JP3569606B2 - スクリュ式冷凍機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハーメチックモータを駆動部とする半密閉構造のスクリュ圧縮機を用いたスクリュ式冷凍機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図6に示すスクリュ圧縮機21が公知であり、この圧縮機21では、スクリュロータ22の駆動部であるモータ23がスクリュロータ22と共通の軸24を有し、スクリュロータ22を収容したケーシング25とモータ23のモーターケーシング26とが一体的に形成されている(特開昭60−184984号公報)。そして、図6においてモーターケーシング26の左方端面に穿設した流入口27から油とともに吸込まれたガスは、モータ23のステータとロータとの間の空隙部を通過して、スクリュロータ22により圧縮され、油分離エレメント28を経て、油と分離され、図6においてケーシング25の右方上部に設けられた吐出口29から吐出されるようになっている。
【0003】
図7は、図6に示す圧縮機21を適用した場合に考えられるスクリュ式冷凍機を示し、圧縮機21、油分離回収器30、凝縮器31、膨張弁32および蒸発器33を含む冷媒の閉じた循環流路Xと、蒸発器33の二次側の冷媒の過熱度を検出して、この過熱度が予め定めた許容範囲内の数値になるように膨張弁32の開度を調節する感温筒34とからなっている。そして、この冷凍機では、蒸発器33を出た冷媒の全量がガス状態で流入口27より流入し、モータ23内を通過して、モータ23を冷却した後、スクリュロータ22に吸込まれるようになっている。
なお、油分離回収器30では圧縮機21から吐出された冷媒ガスと油とが分離され、冷媒ガスは凝縮器31へと流れ、分離された油は図中※印で示すように油分離回収器30から流出し、図中*印で示すように圧縮機21内のガス圧縮空間、軸受・軸封部等の注油箇所に導かれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した圧縮機21を適用した図7に示す冷凍機の場合、R22に代わる冷媒としてR407C,R410Aをそのまま使用すると、圧縮機21の吐出圧力が許容上限値を超えて、モータ23の負荷が過大となる。一方、この冷凍機の場合、蒸発器33を出た冷媒ガスの全量がモータ23内を通過し、モータ23の冷却が行われるようになっているが、この冷媒ガスのみによりモータ23を冷却しているため、モータ23の負荷が過大になった場合に冷却能力が不十分になり、そのモーターコイル温度が許容上限値を超える場合があるという問題がある。換言すれば、この冷凍機の場合、この許容上限値以下にモーターコイル温度を保つ必要があるため、圧縮機21の吐出圧力の許容上限値が低くなってしまうという問題がある。
本発明は、斯る従来の問題をなくすことを課題としてなされたもので、圧縮機駆動用モータの容量を変えることなく、この圧縮機の吐出圧力の許容上限値を高めることを可能としたスクリュ式冷凍機を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1発明は、スクリュロータと共通の軸を有し、かつこのスクリュロータを収容するケーシングと一体的に形成されたモーターケーシングを有するハーメチックモータを駆動部とし、吸込口が上記モーターケーシング内の空間と連通している半密閉構造の圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを含むとともに、この蒸発器を通過した冷媒を上記空間内に導き、上記ハーメチックモータのステータとロータの部分を通過させて、上記吸込口に至らせる冷媒の閉じた循環流路を備えたスクリュ式冷凍機において、上記膨張弁の一次側にて上記循環流路から分岐し、開閉弁を介して上記蒸発器の出口部から上記モーターケーシング内の空間の内の上記スクリュロータとは反対側の部分までのいずれかの部分に至る冷媒用分岐流路と、上記圧縮機と上記凝縮器との間の冷媒の圧力を検出し、この検出圧力が設定値を超えた場合には上記開閉弁を開状態とし、その他の場合には上記開閉弁を閉状態にする圧力スイッチとを設けた構成とした。
【0006】
また、第2発明は、スクリュロータと共通の軸を有し、かつこのスクリュロータを収容するケーシングと一体的に形成されたモーターケーシングを有するハーメチックモータを駆動部とし、吸込口が上記モーターケーシング内の空間と連通している半密閉構造の圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを含むとともに、この蒸発器を通過した冷媒を上記空間内に導き、上記ハーメチックモータのステータとロータの部分を通過させて上記吸込口に至らせる冷媒の閉じた循環流路を備えたスクリュ式冷凍機において、上記膨張弁の一次側にて上記循環流路から分岐し、開閉弁を介して上記蒸発器の出口部から上記モーターケーシング内の空間の内の上記スクリュロータとは反対側の部分までのいずれかの部分に至る冷媒用分岐流路と、上記圧縮機の吸込圧力と吐出圧力との差を検出し、この検出差圧が設定値を超えた場合には上記開閉弁を開状態とし、その他の場合には上記開閉弁を閉状態にする差圧スイッチとを設けた構成とした。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の一形態を図面にしたがって説明する。
図1,2は、第1発明に係るスクリュ式冷凍機を示し、図中、上述した各圧縮機、冷凍機と実質的に共通する部分については、同一番号を付してある。
この冷凍機では、圧縮機1、凝縮器31、膨張弁32および蒸発器33を含む冷媒の閉じた循環流路Xと、膨張弁32の一次側にて循環流路Xから分岐し、開閉弁2を介して蒸発器33と圧縮機1との間の循環流路Xの部分に合流する冷媒用分岐流路Yが形成されている。また、圧縮機1と凝縮器31との間の循環流路Xの部分には、この部分の冷媒の圧力、即ち吐出圧力を検出し、この検出圧力が設定値を超えた場合には開閉弁2を開状態とし、その他の場合には開閉弁2を閉状態にする圧力スイッチ3が設けてある。
【0008】
圧縮機1は、スクリュロータ22を収容したケーシング25と一体的に形成されたモーターケーシング26を有するハーメチックモータ4を駆動部とし、このハーメチックモータ4側に、モーターケーシング26内の空間と連通する吸込口5と、この吸込口5とは反対側に吐出口29とを有している。また、スクリュロータ22とハーメチックモータ4のロータとは軸24を共有している。
蒸発器33の二次側の循環流路Xの部分は、スクリュロータ22とは反対側のモーターケーシング26の端部に形成した流入口27に至っている。即ち、この二次側の循環流路Xの部分は、モーターケーシング26内の空間の内のスクリュロータ22とは反対側の部分に通じている。
【0009】
そして、蒸発器33を出た冷媒ガス、および圧縮機1の吐出圧力が設定値を超えて開閉弁2が開状態となった場合における分岐流路Yからの冷媒液が流入口27を介して、モーターケーシング26内に導かれ、ハーメチックモータ2のロータとステータの部分を通過して、モータ冷却するようになっている。この空隙部を通過した冷媒はガス状態になっており、吸込口5から吸込まれ、圧縮されて吐出口29から吐出される。
【0010】
図3は、圧縮機1の吸込圧力が一定の場合における吐出圧力とモーターコイル温度との関係を示したもので、曲線Iは分岐流路Yからモーターケーシング26への冷媒液の噴射を一切考えない場合、曲線IIは上述した実施形態のように分岐流路Yから冷媒液がモーターケーシング26内に噴射される場合を示している。分岐流路Yから冷媒液が一切噴射されない場合、曲線Iで示されるように、吐出圧力の上昇とともにモーターコイル温度も上昇し、吐出圧力がP(例:20ata)に達するとモーターコイル温度が許容上限値T(例:110℃)に達する。そして、吐出圧力がさらに上昇するとモーターコイル温度は許容上限値Tを超え、ハーメチックモータ4は、そのモータープロテクタが働くことにより非常停止することになる。これに対して、上述した実施形態の場合は、曲線IIで示されるように、吐出圧力がP以下の設定値に達すると開閉弁2が圧力スイッチ3からの信号により開状態となり、この結果、分岐流路Yからモーターケーシング26内に冷媒液が噴射され、吐出圧力がPを超えて上昇してもモーターコイル温度はTを超えず、モータープロテクタが働くことなく、圧縮機1の作動状態は維持されるようになっている。即ち、この冷凍機の場合は、分岐流路Yを設けることにより圧縮機1の吐出圧力の許容上限値を高めることができるようになっている。
【0011】
図4は、第2発明に係るスクリュ式冷凍機を示し、図1,2に示すスクリュ式冷凍機とは、圧力スイッチ3に代えて、差圧スイッチ7を設けた点を除き、他は実質的に同一であり、互いに対応する部分については、同一番号を付して説明を省略する。
この冷凍機では、差圧スイッチ7により圧縮機1の吸込圧力(P)と吐出圧力(P)との差圧ΔPを検出し、この差圧ΔPが設定値を超えた場合には、開閉弁2を開状態とし、その他の場合には開閉弁2を閉状態とするようになっている。
図5は、この冷凍機において、吐出圧力とともに吸込圧力も変化する場合における上記差圧の許容上限値(ΔP)を示したもので、曲線IIIの下方が圧縮機1の運転可能領域で、上方が運転不可能領域を示している。なお、この許容上限値は、厳密には蒸発温度(吸込圧力)が変わると変化するが、略一定であることが実機テストの結果判明している。従って、現実にはこの許容上限値を一定(例:ΔP=16.0ata)として扱うことができる。
【0012】
そして、上述した実施形態の場合、このΔPよりも小さい値を設定値とし、差圧ΔPが曲線IIIの上方領域の値にまで増大しようとする傾向にある場合に、差圧スイッチ7により検出差圧が設定値に達したのを検出し、運転不可能になる前に開閉弁2を開状態にするようになっている。この結果、差圧ΔPは小さくなり、即ち曲線IIIの下方領域に維持され、圧縮機1の運転を停止しなければならない事態が回避される。
【0013】
なお、上述した各実施形態では、圧縮機1として無給油式のものとして説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、圧縮機1として油冷式のものを用いた冷凍機をも含むものである。この場合、圧縮機1と凝縮器31との間に油分離回収器を介設して、ここで冷媒ガスと油を分離し、冷媒ガスは凝縮器31に送り、分離された油は少なくとも油冷却器を設けた油供給流路により圧縮機1内のガス圧縮空間、軸受・軸封部等の注油箇所に送られる。
また、分岐流路Yは、蒸発器33の出口部からモーターケーシング26内の空間の内のスクリュロータ22と反対側の部分までのいずれかに至るように形成すればよい。
【0014】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ハーメチックモータを駆動部とする半密閉構造のスクリュ圧縮機を用いたスクリュ式冷凍機において、圧縮機の吐出圧力が設定値を超えた場合、或いは、吸込圧力と吐出圧力との差圧が設定値を超えた場合には、膨張弁の一次側にて循環流路から分岐した冷媒用分岐流路により冷媒液が上記圧縮機の吸込口に連通するモーターケーシング内に噴射されるようになっている。
このため、圧縮機駆動用モータの容量を変えることなく、この圧縮機の吐出圧力の許容上限値を高めることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1発明に係るスクリュ式冷凍機の全体構成を示す図である。
【図2】図1に示す冷凍機の圧縮機の断面図である。
【図3】図2に示す圧縮機において吸込圧力が一定の場合の吐出圧力とモーターコイル温度との関係を示す図である。
【図4】本願第2発明に係るスクリュ式冷凍機の全体構成を示す図である。
【図5】図4に示す冷凍機の圧縮機において吐出圧力とともに吸込圧力も変化する場合の差圧の許容上限値を示す図である。
【図6】従来のスクリュ圧縮機の断面図である。
【図7】図6に示す圧縮機を適用した冷凍機の全体構成を示す図である。
【符号の説明】
1 圧縮機 2 開閉弁
3 圧力スイッチ 4 ハーメチックモータ
5 吸込口 7 差圧スイッチ
31 凝縮器 32 膨張弁
33 蒸発器 X 循環流路
Y 分岐流路

Claims (2)

  1. スクリュロータと共通の軸を有し、かつこのスクリュロータを収容するケーシングと一体的に形成されたモーターケーシングを有するハーメチックモータを駆動部とし、吸込口が上記モーターケーシング内の空間と連通している半密閉構造の圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを含むとともに、この蒸発器を通過した冷媒を上記空間内に導き、上記ハーメチックモータのステータとロータの部分を通過させて、上記吸込口に至らせる冷媒の閉じた循環流路を備えたスクリュ式冷凍機において
    上記膨張弁の一次側にて上記循環流路から分岐し、開閉弁を介して上記蒸発器の出口部から上記モーターケーシング内の空間の内の上記スクリュロータとは反対側の部分までのいずれかの部分に至る冷媒用分岐流路と、
    上記圧縮機と上記凝縮器との間の冷媒の圧力を検出し、この検出圧力が設定値を超えた場合には上記開閉弁を開状態とし、その他の場合には上記開閉弁を閉状態にする圧力スイッチとを
    設けたことを特徴とするスクリュ式冷凍機。
  2. スクリュロータと共通の軸を有し、かつこのスクリュロータを収容するケーシングと一体的に形成されたモーターケーシングを有するハーメチックモータを駆動部とし、吸込口が上記モーターケーシング内の空間と連通している半密閉構造の圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とを含むとともに、この蒸発器を通過した冷媒を上記空間内に導き、上記ハーメチックモータのステータとロータの部分を通過させて上記吸込口に至らせる冷媒の閉じた循環流路を備えたスクリュ式冷凍機において、
    上記膨張弁の一次側にて上記循環流路から分岐し、開閉弁を介して上記蒸発器の出口部から上記モーターケーシング内の空間の内の上記スクリュロータとは反対側の部分までのいずれかの部分に至る冷媒用分岐流路と、
    上記圧縮機の吸込圧力と吐出圧力との差を検出し、この検出差圧が設定値を超えた場合には上記開閉弁を開状態とし、その他の場合には上記開閉弁を閉状態にする差圧スイッチとを
    設けたことを特徴とするスクリュ式冷凍機。
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