JP2003154407A - ハイドロフォーミング用アルミニウム押出材およびその製造方法 - Google Patents
ハイドロフォーミング用アルミニウム押出材およびその製造方法Info
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Abstract
押出材において、マンドレル押出材と同等の拡管成形を
可能とするポートホール押出材およびその製造方法を提
供する。当該押出材は、ハイドロフォーミングにより加
工される自動車用のアルミニウム構造部材の素材として
好適である。 【解決手段】 ハイドロフォーミングの素材となるポー
トホール押出によるアルミニウム中空押出材であって、
該押出材の母材部と溶着部の平均結晶粒径(真円換算に
よる直径)がいずれも100μm以下であり、且つ母材
部と溶着部の平均結晶粒径の差が10μm以下であるこ
とを特徴とする。ポートホール押出を行った後、加工度
10%以上の冷間加工を施すことにより製造される。
Description
ング用アルミニウム押出材、とくに、ハイドロフォーミ
ングにより加工される自動車車体用のアルミニウム構造
部材の素材として好適なアルミニウム押出材、およびそ
の製造方法に関する。なお、本発明において、アルミニ
ウムは工業用純アルミニウムおよびアルミニウム合金を
含む。
形、静水圧バルジ成形ともいわれ、金属管、中空形材な
どの中空材を素材として、この中空材を上下の金型にセ
ットし、中空材内部に低圧で液体、例えば油や水を送り
込み、中空材の両端部から中空材内部の空気を排除しな
がらシリンダーを装入して両端部をシールし、中空材内
部に附加される圧力とシリンダーの押し込み圧を相互に
調整しながら中空材を所定形状に成形する成形方法であ
る。シリンダーの押し込み圧を付与せず、液体の圧力の
みで成形する場合もある。
の断面形状を自由に変形することができ、種々の形状へ
の一体成形が可能となるから、部品数削減によるコスト
ダウンが期待でき、成形された部材の強度についての信
頼性が向上する。このため、自動車車体用のパイプ状構
造部材の成形方法として広く使用され始めている。
護やエネルギー消費削減に対処して、燃費の向上を実現
するために、アルミニウム材の使用による車体の軽量化
が進行しているが、従来の車体の剛性を維持するため
に、自動車車体用のアルミニウム構造部材の素材として
のアルミニウム中空押出材についてもハイドロフォーミ
ングが試みられている。
系(Al−Mg系)アルミニウム合金以外のものは、コ
ストの面から通常ポートホール押出(以下、PE)によ
り作製される。ポートホール押出は、複数のポート孔を
そなえたマンドレルボディとダイスを組合わせたポート
ホールダイスを使用して行われ、アルミニウムビレット
はポート孔で分断された後、マンドレルを取り囲んで再
び溶着して一体化し、内面をマンドレルで外面をダイス
で成形されて中空材となる。このため、PE材には溶着
部が存在し、溶着部と溶着部以外の母材部との組織差に
起因して、図1に示すように、溶着部のないマンドレル
押出(以下、ME)材に比べハイドロフォーミングにお
ける成形性(限界拡管率)が劣るという問題点がある。
ォーミングにより加工される自動車車体用のアルミニウ
ム構造部材の素材として適用されるPE材における上記
従来の問題点を解消するためになされたものであり、そ
の目的は、ME材と同等の拡管成形を可能とするハイド
ロフォーミング用アルミニウム押出材およびその製造方
法を提供することにある。
め、本発明の請求項1によるハイドロフォーミング用ア
ルミニウム押出材は、ハイドロフォーミングの素材とな
るポートホール押出によるアルミニウム中空押出材であ
って、該押出材の母材部と溶着部の平均結晶粒径がいず
れも100μm以下であり、且つ母材部と溶着部の平均
結晶粒径の差が15μm以下であることを特徴とする。
但し、結晶粒径は真円換算による直径をいう。
ルミニウム押出材の製造方法は、請求項1に記載のハイ
ドロフォーミング用アルミニウム押出材の製造する方法
であって、ポートホール押出を行った後、加工度10%
以上の冷間加工を施すことを特徴とする。
グ用アルミニウム押出材の製造方法は、請求項1に記載
のハイドロフォーミング用アルミニウム押出材の製造す
る方法であって、押出比を30以上とするポートホール
押出を行うことを特徴とする。
は、焼鈍、場合によってはT4調質またはT6調質など
が行われ使用に供されるが、焼鈍、調質後も溶着部と母
材部との組織差が残り、図2(6063合金PE材(押
出後の冷間加工無し)を焼鈍した後の溶着部と母材部の
組織)に示すように、溶着部の結晶粒径は大きく母材部
に比べて変形能が低いため拡管成形性(以下、単に成形
性)が劣る。
形性を向上させるためには、PE押出材の母材部と溶着
部の平均結晶粒径(但し、結晶粒径は真円換算による直
径。以下同じ)をいずれも100μm以下とし、且つ母
材部と溶着部の平均結晶粒径の差を15μm以下、好ま
しくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下とす
ることが必要である。
が100μmを越えて粗大化すると、PE材の成形性が
低下し、母材部と溶着部の平均結晶粒径の差が15μm
を越えると、両者の成形能の差に起因して成形性が低下
する。
するには、ポートホール押出を行った後、加工度(断面
減少率)10%以上の冷間加工を施すのが好ましい。冷
間加工方法としては、抽伸加工、圧延加工などが適用で
きる。ポートホール押出後の冷間加工度が10%未満で
は、図3(6063合金PE材に5%の抽伸加工を施し
焼鈍処理した後の溶着部と母材部の組織−平均結晶粒径
は母材部、溶着部ともに180μm)に示すように、1
00μmを越える粗大組織となり成形性が低下する。
工を加えた場合には、図4(6063合金PE材に30
%の抽伸加工を施し焼鈍処理した後の溶着部と母材部の
組織−平均結晶粒径は母材部、溶着部ともに20μm)
に示すように、母材部と溶着部の組織の差が無く、共に
平均結晶粒径が100μm以下の組織となり、良好な成
形性が得られる。冷間加工度の上限は、工業的に達成で
きる範囲であればよく、とくに限定しない。例えば、ポ
ートホール押出後、加工度60%の抽伸加工が行われた
実績もある。
ットの断面積/押出後の押出材の断面積)を30以上と
して行うことにより、ポートホール押出後に冷間加工を
行わなくても、焼鈍またはT4調質、T6調質後、優れ
た成形性が達成できる。この場合、ポートホール押出後
に冷間加工を行えば、さらに優れた成形性を得ることが
できる。押出比の上限は、工業的に達成できる範囲であ
ればよく、とくに限定しない。例えば、押出比が50を
越えるポートホール押出が行われた例もある。
明し、その効果を実証する。なお、これらの実施例は、
いずれも断面が円形の押出材の拡管成形についてのもの
であるが、本発明は断面円形の押出材に限定されるもの
ではなく、種々の形状の断面を有する押出材にも適用す
ることができ、また、拡管成形のみでなく、周長が拡大
しない成形にも適用することができる。
0mm、肉厚:1.2mm)およびMD材(外径:2
3.0mm、肉厚:1.2mm)を作製し、一部につい
ては冷間抽伸加工を施し、焼鈍処理またはT4、T6調
質を行い、試験材とした。
D材(外径:23.0mm、肉厚:1.2mm)を作製
し、押出後、加工度20%の冷間抽伸加工を施し、焼鈍
処理またはT4、T6調質を行い、試験材とした。
金型3にセットし、上金型2を降下させて下金型3に押
し付けるように金型1を固定し、試験材の内部に低圧で
液体、例えば油や水を送り込み、空気を排除しながら軸
押込シリンダ(図示せず)を介して左右の軸押込工具
4、5を前進させて試験材6の端部に僅かに押し込んで
試験材6の両端部をシールする。
(軸押込無しの拡管成形)、または試験材6の内部の圧
力と軸押込シリンダの圧力を相互に調整しながら軸押込
工具4、5を押し込み(軸押込による拡管成形)、図5
の右半分に示すように、試験材6を金型に沿わせるよう
拡管成形するハイドロフォーミングを行い製品7とす
る。
直管状の材料のみでなく、種々の形状の管材料が成形さ
れ、成形性は、軸押込無しで拡管率({(拡管後の外径
−拡管前の外径)/拡管前の外径}×100(%))が
大きいほど優れている。すなわち、限界拡管率({(拡
管後割れに至った時の外径−拡管前の外径)/拡管前の
外径}×100(%))が大きいほど優れている。
みを行いながら拡管すると成形限界が向上するから、一
定の拡管率において成形可能とするための軸押込量を比
較することにより成形性を評価することもできる。軸押
込量が大きいほど成形し難い材料となり、軸押込量が小
さいほど成形性の良好な材料となる。
1に示すように、ポートホール押出後の冷間加工度、ポ
ートホール押出の押出比、調質、平均結晶粒径を変えた
試験材について軸押込無しの拡管成形を行い、限界拡管
率を評価した。結果を表1に示す。
表2に示すように、ポートホール押出後の冷間加工度、
ポートホール押出の押出比、調質、平均結晶粒径を変え
た試験材について軸押込による拡管成形を行い、拡管率
30%での成形が可能となる軸押込量を求めた。結果を
表2に示す。
材No.1〜10についてはいずれも、溶着部が無いM
D材と同等の優れた限界拡管率が得られることが確認さ
れた。また、表2にみられるように、本発明に従う試験
材No.14〜23についてはいずれも、拡管率30%
の金型への成形を行うことができ、その場合の軸押込量
をMD材と同等まで小さくすることができることが確認
された。
0mm、肉厚:1.2mm)およびMD材(外径:2
3.0mm、肉厚:1.2mm)を作製し、一部につい
ては冷間抽伸加工を施し、焼鈍処理またはT4、T6調
質を行い、試験材とした。
管ができる金型を用い、表3に示すように、ポートホー
ル押出後の冷間加工度、ポートホール押出の押出比、調
質、平均結晶粒径を変えた試験材について軸押込無しの
拡管成形を行い、限界拡管率を評価した。結果を表3に
示す。
表4に示すように、ポートホール押出後の冷間加工度、
ポートホール押出の押出比、調質、平均結晶粒径を変え
た試験材について軸押込による拡管成形を行い、拡管率
30%での成形が可能となる軸押込量を求めた。結果を
表4に示す。
に冷間加工を行わない試験材No.27、29、31
は、母材部の平均結晶粒径は100μmであったが、溶
着部は不均一な組織となり、とくにT4、T6調質の試
験材は限界拡管率が低く溶着部の近傍で破断が生じた。
押出比が20で押出後の冷間加工度が小さい試験材N
o.28、30、32は母材部、溶着部ともに平均結晶
粒径が大きくなり、母材部と溶着部との平均結晶粒径の
差も大きく、とくにT4、T6調質の試験材は限界拡管
率が低く溶着部の近傍で破断が生じた。
4調質の試験材No.33〜36は、成形はできたが大
きい軸押込量が必要であり、T6調質の験材No.37
〜38は、25mm以上の軸押込みを行っても、拡管率
30%に達する前に座屈し、成形できなかった。
形を可能とするハイドロフォーミング用アルミニウムP
E材およびその製造方法が提供される。軟質なアルミニ
ウム材を用いた場合にも、ハイドロフォーミングによる
加工硬化で高強度のものを得ることができ、ポートホー
ル押出によりコストの低減も可能となる。
る。
微鏡写真である。
ける母材部と溶着部の組織を示す顕微鏡写真である。
組織を示す顕微鏡写真である。
示す概略図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ハイドロフォーミングの素材となるポー
トホール押出によるアルミニウム中空押出材であって、
該押出材の母材部と溶着部の平均結晶粒径がいずれも1
00μm以下であり、且つ母材部と溶着部の平均結晶粒
径の差が15μm以下であることを特徴とするハイドロ
フォーミング用アルミニウム押出材。但し、結晶粒径は
真円換算による直径をいう。 - 【請求項2】 ポートホール押出を行った後、加工度1
0%以上の冷間加工を施すことを特徴とする請求項1記
載のハイドロフォーミング用アルミニウム押出材の製造
方法。 - 【請求項3】 押出比を30以上とするポートホール押
出を行うことを特徴とする請求項1記載のハイドロフォ
ーミング用アルミニウム押出材の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2001352889A JP2003154407A (ja) | 2001-11-19 | 2001-11-19 | ハイドロフォーミング用アルミニウム押出材およびその製造方法 |
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-
2001
- 2001-11-19 JP JP2001352889A patent/JP2003154407A/ja active Pending
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