JP3568270B2 - 高分子量アクリルアミド系重合体の製造方法 - Google Patents

高分子量アクリルアミド系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主として高分子凝集剤、製紙用添加剤としての用途がある高分子量アクリルアミド系重合体の製造方法に関する。更に、詳しくは二種以上の酸化剤よりなる酸化還元系重合開始剤により重合を開始して高分子量のアクリルアミド系重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリルアミド系重合体を凝集剤として使用する場合、取扱に支障をきたさない範囲で分子量が高ければ高いほど、優れた凝集効果を示し、使用量を削減できる等の利点が得られる。また、紙力剤の分野でも近年、高分子量のものが要求されるようになってきた。
【0003】
従来、高分子量のアクリルアミド系重合体を製造する方法として、重合温度及び重合開始剤濃度をできるだけ低くして重合する方法が一般的に行われている。しかしながら、分子量が高くなるほど、重合の開始に伴い重合液はゲル状となり、直ちに撹拌不能となり、温度制御は不可能となる。従って、重合温度を低く抑えるには重合開始温度を低くし、また重合による発熱量を抑えるため、重合濃度も低くしなければならない。
【0004】
即ち、従来の方法では高分子量アクリルアミド系重合体の製造では重合開始剤濃度、重合開始温度及び重合濃度のいずれも低くしなければならず、重合が完結するまでの時間が長大となり、結果として生産性は低下してしまう。
一方、重合速度を上げるため、単に重合開始剤濃度を大きくすると、分子量は低下してしまう。このように上記の相関を断ち切って、高分子量アクリルアミド系重合体の製造を生産性よく行う方法は未だ見いだされていない。
【0005】
また、特開平4−268304号公報のアクリル酸ソーダ等の低分子量アクリル酸塩系重合体の製造方法において過酸化物系重合開始剤と過硫酸塩との併用が実施例に開示されているが、その効果についてなんら記載がない。更には特開平3−124711号公報のマレイン酸共重合体の製造方法及び特開平3−124712号公報のフマル酸共重合体の製造方法において過酸化物系重合開始剤と過硫酸塩との併用の可能性が示唆されてはいるが、具体例の開示も効果の記述もない。いずれにしても、上記の先行技術は低分子量重合体製造に関するものであり、高分子量のアクリルアミド系重合体の製造を目的とする本発明とは目的を異にする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
高分子量アクリルアミド系重合体の製造には前記の製造上の制約があり、その結果、下記する解決しなければならない課題がある。すなわち▲1▼重合が完結するのに多大な時間を要するので、製造施設・装置の面から制限を受けるだけでなく、生産性は低くなり、製造コストが上昇すること、▲2▼重合開始剤濃度が低いので、重合の再現性が低く、重合が完結するまでの時間が一定にならないこと、▲3▼重合開始剤濃度及び重合濃度が低いので、重合が完結せずに未反応モノマーが残存することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記した点に鑑み、高分子量アクリルアミド系重合体の製造方法について詳細に検討した結果、酸化還元系重合開始剤により重合を開始してアクリルアミド系重合体を製造する方法において、二種以上の酸化剤を共存させて重合を開始することにより、高分子量アクリルアミド系重合体を製造できることを見い出し、本発明に到った。
【0008】
すなわち、本発明は、
酸化還元系重合開始剤により重合を開始してアクリルアミド系重合体を製造する方法において、二種以上の酸化剤よりなる酸化還元系重合開始剤により重合を開始することを特徴とする高分子量アクリルアミド系重合体の製造方法に関するものである。
【0009】
高分子量アクリルアミド系重合体を製造する方法として、比較的低温域で重合することが効果的であり、酸化還元系重合開始剤による重合が一般的に行われている。しかしながら、本発明は酸化還元系重合開始剤による重合で高分子量アクリルアミド系重合体を製造する方法において、二種以上の酸化剤成分を併用することにより分子量の低下をほとんど誘起せずに、重合速度を著しく増進できる点に特徴がある。そして、本発明により、従来製造が困難であった高分子量アクリルアミド系重合体の製造を再現性よく、効率よく行えるようになり、製造設備上の制約も軽減できるようになった。
【0010】
本発明で使用されるアクリルアミド系重合体(ポリアクリルアミド)とは、アクリルアミド(またはメタクリルアミド)のホモポリマー、あるいはアクリルアミド(またはメタクリルアミド)と共重合可能な一種以上の不飽和単量体との共重合体をいう。
【0011】
共重合可能な単量体としては、親水性単量体、イオン性単量体、親油性単量体などがあげられ、それらの一種以上の単量体が適用できる。
具体的には親水性単量体として、例えばジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、各種のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン等をあげることができる。
【0012】
イオン性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の酸及びそれらのナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等の塩、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアミン及びそれらの三級または四級塩等をあげることができる。マレイン酸、フマル酸等の二塩基酸は重合を阻害することがあり、好ましくない。
【0013】
親油性単量体としては、例えばN,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体、N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミド等のN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン等をあげることができる。
【0014】
共重合に供せられる不飽和単量体の使用量は、不飽和単量体の種類、及びそれらの組合せにより異なり一概には言えないが、親水性単量体では概ね0〜75重量%、イオン性単量体では概ね0〜85重量%、親油性単量体では概ね0〜50重量%の範囲にある。
【0015】
上記した単量体を重合して、高分子量アクリルアミド系重合体を製造する工程につき説明する。重合はラジカル重合で行い、酸化還元系重合開始剤による重合が必須である。酸化還元系重合開始剤は酸化剤と還元剤との組合せよりなる。酸化剤として過硫酸塩、過酸化水素、金属過酸化物等の無機系酸化剤とヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、ケトンパーオキサイド、ジアルキルペルオキシジカルボネート、過酸及びそのエステル等の有機系酸化物がある。さらに、有機系酸化物としては低分子化合物ばかりでなく、高分子系酸化物も使用できる。
【0016】
無機系酸化剤の過硫酸塩としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等があげられる。過酸化水素は通常市販されている水溶液品を使用できる。金属過酸化物としては、過酸化ナトリウム、過酸化カリ、過酸化リチウム、過酸化バリウム、過酸化ニッケル、過酸化亜鉛等があげられる。
【0017】
有機系酸化物のヒドロペルオキシドとしては、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル等があげれる。過酸化ジアルキルとしては、たとえば過酸化ジt−ブチル、過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等があげられる。過酸化ジアシルとしては、例えば過酸化ジアセチル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジブチリル、過酸化ジオクタノイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウノイル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジ−2,4−ジクロロベンゾイル等があげられる。ケトンパーオキサイドとしては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等があげられる。ジアルキルペルオキシジカルボネートとしては、例えばジプロピルペルオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカルボネート等があげられる。過酸及びそのエステルとしては、例えば過酢酸、過ピバリン酸、過安息香酸、過酢酸t−ブチル、過酪酸t−ブチル、過ピバリン酸t−ブチル、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノウェート、t−ブチルペルオキシラウレート、過安息酸t−ブチル等があげられる。
【0018】
高分子過酸化物としては、上記した構造で活性酸素基が分子中に複数個以上存在する高分子状のものであり、原料、合成条件等を適宜設定することにより、上記過酸化物の製法により製造できる。例えば、特開平2−40361号公報、特開平2−40362号公報にジアシル型ポリメリックペルオキシドが、また特開平5ー170808号公報にポリメリックパーオキシジカーボネートが開示されている。
【0019】
一方、上記の酸化剤と組み合わせて使用する還元剤としては、低原子価の遷移金属イオンの塩、低原子価のイオウ酸化物、有機アミン、還元糖等があげられる。低原子価の遷移金属イオンの塩としては、鉄(2価)、銅(1価)、コバルト(2、3価)、マンガン(2価)等の水溶性塩があげられ、具体的には硫酸第1鉄アンモニウム、塩化第一銅、塩化コバルト(2価)等があげられる。低原子価のイオウ酸化物としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、スルホキシル酸塩等があげられ、通常それらのNa、K等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩が溶解性の点より使用される。有機アミンとしては、脂肪族アミンおよび芳香族アミンいずれも使用でき、脂肪族アミンとして揮発性の低いものがよく、たとえばエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどがあげられる。芳香族アミンとしては、たとえばアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン等があげられる。還元糖ならびにその類似物質として、アルドース、ケトース等の単糖類、サッカロース、マルトース、ラクトース等の二糖類等、さらには類似物質としてアスコルビン酸等があげられる。
【0020】
さて、アクリルアミド系単量体の重合においては、重合系がゲル化し、その結果重合熱の除去が困難になるため、重合開始後はそのまま放置しておくのが通常である。従って、重合は断熱的に進行し、重合系の温度は上昇してゆき、0℃付近より100℃付近まで上昇する。そのように広い温度範囲で重合を速やかに進行させるには上記した重合開始剤をうまく組み合わせて、重合を行わせるか、或は新たな開始剤を併用することが好ましい。そのような酸化還元系重合開始剤と併用する第3成分としての重合開始剤としては種々あるが、たとえばアゾ系開始剤が使用できる。なかでも中温域より高温域での重合開始に有効なものが好ましい。例えば、アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(4−シアノ吉草酸)、アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、アゾビスイソブチルアミド、アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]などがあげられる。
【0021】
本発明においては、アクリルアミド系単量体を上記した重合開始剤を使用して重合するのであるが、重合溶媒としては水が最も好ましい。水としては工業用水をそのまま使用できるが、好ましくは金属イオン等の不純物含有の少ないイオン交換水、蒸留水、井戸水がよい。また、メタノール、エタノール等の低級アルコール、アセトン、テトラハイドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の、水と混和する極性溶剤が併用することもできる。それらの溶剤は水に難溶性の重合開始剤を使用する際、その溶剤として使用でき都合がよい。
【0022】
本発明においては上記の重合溶媒を使用して重合するのであるが、その時の単量体濃度は2〜70重量%好ましくは5〜50重量%である。また、重合開始剤の添加量は、単量体に対して酸化剤総量で1×10−4〜0.5モル%、好ましくは1×10−4〜0.1モル%であり、また酸化剤各成分の相対比率は、1:50〜50:1の範囲であり、これよりあまり少なすぎても、多すぎても、併用による協奏効果が薄れる。なお、併用する酸化剤は同種のものより、異種のものの組合せの方で優れた効果が得られる場合が多い。例えば、過硫酸塩と過酸化水素、過硫酸塩とヒドロペルオキシド、過硫酸塩と過酸化ジアルキル、過硫酸塩と過酸化ジアシル、過硫酸塩とケトンパーオキサイド、過硫酸塩とジアルキルペルオキシジカルボネート、過硫酸塩と過酸、過硫酸塩と過酸エステル、過硫酸塩と高分子系酸化物、過酸化水素とヒドロペルオキシド、過酸化水素と過酸化ジアルキル、過酸化水素と過酸化ジアシル、過酸化水素とケトンパーオキサイド、過酸化水素とジアルキルペルオキシジカルボネート、過酸化水素と過酸、過酸化水素と過酸エステル、過酸化水素と高分子系酸化物、ヒドロペルオキシドと過酸化ジアルキル、ヒドロペルオキシドと過酸化ジアシル、ヒドロペルオキシドとケトンパーオキサイド、ヒドロペルオキシドとジアルキルペルオキシジカルボネート、ヒドロペルオキシドと過酸、ヒドロペルオキシドと過酸エステル、ヒドロペルオキシドと高分子系酸化物、過酸化ジアルキルと過酸化ジアシル、過酸化ジアルキルとケトンパーオキサイド、過酸化ジアルキルとジアルキルペルオキシジカルボネート、過酸化ジアルキルと過酸、過酸化ジアルキルと過酸エステル、過酸化ジアルキルと高分子系酸化物、過酸化ジアシルとケトンパーオキサイド、過酸化ジアシルとジアルキルペルオキシジカルボネート、過酸化ジアシルと過酸、過酸化ジアシルと過酸エステル、過酸化ジアシルと高分子系酸化物、ケトンパーオキサイドとジアルキルペルオキシジカルボネート、ケトンパーオキサイドと過酸、ケトンパーオキサイドと過酸エステル、ケトンパーオキサイドと高分子系酸化物、ジアルキルペルオキシジカルボネートと過酸、ジアルキルペルオキシジカルボネートと過酸エステル、ジアルキルペルオキシジカルボネートと高分子系酸化物、過酸と高分子系酸化物、過酸エステルと高分子系酸化物からなる組み合わせである。また、3種以上の酸化剤を併用することもできる。
【0023】
一方、還元剤は前記したものより任意に選択できる。0℃付近の低温での重合開始では、低原子価の遷移金属イオンの塩を使用することにより、速やかに重合を開始できる。いずれにしても、前記の還元剤の使用により、40℃以下で重合開始できる。酸化剤に対する還元剤の使用比率は酸化剤1モルに対して、0.01〜10倍モル、好ましくは0.02〜5倍モルである。
【0024】
また、第3成分の重合開始剤であるアゾ系重合開始剤は必ずしも不可欠ではないが、併用した方が重合を速やかにかつ再現性よく行わせることができ、好都合である。その添加量は単量体に対し、1×10−3〜5モル%、好ましくは1×10−3〜1モル%である。添加方法は予め単量体水溶液に添加しておく方法、酸化還元系重合開始剤添加時に同時に添加する方法等任意に選択できる。
【0025】
重合開始時のpHは特段の制約はないが、概ねpH3〜10の範囲である。
重合開始温度は酸化剤と還元剤の組合せ、それらの濃度及び比率により変化するが、概ね−10〜40℃である。重合開始後、重合の進行に伴い発生する重合熱により昇温する。重合濃度が低く撹伴可能の場合には所望の温度に制御して設定することが可能であるが、通常の条件では重合の進行に伴い重合液がゲル化する場合が多く、そのような場合には温度制御が困難になるので、昇温するがままに放置するのが一般的である。最高到達温度は重合開始温度及び重合濃度でほぼ一義的に決まり、通常50〜110℃になるように重合条件を設定する。また、重合時間は単量体の種類により異なるが、概ね1〜100時間である。
【0026】
また、重合開始に当たっての重合系の雰囲気は空気のように酸素を含有するものでも良いが、重合を速やかに再現よく行わせるには、チッソガスのような不活性ガスで酸素を置換しておくことが好ましい。重合容器内のガスは勿論のこと、アクリルアミド系単量体水溶液及び開始剤水溶液中に溶存している酸素も除去しておくことが好ましい。
【0027】
より具体的には、予め脱酸素した重合容器内に溶存酸素を除去したアクリルアミド系単量体水溶液を添加し、重合開始温度に設定し、予め脱酸素した重合開始剤水溶液を撹伴下に所定量添加して重合を開始する。その間、空気の混入を防ぐため、チッソガス等の不活性ガスを重合容器内に導入しておいたほうがよい。
【0028】
重合の進行に伴い昇温するが、最高温度に到達するまで放置しておく。最高温度に到達後、必要に応じてそのままその温度に放置しておくか或は熱水中に浸漬する等の加熱処理を施した後、アクリルアミド系重合体を得る。
また、アクリルアミド系単量体溶液に流通下で、例えばスタティックミキサー等を使用して重合開始剤水溶液と混合して重合開始できる。この場合は流通下で混合できるので、重合容器に攪拌機は必ずしも必要でなくなる。例えば、ドラム缶のような容器に上記混合液を封入してそのまま重合の進行に任せ放置し、重合を行わせることもできる。
【0029】
更にはベルトコンベアーのような可搬式輸送機器の一端に重合開始剤と混合した単量体水溶液を注入し、その後重合の進行に合わせながらベルトを移動させ、他端よりアクリルアミド系重合体を取り出すように設計された重合装置も使用できる。
そのようにして得られた重合体は分子量が大きいので、重合後の液の状態は非常に粘度の高いペースト状か、或いは流動性を失ったゲル状のいずれかとなる。ペースト状の場合は、ポンプによる移液が可能となるので、そのまま製品とすることもできる。一方、ゲル状態の場合にはそのままでは溶解に多大な時間を必要とするので、紙力増強.のように水溶液として使用する場合には、水で希釈して水溶液の形にして置くことが好ましい。また、粉末状のような固形状製品とする場合には、メタノール等のアクリルアミド系重合体を溶解しないメタノール等の有機溶剤に含浸してアクリルアミド系重合体より脱水して重合体を得る方法、或いは重合体ゲルを肉挽機の様な解細機で細断し、それを50〜150℃で乾燥し、それを更に粉砕して粉末状とする方法がある。乾燥器として熱風搬送型乾燥器、円筒乾燥器、赤外線乾燥器、高周波乾燥器等を使用できる。また、乾燥による不溶化等の品質劣化を極端に嫌う場合には、凍結乾燥機器等を使用することができる。
【0030】
また、上記した方法で乾燥した重合体を粉砕して粉末状製品とするが、粉砕方法としては乾式法が好ましく、粉砕機としてロールクラッシャー、ドッジクラッシャー、ハンマーミル、ロータリクラッシャー、ボールミル、ロッドミル、ローラーミル、ピンミル、マイクロナイザー等を使用できる。
上記の方法により製造されるアクリルアミド系重合体は概ね重量平均分子量で200万〜2000万であり、高分子凝集剤、石油回収用薬剤及び製紙用薬剤(紙力増強剤、濾水向上剤、歩留り向上剤等)に有用である。
【0031】
上記のようにして製造されるアクリルアミド系重合体は非常に分子量が高いが当然水溶液への溶解性がよくなければ、各種用途に使用することは難しくなる。従って、製品品質として水に溶解しない不溶解分をいかに少なくできるかが品質のポイントとなっており、各種の溶解試験法が開発されている。最も簡便な方法としては、重合体濃度が0.1%程度になるように蒸留水に添加して所定時間攪拌溶解後、濾布或いは金網等で濾別して不溶解分を測定する方法である。また、溶解する水に水溶性塩を添加し、塩濃度を種々に変えて溶解性を試験する方法も適用できる。
アクリルアミド系重合体の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラムの如きカラム分別法或いは固有粘度を測定し、固有粘度と分子量の換算式より求めることができる。
【0032】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
[アクリルアミド重合体の製造];
50重量%アクリルアミド水溶液750gに蒸留水650gと2.06重量%2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(以下、V−50と略す)水溶液20g(単量体に対して2.9×10−2モル%)を加えた後、1重量%過酸化水素水を26.9mg(単量体に対して1.5×10−4モル%)添加し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調整し、アクリルアミド水溶液を調製した。重合開始温度(0℃)以下にアクリルアミド水溶液を調温し、2Lデュワ瓶に移液後、窒素導入管、温度計を取り付け、排気孔、触媒添加孔を設けたシリコンゴムで栓をし1時間、窒素ガス850ml/minを通じて溶液中の溶存酸素を除いた。
【0033】
次いで、液温が0℃に達したら、9.0×10−3重量%過硫酸アンモニウム(以下、APSと略す)水溶液40g(単量体に対して3.0×10−4モル%)、7.8×10−3重量%硫酸第一鉄アンモニウム(以下、FASと略す)水溶液40g(単量体に対して1.5×10−4モル%)を同時に素早く注入し、撹拌して重合を開始させた後、窒素導入管を液面から引き上げ反応容器上部を窒素雰囲気に保ち、そのまま放置して断熱重合を行い、重合温度が最高点に達した後、1時間そのまま放置した。このときの最高温度および最高温度に達する時間(重合時間)を測定した。結果を表1に示した。
【0034】
このようにして得られたアクリルアミド系重合体の周辺部をはさみで取り除いて細断し、肉挽器で細かく破砕した後、85℃の熱風で110分乾燥させ、高速回転刃式粉砕機で1分間粉砕して、ふるいにかけ20〜60メッシュのものを分級して乾燥粉末状のアクリルアミド系重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド系重合体サンプルを以下の試験に供し、結果を表1に示した。乾燥粉末状アクリルアミド系重合体サンプルの水分はいずれのサンプルについても約10重量%であった。
【0035】
[アクリルアミド系の重合体の溶解性試験]:
500mlビーカーに400gの蒸留水を入れ、スクリュー型撹拌羽を200rpmで撹拌しながらアクリルアミド系重合体0.44g(純分約0.4g)を添加し、90分撹拌溶解させ、得られた溶液を150メッシュのステンレス製金網で濾過し、不溶解分を肉眼で判定した。尚、不溶解分の判定は下記の基準で判定した。
○:不溶解分なし
△:不溶解分少量
×:不溶解分多量
[アクリルアミド重合体の分子量測定]:
上記溶解性試験で得られた濾液のゲルパミュエーションクロマトグラフィーによりアクリルアミド系重合体の重量平均分子量の測定を行った。
【0036】
実施例2〜8
表1に示した重合溶液調製時に添加する酸化剤および重合開始時に使用する酸化還元系重合開始剤の表示量ならびに重合開始温度で実施例1と全く同様の方法でアクリルアミド重合体を製造し、その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。
【0037】
実施例9
実施例1のアクリルアミド重合体の製造において、2.06重量%V−50水溶液20gの代わりに1.26重量%アゾビスイソブチロニトリル−メタノール溶液20gを加えた以外はすべて実施例1と全く同様の方法でアクリルアミド重合体を製造し、その時の最高温度および重合時間を測定した。結果を表1に示した。次いで、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。
【0038】
実施例10
実施例1のアクリルアミド重合体の製造において、2.06重量%V−50水溶液20gの代わりに水20gを加えた以外はすべて実施例1と全く同様の方法でアクリルアミド重合体を製造し、その時の最高温度および重合時間を測定した。結果を表1に示した。次いで、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。
【0039】
比較例1
実施例1のアクリルアミド重合体の製造において、過酸化水素を添加しないで製造した以外はすべて実施例1と同様にして行った。その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。
この場合、実施例1と比べると分子量及び溶解性はほぼ同じであったが、実施例1では短時間で重合できたのに比べ、重合時間が長くなってしまった。
【0040】
比較例2
実施例1のアクリルアミド重合体の製造において、過酸化水素、V−50を添加しないで製造した以外はすべて実施例1と同様にして行った。その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。この場合も、実施例1と比べると分子量及び溶解性はほぼ同じであったが、重合時間がずっと長くなってしまった。
【0041】
比較例3
実施例1のアクリルアミド重合体の製造において、過酸化水素を添加しないで、酸化還元系重合開始剤であるAPSを単量体に対して6.0×10−4モル%、FASを単量体に対して3.0×10−4モル%になるように添加して製造した以外はすべて実施例1と同様にして行った。その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。
この場合、重合開始剤の増加により実施例1と同程度の重合時間となったが、分子量はずっと低下してしまった。
比較例4
実施例5のアクリルアミド重合体の製造において、過酸化水素を添加しないで製造した以外はすべて実施例5と同様にして行った。その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。
この場合、実施例5と比べると分子量及び溶解性ははほぼ同じであったが、重合時間がずっと長くなってしまった。
【0042】
比較例5
実施例7のアクリルアミド重合体の製造において、過酸化水素を添加しないで製造した以外はすべて実施例7と同様にして行った。その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表1に示した。
この場合、実施例7と比べると分子量及び溶解性ははほぼ同じであったが、重合時間がずっと長くなってしまった。
【0043】
【表1】
Figure 0003568270
【0044】
実施例11
[アクリルアミド−アクリル酸からなるアクリルアミド系重合体の製造〕:
50重量%アクリルアミド水溶液450gとアクリル酸150gに蒸留水800gと2.05重量%V−50水溶液20gを加えた後、過酸化水素を単量体に対して2.5×10−4モル%になるよう添加し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調整してアクリルアミド水溶液を調製した。重合開始温度(0℃)以下にアクリルアミド水溶液を調温し、2Lデュワ瓶に移液後、窒素導入管、温度計を取り付け、排気孔、触媒添加孔を設けたシリコンゴムで栓をし1時間、窒素ガス850ml/minを通じて溶液中の溶存酸素を除いた。
【0045】
次いで、液温が0℃に達したら、9.0×10−3重量%APS水溶液40g(単量体に対して3.0×10−4モル%)、7.7×10−3重量%FAS水溶液40g(単量体に対して1.5×10−4モル%)を同時に素早く注入し、撹拌して重合を開始させた後、窒素導入管を液面から引き上げ反応容器上部を窒素雰囲気に保ち、そのまま放置して断熱重合行い、重合温度が最高点に達した後、1時間そのまま放置した。このときの最高温度および重合時間を測定した。結果を表2に示した。その後実施例1と全く同様に操作し、性能評価の試験を行った。結果を表2に示した。
【0046】
実施例12〜18
表2に示した重合溶液調製時に添加する酸化剤および重合開始時に使用する酸化還元系重合開始剤の表示量ならびに重合開始温度で実施例11と全く同様の方法でアクリルアミド系重合体を製造し、その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド系重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド系重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表2に示した。
【0047】
実施例19
実施例11のアクリルアミド系重合体の製造において、2.05重量%V−50水溶液20gの代わりに水20gを加えた以外はすべて実施例11と全く同様の方法でアクリルアミド系重合体を製造し、その時の最高温度および重合時間を測定した。結果を表2に示した。次いで、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド系重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド系重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表2に示した。
【0048】
比較例6
実施例11のアクリルアミド系重合体の製造において、過酸化水素を添加しないで製造した以外はすべて実施例11と同様にして行った。その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド系重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド系重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表2に示した。この場合、実施例11と比べると分子量及び溶解性はほぼ同じであったが、実施例11が短時間で重合できたのに比べ、重合時間がずっと長くなってしまった。
【0049】
【表2】
Figure 0003568270
【0050】
実施例20
[アクリルアミド−メタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライドからなるアクリルアミド系重合体の重合]:
50重量%アクリルアミド水溶液450gとメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド150gに蒸留水800gと1.56重量%V−50水溶液20gを加えた後、過酸化水素を単量体に対して2.5×10−4モル%になるよう添加し、硫酸水溶液でpHを4.5に調整してアクリルアミド水溶液を調製した。重合開始温度(0℃)以下にアクリルアミド水溶液を調温し、2Lデュワ瓶に移液後、窒素導入管、温度計を取り付け、排気孔、触媒添加孔を設けたシリコンゴムで栓をし1時間、窒素ガス850ml/minを通じて溶液中の溶存酸素を除いた。
【0051】
次いで、液温が0℃に達したら、6.8×10−3重量%APS水溶液40g(単量体に対して3.0×10−4モル%)、5.8×10−3重量%FAS水溶液40g(単量体に対して1.5×10−4モル%)を同時に素早く注入し、撹拌して重合を開始させた後、窒素導入管を液面から引き上げ反応容器上部を窒素雰囲気に保ち、そのまま放置して断熱重合行い、重合温度が最高点に達した後、1時間そのまま放置した。このときの最高温度および重合時間を測定した。結果を表3に示した。その後実施例1と全く同様に操作し、性能評価の試験を行った。結果を表3に示した。
【0052】
実施例21〜23
表3に示した重合溶液調製時に添加する酸化剤および重合開始時に使用する酸化還元系重合開始剤の表示量ならびに重合開始温度で実施例20と全く同様の方法でアクリルアミド系重合体を製造し、その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド系重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド系重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表3に示した。
【0053】
実施例24
実施例20のアクリルアミド系重合体の製造において、1.56重量%V−50水溶液20gの代わりに水20gを加えた以外はすべて実施例20と全く同様の方法でアクリルアミド系重合体を製造し、その時の最高温度および重合時間を測定した。結果を表3に示した。次いで、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド系重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド系重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表3に示した。
【0054】
比較例7
実施例20のアクリルアミド系重合体の製造において、過酸化水素を添加しないで製造した以外はすべて実施例20と同様にして行った。その時の最高温度および重合時間を測定して、実施例1と同様の操作を行い乾燥粉末状アクリルアミド系重合体サンプルを得た。得られたアクリルアミド系重合体サンプルは実施例1と同様に溶解性試験、分子量測定を行い性能評価した。結果を表3に示した。この場合、実施例20と比べると分子量及び溶解性はほぼ同じであったが、実施例20は短時間で重合できたのに比べ、重合時間がずっと長くなった。
【0055】
比較例8
50重量%アクリルアミド水溶液450gとフマル酸150gに蒸留水800gと1.74重量%V−50水溶液20gを加えた後、過酸化水素を単量体に対して2.5×10−4モル%になるよう添加し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを4.5に調整してアクリルアミド系水溶液を調製した。重合開始温度(0℃)以下にアクリルアミド系水溶液を調温し、2Lデュワ瓶に移液後、窒素導入管、温度計を取り付け、排気孔、触媒添加孔を設けたシリコンゴムで栓をし1時間、窒素ガス850ml/minを通じて溶液中の溶存酸素を除いた。
【0056】
次いで、液温が0℃に達したら、7.6×10−3重量%APS水溶液40g(単量体に対して3.0×10−4モル%)、6.5×10−3重量%FAS水溶液40g(単量体に対して1.5×10−4モル%)を同時に素早く注入して重合を開始させたが、反応温度はなかなか上昇せず5時間で4℃しかなく、反応溶液に僅かに粘性がみられた程度で殆ど反応していなかった。フマル酸の代わりにマレイン酸を加えても同様であった。
【0057】
【表3】
Figure 0003568270
【0058】
【発明の効果】
一般的に、重合開始剤の増加にともない重合完結時間は短縮されるが、その反面得られる重合体の分子量は重合開始剤の増加にともない低下する。しかるに、本発明の酸化還元系重合開始剤による重合においては、二種以上の酸化剤を併用して重合を行う方法により、酸化還元系重合開始剤単独で使用した場合と比較して重合完結時間は大幅に短縮でき(約1/4〜3/4に短縮)、この現象は一般的な理論より推定される結果と異なり、得られた重合体の溶解性及び分子量を全く低下させることなく重合を行うことができる。また、重合開始剤濃度が極端に低いわけではないので、未反応単量体の残存が非常に少なく、重合の再現性がよく重合完結時間がほぼ一定となる。このように未反応単量体の残存量を非常に少なくして、比較的再現性よく重合を行うことが可能で、高分子量アクリルアミド系重合体の性能を低下させることなく重合完結時間を短縮できるので、製造施設及び装置の面からの制限が軽減でき、生産性が大幅に向上され製造コストの低減が可能となる。

Claims (8)

  1. 酸化還元系重合開始剤存在下に(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミドと共重合可能な一種以上の不飽和単量体の重合を行い、アクリルアミド系重合体を製造する方法であって、過硫酸塩、過酸化水素、金属過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、ケトンパーオキサイド、ジアルキルペルオキシジカルボネート,過酸及び過酸エステルからなる群より選ばれる二種以上の酸化剤と還元剤よりなる酸化還元系重合開始剤の存在下に重合を行うことを特徴とする高分子量アクリルアミド系重合体の製造方法。
  2. 二種以上の酸化剤が過硫酸塩と過酸化水素、過硫酸塩とヒドロペルオキシド、過硫酸塩と過酸化ジアルキル、過硫酸塩と過酸化ジアシル、過硫酸塩とケトンパーオキサイド、過硫酸塩とジアルキルペルオキシジカルボネート、過硫酸塩と過酸、過硫酸塩と過酸エステル、過硫酸塩と高分子系酸化物、過酸化水素とヒドロペルオキシド、過酸化水素と過酸化ジアルキル、過酸化水素と過酸化ジアシル、過酸化水素とケトンパーオキサイド、過酸化水素とジアルキルペルオキシジカルボネート、過酸化水素と過酸、過酸化水素と過酸エステル、過酸化水素と高分子系酸化物、ヒドロペルオキシドと過酸化ジアルキル、ヒドロペルオキシドと過酸化ジアシル、ヒドロペルオキシドとケトンパーオキサイド、ヒドロペルオキシドとジアルキルペルオキシジカルボネート、ヒドロペルオキシドと過酸、ヒドロペルオキシドと過酸エステル、ヒドロペルオキシドと高分子系酸化物、過酸化ジアルキルと過酸化ジアシル、過酸化ジアルキルとケトンパーオキサイド、過酸化ジアルキルとジアルキルペルオキシジカルボネート、過酸化ジアルキルと過酸、過酸化ジアルキルと過酸エステル、過酸化ジアルキルと高分子系酸化物、過酸化ジアシルとケトンパーオキサイド、過酸化ジアシルとジアルキルペルオキシジカルボネート、過酸化ジアシルと過酸、過酸化ジアシルと過酸エステル、過酸化ジアシルと高分子系酸化物、ケトンパーオキサイドとジアルキルペルオキシジカルボネート、ケトンパーオキサイドと過酸、ケトンパーオキサイドと過酸エステル、ケトンパーオキサイドと高分子系過酸化物、ジアルキルペルオキシジカルボネートと過酸、ジアルキルペルオキシジカルボネートと過酸エステル、ジアルキルペルオキシジカルボネートと高分子系酸化物、過酸と高分子系酸化物、過酸エステルと高分子系酸化物からなる組み合わせである請求項1記載の製造方法。
  3. 還元剤が低原子価の遷移金属イオンの塩、低原子価の硫黄酸化物、有機アミン、還元糖からなる群より選ばれる還元剤である請求項1記載の製造方法。
  4. 重合開始剤の添加量が単量体に対する酸化剤総量で、1×10−4〜0.5モル%の範囲であり、酸化剤に対する還元剤の使用比率が酸化剤1モルに対して0.01〜10倍モルである請求項1記載の製造方法。
  5. アゾ系重合開始剤をさらに単量体に対し1×10−3〜5モル%添加する請求項4記載の製造方法。
  6. 重合の開始を−10〜40℃で行い、その後自発的な昇温により重合を行わせる請求項1記載の製造方法。
  7. 重合体の重量平均分子量が200万〜2000万である請求項1記載の製造方法。
  8. 得られた重合体を更に細断し、乾燥し、粉砕して粉末状とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
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