JP3568387B2 - 密閉式電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池外装缶と封口板とをレーザ溶接によって製造する密閉式電池の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話,AV機器,コンピュータなどの携帯機器の需要が高まるに伴い、電池に対する高性能化への要求が急速に高まっており、中でも、ニッケルカドミウム電池,ニッケル−水素電池,リチウム二次電池といった二次電池に対して高い要望がある。
【0003】
このような電池は一般的に密閉タイプであって、電池の形状としては、円筒形や角形が一般的である。特に角形密閉式電池は、携帯機器に搭載するに際してスペース効率が優れている点で注目されている。
このような密閉式電池は、金属製の板体を深絞り加工することによって、有底筒状に成形して外装缶を作製し、その外装缶に正極・負極からなる発電要素を収納し、外装缶の開口部に封口板を装着して封口することによって作製されている。
【0004】
金属製の板体としては、従来から、ニッケルメッキ鋼板やステンレス鋼板などが多く用いられてきたが、電池を軽量化するために、現在では、アルミニウムにマンガンなどを添加したアルミニウム合金の板も多く用いられるようになっている。
封口プロセスは、電池の中が高圧となったときに電解液やガスが漏出するのを防止するために必要であるが、その出来具合によって電池の信頼性や寿命が大きく左右される。
【0005】
この封口プロセスは、機械式かしめ法で行われているものが多いが、かしめ法による封口が困難な場合、特に角形密閉式電池の場合には、レーザ溶接による封口方法も行われている。
このレーザ溶接法においては、封口板の外周部と外装缶の開口縁部との境界に沿って、レーザ光を照射しながら走査することによって溶接を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなレーザ溶接において、溶接箇所に照射するレーザ光のエネルギーはできるだけ低く抑えることが生産効率上望まれる。
即ち、実際の封口装置においては、複数の電池を並行して封口できるように、一つのレーザ光源からのレーザ光が均等に分割され、複数の光ファイバで分岐されて、複数の電池の各照射位置に照射されるようになっている。この場合、各照射位置に照射されるエネルギーを低く抑えられれば、同じ出力のレーザ光源でもより多くの電池を並行して封口できることになり効率的である。
【0007】
また、走査速度に関しても、走査速度を大きくするほど照射エネルギーは低下するが、生産性は向上する。
しかしながら、レーザ光の照射エネルギーを低く抑えると、レーザ光のスポットが走査される溶接ラインに沿ってクラック(ひびわれ)が発生しやすくなるという問題がある。
【0008】
これは、クラック発生のメカニズムとして、レーザ光を照射して溶融した部分(溶融池)が、冷却時にその近傍で発生する熱応力によって引っ張られてクラックが発生するものと考えられるが、レーザ光の照射エネルギーが低い場合は、溶融池が急速に冷却され大きな熱応力が発生することが原因と考えられる。
特に、アルミニウム合金の板を外装缶及び封口板に用いた場合、アルミニウム合金は、鉄やステンレスと比べて引っ張り強度が低いことや、熱伝導率が大きいため溶接部分が急速に冷却されるなどの理由で、溶接部分にクラックが発生しやすい。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであって、密閉式電池において、レーザ溶接時に、レーザ光の照射エネルギーをできるだけ低く抑えつつ、クラックの発生を抑えることの可能な製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、有底筒形状の外装缶及び外装缶の開口部を封口する封口板を作製するステップと、外装缶に発電要素を収納するステップと、外装缶の開口部に封口板を装着し、封口板の外周部と外装缶の開口縁部とを両者の境界に沿ってレーザ光を間欠的に照射しながら走査することによって溶接し、封口するステップとからなる密閉式電池の製造方法において、封口ステップにおいて照射するレーザ光の波形を、出力が最大値に到達した後に、最大出力値に対する出力の変化率が0.01%/nsec以下であり且つ出力値が最大出力値に対して20%〜50%の範囲にある平坦領域が2.0msec以上含まれるようにした。
【0011】
レーザ溶接時におけるクラックは、溶融池が冷却する時に発生する最大熱応力が外装缶の材料の引っ張り強度を越える場合に生じるので、クラック発生を防止するためには、最大熱応力がこの引っ張り強度未満となるように設定すればよい。例えば、アルミニウム−マンガン合金の場合は、レーザ光照射時に溶接部分に発生する最大熱応力が4.5×103N/cm2以下となるような条件で製造を行えばよい。
【0012】
ここで、従来の通常のレーザ光の出力波形では、最大値に到達した後に急激に出力が減衰するため、溶融池が冷却される時に大きな熱応力が生じる傾向があったが、上記のように変化率の小さい平坦領域を設けることによって保温効果が生じ、急激な冷却を避けることができる。従って、照射エネルギーは従来と同じでも、溶接部分に発生する最大熱応力を低減し、クラックの発生を低く抑えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
〔電池の構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る角形密閉式電池の斜視図である。
この角形密閉式電池は、リチウム二次電池であって、有底角筒形の外装缶10の内部に、負極板21と正極板22とがセパレータ23を介して積層されてなる電極群20並びに非水電解液が収納され、外装缶10の開口部を封口体30で封口した構造である。
【0017】
外装缶10は、Al−Mn系合金の板が有底角筒形に成形されたものである。
このAl−Mn系合金は、アルミニウムを主成分としているため軽量であり、またマンガンが添加されていることにより、アルミニウム単体と比べて引っ張り強度が大きい。なお、マンガンの含有量は1.5重量%程度以下が適当であって、マンガンの含有量が多すぎると外装缶成形時の加工性や溶接性が低下する。
【0018】
図1に示すように、封口体30は、外装缶10の開口部に填まり込むよう成形された封口板31の中央部に、釘状の負極端子32が、絶縁パッキン33を介して貫通して取り付けられた構成である。
封口板31は、外装缶10と同じAl−Mn系合金の板が、外装缶10の開口部と同じ長方形状に打ち抜かれたものである。
【0019】
外装缶10や封口板31の厚さは、必要な強度を維持できる範囲内で、できるだけ薄く設定し、通常は500μm程度に設定する。
負極端子32の下部(電池の内側)には、集電板34が装着され、また、負極端子32の上部(電池の外側)には、ワッシャ35が装着されている。そして、これらの負極端子32,集電板34及びワッシャ35は、絶縁パッキン33によって封口板31と絶縁された状態で、カシメ圧着されて封口板31に固定されている。
【0020】
電極群20の負極板21は、層状カーボン(グラファイト粉末)が板状の芯体に塗着されたものであって、セパレータ23によって包みこまれている。
そして、この負極板21の芯体と集電板34とは、リード板25で接続されている。
一方、電極群20の正極板22は、正極活物質としてのリチウム含有酸化物(例えばコバルト酸リチウム)と導電剤(例えばアセチレンブラック)とからなる正極合剤が、板状の芯体に塗着されたものであって、正極兼用の外装缶10と直接接触して電気的に接続されている。
【0021】
非水電解液は、例えば、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートからなる混合溶媒に、溶質としてのLiPF6を溶解したものである。
封口板31の外周部と外装缶10の開口端部とは、レーザ溶接によって封止されている。
なお、図1では省略しているが、電極群20と封口板31との間には、絶縁性樹脂からなる絶縁スリーブ26が介挿され(図2参照)、これによって電極群20は、外装缶10内の定位置に固定されると共に、封口体30との接触が防止されるようになっている。
【0022】
〔電池の製造方法〕
次に、この角形密閉式電池の製造方法について説明する。
先ず、Al−Mn系合金の板を、パンチとダイスを用いて深絞り加工を施すことによって有底角筒形に成型し、外装缶10を作製する。
一方、Al−Mn系合金の板を、パンチを用いて打ち抜いて封口板31を作製し、これに、絶縁パッキン33、負極端子32及び集電板34を組み合わせて填めこみ、負極端子32の上部にワッシャ35をはめてカシメ圧着することにより、封口体30を作製する。
【0023】
また、リード板25付きの負極板21をセパレータ23で覆い、これと正極板22とを交互に積層させることによって電極群20を作製する。
このように作製した電極群20を、外装缶10の中に挿入すると共に、リード板25を絶縁スリーブ26に通し、集電板34と電気的に接続する。
そして、外装缶10の中に非水電解液を注入して電極群20に含浸させる。
【0024】
次に、絶縁スリーブ26を外装缶10の上部に装着すると共に、封口体30を外装缶10の開口部に填め込んで装着し、以下に説明するように、封口体30の外周部と外装缶10の開口縁部11とを、両者の境界40に沿ってレーザ光を照射しながら走査することによって溶接を行う。
〔レーザ溶接による封口〕
図2は、レーザ溶接によって外装缶を封口する様子を示す図である。
【0025】
図2に示す装置において、集光レンズ51は、その光軸を、封口板31と平行な面内で、任意の方向に駆動できるようになっている。そして、この集光レンズ51にレーザ光発振装置(不図示)から光ファイバを経由してレーザ光50が導かれる。
レーザ光発振装置は、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)を用いて発光させるものであって、レーザ光50はパルス状に出力される(例えば、レーザパルス繰返数:50pps)。そして、このレーザ光発振装置におけるレーザ光の出力(パルス波形)は、実質的に0.1μsec程度の間隔で自由に設定できるようになっている。
【0026】
このレーザ光50は、集光レンズ51を通過することにより、封口板31と開口縁部11との境界40上に集光して、小さな円形状のスポット52(スポット径:数百μm)を形成する。
このようなレーザ光の照射方式により、溶接する部分の周囲にある部材(絶縁スリーブ26など)に熱的損傷を与えることなしに、スポット52の部分を局所的に溶融させることができる。
【0027】
レーザ光50が照射されたスポット52の部分では、封口板31と外装缶10の開口縁部11とが溶融して溶融池が生じるが、その溶融池は短時間で凝固する。図2において、60は、この溶融池が凝固した溶接部分である。
なお、レーザ光50のスポット52の周囲には、不活性ガス(窒素ガス)が噴射されるようになっており、これによって溶接部分の酸化は防止される。
【0028】
また、レーザ光発振装置におけるレーザ光の繰返数並びに集光レンズ51の走査の速度は、レーザ光50のスポット52が、直前に照射したスポット52aと適度にオーバーラップするよう(通常40〜60%程度のオーバーラップ率となるよう)調整する。
このように、レーザ光50を、集光レンズ51で境界40上に集光して照射しながら、境界40に沿う方向(図2の矢印Aの方向)に集光レンズ51を走査することによって、境界40に沿って連続的に溶接部分60を形成する。そして、境界40の全周にわたって溶接を行い、封止を完了する。
【0029】
〔レーザ光の波形と発生する熱応力について〕
溶接時において照射するレーザ光のパルス波形(レーザ光強度の時間的変化)について考察する。
図3(A)は、本実施形態にかかるレーザ光のパルス波形70、図3(B)は、従来例にかかるレーザ光のパルス波形80を示す図である。なお、本図で、レーザ光強度は最大強度を100としたときの指標で示している。
【0030】
(B)の従来例のパルス波形80では、レーザ光強度は、時点81で最大値に達した後、領域82で急激に減衰し、そのまま0に到達している。なお、この図で、領域82における減衰速度は、最大値に対して約0.2%/nsecである。
一方、(A)のパルス波形70では、レーザ光強度は、時点71で最大値に達した後、しばらくの間の領域72で上記領域82と同様に急激に減衰しているが、ある程度低下した後、減衰速度の小さい領域(平坦部73)があり、その後減衰して0に到達している。なお、この図で、平坦部73における減衰速度は、最大値に対して約0.006%/nsecである。
【0031】
パルス波形70,80の特徴と、発生する熱応力との関係を考察すると、いずれのパルス波形70,80の場合も、最大値に達する時点71,81の付近で溶融池が生成し、その後の出力が減衰する期間に溶融池の冷却がなされるが、パルス波形70では平坦部73において保温がなされるので、パルス波形80の場合と比べて冷却速度が緩慢である。そのため、同じ照射エネルギーで比べてもパルス波形70の方がパルス波形80よりも冷却に伴って発生する熱応力が小さくなる。
【0032】
このように本実施形態では、レーザ光のパルス波形が平坦部を有しているので溶融池の冷却時に保温作用が生じ、従来と照射エネルギーが同じでも溶接部分に発生する最大熱応力が小さくなる。
従って、このような平坦部を有するパルス波形を用いることは、溶接部分に発生する最大熱応力を、外装缶の材料の引っ張り強度未満に抑えるのに有効である。
【0033】
なおアルミニウム−マンガン合金の場合、実質上、溶接部分に発生する最大熱応力を外装缶10の材料の引っ張り強度未満に抑えるためには、レーザ光照射時に溶接部分に発生する最大熱応力を4.5×103N/cm2以下に抑えればよいと考えられる。
ここで、保温効果を高めて溶接部分に発生する最大熱応力を低減するために、最大出力値に対する出力の変化率が0.1%/nsec以下の平坦部を2.0msec以上含むようにすることが効果的であり、最大出力値に対する出力の変化率が0.01%/nsec以下の平坦部を2.0msec以上含むようにすることがより効果的である。
【0034】
更に、最大出力値に対する出力の変化率が0.01%/nsec以下であり且つ出力値が最大出力値に対して20%〜50%の範囲にある平坦領域が2.0msec以上含まれるようにすることがより効果的である。
なお、「平坦部の出力の変化率」とは、0.1msec程度の時間幅で測定したときの変化率をいい、もっと細かい時間幅(例えば、nsec単位の短い時間幅)で測定したときの変化率は大きくても問題はない。
【0035】
〔熱応力の有限要素法による解析〕
本実施の形態の電池において、照射するレーザ光の波形を、図4の(A),(B),(C)に示すような波形1,2,3に調整した場合に、連続して4回照射するときの各スポットの中央部に生じる熱応力を、有限要素法を用いて解析した。
【0036】
波形1〜3のいずれも、変化率0.01%/nsec以下でレーザ光強度が最大値に対して0.3程度の平坦部を有しているが、その長さは、波形1ではごく短時間、波形2では1msec程度、波形3では2msec程度である。
スポットの中央部に生じる熱応力を解析するのは、レーザ溶接に伴って発生する熱応力は、スポットの中央部で一番大きく、これがクラック発生の要因と考えられるからである。
【0037】
この有限要素法による解析は、以下の条件に基づいて行った。
レーザ光の波長:1.06μm
レーザ光のパワー:9.3×102W
レーザ光のスポット径:450μm
パルス幅:12.0ms
レーザ光照射からの解析時間:15.0ms
封口板の融点:1800K
絶縁スリーブ26の樹脂融点:600K
なお、有限要素法については、日本機械学会編の「熱と流れのコンピュータアナリシス」,コロナ社(1986年)を参考文献として挙げることができる。
【0038】
図5は、この解析結果を表わす特性図であって、各波形1,2,3ごとに照射回数と発生する熱応力との関係が示されている。
図5の解析結果から、1回目の照射時と比べて2回目の照射時の方が熱応力が若干大きくなるが、2回目以降の熱応力の大きさはほとんど一定であることがわかる。
【0039】
また、発生する熱応力は、波形1>波形2>波形3の順であることがわかる。これは、平坦部の時間を長くするほど、発生する熱応力が低減されることを示している。
また、波形2においては、発生する熱応力の最大値が4.5×103N/cm2程度であるが、波形3においては、発生する熱応力の最大値が4.0×103N/cm2程度である。従って、この解析条件において、発生する熱応力の最大値を確実に4.5×103N/cm2以下に抑えるためには、平坦部の長さを2msec程度以上に設定することが好ましいことが裏付けられる。
【0040】
〔実験〕
本実施の形態の電池において、封口時に照射するレーザ光の波形を変えることによって最大熱応力を様々な値に変えて電池を作製し、そのときのクラックの発生率を調べる実験を行った。最大熱応力の算出は、上記と同様の有限要素法を用いて行った。
【0041】
その実験の結果、最大熱応力が4.5×103N/cm2以下の範囲では、クラック発生率が5%未満であった。
[実施の形態2]
図6は、本実施の形態にかかるリチウム二次電池の封口工程を示す図であって、外装缶及び封口体の部分だけを示した断面図である。
【0042】
本実施の形態のリチウム二次電池は、実施の形態1のリチウム二次電池と同様の構成であるが、本実施形態の封口板131は、その外周部が曲折されて外周突起部132が形成され、外周突起部132の先端部132aと開口縁部111の先端部111aとがレーザ溶接されている点が異なっている。
電池の基本的な作製方法は、実施の形態1と同様であるが、封口板131の作製時に、封口板131の外周突起部132も合わせて形成する。そして、封口時には、図6に示すように、開口縁部111の先端部111aと外周突起部132の先端部132aとの境界に沿ってレーザ光を照射しながら封口を行う。
【0043】
この場合、溶融池160から封口体131の中央部の方への伝熱は、外周突起部132を経由してなされるので、上記実施の形態1の外装缶10及び封口板31を用いる場合と比べて、封口体131の中央部への伝熱量は少なくなる。従って、溶融池160からの熱の放出速度は減少し、発生する熱応力が減少する。
また、これに加えて、開口縁部111の厚さL1を外装缶110の他の部分の厚さL2より小さく設計すれば、また外周突起部132の厚さT3を封口板131の他の部分の厚さT1より小さく設計すれば、溶融池160からの熱の放出速度を更に減少させ、発生する熱応力を減少させるのに有効である。
【0044】
開口縁部111の厚さL1並びに封口板131の外周突起部132の形状は、以下のようにして調整することができる。
絞り加工によって外装缶110を作製する際、作製される外装缶110の内面側の形状は、用いるパンチの形状に従うので、開口縁部111に相当する部分を膨らませた形状のパンチを用いることによって、外装缶110の開口縁部111の厚L1さを小さくすることができる。
【0045】
一方、封口板131も、アルミ合金の平板をパンチとダイスを用いて絞り加工すると共に打ち抜いて作製するが、この際に外周部を曲折することによって外周突起部132を形成する。なお、この際に、用いるパンチの形状を調整することによって外周突起部132の厚さT3を調整することも可能である。
この方法により、開口縁部111の厚さL1、外周突起部132の高さT2並びに厚さT3を各々所望の値に設定することができる。
【0046】
本実施の形態において、封口時に照射するレーザ光の波形は、図3(B)のように従来と同様の波形を用いても効果はあるが、実施の形態1で用いた図3(A)のような波形を用いれば、更に熱応力の低減に効果的である。
〔封口板の形状と熱応力との関係について〕
本実施の形態に基づき、封口板の中央部の厚さT1及び外周突起部132の高さT2を様々に変化させて電池を作製する場合にレーザ溶接時に発生する最大熱応力について、上記実施の形態1と同様にして有限要素法による解析を行った。
【0047】
なお、外周突起部132の厚さT3は500μmで共通とした。また、照射するレーザ光の波形は、図3(B)のように従来と同様の波形で行った。
表1はこの解析結果を表わすものである。また、図7は、表1の各条件No.1〜15について、外周突起部132の高さT2と最大熱応力との関係をプロットした図表である。
【0048】
【表1】
【0049】
表1の解析結果から、外周突起部132の高さT2が大きいほど、最大熱応力が小さいことがわかる。またこの条件で、熱応力の最大値を4.5×103N/cm2以下に抑えるためには、突起部の高さT2を80μm以上に設定することが好ましいことがわかる。
〔実験〕
また更に、表1の各条件No.1〜15に基づいて実際に電池を作製し、レーザ封口時(走査速度は18m/sec、レーザ光のスポット径は300μm)のクラックの発生率を測定する実験を行った。
【0050】
その実験結果は図7に併記してある。即ち、図7では、クラック発生率が5%未満の場合は○印、クラック発生率が5%以上の場合は×印を付してある。
この実験の結果は、最大熱応力が4.5×103N/cm2以下の範囲でクラック発生率が5%未満であることを裏付けている。
(その他の事項)
なお、上記実施の形態では、リチウム二次電池の場合を例にとって説明したが、本発明は、ニッケル−水素電池などの二次電池、あるいは一次電池においても適用可能である。
【0051】
また、上記実施の形態では、外装缶や封口板の材質として、クラック発生の問題が生じやすいアルミニウム合金を用いる場合について説明したが、本発明は、ステンレス等を用いる場合にも適用可能である。
また、上記実施の形態では、実用性の高い角形密閉式電池について説明を行なったが、本発明の製造方法は、角形密閉式電池に限らず、有底筒形状の外装缶を用いた電池に対して広く適用することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、有底筒形状の外装缶、特にアルミニウム合金からなるものを用いた密閉式電池の製造方法において、封口ステップにおいて照射するレーザ光の波形を、出力が最大値に到達した後に、最大出力値に対する出力の変化率が0.01%/nsec以下であり且つ出力値が最大出力値に対して20%〜50%の範囲にある平坦領域が2.0msec以上含まれるようにすることによって、照射エネルギーは従来と同じでも、溶接部分に発生する最大熱応力を低減し、クラックの発生を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る角形密閉式電池の斜視図である。
【図2】レーザ溶接によって外装缶を封口する様子を示す図である。
【図3】実施の形態1にかかるレーザ光のパルス波形、及び従来例にかかるレーザ光のパルス波形である。
【図4】実施の形態1において用いるレーザ光の波形の形態を示す図である。
【図5】実施の形態1において、有限要素法による熱応力の解析結果を表わす特性図である。
【図6】実施の形態2にかかるリチウム二次電池の封口工程を示す図である。
【図7】表1の結果に基づいて、外周突起部の高さと最大熱応力との関係をプロットした図表である。
【符号の説明】
10 外装缶
11 開口縁部
20 電極群
30 封口体
31 封口板
50 レーザ光
51 集光レンズ
70,80 パルス波形
73 平坦部
111 開口縁部
132 外周突起部
Claims (2)
- 有底筒形状の外装缶及び当該外装缶の開口部を封口する封口板を作製する外装缶作製ステップと、
前記外装缶に、発電要素を収納する収納ステップと、
前記外装缶の開口部に前記封口板を装着し、前記封口板の外周部と外装缶の開口縁部とを、両者の境界に沿ってレーザ光を間欠的に照射しながら走査することによって溶接し、封口する封口ステップとからなる密閉式電池の製造方法において、
前記封口ステップにおいて照射するレーザ光の出力波形には、
出力が最大値に到達した後に、最大出力値に対する出力の変化率が0.01%/nsec以下であり且つ出力値が最大出力値に対して20%〜50%の範囲にある平坦領域が2.0msec以上含まれていることを特徴とする密閉式電池の製造方法。 - 前記外装缶作製ステップで作製する外装缶は、
アルミニウム合金からなるものであって、
前記封口ステップでは、
レーザ光照射時に溶接部分に発生する最大熱応力が4.5×103N/cm2以下となるようレーザ光の照射を行うことを特徴とする請求項1記載の密閉式電池の製造方法。
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