JP3570266B2 - 自動作曲装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、音楽に関する各種の条件に応じて自動的に楽曲を作成する自動作曲装置および方法に関し、特にモチーフメロディとモチーフ以外メロディとからなるメロディの完成度を高めた自動作曲装置及び方法である。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの普及に伴い、コンピュータを用いて楽器を演奏したり、作曲したり、編曲したり、音色を合成したりするコンピュータミュージックを用いて、誰でも音楽を自由に楽しめるようになってきた。特に、コンピュータを用いた作曲の分野では、音楽的な専門知識がなくても簡単に作曲することができる自動作曲が出現している。
このような自動作曲装置としては、1曲分のメロディを生成するための曲テンプレートを多数、メモリに記憶しておき、モチーフとなる短いメロディをユーザが入力することにより、記憶された各種の曲テンプレートのうち、該モチーフに適合した曲のテンプレートが抽出され、抽出された曲テンプレートに基づいてメロディを合成し、自動的に作曲を行うようなものが本出願人から提案されている(特願平9−364072参照)。このような自動作曲装置によれば、ユーザが入力したモチーフ、即ち作曲したいメロディのイメージを反映したメロディを作曲することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の自動作曲装置は、作曲したい曲のモチーフをユーザが入力する必要があったため、モチーフを作ることができないような作曲初心者のユーザにとっては曲テンプレートの抽出のためのモチーフ入力ができず、自動作曲そのものを行うことができなかった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ユーザから具体的なモチーフメロディ全体が与えられなくてもユーザの意向に沿う自動作曲を行うことのできる自動作曲装置及び方法を提供しようとするものである。
また、曲全体を通して、音楽的に不都合のないメロディを生成することのできる自動作曲装置及び方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動作曲装置は、モチーフとなる小節のメロディ部分を作成する基となる第1のメロディ生成用基礎データとモチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分を作成する基となる第2のメロディ生成用基礎データとの組み合わせにより1曲分のメロディ生成用基礎データを構成し、これらのメロディ生成用基礎データを1乃至複数曲記憶してなる記憶手段と、1曲分のメロディ生成用基礎データを前記記憶手段から選択する手段と、選択された1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データを作成する第1のメロディ部分作成手段と、選択された1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データを作成する第2のメロディ部分作成手段とを具え、前記第1及び第2のメロディ部分作成手段によって作成された前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データとの結合により1つの曲の演奏データを提供することを特徴とするものである。
【0006】
完成された1曲を作曲するための基となる1曲分のメロディ生成用基礎データは、作曲される楽曲を特徴付けるデータであり、あらかじめ記憶手段に1乃至複数曲記憶されているものである。ユーザは、この1曲分のメロディ生成用基礎データを指定してやれば、それに基づいて自動的に作曲することが可能である。1曲分のメロディ生成用基礎データは、モチーフとなる小節のメロディ部分を作成する基となる第1のメロディ生成用基礎データとモチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分を作成する基となる第2のメロディ生成用基礎データとの組み合わせからなるものである。選択手段は、ユーザの指定により1曲分のメロディ生成用基礎データを前記記憶手段から選択するためのものである。第1のメロディ部分作成手段は、選択された1曲分のメロディ生成用基礎データの一部、すなわち、前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなるメロディ部分の演奏データを自動的に作成する。モチーフとなる小節のメロディ部分とは、1曲を構成する全体メロディのうち曲の開始から所定の区間までの一部区間におけるメロディのことである。第2のメロディ部分作成手段は、選択された1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データを作成する。
前記第1及び第2のメロディ部分作成手段によって作成された前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データとを結合して1つの曲の演奏データ、すなわち1曲全体のメロディが作成される。1曲分のメロディ生成用基礎データを構成する前記第1及び第2のメロディ生成用基礎データは、作曲される楽曲を特徴付ける基本的特徴が同じであるものがあらかじめ与えられることから、前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データは基本的特徴が同じであるものが作成される。すなわち、1曲全体にわたって一貫性、多様性が保たれたメロディを作成することができる。
この発明における好ましい実施例としては、前記1曲分のメロディ生成用基礎データを、メロディ中の重要音符に付与するための骨格ピッチとコード進行とからなる1組のデータを曲の所定の区間単位毎に具えるように構成することがあげられる。
【0007】
また、この発明における好ましい実施例としては、第1のメロディ部分作成手段により作成されたモチーフメロディを試聴する手段と、メロディ生成用基礎データを変更する手段を具えるように構成することがあげられる。この場合、ユーザは、試聴手段によってモチーフメロディを試聴することによって、1曲全体のメロディが作成される前に、作成される1曲全体メロディがイメージどおりのものであるか否かを判断することができる。そして、作成されたモチーフメロディがイメージどおりのものでなければ、変更手段によってメロディ生成用基礎データを修正する、あるいは他のメロディ生成用基礎データを選択しなおす等のメロディ生成用基礎データの変更ができるので、すばやくイメージどおりのメロディを作成することができる。
【0008】
第2の発明に係る自動作曲装置は、モチーフとなる小節のメロディ部分を作成する基となる第1のメロディ生成用基礎データとモチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分を作成する基となる第2のメロディ生成用基礎データとの組み合わせにより1曲分のメロディ生成用基礎データを提供する手段と、前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第1のメロディ生成用基礎データの内容を変更するための第1の変更手段と、前記第1の変更手段による前記第1のメロディ生成用基礎データの変更に応じて、前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第2のメロディ生成用基礎データを変更するための第2の変更手段と、前記第1の変更手段によって変更された前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データを作成する第1のメロディ部分作成手段と、前記第2の変更手段によって変更された前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データを作成する第2のメロディ部分作成手段とを具え、前記第1及び第2のメロディ部分作成手段によって作成された前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データとの結合により1つの曲の演奏データを提供することを特徴とするものである。
【0009】
前記第1の変更手段は、前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち第1のメロディ生成用基礎データの内容を変更する。前記第2の変更手段は、前記第1の変更手段による第1のメロディ生成用基礎データの変更に応じて、前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち第2のメロディ生成用基礎データを変更する。第1のメロディ部分作成手段は、前記第1の変更手段によって変更された前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなるメロディ部分の演奏データを作成する。第2のメロディ部分作成手段は、前記第2の変更手段によって変更された前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフ以外のメロディ部分の演奏データを作成する。前記第1及び第2のメロディ部分作成手段によって作成された前記モチーフとなるメロディ部分の演奏データと前記モチーフ以外のメロディ部分の演奏データとを結合して1つの曲の演奏データ、すなわち1曲全体のメロディを作成する。第2のメロディ生成用基礎データは、第1のメロディ生成用基礎データの変更に応じて基本的な特徴が同じであるように自動的に変更されることから、ユーザは自身のなした変更を意識しなくても前記モチーフとなるメロディ部分の演奏データと前記モチーフ以外のメロディ部分の演奏データも基本的な特徴が同じであるものを作成することができる。すなわち、1曲全体にわたって一貫性、多様性が保たれたメロディを作成することができる。上述したように、1曲分のメロディ生成用基礎データは、第1及び第2のメロディ生成用基礎データから構成され、前記データは互いに曲の基本的な特徴が一致するように各々設定されている。従って、第1のメロディ生成用基礎データの内容をユーザが任意に変更すると、それに伴い同一の特徴を備えた第2のメロディ生成用基礎データを前記変更と同じように修正することで、曲の特徴の同一性を保たせることができる。例えば、そのフレーズ毎や小節線毎に音楽的特徴、例えばピッチパターンやリズムパターンなどを変更した場合に、ユーザがモチーフ以外部分のピッチパターンやリズムパターンなどを変更しなくとも、同じようにピッチパターンやリズムパターンなどを変更する。すなわち、ユーザはモチーフメロディのみを把握して修正するだけで、曲の全体メロディを修正することができる。
なお、変更された第1及び第2のメロディ生成用基礎データを1曲分のメロディ生成用基礎データとして記憶手段に記憶してもよい。また、生成された曲の一部分を編集したい場合には記憶手段に記憶されている1曲分のメロディ生成用基礎データの中の該当するフレーズや小節等に関するデータを修正することによって容易に行うことができることは、言うまでもない。
【0010】
本発明は、装置発明として構成し、実施することができるのみならず、コンピュータプログラムの形態で実施することができるし、そのようなコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。更に、本発明は、新規な1曲分のメロディ生成用基礎データを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図2は、この発明に係る自動作曲装置を内蔵した電子楽器の構成を示すハードブロック図である。
電子楽器は、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、プログラムメモリ2及びワーキングメモリ3からなるマイクロコンピュータによって制御されるようになっている。
CPU1は、この電子楽器全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してプログラムメモリ2、ワーキングメモリ3、押鍵検出回路4、スイッチ検出回路5、表示回路6、音源回路7、効果回路8、外部記憶装置9、MIDIインタフェース(I/F)10および通信インタフェース11がそれぞれ接続されている。CPU1には、タイマ割込み処理における割込み時間や各種時間を計時するタイマ1Aが接続されている。
【0012】
プログラムメモリ2は、CPU1により実行あるいは参照される各種プログラムや各種データ等を格納するものであり、リードオンリメモリ(ROM)等で構成されている。
ワーキングメモリ3は、演奏情報やCPU1がプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するものであり、ランダムアクセスメモリ(RAM)の所定のアドレス領域がそれぞれ割り当てられ、レジスタやフラグなどとして利用される。
鍵盤4Aは、楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えており、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この鍵盤4Aは楽音演奏のために使用できるのは勿論のこと、作曲の際のノート入力手段として使用することもできる。
押鍵検出回路4は、鍵盤4Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出し、検出出力を生じる。
【0013】
スイッチ部5Aは、自動作曲に関する各種の音楽条件を入力するための各種の操作子を含んで構成される。例えば、数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード、あるいはパネルスイッチ等である。なお、この他にも編曲するための、あるいは音高、音色、効果等を選択・設定・制御するための各種操作子を含んでいてよい。
スイッチ検出回路5は、スイッチ部5Aの各操作子の操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。
表示回路6はCPU1の制御状態、設定データの内容等の各種情報を、例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイに表示するようになっている。
【0014】
音源回路7は、複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた演奏情報を入力し、このデータに基づき楽音信号を発生する。音源回路7から発生された楽音信号は、サウンドシステム8Aを介して発音される。また、効果回路8は前記音源回路7から発生された楽音信号に対して各種効果を与える。
前記音源回路7における楽音信号発生方式はいかなるものを用いてもよい。例えば、発生すべき楽音の音高に対応して変化するアドレスデータに応じて波形メモリに記憶した楽音波形サンプル値データを順次読み出すメモリ読み出し方式、又は上記アドレスデータを位相角パラメータデータとして所定の周波数変調演算を実行して楽音波形サンプル値データを求めるFM方式、あるいは上記アドレスデータを位相角パラメータデータとして所定の振幅変調演算を実行して楽音波形サンプル値データを求めるAM方式等の公知の方式を適宜採用してもよい。また、専用のハードウェアを用いて音源回路を構成するものに限らず、DSPとマイクロプログラム、あるいはCPUとソフトウェアを用いて音源回路を構成するようにしてもよい。さらに、1つの回路を時分割で使用することによって複数の発音チャンネルを形成するようなものでもよいし、1つの発音チャンネルが1つの回路で構成されるような形式のものであってもよい。
【0015】
外部記憶装置9は、曲テンプレート(例えば、後述する1曲メロディ生成用データ)やリズムパターンなどのような演奏に関するデータやCPU1が実行する各種プログラム等の制御に関するデータを記憶するものである。前記ROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この外部記憶装置9(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それを前記RAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、外部記憶装置9はハードディスク(HD)に限らず、フロッピィーディスク(FD)、コンパクトディスク(CD−ROM・CD−RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Diskの略)等の着脱自在な様々な形態の記憶メディアを利用する記憶装置であってもよい。
【0016】
MIDIインタフェース(I/F)10は、当該電子楽器外部の他のMIDI機器10A等からMIDI規格の演奏情報を入力したり、あるいはMIDI演奏情報を当該電子楽器外部へ出力するためのものである。
通信インタフェース11は、例えばLANやインターネット、電話回線等の通信ネットワーク11Bに接続されており、概通信ネットワーク11Bを介して、サーバコンピュータ11Aと接続され、当該サーバコンピュータ11Aから制御プログラムや各種データを電子楽器装置側に取り込むためのものである。すなわち、ROM2やハードディスクに制御プログラムや各種データが記憶されていない場合に、サーバコンピュータ11Aから制御プログラムや各種データをダウンロードするために用いられる。クライアントとなる電子楽器装置は、通信インターフェース11及び通信ネットワーク11Bを介してサーバコンピュータ11Aへと制御プログラムや各種データのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータ11Aは、このコマンドを受け、要求された制御プログラムやデータを、通信ネットワーク11Bを介して本装置へと配信し、本装置が通信インタフェース11を介して、これら制御プログラムや各種データを受信してハードディスクに蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
【0017】
次に、この発明に係る自動作曲装置の動作の一例を説明する。
図1は、この発明の一実施例において採用する1曲メロディ生成用データのデータ構成を概念的に示した図である。1曲メロディ生成用データとは1曲全体の音楽的特徴を表すデータ、すなわち、メロディ若しくはフレーズを生成するための基礎データであって、上述した外部記憶装置9において各曲に応じて多数記憶されている。なお、「1曲」とは、楽曲構成上テーマ(主題)を提示している部分、すなわち、コーラス部分だけでもよいし、バース(序奏)とコーラスをあわせた楽曲全体であってもよい。
この実施の形態では、1曲メロディ生成用データを2ブロックで構成するものとし、さらに1ブロック=2楽節、1楽節=2フレーズ、1フレーズ=2小節で構成する(すなわち、1曲は16小節で構成される)ものについて、以下説明を行っていく。すなわち、1曲メロディ生成用データを最上位の階層として、順次にブロック、楽節、フレーズ、小節の順で下位の階層が構成される。勿論、これに限られるものではなく、例えば、1ブロックを4楽節あるいは6楽節等で構成してよい。
【0018】
また、以下の説明では、曲の始めから先頭2小節分のデータ(つまり、第1ブロック・第1楽節・第1フレーズのデータ)を特にモチーフ部分メロディ生成用データ(すなわち、モチーフ部分メロディ生成用基礎データ)と呼び、それ以外のデータ(つまり、第1ブロック・第1楽節・第2フレーズと、第1ブロック・第2楽節と、第2ブロックとをあわせたデータすべて)をモチーフ以外部分メロディ生成用データ(すなわち、モチーフ以外部分メロディ生成用基礎データ)と呼んで区別する。
なお、1曲メロディ生成用データは、図1に示したような各データが連続的に記憶領域に記憶されているものに限らず、飛び飛びの記憶領域に散在して記憶されていてもよい。すなわち、モチーフ部分メロディ生成用データとモチーフ以外部分メロディ生成用データとを別々のメモリ上に記憶してもよい。ただし、この場合には各々散在するデータを、連続するデータとして別途管理することが必要であることはいうまでもない。例えば、モチーフ部分メロディ生成用データとモチーフ以外部分メロディ生成用データとを関連づけしたテーブルを用意し、このテーブルを参照することによって1曲メロディ生成用データが決定されるようにしてよい。
【0019】
上述したように、1曲メロディ生成用データは、大別すると、1つの全体パラメータと4つの楽節パラメータ(2つのブロック)とに分けられる。全体パラメータは、例えば、曲全体の曲想(ジャンル等)、リズム条件(リズム特徴データやリズム模倣/対比データ等)、ピッチ条件(ピッチ特徴データやピッチ模倣/対比データ等)を記憶する項目からなる。勿論、これ以外にも曲名や曲形式(後述する楽節パターン)等、他の音楽的特徴を項目として備えてもよい。
【0020】
項目「ジャンル」には、作曲したい曲のジャンル名などが記憶される。例えば、「ダンス&ポップス系(ラップ、ユーロビート、ポップバラード)」、「ソウル系(ダンスファンク、ソウルバラード、R&B)」、「ロック系(ソフト8ビート、8ビート、ロックンロール)」、「ジャズ系(スィング、ジャズバラード、ジャズボサノバ)」、「ラテン系(ボサノバ、サンバ、ルンバ、ビギン、タンゴ、レゲエ)」、「マーチ系」、「演歌系」、「唱歌系」などのジャンル名が記憶される。
【0021】
項目「リズム特徴データ」には、モチーフ部分メロディ生成用データの第1小節のリズム特徴、例えばシンコペーションの有り・無しや音符の粗・密(すなわち、音符の発生頻度が密であるか、それとも疎であるか)等のリズム特徴が記憶される。
項目「リズム模倣/対比データ」には、例えばモチーフ部分メロディ生成用データの第2小節が第1小節と比較して、第2フレーズが第1フレーズと比較して、第2楽節が第1楽節と比較して、第2ブロックが第1ブロックと比較して、というように各階層毎のリズム特徴が前半部分と後半部分とで模倣するものであるか、あるいは対比するものであるか記憶される。例えば、第2小節のリズム特徴は、第1小節のリズム特徴に模倣か/対比かにより決まる。第2小節のリズム特徴が「模倣」するものであれば第2小節と第1小節とは同じリズム特徴であるし、「対比」するものであれば第2小節と第1小節とは異なったリズム特徴である。第1小節のリズム特徴は、上述の「リズム特徴データ」に記憶されている。そこで、第1小節のリズム特徴が「シンコペーション有・音符密」である場合、第2小節のリズム特徴が「模倣」と記憶されていれば、第2小節のリズム特徴も「シンコペーション有・音符密」となる。反対に、第2小節のリズム特徴が「対比」と記憶されていれば、第2小節のリズム特徴は第1小節のリズム特徴と異なるもの、すなわち、「シンコペーション無・音符密」、「シンコペーション無・音符疎」、「シンコペーション有・音符疎」、あるいは「シンコペーション無・音符疎」のいずれかである。さらに、第2フレーズ(第3小節と第4小節)のリズムは、第1フレーズ(第1小節と第2小節)のリズムに模倣するものか/対比するものかにより決定される。
このように、階層的に「リズム模倣/対比データ」を持つことで、下位の階層から上位の階層のリズム特徴を模倣か対比かですべて表すことができる。なお、上位階層を持たずにすべての下位階層(この例では小節)だけに模倣/対比データを持つようにしてもよい。ただし、この場合にはデータ量が上述の場合に比べてかなり増大することになる。
【0022】
項目「ピッチ特徴データ」には、モチーフ部分メロディ生成用データの第1小節のピッチ特徴、例えばダイナミクスや適用する音楽ルール等のピッチ特徴が記憶される。
項目「ピッチ模倣/対比データ」は上述の「リズム模倣/対比データ」と構造が同じであり、各階層毎のピッチ特徴が前半部分と後半部分とで模倣するものであるか、あるいは対比するものであるか記憶される。そこで、第2小節のピッチ特徴が「模倣」であれば、第2小節のピッチ特徴は第1小節のピッチ特徴と同じであるし、反対に、第2小節のピッチ特徴が「対比」であれば、第2小節のピッチ特徴は第1小節のピッチ特徴と異なるものになる。
【0023】
楽節パラメータは、1つの楽節記号とコード進行および骨格ピッチからなる4つの小節パラメータ(つまり、2つのフレーズ)に分けられる。
楽節記号とは楽節間の類似・非類似を表す記号であって、例えば「A−B−C−C’」や「A−A’−B−B’」などのような楽節パターン(曲形式)で示される曲では、第1楽節の楽節記号には「A」(「A」)、第2楽節の楽節記号には「B」(「A’」)、第3楽節の楽節記号には「C」(「B」)、第4楽節の楽節記号には「C’」(「B’」)が記憶される。ここでは、「A」に類似のものを「A’」のように、「A」に非類似のものを別の記号「B」・「C」で表す。
各小節毎の「コード進行」には、メロディの背景となっている和音(コード)の種類が記憶される。
骨格ピッチには、メロディ中の重要音符(例えば、各小節の先頭音符や強拍の音符)に付与されるピッチが記憶される。前記ピッチには、前記コード進行に従ったピッチ(典型的には、コード進行のコード構成音のいずれか)が少なくとも1個記憶される。
【0024】
図3は、図2のような電子楽器を自動作曲装置として動作させる場合のフローチャートの一例を示す図である。
この自動作曲装置は、あらかじめ記憶されている1曲メロディ生成用データを選択することによって、当該1曲メロディ生成用データに含まれるモチーフ部分メロディ生成用データからモチーフメロディを、モチーフ以外部分メロディ生成用データからモチーフ以外メロディを作成し、各々作成したメロディを結合して1曲全体のメロディを作曲する。また、当該自動作曲装置は、記憶されているモチーフ部分メロディ生成用データにユーザが適宜修正を加えると、修正の加えられた前記データに基づいて自動的にモチーフ以外部分メロディ生成用データを修正し、これらに基づいて1曲全体のメロディを作曲するようになっている。
【0025】
以下、図3のフローチャートに従って、この発明に係る自動作曲装置の動作例を説明する。
ステップS1では、スイッチ部5Aあるいは鍵盤4AあるいはGUIなど適宜の入力操作手段を用いて、外部記憶装置9に記憶されている1曲メロディ生成用データを選択する。例えば、ユーザは曲名、曲形式、ジャンルなどの音楽的特徴(つまり、上述の全体パラメータの項目)を上記入力操作手段を用いて指定する。そうすると、外部記憶装置9における1曲メロディ生成用データの中から前記音楽的特徴を有するデータがランダムに選択され、メロディ生成の基となる1曲メロディ生成用データが1個特定され、選択される。
ステップS2では、上述のようにして選択された1曲メロディ生成用データのモチーフ部分メロディ生成用データに基づいて、CPU1は自動的にモチーフメロディ(すなわち、曲の始めから最初の2小節分のメロディ)を作成する。
【0026】
図4(A)は、上述のモチーフメロディ作成手順の一実施例を詳細に示すフロー図である。図5〜図7は、各々モチーフメロディ作成処理を説明するための概念図である。具体的には、図5はリズムパターンの一例を示した概念図であり、図6は骨格ピッチ割当の一例を示した概念図であり、図7はモチーフメロディ全体に関するピッチ付与の一例を示した概念図である。なお、図5〜図7では白抜きされた丸がリズムパターン(音符の打点、すなわち発音タイミング)を示し、塗りつぶされた丸及び四角が割り当てられた骨格ピッチの位置を、塗りつぶされた三角が骨格ピッチ以外に付与されたピッチの位置を示す。なお、図6及び図7では横軸が発音タイミング、縦軸がピッチを示す。
モチーフメロディ作成処理は、次のようなステップで順番に実行される。
ステップS21において、全体パラメータの「リズム特徴データ」に合致するリズムパターンをデータベース(外部記憶装置9)から抽出する。このデータベースには、それぞれにリズム特徴が付与されている1小節分のリズムパターンがあらかじめ多数記憶されている。前記「リズム特徴データ」に複数のリズムパターンが合致する場合には、その中からランダムに1個のリズムパターンを選択する。こうして、まず第1小節のリズムパターンが決まる。次に、第2小節の「リズム模倣/対比データ」が「模倣」であるならば1小節目と同じリズムパターンを、「対比」であるならば新たにリズムパターンをデータベースから抽出する。このようにして、モチーフメロディ全体にわたる音符の打点、つまり発音タイミングが決定する。図5(A)に第2小節が第1小節に「模倣」の場合、図5(B)に「対比」の場合におけるリズムパターンを示す。図5の下方に付した数字は拍数を示すものであり、この例では4/4拍子のものを示した。
【0027】
次に、ステップS21で決定されたリズムパターン、すなわち音符の発音タイミングに従って各小節毎に骨格ピッチの割り当てを行う(ステップS22)。骨格ピッチは、リズムパターン上の重要音符の位置(打点)に割り当てられる。重要音符とは、指定された「ジャンル」や「リズム特徴」に応じて定まる1小節中の重要な拍に位置する音符のことで、例えば、各小節の先頭や強拍の位置(打点)にある音符のことである。これらの重要音符に対して所定のピッチを割り当てられたものが骨格ピッチである。
図6は、図5のリズムパターンに対応して、各々骨格ピッチが割り当てられたものである。図5に示したような4/4拍子の場合、一般的に強拍の位置は1拍目と3拍目であることから、図6(A)に示すように各小節の1拍目と3拍目のピッチが決定する。図6(A)では、第1小節の「骨格ピッチ」と第2小節の「骨格ピッチ」とが同じピッチである場合を塗りつぶされた丸で示し、第1小節の「骨格ピッチ」と第2小節の「骨格ピッチ」とが異なるピッチである場合を塗りつぶされた四角で示している。
しかし、リズムパターンによる音符の打点と重要音符の打点とが一致しない場合があり、その場合にはリズムパターンの打点にあわせて骨格ピッチを割り当てる。すなわち、重要打点以降の直近のリズムパターンにあわせた打点にピッチを割り当てる。例えば、リズムパターンによる打点と強拍による打点とが一致しない場合、具体的には図6(B)に示したように、1拍目と3拍目にリズムパターンによる打点が存在しない場合、各々1拍目と2拍目の間に存在する複数の打点のうち1拍目に近い方の位置にある打点と、4拍目の位置にある打点に対して、各々骨格ピッチが割り当てられる。勿論、この場合における骨格ピッチの割当は上述したものだけに限られるものではなく、例えば、重要音符の打点の前後を問わず重要音符の打点に直近のリズムパターンにあわせた打点にピッチを割り当てるようにしてもよい。
このようにして、モチーフメロディの重要音符のピッチ(すなわち、モチーフメロディを特徴付けるピッチ)が決定される。すなわち、リズムパターンと骨格ピッチが決まることにより、モチーフメロディの骨格が決定する。
【0028】
図4(A)に戻って、次に骨格ピッチ以外の音符の打点にピッチを付与する(ステップS23)。当該ピッチは、ダイナミクスとコード進行、あるいは音楽ルール等によりランダムに決定される。
ダイナミクスとは、各小節においてとりうるピッチの範囲を規定するパラメータであり、この範囲内で骨格ピッチ以外のピッチはランダムに選択され決定される。すなわち、ダイナミクスにより前記ピッチ範囲が決定され、そして、このピッチ範囲内にある複数のピッチの中から、スケール上にあるコード進行にあったピッチがランダムに1個選択される。選択されたピッチが音楽ルールに適合していたならば当該ピッチを採用し、適合していないならば再度前記ピッチ範囲内からランダムに選択される。こうして、まず第1小節における重要音符以外の音符のピッチが決定される。次に、第2小節の「ピッチ模倣/対比データ」が「模倣」であるならば、第1小節と同じダイナミクスで規定されるピッチ範囲内かつ同様の音楽ルールにそって、ピッチがランダムに1個選択され付与される。「対比」であるならば、第1小節とは異なったダイナミクスで規定されるピッチ範囲内で、あるいは異なった音楽ルールにそって、ピッチがランダムに1個選択されて付与される。
このようにして、モチーフメロディにおける重要音符以外の音符のピッチが決定される。すなわち、モチーフメロディの全体が生成される。
【0029】
図7は、以上のようにして生成されたモチーフメロディを示す。
図7(A)は、「ピッチ模倣/対比データ」が「模倣」であり、第1小節及び第2小節ともにダイナミクスが±2度である場合を例として示した。図7(B)は、「ピッチ模倣/対比データ」が「対比」であり、ダイナミクスが第1小節では±4度である場合を、第2小節では±2度である場合を示した。したがって、図7(A)におけるモチーフメロディにおける重要音符以外の音符のピッチは、第1小節及び第2小節ともに音高の最も高い方の骨格ピッチに対して+2度、音高の最も低い方の骨格ピッチに対して−2度で決定されるピッチ範囲内から選択されている。これに対して、図7(B)では、第2小節においては図7(A)と同じピッチ範囲内(右側の矢印Yで示す範囲)から選択されるが、第1小節においては、音高の最も高い方の骨格ピッチに対して+4度、音高の最も低い方の骨格ピッチに対して−4度で決定されるピッチ範囲内(左側の矢印Zで示す範囲)から選択されている。そのために、図7(A)では前記ピッチ範囲外であり、ピッチとして割り当てることのできないピッチであったもの(図7(A)で×印をつけたピッチ)が、図7(B)ではピッチとして割り当てることのできるピッチになっている。
なお、ダイナミクスによるピッチ範囲は、上述のようにして決定される範囲に限らず、例えば、新たにピッチを付与する音符の直前にある音符を基準としたピッチ範囲であってもよい。すなわち、新たに付与されるピッチと直前のピッチとの音程がダイナミクスで決定される所定の範囲内になるようにピッチが決定されるようにしてもよい。この場合には、上述の場合と比較して、新たに付与されるピッチがその直前のピッチに対して大きく変動することがなくなる。
【0030】
図2に戻り、上述のようにして生成されたモチーフメロディをユーザが試聴する(ステップS3)。なお、試聴に代えて、あるいは試聴に加えて、楽譜等の形式によりモチーフメロディを視覚的にユーザに提示するようにしてもよい。試聴した結果、モチーフメロディがユーザの描いたイメージどおりのメロディであるならば(ステップS4のYES)、1曲全体のメロディを作成するためにステップS8へ行く。モチーフメロディがイメージどおりでないならば(ステップS4のNO)、再度モチーフメロディを生成しなおすためにステップS5〜S7の処理を行う。
【0031】
ステップS5において、ユーザはモチーフ部分メロディ生成用データを修正するか否かを選択する。モチーフ部分メロディ生成用データを修正しない場合(ステップS5のNO)、上述のステップS2に戻り新たにモチーフメロディを生成しなおす。この場合には、モチーフ部分メロディ生成用データを構成しているコード進行や骨格ピッチ等のデータを修正せずに、図4(A)の処理を再度行うことにより、修正前のモチーフメロディとは異なるモチーフメロディの作成を行うことができることになる。一方、モチーフ部分メロディ生成用データを修正する場合(ステップS5のYES)は、モチーフ部分メロディ生成用データ(ステップS6)およびモチーフ以外部分メロディ生成用データ(ステップS7)を修正した後にステップS2に戻り、新たにモチーフメロディを作成する。このモチーフ部分メロディ生成用データの修正では、コード進行や骨格ピッチ等を修正することができる。したがって、修正されたモチーフ部分メロディ生成用データから新たに作成されるモチーフメロディは、修正前のモチーフメロディとは大きく異なったものを生成することができる。なお、このモチーフ部分メロディ生成用データの修正はユーザのマニュアル修正であってもよいし、あるいは演算による自動修正であってもよい。
このように、モチーフメロディに対して大幅な修正を行いたい場合には、ユーザはモチーフ部分メロディ生成用データを修正すればよいし、大幅な修正が必要でなければモチーフ部分メロディ生成用データを修正しなければよい。
【0032】
ステップS7では、モチーフ以外部分メロディ生成用データがモチーフ部分メロディ生成用データの修正(ステップS6)に基づいて自動的に修正される。すなわち、修正区間と後続の区間との音楽的なつながりがよくなるように後続区間のピッチ骨格の一部を修正する。例えば、モチーフ部分メロディ生成用データの最終の骨格ピッチに対して、モチーフ以外部分メロディ生成用データの最初の骨格ピッチをあまり離れないように自動的に修正することにより、不自然な音の跳躍が生じないので音楽的な美しいメロディが生成できるようになる。さらに、「ピッチ模倣/対比データ」に基づいて、モチーフ以外部分メロディ生成用データを修正する。例えば、モチーフを模倣する区間について、修正後のモチーフ部分メロディ生成用データをコピーし、そして必要に応じて、上述したように修正区間と後続の区間との音楽的なつながりがよくなるように後続区間のピッチ骨格の一部を修正する。
なお、モチーフ以外部分メロディ生成用データの修正は、上述したような修正方法に限られない。
【0033】
ステップS8において、モチーフ以外部分メロディ生成用データからモチーフ以外メロディを作成する。このステップS8におけるモチーフ以外メロディの作成処理は図4(B)に示す通りであり、図4(A)と同様の処理を行っているものであることから、ここでの説明は省略する。そして、モチーフメロディとモチーフ以外メロディとを結合して作成される1曲メロディをユーザが試聴する(ステップS9)。試聴した結果、1曲のメロディがユーザのイメージどおりに作成されなかった場合(ステップS10のNO)、ユーザはモチーフ以外メロディのみを修正するか否かの選択を行うことができる(ステップS12)。モチーフ以外メロディのみを修正する場合(ステップS12のYES)、上述したステップS8の処理(図4(B))により、再度モチーフ以外メロディを作成する。モチーフ以外メロディのみを修正しない(すなわち、モチーフメロディをも修正する)場合(ステップS12のNO)であって、モチーフメロディは大きく修正したくない場合には、モチーフ部分メロディ生成用データを修正することなく(ステップS13のNO)、ステップS2の処理へ飛ぶ。モチーフメロディも大きく修正したい場合には、モチーフ部分メロディ生成用データ及びモチーフ以外部分メロディ生成用データを修正して(ステップS14及びS15)、ステップS2の処理へ飛ぶ。なお、ステップS13〜S15の処理については上述したステップS5〜S7の処理と、各々同様の処理を行っていることから、説明を省略する。
【0034】
一方、作成された1曲メロディを試聴した結果、当該1曲メロディがユーザの描いたイメージ通りのメロディであるならば(ステップS10のYES)、1曲全体のメロディが完成したことになる(ステップS11)。したがって、自動作曲を終了する。この場合には、必要に応じて当該1曲メロディを外部記憶装置9等に記憶させることにより、当該メロディをいつでも使用することができるようになる。あるいは、ユーザはマニュアル操作等により完成した1曲メロディをさらに編集することによって、よりすばらしいメロディを作成することができる。
【0035】
なお、1曲メロディ生成用データの内容、すなわち、パラメータ種類やデータ構造は上述した実施例に限られるものではない。また、メロディ生成のアルゴリズムも例示したものに限られない。さらに、上述の実施の形態では、1曲メロディ生成用データをあらかじめ記憶しているものについて説明したが、既存の曲を分析し、そこから1曲メロディ生成用データを作成して記憶させるようにしてもよい。
また、実施の形態では、一旦ある1曲メロディ生成用データを選択した後は、メロディが完成するまで同じ1曲メロディ生成用データを用いるようにしたが、生成されたモチーフメロディを試聴した結果、ユーザがイメージしていたものとは大幅に異なるモチーフメロディが生成された場合には、他の1曲メロディ生成用データを選択し直すようにしてもよい。このようにするには、例えば図3におけるステップS4とステップS5との間に「他の1曲メロディ生成用データを選択し直すか否か」の判断ステップを挿入し、選択し直すのであればステップS1の処理へ戻るようにし、選択し直さないのであればステップS5の処理へ進むようにすればよい。
また、実施の形態ではメロディのみを生成しているが、その後必要に応じて伴奏パートを生成するようにしてよい。反対に、先に伴奏パートを生成しておき、その後メロディを生成するようにしてもよい。このようにすると、試聴の際に伴奏つきのメロディを試聴することができるので、生成したメロディがユーザのイメージどおりか否かの判断がしやすくなる。
【0036】
電子楽器は鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、上述の実施の形態では、音源装置、自動作曲装置等を1つの電子楽器本体に内臓したものについて説明したが、これに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものにも同様に適用できることはいうまでもない。また、パソコンとアプリケーションソフトウェアという構成であってもよく、この場合処理プログラムを磁気ディスク、光ディスクあるいは半導体メモリ等の記憶メディアから供給したり、ネットワークを介して供給するものであってもよい。さらに、カラオケ装置に利用する曲データの作成にも適用してよいし、あるいは自動演奏ピアノのような自動演奏装置に適用してもよい。
【0037】
自動演奏装置に適用する場合、演奏データのフォーマットは、イベントの発生時刻を曲や小節内における絶対時間で表した『イベント+絶対時間』形式のもの、イベントの発生時刻を1つ前のイベントからの時間で表した『イベント+相対時間』形式のもの、音符の音高と符長あるいは休符と休符長で演奏データを表した『音高(休符)+符長』形式のもの、演奏の最小分解能毎にメモリの領域を確保し、演奏イベントの発生する時刻に対応するメモリ領域にイベントを記憶した『ベタ方式』形式のものなど、どのような形式のものでもよい。
また、複数チャンネル分の演奏データが存在する場合は、複数のチャンネルのデータが混在した形式であってもよいし、各チャンネルのデータがトラック毎に別れているような形式であってもよい。
さらに、自動演奏のテンポを変更する方法は、テンポクロックの周期を変更するものや、テンポクロックの周期はそのままでタイミングデータの値を修正するもの、あるいは1回の処理においてタイミングデータをカウントする値を変更するもの等、どのようなものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、予め作成された1曲全体のデータが与えられていることから、ユーザから具体的なモチーフメロディが与えられなくても自由にユーザの意向に沿う自動作曲を行うことが可能となる、という効果が得られる。
また、操作者の意図した変更箇所以外においても、音楽的に不都合のないメロディを作曲するような変更を自動的に加えることができることから、曲全体にわたって音楽的に不都合のない曲を誰でも簡単に作成できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る自動作曲装置において用いられる1曲メロディ生成用データの一実施例を示した概念構成図。
【図2】この発明に係る自動作曲装置を内蔵した電子楽器の構成を示すハードブロック図。
【図3】図2の電子楽器を自動作曲装置として動作させる場合のフローチャートの一例を示すフロー図。
【図4】図3で行われるモチーフメロディ生成処理のフローチャートの一例を示すフロー図。
【図5】リズムパターンの付与について説明するためのリズムパターンの一例を示した概念図。
【図6】骨格ピッチ割当について説明するための骨格ピッチ割当の一例を示した概念図。
【図7】モチーフメロディ全体に関するピッチ付与について説明するためのモチーフメロディの一例を示した概念図。
【符号の説明】
1…CPU、1A…タイマ、2…プログラムメモリ、3…ワーキングメモリ、4…押鍵検出回路、4A…鍵盤、5…スイッチ検出回路、5A…テンキー&キーボード&各種スイッチ、6…表示回路、7…音源回路、8…効果回路、8A…サウンドシステム、9…外部記憶装置、10…MIDIインタフェース、10A…他のMIDI機器、11A…サーバコンピュータ、11B…通信ネットワーク、1D…データ及びアドレスバス
Claims (5)
- モチーフとなる小節のメロディ部分を作成する基となる第1のメロディ生成用基礎データとモチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分を作成する基となる第2のメロディ生成用基礎データとの組み合わせにより1曲分のメロディ生成用基礎データを構成し、これらのメロディ生成用基礎データを1乃至複数曲記憶してなる記憶手段と、
1曲分のメロディ生成用基礎データを前記記憶手段から選択する手段と、
選択された1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データを作成する第1のメロディ部分作成手段と、
選択された1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データを作成する第2のメロディ部分作成手段と
を具え、前記第1及び第2のメロディ部分作成手段によって作成された前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データとの結合により1つの曲の演奏データを提供することを特徴とする自動作曲装置。 - モチーフとなる小節のメロディ部分を作成する基となる第1のメロディ生成用基礎データとモチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分を作成する基となる第2のメロディ生成用基礎データとの組み合わせにより1曲分のメロディ生成用基礎データを提供する手段と、
前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第1のメロディ生成用基礎データの内容を変更するための第1の変更手段と、
前記第1の変更手段による前記第1のメロディ生成用基礎データの変更に応じて、前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第2のメロディ生成用基礎データを変更するための第2の変更手段と、
前記第1の変更手段によって変更された前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データを作成する第1のメロディ部分作成手段と、
前記第2の変更手段によって変更された前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データを作成する第2のメロディ部分作成手段と
を具え、前記第1及び第2のメロディ部分作成手段によって作成された前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データとの結合により1つの曲の演奏データを提供することを特徴とする自動作曲装置。 - モチーフとなる小節のメロディ部分を作成する基となる第1のメロディ生成用基礎データとモチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分を作成する基となる第2のメロディ生成用基礎データとの組み合わせにより1曲分のメロディ生成用基礎データを構成し、これらのメロディ生成用基礎データを使用して自動的に作曲する方法であって、
前記メロディ生成用基礎データを1乃至複数曲記憶してなる記憶手段から1曲分のメロディ生成用基礎データを選択するステップと、
選択された1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データを作成する第1のステップと、
選択された1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データを作成する第2のステップと、
前記第1及び第2のステップによって作成された前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データとの結合により1つの曲の演奏データを提供するステップと
を具えたことを特徴とする自動作曲方法。 - モチーフとなる小節のメロディ部分を作成する基となる第1のメロディ生成用基礎データとモチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分を作成する基となる第2のメロディ生成用基礎データとの組み合わせにより1曲分のメロディ生成用基礎データを構成し、これらのメロディ生成用基礎データを使用して自動的に作曲する方法であって、
前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第1のメロディ生成用基礎データの内容を変更するための第1のステップと、
前記第1のステップによる前記第1のメロディ生成用基礎データの変更に応じて、前記1曲分のメロディ生成用基礎データのうち前記第2のメロディ生成用基礎データを変更するための第2のステップと、
前記第1のステップによって変更された前記第1のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データを作成する第3のステップと、
前記第2のステップによって変更された前記第2のメロディ生成用基礎データに基づき、モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データを作成する第4のステップと、
前記第3及び第4のステップによって作成された前記モチーフとなる小節のメロディ部分の演奏データと前記モチーフとなる小節以外の小節のメロディ部分の演奏データとの結合により1つの曲の演奏データを提供するステップと
を具えたことを特徴とする自動作曲方法。 - 請求項3又は4に記載された自動作曲方法の前記各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶してなるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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