JP3568662B2 - 液晶表示パネル - Google Patents

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清治 田沼
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネルに関し、より詳しくは、薄型化が可能であるとともに製造工程を簡略化できる液晶表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルは、薄くて軽量であるとともに、低電圧で駆動できて消費電力が少ないという長所があり、各種電子機器に広く使用されている。特に、近年、TFT(Thin Film Transistor)等の能動素子が画素毎に設けられたアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルは、表示品質の点でもCRT(cathode−ray tube)に匹敵するほど優れたものが得られるようになり、OA(オフィスオートメーション)機器等のディスプレイにも使用されている。
【0003】
一般的に、液晶表示パネルは2枚の透明基板の間に液晶を挟んだ構造を有している。それらの透明基板の相互に対向する2つの面(対向面)のうち、一方の面側には共通電極及び配向膜等が形成され、また他方の面側にはアクティブマトリクス回路、画素電極及び配向膜等が形成されている。さらに、各透明基板の対向面と反対側の面には、それぞれ偏光板が貼り付けられている。通常、2枚の偏光板は、偏光の透明軸が互いに直交するように配置され、これによれば、電界をかけない状態では光を透過し、電界を印加した状態では遮光するモード、即ちノーマリーホワイトモードとなる。その反対に、偏光の透明軸が平行な場合には、ノーマリーブラックモードとなる。
【0004】
以下では、ノーマリーホワイトモードの液晶表示パネルについて、図10を参照して説明する。
透明基板31,36は相互に対向して配置されている。下側の基板31上には複数の画素電極32がマトリクス状に配設されており、各画素電極32間には、ゲートバスライン40及びドレインバスライン(図示せず)が直角に交差するように形成されている。また、ゲートバスライン40とドレインバスラインとの交差部分の近傍にはTFT(図示せず)が配設されている。そして、基板31上には、これらの画素電極32、ゲートバスライン40及びTFT等を覆うようにして、配向膜33が形成されている。
【0005】
また、上側の基板36の下には、カラーフィルタ39が形成されている。このカラーフィルタ39は、1画素毎に赤(R)、青(B)又は緑(G)が対応するようになっている。このカラーフィルタ39の下には共通電極35が設けられており、この共通電極35の下には配向膜34が設けられている。
配向膜33,34は、例えばポリイミドにより形成されており、レーヨン等の布が付着したロールで表面を擦るいわゆるラビング処理が施されている。液晶の分子は、ラビングされた配向膜33,34のラビング方向に沿って配向する性質を有している。そして、TN(Twisted Nematic )型の液晶表示パネルでは、2つの配向膜33,34が、上から見てそれらの配向方向がほぼ直交するように配置される。
【0006】
基板31,36は、球形のスペーサ43を挟んで配置され、基板31,36間には液晶38が封入されている。そして、基板31の下側及び基板36の上側には、それぞれ偏光板(図示せず)が配設されている。
このように構成された液晶表示パネルにおいて、液晶分子は、配向膜33,34のラビング方向に従って配向し、ある角度で傾く。その角度はプレチルト角といわれ、配向膜の構成材料により相違する。偏光板を直交配置したTN型の液晶表示パネルでは、2つの配向膜33,34の間の液晶分子は、一方の透明基板から他方の透明基板に向かうにつれて螺旋状に配向方向を変えていく。そして、画素電極32と共通電極35との間の電圧を徐々に上げていくと、ある電圧(しきい値)を境に液晶分子が電界の方向に立ち上がり始め、十分な電圧を印加すると、液晶分子は基板に対して殆ど垂直になる。つまり、液晶分子は、印加電圧に応じて、基板に対し殆ど平行な状態から殆ど垂直な状態に変化し、液晶表示パネルを透過する光の透過率もこれに応じて変化する。従って、各画素毎に光の透過率を制御することが可能であり、液晶表示パネルに所望の画像を表示することができる。
【0007】
ところで、このような構造の液晶表示パネルでは、画像を見る角度によってコントラストが変化するため、視覚特性が悪いという欠点がある。
図11〜図13はTN型液晶表示パネルをノーマリホワイトモードで駆動した場合の印加電圧に対する光の透過率の変化を説明する図であり、図11(a)は液晶表示パネル50と視線との位置関係を示す図、図11(b)は下側配向膜及び上側配向膜のラビング方向を示す図である。また、図12(a)は図11(a)に示すように液晶表示パネル50の正面(θ=0°)から視線を上方向(A側)に0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図、図12(b)は図11(a)に示すように液晶表示パネル50の正面から右方向(B側)に視線を0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図、図13(a)は図11(a)に示すように液晶表示パネル50の正面から視線を下方向(C側)に0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図、図13(b)は図11(a)に示すように液晶表示パネル50の正面から視線を左方向(D側)に0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図である。図12(a)に示すように、視線を上方向に傾けた場合、透過率は印加電圧が高くなるにつれて一旦ゼロまで低下し、更に電圧が高くなると上昇して再び低下するという特性を示す。このため、視線が液晶表示パネルの正面よりも上側にある場合に、図12(a)の印加電圧が高くなると透過率が大きくなる領域において、表示が反転したように見えるいわゆる反転表示現象が発生し、液晶表示パネルの視覚特性が著しく低下する。なお、図12(b),図13(a),(b)に示すように、視線が液晶表示パネルの正面よりも右側、左側又は下側にある場合は、反転表示現象は発生しない。
【0008】
このような反転表示現象を解消する手段として、配向分割型液晶表示パネルが提案されている。
図14(a)は従来の配向分割型液晶表示パネルを示す平面図、図14(b)は同じくその模式的断面図である。但し、図14では、カラーフィルタ等の図示を省略している。また、符号52,53は液晶分子を模式的に示すものである。実際の液晶分子52,53の配向は上と下とで90°だけツイストしているが、図14(b)では理解を容易にするためにツイストしない状態で示している。
【0009】
透明基板54,56は相互に対向して配置されており、一方の基板54の上には画素電極58及び配向膜55が形成され、他方の基板56の下面側には共通電極59及び配向膜57が形成されている。そして、基板54,56間には液晶60が封入されており、基板54の下側及び基板56の上側にはそれぞれ偏光板(図示せず)が配設されている。
【0010】
例えば、特開昭54−5754号公報や特開昭63−106624号公報においては、図14(a)に示すように、1つの画素51を領域Ia,IIaに2分し、それらの領域Ia,IIaの液晶分子52,53の配向の向きを相違させることが提案されている。これによれば、1つの画素51では2つの配向の視覚特性が平均化され、全体として視覚特性が向上する。
【0011】
1つの画素51の2つの領域で液晶分子52,53の配向を変える方法として、まず、図14(a)の実線の矢印で示すように、第1の透明基板54上の配向膜55のうち、一方の領域Iaをレジスト(図示せず)で覆いながら他方の領域IIaを一方向にラビングし、その後に、他方の領域IIaをレジスト(図示せず)で覆いながら一方の領域Iaを別の方向にラビングし、次に、同じ方法により、第2の透明基板56側の配向膜57を破線の矢印で示す方向にラビングする方法がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の方法では、レジストのパターニングやラビングを4回行うことになり、手間がかかる。また、従来の液晶表示パネルは、透明基板の外側に偏光板を貼り付ける必要があり、煩雑であるとともに、パネル表面の偏光板に傷が付きやすいという欠点もある。更に、近年、液晶表示パネルにはより一層の薄型化が要望されている。
【0013】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、対向配置された1対の透明基板の外側に偏光板を貼り付ける必要がなく、薄型化が可能であるとともに、製造工程を簡略化することができて、更に視覚特性が優れた液晶表示パネルを提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、相互に対向して配置された第1及び第2の透明基板と、これらの第1及び第2の透明基板間に配設された液晶層と、前記第1及び第2の透明基板の各対向面側に設けられて液晶分子の配列状態を画素毎に制御する第1及び第2の電極と、前記第1及び第2の電極の少なくとも一方の表面上に配設され、ピッチが光の波長よりも小さいストライプ状の格子パターンを有していてそのストライプ方向に垂直な偏光成分を選択的に透過する格子膜とを具備することを特徴とする液晶表示パネルにより解決する。
【0015】
また、上述した課題は、相互に対向して配置された第1及び第2の透明基板と、これらの第1及び第2の透明基板間に配設された液晶層と、前記第1及び第2の透明基板の各対向面側に設けられて液晶分子の配列状態を画素毎に制御する第1及び第2の電極と、前記第1の電極の表面上に配設され、ストライプ状の格子パターンを有していてそのストライプ方向に垂直な偏光成分を選択的に透過する第1の格子膜と、前記第2の電極の表面上に配設され、ストライプ状の格子パターンを有していてそのストライプ方向に垂直な偏光成分を選択的に透過する第2の格子膜とを具備することを特徴とする液晶表示パネルにより解決する。
【0016】
本発明においては、液晶分子の配列状態を制御する電極の表面上に、金属等からなり、ストライプ状の格子パターンを有する格子膜が設けられている。格子膜のストライプのピッチが光の波長よりも小さい場合(例えば、0.4μm以下)、格子膜に到達した光のうち、ストライプの延びる方向(ストライプ方向)に垂直な偏光成分は前記格子膜を通過するが、ストライプ方向に平行な偏光成分は格子膜を殆ど通過できない。すなわち、前記格子膜は偏光板として機能する。従って、本発明の液晶表示パネルにおいては、透明基板の外側に偏光板を取付ける必要がない。これにより、液晶表示パネルの薄型化が可能になるとともに、偏光板を貼り付ける工程が不要になり、また、パネル表面は例えばガラス基板なので、液晶表示パネルの表面に傷が付いて表示品質が劣化することを回避できる。
【0017】
また、前記ストライプの幅が十分狭い場合、液晶分子はストライプ方向に配向する。従って、本発明の液晶表示パネルでは、ラビング処理した配向膜を設ける必要がなく、ポリイミド等により配向膜を形成する工程及びラビング処理工程を省略することができる。但し、液晶分子の配向をより安定なものとするために、前記電極と格子膜との間、又は格子膜上に配向膜を設けてもよい。
【0018】
更に、本発明において、各画素領域の格子膜に、ストライプ方向が相互に異なる第1及び第2のパターン領域を設け、1画素内の2つの領域で液晶分子の配向方向を相違させる。これにより、いわゆる配向分割が達成できて、視覚特性が優れた液晶表示パネルが得られる。また、画素毎に偏光方向を変えることもできる。
【0019】
更にまた、画素領域間の格子膜部分を遮光性とし、ブラックマトリクスとして機能させることにより、製造工程の増加を回避することができる。
なお、格子膜の第1及び第2のパターン領域(又は第3及び第4のパターン領域)におけるストライプ方向は任意でよく、必ずしもストライプ方向が直交していなくてもよい。また、1画素を3以上の領域に分割して、それぞれの領域にストライプ方向が相互に異なる格子パターンを形成してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る液晶表示パネルを示す断面図、図2(a)は一方の透明基板1を示す斜視図、図2(b)は1画素を2分する領域I,IIにおける第1の格子膜3及び第2の格子膜4のストライプ方向を示す図、図3は本実施形態の液晶表示パネルの1画素を拡大して示す模式図である。なお、図3において、符号7は液晶分子を模式的に示すものである。実際の液晶分子の配向は下側では格子パターン領域3a,3bの各ストライプ方向に配向し、上側では格子パターン4a,4bの各ストライプ方向に配向して、上と下では液晶分子の配向方向が90°だけツイストしているが、図3においては理解を容易にするために、液晶分子がツイストしていない状態で示している。また、図3においては、カラーフィルタ等の図示を省略している。
【0021】
第1の透明基板1上には画素電極(第1の電極)2がマトリクス状に配設されており、これらの画素電極2の間には、ゲートバスライン10及びドレインバスライン11が直角に交差するように形成されている。そして、ゲートバスライン10及びドレインバスライン11の交差部分の近傍にはそれぞれTFT12が形成されており、各TFT12のゲートはゲートバスライン10に接続され、ドレインはドレインバスライン11に接続され、ソースは画素電極2に接続されている。
【0022】
各画素電極2上にはクロム(Cr)からなる第1の格子膜3が配設されている。各画素領域は第1及び第2の領域I,IIに2分されており、第1の格子膜3には領域I,IIに対応して第1及び第2の格子パターン領域3a,3bが設けられている。これらの格子パターン領域3a,3bには、幅が約0.25μmの開口部が約0.3μmピッチ(即ち、開口部間の金属格子の幅は0.05μm)でストライプ状に形成されており、第1及び第2の格子パターン領域3a,3bのストライプ方向は相互に直交する。
【0023】
第1の透明基板1の上方には第2の透明基板6が配置されている。この透明基板6の下面側にはカラーフィルタ9が配設されている。このカラーフィルタ9は、画素毎に、赤(R)、青(B)又は緑(G)のいずれかが対応するようになっている。このカラーフィルタ9の下には共通電極(第2の電極)5が設けられており、この共通電極5の下にはクロムからなる第2の格子膜4が配設されている。この第2の格子膜4も、領域I,IIに対応して、第3及び第4の格子パターン領域4a,4bが設けられている。これらの格子パターン領域4a,4bにも、幅が約0.25μmの開口部が約0.3μmピッチでストライプ状に形成されており、第3の格子パターン領域4aのストライプ方向は第2の格子パターン領域3bのストライプ方向に直交し、第4の格子パターン領域4bのストライプ方向は第1の格子パターン領域3aのストライプ方向に直交するように形成されている。
【0024】
これらの第1及び第2の透明基板1,6は球形のスペーサ13を挟んで配置され、基板1,6間には液晶8が封入されている。
このように構成された液晶表示パネルにおいて、液晶分子は格子パターン領域3a,3b,4a,4bのストライプ方向に沿って配列する。この場合に、液晶分子8は、下側と上側とでは約90°ねじれた状態で配列する。
【0025】
また、本実施形態においては、格子パターン領域3a,3b,4a,4bに設けられた開口部の配設ピッチが約0.3μmと光の波長よりも小さく設定されているので、ストライプ方向に垂直な偏光成分は格子膜3,4を透過するが、ストライプ方向に平行な偏光成分は格子膜3,4を透過することができない。すなわち、格子膜3,4は偏光板として作用する。
【0026】
このように、本実施形態においては、格子膜3,4が配向膜として作用するとともに、偏光板としても作用するので、画素電極2と共通電極5の間にしきい値以上の電圧を印加すると、印加電圧に応じて液晶分子が基板に対し殆ど平行な状態から殆ど垂直な状態に配列し、液晶表示パネルの光の透過率が変化する。各画素毎に光の透過率を制御することにより、液晶表示パネルの所望の画像を表示することができる。
【0027】
図4〜図6は、本実施形態の液晶表示パネルにおける印加電圧と光の透過率との関係を示す図であり、図4(a)は液晶表示パネル15と視線との位置関係を示す図、図4(b)は下側透明基板1及び上側透明基板6の格子膜3,4のストライプ方向を示す図である。また、図5(a)は図4(a)に示すように液晶表示パネル15の正面(θ=0°)から視線を上方向(A側)に0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図、図5(b)は図4(a)に示すように液晶表示パネル15の正面から視線を右方向(B側)に0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図、図6(a)は図4(a)に示すように液晶表示パネル15の正面から視線を下方向(C側)に0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図、図6(b)は図4(a)に示すように液晶表示パネル15の正面から視線を左方向(D側)に0〜40°傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図である。
【0028】
これらの図に示すように、本実施形態に係る液晶表示パネルは、視線を上下左右のいずれの方向に傾けた場合でも、反転表示現象が発生せず、視覚特性が優れている。
また、本実施形態においては、格子膜3,4が偏光板として作用するので、透明基板1,6の外側に偏光板を貼り付ける必要がなく、製造工程を簡略化できるとともに、液晶表示パネルの表面に傷が付いて表示品質が劣化することを抑制できる。
【0029】
以下、本実施形態の液晶表示パネルの製造方法について説明する。
まず、公知の方法により、第1の透明基板1上に、TFT、画素電極、ゲートバスライン及びドレインバスラインを形成する。その後、透明基板1上の全面にクロムを蒸着して、厚さが0.15μmのクロム膜を得る。
次に、2重露光法により第1及び第2のパターン領域3a,3bに格子パターンを形成する。すなわち、透明基板1の全面にフォトレジストを塗布し、各画素領域の半分の領域に対応する開口部を有するマスクを介してレーザ光によりホログラフィック露光(干渉露光法)を行い、次に、前記マスクをずらして残りの画素領域のフォトレジストをホログラフィック露光する。そして、現像及びエッチング工程を経て幅が約0.25μmの開口部を約0.3μmのピッチで形成する。なお、露光に際して、領域I及び領域IIの各ストライプ方向が直交するようにする。
【0030】
次に、同様の方法により第2の透明基板6にもクロム膜を形成し、領域I,IIに対応させて、ストライプ方向が異なる2つの格子パターンを有する格子膜を形成する。
次いで、直径が約5μmのスペーサを介して透明基板1,6を貼り合わせ、基板1,6間に液晶8を封入する。これにより、本実施形態の液晶表示パネルが完成する。
【0031】
本実施形態においては、基板1,6の外側に偏光板を貼り付ける工程が不要であるとともに、ポリイミド等の配向膜を形成する工程及びラビング処理工程が不要であり、製造工程が簡略化される。
なお、上述の方法においては干渉露光法により金属膜をパターニングする場合について説明したが、形成すべき開口部のパターンを有するマスクを用いてクロム膜上のフォトレジストを露光し、現像後に残存したフォトレジストをマスクとして前記クロム膜をエッチングすることにより格子膜を形成してもよい。
【0032】
また、本実施形態では各画素領域を領域I,IIに2分する場合について説明したが、各画素領域を3以上に分割し、分割した各領域の格子パターンの格子方向を相互に異なるものとしてよい。
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態の液晶表示パネルを示す断面図である。なお、図7において、図1〜図3と同一物には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0033】
本実施形態においては、透明基板1側の画素電極2と格子膜3との間に配向膜21が形成されており、透明基板6側の共通電極5と格子膜4との間に配向膜22が形成されている。これらの配向膜21,22はラビング処理が施され、上から見てラビング方向が相互に直交するように配置される。
本実施形態においては、第1の実施形態と同様の効果が得られるのに加えて、配向膜21,22により液晶分子の配向方向を決めるので、液晶分子の配向がより一層安定するという利点がある。
【0034】
なお、本実施形態では電極と格子膜との間に配向膜が設けられている場合について説明したが、配向膜が各格子膜の対向面側に配設されていても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
(第3の実施形態)
図8は本発明の第3の実施形態の液晶表示パネルを示す断面図である。なお、図8において、図1〜図3と同一物には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0035】
本実施形態においては、透明基板6側の格子膜4の画素間に対応する部分にブラックマトリクスパターン25が設けられている。すなわち、このブラックマトリクスパターン25はクロムにより形成された格子膜4の一部をなし、画素領域の間を遮光する。この場合に、ブラックマトリクスパターン25は格子膜4と同時に形成すればよいので、製造工程が増加することを回避できる。
【0036】
(その他の実施形態)
上述の第1〜第3の実施形態においてはいずれも格子パターンが領域I,IIでそれぞれ個別に形成されている場合について説明したが、図9に示すように、格子パターン27,28が領域I,IIで連続していてもよい。
また、上側透明基板又は下側透明基板のいずれか一方のみに格子膜を設け、他方の透明基板側には配向膜を形成してもよい。この場合は、他方の透明基板の外側に偏光板を貼り付ける。
【0037】
更に、上述の実施形態では1画素を2つの領域に分割したが、3以上の領域に分割して各領域の格子パターンのストライプ方向を相互に異なるようにしてもよい。
更にまた、1画素内においてストライプ方向が異なる領域を明確に区切るのではなく、ストライプ方向が連続的に変化するようにしてもよい。これにより、領域の境界において発生する配向不良を防止することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液晶表示パネルは、ストライプ状の格子パターンが設けられた格子膜を有し、この格子膜が偏光板として作用するとともに、配向膜としても作用するので、対向配置された1対の透明基板の外側に偏光板を貼り付ける必要がない。これにより、液晶表示パネルの薄型化及び軽量化が図れるとともに、製造工程の簡略化を図ることができる。また、前記格子膜に、1画素毎に第1及び第2のパターン領域を設け、各パターン領域のストライプ方向を相互に異なるものとすることにより、いわゆる配向分割が達成され、視覚特性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示パネルを示す断面図である。
【図2】(a)は一方の透明基板を示す斜視図、(b)は1画素を2分する領域I,IIにおける第1の格子膜及び第2の格子膜のストライプ方向を示す図である。
【図3】第1の実施形態の液晶表示パネルの1画素を拡大して示す模式図である。
【図4】(a)は液晶表示パネルと視線との位置関係を示す図、(b)は下側透明基板及び上側透明基板の各格子膜のストライプ方向を示す図である。
【図5】(a),(b)は、第1の実施形態の液晶表示パネルにおいて、視線を液晶表示パネルの正面から上方向に傾けたとき及び右方向に傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図である。
【図6】(a),(b)は、第1の実施形態の液晶表示パネルにおいて、視線を液晶表示パネルの正面から下方向に傾けたとき及び左方向に傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の液晶表示パネルを示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の液晶表示パネルを示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態の液晶パネルの格子パターンを示す平面図である。
【図10】従来の液晶表示パネルの一例を示す断面図である。
【図11】(a)は液晶表示パネルと視線との位置関係を示す図、(b)は下側配向膜及び上側配向膜のラビング方向を示す図である。
【図12】(a),(b)は、従来の液晶表示パネルにおいて、視線を液晶表示パネルの正面から上方向に傾けたとき及び右方向に傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図である。
【図13】(a),(b)は、従来の液晶表示パネルにおいて、視線を液晶表示パネルの正面から下方向に傾けたとき及び左方向に傾けたときの印加電圧と透過率との関係を示す図である。
【図14】(a)は従来の配向分割型液晶表示パネルを示す平面図、(b)は同じくその模式的断面図である。
【符号の説明】
1,6,31,36,54,56 透明基板
2,32,58 画素電極
3,4 格子膜
3a,3b,4a,4b 格子パターン領域
5,35,59 共通電極
7,52,53 液晶分子
8,38,60 液晶
9,39 カラーフィルタ
10,40 ゲートバスライン
11 ドレインバスライン
12 TFT
13,43 スペーサ
15,50 液晶表示パネル

Claims (8)

  1. 相互に対向して配置された第1及び第2の透明基板と、
    これらの第1及び第2の透明基板間に配設された液晶層と、
    前記第1及び第2の透明基板の各対向面側に設けられて液晶分子の配列状態を画素毎に制御する第1及び第2の電極と、
    前記第1及び第2の電極の少なくとも一方の表面上に配設され、ピッチが光の波長よりも小さいストライプ状の格子パターンを有していてそのストライプ方向に垂直な偏光成分を選択的に透過する格子膜と
    を具備することを特徴とする液晶表示パネル。
  2. 相互に対向して配置された第1及び第2の透明基板と、
    これらの第1及び第2の透明基板間に配設された液晶層と、
    前記第1及び第2の透明基板の各対向面側に設けられて液晶分子の配列状態を画素毎に制御する第1及び第2の電極と、
    前記第1の電極の表面上に配設され、ストライプ状の格子パターンを有していてそのストライプ方向に垂直な偏光成分を選択的に透過する第1の格子膜と、
    前記第2の電極の表面上に配設され、ストライプ状の格子パターンを有していてそのストライプ方向に垂直な偏光成分を選択的に透過する第2の格子膜と
    を具備することを特徴とする液晶表示パネル。
  3. 前記第1の格子膜は、各画素領域毎に、ストライプ方向が相互に異なる第1及び第2の格子パターン領域を有し、
    前記第2の格子膜は、各画素領域毎に、ストライプ方向が相互に異なる第3及び第4の格子パターン領域を有することを特徴とする請求項2に記載の液晶表示パネル。
  4. 前記第1及び第2の格子膜は、いずれも金属からなることを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
  5. 前記第1の透明基板と前記第1の格子膜との間又は該第1の格子膜上に第1の配向膜を有し、前記第2の透明基板と前記2の格子膜との間又は該第2の格子膜上に第2の配向膜を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
  6. 前記第1及び第2の格子膜の少なくとも一方には、各画素領域の間に、遮光性のブラックマトリクスパターンが設けられていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
  7. 前記第1及び第2の格子膜のストライプの配設ピッチが0.4μm以下であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
  8. 前記第1のパターン領域のストライプと前記第2のパターン領域のストライプとは連続し、前記第3のパターン領域のストライプと前記第4のパターン領域のストライプとは連続していることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示パネル。
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