JP3568237B2 - 頭髪処理剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は頭髪処理剤組成物に係わり、詳しくは頭髪に持続性のある柔軟性を付与するための頭髪処理剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
頭髪は、ドライヤー、パーマ、ヘアダイなどを施すと、物理的、化学的な損傷を受け、そのためパサツキ、枝毛などが生じて、その正常な状態を損なわれる。そこで、従来、かかる頭髪の損傷を防止したり、損傷した頭髪を修復して正常な状態に回復させたりするために、ヘアリンス、ヘアトリートメントなどの種々の頭髪処理剤組成物が開発され、一部実用されている。
【0003】
その多くは、第4級アンモニウム塩に代表されるカチオン性界面活性剤、カチオン性重合体、ポリマーラテックスなどの頭髪改質成分を頭髪の表面に吸着させたり、アミノ酸などを頭髪の内部に浸透せしめたりすることにより、頭髪の保護乃至改善を図るものであるが、その効果に持続性が無いという問題があった。
【0004】
損傷した頭髪に持続性のある修復を施すために、有機溶剤で頭髪を膨潤させ、もって頭髪改質成分を頭髪の内部に浸透させることにより、頭髪の内部から修復を図る方法が提案されており、頭髪処理剤組成物として、例えば、システイン類の誘導体と、有機溶剤と、カチオン性重合体(頭髪改質成分)とを組み合わせたものが提案されている(特開平2−178216号公報)。
【0005】
しかしながら、この公報に開示の頭髪処理剤組成物では、頭髪改質成分が頭髪の深部にまで浸透せず、頭髪の深部に作用することがないため、頭髪に一時的な柔軟性を付与することはできても、持続性のある柔軟性を付与することはできないという問題がある。
【0006】
また、頭髪をセットし、且つ改質するための頭髪処理剤組成物として、ケラチン還元性化合物と、有機溶剤とを組み合わせたものが提案されている(特開平5−294812号公報)。
【0007】
しかしながら、この公報に開示の頭髪処理剤組成物では、充分に満足の行く程度の柔軟性が頭髪に付与されないという問題がある。
【0008】
そこで、鋭意研究した結果、本発明者らは、頭髪改質成分としての特定の第4級アンモニウム塩を特定のケラチン還元物質及び特定の有機溶剤と併用することにより、該第4級アンモニウム塩が頭髪の深部にまで速やかに、且つ多量に浸透し、頭髪に非常に優れた柔軟性を長期にわたって付与することができる頭髪処理剤組成物が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づきなされたものであって、その目的とするところは、頭髪改質成分の頭髪への吸収・付着性(以下、「収着性」と称する。)及び浸透性を改善することにより、頭髪に持続性のある優れた柔軟性を付与し得る頭髪処理剤組成物を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る頭髪処理剤組成物は、チオグリコール酸アンモニウム及びLーシステインよりなる群から選ばれた少なくとも一種のケラチン還元物質(A)0.1〜10重量%と、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジミリスチルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及び塩化ジオレイルジメチルアンモニウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の第4級アンモニウム塩(B)0.01〜10重量%と、ペンタノール、ヘキサノール、2−フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、α−メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選ばれた少なくとも一種の有機溶剤(C)0.5〜50重量%とを含有してなる。
【0011】
本発明におけるケラチン還元物質(A)は、チオグリコール酸アンモニウム及びLーシステインより選択される。
【0012】
本発明におけるケラチン還元物質(A)は、1種単独を配合してもよく、必要に応じて2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0013】
本発明におけるケラチン還元物質(A)の配合量は、組成物の全量に基づき、0.1〜10重量%、好ましくは1.0〜8.0重量%である。同配合量が0.1重量%未満の場合は柔軟性付与効果が充分に発現されず、一方同配合量が10重量%を越えた場合は頭髪の損傷が激しくなって、滑らかな感触が損なわれる。
【0014】
本発明における第4級アンモニウム塩(B)は、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジミリスチルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及び塩化ジオレイルジメチルアンモニウムより選択される。これらの第4級アンモニウム塩は、優れた柔軟性を付与する。
【0015】
本発明における第4級アンモニウム塩(B)は、1種単独を配合してもよく、必要に応じて2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0016】
本発明における第4級アンモニウム塩(B)の配合量は、組成物の全量に基づき、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜7重量%である。同配合量が0.01重量%未満の場合は柔軟性付与効果が充分に発現されず、一方同配合量が10重量%を越えた場合は、増量に相応した柔軟性向上効果が得られないばかりでなく、皮膚に対する刺激性が強くなる。
【0017】
本発明における有機溶剤(C)は、ペンタノール、ヘキサノール、2−フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、α−メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びジメチルベンジルカルビノールより選択される。これらの有機溶剤は浸透性促進効果が高い。
【0018】
本発明における有機溶剤(C)は、1種単独を配合してもよく、必要に応じて2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0019】
本発明における有機溶剤(C)の配合量は、組成物の全量に基づき、0.5〜50重量%、好ましくは1.0〜20重量%である。同配合量が0.5重量%未満の場合は浸透性促進効果が認められず、一方同配合量が50重量%を越えた場合は、組成物としての剤の安定性が悪くなる。
【0020】
本発明に係る頭髪処理剤組成物は、ケラチン還元物質(A)、第4級アンモニウム塩(B)及び有機溶剤(C)の全てを1剤に含有する1剤式の頭髪処理剤組成物であってもよく、ケラチン還元物質(A)を含有する第1液と、第4級アンモニウム塩(B)及び有機溶剤(C)を含有する第2液とからなる2剤式の頭髪処理剤組成物であってもよい。この種の2剤式の頭髪処理剤組成物とした場合には、頭髪に効率的に柔軟性を付与することができる。
【0021】
その他、必要に応じて、本発明の頭髪処理剤組成物に、その性能を損なわない範囲で、さらに油分、着色料、上記の第4級アンモニウム塩(B)を除く他の界面活性剤、pH調整剤、金属封鎖剤、香料、水、エタノールなど、頭髪処理剤用として従来公知の成分を配合してもよい。
【0022】
本発明に係る頭髪処理剤組成物は常法により製造することができ、液状、乳液状、クリーム状、泡沫状など種々の形態とすることができ、またリンス、トリートメント、ヘアクリーム、ヘアブローなどとして、通常の使用法により頭髪に適用することができる。なお、必要に応じて、本発明に係る頭髪処理剤組成物を頭髪に適用した後に、酸化剤による処理を施すことも可能である。
【0023】
【作用】
頭髪改質成分(柔軟性付与成分)たる特定の第4級アンモニウム塩に特定のケラチン還元物質及び特定の有機溶剤が添加配合されているので、該第4級アンモニウム塩の頭髪に対する収着性及び浸透性が向上する。その結果、持続性のある優れた柔軟性が頭髪に付与される。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。なお、以下において、「%」は、「重量%」を示す。
【0025】
〔実施例1〜13及び比較例1〜6(ヘアトリートメント)〕
表1及び表2に実施例1〜13及び比較例1〜6として示す19種の頭髪処理剤組成物(ヘアトリートメント)を常法にて調製し、各頭髪処理剤組成物の収着性、浸透性、柔軟性の各評価及びこれらの各評価に基づく総合評価を、次の評価方法により行った。
【0026】
【表1】
Figure 0003568237
【0027】
【表2】
Figure 0003568237
【0028】
(評価方法)
1.収着性の評価
予め重量を正確に測定した毛束約1gを、40°Cに保持した各頭髪処理剤組成物に浸漬した後、水ですすぎ、室温で乾燥した。乾燥後の重量を正確に測定し、処理前の重量に対する増加量すなわち吸収・付着量(以下、収着量と記す)の割合を%で求め、収着性を次の判定基準で評価した。
◎:収着量(%)が10%以上のもの
○:収着量(%)が5%以上10%未満のもの
△:収着量(%)が2%以上5%未満のもの
×:収着量(%)が2%未満のもの
【0029】
2.浸透性の評価
毛束1gを、40°Cに保持した各頭髪処理剤組成物に浸漬した後、水ですすぎ、室温で乾燥した。乾燥後の頭髪の断面をアニオン性染料であるオレンジIIの0.1%水溶液で染色した後、染色度合を顕微鏡で観察し、頭髪の断面の半径(r)に対する浸透度を次の判定基準で評価した。
5:完全に中心まで浸透しているもの
4:3r/4まで浸透しているもの(r:頭髪の断面の半径)
3:2r/4まで浸透しているもの
2:r/4まで浸透しているもの
1:表面付着のみのもの
【0030】
3.柔軟性の評価
毛束8gを、各頭髪処理剤組成物にて処理した後、専門パネラー(20代女性)5名で、柔軟性を、次の判定基準で官能的に評価した。
◎:4名以上が柔軟性があると回答したもの
○:3名が柔軟性があると回答したもの
△:2名が柔軟性があると回答したもの
×:1名以下が柔軟性があると回答したもの
【0031】
4.総合評価
上記1〜3の3項目についての評価結果に基づき、各頭髪処理剤組成物を次の判定基準で総合評価した。
Figure 0003568237
【0032】
上記1〜4の各評価結果を、先の表1及び表2に示す。両表に示すように、実施例の頭髪処理剤組成物は、収着性、浸透性及び柔軟性のいずれも優れており、頭髪処理剤組成物として高い総合評価を与え得るものであるのに対して、比較例の頭髪処理剤組成物は、上記3つの評価項目のうちの少なくとも1項目の点で極端に劣っており、頭髪処理剤組成物として低い総合評価しか与え得ないものである。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る頭髪処理剤組成物は、頭髪改質成分たる特定の第4級アンモニウム塩が、特定の有機溶剤及びケラチン還元物質の作用により、頭髪の深部にまで多量に浸透するので、頭髪に持続性のある優れた柔軟性を付与する。

Claims (2)

  1. チオグリコール酸アンモニウム及びLーシステインよりなる群から選ばれた少なくとも一種のケラチン還元物質(A)0.1〜10重量%と、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジミリスチルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及び塩化ジオレイルジメチルアンモニウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の第4級アンモニウム塩(B)0.01〜10重量%と、ペンタノール、ヘキサノール、2−フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、α−メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選ばれた少なくとも一種の有機溶剤(C)0.5〜50重量%とを含有することを特徴とする頭髪処理剤組成物。
  2. 第1液と第2液とからなる2剤式の頭髪処理剤組成物において、前記第1液がチオグリコール酸アンモニウム及びLーシステインよりなる群から選ばれた少なくとも一種のケラチン還元物質(A)を前記頭髪処理剤組成物の全量に基づき0.1〜10重量%含有し、前記第2液が塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジミリスチルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及び塩化ジオレイルジメチルアンモニウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の第4級アンモニウム塩(B)を前記頭髪処理剤組成物の全量に基づき0.01〜10重量%及びペンタノール、ヘキサノール、2−フェニルエタノール、ケイ皮アルコール、フェニルプロパノール、α−メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びジメチルベンジルカルビノールよりなる群から選ばれた少なくとも一種の有機溶剤(C)を前記頭髪処理剤組成物の全量に基づき0.5〜50重量%含有することを特徴とする頭髪処理剤組成物。
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