JP3568513B2 - 折り畳みテーブル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、不注意により、あるいは脚の折り畳み時に、脚が急激に折り畳まれ天板が倒れて怪我をすること等を防止できる安全性の高い折り畳みテーブルに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
【0004】
従来、折り畳みテーブルに関する技術としては、例えば、次のような文献に記載されるものがあった。
【0005】
文献1;特開平8−126527号公報(折り畳み机)
文献2;特開平10−179261号公報(脚の折り畳み装置)
文献3;特開平10−327938号公報(折り畳み用角度調節器具)
文献4;特開2000−37233号公報(脚折れテーブルの脚折れ機構)
【0006】
文献1の折り畳み机では、天板の裏面に、取付金具により脚が回動自在に取り付けられている。脚の中央部付近に支持アームの一端が係合され、この支持アームの他端が、天板の裏面に取り付けられた摺動部材(スライド部材)により前記回動方向にスライドするようになっている。支持アームの他端は、ばねで付勢された係合突起により、スライド部材の所定位置で固定(ロック)されるようになっている。
【0007】
文献2の脚の折り畳み装置では、天板の裏面に脚が回動自在に取り付けられている。脚の回動部分には、ロックプレートが取り付けられ、操作レバーを操作してロックプレートを退避させることにより、立脚状態にある脚のロックを解除してこの脚を中間位置で一旦仮保持させる。次に、脚を倒す方向に押圧すると、ロックプレートが退避して中間位置にある脚の仮保持状態が解除され、脚を収納位置まで折り畳むことができるようになっている。
【0008】
文献3の折り畳み用角度調節器具では、天板の裏面に脚が回動自在に取り付けられている。脚の回動部分には、角度調節器具が取り付けられている。角度調節器具は、コイルばねで付勢された係合部材を、ブッシュロッドで受け部材内に押し込むことにより、脚の固定状態を解除し、脚を折り畳めるようになっている。
【0009】
文献4の脚折れテーブルの脚折れ機構では、天板の裏面に脚が回動自在に取り付けられている。脚の回動部分には、脚を固定するためのロック球を昇降自在に収容する案内金具(ガイド金具)が取り付けられている。脚が起立した使用状態では、ロック球がガイド金具と脚との間に介入して、脚の起立状態がロックされる。天板が下側になるようにテーブルを反転したときには、ロック球が自重により下降して脚より外れ、脚のロックが解除されるので、脚を折り畳むことができるようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の脚の折り畳み構造では、次のような課題があった。
【0012】
文献1の技術では、脚を回動方向に押圧することによりこの脚のロックが解除され、文献3の技術では、ブッシュロッドを押し込むことにより脚のロックが解除され、さらに、文献4の技術では、テーブルを反転すると、ロック球が自重により下降して脚のロックが解除され、それぞれ簡単に脚を天板の裏面側に折り畳むことができる。しかし、脚のロックが簡単に解除されるので、脚を折り畳むと同時にこの脚が急激に倒れたり、天板が急激に倒れたりして、手や足等を挟んで怪我をすることがあった。特に、子供や老人等が操作すると、その危険性が大きかった。
【0013】
これに対し、文献2の技術では、脚を折り畳む際に、操作レバーを操作して脚を中間位置で一旦仮保持させるので、前記の問題をある程度解決できる。しかし、仮保持後、脚を倒す方向に押圧するだけで、その脚が簡単に天板の裏面側に折り畳まれるので、脚が頑丈で重量が重い場合には倒れる速度も速く、子供や老人等に対する安全性が充分とは言えなかった。しかも、脚の回動部分に取り付けたロックプレートでロックする構造であるため、ロックプレート部分に大きな応力が働き、機械的強度の劣化の虞もあった。
【0014】
又、文献1〜4の技術では、脚の起立状態において、外力により、テーブルが水平方向にがたついたり、脚のロック部分に大きな力が働いてこのロック部分の機械的強度が劣化し、この劣化が進行すると、ロック部分が破損するといった問題もあった。
【0015】
本発明は、前記従来技術が持っていた課題を解決し、安全性が高く、脚の起立状態においてがたつきがなく、機械的強度の大きい、信頼性に優れる折り畳みテーブルを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本発明のうちの第1の発明では、折り畳みテーブルにおいて、裏面側に下方向に開口した第1の収容凹部が設けられた天板と、前記天板の裏面側を上向きにしたときには前記第1の収容凹部内に収容され、前記天板の表面側を上向きにしたときには自重により前記第1の収容凹部から一部が突出するロック部材と、前記天板の裏面側に回動自在に蝶着された天板支持用の脚と、前記天板の裏面側に立設され、前記脚の回動方向に延びる平行な対向する第1及び第2の案内壁面と、前記第1及び第2の案内壁面で囲まれた領域内に突設された係止部材と、前記係止部材から所定距離離れて前記第1及び第2の案内壁面に形成された鉤形の係止部及び該係止部に連通する段差部をそれぞれ有する第1及び第2の案内溝と、を備えている。
【0018】
さらに、一端が前記脚に回動自在に蝶着され、他端に摺動軸が取り付けられ、前記摺動軸の両端部が前記第1及び第2の案内溝内に摺動自在に挿入されて前記係止部及び前記段差部に係合する連結部材と、前記摺動軸に取り付けられ、前記第1及び第2の案内壁面に沿って前記天板の裏面側を転動するローラと、前記脚の蝶着箇所付近から前記第1及び第2の案内溝の係止部付近までの間を、前記第1及び第2の案内壁面に沿って前記天板の裏面側を摺動する摺動部材と、第2の収容凹部と、を備えている。前記第2の収容凹部は、前記天板の裏面側に接する前記摺動部材の裏面側に設けられ、前記天板の表面側を上向きにしたときには前記第1の収容凹部から突出する前記ロック部材の一部を受け入れて前記摺動部材を固定し、前記天板の裏面側を上向きにしたときには前記受け入れたロック部材をこの自重により飛び出させて前記摺動部材の固定状態を解除させるものである。
【0019】
その上、前記摺動部材を前記第1及び第2の案内溝の係止部方向へ付勢する弾性部材と、前記摺動部材の表面側に突設され、前記弾性部材の付勢力によって前記係止部材と当接する取っ手と、テーパ状の突当部と、を備えている。前記テーパ状の突当部は、前記摺動部材の表面側の端部に形成され、前記弾性部材の付勢力により前記ローラを前記第1及び第2の案内溝の係止部側に押し付けて、前記ロック部材による前記摺動部材の固定時に前記摺動軸を前記係止部に係合させるものである。
【0020】
第1の発明では、このような構成を採用したことにより、天板の表面側を上向きにした使用状態では、ロック部材が自重により、摺動部材の裏面側の第2の収容凹部に挿入され、このロック部材の一部が、天板の裏面側の第1の収容凹部内に突出して脚がロックされている。この状態で、摺動部材側の取っ手をロック解除の方向に引っ張っても、ロック部材により摺動部材が固定されて動かないので、ロックを解除することができない。脚を折り畳む場合、テーブルを裏返せば、摺動部材の裏面側の第2の収容凹部からロック部材が自重により飛び出してロックが解除される。摺動部材側の取っ手をロック解除の方向に引っ張れば、ローラの摺動軸と案内溝の係止部との係合状態が解除され、脚を折り畳むことができる。この際、摺動軸が案内溝の段差部に係合するので、脚が所定角度だけ1段倒れた状態に保持される。
【0021】
第2の発明では、第1の発明の折り畳みテーブルにおいて、前記ロック部材は、球状又は柱状の部材で構成している。
【0023】
の発明では、第1の発明の折り畳みテーブルにおいて、細長い板状の第1及び第2のレールを前記天板の裏面側に平行に立設し、前記第1及び第2のレールの対向する内壁面により、前記第1及び第2の案内壁面を構成している。
【0024】
の発明では、第1の発明の折り畳みテーブルにおいて、前記段差部に対する前記摺動軸の係合時に、前記ローラが係止するための他の段差部を、前記天板の裏面側に設けている。
【0025】
の発明では、第1の発明の折り畳みテーブルにおいて、第1の脚固定部材を、前記脚の端部に取り付け、前記第1の脚固定部材に対して着脱自在の第2の脚固定部材を、前記脚の折り畳み時の前記端部に対応する前記天板の裏面側に取り付けている。さらに、前記第1及び第2の脚固定部材は、互いに吸着可能な永久磁石、又はいずれか一方を永久磁石、他方を被吸着金属により構成している。
【0026】
の発明では、第1〜第5のいずれか1つの発明の折り畳みテーブルにおいて、前記天板、前記脚、前記第1、第2の案内壁面、前記第1、第2の案内溝、前記連結部材、前記ローラ、前記摺動部材、前記取っ手、及び前記突当部は、木製である。
【0027】
【発明の実施の形態】
【0028】
(構成)
【0029】
図1は本発明の実施形態を示す折り畳みテーブルの裏面側の全体の斜視図、図2は図1の脚部分を示す拡大斜視図である。図3(A)、(B)は図2に対応する断面図であって、同図(A)は縦断面図、及び同図(B)はロック部分に作用する力の関係を示す拡大部分断面図である。更に、図4は図2中の摺動部材部分を拡大した分解斜視図である。
【0030】
この折り畳みテーブルは、例えば、全体が木製でできており、貼り付け合板等で形成された長方形の天板10と、該天板10の裏面側のほぼ中央において長手方向に平行に立設された細長い板状の第1及び第2のレール20−1,20−2と、該第1及び第2のレール20−1,20−2の両端においてこれに対してほぼ直角方向に天板10の裏面に固定された第1及び第2の軸受け部材30−1,30−2と、該第1、第2の軸受け部材30−1,30−2にそれぞれ回動自在に蝶着された天板支持用の脚40−1,40−2と、一端が脚40−1,40−2に回動自在に蝶着され、他端が第1と第2のレール20−1,20−2間で摺動する第1及び第2の連結部材50−1,50−2と、第1と第2のレール20−1,20−2間内で摺動して第1、第2の連結部材50−1,50−2のロックとこの解除をそれぞれ行う第1及び第2の摺動部材60−1,60−2と、で構成されている。
【0031】
第1と第2のレール20−1,20−2間において、該レール20−1,20−2の両端部付近の天板10の裏面側には、下方向に開口した2つの第1の収容凹部11が形成されている。各収容凹部11内には、金属製等のロック部材(例えば、ロック球)12がそれぞれ収容される。各ロック球12は、天板10の裏面側を上向きにしたときに、該ロック球端部が各収容凹部11の開口面内に位置する状態でそれぞれ収容される。天板10の表面側を上向きにしたときには、各ロック球12が自重により各収容凹部11からそれぞれ飛び出すようになっている。ロック球12は、収容凹部11との接触面積が小さく、転がりやすいので、円滑に移動する。
【0032】
第1と第2のレール20−1,20−2間において、各収容凹部11から所定距離隔てて天板中央部方向に、所定の長さの2つの案内凹部13が天板10の裏面に形成されている。各案内凹部13における天板中央部側の端部に形成される段差部13aは、各連結部材50−1,50−1の他端を係止するストッパ機能を有している。
【0033】
レール20−1,20−2の外の天板10の裏面において、折り畳んだ脚40−1,40−2に対応する例えば4箇所の位置に、該脚40−1,40−2を着脱自在に固定するための各一対の第2の脚固定部材14−1,14−2,14−3,14−4が取り付けられている。各脚固定部材14−1〜14−4は、例えば、木製の円柱部材に永久磁石14aを埋め込んだ構造をしている。又、レール20−1,20−2のほぼ中央の外側には、折り畳んだテーブルを引っ掛けて持ち運ぶための例えば2つの取っ手15−1,15−2が取り付けられている。
【0034】
第1及び第2のレール20−1,20−2の対向する内壁面は、連結部材50−1,50−2の他端と摺動部材60−1,60−2とにおける摺動時の案内をするための第1及び第2の案内壁面21−1,21−2を構成している。各案内壁面21−1,21−2の両端側(即ち、軸受け部材30−1,30−2側)には、対向する各一対の案内レール22が突設され、各摺動部材60−1,60−2の表面両側部と係合するようになっている。この各一対の案内レール22と天板10の裏面とで、少し隙間をおいて各摺動部材60−1,60−2を上下から挟み、この各摺動部材60−1,60−2を摺動させるようになっている。
【0035】
各一対の案内レール22上には、各摺動部材60−1,60−2と当接してこの移動範囲を規制するための各一対の係止部材23が突設されている。各一対の案内レール22の下の軸受け部材30−1,30−2側には、各一対のばね受け部24が設けられ、各一対の弾性部材(例えば、コイルばね)25の一端を係止するようになっている。各一対のコイルばね25は、各摺動部材60−1,60−2をレール20−1,20−2の中央部方向へ付勢し、この各摺動部材60−1,60−2を各一対の係止部材23に当接させる機能を有している。
【0036】
各案内壁面21−1,21−2において、各案内レール22と各レール20−1,20−2の中央部との間には、各連結部材50−1,50−2の他端側を摺動させるための第1及び第2の案内溝26がそれぞれ形成されている。各案内溝26における各案内レール22側の一端には、それぞれ鉤形の係止部26aが形成され、この各係止部26aから他端側方向へ所定距離隔ててそれぞれ段差部26bが形成され、されに該他端側にそれぞれローラ挿入部26cが形成されている。
【0037】
各軸受け部材30−1,30−2には、各中心軸に沿ってそれぞれ複数の第1の軸受け部31−1,31−2が設けられ、この各複数の第1の軸受け部31−1,31−2によって各回転軸32−1,32−2をそれぞれ複数箇所で支持するようになっている。各回転軸32−1,32−2は、断面が円形で、所定の長さ(例えば、各軸受け部材30−1,30−2とほぼ同一長さ)を有し、木等で形成されている。各回転軸32−1,32−2には、各脚40−1,40−2が回動自在に取り付けられている。
【0038】
各脚40−1,40−2は、各梁部材41−1,41−2を有し、この各梁部材41−1,41−2の長手方向に各複数の第2の軸受け部42−1,42−2がそれぞれ設けられている。各複数の第2の軸受け部42−1,42−2は、各回転軸32−1,32−2にそれぞれ軸着されている。各回転軸32−1,32−2は、例えば、中心軸に対して少し湾曲形状にすると、これに軸着された各複数の第1の軸受け部31−1,31−2及び各複数の第2の軸受け部42−1,42−2との間のがたつきを簡単に防止できる。
【0039】
各梁部材41−1,41−2には、各筋かい部材43−1,43−2の一端がそれぞれ固定され、この各筋かい部材43−1,43−2の他端に、各土台部材44−1,44−2がそれぞれ固定されている。各土台部材44−1,44−2の側部には、各一対の第1の脚固定部材45−1,45−2がそれぞれ取り付けられると共に、各土台部材44−1,44−2の底面に、各一対の滑り止め46−1,46−2,46−3,46−4がそれぞれ取り付けられている。各一対の第1の脚固定部材45−1,45−2は、各脚40−1,40−2を折り畳んだ時に、天板裏面側の各一対の第2の脚固定部材14−1,14−2,14−3,14−4に対してそれぞれ着脱自在に固定されるものであり、例えば、木製等の円柱部材に永久磁石45aを埋め込んだ構造をしている。
【0040】
各筋かい部材43−1,43−2の交差箇所に、各軸受け部47がそれぞれ突設されている。各軸受け部47には、ボルト等の各回転軸48を介して、第1、第2の連結部材50−1,50−2の各一端がそれぞれ回動自在に取り付けられている。各連結部材50−1,50−2の他端には、ボルト等の各摺動軸51を介して、木製等の各ローラ52−1,52−2がそれぞれ回転自在に取り付けられている。各ローラ52−1,52−2の幅は、レール20−1,20−2間の幅よりも少し短く、該レール20−1,20−2間の天板裏面側を転動するようになっている。各摺動軸51の両端は、各ローラ20−1,20−2の両端からそれぞれ少し突出しており、各ローラ挿入部26cから各案内溝26内に摺動自在に挿入され、各係止部26aと各段差部26bにそれぞれ係合するようになっている。
【0041】
各摺動部材60−1,60−2は、それぞれ平面がほぼ2本のフォーク形状をしており、このフォーク先端部の表面側に、各ローラ52−1,52−2を天板裏面から下方向へ押し付けるテーパ状の突当部61−1,61−2がそれぞれ形成されている。フォーク形状の両側面後半部には、段差状のばね受け部62−1,62−2及び切欠部63−1,63−2がそれぞれ形成されている。各切欠部63−1,63−2内に各コイルばね25がそれぞれ収容され、この各コイルばね25の両端部が、各ばね受け部62−1,62−2と各レール側のばね受け部24とにそれぞれ当接している。各摺動部材60−1,60−2の裏面側には、自重により降下する各ロック球12の一部を収容するための各第2の収容凹部65がそれぞれ形成されている。
【0042】
(動作)
【0043】
図5は図2の脚40−1を1段倒した状態の斜視図、図6は図5に対応する縦断面図、図7は図2の脚40−1を折り畳んだ状態の斜視図、及び図8は図7に対応する縦断面図である。
【0044】
以下、図1〜図8を参照しつつ、(A)使用状態の動作、(B)折り畳み動作、(C)持ち運び動作、を説明する。
【0045】
(A) 天板10の表面側を上向きにした使用状態(図1〜図4)の動作
【0046】
天板10の表面側を上向きにした使用状態では、該天板10から脚40−1,40−2が下方向に立っている。各コイルばね25の付勢力により、各摺動部材60−1,60−2がレール20−1,20−2の中央部方向へ押圧され、該各摺動部材60−1,60−2の突当部61−1,61−2により、各ローラ52−1,52−2が各レール20−1,20−2の案内溝26の係止部26a方向へ押圧されている。これにより、各ローラ52−1,52−2の両端部から突出した各摺動軸51の両端部が、各案内溝26の係止部26a内に嵌入している。この際、各ロック球12が自重により降下して、各摺動部材60−1,60−2の裏面側の収容凹部65に挿入され、この各ロック球12の一部が天板10の裏面側の各収容凹部11内に突出しているので、該摺動部材60−1,60−2がロックされて固定されている。
【0047】
そのため、テーブルに外力をかけても、脚40−1,40−2ががたついたり、あるいは折り畳まれるようなことはない。例えば、図3(A)、(B)において、脚40−1の滑り止め46−1,46−2側の端部に、水平左方向に外力F10が加わると、回転軸32−1を軸として脚40−1に左方向の回動力が作用する。この回動力により、回転軸48に軸着された連結部材50−1に、摺動軸51方向の力F11が作用する。力F11の水平方向の分力F12により、摺動軸51が鉤形の係止部26aの略垂直面に押圧され、力F11の垂直方向の分力F13により、ローラ52−1と接触する突当部61−1,61−2が押圧される。この押圧力により、突当部61−1,61−2のローラ52−1との接触箇所に、垂直方向の分力F14と水平方向の分力F15が作用する(なお、図3(B)では、表現を簡単にするために、便宜的に力F14,F15の位置がずれて描かれている。)。垂直方向の分力F14により、突当部61−1,61−2付近が案内凹部13へ押し付けられる。水平方向の分力F15により、突当部61−1,61−2が右方向へ移動する力が働く。この力は、案内凹部13との摩擦力により減少し、この減少した小さな力F16がロック球12に作用するが、このロック球12の一部が天板10の裏面側の収容凹部11内に突出して係合しているので、該力F16が打ち消される。これにより、脚40−1の左方向の回動が阻止される。
【0048】
外力F10に対して、逆方向の外力F20が脚40−1の端部に加わると、連結部材50−1に、力F11に対して逆方向の力F21が作用する。この力F21により、摺動軸51が鉤形の係止部26aの傾斜面に押圧され、該力F21が打ち消される。これにより、脚40−1の右方向の回動が阻止され、しかもロック球12には力が作用しない。
【0049】
よって、外力F10,F20による脚40−1のがたつきを防止でき、この脚40−1を強固に固定できる。その上、ロック球12に作用する力F16は小さいので、このロック球12の変形や破損を防止できる。
【0050】
又、各摺動部材60−1,60−2の取っ手64を天板10の端部側に引っ張ってロックを解除しようとしても、各摺動部材60−1,60−2の裏面側の収容凹部65に挿入された各ロック球12の一部が、天板10の裏面側の各収容凹部11内に突出して係合しているので、ロックを解除することができない。これにより、使用中の不慮の事故を防止できる。
【0051】
(B) 脚40−1,40−2の折り畳み(図5〜図8)の動作
【0052】
脚40−1,40−2を折り畳むには、テーブルを裏返して天板10の裏面側を上向きにする。すると、各摺動部材60−1,60−2の裏面側の収容凹部65から各ロック球12が自重により飛び出して、天板10の裏面側の各収容凹部11内に挿入され、ロック状態が解除される。各摺動部材60−1,60−2の取っ手64を、コイルばね25の付勢力に抗して、天板10の端部側に引っ張ると、該摺動部材60−1,60−2の先端の突当部61−1,61−2が天板10の端部側へ後退する。すると、各ロール52−1,52−2の摺動軸51が自重により、各レール20−1,20−2の案内溝26の係止部26aから下方向に飛び出し、係合状態が解除される。
【0053】
回転軸32−1,32−2を中心軸にして、脚40−1,40−2をレール20−1,20−2の中央部方向へ押圧すると、連結部材50−1,50−2を介して、各摺動軸51が各案内溝26内を中央部方向へ摺動していくと共に、ローラ52−1,52−2が天板10の裏面側を中央部方向へ転動していく。そして、各摺動軸51が各案内溝26の段差部26bに当接すると共に、ローラ52−1,52−2が各案内凹部13の段差部13aに当接すると、脚40−1,40−2が所定角度だけ1段倒れた状態に保持される。このため、手を挟む等といった怪我を防止できる。
【0054】
脚40−1,40−2を更に倒すには、連結部材50−1,50−2のローラ52−1,52−2側を持ち上げ、このローラ52−1,52−2側の係合状態を解除する。そして、脚40−1,40−2をレール20−1,20−2の中央部方向へ押圧すると、連結部材50−1,50−2を介して、各摺動軸51が各案内溝26内を中央部方向へ摺動していくと共に、ローラ52−1,52−2が天板10の裏面側を中央部方向へ転動していき、該脚40−1,40−2がレール20−1,20−2上に載置される。すると、脚40−1,40−2側の脚固定部材45−1,45−2が、天板10側の脚固定部材14−1〜14−4に吸着されて固定され、脚40−1,40−2が折り畳まれた状態になる。
【0055】
(C) 折り畳んだテーブル(図7、図8)の持ち運び動作
【0056】
天板10の裏面側の取っ手15−1,15−2を持てば、簡単に持ち運びができる。
【0057】
(効果)
【0058】
本実施形態では、次の(1)〜(6)のような効果がある。
【0059】
(1)天板10の表面側を上向きにした使用状態では、各ロック球12が自重により、摺動部材60−1,60−2の裏面側の各収容凹部65に挿入され、この各ロック球12の一部が、天板10の裏面側の各収容凹部11内に突出して脚40−1,40−2がロックされている。このとき、各摺動軸51が鉤形の各係止部26aに強固に固定され、しかも各ロック球12には大きな力が加わらない。このため、テーブルに外力が加わっても、脚40−1,40−2ががたついたり、ロック球12が変形や破損したり、あるいは脚40−1,40−2が折り畳まれるようなことはない。又、各摺動部材60−1,60−2の取っ手64を天板10の端部側に引っ張ってロックを解除しようとしても、各ロック球12により該摺動部材60−1,60−2が固定されて動かないので、ロックを解除することができない。これにより、使用中の不慮の事故を防止できる。
【0060】
(2)脚40−1,40−2を折り畳む場合、テーブルを裏返せば、各摺動部材60−1,60−2の裏面側の収容凹部65から各ロック球12が自重により飛び出してロックが解除されるので、各摺動部材60−1,60−2の取っ手64を天板10の端部側に引っ張れば、各ローラ52−1,52−2の摺動軸51と各案内溝26の係止部26aとの係合状態が解除され、脚40−1,40−2をレール20−1,20−2の中央部方向へ折り畳むことができる。この際、各摺動軸51が各案内溝26の段差部26bに係合すると共に、各ローラ52−1,52−2が各案内凹部13の段差部13aに係合し、脚40−1,40−2が所定角度だけ1段倒れた状態に保持されるので、この脚40−1,40−2が急激に倒れて手を挟む等といった怪我を防止できる。
【0061】
(3)脚40−1,40−2を折り畳むと、この脚40−1,40−2の脚固定部材45−1,45−2が天板10側の脚固定部材14−1〜14−4に吸着されて固定されるので、天板10の裏側の取っ手15−1,15−2を持って簡単に持ち運びができる。
【0062】
(4)例えば、回転軸32−1,32−2を少し湾曲形状にすると、これに軸着された軸受け部31−1,31−2と軸受け部42−1,42−2との間のがたつきを簡単に防止できる。
【0063】
(5)脚固定部材14−1〜14−4,45−1,45−2を永久磁石14a,45aで構成したので、脚固定部材14−1〜14−4と脚固定部材45−1,45−2との着脱が容易で、使い勝手が良い。
【0064】
(6)脚40−1,40−2の折り畳み構造やロック構造は、簡単で、機械的強度も大きく、安全性も高い。しかも、テーブル全体が木製であるので、重量も軽く、持ち運びも容易である。
【0065】
(変形例)
【0066】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
(a)ロック球12は、円柱、角柱等の他の形状のロック部材で構成してもよく、これに応じて収容凹部11,65の形状を変えれば良い。又、脚固定部材14−1〜14−4と脚固定部材45−1,45−2とは、いずれか一方を永久磁石、他方を被吸着金属で構成しても良く、あるいは、これらの脚固定部材14−1〜14−4,45−1,45−2をフック等の他の着脱自在の固定手段で構成しても良い。
【0067】
(b)案内壁面21−1,21−2は、2本のレール20−1,20−2の内壁面を用いて構成したが、これに限定されない。例えば、断面コ字状の1本のレールを用いてこの対向する内壁面で案内壁面を構成したり、あるいは、天板10を厚くして溝を形成し、この溝の対向する内壁面で案内壁面を構成しても良い。
【0068】
(c)脚40−1,40−2の構造、連結部材50−1,50−2の摺動構造、及び摺動部材60−1,60−2の構造等は、図示以外の他の構造や形状に変更しても良い。
【0069】
(d)テーブルは、金属やプラスチック等で作っても良い。
【0070】
【発明の効果】
【0071】
以上詳細に説明したように、本発明のうちの第1及び第2の発明によれば、天板の表面側を上向きにした使用状態では、ロック部材が自重により、摺動部材の裏面側の第2の収容凹部に挿入され、このロック部材の一部が、天板の裏面側の第1の収容凹部内に突出して脚がロックされている。このとき、摺動軸が鉤形の係止部に強固に固定され、しかもロック部材には大きな力が加わらない。このため、テーブルに外力が加わっても、脚ががたついたり、ロック部材が変形や破損したり、あるいは脚が折り畳まれるようなことはない。しかも、摺動部材側の取っ手をロック解除の方向に引っ張ってロックを解除しようとしても、ロック部材により該摺動部材が固定されて動かないので、ロックを解除することができない。これにより、使用中の不慮の事故を防止できる。
【0072】
又、脚を折り畳む場合、テーブルを裏返せば、摺動部材の裏面側の第2の収容凹部からロック部材が自重により飛び出してロックが解除されるので、摺動部材側の取っ手をロック解除の方向に引っ張れば、ローラの摺動軸と案内溝の係止部との係合状態が解除され、脚を折り畳むことができる。この際、摺動軸が案内溝の段差部に係合し、脚が所定角度だけ1段倒れた状態に保持されるので、脚が急激に倒れて手を挟む等といった怪我を防止できる。しかも、脚の折り畳み構造やロック構造は、簡単で、機械的強度も大きく、安全性も高い。
【0074】
の発明によれば、第1及び第2のレールを用いて第1及び第2の案内壁面を構成したので、案内壁面を比較的簡単に形成できる。
【0075】
の発明によれば、ローラ係止用の他の段差部を天板の裏面側に設けたので、脚が1段倒れた状態のときの保持力が大きくなって安全性がより向上する。
【0076】
の発明によれば、第1及び第2の脚固定部材の両者を永久磁石、又はいずれか一方を永久磁石、他方を被吸着金属により構成したので、両者を簡単に着脱でき、使い勝手が良い。
【0077】
の発明によれば、テーブルの主要部分が木製であるので、重量も軽く、持ち運びも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す折り畳みテーブルの裏面側の全体の斜視図である。
【図2】図1の脚部分の拡大斜視図である。
【図3】図2に対応する断面図である。
【図4】図2中の摺動部材部分の拡大分解斜視図である。
【図5】図2の脚を1段倒した状態の斜視図である。
【図6】図5に対応する縦断面図である。
【図7】図2の脚を折り畳んだ状態の斜視図である。
【図8】図7に対応する縦断面図である。
【符号の説明】
10 天板
11,65 収容凹部
12 ロック球
13 案内凹部
13a,26b 段差部
14−1〜14−4,45−1,45−2 脚固定部材
14a,45a 永久磁石
15−1,15−2,64 取っ手
20−1,20−2 レール
21−1,21−2 案内壁面
22 案内レール
23 係止部材
25 コイルばね
26 案内溝
26a 係止部
30−1,30−2 軸受け部材
32−1,32−2 回転軸
40−1,40−2 脚
41−1,41−2 梁部材
43−1,43−2 筋かい部材
44−1,44−2 土台部材
50−1,50−2 連結部材
51 摺動軸
52−1,52−2 ローラ
60−1,60−2 摺動部材
61−1,61−2 突当部

Claims (6)

  1. 裏面側に下方向に開口した第1の収容凹部が設けられた天板と、
    前記天板の裏面側を上向きにしたときには前記第1の収容凹部内に収容され、前記天板の表面側を上向きにしたときには自重により前記第1の収容凹部から一部が突出するロック部材と、
    前記天板の裏面側に回動自在に蝶着された天板支持用の脚と、
    前記天板の裏面側に立設され、前記脚の回動方向に延びる平行な対向する第1及び第2の案内壁面と、
    前記第1及び第2の案内壁面で囲まれた領域内に突設された係止部材と、
    前記係止部材から所定距離離れて前記第1及び第2の案内壁面に形成された鉤形の係止部及び該係止部に連通する段差部をそれぞれ有する第1及び第2の案内溝と、
    一端が前記脚に回動自在に蝶着され、他端に摺動軸が取り付けられ、前記摺動軸の両端部が前記第1及び第2の案内溝内に摺動自在に挿入されて前記係止部及び前記段差部に係合する連結部材と、
    前記摺動軸に取り付けられ、前記第1及び第2の案内壁面に沿って前記天板の裏面側を転動するローラと、
    前記脚の蝶着箇所付近から前記第1及び第2の案内溝の係止部付近までの間を、前記第1及び第2の案内壁面に沿って前記天板の裏面側を摺動する摺動部材と、
    前記天板の裏面側に接する前記摺動部材の裏面側に設けられ、前記天板の表面側を上向きにしたときには前記第1の収容凹部から突出する前記ロック部材の一部を受け入れて前記摺動部材を固定し、前記天板の裏面側を上向きにしたときには前記受け入れたロック部材をこの自重により飛び出させて前記摺動部材の固定状態を解除させる第2の収容凹部と、
    前記摺動部材を前記第1及び第2の案内溝の係止部方向へ付勢する弾性部材と、
    前記摺動部材の表面側に突設され、前記弾性部材の付勢力によって前記係止部材と当接する取っ手と、
    前記摺動部材の表面側の端部に形成され、前記弾性部材の付勢力により前記ローラを前記第1及び第2の案内溝の係止部側に押し付けて、前記ロック部材による前記摺動部材の固定時に前記摺動軸を前記係止部に係合させるテーパ状の突当部と、
    を備えたことを特徴とする折り畳みテーブル。
  2. 請求項1記載の折り畳みテーブルにおいて、
    前記ロック部材は、球状又は柱状の部材で構成したことを特徴とする折り畳みテーブル。
  3. 請求項1記載の折り畳みテーブルにおいて、
    細長い板状の第1及び第2のレールを前記天板の裏面側に平行に立設し、前記第1及び第2のレールの対向する内壁面により、前記第1及び第2の案内壁面を構成したことを特徴とする折畳テーブル。
  4. 請求項1記載の折り畳みテーブルにおいて、
    前記段差部に対する前記摺動軸の係合時に、前記ローラが係止するための他の段差部を、前記天板の裏面側に設けたことを特徴とする折畳テーブル。
  5. 請求項1記載の折り畳みテーブルにおいて、
    第1の脚固定部材を、前記脚の端部に取り付け、
    前記第1の脚固定部材に対して着脱自在の第2の脚固定部材を、前記脚の折り畳み時の前記端部に対応する前記天板の裏面側に取り付け、
    前記第1及び第2の脚固定部材は、互いに吸着可能な永久磁石、又はいずれか一方を永久磁石、他方を被吸着金属により構成したことを特徴とする折り畳みテーブル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の折り畳みテーブルにおいて、
    前記天板、前記脚、前記第1、第2の案内壁面、前記第1、第2の案内溝、前記連結部材、前記ローラ、前記摺動部材、前記取っ手、及び前記突当部は、木製であることを特徴とする折り畳みテーブル。
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