JP3569635B2 - 車両用変速操作装置の衝撃力吸収構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用変速操作装置、特に、装置本体と、その装置本体の変速用ゲートから突出するシフトレバーとを備えたものの衝撃力吸収構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の衝撃力吸収構造としては、シフトレバーの操作ノブを弾性材料より構成すると共に、そのロッド状レバー本体の操作ノブ内に位置する部分を乗員の左方に屈曲させ、その屈曲部に切欠きを設けたものが知られている(特開平5−246262号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のものは、例えばドライバによる衝撃力によって、シフトレバーの先端部が折曲がるように構成されているので、衝撃力吸収ストロークが短く、したがって衝撃力吸収能が低い、という問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は高い衝撃力吸収能を備えた前記衝撃力吸収構造を提供することを目的とする。 前記目的を達成するため本発明によれば、装置本体と、その装置本体の変速用ゲートから突出するシフトレバーとを備えた車両用変速操作装置の衝撃力吸収構造において、前記装置本体は、前記シフトレバーに連結した操作力伝達部材と、その操作力伝達部材を収容するボックスとを有し、そのボックスは、フロアに各々立設されてクロスメンバにより相互間が連結された左右一対のセンタフレームの後面にそれぞれ固定の左右一対のブラケット間に支持され、前記ボックスの上壁には、前記シフトレバーのロッド状レバー本体が貫通する変速用ゲートが設けられ、その変速用ゲートに合致するゲートを有して前記ボックスの上部に被せられるカバー部材が該ボックスに固着され、前記シフトレバーに作用する衝撃力で、そのロッド状レバー本体を前記変速用ゲートの縁部で折曲げるべく、前記ロッド状レバー本体が、その軸線を衝撃力作用方向と交差させて前記装置本体に配設される車両用変速操作装置の衝撃力吸収構造が提供される。
【0005】
前記構成において、シフトレバーのロッド状レバー本体の先端部、つまり操作ノブに、例えばドライバの頭部により所定値以上の衝撃力が作用すると、ロッド状レバー本体は変速用ゲートの縁部を支点として折曲がり、これにより前記衝撃力の吸収が行われる。この場合、ロッド状レバー本体はその中間部で折曲がるので、衝撃吸収ストロークは比較的長くなる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本項において「前、後、左、右」とは車両の前進方向を「前」とした場合である。
【0007】
図1,2において、車両としての乗用車の車体は、そのフロアに立設された左、右一対の鋼製センタフレーム1を有し、各センタフレーム1の上端部は鋼製クロスメンバ2に連結されている。それらセンタフレーム1およびクロスメンバ2はインストルメントパネル3によって隠蔽される。
【0008】
両センタフレーム1はそれらの後面にそれぞれ鋼板製ブラケット4を有し、それら車体側ブラケット4間に自動変速機用変速操作装置5が支持される。その装置5は、装置本体6と、その装置本体6から突出するシフトレバー7とを備えている。装置本体6は、図3にも示すようにシフトレバー7に連結された操作力伝達部材8と、その部材8を収容する合成樹脂製ボックス9とを有し、そのボックス9の上部にカバー部材10が被せられて複数の小ねじ11によりボックス9に取付けられている。
【0009】
シフトレバー7は、鋼製ロッド状レバー本体12と、その先端部に設けられた合成樹脂製操作ノブ13とを有する。ボックス9の上壁に、図4にも明示するように変速用ゲート14が設けられ、これに合致するゲートがカバー部材10にも在るが、図には省略した。それら変速用ゲート14をシフトレバー7のロッド状レバー本体12が貫通している。ボックス9の左、右両側面にそれぞれブラケット15が一体に設けられ、
それら装置側ブラケット15が両車体側ブラケット4上にそれぞれ載せられて、複数のボルト16によりそれら車体側ブラケット4に固着される。これにより、ボックス9の変速用ゲート14はインストルメントパネル3の開口部17内に位置し、またシフトレバー7はその開口部17から車室内に突出する。
【0010】
操作力伝達部材8は、後部に、左、右方向に延びる軸線を持つ中空筒部18を備えたリンク部材19を有し、そのリンク部材19は中空筒部18に挿通された第1支持軸20を介してボックス9に前後方向揺動自在に支持される。リンク部材19の上面に前、後一対の軸受部材21が設けられ、それら軸受部材21には、ロッド状レバー本体12の下縁に設けられた支持部材22が第2支持軸23を介して左右方向揺動自在に支持される。
【0011】
図1において、シフトレバー7の上方にステアリングホイール24が配置される。したがって、乗用車の正面衝突に伴うドライバの頭部による衝撃力Fはシフトレバー7の操作ノブ13に、その上方で、且つ斜め後方から作用する。
【0012】
この場合、シフトレバー7のロッド状レバー本体12は、それに、前記衝撃力Fに基づいて曲げ方向の分力fが生じるように、その軸線aを衝撃力作用方向bと交差させて装置本体6に配設されている。図1,2の状態では、シフトレバー7は、図4に示すように変速用ゲート14のD−レンジに在り、このとき、ロッド状レバー本体12の軸線aは鉛直線cに対して約55°の角度を以て後方へ傾斜しており、また衝撃力作用方向bは鉛直線cに対して約30°の角度を以て傾斜している。したがって前記軸線aと衝撃力作用方向bとの交差角θは約25°である。
【0013】
このような状態でシフトレバー7の操作ノブ13に、ドライバの頭部による所定値以上の衝撃力Fが作用すると、ロッド状レバー本体12に衝撃力Fに基づく曲げ方向の分力fが発生し、これによりロッド状レバー本体12は変速用ゲート14におけるD−レンジの縁部25を支点として図1,2、鎖線示のように時計方向に折曲がる。この場合、ロッド状レバー本体12は、その中間部で折曲がるので、衝撃吸収ストロークは比較的長くなり、したがって衝撃力吸収能は高い。
【0014】
前記のような衝撃力吸収作用は、シフトレバー7がN−レンジおよびL−レンジに位置する場合にも行われる。
【0015】
なお、ロッド状レバー本体12を、鉛直線cに対し所定角度を以て前方へ傾斜させることもある。またロッド状レバー本体12を前記衝撃力Fにより曲がり易くするため、ロッド状本体12の変速用ゲート14縁部との対向部分を他の部分よりも細くする、その対向部分に切欠きを形成する、等の手段を採用することもある。さらにロッド状レバー本体12を衝撃力吸収材料より構成することも可能である。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、シフトレバーのロッド状レバー本体の先端部、つまり操作ノブに、例えばドライバの頭部により所定値以上の衝撃力が作用すると、ロッド状レバー本体は変速用ゲートの縁部を支点として折曲がり、これにより前記衝撃力の吸収が行われるようにしたので、この場合にロッド状レバー本体はその中間部で折曲がり、衝撃吸収ストロークは比較的長くなるから、高い衝撃力吸収能を備えた、車両用変速操作装置の衝撃力吸収構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】衝撃力吸収構造を備えた変速操作装置の側面図である。
【図2】衝撃力吸収構造を備えた変速操作装置の斜視図である。
【図3】変速操作装置の内部構造を示す斜視図である。
【図4】ボックス上壁の部分拡大平面図である。
【符号の説明】
1 センタフレーム
2 クロスメンバ
4 ブラケット
5 変速操作装置
6 装置本体
7 シフトレバー
8 操作力伝達部材
9 ボックス
10 カバー部材
12 ロッド状レバー本体
14 変速用ゲート
a 軸線
b 衝撃力作用方向
Claims (1)
- 装置本体(6)と、その装置本体(6)の変速用ゲート(14)から突出するシフトレバー(7)とを備えた車両用変速操作装置の衝撃力吸収構造において、 前記装置本体(6)は、前記シフトレバー(7)に連結した操作力伝達部材(8)と、その操作力伝達部材(8)を収容するボックス(9)とを有し、そのボックス(9)は、フロアに各々立設されてクロスメンバ(2)により相互間が連結された左右一対のセンタフレーム(1)の後面にそれぞれ固定の左右一対のブラケット(4)間に支持され、前記ボックス(9)の上壁には、前記シフトレバー(7)のロッド状レバー本体(12)が貫通する変速用ゲート(14)が設けられ、その変速用ゲート(14)に合致するゲートを有して前記ボックス(9)の上部に被せられるカバー部材(10)が該ボックス(9)に固着され、前記シフトレバー(7)に作用する衝撃力(F)で、そのロッド状レバー本体(12)を前記変速用ゲート(14)の縁部(25)で折曲げるべく、前記ロッド状レバー本体(12)が、その軸線(a)を衝撃力作用方向(b)と交差させて前記装置本体(6)に配設されることを特徴とする、車両用変速操作装置の衝撃力吸収構造。
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