JP3563041B2 - 雑固体廃棄物減容方法と雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉 - Google Patents

雑固体廃棄物減容方法と雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属と非金属が混在した固体廃棄物、特に原子力発電所で発生する低レベル放射性の雑固体廃棄物の溶融方法および溶融用高周波誘導炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所や放射性物質取扱施設などで発生する低レベル放射性廃棄物のうち、断熱材や構造材廃材等の雑固体廃棄物は埋設処分される。処分に際しては、廃棄物を200リットルドラム缶に詰め、隙間にモルタルを充填した廃棄体を製造する。処分費用を軽減するため、廃棄物をドラム缶に詰める前に減容することが望まれる。
【0003】
金属と非金属が混在した雑固体廃棄物の減容方法の一つに、高周波誘導加熱炉を用いて廃棄物を溶融固化する方法がある。高周波溶融炉内に設置したキャニスタ内で雑固体廃棄物を誘導加熱により溶融して減容し、そのままキャニスタ内で固化させ、キャニスタごとドラム缶に詰め隙間にモルタルを充填して廃棄体とするものである。従来、電磁誘導によりキャニスタ自体を発熱させて固体廃棄物を溶融したので、高価な導電性セラミックスで形成したキャニスタを使い捨てにしなければならなかったが、金属廃棄物を活用することにより安価で強度の高い一般的なセラミックスを使ったキャニスタが使用できるようになった。
【0004】
この方法で雑固体廃棄物を溶融する場合、非金属成分を直接誘導加熱することはできない。したがって、導電性を有する金属を誘導加熱し高温状態となった溶融金属を熱源として、熱伝導により非金属成分を溶融する。非金属成分が一緒に溶融できるようにするには金属と非金属の混合割合に制限があり、非金属成分の割合が大きな雑固体廃棄物を安定的に溶融処理することはできない。そこで、本願の発明者等は先に、黒鉛等の導電性物質性のスリーブを非金属溶融領域に配置し、その発熱を利用して非金属成分を効果的に溶融する方法を考案し、既に特願2000−335169に開示している。
【0005】
この方法は、図4に示すように、誘導加熱用コイルの間にキャニスタを設置し、金属層と分離した非金属層に導電性スリーブを浮かばせて誘導加熱し、金属層からの熱とスリーブの熱を加えて非金属を溶融するようにしたものである。スリーブは非金属層の上層に浮くので、表面付近の発熱が大きくなり有利である。
ここで、非金属廃棄物を追加投入したときなど非金属層の必要熱量が増加すると、コイルの高周波出力を上げて金属とスリーブの発熱を増加することにより対応する。ところがこのとき金属層における発熱も増加するので、金属溶湯の温度が上昇して特に金属層と非金属層の界面付近のキャニスタ壁が浸食されやすくなり、場合によってはキャニスタ材質の耐熱温度を超えて壁が溶融し内部の溶湯が漏洩することも生じ得る。
このように、発明者等が先に開示した上記方法では、金属溶湯とスリーブが発熱源となるが、両者の発熱割合は決まっており、固体廃棄物中の金属成分と非金属成分の混合割合の変化や追加投入などの運転状況に応じて任意に調整することができず、運転が難しい。
【0006】
また、金属の溶融を加速して処理時間を短くするためには初期における金属の発熱を促進する一方、溶融後の金属が過熱しないようにしてキャニスタの健全性を保つため、非金属成分を溶融するときには金属における発熱割合を小さくしスリーブの発熱割合を大きくするような運転を実施するには、金属層と非金属層の発熱割合を調整することができることが好ましい。
本願発明者等は、この課題を解決する発明を特願2000−278065に開示している。
【0007】
この開示発明は、キャニスタの外側に上下に移動する補償熱源を設け、非金属廃棄物が追加したときに補償熱源を金属層と非金属層の境界の動きに追従させて境界付近から上方におけるキャニスタ外壁を加熱することにより、非金属固体廃棄物の溶融を促進するものである。この発明方法によれば、金属溶湯の温度が極端に上昇しないように管理してキャニスタの安全を確保することができる。
【0008】
しかし、この方法は、高周波溶融加熱炉に可動式の補償熱源を設備するので、設備コストが上昇し、廃棄処分のコストを抑制することが困難になる。
さらに、アルミナなどのセラミックスの融点は雑廃棄物中の非金属の融点に比べて著しく高いわけではないので、キャニスタ外部から加熱してキャニスタ内の非金属を溶融しようとするとキャニスタの外壁が溶損することがあり、安全に運転するためには高度な温度管理が必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、より簡単な構成を用いて安全に大量の非金属固体廃棄物を処理することができる低レベル放射性雑固体廃棄物減容方法とそれに使用する雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の雑固体廃棄物減容方法は、金属と非金属が混合した低レベル放射性雑固体廃棄物をキャニスタに収納して高周波誘導炉内に載置し、収納した雑固体廃棄物を高周波誘導加熱によりキャニスタ内で溶融して減容するもので、キャニスタを前記高周波誘導炉内の電磁コイルに対向する位置に置き、金属が溶融するまでは電磁コイルをキャニスタ内の金属層の位置に据えて主として金属層の加熱を行いその熱で非金属をも溶融させ、生成した金属層の上の非金属層中に導電性スリーブを投入して浮遊させ、非金属廃棄物を投入したときには電磁コイルの相対的位置を非金属層に対向する位置まで動かして非金属の加熱を主に行うとともに、電磁コイルの出力を金属層の温度が所定の温度より低い値を維持するように調整することを特徴とする。
【0011】
本発明の雑固体廃棄物減容方法では、まずキャニスタに主に金属からなる廃棄物を装荷し、高周波加熱で溶融して金属溶湯を作る。次に、非金属を含む雑固体廃棄物を順次投入して加熱を続け、廃棄物を溶融させる。金属の方が非金属より比重が大きいため溶湯は下部の金属層と上部の非金属層に分離する。
キャニスタが非導電性セラミックスで形成されている場合でも、導電性スリーブを投入して一緒に誘導加熱すると、金属の誘導発熱にスリーブの発熱が加算され非金属の溶融を促進することができる。なお、導電性スリーブを非金属層の比重より小さくなるように構成すると、常に非金属層の表面に浮遊するようになるので、非金属雑固体をより容易に溶融することができる。
【0012】
従来の雑固体廃棄物減容方法ではキャニスターを電磁コイル内部空間に据える位置が固定されていたので、非金属廃棄物の割合が大きくなるとこれらを溶融するために高周波コイルへの電力供給量を増加させると、金属層における温度が上昇し、炉材の溶損が生じるおそれがあった。
【0013】
しかし、本発明方法では、金属成分が溶融する間は電磁コイルを金属層に対応する位置に置いて金属溶湯の温度が十分高くなるまで加熱し金属層からの伝熱により非金属廃棄物を溶融する。その後、非金属成分の多い雑固体廃棄物を投入して処理する。さらに、投入した廃棄物が溶融して減容すれば、新しく廃棄物を追加して、可能な限り大量の廃棄物を収納するようにする。
このように非金属廃棄物の量を増やしたため印加電力を増加しなければならなくなったときに、電磁コイルの位置を非金属層の方に移動させて印加電力の配分を非金属廃棄物側が大きくなるように変更した上で、金属溶湯が過熱しないように温度を監視しながら電力調整して主としてスリーブの誘導加熱により非金属廃棄物を溶融する。
【0014】
このように、本発明方法では、非金属廃棄物の量に応じて電磁コイルの位置を調整することにより供給エネルギーを適切に配分するので、金属溶湯をキャニスタの壁に損傷を与えないような温度に抑えて運転することができる。したがって、雑固体廃棄物を減容して収納したキャニスタは頑丈に長期の保存に耐えることができる。
なお、キャニスタの位置の調整は、キャニスタを搭載する台を昇降することにより行うことができる。また、キャニスターを高周波誘導炉に搬入する前に、予め雑固体廃棄物を仕込んでおいてもよい。特に、溶融処理の初期に必要となる金属リッチの廃棄物と導電性スリーブは初めからキャニスター内に有っても問題がなく、また処理対象とする雑固体廃棄物の金属含有割合が十分に大きければ、処理中に分けて投入しなくても溶融処理を行うことができる。
【0015】
また、本発明の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉は、キャニスタを囲い込んでキャニスタの内容物に高周波エネルギーを供給する電磁コイルと、電磁コイルに電力を供給する高周波電源装置と、キャニスタを載置して電磁コイル内を昇降する昇降台を備える。本発明の高周波誘導炉では、昇降台が高さ偏向機構と溶湯温度測定装置を備えて、誘導加熱工程中にキャニスタを適宜の高さに変更でき、また金属溶湯温度に基づいて供給電力を調整することができるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉を用いることにより、電磁コイルを必要に応じて金属層と非金属層の位置に変更し、金属溶湯の温度が所定の温度を超えないように監視しながら供給電力を調整して、上記発明の雑固体廃棄物減容方法を適切に実施することができる。
また、本発明の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉は、キャニスタを電磁コイルの位置に取り込む昇降台が途中の高さでも保持できるようになっているところに大きな特徴を有するもので、従来の高周波誘導炉に対して僅かな改良を施せば足り、また既存の高周波誘導炉の改造によっても構成することができる。
【0017】
本発明の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉は、さらに、キャニスタに雑廃棄物を供給する雑固体供給装置を付属して、誘導加熱工程中適宜に前記キャニスタ内に雑固体廃棄物を追加することができるようにすることが好ましい。
なお、雑固体廃棄物溶融用誘導炉に使用するキャニスタは、非導電性セラミックスから形成され、中に導電性のスリーブを収納できるようなものであることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施例に基づき図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の1実施例における雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉の構成図である。また、図2と図3は、本実施例の高周波誘導炉の運転方法を説明する図面である。
【0019】
図1にあるように、電磁コイル1の下に昇降台2が設置されていて、距離設定が可能な駆動装置3により上下方向に駆動される。電磁コイル1には高周波電源5から出力調整された高周波電流が供給される。
高周波誘導炉の上方には、雑固体供給装置6が設備されていて、適宜に雑固体廃棄物をキャニスタ10に投入することができる。さらに、キャニスター10の中に導電性スリーブ4が投入される。
【0020】
また、昇降台2には熱電対などの温度検出端7が設けられていてキャニスター10底部の温度を計測し温度計8に表示する。この温度から金属溶湯の温度を推定することができる。
なお、図には表示していないが、誘導炉の周囲は断熱材で囲繞して無駄な放熱を防ぐようになっていることはいうまでもない。また、キャニスター10を高周波誘導炉の下に搬入するコンベヤと搬出するコンベヤが設備されている。
【0021】
キャニスタ10は、例えばアルミナや酸化ケイ素等の安価で比較的融点が高い非導電性物質で形成され、導電性スリーブ4は例えば黒鉛等の比重が小さい導電性物質で形成されている。非金属溶湯の平均比重は約3.0であり、黒鉛系材料の比重は例えば約1.8であるので、導電性スリーブ4は非金属溶湯層12に対して十分に浮力を得ることができる。
【0022】
誘導加熱を用いた雑固体廃棄物の溶融処理では、初めに金属成分を溶融させて、その後に金属溶湯の温度を上昇させて伝熱により非金属成分を溶融させる。このため、初めは、金属成分の割合を大きくした雑固体廃棄物をキャニスターに仕込み、図2(a)に説明するように、キャニスター10の下層部に電磁コイル1を当て高周波電力を供給して誘導加熱する。
【0023】
処理工程を開始する前に、昇降台2をコンベヤの上面位置まで下げて、コンベヤにより搬入されてきたキャニスタ10を台上に受け入れる。キャニスター10を搭載した昇降台2は、駆動装置3により電磁コイル2の中にせり上げられて、キャニスタ10の底部が電磁コイル1に対応する位置で停止する。
雑固体供給装置6により、キャニスター10の中に金属成分の割合の大きい雑固体廃棄物が投入される。次に、雑固体廃棄物の上に導電性スリーブ4が載せられる。なお、初めの内容物は誘導炉に搬入する前にキャニスター10に仕込んでおいても良い。
【0024】
キャニスター10を取り囲んだ電磁コイル1に高周波電源5から高周波電流を流すと、金属成分が誘導発熱して溶融し雑固体廃棄物の空間を縫って滴り下り、底に溜まって金属溶湯層11を形成する。
非金属成分は非導電性物質であるから電磁コイル1による誘導発熱はないが、金属溶湯が誘導発熱により非金属成分の融点以上に昇温して、伝熱により非金属成分を溶融し非金属層12を形成する。非金属成分が金属層を覆って保温効果を持つので、金属溶湯の温度上昇は容易である。
【0025】
キャニスタ10の中に形成される非金属溶湯層12には導電性スリーブ4が浮んでいる。導電性スリーブ4は円筒状をしており、電磁コイル2に高周波電流が流れるために発生する磁場により自然にキャニスタ1の中央位置に納まる。
なお、非金属成分の加熱には、表面に浮遊する導電性スリーブ4に発生する誘導熱も寄与するが、初期の状態では電磁コイル1がキャニスター10の下層部にあって導電性スリーブ4から離れていてエネルギーは僅かしか分配されないので、導電性スリーブ4の寄与は限られる。
【0026】
雑固体中の非金属成分は断熱材やコンクリートなどであるが、途中で追加される雑固体の溶融を効率よく行うためにも非金属成分の温度を1400°から1500℃程度と、溶融点よりかなり高温にして処理することが好ましい。
一方、キャニスタ10がアルミナ系の材料で形成される場合、キャニスタ10の耐熱温度は1700°から1800℃程度であるので、キャニスタ10内の金属溶湯温度は1500°から1600℃程度に抑えている。
【0027】
非金属成分の溶融が進んだところで、非金属廃棄物を雑固体供給装置6からキャニスター10に投入する。
従来の方法では、新たに供給された非金属成分を溶融するため供給電力を増加するので、金属溶湯層の温度が上昇して炉壁に損傷を与える場合があった。
本実施例では、図2(b)に示すように、昇降台2を降下させて電磁コイル4を非金属溶融層12に浮かぶ導電性スリーブ4に対応する位置に移動し、電磁スリーブ4に誘導される発熱量の割合をより大きくして、十分な熱量が非金属廃棄物に伝導するようにする。このとき、金属溶湯層11に割り当てられるエネルギーの割合は減少するので、高周波電源5の出力を調整して金属溶湯層11の温度が炉壁を損傷させない温度になるようにする。
【0028】
図3は、雑固体廃棄物を追加投入したときの状態変化を図式的に説明するグラフである。図3(a)はキャニスター10に対する電磁コイル1の高さの変化を表し、図3(b)は高周波電源5の出力を表し、図3(c)は金属溶湯層11と非金属溶湯層12のそれぞれに電磁誘導により供給される誘導発熱量の変化を表し、図3(d)は金属溶湯層11の温度と非金属溶湯層12の表層温度の変化を表す。
【0029】
電磁コイル1の高さは、初期における金属廃棄物の誘導発熱により金属と非金属の溶湯層が形成された後、新たに雑固体廃棄物が追加されたときに、導電性スリーブ4の位置まで持ち上げられる。
高周波出力は、雑固体廃棄物の追加投入により低下した金属溶湯層11の温度を回復するように増加させられる。
金属溶湯層と非金属溶湯層への供給熱量は、コイル高さと高周波出力の変化により変化し、これらの温度もこれに伴って変化する。
【0030】
さらに詳しく説明すると、始めに金属成分を溶融しきるするまでは、キャニスター10に対する電磁コイル1の高さはキャニスター10の底付近に対応する低い位置に固定され、高周波電源5も金属溶湯層11の温度が炉壁の危険温度より低い適当な温度になるような出力を維持する。
この状態で新たに雑固体廃棄物がキャニスター10の中に投入されると、非金属溶湯層11の表面温度が低下し、これに伴い金属溶湯層11からの伝熱量も増加するので金属溶湯層11の温度も若干低下する。
【0031】
ここで、電磁コイル1の相対位置を導電性スリーブ4に対応するところまで移動させると、金属溶湯層11の発熱量が減少し、導電性スリーブ4側の誘導発熱量が増大して、非金属溶湯層12の温度は若干回復する。
さらに、金属溶湯層11の温度が炉壁の損傷温度以下の適当な温度になるまで高周波電力を増加させる。すると、導電性スリーブ4を介して非金属雑固体廃棄物に供給される熱量が増加し、新たに追加された廃棄物は迅速に溶融する。
なお、電磁コイル1の位置調整後に金属溶湯層の温度変化を観測することにより最適の高周波電力増加量を算出して高周波出力を調整するようにしても良いが、追加投入する雑固体廃棄物の量に基づいて最適な高周波電力を推定して電磁コイル位置調整と同時に高周波出力調整することもできる。
【0032】
廃棄物が溶融したら、昇降台2をコンベヤの位置まで下降させて搬出コンベヤに移し冷却場所に移動して、自然放冷により冷却する。冷却したキャニスター10は、ドラム缶に入れて隙間をモルタルで塞いで廃棄体とする。
なお、導電性スリーブ4は冷却前に回収して繰り返し利用することもできる。
【0033】
このようにして、雑固体廃棄物をすべて溶融することにより、形状を有する固体物が流体化して空間を埋め、容積が著しく減少するので、非金属成分割合の大きな低レベル放射性廃棄物についても経済的な処理が可能となる。また、キャニスター内部の温度は炉壁を損傷する温度以下に管理されるので、キャニスターは十分頑丈で炉壁の崩壊や漏洩を起こさず安全に廃棄物を収納して長期保管することができる。
なお、上記実施例においては、設備改良の容易性に鑑みて、電磁コイル1の相対高さ変更を電磁コイル1を搭載する昇降台2に途中位置で停止して保持できるような駆動装置3により行うものについて記載したが、電磁コイル1の方を上下方向に移動させるようにしても良いことはいうまでもない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉によれば、金属溶湯の温度を管理してキャニスターに損傷を与えないようにして非金属が含まれる雑固体廃棄物の溶融減容処理をすることができる。また、従来の高周波誘導炉に多少の改良を加えるだけで、本発明の装置にすることができるので、経済的であり、さらに、金属溶湯層を過剰に加熱することがないので運転費用も節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例における雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉の断面図である。
【図2】本実施例の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉内の熱の流れを示す図である。
【図3】本実施例の運転状態における状態変化を示すグラフである。
【図4】従来の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉の断面図である。
【符号の説明】
1 電磁コイル
2 昇降台
3 昇降台駆動装置
4 導電性スリーブ
5 高周波電源
6 雑固体供給装置
7 温度検出端
8 温度計
10 キャニスタ
11 金属溶湯層
12 非金属溶湯層

Claims (6)

  1. 金属と非金属が混合した低レベル放射性雑固体廃棄物をキャニスタに収納して高周波誘導炉内に載置し、該雑固体廃棄物を高周波誘導加熱によりキャニスタ内で溶融して減容する低レベル放射性雑固体廃棄物減容方法において、前記キャニスタを前記高周波誘導炉内の電磁コイルに対向する位置に置き、初めに金属の割合が大きい雑固体廃棄物と前記高周波誘導炉の内径より小さな外径を有し溶融したときの前記非金属の比重より小さな比重を有する導電性スリーブを前記キャニスターに投入し、前記キャニスタに投入した金属が溶融するまでは前記電磁コイルを前記キャニスタ内の底部に対応する位置に据え主として金属層の加熱を行って非金属をも溶融させ生成した金属層の上に前記導電性スリーブを浮遊させ、その後非金属の割合が大きい廃棄物を投入したときに前記電磁コイルの相対的位置を前記導電性スリーブに対応する位置まで動かして非金属の加熱を主に行うとともに、電磁コイルの出力を金属層の温度が所定の温度より低い値を維持するように調整することを特徴とする雑固体廃棄物減容方法。
  2. 前記キャニスタを搭載する台を昇降することにより前記電磁コイルと前記キャニスタの相対的位置を調整することを特徴とする請求項1記載の雑固体廃棄物減容方法。
  3. 請求項1または2記載の雑固体廃棄物減容方法において、前記キャニスターを高周波誘導炉内に据えてから内容物を添加する代わりに、前記キャニスターに予め処理対象の雑固体廃棄物と前記導電性スリーブを仕込んでおくことを特徴とする雑固体廃棄物減容方法。
  4. キャニスタを囲い込んでキャニスタの内容物に高周波エネルギーを供給する電磁コイルと、前記電磁コイルに電力を供給する高周波電源装置と、キャニスタを載置して前記電磁コイル内を昇降する昇降台を備える高周波誘導炉であって、前記昇降台が、前記高周波誘導炉の内径より小さな外径を有し溶融したときの非金属の比重より小さな比重を有する導電性スリーブを前記キャニスターに投入して誘導加熱する誘導加熱工程中に適宜の高さに変更でき、キャニスタ内の金属溶湯温度の測定装置を備え、前記高周波電源装置が該金属溶湯温度に基づいて前記電磁コイルに供給する電力を調整することができるように構成されていることを特徴とする雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉。
  5. さらに、キャニスタに雑廃棄物を供給する雑固体供給装置を付属して、誘導加熱工程中適宜に前記キャニスタ内に雑固体廃棄物を追加することができるようにしたことを特徴とする請求項記載の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉。
  6. 前記雑固体廃棄物溶融用誘導炉に使用するキャニスタは、非導電性セラミックスから形成され、中に前記導電性スリーブを収納できるようになっていることを特徴とする請求項4たは5記載の雑固体廃棄物溶融用高周波誘導炉。
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