JP3567093B2 - 加圧調理器 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力式炊飯器、電気圧力鍋等の加圧調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の加圧調理器では、調理鍋内の調理物を所定温度又は所定内圧まで加熱する加熱工程の後、調理鍋内を密閉して一定内圧に維持する調圧工程を行う。この調圧工程の終了後は、調理鍋内を密閉状態で保持し、かつ、加熱手段を停止状態に維持する減圧工程を行う。この減圧工程では、器外への放熱により調理鍋内の温度が低下し、それに伴って調理鍋の内圧が漸次低下する。減圧工程により調理鍋の内圧が大気圧近傍まで低下すると、調理が終了し、使用者は蓋体を開放して調理物を取り出すことが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の加圧調理器では、使用者は、減圧工程により調理鍋の内圧が大気圧まで低下するのに要する時間を予め知ることができず、内圧表示装置の目盛を目視で読み取って、内圧が大気圧近傍まで低下したことを確認する必要があり、使用性が良好でない。
【0004】
本発明は、かかる従来の加圧調理器における問題に鑑み、減圧工程に要する時間を使用者が予め知ることができるようにすることを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、調理鍋と、該調理鍋を収容する本体と、該本体に開閉可能に取り付けられた上記調理鍋の開口部を閉塞する蓋体と、上記調理鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段により連続的に調理鍋を加熱する加熱工程と、該加熱工程後、上記調理鍋の内圧を一定値に維持するように加熱手段を制御する調圧工程と、該調圧工程後、加熱手段を停止状態に維持し、器外への放熱により内圧を大気圧近傍まで減圧させる減圧工程とを実行する制御手段とを備える加圧調理器において、上記減圧工程に要する時間の推定値である推定減圧所要時間を推定する減圧所要時間推定手段を有し、該減圧所要時間推定手段の算出した推定減圧所要時間を使用者に知らせるための表示手段又は報知手段を備えることを特徴とする加圧調理器を提供するものである。
【0006】
本発明の加圧調理器は、上記のように減圧所要時間推定手段が推定減圧所要時間を算出し、この推定減圧所要時間を表示手段や報知手段により使用者に知らせることができる。よって、使用者は減圧工程に要する時間、すなわち調理が終了して蓋体が開放可能となるまでに要する時間を知ることができ、使用上便利である。
【0007】
具体的には、上記加圧調理器は、上記調理鍋の内圧を検出する内圧検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、内圧検出手段により検出した減圧工程における内圧の降下勾配に基づいて上記推定減圧所要時間を算出する。
【0008】
あるいは、上記加圧調理器は、上記調理鍋の内圧を検出する内圧検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、加熱工程開始時の調理鍋の内圧の上昇勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものであってもよい。
【0009】
また、上記加圧調理器は、上記調理鍋内の調理物の温度を検出する温度検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、加熱工程開始時の調理物の温度の上昇勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものであってもよい。
【0010】
さらに、上記加圧調理器は、上記調理鍋内の調理物の温度を検出する温度検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、減圧工程開始時の調理物の温度の降下勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものであってもよい。
【0011】
(第1実施形態)
図1及び図2に示す本発明の加圧調理器であるスチームレス方式の炊飯器は、蓋体1により開閉される本体2内に導電性材料からなる内鍋3(本発明における調理鍋に相当する。)を取出し自在に配設したものである。
【0012】
上記蓋体1は、ヒンジ4により本体2に回転自在に取り付けられた蓋本体5と、放熱板6とを備えている。なお、蓋体1と本体2を係合する図示しないフックが後述するソレノイド9と連動しており、ソレノイド9の通電時には蓋体1は開放できないようになっている。
【0013】
放熱板6には内鍋3の内部と蓋本体5の内部を連通する放熱板蒸気孔6aが設けられており、この放熱板蒸気孔6aと保持部材7の間に調圧ボール8が収容されている。また、放熱板6上には調圧ボール8の駆動手段であるソレノイド9が取付けられている。ソレノイド9の非通電時には、図において一点鎖線で示すように、ソレノイド9のプランジャは突出位置にあり、調圧ボール8は、プランジャにより押され、放熱板蒸気孔6aから退避した位置にある。一方、ソレノイド9の通電時には、図において実線で示すように、ソレノイド9のプランジャは引き込み位置となり、調圧ボール8が放熱板蒸気孔6aを閉鎖する。また、放熱板6には、内鍋3の内圧を検出する圧力センサ10(本発明における内圧検出手段に相当する。)が取付けられている。
【0014】
蓋本体5には蓋本体蒸気孔5aが設けられており、上記放熱板蒸気孔6aの開放時には、この蓋本体蒸気孔5aを介して内鍋3内の蒸気が器外に排出されるようになっている。
【0015】
上記本体2は、非導電性材料からなり有底筒形状である。本体2の正面上部には、図2に示す操作パネル部12が設けられている。この操作パネル部12には、炊飯開始スイッチ13a、圧力設定スイッチ13b、調圧時間設定スイッチ13cのほか各種のスイッチ14が設けられている。また、操作パネル部12には公知の液晶表示装置からなる表示手段16が設けられている。
【0016】
本体2の内部には、内鍋3を収容するための内胴15が設けられている。内胴15と本体2の間には、誘導加熱コイルからなる加熱手段25及び制御・推定手段26(本発明における制御手段と減圧所要時間推定手段とを兼ねている。)が配設されている。また、内胴15には内鍋3の温度を検出する温度センサ27(本発明における温度検出手段に相当する。)が取付けられている。
【0017】
上記制御・推定手段26は、マイクロコンピュータ26a、読み出し専用メモリ(ROM)26b、読み書き可能メモリ(RAM)26c及びタイマ26dを備えている。
【0018】
上記マイクロコンピュータ26aは、圧力センサ10、温度センサ27及びスイッチ13a〜13cより入力された信号を、RAM26c及びタイマ26dと協働してROM26bに記憶されたプログラムに従って処理し、加熱手段25を制御して炊飯工程を行うと共に、後述する推定減圧所要時間TM2の算出を行う。
【0019】
次に、図3から図6に示すフローチャートに基づいて、上記炊飯器による炊飯工程について説明する。
【0020】
まず、炊飯工程の前に、内鍋3内に所要量の米及びこの米が吸収するのに適した量の水を収容する。
【0021】
次に、使用者は、上記圧力設定スイッチ13bにより後述する調圧工程における内鍋3の内圧(内圧設定値P1)を設定し、調圧時間設定スイッチ13cにより調圧工程の継続時間(調圧時間TM1)を設定する。以上の設定終了後、使用者が炊飯開始スイッチ13aをオンすると、炊飯工程が開始される。炊飯開始時にソレノイド9は通電され、内鍋3が密閉される。
【0022】
まず、図3のステップS1の加熱工程が実行される。この加熱工程では、図4のステップS1−1で加熱手段25に高周波電流が連続的に通電される。その結果、図7の時刻t0から時刻t1に示すように内圧が上昇する。ステップS1−2では、図7においてΔPで示す内鍋3の内圧上昇の時間勾配が検出される。
【0023】
次に、図3のステップS2の調圧工程が実行される。この調圧工程では、図7において時刻t1から時刻t2で示すように、上記設定された調圧時間TM1の間、内鍋3の内圧を内圧設定値P1に維持する。
【0024】
まず、図5のステップS2−1で圧力センサ10の検出した内圧Pが内圧設定値P1より所定値だけ高圧のP2以上であればステップS2−2に移行し、加熱手段25への通電を停止する。次に、ステップS2−3で検出内圧Pが内圧設定値P1より所定値だけ低圧のP3以下であればステップS2−4で加熱手段25に通電する。
【0025】
ステップS2−5でタイマ26dが計測した調圧工程開始からの経過時間TMが調圧時間TM1以上であれば、ステップS2−6で加熱手段25への通電を停止する。次に、ステップ2−7に移行して内鍋3の内圧を検出した後、調圧工程を終了して図3のステップS3の減圧工程を開始する。一方、上記ステップS2−5で調圧時間TM1以上でなければステップS2−1からステップS2−4を繰り返す。
【0026】
上記減圧工程では、図7において時刻t2から時刻t3で示すように、加熱手段25に対する通電は停止された状態で維持され、器外への放熱で内鍋3内の温度が低下する。そして、この温度低下に伴って内鍋3内の内圧が低下する。
まず、図6のステップS3−1で、減圧工程に要する時間である推定減圧所要時間TM2の推定を行う。本実施形態では、まず、上記図4のステップS1−2で検出した加熱工程開始時の内鍋3の内圧上昇の時間勾配ΔPに基づいて減圧工程における内圧降下の時間勾配を推定する。そして、この推定した内圧降下の時間勾配と、上記図5のステップS2−7で検出した調圧工程終了時、すなわち減圧工程開始時における内鍋3の内圧に基づいて推定減圧所要時間TM2を算出する。
【0027】
次に、図6のステップS3−2で上記ステップS3−1で算出した推定減圧所要時間TM2を表示手段16に表示する。この表示により使用者はどの程度の時間が経過すれば、減圧工程が終了し、蓋体1を開けることができるかを知ることができ、使用上非常に便利である。なお、表示手段16に表示する推定減圧所要時間TM2を時間経過に伴って減少させ、減圧工程の残り時間の推定値を表示させるようにしてもよい。
【0028】
ステップS3−3で検出内圧Pが大気圧Pairであることが検出されると、ステップS3−4でソレノイド9が非通電となり、内鍋3は器外と連通され、減圧工程が終了する。
【0029】
なお、上記図4のステップS1−2で温度センサ27の検出する内鍋3内の調理物の温度から、加熱工程開始時の調理物の温度上昇の時間勾配を検出し、図6のステップS3−1では、この温度上昇の時間勾配から推定した減圧工程における内圧降下の時間勾配と、減圧工程開始時の内鍋の内圧とから推定減圧所要時間TM2を算出してもよい。
【0030】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の炊飯器の構造は、上記図1及び図2に示す第1実施形態の場合と同一であり、制御・推定手段26の動作のみが異なる。
【0031】
第2実施形態の加熱工程では、上記図4に示す第1実施形態の場合と異なり、内鍋3の内圧又は温度上昇の時間勾配の検出は行わない。
【0032】
第2実施形態の調圧工程は、図5に示す第1実施形態と同様であり、調圧工程終了時、すなわち減圧工程開始時における内鍋3の内圧が検出される(図5のステップS2−7)。
【0033】
さらに、図8に示す第2実施形態の減圧工程では、ステップS3−1’で、圧力センサ10の検出信号に基づいて、図7においてΔP’で示す減圧工程開始時の内鍋3の内圧降下の時間勾配を実測する。そして、ステップS3−2’で、上記減圧工程開始時の内鍋3の内圧と、内圧降下の時間勾配ΔP’とに基づいて推定減圧所要時間TM2を算出し、ステップS3−3’で算出した推定減圧所要時間TM2を表示手段16に表示する。ステップS3−4’で内鍋3の内圧が大気圧Pairであることを検出すると、ステップS3−5’でソレノイド9を非通電として減圧工程が終了する点は、第1実施形態同様である。
【0034】
この第2実施形態の炊飯器も、表示手段16に表示された推定減圧所要時間TM2により、使用者はどの程度の時間が経過すれば、減圧工程が終了し、蓋体1を開けることができるかを知ることができ、使用上非常に便利である。
【0035】
なお、上記ステップS3−1’において温度センサ27の出力から検出した減圧工程開始時の内鍋3内の調理物の温度降下の時間勾配に基づいて内圧降下の時間勾配ΔP’を推定し、上記ステップS3−2’で上記減圧工程開始時の内鍋3の内圧と、推定した内圧降下の時間勾配ΔP’とに基づいて推定減圧所要時間TM2を算出してもよい。
【0036】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、表示手段16に代えて、音声を発生する報知装置等の報知手段により使用者に推定減圧所要時間を知らせるようにしてもよい。また、本発明は、冷却ファン等からなる内鍋3の強制冷却手段を備える加圧調理器にも適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の加圧調理器では、減圧所要時間推定手段が、減圧工程に要する時間の推定値である推定減圧所要時間を少なくとも減圧工程における内圧の降下勾配に基づいて算出し、この推定減圧所要時間を表示手段や報知手段により使用者に知らせることができる。よって、使用者は減圧工程に要する時間、すなわち調理が終了して蓋体が開放可能となるまでに要する時間を知ることができ、使用上便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加圧調理器の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】操作パネル部を示す正面図である。
【図3】炊飯工程を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態における加熱工程を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態における調圧工程を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態における減圧工程を示すフローチャートである。
【図7】内鍋の内圧と時間の関係を示す線図である。
【図8】第2実施形態における減圧工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 蓋体
2 本体
3 内鍋(調理鍋)
10 圧力センサ(内圧検出手段)
13a 炊飯開始スイッチ
13b 圧力設定スイッチ
13c 調圧時間設定スイッチ
15 内胴
16 表示手段
25 加熱手段
26 制御・推定手段(制御手段、減圧所要時間推定手段)
27 温度センサ(温度検出手段)
TM1 調圧時間
TM2 推定減圧所要時間
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力式炊飯器、電気圧力鍋等の加圧調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の加圧調理器では、調理鍋内の調理物を所定温度又は所定内圧まで加熱する加熱工程の後、調理鍋内を密閉して一定内圧に維持する調圧工程を行う。この調圧工程の終了後は、調理鍋内を密閉状態で保持し、かつ、加熱手段を停止状態に維持する減圧工程を行う。この減圧工程では、器外への放熱により調理鍋内の温度が低下し、それに伴って調理鍋の内圧が漸次低下する。減圧工程により調理鍋の内圧が大気圧近傍まで低下すると、調理が終了し、使用者は蓋体を開放して調理物を取り出すことが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の加圧調理器では、使用者は、減圧工程により調理鍋の内圧が大気圧まで低下するのに要する時間を予め知ることができず、内圧表示装置の目盛を目視で読み取って、内圧が大気圧近傍まで低下したことを確認する必要があり、使用性が良好でない。
【0004】
本発明は、かかる従来の加圧調理器における問題に鑑み、減圧工程に要する時間を使用者が予め知ることができるようにすることを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、調理鍋と、該調理鍋を収容する本体と、該本体に開閉可能に取り付けられた上記調理鍋の開口部を閉塞する蓋体と、上記調理鍋を加熱する加熱手段と、該加熱手段により連続的に調理鍋を加熱する加熱工程と、該加熱工程後、上記調理鍋の内圧を一定値に維持するように加熱手段を制御する調圧工程と、該調圧工程後、加熱手段を停止状態に維持し、器外への放熱により内圧を大気圧近傍まで減圧させる減圧工程とを実行する制御手段とを備える加圧調理器において、上記減圧工程に要する時間の推定値である推定減圧所要時間を推定する減圧所要時間推定手段を有し、該減圧所要時間推定手段の算出した推定減圧所要時間を使用者に知らせるための表示手段又は報知手段を備えることを特徴とする加圧調理器を提供するものである。
【0006】
本発明の加圧調理器は、上記のように減圧所要時間推定手段が推定減圧所要時間を算出し、この推定減圧所要時間を表示手段や報知手段により使用者に知らせることができる。よって、使用者は減圧工程に要する時間、すなわち調理が終了して蓋体が開放可能となるまでに要する時間を知ることができ、使用上便利である。
【0007】
具体的には、上記加圧調理器は、上記調理鍋の内圧を検出する内圧検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、内圧検出手段により検出した減圧工程における内圧の降下勾配に基づいて上記推定減圧所要時間を算出する。
【0008】
あるいは、上記加圧調理器は、上記調理鍋の内圧を検出する内圧検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、加熱工程開始時の調理鍋の内圧の上昇勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものであってもよい。
【0009】
また、上記加圧調理器は、上記調理鍋内の調理物の温度を検出する温度検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、加熱工程開始時の調理物の温度の上昇勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものであってもよい。
【0010】
さらに、上記加圧調理器は、上記調理鍋内の調理物の温度を検出する温度検出手段を備え、上記減圧所要時間推定手段は、減圧工程開始時の調理物の温度の降下勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものであってもよい。
【0011】
(第1実施形態)
図1及び図2に示す本発明の加圧調理器であるスチームレス方式の炊飯器は、蓋体1により開閉される本体2内に導電性材料からなる内鍋3(本発明における調理鍋に相当する。)を取出し自在に配設したものである。
【0012】
上記蓋体1は、ヒンジ4により本体2に回転自在に取り付けられた蓋本体5と、放熱板6とを備えている。なお、蓋体1と本体2を係合する図示しないフックが後述するソレノイド9と連動しており、ソレノイド9の通電時には蓋体1は開放できないようになっている。
【0013】
放熱板6には内鍋3の内部と蓋本体5の内部を連通する放熱板蒸気孔6aが設けられており、この放熱板蒸気孔6aと保持部材7の間に調圧ボール8が収容されている。また、放熱板6上には調圧ボール8の駆動手段であるソレノイド9が取付けられている。ソレノイド9の非通電時には、図において一点鎖線で示すように、ソレノイド9のプランジャは突出位置にあり、調圧ボール8は、プランジャにより押され、放熱板蒸気孔6aから退避した位置にある。一方、ソレノイド9の通電時には、図において実線で示すように、ソレノイド9のプランジャは引き込み位置となり、調圧ボール8が放熱板蒸気孔6aを閉鎖する。また、放熱板6には、内鍋3の内圧を検出する圧力センサ10(本発明における内圧検出手段に相当する。)が取付けられている。
【0014】
蓋本体5には蓋本体蒸気孔5aが設けられており、上記放熱板蒸気孔6aの開放時には、この蓋本体蒸気孔5aを介して内鍋3内の蒸気が器外に排出されるようになっている。
【0015】
上記本体2は、非導電性材料からなり有底筒形状である。本体2の正面上部には、図2に示す操作パネル部12が設けられている。この操作パネル部12には、炊飯開始スイッチ13a、圧力設定スイッチ13b、調圧時間設定スイッチ13cのほか各種のスイッチ14が設けられている。また、操作パネル部12には公知の液晶表示装置からなる表示手段16が設けられている。
【0016】
本体2の内部には、内鍋3を収容するための内胴15が設けられている。内胴15と本体2の間には、誘導加熱コイルからなる加熱手段25及び制御・推定手段26(本発明における制御手段と減圧所要時間推定手段とを兼ねている。)が配設されている。また、内胴15には内鍋3の温度を検出する温度センサ27(本発明における温度検出手段に相当する。)が取付けられている。
【0017】
上記制御・推定手段26は、マイクロコンピュータ26a、読み出し専用メモリ(ROM)26b、読み書き可能メモリ(RAM)26c及びタイマ26dを備えている。
【0018】
上記マイクロコンピュータ26aは、圧力センサ10、温度センサ27及びスイッチ13a〜13cより入力された信号を、RAM26c及びタイマ26dと協働してROM26bに記憶されたプログラムに従って処理し、加熱手段25を制御して炊飯工程を行うと共に、後述する推定減圧所要時間TM2の算出を行う。
【0019】
次に、図3から図6に示すフローチャートに基づいて、上記炊飯器による炊飯工程について説明する。
【0020】
まず、炊飯工程の前に、内鍋3内に所要量の米及びこの米が吸収するのに適した量の水を収容する。
【0021】
次に、使用者は、上記圧力設定スイッチ13bにより後述する調圧工程における内鍋3の内圧(内圧設定値P1)を設定し、調圧時間設定スイッチ13cにより調圧工程の継続時間(調圧時間TM1)を設定する。以上の設定終了後、使用者が炊飯開始スイッチ13aをオンすると、炊飯工程が開始される。炊飯開始時にソレノイド9は通電され、内鍋3が密閉される。
【0022】
まず、図3のステップS1の加熱工程が実行される。この加熱工程では、図4のステップS1−1で加熱手段25に高周波電流が連続的に通電される。その結果、図7の時刻t0から時刻t1に示すように内圧が上昇する。ステップS1−2では、図7においてΔPで示す内鍋3の内圧上昇の時間勾配が検出される。
【0023】
次に、図3のステップS2の調圧工程が実行される。この調圧工程では、図7において時刻t1から時刻t2で示すように、上記設定された調圧時間TM1の間、内鍋3の内圧を内圧設定値P1に維持する。
【0024】
まず、図5のステップS2−1で圧力センサ10の検出した内圧Pが内圧設定値P1より所定値だけ高圧のP2以上であればステップS2−2に移行し、加熱手段25への通電を停止する。次に、ステップS2−3で検出内圧Pが内圧設定値P1より所定値だけ低圧のP3以下であればステップS2−4で加熱手段25に通電する。
【0025】
ステップS2−5でタイマ26dが計測した調圧工程開始からの経過時間TMが調圧時間TM1以上であれば、ステップS2−6で加熱手段25への通電を停止する。次に、ステップ2−7に移行して内鍋3の内圧を検出した後、調圧工程を終了して図3のステップS3の減圧工程を開始する。一方、上記ステップS2−5で調圧時間TM1以上でなければステップS2−1からステップS2−4を繰り返す。
【0026】
上記減圧工程では、図7において時刻t2から時刻t3で示すように、加熱手段25に対する通電は停止された状態で維持され、器外への放熱で内鍋3内の温度が低下する。そして、この温度低下に伴って内鍋3内の内圧が低下する。
まず、図6のステップS3−1で、減圧工程に要する時間である推定減圧所要時間TM2の推定を行う。本実施形態では、まず、上記図4のステップS1−2で検出した加熱工程開始時の内鍋3の内圧上昇の時間勾配ΔPに基づいて減圧工程における内圧降下の時間勾配を推定する。そして、この推定した内圧降下の時間勾配と、上記図5のステップS2−7で検出した調圧工程終了時、すなわち減圧工程開始時における内鍋3の内圧に基づいて推定減圧所要時間TM2を算出する。
【0027】
次に、図6のステップS3−2で上記ステップS3−1で算出した推定減圧所要時間TM2を表示手段16に表示する。この表示により使用者はどの程度の時間が経過すれば、減圧工程が終了し、蓋体1を開けることができるかを知ることができ、使用上非常に便利である。なお、表示手段16に表示する推定減圧所要時間TM2を時間経過に伴って減少させ、減圧工程の残り時間の推定値を表示させるようにしてもよい。
【0028】
ステップS3−3で検出内圧Pが大気圧Pairであることが検出されると、ステップS3−4でソレノイド9が非通電となり、内鍋3は器外と連通され、減圧工程が終了する。
【0029】
なお、上記図4のステップS1−2で温度センサ27の検出する内鍋3内の調理物の温度から、加熱工程開始時の調理物の温度上昇の時間勾配を検出し、図6のステップS3−1では、この温度上昇の時間勾配から推定した減圧工程における内圧降下の時間勾配と、減圧工程開始時の内鍋の内圧とから推定減圧所要時間TM2を算出してもよい。
【0030】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の炊飯器の構造は、上記図1及び図2に示す第1実施形態の場合と同一であり、制御・推定手段26の動作のみが異なる。
【0031】
第2実施形態の加熱工程では、上記図4に示す第1実施形態の場合と異なり、内鍋3の内圧又は温度上昇の時間勾配の検出は行わない。
【0032】
第2実施形態の調圧工程は、図5に示す第1実施形態と同様であり、調圧工程終了時、すなわち減圧工程開始時における内鍋3の内圧が検出される(図5のステップS2−7)。
【0033】
さらに、図8に示す第2実施形態の減圧工程では、ステップS3−1’で、圧力センサ10の検出信号に基づいて、図7においてΔP’で示す減圧工程開始時の内鍋3の内圧降下の時間勾配を実測する。そして、ステップS3−2’で、上記減圧工程開始時の内鍋3の内圧と、内圧降下の時間勾配ΔP’とに基づいて推定減圧所要時間TM2を算出し、ステップS3−3’で算出した推定減圧所要時間TM2を表示手段16に表示する。ステップS3−4’で内鍋3の内圧が大気圧Pairであることを検出すると、ステップS3−5’でソレノイド9を非通電として減圧工程が終了する点は、第1実施形態同様である。
【0034】
この第2実施形態の炊飯器も、表示手段16に表示された推定減圧所要時間TM2により、使用者はどの程度の時間が経過すれば、減圧工程が終了し、蓋体1を開けることができるかを知ることができ、使用上非常に便利である。
【0035】
なお、上記ステップS3−1’において温度センサ27の出力から検出した減圧工程開始時の内鍋3内の調理物の温度降下の時間勾配に基づいて内圧降下の時間勾配ΔP’を推定し、上記ステップS3−2’で上記減圧工程開始時の内鍋3の内圧と、推定した内圧降下の時間勾配ΔP’とに基づいて推定減圧所要時間TM2を算出してもよい。
【0036】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、表示手段16に代えて、音声を発生する報知装置等の報知手段により使用者に推定減圧所要時間を知らせるようにしてもよい。また、本発明は、冷却ファン等からなる内鍋3の強制冷却手段を備える加圧調理器にも適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の加圧調理器では、減圧所要時間推定手段が、減圧工程に要する時間の推定値である推定減圧所要時間を少なくとも減圧工程における内圧の降下勾配に基づいて算出し、この推定減圧所要時間を表示手段や報知手段により使用者に知らせることができる。よって、使用者は減圧工程に要する時間、すなわち調理が終了して蓋体が開放可能となるまでに要する時間を知ることができ、使用上便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加圧調理器の第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】操作パネル部を示す正面図である。
【図3】炊飯工程を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態における加熱工程を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態における調圧工程を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態における減圧工程を示すフローチャートである。
【図7】内鍋の内圧と時間の関係を示す線図である。
【図8】第2実施形態における減圧工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 蓋体
2 本体
3 内鍋(調理鍋)
10 圧力センサ(内圧検出手段)
13a 炊飯開始スイッチ
13b 圧力設定スイッチ
13c 調圧時間設定スイッチ
15 内胴
16 表示手段
25 加熱手段
26 制御・推定手段(制御手段、減圧所要時間推定手段)
27 温度センサ(温度検出手段)
TM1 調圧時間
TM2 推定減圧所要時間
Claims (5)
- 調理鍋と、
該調理鍋を収容する本体と、
該本体に開閉可能に取り付けられた上記調理鍋の開口部を閉塞する蓋体と、
上記調理鍋を加熱する加熱手段と、
該加熱手段により連続的に調理鍋を加熱する加熱工程と、該加熱工程後、上記調理鍋の内圧を一定値に維持するように加熱手段を制御する調圧工程と、該調圧工程後、加熱手段を停止状態に維持し、器外への放熱により内圧を大気圧近傍まで減圧させる減圧工程とを実行する制御手段と
を備える加圧調理器において、
上記減圧工程に要する時間の推定値である推定減圧所要時間を推定する減圧所要時間推定手段を有し、
該減圧所要時間推定手段の算出した推定減圧所要時間を使用者に知らせるための表示手段又は報知手段を備えることを特徴とする加圧調理器。 - 上記調理鍋の内圧を検出する内圧検出手段を備え、
上記減圧所要時間推定手段は、内圧検出手段により検出した減圧工程における内圧の降下勾配に基づいて上記推定減圧所要時間を算出するものである請求項1に記載の加圧調理器。 - 上記調理鍋の内圧を検出する内圧検出手段を備え、
上記減圧所要時間推定手段は、加熱工程開始時の調理鍋の内圧の上昇勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものである請求項1に記載の加圧調理器。 - 上記調理鍋内の調理物の温度を検出する温度検出手段を備え、
上記減圧所要時間推定手段は、加熱工程開始時の調理物の温度の上昇勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものである請求項1に記載の加圧調理器。 - 上記調理鍋内の調理物の温度を検出する温度検出手段を備え、
上記減圧所要時間推定手段は、減圧工程開始時の調理物の温度の降下勾配に基づいて、減圧工程における調理鍋の内圧の降下勾配を推定するものである請求項1に記載の加圧調理器。
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