JP3566073B2 - 循環気流式集塵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自ずからが吹出したエアーを循環させた後、これを吸込んで集塵するように工夫した循環気流式集塵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
気流を循環させて集塵したり換気したりする循環気流式処理装置には、従来より例えば特公昭35−1641号公報及び特開平4−63183号公報等に見られるものが存在し、夫々、ダクトから送られて来たエアーを作業領域の上部天井側から下方に向けて吹出すことによって、作業領域の周囲に外部と遮断するエアーカーテンを形成しながら、そのエアーを作業領域の中央上部天井側に吸引することで、汚染されたエアーを外部に排出することなく循環させて、粉塵や汚染物質を処理するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の循環気流式処理装置は、例えばこれを溶接作業の集塵設備として用いた場合に、天井側から吹出されたエアーは、一旦床面に衝突して反射してから上昇気流となって天井側に吸引されて行くため、床面上で溶接作業をしている作業者は、その上昇気流に乗った溶接の有害ガスを直接吸引してしまうことになるから、健康に重大な影響を及ぼす問題があった。
【0004】
また、広い工場等の作業領域内で溶接等の作業を行う場合、常に上記の循環気流式処理装置を始めとする集塵設備が完備された場所で作業をするとは限らず、集塵設備が不備な場所で作業しなくてはならい場合もあって、作業者の健康に及ぼす影響が大きかった。
【0005】
従って本発明の技術的課題は、工場等内の如何なる場所に於いても、また、作業者が如何なる作業状態にあったとしても、これ等の状況に合せて気流を循環させて優れた集塵効果を発揮することができるように工夫した循環気流式集塵装置を提供することができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために本発明で講じた手段は以下の如くである。
【0007】
(1) 集塵用ブロアーの吸引作用が発揮される集塵フードと、作業エリアを挾んでこの集塵フードに対向させて設けた気流反射壁と、上記集塵フ−ド側より気流反射壁に向けてエア−を吹出すエアー吹出し口とから成り、該エアー吹出し口より吹出されたエア−を上記の気流反射壁に反射させた後、上記ブロアーの吸引作用によって集塵フードへ導くように構成した循環気流式集塵装置であって、上記集塵フードの上側部で、且つ、比較的高い位置に、上記のエアー吹出し口を、エア−を上記の気流反射壁に向けて吹出すように斜め下方に向けて設けること。(請求項1)
【0008】
(2) 集塵フードの上部両側で、且つ、比較的高い位置に、気流反射壁に対して夫々若干内側に向けた状態で、前記のエアー吹出し口を左右2台設けること。(請求項2)
【0009】
(3) 集塵フードの左右両側、又は、一側に、作業エリアの両側又は一側から作業エリア内に向けてエアーを吹出す側部補助エアー吹出し口を設けると共に、集塵フードの上側部には、作業エリアの上側から作業エリア内に向けてエアーを吹出す上部補助エアー吹出し口を設けること。(請求項3)
【0010】
(4) 気流反射壁の左右両側に、エアー吹出し口より吹出されて来るエアーを内向きに反射させる左右のウイングを設けて、この気流反射壁と集塵フードを、作業エリアを挾んでその両側に相対向させて設けると共に、気流反射壁を若干上向きに傾斜させた状態で上記作業エリアの一側に設けること。(請求項4)
【0011】
【作用】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、エアー吹出し口から吹出されるエアーの方向と、このエアーを反射する気流反射壁、及び、反射されたエアーを吸引する集塵フードの間を結ぶ中間部分を作業エリアとして、ここで溶接等の作業を行えば、作業によって発生した粉塵や有害ガス等を循環気流に乗せて集塵することができるため、作業者が粉塵や有害ガス等を直接吸引してしまう問題を解決できるものであって、工場等の如何なる場所に於いても集塵可能であり、また、作業の形態に合せた集塵構成を広い作業空間内に他の領域と遮断した状態で簡単に構築することを可能にする。
【0012】
また、上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、気流が循環する方向を床面に沿って横方向に設定できるため、例えば、作業者の背後から吸引気流を流したり、作業者の手元から横に気流を流したりすることができるため、作業を安全に進めることができ、また、広い作業空間に於いて部分的な集塵領域を造って、外部要因からの影響を排除することができるエアーカーテン作用を発揮することも可能とする。
【0013】
また、上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、エアー吹出し口を集塵フードの上側部で、比較的高い位置に設けることによって、高位置から斜め下方に向けて吹出されたエアー(気流)が気流反射壁に当って反射する前に、作業エリア内で発生する含塵空気流や、作業エリア内にセットされた各種の物体等(障害物)に衝突する割合を可及的に少くすることができるため、吹出しエアーに誘引されて装置外部に含塵気流が流出したり、吹出しエアー流が乱れたりする影響を少くして、作業エリア内に発生した粉塵や有害ガス等を、気流反射壁に当って反射して来る吹出しエアー流に乗せて円滑に、且つ、確実に集塵フード側へ吸引させることを可能にする。
【0014】
更に上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、高位置に設けたエアー吹出し口から斜め下方に向けて吹出されるエアーによって、エアーの流れ方向が全体に上から下に流れるため、上昇速度のある発塵源からの粉塵等の拡散を抑えることができると共に、作業者がエアー吹出し口から吹出されるエアーに直接当って体感温度を下げてしまうと云った不快な影響を受けることもなく、また、作業者に対しても横方向の流れとやや下向きの流れが形成されるため、粉塵暴露の危険性も殆どなく、安全に作業を進めることを可能にする。
【0015】
上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、集塵フードの左右上側部で、比較的高位置に左右2つのエアー吹出し口を設けて、これ等のエアー吹出し口から若干内側に向けた状態で、而かも、斜め下方にエアーが吹出されるため、上記(1)で述べた請求項1に係る手段から生じる各種作用と同等の作用を、より強力に発揮して、集塵エリア内で発生した粉塵や有害ガス等を確実に集塵フードへ吸引させることを可能にすると共に、吹出しエアーの方向を若干内側に角度を持たせた関係で、含塵気流との隔離性(否衝突性)を向上し、且つ、気流反射壁の小型化を可能にする。
【0016】
上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、側部補助エアー吹出し口から吹出す補助エアーによって、集塵エリアの端部及び側方部で発生する粉塵や有害ガス等に対する回収性能を向上させることができると共に、上部補助エアー吹出し口から吹出す補助エアーによって、上昇速度の速い粉塵や有害ガス等に対する回収性能を向上させることができ、且つ、比較的小さな集塵フードでも集塵するとこを可能にする。
【0017】
上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、気流反射壁の左右両端部にウイングを設けるとことによって、上側のエアー吹出し口から吹出されたエアーを効率良く作業エリア内に導くため、エネルギー効率の向上と、装置外部(エリア外部)への吹出しエアーの漏出を防止できると共に、この気流反射壁と集塵フードを作業リアの両側に対向して設けたので、作業エリア内で溶接等の作業を安全に進めることができ、更に、上記気流反射壁を若干上向きに傾斜させて作業エリアの一側に設けた関係で、作業エリアが比較的高い位置にあったとしても、この高い位置のエリアにもエアーを反射して導くことができるため、優れた回収性能を発揮することができる。
【0018】
以上の如くであるから、上記(1)〜(4)の手段によって上述した技術的課題を解決して、前記従来の技術の問題点を解消することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る循環気流式集塵装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明の全体の構成を説明した平面図、図2はその側面図であって、図中、10は作業台、3はその一側に設けた集塵用ブロア−の吸引作用が及ぶ集塵フード、6はこの集塵フード3に対向させて作業台10の他側に設けた気流反射壁で、高さHに構成されたこの反射壁6は、θ1の角度だけ若干上向きに傾斜して作業台10に取付けられ、且つ、その左右両側には夫々内向きに若干傾斜させた左右のウイング6A,6Aを設けた構成に成っていて、後述する作業エリアが比較的高い場所であっても、この高位置にもエアーを導くことができ、また、後述するエアー吹出し口から吹出されたエアーを効率良く作業エリア内に導くことができる。
【0020】
2A,2Aは、上記集塵フード3の左右両側の上側部で、且つ、比較的高い位置に取付けたエアー吹出し口で、これ等のエアー吹出し口2A,2Aからは図示したように若干斜め下方に向け、且つ、夫々θ3の角度分だけ内側に向けた状態で、エアーを上記の気流反射壁6に向けて勢い良く噴射するように構成されている。
【0021】
また、CKは集塵フード3と気流反射壁6の間の作業台10上に構成される集塵エリアで、その内部中央部分が作業エリアCK′となり、また、上記集塵フード3の左右両側部と集塵フード3の上側部分には、夫々θ2の角度及びθ4の角度で上記作業エリアCK′に向けてエアーを吹出す側部補助エアー吹出し口2B,2Bと、上部補助エアー吹出し口2Cが設けられているが、側部補助エアー吹出し口は手前側(図1に於いて下側)に1ケ所設けるだけであってもよい。
【0022】
尚、図1に於いてWは作業台10の横幅、図2に於いてLは作業台10の縦幅(集塵フード3と気流反射壁6との対向間隔)であって、上記集塵フード3を上記Wの方向に大きく造ることによって、回収性能を向上させることができ、また、上記側部補助エアー吹出し口2B,2Bを設けることによって、作業台10の端で発生する粉塵に対して高い回収性能を発揮でき、更に、上記補助エアー吹出し口2Cを設けることによって、上昇速度の速い粉塵に対して比較的小さな集塵フード3でも集塵可能になり、且つ、回収性能が向上することは、前述の通りである。
【0023】
本発明に係る循環気流式集塵装置は以上の如き構成であるから、集塵フード3に吸引作用を及ぼし、且つ、エアー吹出し口2A,2Aと、側部及び上部の各補助エアー吹出し口2B,2B,2Cから、夫々図示した矢印方向にエアーを吹出しながら作業台10の作業エリアCK′内で溶接等の作業を行うと、各エアー吹出し口2A,2Aから吹出されるエアーと、作業エリアCK′内を流れる含塵空気流が衝突しないため、これにより吹出しエアーに誘引されて装置外部に含塵空気流が流出することを防止することができる。
【0024】
また、エアー吹出し口2A,2Aから吹出されるエアーが作業台10上にセットした各種の別体(障害物)に衝突することもないので、エアー吹出し口2A,2Aから吹出されたエアーの殆どを気流反射壁6に反射させ、この反射気流に乗せて作業エリアCK′内に発生した粉塵や有害ガス等を集塵フード3側に吸引させて、回収性能を大幅に向上させることができ、更に、側部と上部の各補助エアー吹出し口2B,2Cから内向きに吹出されるエアーによって、回収性能を一段と向上させることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明に係る循環気流式集塵装置によれば、工場等の広い作業空間内に部分的に発生する粉塵を気流を循環させて確実に集塵することができる極所集塵機能と、作業者を粉塵や有害ガス等から守ることができる危険防止機能を発揮できるものであって、例えば、溶接や溶断と云った有害ガスを発生する作業を工場内で行う場合等に用いて洵に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る循環気流式集塵装置の全体構成を説明した平面図である。
【図2】同じく側面図である。
【符号の説明】
2A エアー吹出し口
2B 側部補助エアー吹出し口
2C 上部補助エアー吹出し口
3 集塵フード
6 気流反射壁
6A ウイング
10 作業台
CK′ 作業エリア
Claims (4)
- 集塵用ブロアーの吸引作用が発揮される集塵フードと、作業エリアを挾んでこの集塵フードに対向させて設けた気流反射壁と、上記集塵フ−ド側より気流反射壁に向けてエア−を吹出すエアー吹出し口とから成り、該エアー吹出し口より吹出されたエア−を上記の気流反射壁に反射させた後、上記ブロアーの吸引作用によって集塵フードへ導くように構成した循環気流式集塵装置であって、
上記集塵フードの上側部で、且つ、比較的高い位置に、上記のエアー吹出し口を、エア−を上記の気流反射壁に向けて吹出すように斜め下方に向けて設けたことを特徴とする循環気流式集塵装置。 - 集塵フードの上部両側で、且つ、比較的高い位置に、気流反射壁に対して夫々若干内側に向けた状態で、前記のエアー吹出し口を左右2台設けたことを特徴とする請求項1に記載の循環気流式集塵装置。
- 集塵フードの左右両側、又は、一側に、作業エリアの両側又は一側から作業エリア内に向けてエアーを吹出す側部補助エアー吹出し口を設けると共に、集塵フードの上側部には、作業エリアの上側から作業エリア内に向けてエアーを吹出す上部補助エアー吹出し口を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の循環気流式集塵装置。
- 気流反射壁の左右両側に、エアー吹出し口より吹出されて来るエアーを内向きに反射させる左右のウイングを設けて、この気流反射壁と集塵フードを作業エリアを挾んでその両側に相対向させて設けると共に、気流反射壁を若干上向きに傾斜させた状態で上記作業エリアの一側に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の循環気流式集塵装置。
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