JP3565691B2 - アルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車のフロントサイドフレーム,リアサイドフレームや自動二輪車のスイングアームその他の車体構造用中空フレームのように、長さ方向の一部分と他の部分との断面形状及び断面周長が異なっているようなアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年車体構造用の中空フレームには、車体の軽量化を図るため、鋼材製のものに代えてアルミニウム合金製フレームの使用が試みられている。
前述のような車体構造用中空フレーム製品は、車両の他の部品の取り付けとの関係や衝突時の衝撃エネルギー吸収などのために、長さ方向の各部で断面形状や断面サイズが異なっている場合が多い。したがって、これらの中空フレーム製品にアルミニウム合金製の中空押出材を使用する場合には、中空押出材をバルジ成形金型内に収容し、その内部に圧力流体を供給してバルジ成形することにより、前述のような長さ方向各部の断面形状の変化に対応した製品を製造している。
【0003】
従来、アルミニウム合金製の中空押出材を使用した中空フレーム製品の製造方法には、大別して、製品の断面形状に近い方形断面の中空押出材をバルジ成形する方法と、丸管形状の中空押出材を使用する方法とがある。後者の方法では、バルジ成形時の周長増大を容易にするため、バルジ成形前に丸管をあらかじめ製品の断面形状に近い方形断面に変形加工する。
前者の例としては、例えば特開平8−108237号公報に、製品の断面形状に近い多角形断面の中空押出材を製品形状に沿って曲げ加工し、ついで、これをバルジ成形金型内に供給してバルジ成形する方法が提案されている。
後者の例としては、例えば特開平6−226339号公報(特開平7−32076号公報も同趣旨)に、円形断面の中空押出材を製品形状に沿って曲げ加工し、これをプレス型により四方から加圧して製品形状に近くなるような断面に変形させ、ついで、これをバルジ成形金型内に供給してバルジ成形する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来の製造方法中前者の方法は、多角形断面の中空押出材を使用するので、長さ方向の各部の断面において周長変化量の大きい製品を製造するのには限界があった。
例えば、多角形断面の中空押出材の長さ方向の一部断面における大きな周長変化に対応して、バルジ成形の際に当該部分の周長を円滑に増大させるため、中空押出材の内部に圧力流体を供給しながら、当該中空押出材に対して長さ方向へ軸力を加えることにより、周長が増大する部分へ他の部分から材料(肉)の移動を促進させる場合、平らな壁面の一部が座屈し易いからである。
【0005】
前述の従来の製造方法中後者の方法は、円形断面の中空押出材をプレス型により四方から加圧変形させるが、このプレス型は四方から加圧しなければならないため専用の総型が必要であって、製造設備が極めて高価になるという課題があった。
すなわち、例えばバルジ成形金型によって、円形断面の中空押出材を製品形状に近い形状に加圧変形させることができれば、前述のように高価な専用のプレス型は不要である。しかしながらこの場合、中空押出材がバルジ成形金型の最小内周長部(製品の最小周長部)よりはみ出すような断面寸法であると、バルジ成形金型で中空押出材を挟んで加圧するとき、当該中空押出材の一部が、バルジ成形金型の最小内周長部で挟まれたときに割れたり、前記最小内周長部からはみ出してバルジ成形金型相互間の成形穴以外の部分に挟まれたり、皺が生じたりする。他方、このような挟み込みや皺の発生を防止するため、中空押出材の円形断面寸法を、バルジ成形金型の最小内周長部内に収まるように設定すると、バルジ成形時の周長増大率が過大になって割れを生じたり、あるいは、長さ方向に沿う角部各部の寸法精度が低下したりする。
また、前記後者の方法によれば、バルジ成形前に中空押出材の各部をあらかじめ製品形状に近くなるように変形加工するので、断面形状や周長が異なるように変形された部分相互間では、バルジ成形の際に材料(肉)の長さ方向への移動がなく、中空押出材の全長にわたって塑性加工が行われない。したがって、製品の長さ方向の各角部のアール形状が、寸法精度良く加工されないという課題があった。
【0006】
この発明の目的は、出発材料である中空押出材の断面形状を製品の最小周長部の断面形状に応じて設定し、中空押出材の断面外周長を、製品の最小周長部の断面外周長に応じて設定することにより、バルジ成形前の予備的な加工段階やバルジ成形時に、割れや皺,座屈が発生せず、しかも、より寸法精度高くアルミニウム製中空フレーム製品を製造することができる製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明によるアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法は、前述の課題を解決するため以下のように構成したものである。
すなわち、請求項1に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法は、断面外形が中空フレーム製品1の最小周長部10の断面外形に近くかつ非円形で連続する凸曲面によって形成され、断面外周長が前記中空フレーム製品1の最小周長部10の断面外周長の80〜96%であるアルミニウム合金製の中空押出材2を、バルジ成形金型3内に収容し、当該バルジ成形金型3により部分的に押しつぶして中間体2aを製造する工程と、
前記中間体2aをその内部に圧力流体を供給してバルジ成形する工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法は、請求項1の製造方法において、前記バルジ成形金型3の成形穴32が曲がっているときは、前記中空押出材2を当該バルジ成形金型3内に収容する前に、当該中空押出材2を前記バルジ成形金型3の成形穴32の曲がりに対応して曲げ加工する工程を含むことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法は、請求項1又は2の製造方法において、前記中間体2aをバルジ成形する際に、当該中間体2aへ長さ方向に沿う軸力を加えながら前記圧力流体を供給することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法は、請求項3に記載の製造方法において、前記中空押出材2の軸方向の圧縮応力σφと、引張強さσとの関係が、0.3≦−σφ/σ≦0.8を満たすことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法において、前記中空押出材2が時効硬化型アルミニウム合金で製造され、時効硬化前に当該中空押出材2を押しつぶして前記中間体2aを製造し、当該中間体2aをバルジ成形することを特徴としている。
【0012】
この発明による製造方法において、中空押出材2の断面形状を、中空フレーム製品1の最小周長部の断面形状に近い形状にしたのは、断面円形の押出材に比べて周長を大きくすることができ、バルジ成形金型内で中空押出材2をつぶして中間体2aを製造する際、円滑につぶし加工ができるからである。
中空押出材2の断面形状を、凸曲面が連続するように形成したのは、バルジ成形時に製品の角部などでの局部的変形が抑制され、周方向に対してより均一なバルジ加工が可能になり、表面を凹凸面や平らな面のない凸曲面とすることにより、バルジ成形時に押出材に対して長さ方向に沿う軸力を加えた場合の座屈を防止することができるからである。
中空押出材2の断面外周長を、中空フレーム製品1の最小周長部の断面外周長の80%以上に設定したのは、バルジ成形時の周長増加が大きいことによる割れを防止するためである。中空押出材2の断面外周長を、製品1の最小周長部の断面外周長の96%以下に設定したのは、中空押出材2をバルジ成形金型3で挟んだとき、当該金型3の最小内周長部の成形穴以外の部分に中空押出材2の一部が挟み込まれて成形不能になるのを防止するとともに、製品に皺ができるのを防止するためである。
【0013】
請求項4に記載の製造方法において、中空押出材2の軸方向の圧縮応力−σφ/引張強さσを、0.3〜0.8に設定したのは、バルジ成形時に中間体2aに対して長さ方向に沿う軸力を加えた際、−σφ/σが0.3未満では加工中の中間体2aに割れが生じ易く、0.8を超えると加工中に中間体2aが座屈し易いからである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図1〜図5を参照しながら、この発明による製造方法により、自動車のフロントサイドフレームを製造した実施形態について説明する。
図1はこの発明方法の実施形態で使用される中空押出材,当該中空押出材を成形した中間体,及び当該中間体を成形した中空フレーム製品を順に示す図、図2はこの発明方法の実施形態で使用されるバルジ成形金型の平面図、図3は図2の矢印A−Aに沿う断面図、図4は図2のバルジ成形金型の最小内周長部で中空押出材を変形加工している状態を示す部分断面図である。
図1の(a)図は中空押出材の平面図、(b)図は中空押出材の拡大端面図、(c)図は曲げ加工後の中空押出材の平面図、(d)図は中間体の平面図、図は中空フレーム製品の正面図、(f)図はその平面図、(g)図は(e)図の製品の最小周長部の拡大断面図、(h)図は製品の最大周長部の拡大断面図である。
【0015】
中空押出材2は、A6063−T1のアルミニウム合金押出材であり、全長1040mm、その断面形状は、図1の(b)図のように、(g)図で示す中空フレーム製品1の最小周長部10の細長い六角形断面に近似し、かつ、非円形で凸曲面が連続するような楕円形状である。
中空押出材2の断面外周長は、中空フレーム製品1の最小周長部10における外周長の95%である。
前記中空押出材2に軸方向の力を加えたときにおける、当該中空押出材2の圧縮応力σφと引張強さσとの関係、すなわち−σφ/σは0.7である。
【0016】
この実施形態では、バルジ成形時に中空押出材2を収容するバルジ成形金型3の成形穴32は曲がっているので、中空押出材2の一部を、(c)図のように金型3(図2)の成形穴32の曲がりに対応して、図示しないベンダによりR=1000mmに曲げ加工する。
次いで、前記のように曲げ加工した中空押出材2を、図3及び図4のようにバルジ成形金型3における上下の金型30,31内に収容し、上下の金型30,31で加圧状に挟むことにより、当該中空押出2の一部をつぶして図1の(d)のような中間体2aを製造する。このつぶし加工により、中間体2aは、中空フレーム製品1の最小周長部10に対応する部分の断面形状が、(g)図の前記最小周長部10の断面形状により近くなるよう加工される。
【0017】
さらに、バルジ成形金型3の両端部を、流体供給口34を有するシールブロック33と流体排出口36を有するシールブロック35によって密閉し、流体排出口36を閉じ、流体供給口34から前述のように加工されたバルジ成形金型3内の中間体2aの内部へ図示しない圧力流体を圧入しながら、一方のシールブロック33により、前記中間体2aを矢印iのように押圧し、中間体2aに対して長さ方向に沿う軸力を加える。
圧力流体の供給圧力は、150kgf/cm〜650kgf/cm程度の範囲で適宜増減させる。
このバルジ成形により、中間体2aは、その材料が(肉)長さ方向へ移動しつつその周壁がバルジ成形金型3の成形穴32の内周壁へ押し付けられ、その周長が拡大して、成形穴32の形状に対応した図2のような形状の中空フレーム製品1を製造することができた。製品1の最大周長部11の断面外周長は、中空押出材2の断面外周長に対してほぼ35%増大した。
中空フレーム製品1には、その後適切な熱処理を施す。
【0018】
以上の実施形態の製造方法によれば、中空押出材2の断面形状を、中空フレーム製品1の最小周長部の断面形状に近い形状にしたので、バルジ成形金型3内で中空押出材2をつぶして中間体2aを製造する際、円滑につぶし加工することができた。
中空押出材2の断面形状を、凸曲面が連続するように形成したので、バルジ成形時に製品の角部などでの局部的変形を抑制され、周方向に対してより均一なバルジ加工がなされ、バルジ成形時に中間体2aに対して長さ方向に沿う軸力を加えても座屈することなく加工することができた。
中空押出材2の断面外周長を、中空フレーム製品1の最小周長部の断面外周長の80〜96%の範囲内に設定したので、中空押出材2をバルジ成形金型3で挟んだとき、当該金型3の最小内周長部の成形穴以外の部分で中空押出材2の一部が挟み込まれるのが防止され、製品に皺ができるのを防止することができた。
中空押出材2の軸方向の圧縮応力σφと引張強さσとの関係、すなわち−σφ/σを0.7としたので、バルジ成形時に中間体2aに対して長さ方向に沿う軸力を加えた際、加工中の中間体2aに割れや座屈は生じなかった。
【0019】
実施例−1
表1には、中空フレーム製品の最小周長部の断面形状と中空押出材の断面形状、及び、中空フレーム製品の最小周長部における断面外周長に対する中空押出材の断面外周長の比(%)が製品の成形に及ぼす影響が示されている。
表1の例では、断面形状と、中空フレーム製品の最小周長部の断面外周長(a1)に対する断面外周長(a2)の比(a2/a1×100)が、それぞれ異なる中空押出材(−σφ/σ=0.6、全長=1040mm)を使用し、それぞれの中空押出材について、曲げ加工(R=1000mm)→バルジ成形金型による中間体の製造→中間体に軸力を加えながらバルジ成形、の要領で中空フレーム製品サンプルNo.1〜41を製造し、それぞれのサンプルについて、製造時の成形状態を評価した。
製品サンプルNo.1〜36では、製品における最小周長部の断面形状に近く、かつ、非円形で連続した凸曲面で形成される断面形状の中空押出材を、製品サンプルNo.37〜41では、円形断面の中空押出材をそれぞれ使用している。表1の結果欄において、良好に成形されたケースは「○」印を、成形の過程で割れが発生したものは「割れ」と、皺が発生したものは「皺」と、中空押出材をバルジ成形金型で挟んだとき、成形穴以外の部分への押出材一部が挟み込まれて成形不能であったものは「挟み込み」とそれぞれ表示した。
なお、各製品サンプルの各角部のR、及び各中空押出材2の肉厚t及び材質をそれぞれの欄に表示した。
【0020】
表1のように、製品における最小周長部の断面形状に近く、かつ、非円形で連続した凸曲面で形成される断面形状であって、製品の最小周長部の断面外周長(a1)に対する断面外周長(a2)の比(a2/a1×100)が80〜96%の中空押出材を使用したケースでは、製品を良好に成形することができたが、a2/a1×100の値が前記以外のケースでは、成形過程でそれぞれ割れや皺ないし挟み込みを生じ、円滑な成形が行われなかった。
また、円形断面の中空押出材を使用したケースでは、いずれの場合も成形過程で割れが生じた。すなわち、中空押出材の円形断面のサイズがバルジ成形金型の最小内周長部へ内接する場合、当該中空押出材の断面外周長は製品の最小周長部の断面外周長のほぼ68%であるが、中空押出材の断面外周長がそれ以下のケースでは、バルジ成形金型内での中空押出材のつぶし加工ができず、バルジ成形時に中空押出材に割れを生じた。他方、中空押出材の断面外周長が前記の値以上のケースでは、図5で示すように、バルジ成形金型3内の最小内周長部で中空押出材がつぶされるときに全体が均一につぶれず、不均一につぶれるために割れを生じた。
【0021】
【表1】
Figure 0003565691
【0022】
実施例−2
表2には、中空押出材2に軸方向の力を加えたときの圧縮応力σφと、引張強さσとの関係が成形に及ぼす影響が示されている。
表2の例では、断面形状と、軸方向の圧縮応力σφと引張強さσとの関係、すなわち−σφ/σがそれぞれ異なる中空型材(全長=1040mm)を使用し、それぞれの中空押出材について、曲げ加工(R=1000mm)→バルジ成形金型による中間体の製造→中間体に軸力を加えながらバルジ成形、の要領で中空フレーム製品サンプルNo.42〜77を製造し、それぞれのサンプルについて、製造時の成形状態を評価した。
表2の結果欄において、良好に成形されたケースは「○」印を、成形の過程で座屈したケースは「座屈」と、成形の過程で割れが発生したものは「割れ」とそれぞれ表示した。
なお、各製品サンプルの各角部のR、及び各中空押出材2の肉厚t及び材質をそれぞれの欄に表示した。
【0023】
表2のように、中空押出材の前記−σφ/σが、請求項4のように0.3〜0.8の範囲内にあるケースでは円滑良好に成形することができたが、その範囲の下限を下回っているケースでは座屈を生じ、その範囲の上限を上回っているケースでは割れを生じた。
したがって、中空押出材2の軸方向の圧縮応力σφと引張強さσとの関係、すなわち−σφ/σが0.3〜0.8であるとき、より良好な状態で中空フレーム製品2を製造することができる。
【0024】
【表2】
Figure 0003565691
【0025】
この発明において、中空押出材のアルミニウム合金は中空フレーム製品に要求される強度に応じて選択されるが、6063,6N01,6061などの6000系合金や、7003,7N01などの7000系合金は、ほとんどの場合この種の中空フレーム製品の要求強度に応えることができる。6000系合金の場合はT1の熱処理条件を、7000系合金の場合はT1,T4,T5のいずれかの熱処理条件をそれぞれ選択することができる。
これらの時効硬化型の合金は、時効硬化前の伸び率の大きいときに前述のように成形すると、より大きく周長を拡大させることができ、円滑に成形することができる。
特に7003,7N01などの7000系の時効硬化型アルミニウム合金は、自然時効によって硬化するため、製品として成形加工した後の熱処理を省略することができるので便利である。
また、6000系の時効硬化型合金は自然時効によってほとんど強度が増加しないため、T1調質で成形後時効処理を行い、その後T5,T6の調質を行う必要がある。
この発明は、材料をO材(完全焼鈍材)とすることなく成形することを前提としているが、出発材料である中空押出材を完全焼鈍材にして前述のように成形する場合には、中空押出材のサイズをより小さくすることができる。
バルジ成形金型3の構造によっては、中空押出材を曲げ加工するのに代えて、中間体2aをバルジ成形した後に曲げ加工することができる。
この発明において、製品の最小周長部の断面周長に対する製品の最大周長部の比率は、その断面形状に応じて110〜150%の範囲で適宜設定することができる。この比率は、製品の当該部分の断面形状が鋭角になり、あるいは断面形状が複雑になるほど低下する傾向がある。また、バルジ成形時に最大周長部近傍での破断部位は最大歪の部分となる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1に記載の製造方法によれば、中空押出材2の断面形状を、中空フレーム製品1の最小周長部の断面形状に近い形状にしたので、断面円形の押出材に比べて周長を大きくすることができ、バルジ成形金型内で中空押出材2をつぶして中間体2aを製造する際、円滑につぶし加工することができる。
中空押出材2の断面形状を、非円形で凸曲面が連続するように形成したので、バルジ成形時に製品の角部などでの局部的変形が抑制される結果、周方向に対してより均一なバルジ加工が可能になる。また、表面を凹凸面や平らな面のない凸曲面とすることにより、バルジ成形時に押出材に対して長さ方向に沿う軸力を加えたときに座屈を防止することができる。
中空押出材2の断面外周長を、中空フレーム製品1の最小周長部の断面外周長の80〜96%に設定したので、バルジ成形時の周長増加が大きいことによる割れを防止することができるとともに、中空押出材2をバルジ成形金型3で挟んだとき、当該金型3の最小内周長部の成形穴以外の部分に中空押出材2の一部が挟み込まれて成形不能になるのを防止することがとともに、製品に皺が形成されるのを防止することができる。
【0027】
請求項2に記載の製造方法によれば、中空押出材2を当該バルジ成形金型3内に収容する前に曲げ加工するので、製品の寸法制度がより向上する。
【0028】
請求項3に記載の製造方法によれば、前記中間体2aをバルジ成形する工程において、当該中間体2aへ長さ方向に沿う軸力を加えながら前記圧力流体を供給するので、長さ方向の一部断面における大きな周長増大に対応して、周長が増大する部分へ他の部分から材料の移動が促進され、さらに、軸力の付加によりバルジ成形時の周長方向の降伏応力を低くできるので、バルジ成形により当該部分の周長を円滑に増大させることができる。
【0029】
請求項4に記載の製造方法によれば、中空押出材2の軸方向の圧縮応力−σφ/引張強さσを、0.3〜0.8に設定したので、バルジ成形時に中間体2aに対して長さ方向に沿う軸力を加えた際の割れや座屈の発生をさらに抑制することができ、周長をより大きく拡大させることができる。
【0030】
請求項5に記載の製造方法によれば、中空押出材2が時効硬化型アルミニウム合金で製造され、時効硬化前の伸び率の大きいときに当該中空押出材2を押しつぶして前記中間体2aを製造し、当該中間体2aをバルジ成形するので、より大きく周長を拡大させることができ、円滑に成形することができる。そして、これらの時効硬化型のアルミニウム合金のうち特に7000系合金は、自然時効によって硬化するため、製品として成形加工した後の熱処理を省略することができるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明方法の実施形態で使用される中空押出材,当該中空押出材を成形した中間体,及び当該中間体を成形した中空フレーム製品を順に示す図で、(a)図は中空押出材の平面図、(b)図は中空押出材の拡大端面図、(c)図は曲げ加工後の中空押出材の平面図、(d)図は中間体の平面図、(e)図は中空フレーム製品の正面図、(f)図はその平面図、(g)図は(e)図の製品の最小周長部の拡大断面図、(h)図は製品の最大周長部の拡大断面図である。
【図2】この発明方法の実施形態で使用されるバルジ成形金型の一例を示す平面図である。
【図3】図2の矢印A−Aに沿う断面図である。
【図4】図3のバルジ成形金型の最小内周長部で中空押出材を変形加工している状態を示す部分断面図である。
【図5】中空押出材が円形断面である場合に、バルジ成形金型の最小内周長部により当該中空押出材がつぶされた状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 中空フレーム製品
10 最小周長部
11 最大周長部
2 中空押出材
2a 中間体
3 バルジ成形金型
30,31 上下の金型
32 成形穴
33,35 シールブロック
34 流体供給口
36 流体排出口

Claims (5)

  1. 断面外形が中空フレーム製品1の最小周長部10の断面外形に近くかつ非円形で連続する凸曲面によって形成され、断面外周長が前記中空フレーム製品1の最小周長部10の断面外周長の80〜96%であるアルミニウム合金製の中空押出材2を、バルジ成形金型3内に収容し、当該バルジ成形金型3により部分的に押しつぶして中間体2aを製造する工程と、
    前記中間体2aをその内部に圧力流体を供給してバルジ成形する工程とを含むことを特徴とする、
    アルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法。
  2. 前記バルジ成形金型3の成形穴32が曲がっているときは、前記中空押出材2を当該バルジ成形金型3内に収容する前に、当該中空押出材2を前記バルジ成形金型3の成形穴32の曲がりに対応して曲げ加工する工程を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法。
  3. 前記中間体2aをバルジ成形する工程において、当該中間体2aへ長さ方向に沿う軸力を加えながら前記圧力流体を供給することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法。
  4. 前記中空押出材2の軸方向の圧縮応力σφと、引張強さσとの関係が、0.3≦−σφ/σ≦0.8を満たすことを特徴とする、請求項3に記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法。
  5. 前記中空押出材2は時効硬化型アルミニウム合金で製造され、時効硬化前に当該中空押出材2を押しつぶして前記中間体2aを製造し、当該中間体2aをバルジ成形することことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法。
JP26977497A 1997-10-02 1997-10-02 アルミニウム合金製中空フレーム製品の製造方法 Expired - Lifetime JP3565691B2 (ja)

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