JP3566839B2 - 構造物の熱移動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、二つの壁面で仕切られた構造物の内部空間と外部との間の熱移動を必要に応じて制御可能にする構造物の熱移動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の筐体や建築物などの構造物は、密閉空間の内部と外部とを隔てるための壁を有する。この壁は、中実壁構造としたり、二つの壁面と中空部とを有する二重壁構造とするなど、目的により各種の構造が採用されている。
【0003】
ところで、発熱する構成部品を内部に収容するため、その発熱により内部温度が上昇する電子機器の筐体などを冷却するには、自然対流を用いて冷却するか、自然対流では冷却能力が不足する場合、送風ファンや扇風機、冷房機器等を使用し、強制対流を用いて冷却する構造が採用される。排熱のために壁に通風窓を設け、加熱された空気を排風し冷気を吸い込むようにする場合も多いが、密閉空間については、壁を通じて排熱しなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのような場合、壁で囲まれた密閉空間内の温度を所定の温度に保つためには、発熱量や内外の温度差に応じ、内部と外部との間の熱交換つまり熱移動の度合を促進、あるいは抑制する必要が生じる。しかし、従来の構造物において壁を通過する熱量は、中実壁の場合の熱伝導率、あるいは二重壁の場合の熱伝達率および熱輻射率に支配されるので、熱移動量を能動的に調節することが困難であった。
【0005】
また、自然対流や強制対流により冷却する装置では、冷却用機器を室内空間のどの部分にどのように配置するかによって冷却の程度が相違し、所定の冷却性能を得ることが困難であり、また、冷却用機器の設置のためにかなり大きな場所を必要とするなどの問題点を有していた。
【0006】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたものであり、熱移動能力を幅広く能動的に制御可能にし、必要な冷却または加熱性能を容易に得ることができ、かつ、装置サイズを小型化して設置場所を小さくすることができる構造物の熱移動制御装置を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明に係る構造物の熱移動制御装置は、それぞれ高温面と低温面とからなる二つの壁面を有する中空部と、中空部内に充填された流体と、中空部内に設けられ、流体を二つの壁面に沿って流動させる機能を有し、かつ流体の流動速度と流動方向とを変更可能に構成された流体移動手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記流体移動手段は、二つの壁面に平行な回転軸を有し、この回転軸を中心として回転平板を回転させることにより中空部内に充填されている流体を流動させることを特徴とする。
【0009】
また、上記二つの壁面を傾斜して設け、この傾斜角と回転平板の回転数とを関連させて適正値に調整可能に構成したことを特徴とする。
【0010】
また、上記回転平板は1枚または複数枚の平板からなることを特徴とする。
【0011】
また、上記回転平板を軽量プラスチックで形成したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
【0013】
実施形態1.
図1は、この発明の実施形態1である構造物の熱移動制御装置を示すものである。図1において、温度の異なる高温面1と低温面2とからなる二つの壁面が鉛直方向に形成され、二重壁を構成している。この二重壁を構成する二つの壁面を有する中空部3には、流体移動手段である回転平板4が設置されている。この回転平板4は、二つの壁面に平行な回転軸を有し、この回転軸を中心として回転可能に設けられており、回転数と回転方向を種々変化させることができるように構成されている。回転平板4が静止しているときには、二重壁の中空部3に充填されている空気や油などの気体状あるいは液体状の熱媒体の役割をする流体が、自然対流によって高温面1に沿って上昇し、低温面2に沿って下降する。
【0014】
中空部3において二重壁の間の伝熱量を増加させたい場合には、回転平板4を流体の流動方向と同一方向(例えば図1のA方向)に回転させる。これにより、高温面1に沿って上昇し、低温面2に沿って下降する流体の流動を促進させることができるので、二重壁の間の伝熱量を増加できる。この場合、熱移動量の調整は回転平板4の回転数を変更することによってなし得る。一方、熱移動量を抑制したい場合には、回転平板4を流体の流動方向と逆方向(図1のB方向)に回転させ、自然対流の流動を抑制することによって達成できる。
【0015】
回転平板4の材質は任意であるが、回転に必要な動力を軽減するためには軽量プラスチックが望ましい。なお、流体移動手段である回転平板は、必ずしも平板である必要はなく、流体を二つの壁面に沿って流動させる機能を有するものであれば、1枚または複数枚の曲面板、平板等のいずれであっても差し支えない。
【0016】
本実施形態によれば、二重壁の中空部に設置された流体移動手段である回転平板4の回転数と方向を変更し、流体の流動速度と流動方向を変更することにより、必要に応じて熱移動量を広範囲に制御し、必要な冷却または加熱性能を容易に得ることができ、かつ、装置サイズを小型化し、設置場所を小さくすることができる。
【0017】
また、回転平板を軽量プラスチックで形成することにより、回転平板の回転に必要な動力を軽減することができる。
【0018】
実施形態2.
図2は、この発明の実施形態2である構造物の熱移動制御装置を示すものである。図2においては、鉛直方向に対して傾斜した高温面11と低温面12とからなる二つの壁面により二重壁が構成されている。この二つの壁面を有する中空部13には、実施形態1と同様に回転平板14が設置されており、内部に熱媒体の役割をする流体が充填されている。
【0019】
本実施形態のように二重壁が傾斜している場合には、特に高温面11が上方に、低温面12が下方に位置すると、高温流体が上方で、低温流体は下方で淀み、熱移動が大きく阻害される。そこで本実施形態では、二重壁の中空部13に設置した回転平板14をAまたはB方向に回転させることにより、中空部13に充填された流体の淀みを解消している。これにより、二重壁の間の熱移動を促進または抑制することができる。二重壁の傾斜角が任意に設定可能であれば、二重壁で仕切られた高温側/低温側の二つの空間の間の熱移動量は、二重壁の傾斜角と回転平板14の回転数の調整により広範囲に制御できる。
【0020】
【発明の効果】
この発明は、以上述べたように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0021】
1)二重壁の中空部に設置した流体移動手段である回転平板の回転数と方向を変更し、流体の流動速度と流動方向を変更することにより、必要に応じて熱移動量を能動的に広範囲に制御し、必要な冷却または加熱性能を容易に得ることができ、かつ、装置サイズを小型化し、設置場所を小さくすることができる。
【0022】
2)二重壁を傾斜して設け、二重壁の傾斜角と回転平板の回転数とを関連させて適正値に調整可能に形成したことにより、熱移動量をより広範囲に制御できる。
【0023】
3)回転平板を軽量プラスチックで形成することにより、回転平板の回転に必要な動力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1を示す断面説明図である。
【図2】この発明の実施形態2を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1,11 高温面、2,12 低温面、3,13 二重壁の中空部、4,14回転平板。
Claims (5)
- それぞれ高温面と低温面とからなる二つの壁面を有する中空部と、前記中空部内に充填された流体と、前記中空部内に設けられ、前記流体を前記二つの壁面に沿って流動させる機能を有し、かつ前記流体の流動速度と流動方向とを変更可能に構成された流体移動手段と、を有することを特徴とする構造物の熱移動制御装置。
- 前記流体移動手段は、前記二つの壁面に平行な回転軸を有し、この回転軸を中心として回転平板を回転させることにより中空部内に充填されている流体を流動させることを特徴とする請求項1記載の構造物の熱移動制御装置。
- 前記二つの壁面を傾斜して設け、この傾斜角と前記回転平板の回転数とを関連させて適正値に調整可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の構造物の熱移動制御装置。
- 前記回転平板は1枚または複数枚の平板からなることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の構造物の熱移動制御装置。
- 前記回転平板を軽量プラスチックで形成したことを特徴とする請求項4記載の構造物の熱移動制御装置。
Priority Applications (1)
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JP27237297A JP3566839B2 (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 構造物の熱移動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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JPH11112178A JPH11112178A (ja) | 1999-04-23 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP27237297A Expired - Fee Related JP3566839B2 (ja) | 1997-10-06 | 1997-10-06 | 構造物の熱移動制御装置 |
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1997
- 1997-10-06 JP JP27237297A patent/JP3566839B2/ja not_active Expired - Fee Related
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