JP3563861B2 - ライトアングルタイプコネクタの吸着用補助具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライトアングルタイプのコネクタを搬送する際に、そのコネクタを真空式の吸着ノズルに吸着させるために用いるライトアングルタイプコネクタの吸着用補助具に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICやコンデンサ等の電子部品をプリント基板に表面実装する際には、その電子部品をその上部に形成された平面部分において真空式の吸着ノズルに吸着させ、プリント基板上の実装位置まで搬送できる吸着式搬送機能を備える自動実装装置を用いることがある。
【0003】
ここで、同じくプリント基板に表面実装される電気的接続用のライトアングルタイプコネクタ、例えばプラグコネクタやこのプラグコネクタが嵌合結合されるレセプタクルコネクタ(図1参照)には、それぞれ相手側コネクタとの嵌合口が、側方前面(嵌合方向)に向かって開口している。このように形成されたコネクタにおいては、ハウジングにおいて嵌合口が形成された嵌合部がハウジング本体よりも小さく形成されることが多いため、コネクタの上面には段差が生じることとなり、吸着ノズルを吸着させるために必要な吸着面積を有する平面部分を得られないことが多い。従って、IC等と同様に吸着式搬送機能を持つ自動実装装置を用いてプリント基板への実装を行う場合には、図4に示すような吸着用補助具31が用いられていた。
【0004】
この吸着用補助具31は、基板K上に下面11gを装着させた状態で、プラグコネクタとの嵌合口11cが側方前面に形成されたライトアングルタイプのレセプタクルコネクタ10に用いられるものである。吸着用補助具31は、上面が吸着面32aとなっている平板部32と、この平板部32の一端から下方に伸びる保持部33と、この保持部33から水平方向後方に伸びる脚部34とから、その断面形状が略「コ」の字状に形成されている。
【0005】
このように形成された吸着用補助具31は、嵌合口11cから嵌合空間11d内に脚部34を挿入することにより脚部34がコンタクト13,13によって挟持されて、レセプタクルコネクタ10に係止される。このように吸着用補助具31を係止させた状態で、吸着面32aに吸着ノズルを吸着させることにより、プリント基板Kにおける所定の実装位置まで搬送することができる。そして、コネクタ10の実装を行った後は、鎖線で示すようにコネクタ10の前方に吸着用補助具31を引き抜く。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように構成された吸着用補助具31においては、コンタクト13,13によって保持を行うため、吸着用補助具31を外した後にコンタクト13,13の弾性が低下し(バネ性が悪くなり)、所定の変位や接触力が得られなくなるおそれがあるとともに、プラグコネクタのコンタクトとの接触面13dを傷めることがあり、送信される信号に悪影響を与えるおそれもある。
【0007】
また、吸着用補助具31を取り付けた状態においては、コネクタ10の重心が前方に移動してしまうため、プリント基板K上に載置したとき(半田付けする前)にコネクタ10が矢印Tで示すように前方に傾くという問題がある。さらに、プリント基板Kに実装した後に吸着用補助具31を取り外す際にはコネクタ10の側方からの作業となるため、プリント基板K上の他の部品と干渉しないように作業を行うのが難しいという問題もある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ライトアングルタイプコネクタにおいてコネクタの上部における吸着ノズルによる吸着を可能にするとともに、コネクタの品質の劣化を招くことがなく、基板への実装作業を容易に行うことができる吸着用補助具を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも基板上に下面を装着させたハウジング本体と、相手側コネクタと接続するために側方前面に形成された嵌合口とを備えるライトアングルタイプコネクタの上部において真空式の吸着ノズルに吸着させるための吸着用補助具であって、吸着ノズルに吸着させるに必要な面積および滑らかさを有して吸着面が形成された吸着用平板部と、この吸着用平板部から下方に突出する係止脚部と、吸着用平板部から下方に突出して伸びる前側脚部と前側脚部より長い後側脚部とで構成された下面突起と、からなる。そして、吸着面を上に向けた状態で、二股状に形成された前側脚部と後側脚部とによりそれぞれライトアングルタイプコネクタにおける相手側コネクタとの嵌合口が形成された側方前面と後面とを外側から挟みつけながら押し込むようにして着脱自在に係止であり、ライトアングルタイプコネクタに装着されたときに吸着用平板部の下面がハウジング本体の上面に当接し下面突起の下端面が嵌合口の上面に当接するようにし、且つ前側脚部の先端部が嵌合口に到達しないこととしており、吸着用補助具が押し込まれた状態で前側脚部の先端部が嵌合口内に入り込まない長さを形成している。
【0010】
このように形成された吸着用補助具は、ライトアングルタイプコネクタに装着されることにより、そのライトアングルタイプコネクタの上部に吸着面を形成する。このため、吸着ノズルによって、そのライトアングルタイプコネクタをその上部から間接的に吸着させることができるとともに、吸着終了後には、そのライトアングルタイプコネクタから取り外しが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1および図2を用いて吸着用補助具を装着するライトアングルタイプコネクタの一例であるレセプタクルコネクタ10について説明する。
このレセプタクルコネクタ10は、左右方向に伸びる樹脂製のハウジング11と、このハウジング11内に挿入保持されるベース12と、このベース12に上下方向に所定の間隔を有して保持される複数のコンタクト13とからなる。
【0012】
ハウジング11は、底面(下面)11gにプリント基板K上に装着させるためのピン11hが下方に突出して形成されたハウジング本体11aと、このハウジング本体11aの側方前面に突出して形成された嵌合部11bとからなる。ハウジング11は前後面が開口して中空に形成され、後面の開口11fからコンタクト13が保持されたベース12が挿入保持される。
【0013】
コンタクト13は、ベース12よりも前方に突出して保持されるが、その突出量はベース12が挿入保持された状態においてコンタクト13の接触部が、嵌合部11bで覆われた嵌合空間11d内に納まる(嵌合口11cから前方に突出しない)長さとなっている。
【0014】
このように形成されたレセプタクルコネクタ10は、底面11gがプリント基板K上に当接するように載置される。そして、嵌合口11cから嵌合空間11d内に挿入された後に上側コンタクト13aと下側コンタクト13bとに挟持されるように接触して電気的な接続を行うプラグ側コンタクトを有するプラグコネクタ(図示せず)が図1において矢印Fで示す方向である前方から嵌合される。なお、ハウジング11の左右側面には固定金具14が設けられている。
【0015】
ここで、このレセプタクルコネクタ10においては、プラグコネクタを嵌合したときの外形寸法を小さくするため(すなわち、プラグコネクタの外形寸法を小さくするため)に、ハウジング本体11aの上下方向の寸法よりも嵌合部11bの上下方向の寸法の方が小さく形成されており、嵌合時にレセプタクルコネクタ10におけるハウジング本体11aの上面11eとプラグコネクタの上面とがほぼ一致するようになっている。
【0016】
このため、ハウジング本体11aの上面11eよりも嵌合部11bの上面11iの方が一段下がって形成されることとなり、このままでは、レセプタクルコネクタ10を吸着するのに十分な吸着力を得ることができる大きさの真空式の吸着ノズル(図3参照)をその上面に吸着させることはできない。そこで、以下に説明する上記吸着用補助具が用いられる。
【0017】
この吸着用補助具1は、平板部2の下面に前側脚部3および後側脚部4からなる二股状の脚部が下方に突出して伸びて形成されている。平板部2の上面は、吸着ノズルを吸着させるのに十分な面積およびなめらかさを持つ平面、即ち、吸着面2aになっている。この前側脚部3と後側脚部4との内法は、レセプタクルコネクタ10においてコンタクト13が配設されている部分における前後方向両側の側面の外幅Wにほぼ等しい。なお、両脚部3,4の内側下部には、内方に突出する山状の挟持部3a,4aが形成されている。
【0018】
このように形成された吸着用補助具1は、吸着面2aを上に向けた状態で、ハウジング11の左右方向におけるほぼ中間部において、前側脚部3の挟持部3aが嵌合口11cの上部の面11jに接するとともに後側脚部4の挟持部4aがベース12の後面12aに接するように、すなわちレセプタクルコネクタ10の前面と後面を外側から挟みつけながら押し込まれる。
【0019】
なお、この押し込みは、平板部2の下面2bにおける脚部3および4の内側の面において若干下方に突出した面2cがハウジング本体11aの上面11eに当接するとともに、下面2bから下方に伸びて形成された下面突起5の下端面5aが嵌合部11bの上面11iに当接するまでなされる。
【0020】
ここで、下方に突出した面2cおよび下面突起5の下面2bに対する突出量(長さ)は、両上面11e,11iに当接したときに吸着面2aが水平となるように形成されている。これにより、吸着用補助具1は、その平板部2によって、レセプタクルコネクタ10の上部における中央部分を覆うようにレセプタクルコネクタ10上に水平に装着される。
【0021】
ここで、前側脚部3は後側脚部4よりも短く形成されており、上記のように吸着用補助具1が完全に押し込まれた状態で、挟持部3aが嵌合口11cから嵌合空間11d内に入り込むことがない長さとなっている。これは、第一の理由として、嵌合空間11dにおける嵌合口11cの近傍にはコンタクト13の先端部が位置しているため、挟持部3aが嵌合口11cに達するような長さである場合には、前側脚部3の有する弾性によって挟持部3aが嵌合口11c内に入り込むことによりコンタクト13の先端部に接触して損傷を与えるおそれがあるからである。
【0022】
また、第二の理由としては、挟持部3aが嵌合口11c内に入り込むと、レセプタクルコネクタ10をプリント基板K上に実装した後に吸着用補助具1を取り外す場合に外れ難くなるからである。すなわち、レセプタクルコネクタ10をプリント基板K上に実装する場合には、コンタクト13のリード部13cをプリント基板Kに形成されたパターン上に半田付けし、その後に吸着用補助具1を上方に引き抜いてレセプタクルコネクタ10から取り外すわけである。しかしながら、吸着用補助具1が外れ難いと半田付けした部分に外力が加わることとなり、レセプタクルコネクタ10を実装したプリント基板Kの製品としての質が落ちる(半田の外れやリード部13cの曲がりを生じる)おそれを生じるからである。
【0023】
こうして吸着用補助具1が装着されたレセプタクルコネクタ10は、図3に示すように、吸着ノズルNを吸着用補助具1の吸着面2aに吸着させることにより、間接的にその吸着ノズルNに吸着される。そして、プリント基板Kにおける所定の実装位置まで搬送される。ここで、吸着用補助具1の吸着面2aは、吸着ノズルNに吸着させるのに必要な面積を有して形成されていればよいため、吸着用補助具1の外形寸法を小さく且つ、軽く形成することができ、実装時の吸着、搬送が行いやすくなる。
【0024】
そして、前記のようにレセプタクルコネクタ10のプリント基板への実装後、吸着用補助具1はレセプタクルコネクタ10から取り外される。これにより、レセプタクルコネクタ10の嵌合口11cの全体が開口され、このレセプタクルコネクタ10にプラグコネクタを嵌合させることができる。そして、取り外した吸着用補助具1は別のレセプタクルコネクタの吸着搬送時に再度使用することができる。
【0025】
なお、上記の発明の実施の形態においては、ライトアングルタイプコネクタがレセプタクルコネクタである場合について説明したが、本発明に係る吸着用補助具を用いるライトアングルタイプコネクタは、レセプタクルコネクタに限られるものではなく、プラグコネクタにももちろん用いることができる。
【0026】
ここで、上記のようなライトアングルタイプコネクタにおいては、種々のタイプのものが製作されているが、同一タイプのコネクタにおいてピン数(コンタクトの数)を変えるときはハウジングの左右方向の長さを変えるだけで、ハウジングの前後方向の寸法は同一に形成されている。このため、上記のように構成された吸着用補助具1によれば、同一タイプのコネクタであればピン数が異なるコネクタであっても同一の吸着用補助具1を用いることができるため経済的でもある。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明の吸着用補助具は、吸着用平板部と係止脚部とから構成されており、二股状に形成された前側脚部と前側脚部より長い後側脚部とで構成された係止脚部により、吸着用平板部の吸着面を上に向けた状態でライトアングルタイプコネクタにおいて嵌合口が開口しているの側方前面と後面とを外側から挟みつけながら押し込むようにしてライトアングルタイプコネクタに装着すればその上部に吸着面を形成することができる。このため、その吸着面を吸着ノズルに吸着させることにより、コネクタをその上部において間接的に吸着ノズルに吸着させることができるため、吸着搬送機能を備えた自動実装装置を用いてコネクタをプリント基板に実装することが可能となる。また、本吸着用補助具によれば、コネクタに押し込まれた状態で前側脚部の先端部がコネクタの嵌合口内に入り込まない長さになっているため吸着終了後には吸着用補助具をコネクタから取り外して、そのコネクタを相手側コネクタと嵌合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸着用補助具およびこの吸着用補助具を装着するライトアングルタイプコネクタの斜視図である。
【図2】上記吸着用補助具を装着したライトアングルタイプコネクタの図1におけるII−II断面図である。
【図3】上記吸着用補助具を装着したライトアングルタイプコネクタの図1におけるIII−III矢視図である。
【図4】従来の吸着用補助具を装着したライトアングルタイプコネクタの図1におけるII−IIに相当する断面図である。
【符号の説明】
1 吸着用補助具
2 吸着用平板部
2a 吸着面
3 前側脚部
4 後側脚部
10 ライトアングルタイプのレセプタクルコネクタ
N 吸着ノズル
Claims (1)
- 少なくとも基板上に下面を装着させたハウジング本体と、相手側コネクタと接続するために側方前面に形成された嵌合口とを備えるライトアングルタイプコネクタを、その上部において真空式の吸着ノズルに吸着させるための吸着用補助具であって、
前記吸着ノズルに吸着させるに必要な面積および滑らかさを有して形成された吸着面を上面側に有してなる吸着用平板部と、二股状に形成されて前記吸着用平板部から下方に突出して伸びる前側脚部と該前側脚部より長い後側脚部とで構成された係止脚部と、前記吸着用平板部から下方に突出して伸びる下面突起と、からなり、
前記吸着面を上に向けた状態で前記前側脚部と後側脚部とによりそれぞれ前記ライトアングルタイプコネクタにおける前面と後面とを外側から挟みつけながら押し込むようにして前記ライトアングルタイプコネクタに着脱自在に係止可能であり、前記ライトアングルタイプコネクタに装着されたときに前記吸着用平板部の下面が前記ハウジング本体の上面に当接し前記下面突起の下端面が前記嵌合口の上面に当接し、且つ前記前側脚部の先端部が前記嵌合口内に入り込まない長さを形成することを特徴とするライトアングルタイプコネクタの吸着用補助具。
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