JP3567148B2 - 歪み補償装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば無線送信装置に備えられた増幅器の非線形性を補償するために当該増幅器により増幅される信号に対して予め歪み補償用の歪みを発生させるプリディストーション型歪み補償増幅器などに適用可能な歪み補償装置などに関し、特に、信号レベルと歪み補償用歪みの発生の制御態様とを対応付けた制御態様情報に基づいて歪み補償を行う場合に、発生頻度が小さい大きい信号レベルに対応した制御態様情報の更新を効率化することなどを可能とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、移動体通信システムに設けられる無線基地局装置などに備えられて使用される増幅器では、増幅器の非線形性に起因して発生する隣接チャネル漏洩電力や相互変調歪みなどにより送信スペクトルが劣化してしまうことが問題となっている。ここで、増幅器としては、例えば電力増幅器(PA:Power Amplifier)などが用いられる。
【0003】
図7には、非線形な特性を有する増幅器の入出力特性の一例を示してあり、横軸は増幅器に入力される信号の振幅を示しており、左側の縦軸は増幅器から出力される信号の振幅を示しており、右側の縦軸は増幅器から出力される信号の位相を示している。また、同図では、AM(Amplitude Modulation)−AM変換の特性の一例を(a)として示してあり、AM−AM変換が無いとした場合における振幅に関する理想的な入出力特性の一例を(b)として示してあり、AM−PM(Phase Modulation)変換の特性の一例を(c)として示してある。
【0004】
同図に示されるように、通常の増幅器の入出力特性では、AM−AM変換と呼ばれる出力振幅の飽和特性があって、出力振幅が増大するに従って理想特性からのずれが大きくなることが生じるとともに、AM−PM変換と呼ばれる出力位相の入力振幅による変化があって、出力振幅が増大するに従って出力位相が回転することが生じる。このため、増幅器では、入力振幅が飽和点から十分に小さい点では振幅に関する入出力特性は直線的であり出力位相の変化も無いが、入力振幅が飽和点に近づくにつれて、出力振幅は飽和し出力位相は回転し始めることにより、非線形特性が発生する。そして、このような非線形特性の結果として、送信帯域外への電力の漏れ込みなどによる送信スペクトルの劣化が招かれてしまう。
【0005】
このような送信スペクトルの劣化を改善する方法として、増幅器の非線形性を補償するように増幅器の前段において増幅器により増幅される信号に対して振幅の逆特性及び位相の逆特性を与えておき、これにより当該逆特性と増幅器の非線形特性との総和として増幅器の出力が理想特性に従ったものとなるようにするプリディストーション法が知られている。
【0006】
図8には、このようなプリディストーション法において非線形増幅器の入出力特性の逆特性を与える歪み補償特性の一例を示してあり、横軸は入力振幅を示しており、左側の縦軸は出力振幅を示しており、右側の縦軸は出力位相を示している。また、同図では、AM−AM変換に対応した歪み補償特性の一例を(a)として示してあり、AM−AM変換の特性を打ち消した場合における理想的な入出力特性の一例を(b)として示してあり、AM−PM変換に対応した歪み補償特性の一例を(c)として示してある。
【0007】
図9には、従来のプリディストーション型歪み補償回路の構成例を示してあり、このプリディストーション型歪み補償回路には、入力端子P11と出力端子P12との間に設けられる回路として、遅延線41と、可変減衰器(ATT)61及び可変移相器62を有したプリディストーション回路42と、例えば電力増幅器を用いて構成される増幅器43と、分配器44と、パワー検出器45と、A/D(Analog/Digital)変換器46と、ATT制御テーブル記憶回路47と、移相制御テーブル記憶回路48と、2つのD/A(Digital/Analog)変換器49、50と、歪み検出回路51と、歪み補償テーブル更新制御回路52とが備えられている。
【0008】
同図に示したプリディストーション型歪み補償回路の動作例を示す。
まず、入力端子P11から例えば送信対象となる無線周波数の信号を入力する。
入力される無線周波数信号を2つに分配して、一方の分配信号をパワー検出器45に入力し、他方の分配信号を時間差調整用の遅延線41に入力する。なお、遅延線41は、プリディストーション回路42により入力信号に対して歪み補償が行われる際に、当該歪み補償が当該入力信号のレベルに基づいて制御されるように、信号の伝送タイミングを調整する。
【0009】
パワー検出器45は、入力される無線周波数信号のエンベロープ(包絡線)を検出し、アナログの当該検出結果をA/D変換器46へ出力する。
A/D変換器46は、入力されるアナログのエンベロープレベルをデジタル化し、当該デジタル化により得られるエンベロープデータをATT制御テーブル記憶回路47及び移相制御テーブル記憶回路48へ出力する。
【0010】
ATT制御テーブル記憶回路47は、アドレス値とATT制御値とを対応付けたATT制御テーブルの情報をメモリに格納しており、入力されるエンベロープデータをメモリのアドレス値として用いて、当該エンベロープデータのアドレス値に対応して格納されているテーブル値(ATT制御値)をプリディストーションデータとして読み出してD/A変換器49へ出力する。
【0011】
同様に、移相制御テーブル記憶回路48は、アドレス値と移相器制御値とを対応付けた移相制御テーブルの情報をメモリに格納しており、入力されるエンベロープデータをメモリのアドレス値として用いて、当該エンベロープデータのアドレス値に対応して格納されているテーブル値(移相器制御値)をプリディストーションデータとして読み出してD/A変換器50へ出力する。
【0012】
D/A変換器49は、入力されるデジタルのATT制御値をアナログ化して可変減衰器61の制御端子へ出力する。
同様に、D/A変換器50は、入力されるデジタルの移相器制御値をデジタル化して可変移相器62へ出力する。
【0013】
遅延線41を介して出力される無線周波数信号はプリディストーション回路42に入力され、当該プリディストーション回路42では、可変減衰器61が入力されるATT制御値により制御される減衰率で当該信号に対して振幅歪みを発生させ、可変移相器62が入力される移相器制御値により制御される移相量(位相変化量)で当該信号に対して位相歪みを発生させる。ここで、可変減衰器61により発生させる振幅歪みや可変移相器62により発生させる位相歪みは、例えば上記図8に示したようなAM−AM変換の逆特性やAM−PM変換の逆特性を実現するようにATT制御値や移相器制御値により制御され、これにより、送信スペクトルの劣化が軽減させられる。
【0014】
プリディストーション回路42により歪み補償用の振幅歪みや位相歪みが発生させられた無線周波数信号は増幅器43に入力され、当該増幅器43は当該無線周波数信号を増幅し、当該増幅信号を分配器44を介して出力端子P12から後段の送信アンテナ(図示せず)へ出力する。ここで、上述のように、増幅器43で発生する非線形の歪みがプリディストーション回路42で発生させられる歪みにより打ち消される。
【0015】
分配器44は、入力される増幅信号を2つに分配して、一方の分配信号を出力端子P12へ出力し、他方の分配信号を歪み検出回路51へ出力する。
歪み検出回路51は、入力される増幅信号の中から、増幅器43で発生した非線形歪みに起因する送信スペクトルの歪みのレベルを検出し、当該検出結果を歪み補償テーブル更新制御回路52へ出力する。
【0016】
歪み補償テーブル更新制御回路52は、歪み検出回路51から入力される検出結果に基づいて、当該歪み検出回路51により検出される歪みのレベルが例えば最小となるように、ATT制御テーブル記憶回路47に格納されたATT制御テーブルの記憶内容や移相制御テーブル記憶回路48に格納された移相制御テーブルの記憶内容を更新する。このような更新により、例えば温度変化や経年変化などに対応して増幅器43などの処理部の特性が変化したような場合などにおいても、歪み補償の精度を保証することができ、適切な歪み補償を実現することができる。
【0017】
また、上記した歪み補償テーブル更新制御回路52により行われる動作の具体的な一例を示す。
図10(a)には、ATT制御テーブルの構成例を示してあり、同図(b)には、移相制御テーブルの構成例を示してある。
【0018】
同図(a)に示されるように、ATT制御テーブルは、例えばnワード分の領域から構成されており、当該nワード分の領域が予めMブロックに等分割されており、各ブロック単位でテーブル値として格納されているATT制御値が更新させられる。
同様に、同図(b)に示されるように、移相制御テーブルは、例えばnワード分の領域から構成されており、当該nワード分の領域が予めMブロックに等分割されており、各ブロック単位でテーブル値として格納されている移相器制御値が更新させられる。
【0019】
ここで、同図(a)及び同図(b)の例では、上記したnが16進数でアドレス00〜FF(H:Hex)までの256(ワード)であり、上記したMが8(ブロック)である場合を示したが、それぞれ任意の数であってもよい。なお、通常は、nは複数であり、Mは複数である。
【0020】
ブロック毎にテーブル値を更新する順序としては、一例として、入力振幅が小さい下位のブロックからATT制御テーブルのテーブル値及び移相制御テーブルのテーブル値を交互に最適化するように更新し、次第に入力振幅が大きい上位のブロックに関する更新を行っていく順序が用いられ、最も上位のブロックに関する更新を行った後には再び最も下位のブロックに関する更新を行うように、複数のブロックをループさせて更新を行う。なお、他の例として、これとは逆の順序で、つまり、上位のブロックから下位のブロックへという順序で、更新を行うことも可能である。
【0021】
具体的には、同図(a)及び同図(b)の例では、ATT制御テーブルが8個のブロック(ATTテーブルブロック1〜8)から構成されており、移相制御テーブルが8個のブロック(移相テーブルブロック1〜8)から構成されており、最も下位の“ATTテーブルブロック1”、最も下位の“移相テーブルブロック1” 2番目に下位の“ATTテーブルブロック2”、2番目に下位の“移相テーブルブロック2”、…、2番目に上位の“ATTテーブルブロック7”、2番目に上位の“移相テーブルブロック7”、最も上位の“ATTテーブルブロック8”、最も上位の“移相テーブルブロック8”、最も下位の“ATTテーブルブロック1”、最も下位の“移相テーブルブロック1”、…という順序でテーブル値を更新する。
【0022】
なお、テーブル値を更新する順序としては、上記したもの以外の順序を用いることも可能であるが、例えば上記のように下位のブロックから上位のブロックへ又は上位のブロックから下位のブロックへという順序で更新を行うと各ブロック間の境界におけるテーブル値の連続性を保つことができるといった点や各ブロックのテーブル値の収束性を保つことができるといった点に鑑みると、このように下位から上位へ又は上位から下位へとループ的に更新を行うのが好ましい。
【0023】
図11を参照して、歪み補償テーブル更新制御回路52により行われる歪み補償テーブルの更新処理の手順の一例を示す。
まず、処理の最初では更新対象となるブロックの番号Nを1に設定し(ステップS21)、そして、以下に示すような処理を実行する。なお、後述するように、更新対象となるブロックの番号Nは1つずつ更新されて、それぞれのブロック番号Nに関して以下に示すような処理を順次実行していく。
【0024】
すなわち、まず、ブロック番号Nに対応したATTテーブルブロックNに含まれる全てのテーブル値(ATT制御値)に関して、前回の更新が有効に確定されて前回の制御方向がプラス(+)であった場合には当該テーブル値を所定量+Δだけ変化(シフト)させ、前回の更新が有効に確定されて前回の制御方向がマイナス(−)であった場合には当該テーブル値を所定量−Δだけ変化させ、前回の更新が無効に確定されて前回の制御方向がマイナス(−)であった場合には制御方向をプラス(+)に変更して当該テーブル値を所定量+Δだけ変化させ、前回の更新が無効に確定されて前回の制御方向がプラス(+)であった場合には制御方向をマイナス(−)に変更して当該テーブル値を所定量−Δだけ変化させる(ステップS22)。なお、ここで行っているテーブル値の変更は、仮の更新であって、後述するように、当該変更(仮の更新)の結果に応じて当該変更は有効な更新として確定されるか或いは無効な更新として確定される。
【0025】
次に、このような変更(仮の更新)が行われたテーブル値が用いられて歪み補償された増幅器43の出力信号に含まれる歪みのレベルを歪み検出回路51により検出する(ステップS23)。なお、このようにして検出される歪みレベルは、例えば同一のブロック番号Nの移相テーブルブロックNなどの更新が次回などに行われる際に用いられるため、メモリに記憶しておく。
【0026】
次に、今回の更新処理において検出された歪みレベルと記憶されている前回の更新処理における歪みレベルとの大小を比較して、今回の歪みレベルが前回の歪みレベルより小さい場合には上記で行ったテーブル値の変更(仮の更新)を有効に確定させる一方、今回の歪みレベルが前回の歪みレベルより大きい場合には上記で行ったテーブル値の変更(仮の更新)を無効に確定させて当該変更前のテーブル値に戻すような更新を行うことにより、検出される歪みレベルが最小となるように小さくしていく(ステップS24)。
【0027】
なお、今回の歪みレベルと前回の歪みレベルとが同一であった場合には、例えばテーブル値の更新処理の方式などに応じて、テーブル値の変更(仮の更新)が有効にされてもよく或いは無効にされてもよい。
また、本例のようなテーブル値の更新方法は、一般に、最急勾配法(最急降下法)による制御法などを用いて実現される。
【0028】
また、前回の歪みレベルとしては、特に限定はないが、例えば、同一のブロック番号Nの移相テーブルブロックNの前回の更新が有効であった場合には当該更新を有効とした場合における歪みレベルが用いられ、当該前回の更新が無効であった場合には当該更新を無効とした場合における歪みレベル、つまり、当該前回の前における歪みレベルが用いられる。
【0029】
次に、上記のようにして更新したATTテーブルブロックNと同一のブロック番号Nに対応した移相テーブルブロックNに含まれる全てのテーブル値(移相器制御値)に関して、上記と同様なテーブル値の更新処理を実行する。
つまり、まず、テーブル値を所定の量だけ変更(仮の更新)し(ステップS25)、当該変更後における歪みレベルを検出し(ステップS26)、当該検出結果と前回における歪みレベルとの大小を比較して、当該比較結果に基づいて当該変更(仮の更新)を有効或いは無効に確定させてテーブル値を更新することにより、検出される歪みレベルが最小となるように小さくしていく(ステップS27)。
【0030】
次に、更新対象となるブロック番号Nを1だけ増加させ(ステップS28)、当該増加後のブロック番号Nが最大振幅に対応した最上位のブロック(上記図10(a)、(b)の例では、8番目のブロック)の番号より大きいか否かを判定する(ステップS29)。この判定の結果(ステップS29)、増加後のブロック番号Nが最上位のブロック番号より大きい場合には、複数のブロックの1周分のループが終了したとみなして、ブロック番号N=1と設定して(ステップS30)、再び上記と同様に、ATT制御テーブルの更新処理及び移相制御テーブルの更新処理などを実行する(ステップS22〜ステップS30)。
【0031】
一方、この判定の結果(ステップS29)、増加後のブロック番号Nが最上位のブロック番号以下である場合には、当該増加後のブロック番号Nに関して、再び上記と同様に、ATT制御テーブルの更新処理及び移相制御テーブルの更新処理などを実行する(ステップS22〜ステップS30)。
【0032】
このように、最小振幅のブロック番号1に対応したブロックから最大振幅のブロック番号Mに対応したブロックまで順番に更新処理を実行した後に、再び、ブロック番号1に対応したブロックに戻って更新処理を実行する制御を繰り返して行うことにより、ATT制御テーブルや移相制御テーブルといった歪み補償テーブルのプリディストーション用のテーブル値が適切な値へ収束していき、これにより、適切な歪み補償が実現される。
【0033】
本例のように無線周波数帯域で信号を直接的にプリディストーション処理する構成を用いると、例えば複数の周波数のキャリア信号を同時に歪み補償することなどが可能であり、これにより、送信電力や消費電力を改善することができ、増幅器43の高効率化を実現することができる利点がある。
【0034】
なお、例えばベースバンド信号のI成分及びQ成分をキャリア毎に入力してその電力値(I+Q)をアドレス値としてプリディストーションを行う歪み補償装置も検討等されているが、この構成では、複数のキャリアを同時に扱うことが難しいと考えられる。これは、増幅器では複数のキャリアの合成信号の振幅に依存して歪みが発生するためである。本例のように、無線周波数帯の信号を処理する場合には、単数のキャリアであるか或いは複数のキャリアであるかにかかわらず、帯域信号として扱われるため、複数のキャリアを同時に歪み補償することが容易に可能である。また、無線帯域で複数のキャリアを同時に処理することが可能な従来のフィードフォワード型歪み補償方式では、電力効率の点で不利があると考えられる。
【0035】
また、歪み補償に関して、従来の技術例を紹介しておく。
例えば、特開平8−37427号公報(以下で、文献1と言う)に記載の「非線形特性発生回路」では、入力高周波信号の包絡線レベルを検出し、検出された包絡線レベルに基づいて所望の入出力非線形特性に従った制御信号を生成し、当該制御信号に従って入力高周波信号の振幅変調や位相変調が行われている。なお、この文献1に記載された回路では、例えば後述する本発明と比較すると、フィードバックを用いた歪み補償の適正化は行われていない。
【0036】
また、特開2000−261252号公報(以下で、文献2と言う)に記載の「歪補償電力増幅回路」では、入力信号を包絡線検波した結果と出力信号を包絡線検波した結果との差を歪み成分として検出し、検出される歪み成分がゼロとなるような制御信号によりプリディストーションで発生させる3次歪みの振幅や位相を制御することが行われている。なお、この文献2に記載された回路では、例えば後述する本発明と比較すると、入力信号のレベルに対応した歪み補償や、このような歪み補償に対するフィードバックを用いた歪み補償の適正化は行われていない。
【0037】
また、特開2000−278190号公報(以下で、文献3と言う)に記載の「エンベロープ検出型リニアライザ装置及び該リニアライザ装置に用いられる歪み補償更新方法」では、送信回路の増幅器で発生する歪みを検出して歪み補償テーブルを作成し、当該歪み補償テーブルを用いて送信するデジタル信号をプリディストーション処理するに際して、同時に更新する歪み補償テーブルの数を段階的に減らすことや、収束速度の遅い歪み補償テーブルのテーブル値を他の歪み補償テーブルのテーブル値に基づいて補間することが行われている。なお、この文献3に記載された装置などでは、例えば後述する本発明と比較すると、収束の遅いテーブル値を直接的に更新するのではなく補間していることからテーブル値の精度が悪く、また、歪み補償テーブルを構成する複数のブロックを順番に更新していくような更新方法に対応したものではない。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の歪み補償装置などを説明したが、例えば上記図9〜上記図11を用いて示したような従来の歪み補償装置では、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)方式を用いた通信のようにマルチコードの送信信号を扱う場合や、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いた通信のようにマルチキャリアの送信信号を扱うような場合には、送信信号のピークレベル対平均電力の比が大きくなり、信号のピーク値(振幅が大きい信号)の発生頻度が低くなってしまうことに起因して、入力信号の振幅が大きい場合に対応した上位のブロックのテーブル値が収束する速度が遅くなってしまうといった不具合や、このようなテーブル値の精度が悪くなってしまうといった不具合があった。
【0039】
つまり、上位のブロックのテーブル値を更新する際に振幅が大きい入力信号が発生していない場合が多く発生するが、このような場合にはテーブル値の変更(仮の更新)による影響を正しく判別することができないため、テーブル値が正しい方向へ更新されないことが多く、誤制御の頻度が高くなってしまい、これに起因して上記のような不具合が発生してしまう。
【0040】
更に詳しくは、非線形歪みは増幅器の非線形な領域を用いているときに発生するため、信号のレベルが小さいときには増幅器の線形な領域しか使用していないことから非線形歪みは発生せず、従って、上位のブロックに関するテーブル値の変更(仮の更新)の妥当性を判定したい場合に、小さいレベルの信号しか入力されないと非線形歪みが発生しないことから、当該変更の妥当性を正しく判定することができない。
【0041】
また、上記したマルチコードの通信では例えば異なる拡散符号を用いて拡散した複数の拡散信号を多重化して通信が行われ、上記したマルチキャリアの通信では例えば異なる周波数のキャリアを用いた複数のキャリア信号を多重化して通信が行われる。そして、このようなマルチコードやマルチキャリアの通信では、1つの拡散信号や1つのキャリア信号を通信する場合と比べて、通信信号のピーク値対平均電力の比が大きくなる。
【0042】
一例として、1kHz、2kHz、4kHz、8kHzの4波を合成した信号などを考えればよく、この場合、これら4波の合成により生じる電力増加は6dBであるのに対して、最大の振幅値は12dBも増大してしまう。この場合、増幅器では線形な領域が12dB分だけ多く必要となるのに対して、平均電力は6dBしか増加しないが、信号の最大振幅で決まる増幅器の消費電力は12dBだけ増加してしまうため、全体としては電力効率が低下してしまう。また、ピーク値が発生する頻度は、1波の場合と比べて4波の場合には1/4となってしまい、このように、合成される波数が増加するほどピーク値の発生頻度が低下してしまい、上記した不具合が顕著に発生してしまう。
【0043】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、信号レベルと歪み補償用歪みの発生の制御態様とを対応付けた制御態様情報に基づいて歪み補償を行うに際して、例えばマルチコードやマルチキャリアの送信信号を増幅器で増幅するような場合においても、大きい信号レベルに対応した制御態様情報の更新を効率化することなどができる歪み補償装置などを提供することを目的とする。更に具体的には、例えば歪み補償テーブルのテーブル値の収束速度を高速化することや、大きい信号レベルに対応した上位のテーブル値の精度を向上させることなどを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る歪み補償装置では、増幅器により増幅される信号のレベルと歪み補償用の歪みの発生の制御態様とを対応付けた制御態様情報に基づいて当該信号レベルに対応した制御態様で当該信号に対して歪み補償用歪みを発生させて当該増幅器で発生する歪みを補償するに際して、次のようにして、当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該制御態様情報を更新する。
すなわち、第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を、第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新する。
【0045】
更に具体的には、第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を更新する場合に、第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅されるのを待機し、当該信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該制御態様情報を更新する。
【0046】
従って、第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報が、例えば第2の閾値を超える信号レベルの信号の処理が行われるのを待機して当該処理に基づいて更新されるため、例えばマルチコードやマルチキャリアの送信信号を増幅器で増幅するような場合においても、当該第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報の精度を向上させることができ、また、当該第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報の更新速度を高速化することが可能である。
【0047】
ここで、増幅器としては、種々なものが用いられてもよく、単数の増幅器ばかりでなく、複数の増幅器の組み合わせが用いられてもよい。
また、増幅器により増幅される信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば上述のようにマルチコードやマルチキャリアの信号が用いられるのに適している。
また、信号のレベルとしては、例えば振幅のレベルや電力のレベルなどの種々なレベルを用いることが可能である。
【0048】
また、歪み補償用の歪みとしては、例えば増幅器で発生する歪みとは逆の特性を有する振幅歪みや位相歪みが発生させられるのが好ましく、つまり、増幅器で発生する歪みを打ち消すような振幅歪みや位相歪みが発生させられるのが好ましい。
また、歪みを補償する程度や、増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるようにする程度としては、例えば当該歪みのレベルがゼロとなるようにするのが好ましいが、実用上で有効な程度で他の態様が用いられてもよい。
【0049】
また、通常、増幅器で発生する歪みは当該増幅器により増幅される信号のレベルに依存し、このため、当該信号レベルに対応した制御態様を用いて歪み補償用歪みの発生を制御する。
【0050】
また、第1の閾値としては、例えば更新対象となる制御態様情報の収束速度が遅いような比較的大きい信号レベルの値が用いられる。
また、第2の閾値としては、例えば第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を更新するために参照するのに適した信号レベルの値が用いられ、具体的には、例えば、第1の閾値と同一の値を用いることができ、また、第1の閾値より大きい値を用いることができる。
【0051】
また、上記では、第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を、第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新することを述べたが、このような更新の仕方を、第1の閾値と一致する信号レベルに対応した制御態様情報の更新に適用するか否かや、第2の閾値と一致する信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に適用するか否かについては任意に設定されてもよい。
【0052】
また、本発明に係る歪み補償装置では、具体的な機能構成例として、次のようにして、歪み補償を行う。
すなわち、歪み補償用歪み発生手段が増幅器により増幅される信号に対して歪み補償用歪みを発生させ、信号レベル検出手段が増幅器により増幅される信号のレベルを検出し、制御態様情報記憶手段が制御態様情報を記憶し、歪み補償用歪み発生制御手段が制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報に基づいて信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した制御態様で歪み補償用歪み発生手段を制御する。また、歪み検出手段が増幅器から出力される信号に含まれる歪みを検出し、制御態様情報更新手段が信号レベル検出手段により検出される信号レベル及び歪み検出手段により検出される歪みに基づいて第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新する態様を用いて歪み検出手段により検出される歪みが小さくなるように制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報を更新する。
【0053】
ここで、歪み補償用歪み発生手段としては、例えば振幅歪みを発生させる可変減衰器や、位相歪みを発生させる可変移相器を用いて構成することができる。また、この場合には、制御態様情報としては、例えば可変減衰器の減衰率を制御するための情報や、可変移相器の位相変化量を制御するための情報を用いることができる。
【0054】
また、制御態様情報記憶手段としては、例えば制御態様情報を記憶するメモリを用いて構成することができる。また、この場合には、歪み補償用歪み発生制御手段としては、例えば信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した制御態様情報をメモリから読み出すような機能を用いて構成することができる。
【0055】
また、本発明に係る歪み補償装置では、好ましい態様例として、第1の閾値と第2の閾値として同一の値を用いる。
ここで、第1の閾値及び第2の閾値としては、上述のように、種々な値が用いられてもよい。
【0056】
また、本発明に係る歪み補償装置では、好ましい構成例として、次のようにして、歪み補償を行う。
すなわち、制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報は信号レベル範囲毎に複数のブロックに分割されており、最大の信号レベル範囲に対応したブロックの下限値を第1の閾値及び第2の閾値として用いる。そして、制御態様情報更新手段は、各ブロック毎を単位として制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報を更新し、最大の信号レベル範囲に対応したブロックの制御態様情報を当該ブロックの下限値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新する。
【0057】
従って、制御態様情報を構成する複数のブロックの中で最も上位のブロックの制御態様情報が、例えば当該ブロックの下限値を超える信号レベルの信号の処理が行われるのを待機して当該処理に基づいて更新されるため、例えばマルチコードやマルチキャリアの送信信号を増幅器で増幅するような場合においても、当該最上位のブロックの制御態様情報の精度を向上させることができ、また、当該最上位のブロックの制御態様情報の更新速度を高速化することが可能である。
【0058】
ここで、複数のブロックの数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、信号レベル範囲毎に制御態様情報を複数のブロックに分割するとは、具体例としては、信号レベルA〜B(ここで、A=A1)に対応した制御態様情報を、信号レベルA1〜A2に対応したブロック1、信号レベルA2〜A3に対応したブロック2、・・・、信号レベルAk〜Bに対応したブロックkに分割するようなことを言っており、この場合、各ブロックの信号レベルの範囲が上記した信号レベル範囲に相当し、kがブロックの総数に相当し、最上位のブロックkが最大の信号レベル範囲に対応したブロックに相当し、当該ブロックkの下限値が信号レベルAkに相当する。
【0059】
また、制御態様情報は、例えば互いに同じ大きさ(幅)の信号レベル範囲を有する複数のブロックに等分割されてもよく、或いは、例えば異なる大きさ(幅)の信号レベル範囲を有するブロックを含んだ複数のブロックに分割されてもよい。
【0060】
また、制御態様情報更新手段は、例えば各ブロックに含まれる全ての制御態様情報をまとめて所定の態様で更新することにより、各ブロック毎を単位として制御態様情報を更新する。この場合、分割されるブロックの数が多い方が制御態様情報を細かく更新することが可能であると考えられる一方、更新処理の負担が大きくなると考えられることから、これらを比較考量してブロックの数を設定するのがよいと考えられる。
【0061】
また、本発明に係る歪み補償装置では、好ましい機能構成例として、次のようにして、歪み補償を行う。
すなわち、制御態様情報更新手段では、比較手段が信号レベル検出手段により検出される信号レベルと最大の信号レベル範囲に対応したブロックの下限値とを比較し、割り込み信号発生手段が当該比較結果に基づいて当該信号レベルが当該下限値を超える場合に割込み信号を発生させ、当該制御態様情報更新手段は、複数のブロックの制御態様情報を信号レベル範囲が小さいものから大きいものへ又は大きいものから小さいものへと順番にループさせて更新するに際して、最大の信号レベル範囲に対応したブロックの順番になったときには、割込み信号発生手段により割込み信号が発生させられるのを待機して当該割込み信号が発生させられたことに応じて当該ブロックの制御態様情報を更新する。
【0062】
ここで、割り込み信号としては、種々な信号が用いられてもよい。
また、複数のブロックの制御態様情報を順番にループさせて更新する態様としては、例えば信号レベル範囲が大きいものから小さいものへの順番が用いられてもよく、或いは、信号レベル範囲が小さいものから大きいものへの順番が用いられてもよい。なお、他の更新の順序を用いることも可能である。
【0063】
また、以上に示したような本発明に係る歪み補償装置などは、例えばCDMA方式やOFDM方式を用いて信号を無線送信する移動体通信システムの送信機に適用するのに好適なものである。
一例として、本発明に係る送信機は、CDMA方式又はOFDM方式を用いて信号を無線送信する移動体通信システムの送信機であり、以上に示したような歪み補償装置を備え、送信対象となる信号を増幅する増幅器で発生する歪みを当該歪み補償装置により補償する。
【0064】
ここで、CDMA方式又はOFDM方式を用いる移動体通信システムとしては、例えばCDMA方式を用いるものや、OFDM方式を用いるものや、これら両方の方式を用いるものに適用することができる。
また、移動体通信システムとしては、例えば携帯電話システムや、簡易型携帯電話システム(PHS:Personal Handy phone System)などの種々なシステムを用いることができる。
また、送信機としては、例えば基地局装置や中継局装置や移動局装置などの種々な通信装置に備えられる送信機に適用することが可能である。
【0065】
また、本発明に係る歪み補償用制御態様情報更新方法では、増幅器により増幅される信号のレベルと歪み補償用の歪みの発生の制御態様とを対応付けた制御態様情報に基づいて当該信号レベルに対応した制御態様で当該信号に対して歪み補償用歪みを発生させて当該増幅器で発生する歪みを補償するに際して、次のようにして、当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該制御態様情報を更新する。
すなわち、制御態様情報は信号レベル範囲毎に複数のブロックに分割されており、複数のブロックを順番にループさせて、各ブロック毎を単位として制御態様情報を更新し、これに際して、最大の信号レベル範囲に対応したブロックの順番になったときには、所定の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅されるのを待機して、当該信号レベルの信号が当該増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該ブロックの制御態様情報を更新する。
【0066】
従って、上記した歪み補償装置について述べたのと同様に、例えばマルチコードやマルチキャリアの送信信号を増幅器で増幅するような場合においても、大きい信号レベルに対応した制御態様情報の更新を効率化することなどができる。
ここで、所定の閾値としては、例えば上記した歪み補償装置について述べた第2の閾値に相当する値を用いることができる。
【0067】
また、本発明に係る歪み補償用制御態様情報更新方法では、好ましい態様例として、次のような処理を実行して、制御態様情報を更新する。
すなわち、更新対象となるブロックが最大の信号レベル範囲に対応したブロックであるか否かを判定する判定処理と、更新対象となるブロックが最大の信号レベル範囲に対応したブロックではないと判定した場合に増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該更新対象となるブロックの制御態様情報を更新する最大信号レベル範囲以外更新処理と、更新対象となるブロックが最大の信号レベル範囲に対応したブロックであると判定した場合に所定の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅されるのを待機する待機処理及び当該信号レベルの信号が当該増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該更新対象となるブロックの制御態様情報を更新する最大信号レベル範囲更新処理と、を実行する。
【0068】
また、本発明に係る歪み補償用制御態様情報更新方法では、好ましい態様例として、次のような態様により、制御態様情報を更新する。
すなわち、判定処理を実行する前に更新対象となるブロックの制御態様情報を所定の量だけ変化させる所定量変化処理及び当該変化前において増幅器から出力される信号に含まれる歪みのレベルを記憶する記憶処理を実行し、最大信号レベル範囲以外更新処理及び最大信号レベル範囲更新処理では当該変化後において増幅器から出力される信号に含まれる歪みのレベルが当該変化前と比べて小さい場合には当該変化後の制御態様情報への更新を確定させる一方、大きい場合には当該変化前の制御態様情報のままとする更新を確定させる確定処理を実行する態様により、制御態様情報を更新する。
【0069】
ここで、所定の量としては、種々な量が用いられてもよく、通常は、当該量が小さい方が制御態様情報の更新を細かく行うことができる一方、収束速度が遅くなると考えられる。また、例えば更新処理の進み具合などに応じて、所定の量が変化させられるような態様が用いられてもよい。また、所定の量として、例えば同一のブロックに含まれる制御態様情報であっても、対応する信号レベルに応じて量が異なるようなものを用いることも可能である。
また、記憶処理に用いられる記憶手段としては、例えば歪みレベルの情報を記憶するメモリを用いて構成することができる。
【0070】
また、本発明に係る歪み補償用制御態様情報更新方法では、好ましい態様例として、次のようにして、制御態様情報を更新する。
すなわち、増幅器により増幅される信号に対して歪み補償用歪みとして振幅歪み及び位相歪みが発生させられ、制御態様情報には振幅歪みの発生を制御するための振幅歪み発生制御態様情報及び位相歪みの発生を制御するための位相歪み発生制御態様情報が含まれる。そして、各ブロックの制御態様情報の更新処理において、振幅歪み発生制御態様情報の更新処理と位相歪み発生制御態様情報の更新処理とを実行する。
【0071】
ここで、上記のように振幅歪み発生制御態様情報の更新処理と位相歪み発生制御態様情報の更新処理とが行われるような場合には、振幅歪みと位相歪みとに関して、例えば同一の信号レベル範囲毎に分割された複数のブロックや同一の閾値などが用いられて更新処理が行われてもよく、或いは、例えば振幅歪みと位相歪みとのそれぞれについて別個なブロックや別個な閾値などが用いられて更新処理が行われてもよい。
【0072】
以下で、テーブルブロックの数が4である場合を例として、本発明の原理を具体的に説明する。ここでは、4つのテーブルブロックをそれぞれ、テーブルブロックA、テーブルブロックB、テーブルブロックC、テーブルブロックDと表す。
【0073】
図4には、各テーブルブロックA〜Dと歪み補償特性との関係の一例を示してあり、横軸は出力振幅のレベルを示しており、縦軸は入力振幅のレベルを示しており、また、同図には、各テーブルブロックA〜Dに対応したレベルの範囲を示してある。また、同図では、歪み補償特性の一例を(a)として示してあり、増幅器で発生する歪みが無いとした場合における理想的な特性の一例を(b)として示してある。この例では、最上位のブロックDに対応した振幅レベルの下限値より少しだけ小さい振幅レベル辺りから歪み補償特性(a)が線形な特性からずれ始めている。
【0074】
また、図5(a)には、4つのテーブルブロックA〜Dから構成されたATT制御テーブルの一例を示してあり、同図(b)には、4つのテーブルブロックA〜Dから構成された移相制御テーブルの一例を示してあり、また、これらの制御テーブルのテーブル値を下位から上位へとループ状に更新する順序の一例を示してある。
また、図6には、増幅対象となる送信信号の一例を示してあり、横軸は時刻を示しており、縦軸は振幅のレベルを示しており、また、縦軸には各テーブルブロックA〜Dに対応したレベルの範囲を示してある。
【0075】
まず、図6に示した時刻範囲T1における歪み補償処理を考えると、送信信号の振幅レベルが最下位のブロックAに対応した振幅レベル範囲内であり、例えば微小なテーブル値の変化量を用いてブロックA及び最上位以外の他のブロックB、Cのテーブル値を更新していく。なお、本例では、最上位以外のブロックA、B、Cのテーブル値を順番に更新していっても、これらのブロックA、B、Cのテーブル値の精度や収束速度に関しては特に問題は生じない。
【0076】
次に、図6に示した時刻範囲T2における歪み補償処理を考えると、例えばマルチキャリアなどの伝送に見られるように、急激に最下位のブロックAに対応した振幅レベルから最上位のブロックDに対応した振幅レベルへと変化するような送信信号が入力されることが生じる。本発明の一例では、最上位のブロックDに対応した振幅レベルの下限値を閾値として、最上位以外のブロックA、B、Cについて一通りテーブル値の更新処理を実行した後には、当該閾値を超える振幅レベルを有する送信信号が入力されるのを待って、このような入力があったときに当該入力信号の増幅結果に含まれる歪みのレベルに基づいて最上位のブロックDのテーブル値の更新処理を実行する。
【0077】
なお、最上位のブロックDのテーブル値を更新するために前記閾値を超える振幅レベルを有する送信信号が入力されるのを待っている間の時間においては、例えばテーブル値の更新処理は行われず、また、このような時間において増幅器の線形性が保たれているような場合には、例えば歪み補償処理を行うことを省略することも可能である。
【0078】
【発明の実施の形態】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明に係る歪み補償装置の一例として、入力パワー検出機能を有するプリディストーション型歪み補償回路の構成例を示してあり、このプリディストーション型歪み補償回路には、入力端子P1と出力端子P2との間に設けられる回路として、例えば上記図9に示したものと同様な機能を有するものとして、遅延線1と、可変減衰器(ATT)21及び可変移相器22を有したプリディストーション回路2と、例えば電力増幅器を用いて構成される増幅器3と、分配器4と、パワー検出器5と、A/D(Analog/Digital)変換器6と、ATT制御テーブル記憶回路7と、移相制御テーブル記憶回路8と、2つのD/A(Digital/Analog)変換器9、10と、歪み検出回路11と、歪み補償テーブル更新制御回路13とが備えられている。
【0079】
そして、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、例えば上記図9に示した回路と同様な動作として、入力端子P1から入力される無線周波数信号を2つに分配し、遅延線1が一方の分配信号の遅延時間を調整し、プリディストーション回路2の可変減衰器21が当該遅延線1から入力される信号を減衰させ、プリディストーション回路2の可変移相器22が当該可変減衰器21から入力される信号の位相を変化させ、パワー検出器5が他方の分配信号の包絡線のレベルを検出し、A/D変換器6が当該検出レベルをデジタル値へ変換してアドレス値として出力し、ATT制御テーブル記憶回路7が可変減衰器21を制御するためのテーブル値(ATT制御値)の情報を記憶して当該アドレス値に対応したテーブル値を出力し、D/A変換器9が当該出力されるテーブル値をアナログ化して可変減衰器21へ出力し、移相制御テーブル記憶回路8が可変移相器22を制御するためのテーブル値(移相器制御値)の情報を記憶して当該アドレス値に対応したテーブル値を出力し、D/A変換器10が当該出力されるテーブル値をアナログ化して可変移相器22へ出力する。
【0080】
また、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、分配器4が増幅器3から出力される信号の一部を取得し、歪み検出回路11が当該一部の信号に含まれる歪みのレベルを検出し、歪み補償テーブル更新制御回路13が、後述するような本例に特徴的な制御方式を用いて、当該検出される歪みレベルが例えば最小となるようにATT制御テーブル記憶回路7に記憶されるATT制御テーブルのテーブル値(ATT制御値)や移相制御テーブル記憶回路8に記憶される移相制御テーブルのテーブル値(移相器制御値)を更新する。
【0081】
なお、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、信号を増幅する増幅器3についても当該回路に組み込んで増幅装置とした構成を示したが、例えば増幅器3については、本発明に係る歪み補償装置に備えられていてもよく、或いは、備えられていなくてもよい。
【0082】
また、図1に示したプリディストーション型歪み補償装置には、本例に特徴的な回路として、アドレス値監視回路12が備えられている。
また、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、パワー検出器5の検出結果がA/D変換器6によりデジタル化された値が、ATT制御テーブル記憶回路7及び移相制御テーブル記憶回路8へ出力されるとともに、アドレス値監視回路12へ出力される。
【0083】
また、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、歪み補償テーブル更新制御回路13により用いられる制御アルゴリズムが例えば上記図9に示したものとは異なっており、本例の歪み補償テーブル更新制御回路13では、アドレス値監視回路12から入力される割込み信号に基づく更新処理が行われる。
【0084】
アドレス値監視回路12は、A/D変換器6から入力されるデジタル値と所定の閾値とを比較し、当該デジタル値が当該閾値を超える場合には所定の割込み信号を歪み補償テーブル更新制御回路13へ出力する。
ここで、本例では、所定の閾値としては、歪み補償テーブル(ATT制御テーブル及び移相制御テーブル)を構成する最上位のブロックに対応した信号レベル範囲の下限値に対応した値が設定されている。
【0085】
また、本例では、ATT制御テーブルや移相制御テーブルのアドレス値が大きいほど大きい信号レベルに対応した制御値(ATT制御値及び移相器制御値)が格納されており、前記所定の閾値を超えるデジタル値がアドレス値として用いられる場合は、当該閾値に対応した信号レベルを超える信号レベルの信号が入力されていて増幅処理される場合に相当し、つまり、最上位のブロックに対応した信号レベル範囲の信号レベルの信号が入力されていて増幅処理される場合に相当する。
【0086】
図2には、本例のアドレス値監視回路12の構成例を示してあり、このアドレス値監視回路12には、比較閾値記憶回路31と、比較回路32と、割込み信号発生器33とが備えられている。
比較閾値記憶回路31は、例えばメモリから構成されており、予め設定された閾値を記憶しており、本例では、当該閾値として上記したように最上位のブロックに対応した信号レベル範囲の下限値が用いられている。そして、比較閾値記憶回路31は、記憶している閾値を例えばデジタル値として比較回路32へ出力する。
【0087】
比較回路32は、A/D変換器6から入力されるデジタル値と比較閾値記憶回路31から入力される閾値との大小を比較し、当該デジタル値が当該閾値より大きくなったときに、割込み信号発生器33に対して割り込みの指示を出力する。なお、A/D変換器6から入力されるデジタル値は、上述のように、増幅器3により増幅される送信信号の包絡線のレベルを示しており、ATT制御テーブル記憶回路7及び移相制御テーブル記憶回路8から制御値(ATT制御値及び移相器制御値)を読み出すためのメモリのアドレス値として用いられる。
【0088】
割込み信号発生器33は、比較回路32から割り込みの指示が入力されたことに応じて、所定の割込み信号を歪み補償テーブル更新制御回路13へ出力する。なお、具体的には、割込み信号発生器33は、例えば、比較回路32から入力される信号がハイ(High)レベルの信号である場合にパルス状の割込み信号を出力する一方、比較回路32から入力される信号がロウ(Low)レベルの信号である場合には当該パルス状の割込み信号を出力しない。
【0089】
ここで、他の例として、比較回路32としては、例えば歪み補償テーブル(ATT制御テーブル及び移相制御テーブル)のサイズ(アドレス値の範囲)が2であるような場合には、1つのブロック内で不変なビット部分であって他のブロックでは異なるビット部分となる上位アドレスバスに対するAND演算を行うような回路を用いることができる。具体的には、例えば上記図10(a)、(b)に示したように、r=8であって歪み補償テーブルが8つのブロックから構成されており、アドレス値として00(H:16進数)〜FF(H:16進数)が用いられる場合には、最上位のブロックであるテーブルブロック8(ATTテーブルブロック8及び移相テーブルブロック8)のアドレス値の範囲はE0(H)〜FF(H)となることから、アドレスバスの上位3ビットが全て1であればテーブルブロック8の領域となり、このため、当該上位3ビットのAND操作を行って、その結果が例えば1(例えばハイレベル)である場合にテーブルブロック8に対応したデジタル値であると判定して割り込みの指示を出力することができる。
【0090】
次に、図3を参照して、本例の制御アルゴリズムに基づいて本例の歪み補償テーブル更新制御回路13により行われる歪み補償テーブルの更新処理の手順の一例を示す。
まず、処理の最初では、更新対象となるブロックの番号Nを1に設定し(ステップS1)、そして、以下に示すような処理を実行する。なお、後述するように、更新対象となるブロックの番号Nは1つずつ更新されて、それぞれのブロック番号Nに関して以下に示すような処理を順次実行していく。
【0091】
すなわち、まず、ブロック番号Nに対応したATTテーブルブロックNに含まれる全てのテーブル値(ATT制御値)に関して、前回の更新が有効に確定されて前回の制御方向がプラス(+)であった場合には当該テーブル値を所定量+Δだけ変化(シフト)させ、前回の更新が有効に確定されて前回の制御方向がマイナス(−)であった場合には当該テーブル値を所定量−Δだけ変化させ、前回の更新が無効に確定されて前回の制御方向がマイナス(−)であった場合には制御方向をプラス(+)に変更して当該テーブル値を所定量+Δだけ変化させ、前回の更新が無効に確定されて前回の制御方向がプラス(+)であった場合には制御方向をマイナス(−)に変更して当該テーブル値を所定量−Δだけ変化させる(ステップS2)。なお、ここで行っているテーブル値の変更は、仮の更新であって、後述するように、当該変更(仮の更新)の結果に応じて当該変更は有効な更新として確定されるか或いは無効な更新として確定される。
【0092】
次に、ブロック番号Nが最大の振幅に対応した最上位のブロックの番号であるか否かを判定し(ステップS3)、当該最大振幅に対応したブロック番号である場合には、A/D変換器6から出力される現在のアドレス値が所定の閾値を超えてアドレス値監視回路12から割込み信号が入力されるのを待機する(ステップS6)。なお、例えば上記図10(a)、(b)に示した歪み補償テーブルの構成では、最大振幅に対応したブロックの番号は8となる。
【0093】
次に、上記の判定の結果(ステップS3)としてブロック番号Nが最大振幅に対応したブロック番号ではない場合や、或いは、最大振幅に対応したブロック番号であってアドレス値監視回路12から割込み信号が入力された場合には(ステップS6)、上記のような変更(仮の更新)が行われたテーブル値が用いられて歪み補償された増幅器3の出力信号に含まれる歪みのレベルを歪み検出回路11により検出する(ステップS4)。なお、このようにして検出される歪みレベルは、例えば同一のブロック番号Nの移相テーブルブロックNなどの更新が次回などに行われる際に用いられるため、メモリに記憶しておく。
【0094】
また、本例では、上記の判定の結果(ステップS3)としてブロック番号Nが最大振幅に対応したブロック番号であってアドレス値監視回路12から割込み信号が入力された場合には(ステップS6)A/D変換器6からのアドレス値が所定の閾値を超えたときの送信信号が増幅器3により増幅されて出力された際における歪みのレベルが歪み検出回路11により検出されるように、信号処理のタイミングが設定されており、これにより、このような場合において所定の信号レベルを超える信号が増幅器3により増幅された際に当該増幅器3から出力される信号に含まれる歪みのレベルが歪み検出回路11により検出されることが確保されている。
【0095】
次に、今回の更新処理において検出された歪みレベルと記憶されている例えば前回の更新処理における歪みレベルとの大小を比較して、今回の歪みレベルが前回の歪みレベルより小さい場合には上記で行ったテーブル値の変更(仮の更新)を有効に確定させる一方、今回の歪みレベルが前回の歪みレベルより大きい場合には上記で行ったテーブル値の変更(仮の更新)を無効に確定させて当該変更前のテーブル値に戻すような更新を行うことにより、検出される歪みレベルが最小となるように小さくしていく(ステップS5)。
【0096】
なお、今回の歪みレベルと前回の歪みレベルとが同一であった場合には、例えばテーブル値の更新処理の方式などに応じて、テーブル値の変更(仮の更新)が有効にされてもよく或いは無効にされてもよい。
また、本例のようなテーブル値の更新方法は、一般に、最急勾配法(最急降下法)による制御法などを用いて実現される。
【0097】
また、前回の歪みレベルとしては、特に限定はないが、例えば、同一のブロック番号Nの移相テーブルブロックNの前回の更新が有効であった場合には当該更新を有効とした場合における歪みレベルが用いられ、当該前回の更新が無効であった場合には当該更新を無効とした場合における歪みレベル、つまり、当該前回の前における歪みレベルが用いられる。
【0098】
次に、上記のようにして更新したATTテーブルブロックNと同一のブロック番号Nに対応した移相テーブルブロックNに含まれる全てのテーブル値(移相器制御値)に関して、上記と同様なテーブル値の更新処理を実行する。
つまり、まず、テーブル値を所定の量だけ変更(仮の更新)し(ステップS7)、ブロック番号Nが最大振幅に対応した最上位のブロックの番号であるか否かを判定して(ステップS8)、そうである場合には割込み信号が入力されるまで待機する(ステップS11)。そして、前記変更後における歪みレベルを検出し(ステップS9)、当該検出結果と前回における歪みレベルとの大小を比較して、当該比較結果に基づいて当該変更(仮の更新)を有効或いは無効に確定させてテーブル値を更新し、このような更新処理により、検出される歪みレベルが最小となるように小さくしていく(ステップS10)。
【0099】
次に、更新対象としたブロック番号Nが最大振幅に対応した最上位のブロック(上記図10(a)、(b)の例では、8番目のブロック)の番号であるか否かを判定する(ステップS12)。この判定の結果(ステップS12)、ブロック番号Nが最上位のブロック番号と一致する場合には、複数のブロックの1周分のループが終了したとみなして、ブロック番号N=1と設定して(ステップS13)、再び上記と同様に、ATT制御テーブルの更新処理及び移相制御テーブルの更新処理などを実行する(ステップS2〜ステップS14)。
【0100】
一方、この判定の結果(ステップS12)、ブロック番号Nが最上位のブロック番号と一致せずに当該ブロック番号より小さい場合には、更新対象となるブロック番号Nを1だけ増加させ(ステップS14)、当該増加後のブロック番号Nに関して、再び上記と同様に、ATT制御テーブルの更新処理及び移相制御テーブルの更新処理などを実行する(ステップS2〜ステップS14)。
【0101】
このように、本例の歪み補償テーブル更新処理では、更新対象となってテーブル値の変更(仮の更新)を行ったブロックが最大振幅に対応したブロックである場合には、歪みレベルの検出の前に、アドレス値監視回路12からの割込み信号の入力を待機することが行われ、これにより、最大振幅に対応したブロックの変更(仮の更新)によって歪みレベルに与えられる影響を確実に判断することができ、テーブル値の適切な制御方向を正確に判断することができることから、ATT制御テーブルのテーブル値や移相制御テーブルのテーブル値の収束速度を高速化することや、これらのテーブル値を精度のよい値へ収束させることができる。
【0102】
以上のように、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、例えば無線送信装置により送信される無線周波数信号を増幅出力する送信増幅器3の前段及び後段に設けられた回路により、当該送信増幅器3で発生する歪みを補償するために増幅対象となる信号に対して振幅歪み及び位相歪みを発生させ、また、このような歪み補償を適正化するように振幅歪みの発生を制御するためのテーブル値や位相歪みの発生を制御するためのテーブル値を更新し、当該更新に際して、最上位のブロックのテーブル値については当該ブロックに対応した振幅レベルの信号の処理に基づいて更新が行われるように保証した。
【0103】
具体的には、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、最大の信号レベル範囲に対応したブロックの制御態様情報を更新する場合に、当該ブロックに対応した信号レベルの信号が増幅対象となる信号として入力されて増幅器3により増幅されるまで待機し、そして、当該信号レベルの信号が増幅器3により増幅される際に当該増幅器3から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように、当該ブロックの制御態様情報を更新することが行われる。
【0104】
従って、本例のプリディストーション型歪み補償回路では、例えばマルチコードやマルチキャリアの送信信号を増幅器3により増幅するような場合においても、発生頻度が小さい大きい信号レベルに対応した制御態様情報の更新を効率化することなどができ、具体的には、歪み補償テーブルのテーブル値の収束速度を高速化することや、歪み補償テーブルのテーブル値の精度を向上させることができる。
【0105】
ここで、本例では、増幅器3が歪み補償対象となる増幅器に相当し、ATT制御テーブルのテーブル値が振幅歪みの発生に関する制御態様情報に相当し、移相制御テーブルのテーブル値が位相歪みの発生に関する制御態様情報に相当し、最上位のブロックに対応した振幅レベル範囲の下限値が第1の閾値及び第2の閾値及び所定の閾値として用いられている。
【0106】
また、本例では、可変減衰器21及び可変移相器22から構成されるプリディストーション回路2の機能により歪み補償用歪み発生手段が構成されており、パワー検出器5の機能により信号レベル検出手段が構成されており、ATT制御テーブル記憶回路7の機能により振幅歪みに関する制御態様情報記憶手段及び歪み補償用歪み発生制御手段が構成されており、移相制御テーブル記憶回路8の機能により位相歪みに関する制御態様情報記憶手段及び歪み補償用歪み発生制御手段が構成されており、歪み検出回路11の機能により歪み検出手段が構成されており、アドレス値監視回路12の機能及び歪み補償テーブル更新制御回路13の機能により制御態様情報更新手段が構成されている。
【0107】
また、本例では、比較閾値記憶回路31の機能及び比較回路32の機能により比較手段が構成されており、割込み信号発生器33の機能により割込み信号発生手段が構成されている。
【0108】
ここで、本発明に係る歪み補償装置などの構成や本発明に係る歪み補償用制御態様情報更新方法などの態様としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成や態様が用いられてもよい。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0109】
また、本発明に係る歪み補償装置や歪み補償用制御態様情報更新方法などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る歪み補償装置などによると、増幅器により増幅される信号のレベルと歪み補償用の歪みの発生の制御態様とを対応付けた制御態様情報に基づいて当該信号レベルに対応した制御態様で当該信号に対して歪み補償用歪みを発生させて当該増幅器で発生する歪みを補償するに際して、第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を、例えば第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅されるのを待機し、当該第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新するようにしたため、例えばマルチコードやマルチキャリアの送信信号を増幅器で増幅するような場合においても、当該第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報の精度を向上させることができ、また、当該第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報の更新速度を高速化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るプリディストーション型歪み補償回路の構成例を示す図である。
【図2】アドレス値監視回路の構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る歪み補償テーブルを更新する処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
【図4】テーブルブロックと歪み補償特性との関係の一例を示す図である。
【図5】ATT制御テーブル及び移相制御テーブルの一例を示す図である。
【図6】送信信号の一例を示す図である。
【図7】非線形増幅器の入出力特性の一例を示す図である。
【図8】非線形増幅器の入出力特性の逆特性を与えるプリディストーション特性の一例を示す図である。
【図9】従来例に係るプリディストーション型歪み補償回路の構成例を示す図である。
【図10】ATT制御テーブル及び移相制御テーブルの一例を示す図である。
【図11】従来例に係る歪み補償テーブルを更新する処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1・・遅延線、 2・・プリディストーション回路、 3・・増幅器、
4・・分配器、 5・・パワー検出器、 6・・A/D変換器、
7・・ATT制御テーブル記憶回路、 8・・移相制御テーブル記憶回路、
9、10・・D/A変換器、 11・・歪み検出回路、
12・・アドレス値監視回路、 13・・歪み補償テーブル更新制御回路、
P1・・入力端子、 P2・・出力端子、 31・・比較閾値記憶回路、
32・・比較回路、 33・・割込み信号発生器、

Claims (8)

  1. 増幅器により増幅される信号のレベルと歪み補償用の歪みの発生の制御態様とを対応付けた制御態様情報に基づいて当該信号レベルに対応した制御態様で当該信号に対して歪み補償用歪みを発生させて当該増幅器で発生する歪みを補償し、当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該制御態様情報を更新する歪み補償装置において、
    第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を、第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新する、
    ことを特徴とする歪み補償装置。
  2. 請求項1に記載の歪み補償装置において、
    増幅器により増幅される信号に対して歪み補償用歪みを発生させる歪み補償用歪み発生手段と、
    増幅器により増幅される信号のレベルを検出する信号レベル検出手段と、
    制御態様情報を記憶する制御態様情報記憶手段と、
    制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報に基づいて信号レベル検出手段により検出される信号レベルに対応した制御態様で歪み補償用歪み発生手段を制御する歪み補償用歪み発生制御手段と、
    増幅器から出力される信号に含まれる歪みを検出する歪み検出手段と、
    信号レベル検出手段により検出される信号レベル及び歪み検出手段により検出される歪みに基づいて第1の閾値を超える信号レベルに対応した制御態様情報を第2の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新する態様を用いて、歪み検出手段により検出される歪みが小さくなるように制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報を更新する制御態様情報更新手段と、
    を備えたことを特徴とする歪み補償装置。
  3. 請求項2に記載の歪み補償装置において、
    第1の閾値と第2の閾値とは同一の値である、
    ことを特徴とする歪み補償装置。
  4. 請求項3に記載の歪み補償装置において、
    制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報は、信号レベル範囲毎に複数のブロックに分割されており、
    最大の信号レベル範囲に対応したブロックの下限値を第1の閾値及び第2の閾値として用い、
    制御態様情報更新手段は、各ブロック毎を単位として制御態様情報記憶手段に記憶される制御態様情報を更新し、最大の信号レベル範囲に対応したブロックの制御態様情報を当該ブロックの下限値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように更新する、
    ことを特徴とする歪み補償装置。
  5. 請求項4に記載の歪み補償装置において、
    制御態様情報更新手段は、信号レベル検出手段により検出される信号レベルと最大の信号レベル範囲に対応したブロックの下限値とを比較する比較手段と、当該比較結果に基づいて当該信号レベルが当該下限値を超える場合に割込み信号を発生させる割込み信号発生手段とを有し、
    当該制御態様情報更新手段は、複数のブロックの制御態様情報を信号レベル範囲が小さいものから大きいものへ又は大きいものから小さいものへと順番にループさせて更新するに際して、最大の信号レベル範囲に対応したブロックの順番になったときには、割込み信号発生手段により割込み信号が発生させられるのを待機して当該割込み信号が発生させられたことに応じて当該ブロックの制御態様情報を更新する、
    ことを特徴とする歪み補償装置。
  6. CDMA方式又はOFDM方式を用いて信号を無線送信する移動体通信システムの送信機において、
    請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の歪み補償装置を備え、
    送信対象となる信号を増幅する増幅器で発生する歪みを当該歪み補償装置により補償する、
    ことを特徴とする移動体通信システムの送信機。
  7. 増幅器により増幅される信号のレベルと歪み補償用の歪みの発生の制御態様とを対応付けた制御態様情報に基づいて当該信号レベルに対応した制御態様で当該信号に対して歪み補償用歪みを発生させて当該増幅器で発生する歪みを補償するに際して、当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該制御態様情報を更新する歪み補償用制御態様情報更新方法において、
    制御態様情報は、信号レベル範囲毎に複数のブロックに分割されており、
    複数のブロックを順番にループさせて、各ブロック毎を単位として制御態様情報を更新し、
    最大の信号レベル範囲に対応したブロックの順番になったときには、所定の閾値を超える信号レベルの信号が増幅器により増幅されるのを待機して、当該信号レベルの信号が当該増幅器により増幅される際に当該増幅器から出力される信号に含まれる歪みが小さくなるように当該ブロックの制御態様情報を更新する、
    ことを特徴とする歪み補償用制御態様情報更新方法。
  8. 請求項7に記載の歪み補償用制御態様情報更新方法において、
    増幅器により増幅される信号に対して歪み補償用歪みとして振幅歪み及び位相歪みが発生させられ、
    制御態様情報には、振幅歪みの発生を制御するための振幅歪み発生制御態様情報、及び、位相歪みの発生を制御するための位相歪み発生制御態様情報が含まれ、
    各ブロックの制御態様情報の更新処理において、振幅歪み発生制御態様情報の更新処理と位相歪み発生制御態様情報の更新処理とを実行する、
    ことを特徴とする歪み補償用制御態様情報更新方法。
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