JP3568310B2 - 音声記録再生装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は音声記録再生装置に関し、特にたとえば、収音マイクを内蔵する民生用カメラ一体型VTRなどに用いられる、音声記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
収音マイクを内蔵した、たとえばカメラ一体型VTRによって、被写体を記録する場合、収音マイクから回転ヘッドドラムやキャプスタンモータの回転音、または磁気ヘッドとテープとの接触音等の機器ノイズが混入することがある。また、ディジタル化に伴う回転ヘッドドラムの回転速度の高速化によって、この機器ノイズは、より一層増大する傾向にある。
【0003】
この機器ノイズを除去する方法の一例が、特願平7−26973号によって出願されている。すなわち、再生音声信号を平均化し、平均化に要した時間だけ遅延させた再生音声信号から、平均化された音声信号つまり機器ノイズ成分を減算することによって、機器ノイズ成分を除去するものである。
また、筐体内部に基準ノイズ検出用のマイクを設け、記録開始後の所定期間に、そのマイクが受けた機器ノイズを記録媒体に記録し、再生時に、記録媒体から再生された機器ノイズ信号を再生音声信号から減算するようにした記録再生方法が、特願平7−300227号によって出願されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者の除去方法では、再生音声信号を平均化するための平均化手段を含む回路が大規模となる欠点があった。また、後者の除去方法では、機器ノイズと音声信号を記録する記録エリアが同一であるため、機器ノイズ信号を限られた記録エリアに最小単位でしか記録できなかった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、簡単な回路構成で確実にノイズを低減できる、音声記録再生装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、音源からの音声信号を受けて第1マイク信号を出力する第1マイクを備える音声記録再生装置において、少なくとも音声記録再生装置が発生するノイズ信号を受けて第2マイク信号を出力する第2マイク、第1マイク信号および第2マイク信号を記録媒体に記録する記録手段、記録媒体に記録された第1マイク信号および第2マイク信号を再生して再生信号を出力する再生手段、再生信号から第1マイク信号と第2マイク信号とを抽出する抽出手段、および第1マイク信号から第2マイク信号を減算する減算手段を備えることを特徴とする、音声記録再生装置である。
【0007】
【作用】
第1の発明において、第1マイクから出力される第1マイク信号としての音声信号は、増幅およびディジタル変換された後、誤り訂正符号および同期信号が付加されて所定の記録フォーマットに変換される。また、第2マイクが受ける第2マイク信号としてのノイズ信号は、増幅およびディジタル変換された後、所定の空き領域に記録すべく、第1マイク信号と同様、所定の記録フォーマットに変換される。このノイズ信号は、信号処理された音声信号および映像信号等と足し合わされ、記録媒体における所定の空き領域に記録される。つまり、たとえば1フレーム分の音声信号を記録媒体におけるオーディオトラックの前半5トラックに記録し、残りの5トラックにノイズ信号を記録する。したがって、音声信号を欠落させることなく、かつ、全てのノイズ信号が記録できる。
【0008】
再生時において、再生ヘッドによって得られた再生信号は、増幅および等化処理された後、復調または誤り訂正等の処理が行われる。処理された再生信号は、音声信号とノイズ信号とに判別され、ノイズ信号は一時的にメモリにストアされる。そして、減算手段において、メモリから読み出されたノイズ信号を再生信号から減算することによって、ノイズ信号が除去された再生音声信号を得ることができる。
【0009】
第2の発明において、第1マイク信号および第2マイク信号は、増幅およびディジタル変換された後、減算手段に与えられる。そして、音声信号である第1マイク信号から(機器)ノイズ信号である第2マイク信号が減算される。したがって、記録媒体には、ノイズ信号を除去した音声信号が記録できる。
第3の発明においても、第2マイクから出力されるノイズ信号は、所定の記録フォーマットに変換された後、記録媒体に記録される。そして、抽出手段によって、再生信号から音声信号とノイズ信号とが抽出される。この音声信号およびノイズ信号のいずれか一方の信号が、音源から第1および第2マイクまでの距離に応じて、遅延(フォーカシング)される。つまり、たとえば音源から第1マイクまでの距離が、音源から第2マイクまでの距離に比べて長い場合には、第2マイク信号をその距離に応じた期間遅延させる。そして、位相合わせされた第1マイク信号と第2マイク信号とが加算手段によって加算される。したがって、音声信号は互いに干渉し強調され、一方のノイズ信号は互いに打ち消し合うため、加算手段からはノイズが低減された音声信号が出力される。
【0010】
第4の発明において、第1マイク信号および第2マイク信号は、増幅およびディジタル変換された後、そのいずれか一方のマイク信号が、音源から第1および第2マイクまでの距離に応じて、遅延(フォーカシング)される。そして、この遅延された信号と遅延していない信号とを加算することによって、記録媒体には、ノイズが低減された音声信号が記録できる。
【0011】
第5の発明において、用途に応じて減算手段と加算手段を能動化することによって、再生音声信号からノイズをより効果的に低減できる。
【0012】
【発明の効果】
この発明によれば、ノイズ信号を主信号として受ける第2マイクを設け、そのノイズ信号を所定の記録エリアに記録するようにしたので、ノイズ信号を確実に記録できる。よって、混入したノイズ信号を効果的に低減でき、高いS/N比が実現できる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0014】
【実施例】
図1を参照して、この実施例の記録再生装置10は、カメラ一体型VTRのような図示しない収音マイク(第1マイク)を内蔵する記録再生装置であって、マイク入力端子12を含む。マイク入力端子12は、機器ノイズであるノイズ信号を主信号として受ける筐体内部に設けられた図示しないサブマイク(第1マイク)に接続される端子12aと、記録すべき入力音声信号を主信号として受ける端子12bを含む。端子12bに入力された入力音声信号は、アンプ14bを介して、A/D変換器16bに与えられる。増幅およびディジタル変換された入力音声信号は、ディジタル信号処理部18において、所定の記録フォーマットに変換される。
【0015】
すなわち、図2を参照して、ディジタル信号処理部18は、メモリ制御回路部18aを含み、この制御回路部18aによって、入力音声信号および入力映像信号がメモリ18bに記録される。そして、誤り訂正符号付加処理部18cで誤り訂正用の符号が付加された後、同期信号付加部18dにおいて、同期信号が付加される。そして変調回路部18eで変調された後、記録信号として出力される。このようにディジタル信号処理部18において、所定の記録フォーマットに変換された記録信号は、アンプ20を介して図示しない記録ヘッドによって記録される。
【0016】
一方、図示しないサブマイク(第2マイク)から入力された、たとえばキャプスタンモータ(図示せず)の回転音といったノイズ信号は、アンプ14aで増幅された後、A/D変換器16aにおいて、ディジタル変換される。そして、このノイズ信号は、信号処理部22で所定の記録フォーマットに変換される。つまり、ノイズ信号を入力音声信号を記録すべき領域を除いた、所定の空き領域に記録するために所定の記録フォーマットに変換する。
【0017】
すなわち、入力音声信号を1フレーム10トラックで構成されるオーディオトラック(図3参照)の前半5トラックに記録し、残りの後半5トラックにノイズ信号を記録する。つまり、音声信号は映像信号と異なり、1フレーム5トラックで完結となるため、1フレーム分の入力音声信号は5トラックで記録でき、空き領域としての残りの5トラックにノイズ信号を記録する。よって、入力音声信号およびノイズ信号を欠落させることなく全て記録できる。
【0018】
なお、信号処理部22における信号処理は、ディジタル信号処理部18における処理と同一とすることができる。また、たとえばAUXエリアにデータインバリッドを示すフラッグを立てることにより、後半5トラックを音声信号と区別することができる。
再生時において、図示しない再生ヘッドによって得られたノイズ信号を含む再生信号は、アンプ24および等化回路26を介して、ディジタル信号処理部28に与えられる。ディジタル信号処理部28は、たとえば図4に示すような回路構成であって、このディジタル信号処理部28において、増幅および等化処理されたノイズ信号を含む再生信号は、復調および誤り訂正処理される。
【0019】
ディジタル信号処理部28からの再生信号からは、セレクト回路30において、再生音声信号と再生ノイズ信号とが抽出され、再生ノイズ信号は、メモリ32に一時的にストアされる。そして、減算回路34において、再生音声信号から、メモリ32から読み出したノイズ信号が減算される。したがって、D/A変換器36からは、ノイズ信号が除去されたアナログ音声信号が出力される。
【0020】
なお、ノイズ信号を音声トラックの空きトラックに記録するのではなく、音声エリアの状態を示すコードを記録するAUXエリアに記録することも可能である(第2の実施例)。つまり、図5に示すように、5バイト×9のAUXエリアに音声信号の状態を示すコードが書き込まれるが、実際にはそのうちの5バイト×2程度のエリアにしか記録されず、残りのエリアは空き領域となる。そこで、この空き領域にノイズ信号を記録し、再生時に、そのノイズ信号を再生音声信号から減算することによって、図1に示した実施例と同様の効果を得ることができる。
【0021】
上述の実施例では、筐体内部に設けられたサブマイクから入力されたノイズ信号(機器ノイズ)を所定の空き領域に記録し、再生時に、再生信号からノイズ信号を減算して、高いS/N比を確保するようにしていたが、筐体外部に設けられたサブマイクからの環境ノイズを、上述の実施例と同様の記録方法を用いることによって、遅延手段を用いた音声のフォーカシング(焦点合わせ)処理の際に効果的に低減できる。
【0022】
すなわち、図6に第3の実施例の記録再生装置10を示し、端子12aは、図示しない筐体外部に設けられたサブマイク(第2マイク)からの環境ノイズ成分としてのノイズ信号を主信号として受ける。なお、このノイズ信号は、図示しない音源からの音声信号をも含む。ノイズ信号は、上述の実施例と同様に、所定の記録フォーマットに変換された後、記録ヘッド(図示せず)によって記録される。そして、再生時において、増幅および等化処理された音声信号は、ディジタル信号処理部28において、誤り訂正および補間処理される。そして、セレクト回路30によって、再生信号から音声信号とノイズ信号とが抽出され、ノイズ信号は一端メモリ32にストアされる。
【0023】
音声信号およびメモリ32から読み出したノイズ信号は、遅延回路38aおよび38bにおいて、フォーカシング距離に応じて遅延される。つまり、たとえば音源から第1マイク(図示せず)までの距離が、音源と第2マイク(図示せず)との距離よりも短い場合には、第1マイクからの音声信号(第1マイク信号)をその距離に応じた期間だけ遅延し、両信号つまり第1マイク信号と第2マイク信号の位相合わせが行なわれる。そして、加算回路40において、遅延された信号と遅延していない信号とが加算される。したがって、第1マイク信号の音声信号と第2マイク信号に含まれる音声信号とは、互いに干渉し合うことによって、強調される。一方、環境ノイズといったノイズ信号は、この加算処理によって互いに打ち消される。よって、加算回路40からは、ノイズ信号が低減された音声信号が出力される。
【0024】
さらに、図7に第4の実施例を示し、この記録再生装置10は、サブマイクから混入するノイズ信号に応じて、ノイズ低減方法を選択するセレクト回路42を含む。つまり、この実施例の記録再生装置10は、機器ノイズを低減するための減算回路34と、環境ノイズを低減するための遅延回路38a,38bおよび加算回路40とを含み、セレクト回路42によって、このどちらか一方が選択される。
【0025】
また、収音マイク(第1マイク)およびサブマイク(第2マイク)を図8に示すように配置することによって、機器ノイズの低減に重点を置いた構成にでき、一方、図9に示すように、収音マイクおよびサブマイクを筐体外部に配置すれば、フォーカシングつまり環境ノイズの低減に重点を置いた構成とすることができる。さらに、サブマイクを筐体の外部および内部にそれぞれ設け(図10参照)、どちらか一方のサブマイクをスイッチで選択するようにすれば、用途はさらに広がり至便である。
【0026】
つぎに、第5および第6の実施例を図11および図12に示し、サブマイクを図10に示すように筐体外部および内部に設け、機器ノイズと環境ノイズとをそれぞれ異なる所定の空き領域に記録して、両ノイズを同時に低減するものである。つまり、たとえばサブマイク1からの機器ノイズを音声トラックの空きトラックに記録し、サブマイク2からの環境ノイズをAUXエリアに記録する。
【0027】
また、図13に第7の実施例を示し、この実施例の記録再生装置10は、記録時にフォーカシング処理つまり環境ノイズを低減し、再生時に機器ノイズを低減するものである。このとき、サブマイクを図8または図9に示す構成とする場合には、サブマイクを機器ノイズ低減用とフォーカシング用の共通とし、図10に示す構成とする場合には、たとえば筐体外部に配置されたサブマイク2をフォーカシング用として用い、一方の筐体内部に設けられたサブマイク1を機器ノイズ低減用として使用する。また、図14に示す第8の実施例の記録再生装置10のように、記録時に機器ノイズ低減を行い、再生時にフォーカシングを行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1実施例のディジタル信号処理部の一例を示すブロック図である。
【図3】記録媒体における記録パターンを示すテープフォーマット図である。
【図4】図1実施例のディジタル信号処理部の一例を示すブロック図である。
【図5】第2実施例の記録方法における空き領域を示す図解図である。
【図6】第3の実施例を示すブロック図である。
【図7】第4の実施例を示すブロック図である。
【図8】機器ノイズ低減効果を狙ったサブマイク(第2マイク)の構成を示す図解図である。
【図9】フォーカシング(環境ノイズ低減)効果を狙ったサブマイク(第2マイク)の構成を示す図解図である。
【図10】機器ノイズ低減とフォーカシングを効果的に行い得るサブマイク(第2マイク)の構成を示す図解図である。
【図11】第5の実施例を示すブロック図である。
【図12】第6の実施例を示すブロック図である。
【図13】第7の実施例を示すブロック図である。
【図14】第8の実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 …記録再生装置
18 …ディジタル信号処理部
22 …信号処理部
28 …ディジタル信号処理部
32 …メモリ
34 …減算回路
38 …遅延回路
40 …加算回路
Claims (5)
- 音源からの音声信号を受けて第1マイク信号を出力する第1マイクを備える音声記録再生装置において、
少なくとも前記音声記録再生装置が発生するノイズ信号を受けて第2マイク信号を出力する第2マイク、前記第1マイク信号および前記第2マイク信号を記録媒体に記録する記録手段、
前記記録媒体に記録された前記第1マイク信号および前記第2マイク信号を再生して再生信号を出力する再生手段、
前記再生信号から前記第1マイク信号と前記第2マイク信号とを抽出する抽出手段、および前記第1マイク信号から前記第2マイク信号を減算する減算手段を備えることを特徴とする音声記録再生装置。 - 音源からの音声信号を受けて第1マイク信号を出力する第1マイクを備える音声記録再生装置において、
少なくとも前記音声記録再生装置が発生するノイズ信号を受けて第2マイク信号を出力する第2マイク、
前記第1マイク信号および前記第2マイク信号を記録媒体に記録する記録手段、前記記録媒体に記録された前記第1マイク信号および前記第2マイク信号を再生して再生信号を出力する再生手段、
前記再生信号から前記第1マイク信号と前記第2マイク信号とを抽出する抽出手段、
前記音源からの前記第1マイクおよび前記第2マイクの距離に応じて前記第1マイク信号および前記第2マイク信号のいずれか一方のマイク信号を他方のマイク信号より遅延させる遅延手段、
および当該遅延手段により遅延された前記一方のマイク信号と前記他方のマイク信号とを加算する加算手段を備えることを特徴とする音声記録再生装置。 - 音源からの音声信号を受けて第1マイク信号を出力する第1マイクを備える音声記録再生装置において、
少なくとも前記音声記録再生装置が発生するノイズ信号を受けて第2マイク信号を出力する第2マイク、
前記第1マイク信号および前記第2マイク信号を記録媒体に記録する記録手段、前記記録媒体に記録された前記第1マイク信号および前記第2マイク信号を再生して再生信号を出力する再生手段、
前記再生信号から前記第1マイク信号と前記第2マイク信号とを抽出する抽出手段、
前記第1マイク信号から前記第2マイク信号を減算する減算手段、
前記音源からの前記第1マイクおよび前記第2マイクの距離に応じて前記第1マイク信号および前記第2マイク信号のいずれか一方のマイク信号を他方のマイク信号より遅延させる遅延手段、
当該遅延手段により遅延された前記一方のマイク信号と前記他方のマイク信号とを加算する加算手段、
および前記減算手段および前記加算手段の少なくとも一方を能動化する選択手段を備えることを特徴とする音声記録再生装置。 - 前記記録手段は、前記記録媒体の1音声フレームのうち1/2音声フレームに前記第1マイク信号を記録し、前記第2マイク信号を残りの1/2音声フレームに記録することを特徴とする請求項1ないし3記載の音声記録再生装置。
- 前記記録手段は、前記記録媒体の音声データエリアに前記第1マイク信号を記録し、当該音声データエリアに対する補助エリアに前記第2マイク信号を記録することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の音声記録再生装置。
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JPH09237467A JPH09237467A (ja) | 1997-09-09 |
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1996
- 1996-03-04 JP JP04591096A patent/JP3568310B2/ja not_active Expired - Fee Related
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