JP3569714B2 - 全血対応分析要素 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨床検査分野で用いられる全血対応分析要素に関するものであり、詳しくは、全血中のヘマトクリット値に影響を受けにくい、乾式の全血対応分析要素を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
臨床検査の分野において、血液等の体液中のグルコースやビリルビンなどの生化学的活性成分(以下、「アナライト」と呼称することもある)を定量分析する方法において、試薬類が乾燥状態で提供されている試験片・試験紙を用いた、いわゆる「乾式分析要素」を使用するシステムは既に公知になっている。
【0003】
乾式分析要素の長所として、試薬溶液を用いないために測定の場所を選ばず、また迅速に測定が行える点などが挙げられる。
しかし、それら多くの乾式分析要素は、測定に全血を用いると測定結果に誤差が生じるなどの欠点がある。その誤差の原因は、全血中に存在する血球成分が様々な影響を与えるためである。よって、遠心分離などの方法であらかじめ全血から血球成分を除去して血漿を得た後、その血漿を用いて乾式分析要素でアナライトの測定や定量分析が行なわれている。
【0004】
しかし、これら遠心分離などの方法は多大な労力と時間を要するので、全血を分析要素へ適用する際に、分析要素への点着と同時に全血から血球成分を除去し、血漿を分離することのできるタイプの全血対応乾式分析要素が多数発明されている(以下、これらを「全血対応乾式試験片」と呼称することもある)。
【0005】
全血対応乾式試験片での、全血から血漿を分離する方法としては、
▲1▼ガラスフィルター,濾紙,メンブレンフィルター,ゲル等を、血球を濾過するための濾過層として設置し、濾過を行う方法、
▲2▼血液凝固剤を使用し血球成分を取り除く方法、
▲3▼血球吸着物質(たとえば、特開昭60−36961号)を用いる方法、
▲4▼血球に影響を受けない光波長を測定に使用する方法、
等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の分離方法を用いた全血対応乾式試験片では、血球成分そのものの影響(例えば、血球内部の物質が溶出して、アナライトの値が増減すること)は受けにくいものの、血球成分の濃度,いわゆるヘマトクリット値によって影響を受けてしまい、結果としてアナライトの測定値に誤差が生じてしまうという問題点がある。
【0007】
というのは、ヘマトクリット値が高いと血球成分が多く存在し、それによる流動性の低下のために濾過するための濾過層での毛細管現象が滞ったり、濾過するにも血球成分で濾過層の目が詰まったりするためである。全血試料が過剰になればなるほど、その傾向は大きい。
【0008】
ヘマトクリット値の影響を受けない全血分析要素を目指した従来技術として、特開平1−239456号公報に記載されている分析要素が挙げられる。この分析要素は水浸透性である試薬層と多孔性展開性とを有し、多孔性展開層上へ液体試料を点着すると、液体試料は、展開層の計量作用により単位面積当たり一定量の割合で広がり、その下の試薬層中の試薬と反応する。この分析要素では、試薬層の下に親水性ポリマー等からなる吸水層を設けることを好ましい態様としており、前記の反応の結果生成された色素が実質的に拡散しないようにしている。
【0009】
本発明は、これら従来の分離方法とは全く異なる原理を利用した、しかも全血中のヘマトクリット値に影響を受けにくく、測定精度の高い新規な構造の全血分析要素を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、ヘマトクリット値に影響を受けにくくするために、全血対応分析要素を下記に示す構成とした。
【0011】
すなわち本発明は、全血に含まれる血球成分と血漿成分とを分離する分離層と、吸水性ポリマーを主要構成成分とするポリマー層と、血液中の測定対象成分と反応することにより光学的変化を起こす試薬を含む試薬層と、支持体とがこの順に積層された、前記測定対象成分を分析するための全血対応分析要素である。
【0012】
前記全血対応分析要素の一態様として、前記分析要素において、前記試薬層とポリマー層とが一体である全血対応分析要素が提供される。
また本発明は、分離層の上に、さらに展開層が積層されている全血対応分析要素を提供する。
【0013】
前記親水性ポリマーとしては、ノニオン性膨潤剤が挙げられる。また、ノニオン性膨潤剤としては、下記一般式(1)で表される構造を有するポリマーが挙げられる。
【0014】
【化2】
−[(−O−CH−CH−)−R−(−CH−CH−O−)−R ・・・(1)
(式中、RとRは炭素数1〜22、好ましくは6〜18のアルキル基もしくはアルキルフェニル基、水素のいずれかから選択される基を表し、RとRは各々同一であっても異なっていてもよく、Rはフェニル基、オキシフェノキシ基、炭素数3〜22、好ましくは10〜18のオキシフェノキシ基,オキシアルキルフェノキシ基,オキシアルコキシ基のいずれかから選択される基を表し、mとnの和は100〜200、好ましくは120〜185であり、lは10〜50、好ましくは約20〜40である。)
【0015】
上記一般式(1)で表される構造を有するポリマーとして具体的には、RとRが水素であり、Rがオキシフェノキシ基であるポリマーが挙げられる。
さらに本発明は、前記支持体が光透過性物質からなるか、又は光学的検出用の貫通孔が設けられている分析要素を提供する。
【0016】
本発明の全血対応分析要素は、血球成分を含む全血に対応できる乾式試験片であり、本発明によれば、全血を試料とした場合でも全血中のアナライトの量を全血中のヘマトクリット値の影響を受けずに精度よく定量できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の全血対応分析要素(以下、単に「分析要素」ともいう)は、分離層とポリマー層と試薬層と支持体がこの順で積層された構造を有する。
【0018】
前記分離層は、その表面に全血またはその希釈液を点着させたときに、全血に含まれる血球成分と血漿成分とを分離し、血漿成分を通過させてポリマー層に導くためのものである。分離層の素材としては、血球成分が内部に留まり、血漿成分が通過できるものであれば特に制限されないが、例えば、メンブランフィルター、ガラスフィルターや濾紙等の、従来の分離層に使用されているものが挙げられる。
【0019】
ポリマー層は、吸水性ポリマーを主要構成成分とするものである。吸水性ポリマーとしては、血漿またはその希釈液を吸収して膨潤するものであれば、特に制限されないが、「液体試料を強制的に、かつ一定の速度で吸収し、ポリマー層に接する試薬層へ一定の速度で液体試料を供給することができる」ものであることが好ましい。本発明者は、このようなポリマーを用いることにより、ポリマー層は血漿成分を吸収することにより膨潤し、その後一定の吸収速度で血漿成分を吸収するために、過剰な試料が適用されても、試薬層への試料の供給量は一定となることを見出した。
【0020】
吸水性ポリマーとして具体的には、ポリアクリル酸塩系,デンプン−アクリル酸塩グラフトポリマー系,酢酸ビニル共重合体系,無水マレイン酸共重合体系,ポリビニルアルコール系,エチレンオキサイド系のポリマーが挙げられる。これらは、いずれも本発明に使用できるが、より好ましいのはノニオン性の吸水性ポリマーであり、さらに具体的にはエチレンオキサイド鎖を含むポリマー(「エチレンオキサイドポリマー」と呼称する)である。これらは、吸水剤として市販されているものもあり、容易に入手できる。このような市販の吸水剤として、例えば熱可塑性ポリエチレンオキサイドを架橋し製造された熱可塑性ノニオン型親水性樹脂「アクアコーク」(住友精化(株)社の商標)が挙げられる。このようなノニオン性の吸水性ポリマーを使用すれば、ポリマー中の基どうしの静電引力がpHにより変化することも少なくなり、ポリマーの膨らみ具合も一定となり、血漿の吸収速度の変化がなくなる。
【0021】
エチレンオキサイドポリマーの一般構造式は、前記一般式(1)に示したとおりである。この式のように、このポリマーは様々な形態をとり得る。たとえば、式中、Rがオクチルフェニル基やノニルフェニル基等のアルキルフェニル基であり、Rがオキシ基であり、Rが水素であり、mとnの和が2〜70でlが1のものは、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルと称されている。これは界面活性剤として市販されており、先述の特開平1−239456号公報記載の分析要素においても、mとnの和が25以下の液状品と、mとnの和が40の固形品が使用されている。
【0022】
また、Rがドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基であり、Rがオキシ基であり、Rが水素であり、mとnの和が2〜70であり、lが1のものはポリオキシエチレンアルキルエーテルと称されており、界面活性剤として市販されている。
【0023】
また、RとRが水素であり、Rがオキシ基であり、mとnの和が2〜70、lが1以上のものはポリエチレングリコールと称されており、これも界面活性剤として市販されている。
【0024】
本発明には、前記一般式(1)で表されるポリマーの様々な形態のうち、上記の界面活性剤よりも、分子間で架橋されてポリマー状にあるエチレンオキサイド重合体が好ましい。より具体的には、同式において、RとRが水素であり、Rはフェニル基、オキシフェノキシ基、炭素数3〜22、好ましくは10〜18のオキシフェノキシ基のいずれかから選択される基であり、mとnの和は100〜200、好ましくは120〜185、lが10〜50、好ましくは約20〜40であるポリマーが特に好適である。さらに、疎水性のバランスを考慮すると、Rは好ましくはフェニル基、オキシフェノキシ基,オキシアルキルフェノキシ基であり、より好ましくは製造時の造りやすさに鑑みて、オキシフェノキシ基である。ここで、Rがオキシアルコキシ基である場合、炭素数は1又は3以上であることが好ましい。というのは、炭素数が2の場合では、上記の界面活性剤であるポリエチレングリコールと同じ構造となり、疎水性が弱くなり、ゲル状を呈することも少なくなり、本発明の意図からは外れる場合が多い。また、Rがオキシアルコキシ基である場合、工業的に原料の入手し易さから、炭素数は22以下であることが好ましい。
【0025】
本発明に好適に用いられるポリマーは、上記に示すような疎水的なRを介してエチレンオキサイド鎖が架橋されている。また、このR基どうし、又はエチレンオキサイド鎖どうしの分子間力によって、複数の重合体が架橋されている。故にこのようなポリマーは、親水性のエチレンオキサイド鎖を有するので非常に吸水性があるにもかかわらず水に不溶性であって、水の存在下ではゲル状を呈する。 尚、本発明に用いる吸水性ポリマーの膨潤率(乾燥状態の体積と、液体を吸収したときの体積比)としては、1.1倍以上300倍以下、好ましくは2倍以上100倍以下、さらに好ましくは2倍以上50倍以下のものがよい。
【0026】
ポリマー層の厚さは、用いるポリマーの種類、膨潤率によっても異なるが、その機能を有効に発揮するためには、通常1〜200μmが好ましい。
ポリマー層には、支持体側から反射光を測定する際にポリマー層での反射効率を高めるために、酸化チタン等の粉体を配合してもよい。また、血漿の浸透性を高めるために、界面活性剤を添加してもよい。
【0027】
試薬層は、アナライトを測定するための試薬であって、血液中のアナライトと反応することにより光学的変化を起こす試薬を含み、この試薬の光学的変化によりアナライトの検出が可能となる。用いられる試薬としては、例えば、アナライトがグルコースである場合には、グルコースオキシダーゼと、パーオキシダーゼと、4−アミノアンチピリンと、N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリンが、
アナライトがコレステロールである場合には、コレステロールオキシダーゼと、パーオキシダーゼと、4−アミノアンチピリンと、N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリンが、
アナライトが乳酸である場合には、乳酸脱水素酵素と、NADと、ジアホラーゼと、テトラゾリウムヴァイオレットが、
アナライトがアルカリフォスファターゼである場合には、p−ニトロフェニルフォスフェートが、それぞれ使用される。
【0028】
試薬層は、公知の方法により層状に調製されたものでよい。例えば、水溶性のバインダーであるポリビニルアルコール,ポリアクリル酸,アルギン酸ナトリウム,ポリアクリルアミドなどの合成高分子や、プルラン,セルロース誘導体,メトロース,ゼラチンなどの天然あるいは合成高分子を用い、アナライトと反応する試薬と水とを混合して粘度を上げた後、支持体上へ層状にキャスティングを行い、乾燥させて試薬層を形成する。
【0029】
本発明の分析要素の一態様においては、試薬層は前記ポリマー層と異なる層として設けられるが、他の態様として、ポリマー層と試薬層を一体とし、すなわち、吸水性ポリマー及び試薬を含むポリマー層とすることもできる。本発明に用いるポリマーは無色かつ光透過性なので、色の変化は支持体側から容易に読み取れる。また、試薬層を別に設ける手間がはぶけるという利点がある。この場合でも、液体試料の試薬への供給は一定速度で行われ、正確な測定が可能である。
【0030】
支持体は、分析要素を支持するためのものであるが、分離層、ポリマー層及び試薬層のみで必要な物理的強度を有するものであれば、省くこともできる。支持体の材質としては、ガラス,ポリエステル,セルロースエステル,ポリメチルメタクリレートなどの合成樹脂フィルムが用いられる。ただし、ポリマー層の上部には血球が溜まっているために試薬類の変化が読み取れない場合があるので、一般的には支持体側から測定することが多い。よって、支持体は、光透過性の物質であるか、または測光用の貫通孔が開いていることが望ましい。また、試薬の反応に酸素を必要とする場合には、支持体の貫通孔を多孔性のフィルムで覆い、その多孔性フィルム上に試薬層・ポリマー層を設けることが望ましい。
【0031】
本発明の分析要素は、上記のような分離層、ポリマー層、試薬層及び支持体を、この順で積層することにより製造される。尚、分離層の上、すなわち積層体の最上層に、さらに展開層を設けてもよい。これは、点着された液体を左右方向に広げるものであり、反応には直接に関係はしない。全血分離層へ局所的に点着されてしまい、ひいてはポリマー層の吸水に多少の時間のずれが起こることを防ぐためである。
【0032】
本発明の分析要素の製造法は特に制限されないが、例えば、分離層上に順次ポリマー液、試薬液、または試薬を含むポリマー液を塗工し、これを支持体上に、塗工面が接するようにおいて圧着する方法が例示される。その際、試薬層または試薬を含むポリマー層を支えるために、多孔性フィルム等を用いて試薬層またはポリマー層を保持してもよい。ただし、この多孔性フィルムは本発明に必須ではない。
【0033】
次に、本発明の分析要素の使用法を説明する。分析要素の分離層上に点着すると、まず、分離層により全血が血球成分と血漿成分とに分離される。余分な血球類は全血分離層上及び同層内に溜まり、血漿成分がポリマー層に達する。
【0034】
ポリマー層は、液体試料(ここでは血漿成分)を吸収することにより、試料を点着する前と比べて大きく膨潤するが、このとき、ポリマー層は一定の吸収速度で血漿成分を吸収するために、過剰な試料が適用されても問題はない。このとき、分離層での血球分離の動作を、従来のような重力と毛細管現象のみに頼るのではなく、分離層の下にあるポリマー層が、その吸水能力によって全血中から血漿成分を強制的に、かつ一定速度で吸収するので、試薬層に到達する血漿成分の量はヘマトクリット値にも影響を受けない。すなわち、ポリマー層を設けることによって、試料液を強制的に分離層で濾過し、濾過された試料液を一旦ポリマー層中に保持しつつ、試薬層中に一定の速度で供給するのである。
【0035】
次に、このポリマー層の下部にある試薬層中の試薬が、血漿成分の水分で溶解し、目的物質を測定するための試薬と試料中のアナライトが混ざり合い、反応する。このとき、ポリマー層中の液体試料はポリマー層の能力により、試薬層へ一定量ずつ徐々に供給されるので、試料が大過剰でも過剰の試料に試薬が流出することもなく、確実な測定ができる。
【0036】
そして、反応後の試薬の光学的変化を支持体側から検出することにより、試料中のアナライトの量が測定される。
【0037】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0038】
【実施例1】
はじめに、本発明の分析要素がヘマトクリット値の影響を受けないことを示すために、試薬層を有していない分析要素を作製し、ヘマトクリット値とポリマー層での試料の吸収量との関係を調べた。
<1>分析要素の作製
下記ポリマー層液を全血分離層(メンブランフィルター(ポアサイズ0.45μm),ミリポア社製)上に膜厚50μm(湿潤状態)で塗工した。その後、50℃で15分間送風乾燥し、乾燥後7mm幅のテープ状に切断した。ホットメルトでコーティングされた35×50mmの光透過性ポリエチレンテレフタレート(厚さ0.5mm)製の支持体上の一端に、前記テープ片をポリマー側を支持体に面するように重ね、熱圧着した。最後に、テープの長方向に対して垂直に支持体を7mm幅で切断し、5個の分析要素を得た。
【0039】
〔ポリマー層液〕
上記成分をメタノール中で混合し撹拌する。
・アクアコーク(住友精化(株)製)*) 5% (重量比)
・Triton X−100 (和光純薬(株)製) 0.1%(重量比)
・TiO (和光純薬(株)製) 10% (重量比)
*):前記一般式(1)において、R及びRは水素、Rはオキシフェノキシ基、m+n=約180、l=約27.5である。
【0040】
<2>分析要素の評価
(1)全血試料の調製
健常人の全血へ、青色色素1号(東京化成工業(株)製)を1mg/mlになるように添加した。添加後、全血を遠心分離し、血球成分と血漿成分とに分けた後、ヘマトクリット値が約30〜60%となるように調製した。ヘマトクリット値の検定は、遠心分離法により行った。
【0041】
(2)吸水速度の測定
ポリマー層の吸水量の測定は、色彩計(Σ90,日本電色工業(株)製)を使用し、青色色素を検出・測定することにより行った。分析要素の上部へ、全血を過剰量である20μl点着し、下部(支持体側)より640nmの反射率を測定し、得られた反射率から数1式に示すクベルカ−ムンクの簡略型の式に従ってK/S値を求めた。横軸に時間をとり、縦軸にK/S値をとったグラフを図1に示す。
【0042】
【数1】
K/S値=(1−R)/2R
R :反射率(%)
【0043】
次に、先に求めたK/S値の55秒目の値と185秒目の値の差をΔK/S値とし、これにより、ポリマー層の吸収速度を観察した。横軸にヘマトクリット値をとり、縦軸にΔK/S値をとったグラフを図2に示す。
【0044】
図1に示されるように、35%〜54%までの範囲でヘマトクリット値が高いほど測定に時間がかかるが、これは全血分離層において多少の時間差がつくためである。しかし、図2から明らかなように、ポリマー層の単位時間当たりの吸収速度に対して、ヘマトクリット値が影響を与えなかったことが判る。
【0045】
この結果から、ポリマー層は液体試料を一定の速度で吸収し、試薬層中の試薬と反応するに好ましい血漿量を全血から供給できることが判る。
【0046】
【実施例2】
次に、実際に試薬を含む分析要素を用いて、測定値に対するヘマトクリット値の影響を調べた。
<1>分析要素の調製
下記試薬含有ポリマー層液を全血分離層(メンブランフィルター(ポアサイズ0.65μm),ミリポア社製)上に膜厚50μmで塗工した。このメンブランフィルターの塗工面の上に、光透過性の多孔性フィルム(厚さ150μm,ミリポア社製)をのせ、50℃で15分間送風乾燥し、乾燥後7mm幅のテープ状に切断した。
【0047】
直径4mmの貫通孔を3mmおきに5個の列を一端に有し、ホットメルトでコーティングされている、35×50mmの光透過性ポリエチレンテレフタレート(厚さ0.5mm)製の支持体上に、前記テープ片を多孔性フィルム側を支持体に面するよう、かつ貫通孔の列を覆うように重ね、熱圧着した。
【0048】
最後に、一貫通孔毎に貫通孔の列に対して垂直に支持体を7mm幅で切断し、5個の分析要素を得た。
尚、上記の多孔性フィルムは、貫通孔をまたぐ状態で試薬含有ポリマー層を保持するための支えであり、本発明にとって必須ではない。
(試薬含有ポリマー層液)
▲1▼のポリマー液8gに▲2▼の試薬液を全量混合攪拌し、試薬含有ポリマー層液とした。
【0049】
▲1▼ポリマー液
・アクアコーク(住友精化(株)製) 6.25%(重量比)
・Triton X−100(和光純薬(株)製) 0.25%(重量比)
・TiO (和光純薬(株)製) 12.5%(重量比)
上記成分をメタノール中で混合し撹拌する。
【0050】
Figure 0003569714
【0051】
<2>分析要素の評価
(1)全血試料の調製
健常人の全血へ、解糖阻止の目的でフッ化ナトリウム(ナカライテスク(株)製)を1mg/mlになるように添加した。その後、全血を遠心分離して血球成分と血漿成分とに分けた後、各ヘマトクリット値に調製した。ヘマトクリット値の検定は、遠心分離法により行った。各々の血糖値の検定は、血漿を血糖測定装置GA−1120((株)京都第一科学製)により検定することにより行ない、血糖値がほぼ同一であることを確認した。
【0052】
(2)血糖値の測定
分析要素の上部へ全血を、過剰量である20μlを点着し、下部(支持体側)より色彩計(Σ90,日本電色工業(株)製)を使用して640nmの反射率を測定し、得られた反射率からK/S値を求めた。求めたK/S値の115秒目の値と125秒目の値の差をΔK/S値とした。
【0053】
横軸にヘマトクリット値をとり、縦軸にΔK/S値をとったグラフを図3に示す。
図3に示すように、28〜62%までの範囲のヘマトクリット値によらず、単位時間あたりの発色量に差がなかった。この結果から、ヘマトクリット値の影響を受けなかったことが判る。
【0054】
【発明の効果】
本発明の分析要素を用いると、全血を試料とする場合であっても、ヘマトクリット値に影響を受けずにアナライトを精度よく測定することができる。また、過剰量の全血試料を分析要素に点着しても、精度よくアナライトを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分析要素へ全血を点着した際の、時間とK/S値との関係を示したグラフである。
【図2】図1で求めたK/S値の55秒目の値と185秒目の値の差をΔK/S値とし、ヘマトクリット値と比較した際のグラフである。
【図3】実際に試薬を用いて求めたK/S値の115秒目の値と125秒目の値の差をΔK/S値とし、ヘマトクリット値と比較した際のグラフである。

Claims (5)

  1. 全血に含まれる血球成分と血漿成分とを分離する分離層と、下記一般式(1)で表される構造を有するポリマーであるノニオン性膨潤剤を主要構成成分とするポリマー層と、血液中の測定対象成分と反応することにより光学的変化を起こす試薬を含む試薬層と、支持体とがこの順に積層された、前記測定対象成分を分析するための全血対応分析要素。
    Figure 0003569714
    (式中、 R 1 R 3 は炭素数1〜22のアルキル基もしくはアルキルフェニル基、水素のいずれかから選択される基を表し、 R 1 R 3 は各々同一であっても異なっていてもよく、 R 2 はフェニル基、オキシフェノキシ基、炭素数3〜22のオキシアルキルフェノキシ基,オキシアルコキシ基のいずれかから選択される基を表し、 m n の和は100〜200であり、 l は10〜50である。)
  2. 前記試薬層とポリマー層とが一体である請求項1記載の全血対応分析要素。
  3. 分離層の上に、さらに展開層が積層されている請求項1又は2に記載の全血対応分析要素。
  4. R 1 R 3 が水素であり、 R 2 が炭素数1又は3〜22のオキシアルコキシ基である請求項1記載の全血対応分析要素。
  5. 支持体が光透過性物質からなるか、又は光学的検出用の貫通孔が設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の全血対応分析要素。
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