JP3570083B2 - 底穴出湯式浮揚溶解装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、溶解金属を底部から出湯した後るつぼ内に残る金属を出湯するようにした底穴出湯式浮揚溶解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
浮揚溶解装置は、所定の分布になるように生成された交番磁界中に溶解される材料を置き、電磁誘導によって被溶解材に流れる渦電流を利用して誘導加熱と電磁力による浮揚力との双方を同時に与えて、材料が浮いてるつぼ等他の物に接触しない状態で溶解させて所定の材質と寸法の製品を得る装置である。溶解時に他の物と接触しないために異物の混入が極めて少ないこと、融点の高い材料でも溶解が可能であること、熱伝導損失が小さいこと、などの特徴があることから、高融点でしかも高純度が要求される材料、例えば、チタン、シリコン等の溶解材料に用いられる。
【0003】
浮揚溶解装置によって溶解された溶湯の取り出し方法は種々あるが、現状では、るつぼ上部から溶湯にパイプを挿入し外部から吸引して金型に注型する方法と、るつぼの上方から溶解材料を連続的、または間欠的に投入してるつぼの底から連続的、または間欠的に出湯する底穴出湯方法が一般的である。
図7は底穴出湯方法に関する従来例の構成図を示す。この図7において、1は有底の円筒状に形成され円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ、1aはるつぼ1の底部に形成された溶湯2の流出口、3は被溶解材に、電磁誘導によって流れる渦電流を利用して誘導加熱と電磁力による浮揚力との双方を同時に与える誘導コイル、4は誘導コイル3に電流を供給する交流電源を示す。
【0004】
上記の構成で、るつぼ1は電気的に絶縁された2つ以上のセグメントを誘導コイル3の内側に並べて構成される。このるつぼ1内に被溶解材料が入れられており、誘導コイル3で発生する磁束はセグメント間のスリットの隙間からるつぼ内に進入して被溶解材料と鎖交する。るつぼ1を構成するセグメントは溶けないように水冷されている。
【0005】
誘導コイル3の電流は、電気的に絶縁されたそれぞれのセグメントに渦電流を誘導するとともに、被溶解材料にも渦電流を誘導する。このるつぼ1と被溶解材料とに流れる渦電流の方向は対向する表面部分では互いに逆方向を向いているので磁気的に反発力となり、るつぼ1は固定されているので被溶解材料には浮揚力が働きこの浮揚力が被溶解材料の重量より大きければ被溶解材料はるつぼ1から離れて浮揚する。被溶解材料は抵抗損により熱を発生して加熱しつづける。このために被溶解材料は浮揚状態で溶解する。ここで被溶解材料はるつぼ1への接触を防ぐために、るつぼ1の中央部分に安定して位置することが望ましい。このるつぼ1内で安定して浮揚させるために、るつぼ底部側になるほど被溶解材料の重量に対抗するるつぼ1からの電磁反発力を大きくする必要がある。この電磁反発力をるつぼ底部で大きくするために、図8に示すごとく、誘導コイルを上誘導コイル3a,と下誘導コイル3bとに分割して巻き、るつぼ底部に巻かれた下誘導コイル3bには上誘導コイル3aに比べて大きい浮揚力が得られるように低い周波数の交流電源4bから電流を供給し、上誘導コイル3aには被溶解材料を溶解する高周波電流が別の交流電源4aから供給されることが行われている。なお、図8において、流出口1aはるつぼ1の底部にあり、この部分に浮揚力を与える電流を集中させるために、流出口1aの下方は流出口1aの径より大きく拡げている。このために流出口1aの周壁を形成するるつぼ1の突出部1bは過熱されないように充分に冷却されている。
【0006】
浮揚溶解装置によって溶解された溶湯2の取り出し方法は様々であるがるつぼ1の底に流出口1aを設けてこの流出口1aから連続的、または間欠的に溶湯を取り出す方法が特開平5−15950号公報に開示されている。この特開平5−15950号公報に開示された浮揚溶解装置によって溶解された溶湯を取り出す方法は、るつぼ1の底部に溶湯の流出口1aを設けておき、誘導コイル2の電流を略一定に制御しながらるつぼ内の材料を溶解するとともに、固体材料の小片5をるつぼ1の上部から連続的または間欠的に供給し、供給量に応じた溶湯2を流出口1aから連続的または間欠的に流出させて取り出し、金型に注ぐ等の次工程に注入する方法である。
【0007】
なお、るつぼの下部から出湯する浮揚溶解装置では、溶解初期に少量の金属が溶け出して、その少量の溶湯が浮揚力を受けて浮揚するほどの量に達しない場合に、少量の溶湯がるつぼの流出口1aから落下する恐れがあるので、これを防止するためと、溶解中に電源が切れて溶湯が浮揚力を失い落下した場合に流出口から落下するのを防止するためとに耐火物の栓6が使用される(図9参照)。しかし、溶湯が耐火物の栓に接触した場合、耐火物が溶湯に溶け込んで溶湯の純度を低下させるので、これを防止するために溶湯に溶け込まない材質と構造の栓6が、特願平7−227598号に開示されている。
【0008】
また、栓6を使用した浮揚溶解装置の出湯に関しては特開平7−245182号公報に開示されている。この公報によれば、流出口1aを栓6で塞ぎ出湯時に栓6を開放することで出湯の時期と出湯量を自在に制御することが可能である(図10参照)。さらにこれによると出湯時に栓6と溶湯2とは互いに反発力が働くので栓6に非接触で出湯することが可能である。溶解材料を完全に溶解後(図9参照)に栓6を開放して出湯を開始(図10参照)し、溶湯2を途中で停止したり完全に出湯した後に栓6を閉じ溶解材料を追加し溶解する工程の繰り返しにより連続運転が可能になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来の構成ではるつぼに対して誘導コイルが平行に巻かれていないために、るつぼ内の磁界の分布が軸対称でないこと、るつぼ流出口中心における磁界強度が零に近いこと、溶解材料に含まれている酸化物等の不純物が溶湯の表面に存在し完全出湯時にるつぼ内に残ること等により、出湯停止時においてるつぼの流出口1a近辺に溶湯が残り湯垂れ10になる場合がある(図11(a)参照)。出湯途中でこの湯の垂れが一度発生すると、これが凝固して種となりそこから成長する(図11(b)参照)。図11(a),(b)の両者どちらの場合も栓を再度閉じることができなくなり連続運転が困難となる。るつぼ流出口近辺に残った溶湯は、るつぼ流出口近辺が通電時最も渦電流が集中し加熱されるためにその部分は充分に冷却される設計となっておりその近辺の残湯は多くの熱を奪われること、およびるつぼ流出口近辺に残った金属中に流れる渦電流が通常溶解時に比べて小さいことからるつぼ流出口近辺に残った金属を通常状態の通電で溶解することは困難である。
【0010】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、るつぼ流出口近辺に残った金属を溶解して除去し連続運転を可能にする底穴出湯式浮揚溶解装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明によれば、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに並列若しくは直列接続された力率改善用コンデンサと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、力率改善用コンデンサをコンデンサの並列接続体で構成し、溶湯を出湯後、力率改善用コンデンサを削減して力率改善用コンデンサの容量を減少させ、通常運転周波数より高い周波数で通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させるようにした底穴出湯式浮揚溶解装置とする。
【0012】
上記構成により誘導コイルと力率改善用コンデンサとで構成する共振回路の共振周波数が上昇し、例えば、るつぼ内に残った湯が凝固して小塊になった場合に、その小塊に投入される電力は加熱周波数に略比例するので、共振周波数が上昇した分小塊に投入される電力が増加するのでるつぼ流出口近辺に残った金属の小塊を溶解して出湯することが可能になる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、誘導コイルに並列接続された整合用変圧器の一次、二次巻線比を変更して誘導コイルのリアクタンスを減少させ、通常運転周波数より高い周波数で通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させるようにした底穴出湯式浮揚溶解装置とする。
【0014】
上記構成により整合用変圧器の一次、二次巻線比を1以下にすることによりその比率の自乗に比例して誘導コイルのリアクタンス分が見かけ上減少するので、整合変圧器を含む誘導コイルと力率改善用コンデンサとで構成する共振回路の共振周波数が上昇し、その分溶解材料に投入される電力が増加するのでるつぼ流出口近辺に残った金属を溶解して出湯することが可能になる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、誘導コイルにタップを設けて、溶湯を出湯後、誘導コイルの巻数が減少するタップに交流電源を接続替えして誘導コイルのリアクタンスを減少させ、通常運転周波数より高い周波数で通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させるようにした底穴出湯式浮揚溶解装置とする。
【0016】
上記構成により誘導コイルの巻数の減少率に略比例して誘導コイルのリアクタンス分が減少するので、誘導コイルと力率改善用コンデンサとで構成する共振回路の共振周波数が上昇し、その分溶解材料に投入される電力増加するのでるつぼ流出口近辺に残った金属を溶解して出湯することが可能になる。
請求項4記載の発明によれば、請求項3に記載の底穴出湯式浮揚溶解装置において、タップ切替えで選択された誘導コイルは、るつぼの溶湯の流出口近辺の外周側に有る底穴出湯式浮揚溶解装置とする。
【0017】
上記構成によりるつぼ流出口近辺に有効に働く誘導コイルのみが生かされるのでまた、誘導コイルの巻数の減少率に略比例して誘導コイルのリアクタンス分が上減少するので、誘導コイルと力率改善用コンデンサとで構成する共振回路の共振周波数が上昇し、その分溶解材料に投入される電力増加するのでるつぼ流出口近辺に残った金属を溶解して出湯することが可能になる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられ、金属を溶解するための上誘導コイルと、上誘導コイルの下側に設けられ主に溶湯に浮揚力を与える下誘導コイルと、上誘導コイルに高周波電流を供給する上誘導コイル用の交流電源と、下誘導コイルに上誘導コイルよりも低い周波数の高周波電流を供給する下誘導コイル用の交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、上誘導コイル用の交流電源を下誘導コイルに接続替えして、下誘導コイルに上誘導コイル用の交流電源から通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させるようにした底穴出湯式浮揚溶解装置とする。
【0019】
上記構成により下誘導コイルには浮揚力を与える通常溶解より高い周波数の電流が通電されるのでその分溶解材料に投入される電力増加するのでるつぼ流出口近辺に残った金属を溶解して出湯することが可能になる。
請求項6記載の発明によれば、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、出湯した溶湯よりも高融点の金属を溶解して先に出湯した溶湯の残りを溶解出湯するようにした底穴出湯式浮揚溶解装置とする。
【0020】
上記構成により先に溶解した溶湯よりも融点の高い金属を溶解することによりるつぼ流出口近辺に残った金属も一緒に溶解されるので、高融点の金属とるつぼ流出口近辺に残った金属とをるつぼ流出口から出湯して取り出すことが可能になる。
請求項7記載の発明によれば、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、出湯した溶湯と合金化して低融点の合金を作る金属を溶解して先に出湯した溶湯の残りとともに出湯するようにした底穴出湯式浮揚溶解装置とする。
【0021】
上記構成によりるつぼ流出口近辺に残った金属と合金を構成し易くその合金の融点が先に溶解した金属の残りより低くくなる材料を投入することにより、先に溶解した金属の残りと一緒に溶解して先に出湯した溶湯の残りとともに出湯することが可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施の形態の主要部で(a)は3〜10KHzの交流電源の構成図、(b)は数10KHzの交流電源の構成図を示す。この図1において、従来例と同一の符号を付けた部材はおおよそ同一の機能を有するのでその説明は省略する。この図1(a)において、交流電源4bは商用周波数の三相交流電源を全波整流して直流電流に変換しこれをスイッチング素子で切替えて誘導コイル3とそれに並列接続された力率改善用の固定コンデンサ11、および固定コンデンサ11に並列接続される可変コンデンサ12との共振周波数近辺の周波数で運転される。この交流電源4bのスイッチング素子は主にサイリスタ素子が使用され、出力周波数は10KHz以下である。
【0023】
図1(b)の交流電源4aは誘導コイル3とそれに直列接続された力率改善用の固定コンデンサ11、および固定コンデンサ11に並列接続される可変コンデンサ12との直列共振周波数の近辺の周波数で運転される直列共振形の電源である。この交流電源4aのスイッチング素子は主にトランジスタ素子が使用され、出力周波数は数10KHz〜数100KHzである。
これら図1(a),(b)において運転周波数は略1/(2π(LC)1/2 )
(L=誘導コイルのリアクタンス、C=力率改善用コンデンサの容量)で決められるので可変コンデンサ12を開放して力率改善用コンデンサの容量を減少させることにより運転周波数を高くしてるつぼ流出口近辺に残った金属を溶解して出湯することができる。
【0024】
図2はこの発明の別の実施の形態の主要部で(a)は3〜10KHzの交流電源の構成図、(b)は数10KHzの交流電源の構成図を示す。この図2(a)において、交流電源4bは商用周波数の三相交流電源を全波整流して直流電流に変換しこれをスイッチング素子で切替えて誘導コイル3に並列接続された整合用変圧器13に、並列接続された力率改善用の固定コンデンサ11との共振周波数近辺の周波数で運転される。この交流電源4bのスイッチング素子は主にサイリスタ素子が使用され、出力周波数は10KHz以下である。
【0025】
(b)の交流電源4aは誘導コイル3に並列接続された整合用変圧器13とそれに直列接続された力率改善用の固定コンデンサ11との直列共振周波数の近辺の周波数で運転される直列共振形の電源である。この交流電源4aのスイッチング素子は主にトランジスタ素子が使用され、出力周波数は数10KHz〜数100KHzである。
【0026】
この図2が図1と異なる点は、共振周波数を変える手段が可変コンデンサ12の代わりに整合変圧器13で誘導コイルの見かけ上のリアクタンスを換えるようにした点である。
図3はこの発明の別の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図3において、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口1a、および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ1の外周側に巻回された誘導コイル3にはタップ40が設けられており通常運転では誘導コイル3の全巻線に通電されるが、出湯後に流出口1aの近辺に残湯8が残った場合は切替器7で交流電源4の接続を誘導コイル3のタップ40に切替えて誘導コイルのリアクタンスを減少させて運転周波数を高めて残湯8が溶解、出湯できるようにしている。
【0027】
図4はこの発明の他の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図4において、るつぼ1の外周側に巻回された誘導コイル3にはタップ40a,40b,40cが設けられており通常運転では誘導コイル3の全巻線に通電されるが、出湯後に流出口1aの近辺に残湯8が残った場合は切替器7で交流電源4が誘導コイル3のタップ40a,と40bとの間に接続できるように切替えて誘導コイルのリアクタンスを減少させて運転周波数を高めるとともに、流出口1a近辺の誘導コイルが有効に働くようにして残湯8が溶解、出湯できるようにしている。
【0028】
図5はこの発明のさらにまた別の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図5において、有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口1aおよび円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ1の外周側の上部には上誘導コイル3aが巻回されており、この上誘導コイル3aには通常溶解時、例えば数10KHzの高周波電流が通電できる交流電源4aが接続されており、主に溶解材料を加熱、溶解する電力を供給する。るつぼ1の外周側の下部には下誘導コイル3bが巻回されており、この下誘導コイル3bには通常溶解時、例えば数KHzの高周波電流が通電できる交流電源4bが接続されており、主に溶湯2に浮揚力を与える。そして溶湯が溶解されて、全出湯された後に流出口1aの近辺に残湯が残り凝固した場合は切替器7をこの図5に示すように切り替えて下誘導コイル3bに例えば数10KHzの高周波電流が通電できる交流電源4aを接続して、前記の残湯を溶解して出湯する。
【0029】
図6はこの発明のさらにまた他の実施の形態の主要部の構成図を示す。この図6において、有底の円筒状に形成されその底部に溶湯を出す流出口1a、および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼ1の外周側には誘導コイル3が巻回されており、この誘導コイル3には交流電源4が接続されて、溶湯を浮揚状態で溶解して出湯できる高周波電流を供給している。この状態で溶湯を全出湯した後残湯8が流出口1aの近辺に残った場合、残湯8より融点の高い異種金属9を追加投入して溶解しその熱で残湯8を溶解すれば全出湯が可能になる。
【0030】
また、高融点の異種金属9を投入する代わりに残湯と残湯より低融点の合金を形成し易い異種金属を投入して、残湯と合金化して溶解し、全出湯するようにしても良い。
【0031】
【発明の効果】
この発明によれば、出湯後に流出口近辺に残湯が凝固して湯垂れが発生した場合でも湯垂れを再溶解して出湯できるので連続溶解が可能になり生産性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の主要部分を示し、(a)は3〜10KHzの交流電源の構成図、(b)は数10KHzの交流電源の構成図
【図2】この発明の別の実施の形態の主要部分を示し、(a)は3〜10KHzの交流電源の構成図、(b)は数10KHzの交流電源の構成図
【図3】この発明の別の実施の形態の主要部分の構成図
【図4】この発明の他の実施の形態の主要部分の構成図
【図5】この発明のさらにまた別の実施の形態の主要部の構成図
【図6】この発明のさらにまた他の実施の形態の主要部の構成図
【図7】従来例の構成図
【図8】誘導コイルを上下に分割した従来例の構成図
【図9】流出口に栓をした従来例の構成図
【図10】栓を開放して流出口からの出湯状態を示す図
【図11】(a)流出口近辺に湯垂れが発生した状態を示す図,(b)流出口近辺の湯垂れが成長した状態を示す図
【符号の説明】
1 るつぼ
2 溶湯
3 誘導コイル
4、4a,4b 交流電源
7 切替器
8 残湯
9 異種金属
11 固定コンデンサ
12 可変コンデンサ
13 整合変圧器
40、40a,40b タップ
40c タップ
Claims (7)
- 有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに並列若しくは直列接続された力率改善用コンデンサと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、力率改善用コンデンサをコンデンサの並列接続体で構成し、溶湯を出湯後、力率改善用コンデンサを削減して力率改善用コンデンサの容量を減少させ、通常運転周波数より高い周波数で通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させることを特徴とする底穴出湯式浮揚溶解装置。
- 有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、誘導コイルに並列接続された整合用変圧器の一次、二次巻線比を変更して誘導コイルのリアクタンスを減少させ、通常運転周波数より高い周波数で通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させることを特徴とする底穴出湯式浮揚溶解装置。
- 有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、誘導コイルにタップを設けて、溶湯を出湯後、誘導コイルの巻数が減少するタップに交流電源を接続替えして誘導コイルのリアクタンスを減少させ、通常運転周波数より高い周波数で通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させることを特徴とする底穴出湯式浮揚溶解装置。
- 請求項3に記載の底穴出湯式浮揚溶解装置において、タップ切替えで選択された誘導コイルは、るつぼの溶湯の流出口近辺の外周側に有ることを特徴とする底穴出湯式浮揚溶解装置。
- 有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられ、金属を溶解するための上誘導コイルと、上誘導コイルの下側に設けられ主に溶湯に浮揚力を与える下誘導コイルと、上誘導コイルに高周波電流を供給する上誘導コイル用の交流電源と、下誘導コイルに上誘導コイルよりも低い周波数の高周波電流を供給する下誘導コイル用の交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、上誘導コイル用の交流電源を下誘導コイルに接続替えして、下誘導コイルに上誘導コイル用の交流電源から通電してるつぼ流出口近辺に残った金属に投入される電力を通常運転時よりも増加させることを特徴とする底穴出湯式浮揚溶解装置。
- 有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、出湯した溶湯よりも高融点の金属を溶解して先に出湯した溶湯の残りを溶解出湯するようにしたことを特徴とする底穴出湯式浮揚溶解装置。
- 有底の円筒状に形成されその底部に形成された溶湯を出す流出口および円筒状部に放射状に略等間隔で設けられた縦長のスリットを有する良導電金属製のるつぼと、流出口を塞ぐ栓と、るつぼの外径側に設けられた誘導コイルと、誘導コイルに高周波電流を供給する交流電源とを備えた底穴出湯式浮揚溶解装置において、溶湯を出湯後、出湯した溶湯と合金化して低融点の合金を作る金属を溶解して先に出湯した溶湯の残りとともに出湯するようにしたことを特徴とする底穴出湯式浮揚溶解装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13045496A JP3570083B2 (ja) | 1996-05-27 | 1996-05-27 | 底穴出湯式浮揚溶解装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13045496A JP3570083B2 (ja) | 1996-05-27 | 1996-05-27 | 底穴出湯式浮揚溶解装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09320751A JPH09320751A (ja) | 1997-12-12 |
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