部には排液を外部に排出する排液管59が取り付けられている。そして,スピンチャック55を挟んで排液管59の反対側にはカップ57内の雰囲気を排気する排気管60が取り付けられている。また,傾斜面58には環状壁61が立設しており、この環状壁61の上端には、スピンチャック55に保持されたウェハWの裏面に近接する整流板62が配設されている。整流板62の周辺部は外側に向かって下方に傾斜するように構成されている。
【0036】
カップ57の上部側方にはリンス液供給源65からのリンス液をウェハWに対して吐出するリンス液供給ノズル66が設けられている。また,スピンチャック55を挟んでリンス液供給ノズル66の反対側には現像液供給ノズル67が配置されており,この現像液供給ノズル67には現像液供給源68からの現像液が現像液供給管69を通じて供給されるようになっている。リンス液供給ノズル66と現像液供給ノズル67とは,カップ57前方に設けられた搬送レール70に沿って往復移動自在な把持アーム71に把持されるようになっている。従って,リンス液供給ノズル66と現像液供給ノズル67とは把持アーム71に把持された状態で各々カップ57側方の待機位置とカップ57上方の処理位置との間を移動可能になっている。なお,上記駆動モータ56,リンス液供給源65及び現像液供給源68は制御装置72によって制御されている。
【0037】
上記現像液供給ノズル67は図6に示すように略棒状の形状を有しており,その長さLはウェハWの直径L以上の長さを有している。現像液供給ノズル67の底部には長手方向に沿って多数の現像液吐出孔72が設けられている。現像液供給ノズル67の内部には図7に示すように現像液供給源68から供給された現像液を貯留する貯留部73が形成されている。そして,貯留部73の両端部近傍には温度調整機構74,75が,貯留部73の中央部には温度調整機構76が夫々備えられている。
【0038】
これらの温度調整機構74,75,76は基本的に同様の構成を有しており,例えば温度調整機構74の構成について説明すると,温度調整機構74は,所定温度に調整された流体,例えば温度調整水が循環する循環路74aと,温度調整水を循環路74aに循環させるポンプ74bと,循環路74aを循環する温度調整水の温度を調整するサーモモジュール74cとを有しており,循環路74aは上記貯留部73内で現像液の温度を直接調整する流路74dを構成している。温度調整機構74と同様に,温度調整機構75,76は循環路75a,76aと,ポンプ75b,76bと,サーモモジュール75c,76cとを夫々有しており,循環路75a,76aは貯留部73内で現像液の温度を直接調整する流路75d,76dをそれぞれ構成している。
【0039】
現像処理ユニット16は以上のように構成されている。次に,現像処理ユニット16の作用,効果について説明する。カセットステーション2のアライメントユニット32にて位置合わせを終了したウェハWは,アドヒージョンユニット31,クーリングユニット30に順次搬送され所定の処理が施される。その後,ウェハWはレジスト塗布処理ユニット15に搬送され,ウェハWの表面に所定の膜厚のレジスト膜が形成される。
【0040】
次いで,レジスト塗布処理の終了したウェハWは,プリベーキングユニット34,エクステンション・クーリングユニット41,周辺露光装置51に順次搬送され所定の処理が施された後,露光装置4にて露光される。そして,露光処理の終了したウェハWは,エクステンションユニット42,ポストエクスポージャーベーキングユニット44に順次搬送され所定の処理が施された後,現像処理ユニット16に搬送される。
【0041】
現像処理ユニット16に搬送されたウェハWは,スピンチャック55に吸着保持される。また,現像液供給ノズル67が把持アーム71に把持された状態でカップ57側方の待機位置からカップ57上方の処理位置まで移動する。そして図8に示すように,貯留部73に貯留された現像液が現像液吐出孔72から低速で回転するウェハWに吐出される。これにより,ウェハW全面に現像液が供給されることになる。
【0042】
このとき,貯留部73の両端部近傍にある現像液は温度調整機構74,75によって,貯留部73の中央部にある現像液は温度調整機構76によってそれぞれ温度調整されている。即ち,サーモモジュール74c,75cによって例えば23.5℃に温度調整された温度調整水を流路74d,75dに,サーモモジュール76cによって例えば23.0℃に温度調整された温度調整水を流路76dにそれぞれ流通させて,貯留部73の周辺部近傍の現像液を23.5℃に,貯留部73の中央部の現像液を23.0℃にそれぞれ温度調整する。
その結果,上記23.0℃の温度の低い現像液がスピンチャック55に保持された面内温度の高いウェハWの中心部に,上記23.5℃の温度の高い現像液がスピンチャック55に保持されていない面内温度の低いウェハWの周縁部に対してそれぞれ供給される。
【0043】
本実施の形態では,前記したように貯留部73内の現像液を温度調整機構74,75,76によって分割して温度調整できるから,面内温度の低いウェハWの周縁部には温度調整機構74,75によって温度調整された温度の高い現像液を,面内温度の高いウェハWの中心部には温度調整機構76によって温度調整された温度の低い現像液をそれぞれ個別に供給することが可能である。その結果,ウェハWの面内温度に応じて好適に温度調整された現像液を供給することができ,ウェハWの全面にわたって均一な現像処理を行うことが可能になる。
【0044】
また,流路74d,75dに同一の温度調整機構によって温度調整された同一温度の温度調整水を流通させることにより貯留部73の周辺部近傍の現像液の温度を調整することも可能である。例えば図9に示すように,温度調整機構75の循環路75aから分岐する分岐路75e,75fと,これらの分岐路75e,75fに流路74dの両端を接続するように構成するとよい。
かかる構成によれば,流路75dを流通する温度調整水を流路74dにも流通させて使用することが可能である。その際,温度調整機構74には前出のポンプ74bと,サーモモジュール74cとが不要となるので現像液供給ノズル67の構造の簡素化を図ることが可能である。
【0045】
さらにまた図10に示すように,貯留部73を区画する仕切り板77,78を設け,これらの仕切り板77,78にて区画されたエリアに流路74d,75d,76dをそれぞれ配置し,現像液供給源68から供給される現像液を,流路74dの配置するエリアには現像液供給管69から分岐する分岐供給管69’を通じて,流路75dの配置するエリアには分岐供給管69’’を通じて,流路76dの配置するエリアには現像液供給管69を通じて夫々供給するようにしてもよい。
この際,各エリアの現像液が仕切り板77,78を介して流通自在であるように構成するのが好ましい。即ち,仕切り板77,78の下面と,貯留部73の底部との間に連通部Sを形成し,この連通部Sによって仕切り板77,78で区画されたエリアを連通させるようにすればよい。
【0046】
かかる構成によれば,仕切り板77,78で区画された個々のエリアの現像液を温度調整機構74,75,76にてそれぞれ温度調整するので,仕切り板77,78を設けずに貯留部73全体の現像液を温度調整機構74,75,76にて温度調整する場合に比べて,個々の温度調整機構74,75,76が温度調整する現像液の量が少なくなる。その結果,現像液の温度調整がより容易になり,より正確に温度調整された現像液をウェハWに対して供給することが可能になる。しかも温度の異なる現像液が連通部Sで混ざり合うので,ウェハWに吐出される現像液の温度を中心から周辺に向かうにつれて徐々に変化させることができる。従って,ウェハWの面内温度の勾配に対応した温度の現像液の供給が可能となる。
【0047】
さらに図11に示すように,貯留部73の内部,特に貯留部73の中央部に温度調整手段としてのペルチェ素子79を備えることも可能である。
かかる構成によれば,貯留部73の現像液をさらにペルチェ素子79によって冷却するので,貯留部73の現像液をより細かく温度調整することが可能である。特に,貯留部73の中央部にペルチェ素子79を設けると,貯留部73の中央部からウェハWの中心部に供給する現像液の温度を細かく調整することが可能である。
【0048】
また図12に示すように,流路74d,75d,76dの代わりに給電によって加熱する加熱ヒータ80を貯留部73の両側に備えることも可能である。
かかる構成によれば,貯留部73内における現像液の温度調整を電力で作動するペルチェ素子79及び加熱ヒータ80によって行うために,流路74d,75d,76dを使用して貯留部73内の現像液を温度調整する場合よりも制御が容易になる。
【0049】
さらに図13に示すように,現像液供給源68と貯留部73との間,例えば上記収納ボックス19内に現像液を貯留可能な現像液タンク81を備え,この現像液タンク81に温度調整水の流通する循環路82aと,温度調整水を循環させるポンプ82bと,温度調整水の温度を調整するサーモモジュール82cとを有する温度調整装置82を介装するとなお好ましい。
【0050】
かかる構成によれば,現像液タンク81の温度調整装置82で一度温度調整された現像液をさらに温度調整機構74,75,76で温度調整することになる。従って,現像液供給源68から供給された現像液を温度調整機構74,75,76だけで温度調整する場合よりも,現像液の温度変化が小さくて済む。その結果,現像液の温度調整が容易になり,ウェハWに対して吐出させる直前の現像液をより正確に温度調整することが可能となる。
【0051】
この場合,温度調整機構74,75,76を流通した温度調整水を温度調整装置82に供給して現像液タンク81内の現像液を温度調整するとさらに好ましい。
かかる構成によれば,温度調整機構74,75,76で使用した温度調整水を温度調整装置82に再利用して,温度調整水の有効利用を図ることが可能になる。
【0052】
さらにまた図14に示すように,貯留部73内の各エリアに対して個別に現像液を供給可能な現像液供給源83,84,85を備え,これらの現像液供給源83,84,85から供給管86,87,88を通じて貯留部73の各エリアに現像液を供給するようにしてもよい。
かかる構成によれば,例えば現像液供給源83,84から各々供給管86,87を通じて貯留部73の周辺部に供給される現像液の供給量を多くすると共に,現像液供給源85から供給管88を通じて貯留部73の中心部に供給される現像液の供給量を少なくすることも可能である。このため,回転するウェハWの中心部と周辺部とに単位面積当たりに等量の現像液を供給することができ,ウェハW上に均一な現像液の液膜を形成することが可能になる。そしてこの場合,連通部Sを設けずに,仕切り板77,78によって完全に区画してもよい。
【0053】
また図15に示すように,現像液供給ノズル67の下面両端部にサブノズル90,91,92,93を設け,サブノズル90,91には現像液供給源94からの現像液をポンプ95によって送ると共に,サブノズル92,93には現像液供給源96からの現像液をポンプ97によって送るようにしてもよい。
かかる構成によれば,例えば貯留部73の周辺部からウェハWの周辺部に対する現像液の供給量を中央部よりも多くすることができるようになり,この場合も図14に示した例と同様に,ウェハW上に均一な現像液の液膜を形成することができる。
【0054】
なお前記したようにして,現像液の供給されたウェハWは,その後一定時間回転が停止されて現像される。そして,この現像終了後にウェハWを高速で回転させて現像液を振り切り現像を停止させる。同時に,リンス液供給ノズル66からリンス液を供給してウェハWの表面を洗浄した後,このウェハWをさらに高速で回転させて表面の余分なリンス液を振り切り乾燥させる。その後ウェハWは,ポストベーキングユニット46,クーリングユニット30,エクステンションユニット33に順次搬送されて,所定の処理が施された後,ウェハ搬送体8によってエクステンションユニット33から取り出される。そして,処理後のウェハWを収納するカセットCに収納されて,一連の塗布現像処理が終了する。
【0055】
前記実施の形態にあっては,貯留部73に供給された現像液を温度調整機構74,75,76でそれぞれ温度調整する場合を例に挙げて説明したが,これに替えて,他の現像液供給ノズル100を提案することも可能である。
【0056】
この現像液供給ノズル100は図16に示すように,現像液を供給する現像液供給源101と,現像液供給源101からの現像液を貯留可能な貯留部102と,現像液供給源101からの現像液を貯留部102の周辺部近傍に供給する現像液供給管103,104と,現像液供給源101からの現像液を貯留部102の中央部に供給する現像液供給管105とを有し,さらに現像液供給源101から分岐するこれらの現像液供給管103,104,105の外周を夫々被う流通路106,107,108と,流通路106,107,108を流通する温度調整水を夫々所定の温度に調整するサーモモジュール109,110,111と,流通路106,107,108に温度調整水を循環させるポンプ112,113,114とを夫々備えている。
【0057】
そして,サーモモジュール109,110によって流通路106,107を流通する温度調整水の温度を,例えば23.5℃にそれぞれ温度調整する。また,サーモモジュール111によって流通路108を流通する温度調整水の温度を,例えば23.0℃に温度調整する。
【0058】
かかる構成によれば,貯留部102の両端部近傍からは面内温度の低いウェハWの周縁部に対して上記23.5℃の温度の高い現像液が,貯留部102の中央部からは面内温度の高いウェハWの中心部に対して上記23.0℃の温度の低い現像液がそれぞれ供給される。その結果,前記実施の形態と同様に,ウェハWの面内温度に応じて好適に温度調整された現像液を供給することができ,ウェハWの現像処理を均一に行うことが可能である。
【0059】
この場合,流通路106及び流通路107を流通する温度調整水を共用化することも可能であり,例えば流通路106を流通する温度調整水をポンプ109によって流通路107にも導入するようにすれば,前出のサーモモジュール110やポンプ113が不要となり,現像処理装置100のさらなる構造の簡素化を図ることが可能である。
もちろん,現像液供給管103,104,105に現像液タンク81を各々介装し,これらの現像液タンク81の現像液を温度調整装置82にて温度調整すると共に,流通路106,107,108を流通した温度調整水を温度調整装置82に各々再利用することも可能である。
【0060】
なお,前記実施の形態にあっては,貯留部73に温度調整機構74,75,76を備えた場合を例に挙げて説明したが,本発明では貯留部73に3つ以上の温度調整機構を備えてもよい。また,貯留部73を仕切り板77,78にて3つのエリアに区画した例を説明したが,必要に応じて貯留部73をさらに多くのエリアに区画することも可能である。また,流体としては温度調整水を例に挙げて説明したが,本発明では,例えば温度調整ガス等を流通させることも可能である。また,収納ボックス19内に現像液タンク80を複数並列に配置し,これらの現像液タンク80を切り換えて使用するようにしてもよい。また,基板処理装置として現像処理装置を例に挙げて説明したが,本発明は他の基板処理装置,例えばレジスト塗布装置等にも応用が可能である。また,基板はウェハWに限定されず,例えばLCD基板にも応用できる。
【0061】
【発明の効果】
請求項1〜8によれば,貯留部にある処理液を複数の温度調整機構によって分割して温度調整することが可能である。従って,基板の面内温度に応じた処理液の供給ができ,基板に対する均一な処理が可能となる。
【0062】
特に請求項5によれば,貯留部の処理液を温度調整手段でさらに部分的に冷却することができるので,貯留部にある処理液のより細かな温度調整が可能である。
【0063】
特に請求項6によれば,仕切り板で区画された領域毎に処理液を温度調整するので,処理液の温度調整を容易かつ正確に行うことが可能である。
【0064】
特に請求項7によれば,タンクにて温度調整した処理液をさらに貯留部にて温度調整するので,処理液の温度調整をより容易かつ正確に行うことができる。
【0065】
特に請求項8によれば,温度調整機構にて使用した流体をさらに温度調整装置にて使用するので,温度調整水の有効利用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニットを備えた塗布現像処理装置の平面図である。
【図2】図1の塗布現像処理装置の正面図である。
【図3】図1の塗布現像処理装置の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニットの平面図である。
【図5】図4の現像処理ユニットの断面図である。
【図6】図4の現像処理ユニットに備えられた現像液供給ノズルの斜視図である。
【図7】図6の現像液供給ノズルの概略的な断面図である。
【図8】図6の現像液供給ノズルからウェハに現像液が供給される様子を示す説明図である。
【図9】図6の現像液供給ノズルの他の変更例を示す概略的な断面図である。
【図10】図6の現像液供給ノズルに仕切り板を設けた現像液供給ノズルの概略的な断面図である。
【図11】図10の現像液供給ノズルにペルチェ素子を設けた現像液供給ノズルの概略的な断面図である。
【図12】図11の現像液供給ノズルの変更例を示す概略的な断面図である。
【図13】現像液を貯留可能な現像液タンクの構成を示す説明図である。
【図14】図6の現像液供給ノズルの他の変更例を示す概略的な断面図である。
【図15】図6の現像液供給ノズルの他の変更例を示す平面からみた説明図である。
【図16】図6の現像液供給ノズルの他の変更例を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
1 塗布現像処理装置
16,18 現像処理ユニット
55 スピンチャック
67 現像液供給ノズル
72 現像液吐出孔
73 貯留部
74,75,76 温度調整機構
74d,75d,76d 流路
77,78 仕切り板
79 ペルチェ素子
81 現像液タンク
82 温度調整装置
W ウェハ

Claims (8)

  1. 基板に対して供給する処理液を貯留可能な貯留部を有するノズルと,当該ノズルの底部の長手方向に沿って設けられた処理液吐出孔と,前記貯留部に対して処理液を供給する処理液供給源とを備え,前記基板に処理液を供給して当該基板を処理する装置であって,
    少なくとも前記貯留部の両端部近傍及び中央部の処理液の温度を個別に調整可能な複数の温度調整機構を備えたことを特徴とする,基板処理装置。
  2. 基板に対して供給する処理液を貯留可能な貯留部を有するノズルと,当該ノズルの底部の長手方向に沿って設けられた処理液吐出孔と,前記貯留部に対して処理液を供給する処理液供給源とを備え,前記基板に処理液を供給して当該基板を処理する装置であって,
    少なくとも前記貯留部の周辺部及び中心部に処理液を供給する複数の前記処理液供給源と,これらの処理液供給源から供給される処理液の温度を各々個別に調整する複数の温度調整機構とを備えたことを特徴とする,基板処理装置。
  3. 前記貯留部の周辺部から基板に対して供給する処理液の供給量と,前記貯留部の中心部から基板に対して供給する処理液の供給量とが異なっていることを特徴とする,請求項1または2に記載の基板処理装置。
  4. 前記温度調整機構は,前記貯留部内に設けられかつ所定温度に調整された流体が流通する流路を有することを特徴とする,請求項1,2または3に記載の基板処理装置。
  5. 前記貯留部の中央部に温度調整手段を設けたことを特徴とする,請求項1,2,3または4に記載の基板処理装置。
  6. 前記貯留部を区画する仕切り板を備え,当該仕切り板によって区画された領域に各々前記流路が配置されていることを特徴とする,請求項4または5に記載の基板処理装置。
  7. 前記処理液供給源と前記ノズルとの間に処理液を貯留可能なタンクを介在させ,このタンクは貯留した処理液の温度を調整する温度調整装置を備えたことを特徴とする,請求項1,2,3,4,5または6に記載の基板処理装置。
  8. 前記温度調整装置内を流通する流体は,前記温度調整機構を流通した流体であることを特徴とする,請求項7に記載の基板処理装置。
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