JP3563069B2 - 釣り糸用糸巻き、釣り糸用糸巻きの製作方法並びに糸を備えた釣り糸用糸巻きの製作方法 - Google Patents

釣り糸用糸巻き、釣り糸用糸巻きの製作方法並びに糸を備えた釣り糸用糸巻きの製作方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙を材料として作成された釣り糸用糸巻きに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
釣り糸を販売する場合、従来では、プラスチック製の糸巻きが使用されていた。しかし、プラスチック製の糸巻きは、使用後の廃棄処分が困難であり、環境保護対策上も好ましいものではなかった。そこで、出願人は焼却が容易で、自然界でも腐食が可能な板紙と紙管を使用して糸巻きを作成することを試みた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、釣り糸の糸巻きを制作する場合、材料となる板紙と紙管の組み合わせや接合が難しく、各部材間の位置ずれが生じるなどして、均質な製品を製造することが困難であった。また、従来の糸巻きは、糸を巻き付けた場合に、糸が巻き付け力によって糸同士が強く重なり合ってしまい、巻き癖がついたり、糸に折れ目が出来たりするおそれがあった。特に、ハリスのよう高性能を要求される釣り糸にあっては、このような巻き癖や折れ目は釣果を大きく損なうものであった。
【0004】
本発明は以上のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、製造が簡単で各部材の位置ずれが生じることがなく、しかも、糸を巻いた後に、巻き癖や折れ目が出来ることがない紙製の釣り糸用糸巻きを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の釣り糸用糸巻きは、糸を巻き付ける紙管と、その両側にフランジを形成するための円板及びリング板とから構成され、前記円板とリング板における紙管の外周面に近接する位置には、円板とリング板を貫通するとともに、糸の巻き付け時に外周に糸を巻き付ける棒が挿入される外側貫通孔が形成され、円板とリング板の少なくとも一方における紙管の内周面に近接する位置には、前記円板とリング板の少なくとも一方を貫通するとともに、製作時には棒状物が挿入されることによって前記外側貫通孔とともに前記紙管、円板及びリング板の位置決めを行う内側貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0006】
このような構成を有する本発明においては、糸巻きの製作時において、内外の位置決めピンを円板(またはリング板)の外側貫通孔と内側貫通孔に挿入した状態で、両端面に接着剤を塗布した紙管を内外の位置決めピンの間に挿入し、円板と紙管との位置決めと接合を行う。その後、リング板(または円板)を、その外側貫通孔と内側貫通孔に位置決めピンを挿入するようにして、紙管の上に重ね合わせることで、円板、紙管及びリング板の位置決め及び接合を行う。
【0007】
また、この糸巻きに糸を巻き付ける場合には、円板及びリング板の外側貫通孔に引き抜き棒を挿入した状態で、紙管外周及び引き抜き棒の外側に糸を巻いて行く。糸が巻き終わった後に、引き抜き棒を糸巻きから取り外すと、引き抜き棒の分だけ巻き糸に緩みが生じるため、巻き付けた糸同士が強く接触することがない。
【0008】
なお、本発明の糸巻きは、前記のようにリング板を使用する代わりに、2枚の円板を紙管の両側に接合することも可能である。また、内外の貫通孔を設ける代わりに、外側貫通孔のみを所定の間隔で3個以上設けることにより、紙管を3本以上の位置決めピンで外側から位置決めすることもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って具体的に説明する。
図1〜図3は、本発明の糸巻きの一実施形態を示すものであって、図1はその上面側からの斜視図、図2は背面側からの斜視図、図3は分解斜視図である。
【0010】
[1.実施の形態の構成]
この糸巻きは、糸を巻き付ける紙管1と、その両側にフランジを形成するための円板2及びリング板3とから構成される。円板2の中心部には、糸を巻き取る際に巻き取り軸を挿入するための軸挿入孔4が設けられている。円板2とリング板3における紙管1の外周面に相当する位置には、円板2とリング板3を貫通する外側貫通孔5,5が形成されている。また、円板2における紙管1の内周面に相当する位置には、前記円板1を貫通する内側貫通孔6,6が形成されている。
【0011】
前記円板2とリング板3とは、紙管1の外形よりも大きな外径を有するものであり、紙管1の両側に巻き糸が外れないだけのフランジを形成する寸法になっている。また、リング板3の内周は、紙管1の内周よりも突出しており、この突出部分が指掛け部7になっている。
【0012】
[2.実施の形態の作用と効果]
このような構成を有する本実施の形態の糸巻きは、図4〜図6のようにして製造する。
まず、作業台Tなどの表面に、円板2に設けられた内外の貫通孔5,5,6,6の位置に合わせた位置決めピン10,10,11,11を突出させておく。この場合、外側貫通孔5,5に挿入する位置決めピン10,10は、糸巻きの幅よりも高く突出したものとし、内側貫通孔6,6に挿入する位置決めピン11,11は紙管1の幅よりも低いものとする。
【0013】
この状態で、各位置決めピン10,10,11,11を内外の貫通孔5,5,6,6に挿入するようにして、円板2を作業台T上にセットする。次いで、両端面に接着剤を塗布した紙管1を、各位置決めピン10,10,11,11の間に挿入するようにして、円板1上に重ね合わせて接合する(図4参照)。このようにすると、紙管1は各位置決めピン10,10,11,11によってその内周と外周から案内され、正確に位置決めされる(図6参照)。その後、更に上方から、リング板3を位置決めピン10,10をその外側貫通孔5,5に挿入するようにして紙管1の上面に重ね合わせて接合する(図5参照)。これにより、各位置決めピン10,10,11,11によって、円板2、紙管1及びリング板3の位置決めがなされた状態で、全体が一体に接合される。
【0014】
このようにして製造された糸巻きに釣り糸を巻き付ける場合は、複数個の糸巻きを用意して、これらを重ね合わせた状態で、各糸巻きの外側貫通孔5,5内に抜き取り棒12を挿入する(図7参照)。この場合、抜き取り棒12としては、ボルト・ナット13によって複数の糸巻きを締結できるものを使用することが望ましい。このようにして、複数の糸巻きを一体化した状態で、各糸巻きに対して釣り糸Lを巻き付けていくのであるが、この場合、釣り糸Lは、紙管1及びその外周面に挿入された抜き取り棒12の外側に巻かれることになる(図8参照)。そこで、釣り糸の巻き付けが終了した後、ボルト・ナット13を外して抜き取り棒12を引き抜けば、その分だけ紙管1と釣り糸との間に隙間ができ、釣り糸Lが緩く巻かれた状態になる。その結果、釣り糸Lに巻き癖が付いたり、折れ目が付くことを防止できる。
【0015】
更に、本実施の形態では、紙管1の両側にフランジを形成する部材として、一方を円板2とし、他方をリング板3としたので、糸巻きの片側に指掛け部7が形成されることになる(図9参照)。その結果、釣り糸を糸巻きから引き出す場合に、この指掛け部7に指を引っかけた状態で釣り糸を引き出せば、糸巻き全体が指先に沿って回転するので、釣り糸の引出が容易である。
【0016】
[3.他の実施の形態]
本発明の釣り糸用糸巻きは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、次のような他の実施の形態も包含する。
(1) 内外の貫通孔5,5,6,6が、円板2とリング板3とを貫通するもの。
(2) 外側の貫通孔が紙管1の円周上に等間隔で3個以上配置され、紙管の位置決めを外側貫通孔5,5のみで行うもの。
(3) リング板の代わりに、2枚の円板2,2を紙管の両側に接合したもの。
(4) 内外の貫通孔の個数と位置を、紙管の位置決めが可能なことを条件として、図1とは異ならせたもの。
【0017】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の釣り糸用糸巻きによれば、板紙と紙管を用いて釣り糸の糸巻きを製作することが可能であり、特に、各部材の位置決めが容易かつ確実に実施できるため、得られた製品に不揃いがない利点がある。また、位置決めに使用する挿入孔を釣り糸の巻き取り作業時における抜き取り棒の挿入孔としてそのまま使用できるという優れた効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の釣り糸用糸巻きの一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1の糸巻きの背面側からみた斜視図。
【図3】図1の糸巻きの分解斜視図。
【図4】図1の糸巻きの製造工程において、円板と紙管を接合した状態を示す断面図。
【図5】図1の糸巻きの製造工程において、円板、紙管及びリング板を接合した状態を示す断面図。
【図6】図1の糸巻きの製造工程において、円板と紙管を接合した状態を示す平面図。
【図7】図1の糸巻きに釣り糸を巻き付ける状態を示す斜視図。
【図8】図1の糸巻きに巻き付けた釣り糸の状態を示す断面図。
【図9】図1の糸巻きから糸を引き出す状態を示す断面図。
【符号の説明】
1…紙管
2…円板
3…リング板
4…巻取軸挿入孔
5…外側貫通孔
6…内側貫通孔
7…指掛け部
T…作業台
10,11…位置決めピン
12…抜き取り棒

Claims (6)

  1. 糸を巻き付ける紙管と、その両側にフランジを形成するための円板及びリング板とから構成され、
    前記円板とリング板における紙管の外周面に近接する位置には、円板とリング板を貫通するとともに、糸の巻き付け時に外周に糸を巻き付ける棒が挿入される外側貫通孔が形成され、
    円板とリング板の少なくとも一方における紙管の内周面に近接する位置には、前記円板とリング板の少なくとも一方を貫通するとともに、製作時には棒状物が挿入されることによって前記外側貫通孔とともに前記紙管、円板及びリング板の位置決めを行う内側貫通孔が形成されていることを特徴とする釣り糸用糸巻き。
  2. 糸を巻き付ける紙管と、その両側にフランジを形成するための円板及びリング板とから構成され、
    前記円板とリング板における紙管の外周面に近接する位置には、円板とリング板とを貫通する3個以上の外側貫通孔が形成され、
    この外側貫通孔は、糸の巻き付け時に外周に糸を巻き付ける棒が挿入されるとともに、製作時には棒状物が挿入されることによって前記紙管、円板及びリング板の位置決めを行うことを特徴とする釣り糸用糸巻き。
  3. 糸を巻き付ける紙管と、その両側にフランジを形成するための2枚の円板から構成され、
    前記2枚の円板における紙管の外周面に近接する位置には、当該円板を貫通するとともに、糸の巻き付け時に外周に糸を巻き付ける棒が挿入される外側貫通孔が形成され、
    前記2枚の円板の少なくとも一方における紙管の内周面に近接する位置には、前記2枚の円板の少なくとも一方を貫通するとともに、製作時には棒状物が挿入されることによって前記外側貫通孔とともに前記紙管及び当該2枚の円板の位置決めを行う内側貫通孔が形成されていることを特徴とする釣り糸用糸巻き。
  4. 糸を巻き付ける紙管と、その両側にフランジを形成するための2枚の円板から構成され、
    前記2枚の円板における紙管の外周面に近接する位置には、当該円板を貫通する3個以上の外側貫通孔が形成され、
    この外側貫通孔は、糸の巻き付け時に外周に糸を巻き付ける棒が挿入されるとともに、製作時には棒状物が挿入されることによって前記紙管及び円板の位置決めを行うことを特徴とする釣り糸用糸巻き。
  5. 糸を巻き付ける紙管と、その両側にフランジを形成するための円板及びリング板とを備えた釣り糸用糸巻きの製作方法であって、
    前記円板と前記リング板とにおける前記紙管の外周面に近接する位置に外側貫通孔を設け、
    前記円板または前記リング板の少なくとも一方における前記紙管の内周面に近接する位置に内側貫通孔を設け、
    前記円板又は前記リング板の前記外側貫通孔と前記内側貫通孔とに位置決めピンを挿入した状態で、両端面に接着剤を塗布した紙管を前記位置決めピンの間に挿入して前記円板又は前記リング板と前記紙管との位置決め及び接合を行い、
    前記リング板又は前記円板の外側貫通孔及び内側貫通孔に位置決めピンを挿入するようにして、前記紙管の上に重ね合わせることで、円板、紙管及びリング板の位置決め及び接合を行うことを特徴とする釣り糸用糸巻きの製作方法。
  6. 糸を巻き付ける紙管と、その両側にフランジを形成するための円板及びリング板とを有する糸を備えた釣り糸用糸巻きの製作方法であって、
    前記円板と前記リング板とにおける前記紙管の外周面に近接する位置に外側貫通孔を設け、
    前記円板または前記リング板の少なくとも一方における前記紙管の内周面に近接する位置に内側貫通孔を設け、
    前記円板又は前記リング板の前記外側貫通孔と前記内側貫通孔とに位置決めピンを挿入した状態で、両端面に接着剤を塗布した紙管を前記位置決めピンの間に挿入して前記円板又は前記リング板と前記紙管との位置決め及び接合を行い、
    前記リング板又は前記円板の外側貫通孔及び内側貫通孔に位置決めピンを挿入するようにして、前記紙管の上に重ね合わせることで、円板、紙管及びリング板の位置決め及び接合を行い、
    前記円板及びリング板の外側貫通孔に引き抜き棒を挿入し、前記紙管外周及び前記引き抜き棒の外側に糸を巻くことを特徴とする糸を備えた釣り糸用糸巻きの製作方法。
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