JP3568530B2 - 重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造体 - Google Patents

Description

本発明は、重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造に係り、スタブアクスルのベアリング手段により支持されたハブ部分を具備してなり、該ハブ部分にはブレーキディスクが非回転的に固定される領域を与え、更に螺子連結により該ハブ部分に固定されるディスク状支持体を備え、該ディスク状支持体にホイールリムをボルト締めしようとするものである。
ディスクブレーキは、今日まで例外なく自動車や小型商用車に適用されているが、最近はブレーキモーメントが2000KPMにもなる重車両に属するトラックにも用いられるようになった。この重車両に用いられる公知のディスクブレーキ形式では、デイスクブレーキと「ホイールディスク」、即ちホイールリムをボルト締めするディスク支持体とが通常の螺子連結によりホイールハブに固定される。
この構造においては、ブレーキモーメントは螺子連結部を経てブレーキディスクに作用する。これは、螺子連結が非常に大きい力でも許容できるような寸法にせざるを得ないことになる。またこのような構造においては、例えばブレーキディスク交換作業中、一般的な螺子連結時に正確な締め付けトルクを与えて該連結部に過大なストレスによる損傷の恐れをなくすという高度の要求がある。
本発明の目的は、上記形式のホイールハブとブレーキディスクとの構造体において、ブレーキディスクとディスク支持体との協働的螺子連結の不便が除去されたホイールハブとブレーキディスクとの構造を提供することにある。
本発明によれば、ディスク支持体が、上記螺子連結のラジアル外方における領域と一体に形成され、該領域が非円形形状であって、これに相応する内部形状の開口を有するブレーキディスクが上記領域に非回転的に固定されることにより達成される。外側に非円形形状となしたディスク支持領域を、ホイールディスクと一体に形成することによりブレーキディスクとの回転方向の相互固定が生じる。従って、ブレーキモーメントは螺子連結を径油せず、この相互固定を通じて伝達されることになる。これは重車両に属する営業車の激しいブレーキで生じる大きいブレーキモーメントを許容するような寸法が螺子連結に必要でなくなる。
図１は、従来のホイールディスクとブレーキディスクとの構造を示す部分断面図であり、この従来例におけるホイールディスクとブレーキディスクとの構造は、スタブアクスル１を具備し、このスタブアクスル１は、ユニットベアリング２を支持する。このユニットベアリング２のアウタレース３に環状のラジアルフランジ４が一体に形成されており、実際のホイールハブを形成している。
このラジアルフランジ４には、その周方向に複数個（例えば10個）の螺子孔５を均一間隔で穿設している。６は、ホイールディスク（ディスク支持体）であって、このホイールディスク６に対してホイールリム７が、ボルト・ナット34により螺子締めさらている。
ブレーキディスク８は、ディスク支持体６のラジアルフランジ11に穿設した取付け孔10と、ブレーキディスク８と一体に形成されている中空部14のラジアルフランジ13に穿設した取付け孔12とに挿通される取付螺子９により、前記アウタレース３のラジアルフランジ４に螺子着固定されているものである。
この従来例では、ブレーキモーメントが、ブレーキディスク８から中空部14のラジアルフランジ13、取付螺子９、ホイールディスク６のラジアルフランジ11を経てホイールリム７へと伝達されることになるので、連結螺子９は、全てのブレーキモーメントに耐え得る強度の寸法（大きさ）に設定することが必要である。
次ぎに本発明の実施例を図２に基いて詳細に説明するが、本発明の実施例で示した構造部品と従来例で示した構造部品との共通部品は、同一符号を用いて説明する。
本発明実施例において具備されているホイールディスク６の構成は、ユニットベアリング２のアウタレース３の外周面32に圧入嵌合される内周面31を形成する筒状部分28と、この筒状部分28の外周面に対しエアギャップ33を隔てて、その筒状部分28の軸方向と平行方向に延設され、かつホイールディスク６と一体に形成されたブレーキディスク支持部分20を有している。
このブレーキディスク支持部分20の外周面には、Ｖ字状をした山谷21,22を交互に形成してなる非円形形状としている。ブレーキディスク８の軸孔内周面には、上記ブレーキディスク支持部分20の外周面に形成している山谷21,22に対応する谷山23,24を形成し、この谷山23,24と上記山谷21,22とを互いに嵌合することで、ブレーキディスク８がホイールディスク６に対し回転方向に結合される。
かくしてブレーキディスク支持部分20に嵌合されたブレーキディスク８は、ロッキングリング25、ブレーキディスク８に対してある程度軸方向に移動可能に設けられている内側スプリングワッシャ26、及び内側グルーブに受け入れられるロッキングリング27により軸方向位置が決められている。
また、上記アウタレース３の外周面32に圧入嵌合されたホイールディスク６の筒状部分28には、螺子孔29が形成されており、この螺子孔29内に捩じ込まれる連結螺子30によりホイールディスク６とアウタレース３とが一体に結合される。
上記した本発明の実施例によれば、ブレーキモーメント伝達素子としての機能を果たす連結螺子30の必要性が排除される。
つまりブレーキモーメントは、ブレーキディスク８からホイールリム７へと、ブレーキディスク支持部分20のネック部分を介して直接に伝達ので、連結螺子30に直接作用するブレーキモーメントは小さく、このために連結螺子の締結トルク管理の必要性が排除される。
また、ブレーキディスク支持部分20と筒状部分28との間に形成されているエアギャップ33は、ブレーキディスク８が熱いとき、ユニットベアリング２、及びシールリングのような熱影響感受性部品への熱伝達防止を助ける。
本発明の実施例によれば、図１に示す従来例よりも弱い締結トルクで螺子連結ができる。また図２で示す本発明の実施例によれば、連結螺子30によるホイールディスク６内への捩じ込み作業が、ホイールディスク６の内側（図示しないホイールスピンドルに面する側から）できるので、ブレーキディスクの交換作業の際、ボルト・ナット34でない連結螺子30を誤って弛めてしまうという危険を未然に防止することができる。

Claims (5)

1. 重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造体であって、スタブアクスルに支持されるベアリング手段により支持されたアウタレースを具備してなり、該アウタレースにはブレーキディスクが非回転的に固定される領域を与え、更に螺子連結により該アウタレースに固定されるホイールディスクを備え、該ホイールディスクにホイールリムをボルト締めするホイールハブとブレーキディスクとの構造体において、前記ホイールディスク（６）は、前記ベアリング手段のアウタレース（３）の外周面（32）に嵌合される筒状部分（28）と、該筒状部分（28）と一体に形成され、かつ該筒状部分（28）のラジアル外方に隔設位置されるブレーキディスク支持部分（20）とを有し、該ブレーキディスク支持部分（20）の外周面を非円形となして、該外周面にブレーキディスク（８）を非回転的に固定することを特徴とする重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造体。
2. ブレーキディスク支持部分（20）は、エアギャップ（33）を挟んで筒状部分（28）と隔設されており、かつ筒状部分（28）との間にネック部分を形成していることを特徴とする請求項１に記載の重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造体。
3. アウタレース（３）に、ラジアルフランジ（４）を一体に形成し、該ラジアルフランジ（４）に、ホイールディスク（６）の筒状部分（28）が連結螺子（30）を介して螺子着されることを特徴とする請求項１または２に記載の重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造体。
4. 筒状部分（28）の内周面が、アウタレース（３）の外周面（32）に圧入されることを特徴とする請求項３に記載の重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造体。
5. 連結螺子（30）が、アウタレース（３）のホイールスピンドル側からホイールディスク（６）内に捩じ込まれることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の重車両用ホイールハブとブレーキディスクとの構造体。

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