JP3563774B2 - 情報記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、複数種の光回折構造の記録されている領域がそれぞれ重畳しないで形成されている情報記録媒体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キャッシュカード、クレジットカード、小切手カード等のカード類、金券類、身分証明書、重要書類等のような認証とともに偽造防止を必要とする物品に対して、従来から各種の偽造防止手段が図られている。
例えば、クレジットカードにおいては、金属反射層を有するレリーフホログラムからなるレインボーホログラムが、目視によるカードの真偽判定のための認証構造としてカードの表面に設けられている。
【0003】
ところで、このようなカードに設けられているレインボーホログラムは、光学的に複製されて偽造される恐れがあり、偽造防止手段としては、より高度な技術を要請されている。このような状況下において、特開昭59−154482号公報では、ひとつのホログラム領域中に2種の異なるホログラムが重ならないように組み合わせて記録したホログラムを提案し、装飾性の向上などを効果に挙げている。
また、特開平2−165987号公報では、ひとつの記録領域中をM個の網目に分割し、この網目ひとつひとつをさらにN個の画素に分割し、この画素はそれぞれN個の図柄のそれぞれの画素を形成する、N画面切替えの回折格子について提案し、偽造防止性の向上を効果として挙げている。
この公報に記載されている発明では、もっぱら目視による真偽判定のため認証構造を対象としているが、目視による真偽判定では、類似品の見分けに熟練を要する。従って、近年の偽造防止手段は、目視による真偽判定機能はもちろん、機械によっても真偽判定できる認証構造を有することが要請されている。
【0004】
そこで、ひとつのホログラム記録領域に、物体を撮影したホログラムと、バーコードなどの機械的に読取可能なホログラムとを多重露光により記録したホログラムがある。しかし、この多重露光の方法によると、物体を再生するホログラムの干渉縞と、バーコードを再生するホログラムの干渉縞とが、同一記録領域に混在するため、2種の干渉縞の重ね合わせにより、記録領域が光を散乱し、白く濁り、再生された物体及びバーコードの画像の質が低下してしまい、バーコードを機械で読み取ることが困難であった。
このような問題を解決するために、特開昭63−168397号公報には、2−ステップ法によるレインボーホログラムの撮影時に用いられるスリットとして、バーコード入りのスリットを使用する発明について記載されている。この発明によると、白色光の照明により、レインボーホログラムに記録されている像が再生されることで目視による真偽判別機能を有し、レーザー光の照明により、レインボーホログラムの撮影時に使用されたスリットのバーコードを読み取ることで、機械による真偽判別機能を有するものである。
【0005】
【解決しようとする課題】
ところで、レインボーホログラムは、ベントンの米国特許第3,633,989号公報に記載されているように、第2ステップの撮影で使用されたスリットの像を通して、ホログラムに記録されている物体の像が見れるものである。レインボーホログラムが白色光で照明されると、白色光に含まれる光の波長により、スリット像の再生位置が微妙に異なるため、広い視域が得られるとともに、再生像が虹色に見えるものである。しかし、特開昭63−168397号公報の発明のように、バーコード入りのスリットを使用すると、バーコード入りのスリット像を通してホログラムに記録されている物体を見るため、再生像にノイズが入るとともに、視域が狭くなってしまい、また、スリット像の一部としてバーコードが存在するため、バーコードを読み取る位置が制限されてしまうという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の点を鑑みてなされたものであり、目視による真偽判別機能と、機械による真偽判別機能とを有する、情報記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明による情報記録媒体は、記録されている情報を機械的に読み取り可能な第1の光回折構造が形成されている領域と、記録されている情報を目視で読み取り可能な第2の光回折構造が形成されている領域とが、一つの光回折構造形成層の中で交互に連設形成され、且つ、重畳していないことを特徴とするものである。
【0008】
この場合、前記第1の光回折構造が、コヒーレンス性の高い光でのみそれに記録されている情報を読取可能なホログラムであってもよく、また、前記第2の光回折構造が、白色光の照明によりそれに記録されている情報を目視で読取可能なホログラム又は回折格子であってもよく、さらに、前記第1の光回折構造が形成されている領域と、前記第2の光回折構造が形成されいてる領域とが同一平面になくてもよい。
【0011】
【作用】
本発明による偽造防止媒体は、機械的に読み取り可能な第1の光回折構造が形成されている領域と、目視で読み取り可能な第2の光回折構造が形成されている領域とが、重畳していないので、第1の光回折構造と第2の光回折構造との重なりによる白濁化が生じないため、機械で読み取る際の誤作動が発生しにくい。
【0012】
前記第1の光回折構造が、コヒーレンス性の高い光でのみそれに記録されている情報を読取可能なホログラムであれば、機械的に読取可能な情報が記録されていることがわかりにくく、また、前記第2の光回折構造が、白色光の照明によりそれに記録されている情報を目視で読取可能なホログラム又は回折格子であれば、目視で認証する際に特別な装置を必要とせず、さらに、前記第1の光回折構造が形成されている領域と、前記第2の光回折構造が形成されいてる領域とが同一平面になければ、光回折構造を形成する際に、前記第1の光回折構造又は前記第2の光回折構造にかかる応力を減らすことができる。
【0014】
【実施例】
以下、図面等を参照して、本発明による情報記録媒体の実施例について説明する。
本発明の情報記録媒体としては、例えば、バンクカード,クレジットカード,プリペイドカードなどのカード類、貨幣,株券,手形,小切手,商品券などの金券類、航空券,入場券などの切符類、身分証明書など、使用の際に真偽判定が必要とされる媒体が挙げられる。
【0015】
図1は、本発明による情報記録媒体の1実施例であるプリペイドカード1の上面図であり、「○×カード」,「5000円券」等の可視情報が、印刷などの適宜手段により設けられているカード基材2と、富士山の絵柄が、目視で読み取り可能な第2の光回折構造の情報として記録されている光回折構造3とから構成されている。
図2は、図1のプリペイドカード1の光回折構造3が形成されている部分の模式的な拡大断面図である。保護層31、レリーフ層32、反射層33、及び、接着層34が順次積層されてなる光回折構造3が、カード基材2上に形成されている。ここで、レリーフ層32には、機械的に読み取り可能な情報が記録されている第1の光回折構造41と、図1で富士山の絵柄として表現されている目視で読み取り可能な情報が記録されている第2の光回折構造42とが形成されている。
【0016】
保護層31は、レリーフ層32の表面を、傷や汚れから守るために形成されるものであり、下層に光回折構造が形成されているレリーフ層32が存在することから、光透過性の透明材料により形成される。例えば、メチルメタクリレート等のアクリル樹脂に代表される合成樹脂を0.5〜3μm程度の厚さにコーティングして硬化させたものや、20〜100μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム等の合成樹脂フィルムを用いることができる。レリーフ層32自体が強固な材料から構成されている場合、保護層31を設ける必要はない。
【0017】
レリーフ層32は、ウレタンアクリレートやメラミンアクリレート等の電子線または紫外線硬化性樹脂,メチルメタクリレート等の熱硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂や、塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂など凹凸を付型可能な樹脂を用いることができ、1〜100μm程度の厚さに形成して用いることができ、第1の光回折構造41の形成されている領域と第2の光回折構造42の形成されている領域との高低差以上の厚みを有することが好ましい。耐熱性や耐候性などの点から、電離放射線硬化性樹脂の使用が好ましい。
この実施例においては、レリーフ層32には、回折方向の異なる第1の光回折構造41と第2の光回折構造42とが凹凸形状として形成されているが、凹凸形状の光回折構造の他に、フォトポリマー等を用いたリップマンホログラムなどの体積ホログラムや、銀塩感光材料を用いた振幅ホログラムなどを使用することもできる。
特に、体積ホログラムの場合には、記録材料の厚み方向に干渉縞が形成されており、圧力が加わることにより、干渉縞の間隔が部分的に収縮してしまい、設計どおりの波長光による再生像が得られなくなってしまうため、1つの記録材料の記録領域を複数に分けて、複数の体積ホログラムを記録する場合などに、記録領域に高低差を設けることが望ましい。
【0018】
第1の光回折構造41は、バーコードやビット情報など機械的に読み取り可能な情報が、ホログラムの物体像や回折格子の形成領域として記録されている。ホログラムは白色光で再生可能なレインボーホログラムなどを用いることができるが、偽造防止の点から、白色光下では物体像が認識困難であり、コヒーレンス性の高い光、例えば、レーザー光などによる再生像のみが認識可能なフレネルホログラムやフーリエ変換ホログラムを用いることが望ましい。
第2の光回折構造42は、記録されている情報を目視で読み取り可能な光回折構造であり、3次元物体や2次元物体が記録されているホログラムや、形成されている領域で2次元パターンを表す回折格子などを用いることができるが、目視で真偽判別する際に、レーザー光源などの特別の装置を使用しないですむ、白色光で再生可能なホログラム、例えば、レインボーホログラムの原理を用いたイメージプレーンホログラムやホログラフィックステレオグラム、さらには回折格子などが望ましい。
【0019】
図2の例において、第1の光回折構造41の形成されている領域の面積と、第2の光回折構造42の形成されている領域の面積との比率が、2:3になるように、網点からなるマスクを用いて光回折構造が形成されている。このように、占有する面積の比率をコントロールすることで、光回折構造からの回折光の明るさの比率を制御することができる。例えば、面積の比率を2:3とした場合、明るさの比率も実質的に2:3となる。
【0020】
また、第1の光回折構造41は、図中の面Aに沿って形成されており、また、第2の光回折構造42は、図中の面Bに沿って形成されている。このように、第1の光回折構造41と第2の光回折構造42とを異なる面に形成することにより、カード基材2に光回折構造3が形成される場合、例えば、ホットスタンプ方式や、ラベル方式などで光回折構造にかかる圧力を、第1の光回折構造41又は第2の光回折構造42の片方に集中させることができる。
例えば、図2の実施例において、レリーフ層32の材料として紫外線硬化性樹脂を、接着層34の材料として塩化ビニル樹脂と酢酸ビニル樹脂との混合物である場合、レリーフ層32に比べて、接着層34は柔軟度が大きいため、充分な接着層34の厚さを有する第1の光回折構造41の形成されている部分は、接着層34によって圧力が吸収されるが、第1の光回折構造41に比べて、少ない接着層34の厚さしかない第2の光回折構造42の形成されている部分は、接着層34によって圧力が充分に吸収されず、第2の光回折構造42が多少の損傷を被ってしまう。しかしながら、第1の光回折構造41が機械的に読み取る情報が記録されているため、再生条件が厳格であるのに対して、第2の光回折構造42は、目視で真偽判定するための情報が記録されているに止まるため、多少の損傷を被った第2の光回折構造42であっても、その損傷が再生像に与える影響を目視によって判別することは非常に困難であり、記録されている情報を機械的に読み取り可能な第1の光回折構造41を保護することを目的として、このような構成を採用することはとても有用である。
【0021】
次に、本発明の製造方法について説明する。
図3(a)に示すように、目視により判別できる情報である第2の光回折構造42が凹凸模様として設けられている基板51にポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストを形成している。
基板51は、ガラス基板に感光材料を塗布乾燥させ、その感光材料にレインボーホログラムや回折格子を記録現像して、表面凹凸模様とした原版を使用することもでき、また、前記原版から、メッキやエンボスなどの工程を経て金属板や合成樹脂板などへの、表面凹凸模様の複製物を用いることもできる。予め汎用の光回折構造が表面凹凸模様として形成されている複製物を複数用意しておくことにより、工程数を省略でき、短納期化が可能となる。
【0022】
図3(b)には、図3(a)の感光材料52に機械的に読み取り可能な情報である第1の光回折構造41が凹凸模様として記録する工程を示している。
機械的に読み取り可能な情報の記録としては、機械読取用のバーコードが光透過領域として記録されているマスク(図示せず)に、光散乱板を重ねたものを被写体として、レーザー光源からの光のうち、前記マスクの光透過領域と光散乱板を透過してきた光が物体光53とし、また、参照光54は、物体光53と可干渉である光が用いられる。一般的には、1つのレーザー光源からの光を、ハーフミラーを用いて2光束に分割し、一方を物体光53とし、他方を参照光54としている。物体光53と参照光54とは、再生時の照明光源の位置と再生像の位置とが重ならないように、所定の角度で交差させて感光材料52上で干渉縞を発生させ、感光材料52は、その干渉縞を記録する。
【0023】
図3(c)は、図3(b)で干渉縞が記録された感光材料52に対し、さらに部分的に紫外線56で露光を行う工程を示している。
図中のマスク55は、部分的に紫外線56を透過する開口を持つものであり、感光材料52に密着して配置されている。感光材料52は、マスク55の開口を透過した紫外線56により、マスク55の開口とほぼ同一形状に露光される。ポジ型フォトレジストの感光材料52であれば、露光された部分の感光材料が、後の現像処理でおいて洗い流されるため、マスク55の開口に相当する部分の下層の第2の光回折構造42が現出し、残りの部分に第1の光回折構造41が形成される。また、感光材料52がネガ型フォトレジストであれば、その逆に、マスク55の開口に相当する部分に第1の光回折構造41が形成され、残りの部分に第2の光回折構造42が形成される。
【0024】
図3(d)は、図3(c)で、部分的に紫外線55で露光された感光材料52を現像処理した後の状態を示している。
現像処理された感光材料52は、図3(b)の工程で記録されたバーコードの情報を含む物体光53と参照光54との交差によって発生する干渉縞からなる機械的に読み取り可能な情報と、図3(c)の工程で露光されたマスク55の開口の情報とを含んでいる。第2の光回折構造42が表面に形成されている基板51のマスク55の開口に相当する部分に、第1の光回折構造41が表面に形成されている感光材料52が設けられている。第1の光回折構造41の形成されている面と、第2の光回折構造42の形成されている面との高低差は、図3(a)の高低で塗布する感光材料52の塗布厚みによるものである。この高低差は、第2の光回折構造42の凹凸模様が第1の光回折構造41の凹凸模様に影響を与えない程度の厚みが最低限必要であり、光回折構造の凹凸模様の凸部と凹部との差が、一般的に0.05μm〜0.5μmであることから、0.05μm以上であることが、光回折構造が凹凸模様である場合には必要となる。また、前述の高低差が大きすぎると、斜めからの照明光が、第1の光回折構造41が形成されている感光材料52に遮られ、第2の光回折構造42に届かなくなり、第2の光回折構造42による回折効率が非常に低下してしまうことから、第2の光回折構造42の1画素の大きさ程度が上限となり、例えば、第2の光回折構造42の形成されている領域の1つが、50μm角の正方形からなる画素であれば、高低差が50μm以下であることが望ましい。
【0025】
図3(e)は、図3(d)で、現像された光回折構造から複製品57を作成している工程を示している。
現像された光回折構造は、このままでは、感光材料52が残っており不安定で、エンボス用の版として使用ことができず、また、この現像された光回折構造によりエンボスを行うと、光回折構造の凹凸が逆にエンボスされてしまうため、現像された光回折構造から複製物57を作成する。複製物57の作成方法としては、現像された光回折構造に導電性金属を蒸着して導電性を持たせた後、ニッケル等によりめっきして厚みを持たせて、現像された光回折構造から剥離して作成してもよく、また、複数の複製工程を経るなどして樹脂による複製品57としてもよい。複製品57はいずれも、さらに複製物を作成するための版として用いられるものであり、カード基材等に直接エンボスする場合に用いられるのであれば、複製品57の光回折構造の凹凸が、本来の光回折構造の凹凸と逆に形成されている。しかしながら、後述するように、光回折構造の凹凸の保護性の高い、転写シートやラベルを作成する場合には、複製品57の光回折構造の凹凸が、本来の光回折構造の凹凸と同じに形成されている。
複製品57は、熱可塑性樹脂などにエンボスすることにより複製物を作成するための複製品57であれば、耐熱性および耐圧性の高いニッケルなどの金属により形成されていることが好ましく、また、紫外線硬化性樹脂などを使用して成形する場合の版として複製品57を使用するのであれば、取扱の容易さや、光透過性を有する特性から、樹脂により形成されていることが望ましい。
【0026】
次に、図3の工程で作成された複製品57を用いた、本発明の実施例である光回折構造を有する転写シートの作成方法について、図4で説明する。
図4(a)には、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの合成樹脂からなる支持体61、アクリル樹脂などの支持体と剥離性を有する保護層62、メチルメタクリレート樹脂などを主成分とする熱可塑性樹脂からなるレリーフ層63が順次積層された積層体が示されている。この積層体を加熱し、レリーフ層63側に、図示のように、複製品57を矢印の方向から圧力を加えることにより、レリーフ層63に本発明の光回折構造を形成するものであり、光回折構造が形成された積層体を図4(b)に示す。
次いで、図4(c)に示すように、この積層体のレリーフ層63側に、アルミニウムや酸化チタンなどを真空蒸着することで反射層64、さらに、アクリル樹脂を主成分とする感熱接着剤をコーティングして感熱接着層65を形成して、転写シートを作成する。
このように作成された転写シートは、図4(d)のように、転写シートと被転写体66とを密着させて、ホットスタンパー(図示せず)により部分的に加熱加圧する。この加熱加圧された部分は、カード等の被転写体66に転写され、加熱加圧されなかった部分は、転写シートの支持体61側に残って被転写体から剥離される。
【0027】
また、図3の工程で作成された複製品57を用いて、図4の方法と同様に、本発明の実施例である光回折構造を有するラベルを作成してもよい。この場合、図4において、転写シートと異なりラベルであるため、支持体と剥離性を有する保護層62を省略し、感熱接着層65に代えて、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を主成分とする粘着剤による粘着層を設け、この粘着層の露出している表面に、表面がシリコンなどより離型処理されている離型シートを積層し、ラベルの使用の際に、この離型シートを剥離して、圧力により被貼着体に貼着するようにすることができる。
【0028】
次に、本発明による情報記録媒体の読み取り方法について説明する。
図5は、図1に示されている情報記録媒体の読み取り方法に関するものであり、カード基材2の表面に形成されている光回折構造3に、半導体レーザー71を光源として、コヒーレント光からなる照明ビーム72を照射している。このように、コヒーレント光で照明された光回折構造3は、機械的に読み取り可能な情報であるバーコード像73を再生するとともに、目視で読み取り可能な情報であるレインボーホログラムの撮影時に使用されたスリット像74をも再生する。このスリット像74は、照明光源が単色光である半導体レーザー71であるため、明確に再生されるが、目視で読み取る際のように、白色光などの多波長光下においては、光の回折による波長分散が行われ、スリット像74の再生は不明確になり、スリット像内に記録されている物体(被写体)の像をみることができるものである。一方、バーコード像73は、ホログラムの冗長性により、第1の光回折構造が記録されている領域であればどの領域であっても、コヒーレント光により照明されれば、図のようなバーコード像73を再生する。また、白色光下においては、スリット像74と同様に、光の回折による波長分散のため、各波長の光によりそれぞれバーコード像がずれた位置に再生され、目視によってバーコード像73を認識することが困難であり、バーコード像73が隠蔽された状態となる。
【0029】
このバーコード像73の読み取り方法は、バーコード像73が再生される位置に、バーコード像73の各バーと直交する方向のバーコード像73の長さよりも長いラインセンサー(図示せず)を設けることに読み取ることができ、電気信号に変換することができる。また、単一のフォトセンサー(図示せず)を用いる場合には、バーコード像73が再生される位置にセンサーを設置し、各バーと直交する方向カードを移動させれば、ホログラムの冗長性により、バーコード像73を時間的な電気信号として読み取ることができる。センサーにより読み取られたバーコード像73の情報は、演算処理を行って、予め読み取り装置に記憶されている値との比較により、カードの真贋を判定することができるものである。
【0030】
本発明による情報記録媒体は、前述の構成の他、種々の変形が可能であり、例えば、1種類の目視で読み取り可能な情報と、1種類の機械的に読み取り可能な情報とが、それぞれ領域が重ならないように形成されていた場合に、偽造者とって、目視で読み取り可能な情報が記録されている領域以外の領域に、何らかの情報が記録されていると気づかれる可能性が大きいのに対して、2種類以上の目視で読み取り可能な情報と、機械的に読み取り可能な情報とを各領域が重ならないように形成することによって、偽造者に対し、第1の目視で読み取り可能な情報が記録されている領域以外の領域には、第2の目視で読み取り可能な情報が記録されていると思わせることができ、より偽造防止効果の高い情報記録媒体を得ることができる。
【0031】
また、第1の光回折構造の形成されている領域が、光回折構造の全面に渡って、ほぼ均一に分散されいる網点かけの領域であってもよく、このように網点状形成することにより、光回折構造のどの領域をコヒーレント光で照明しても、第1の光回折構造に記録されている情報を読みだすことができ、第1の光回折構造と第2の光回折構造とが、光回折構造のほぼ全面に渡って形成されたいれば、加圧時などに応力を分散することができる。
さらに、図1の光回折構造3において、回折格子で富士山の絵柄を形成している第2の光回折構造の領域に対し、富士山の背景である空の部分の領域に第1の光回折構造を形成するというように、第1の光回折構造の形成されている領域が、第2の光回折構造により形成されている絵柄の一部分を担っていてもよく、このような領域に第1の光回折構造を記録すると、違和感が少なく、また、第1の光回折構造自体を発見されにくくするという効果がある。
さらにまた、第1の光回折構造の形成されている領域が、回折格子で絵柄を形成している第2の光回折構造の領域に囲まれた領域としてもよく、このような領域に第1の光回折構造を記録すると、白色光下では、第2の光回折構造による回折光の強度が、第1の光回折構造による回折光の強度を大幅に上回るため、違和感が少なく、また、第1の光回折構造自体を発見されにくくするという効果がある。
【0032】
図3において、感光材料52を部分的に紫外線56で露光する際に用いるマスク55が、印刷等で用いられる一般的な網点でもよく、また、網点1つ1つが星型やハート型、文字や記号というようにデザインされていてもよい。このようにデザインされた網点を作成することは、網点1つ1つが極微細なことから非常に困難であり、偽造防止効果が増大する。また、グラデーションのように、網点の面積比率も徐々に連続てきに変化させれば、より偽造防止効果が増大し、また、幾何学模様のように、全く不連続のものでもよい。
【0033】
〔好適な実施例〕
以下に、本発明の情報記録媒体の好適な製造方法について説明する。
厚さ2μmのガラス板上に、ポジ型フォトレジストをスピンナーコートにより厚さ1〜3μmに塗布乾燥し感光板を作成する。Arレーザー(波長488nm)からの光をハーフミラーにより2光束に分割し、片方の光束を3次元物体が記録されたスリット状のホログラムを透過させて、物体光とする。他方の光束を参照光とする。この物体光と参照光とを感光板上で交差させて干渉縞を発生させ、この干渉縞をフォトレジストに記録し、現像して、干渉縞が凹凸模様として記録されている基板を作成する。
この基板上に、ポジ型フォトレジストをスピンナーコートにより厚さ1〜3μmに塗布乾燥して感光材料を作成する。Arレーザー(波長488nm)からの光をハーフミラーにより2光束に分割する。機械的に読み取り可能な情報としてのバーコードが、光透過部分として形成されているマスクと、半透明のオパールガラスからなる光散乱板を積層させたものを用意し、前記2光束の片方の光束をマスクと光散乱板との積層体に照射し、その透過光を物体光とする。下方の光束を参照光とする。この物体光と参照光とを感光板上で交差させて干渉縞を発生させ、この干渉縞を感光材料に記録する。
次に、約50%の網点が形成されているマスクを、前記感光材料に密着させ、波長488nmの光で、1W/cm、10秒間感光材料に照射した後、マスクを感光材料から剥離して、感光材料を25℃、1分間の条件で現像し、基板の感光材料表面パターンを複数回複製して、ニッケルからなるスタンパーを作成した。一方、支持体として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、転写後に保護層となるメチルメタクリレート樹脂を厚さ1μ程度にコーティングし、保護層上に、スタンパーから表面パターンを受容するアクリル樹脂からなるレリーフ層を厚さ3μm程度にコーティングし、さらに、レリーフ層の露出している表面に反射層として400Å程度の厚さにアルミニウムを真空蒸着した積層体を準備した。
140℃、0.5秒間の熱圧力条件下で、この積層体の反射層側とスタンパーとを対接させ、スタンパーの表面パターンを積層体の反射層側に転写した。さらに、積層体の反射層側に、塩化ビニル樹脂と酢酸ビニル樹脂との混合物からなる感熱接着剤を厚さ3μm程度にコーティングして感熱接着層を形成し、前記積層体を転写箔状にした。
この転写箔の感熱接着層表面と厚さ0.3mm程度のポリエチレンテレフタレートからなるカード基材とを重ね合わせて、転写箔の支持体側から加熱加圧して、加熱加圧した部分の保護層、レリーフ層、反射層、感熱接着層をカード基材上に形成して、情報記録媒体を作成した。
この情報記録媒体を白色光下で観察すると、虹色の前記3次元物体の像を見ることができ、また、半導体レーザーを用いて照明すると、前記バーコードの像を見ることができた。しかも、表面形状検査装置により反射層の表面状態を計測すると、図6のように、第1の光回折構造41の部分は圧力による影響を殆ど受けていないのに対し、第2の光回折構造42の部分は圧力による影響がその高低差として現れていることがわかった。なお、図6中の目盛りは相対値である。
【0034】
【発明の効果】
本発明による偽造防止媒体は、機械的に読み取り可能な第1の光回折構造が形成されている領域と、目視で読み取り可能な第2の光回折構造が形成されている領域とが、一つの光回折構造形成層の中で交互に連設形成され、且つ、重畳していないので、第1の光回折構造と第2の光回折構造との重なりによる白濁化が生じないため、機械で読み取る際の誤作動が発生しにくく、正確な真贋判定を行うことができるとともに、目視でも綺麗な画像を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による情報記録媒体の1実施例の上面図である。
【図2】図1の実施例の光回折構造の形成部分の模式的な拡大断面図である。
【図3】本発明による情報記録媒体の製造方法の1実施例を示す図である。
【図4】本発明による情報記録媒体を有する転写シートの製造方法の1実施例を示す図である。
【図5】図1に示す本発明による情報記録媒体の1実施例の読み取り方法の説明図である。
【図6】好適な実施例において製造された情報記録媒体の反射層の表面状態の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
1 プリペイドカード
2 カード基材
3 光回折構造
31 保護層
32 光回折構造形成層
33 反射層
34 接着層
41 第1の光回折構造
42 第2の光回折構造

Claims (4)

  1. 記録されている情報を機械的に読み取り可能な第1の光回折構造が形成されている領域と、記録されている情報を目視で読み取り可能な第2の光回折構造が形成されている領域とが、一つの光回折構造形成層の中で交互に連設形成され、且つ、重畳していないことを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記第1の光回折構造が、コヒーレンス性の高い光でのみそれに記録されている情報を読取可能なホログラムである請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 前記第2の光回折構造が、白色光の照明によりそれに記録されている情報を目視で読取可能なホログラム又は回折格子である請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
  4. 前記第1の光回折構造が形成されている領域と、前記第2の光回折構造が形成されいてる領域とが一つの光回折構造形成層の中で交互に連設形成され、且つ、同一平面にない請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
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