JP3562693B2 - シーミングロール - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶蓋を缶胴に二重巻締するためのシーミングロールに関し、さらに詳しくは寿命の改善されたシーミングロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、ジュース缶やコーヒー飲料缶等の缶詰の缶蓋の材料として、表面に金属クローム層を含むティンフリースチール(電解クロム酸処理鋼板)が広く用いられるようになった。この場合シーミングロールに加わる荷重が大きく、かつティンフリースチールの表面に硬い金属クロム層があるので、シーミングロールが摩耗して地肌が荒れ易く、そのため巻締部に傷が付いて錆が発生して商品の価値を低下するという欠陥を生じ易い。缶蓋がアルミニウム合金よりなる場合は、アルミニウム合金がシーミングロールのシーミンググルーブに溶着してビルドアップして、シーミンググルーブの形状が崩れて、比較的短時間でシーミングロールが使用不可能になり易い。
その対策として、特公昭57−14246号公報には、ロックウエルC硬度(HRc)が56〜58のマルテンサイト系不銹鋼SUS440C(規格:C:0.95〜1.20重量%、Cr:16.0〜18.0重量%、Mo:0.4〜0.7重量%、Mn:1.00重量%以下、Si:1.00重量%以下、Mn:1.00重量%以下、P:0.4重量%以下、S:0.10重量%以下)より形成されたシーミングロール、および上記不銹鋼SUS440CにTiCコーテイング処理を施して表面硬化したシーミングロールを用いてティンフリースチールよりなる缶蓋を巻締した結果が記載されているが、この場合のシーミングロールの寿命は満足なものでない。
実開昭58−87865号公報(明細書を含む)には、缶蓋と接触する外表面側から順に、窒化チタン層、窒化チタンと炭化チタンの混合物層、炭化チタン層の三層によって構成され薄膜によって被覆されたダイス鋼を母材とする巻締ロール、すなわちシーミングロールが提案されている。本発明者の経験によれば、缶蓋がアルミニウム合金よりなる場合は有効であるが、ティンフリースチールよりなる場合は、その寿命は満足なものでない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、寿命が改善されたシーミングロールを提供することを目的とする。
【0004】
請求項1に係る発明は、ティンフリースチールよりなる缶蓋を缶胴に二重巻締するためのシーミングロールであって、C:0.90〜1.20重量%、Cr:12.0〜15.0重量%、Mo:3.0〜4.0重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、Si:0.2〜0.8重量%、残り不可避的不純物よりなり、焼入れ後、サブゼロ処理を行い、次いで、焼戻しを2回行って、ロックウエルC硬度(HRc)が59〜63となるマルテンサイト系不銹鋼より形成され、シーミンググルーブの表面が、最大粗さ(R max )が0.4〜0.8μmで研磨仕上げされたことを特徴とする。
本明細書においては、溶接缶胴や接着剤接合缶胴等の両端が開放の缶胴を有底缶胴にするために二重巻締される所謂缶底をも缶蓋とよぶことにする。また単にシーミングロールという場合は、一次シーミングロールと二次シーミングロールを含むものとする。Cを0.90〜1.20重量%、Crを12.0〜15.0重量%、Moを3.0〜4.0重量%含むマルテンサイト系不銹鋼より形成されている。特にMoは焼入性を改善し、焼戻効果が大きい。よって適切な熱処理を行なうことによって、硬度(HRc)が59〜63と高く、耐摩耗性と比較的靱性に優れたシーミングロールが得られる。従って請求項1に係わるシーミングロールは、耐食性を要求しない環境での二重巻締、例えば製缶工場で有底缶胴を製造するためにティンフリースチールよりなる缶蓋を二重巻締する場合に長寿命が得られる。
【0005】
請求項2に係る発明は、ティンフリースチールよりなる缶蓋を缶胴に二重巻締するためのシーミングロールにおいて、該シーミングロールは、C:0.90〜1.20重量%、Cr:12.0〜15.0重量%、Mo:3.0〜4.0重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、Si:0.2〜0.8重量%、残り不可避的不純物よりなり、
ロックウエルC硬度(HRc)が59〜63であるマルテンサイト系不銹鋼より形成された母材表面に、
少なくとも巻締時に缶蓋と接触すべき部分の表面が、内面側より、厚み2〜5μmのTiC層、厚み1〜2μmのTiCN層、厚み3〜5μmのTiN層よりなる、トータル厚み6〜12μmの硬質被膜層を被覆した後、
再焼入れ、サブゼロ処理、焼戻しを行った後研磨して、
シーミンググルーブの表面が、最大粗さ(R max )が0.4〜0.8μmで仕上げられたことを特徴とする。
少なくとも巻締時に缶蓋と接触すべき部分は、具体的にはシーミンググルーブ3(図1)およびシーミンググルーブ13(図2)をさす。
【0006】
TiC層は、硬い(マイクロビッカース硬度:3800〜4000)が、脆いという性質を有する。TiN層は、TiC層よりは軟らかいが、マイクロビッカース硬度が1700〜2400であって、超硬合金(マイクロビッカース硬度:1500〜1800)より硬度が高く、靱性があり、かつ滑り性に富むという利点を有する。TiCN層は、TiC層とTiN層の中間の性質を有する。
TiC層は、段落番号0014に記載のように、化学蒸着法によって形成されるが、その際鋼基材表面の炭素がTiC層の下層を形成するので、鋼基材とTiC層の間に拡散層ができて、TiC層は鋼基材に対する密着性が優れている。TiN層は、TiCN層を介してTiC層との密着性に富む。
鋼基材は硬度(HRc)が59〜63と高く、二重巻締の際に加わる繰り返し衝撃力(押圧力)によって凹み変形し難い。
【0007】
従来のSUS440C(HRc56〜58)の上にTiC層のみを形成したシーミングロールの寿命が満足なものでなかった理由は次のように考えられる。SUS440Cは硬度が比較的低いので、二重巻締の際に加わる繰り返し衝撃力によって僅かに凹み変形し易いが、その際比較的厚く(通常5μm以上)、かつ脆いTiC層に、使用後比較的早期に亀裂が生じ、この亀裂が起点となってTiC層が局部的に剥離して、シーミンググルーブの表面が荒れて、二重巻締部に傷を生じる。
これに対して、請求項2のシーミングロールは、鋼基材の硬度が比較的高いので二重巻締の際に加わる繰り返し衝撃力によって凹み変形し難い。硬質被膜層は3層よりなるので、鋼基材との密着性を保持する範囲内でTiC層は比較的薄くてもよい。TiCN層とTiN層は比較的靱性に富む。従って二重巻締の際に加わる繰り返し衝撃力によって、硬質被膜層が亀裂に基づく剥離を生じ難い。
最表面のTiN層は、TiC層よりは硬度が低いが、滑り性に富むので、二重巻締の際に摩耗し難い。よって請求項2のシーミングロールは、寿命が従来のシーミングロールよりも優れている。
さらにTiC層、TiCN層およびTiN層は、ジュースやスポーツドリンク等の缶詰内容物に含まれる酸や食塩等に対して耐食性に富んでいる。またアルミニウム合金との押圧下の繰り返し接触によってアルミニウムがビルドアップすることがない。よって請求項2のシーミングロールは、内容物を充填後の二重巻締に適している。またアルミニウム合金よりなる缶蓋の二重巻締に適している。
【0008】
シーミングロールの硬質被膜層の厚さは、6〜12μmであること、より好ましくは8〜10μmであることが望ましい。6μmより薄いと、硬質被膜層の減摩が早くなって、シーミングロールの寿命が短くなるので好ましくない。12μmより厚いと、シーミングロールのシーミンググルーブの鋼基材の極く僅かな凹み変形によって、硬質被膜層に亀裂が生じ易くなるので好ましくない。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1の1は、一次シーミングロールを示し、2は周面部、3はシーミンググルーブ、4は中央孔部である。中央孔部4には、シャフト(図示されない)や、シーミングロールをシャフトの周りに回転自在にするためのコロ軸受(図示されない)が装着されているので、その内面の形状は複雑であるが、図では円筒形に簡略化した。
図2の11は、二次シーミングロールを示し、12は周面部、13はシーミンググルーブ、14は中央孔部である。中央孔部14には、シャフト(図示されない)やコロ軸受(図示されない)が装着されているので、その内面の形状は複雑であるが、図では円筒形に簡略化した。
【0010】
一次シーミングロール1および二次シーミングロール11の母材は、C:0.90〜1.20重量%、Cr:12.0〜15.0重量%、Mo:3.0〜4.0重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、Si:0.2〜0.8重量%、残り不可避的不純物よりなり、ロックウエルC硬度(HRc)が59〜63であるマルテンサイト系不銹鋼よりなる。
Cが0.90重量%より少ないと、熱処理によってもロックウエルC硬度(HRc)が59〜63で、かつ十分な靱性を有する鋼が得られない。Cが1.20重量%より多いと、硬くなり過ぎて脆くなる。
Crが12.0重量%より少ないと、表面に安定緻密な酸化クローム被膜の生成が困難になり、耐錆性や耐食性が劣化し、また焼入焼戻硬度も低くなる。Moを3.0〜4.0重量%を含むため、Crは15.0重量%を越えなくても満足な硬度と靱性を得ることができ、15.0重量%を越えるCrを含むことはコストの上昇を招くので好ましくない。
Moは、鋼の焼入性を改善し、焼戻脆性の防止に特効があり、焼戻硬化が大きい。Moが3.0重量%より少ないと、上記の効果が顕著でない。4.0重量%越えることは、上記効果の上昇が顕著でなく、寧ろコスト高を招くので好ましくない。
Mnは、脱酸剤として用いられ、またSの悪影響を除き、焼入性を高める効果がある。0.2重量%より少ないと、上記効果が失われる。0.8重量%より多くすることは、上記効果の上昇が少なく、寧ろコスト高を招くので好ましくない。 Siも脱酸剤として用いられるが、0.2重量%より少ない場合は、その効果が少ない。0.8重量%を越えると、靱性が乏しくなるので好ましくない。 不可避的不純物としては、PおよびSが主なものであるが、これ等は0.10重量%以下で、できるだけ少ないことが好ましい。
【0011】
シーミングロール1および11の基材は、マルテンサイト系不銹鋼よりなり、その硬度は、HRcで59〜63であるのが好ましく、60〜62であるのがより好ましい。HRcが59より低いと、耐摩耗性に劣り、硬質被膜層5なしで使用する場合は、寿命が短くなるからである。硬質被膜層5で被覆されている場合は、HRcが59より低いと、巻締の際に加わる荷重によってシーミンググルーブ3、13が僅かに凹み変形して、硬質被膜層5に亀裂が入って、被膜層5が剥離し易くなるからである。HRcが63より高いと、二重巻締時に加わる繰り返し衝撃によって破壊し易くなるからである。
【0012】
硬質被膜層5は図3に示すように、内面側よりTiC層5a、TiCN層5b、TiN層5cよりなっている。図3では、説明を分かり易くするため各層の境界を明確にしてあるが、実際は境界は模糊としており明確ではない。TiC層5aの厚さは約2〜5μm、TiCN層5bの厚さは約1〜2μm、TiN層5cの厚さは約3〜5μmであることが好ましい。
【0013】
硬質被膜層5を有しない一次シーミングロール1は、例えば次のようにして作製される。母材を図1に示すような周面部2および中央孔部4を有する形状および設計寸法になるように研削、研磨する。少なくともシーミンググルーブ3の表面は、最大粗さ(Rmax)が0.4〜0.8μmの範囲に入るように仕上げる。Rmaxが0.8μmより大きいと、二重巻締の際に接触する缶蓋のシーミングパネル7aやカール部7bの表面を傷つけて、塗膜や表面処理被膜を破って前巻締部9の耐錆性や耐食性を損なうからである。Rmaxは小さい程好ましいのであるが、0.4μmより小さくすることは、周面部2が複雑な形状をしているので困難である。
次に1050℃から焼入した後、−120℃でのサブゼロ処理を行なう。次いで150℃x2時間の焼戻を2回行なう。このようにして硬度(HRc)が59〜63の、硬質被膜層5を有しない、すなわち裸のシーミングロール1が得られる。
硬質被膜層5を有しない二次シーミングロール11も、上記と同様にして作製される。この場合も、少なくともシーミンググルーブ13の表面は、最大粗さ(Rmax)が0.4〜0.8μmの範囲に入るように仕上げる。
【0014】
硬質被膜層5を有する一次シーミングロール1は、例えば次のようにして作製される。少なくともシーミンググルーブ3の表面が、最大粗さ(Rmax)が0.4〜0.6μmの範囲に入るように仕上げられた点、およびサブゼロ処理、焼戻を行なわれない点以外は段落番号0013に記載された方法と同様にして形成された一次シーミングロール素材に化学蒸着法(CVD法)を施して硬質被膜層5を形成する。
化学蒸着法(CVD法)は次のようにして行なわれる。すなわち焼入後の一次シーミングロール素材を高温の水素雰囲気中で表面清浄化処理した後、水素、チタンハロゲン化物(例えば四塩化チタン)、炭化水素(例えばメタン)を含む混合ガスの中で900〜1100℃の温度で加熱する。この処理によってTiC層5aが形成される。所定厚さのTiC層5aが形成された後、混合ガスを水素、チタンハロゲン化物(例えば四塩化チタン)および窒素を含むガスに切替えて同様な加熱を行なう。この処理によってTiC層5aの上にTiCN層5b、さらにその上にTiN層5cが形成される。全体の厚さが所定値になった時点で処理を停止する。硬質被膜層5の表面粗さ(Rmax)は、被膜形成前の鋼基材の表面粗さ(Rmax)より僅かに(通常約1〜2μm)増加する。形成された硬質被膜層5はバフ研磨される。
硬質被膜層5を形成された後、再焼入、サブゼロ処理(例えば−120℃での)および焼戻(例えば150℃x2時間の焼戻を2回)を施され、少なくともシーミンググルーブ3に形成された硬質被膜層5はバフ研磨される。このようにして母材の硬度(HRc)が59〜63の、硬質被膜層5を形成された一次シーミングロール1が得られる。
硬質被膜層5を有する二次シーミングロール11も、一次シーミングロール1と同様の方法で硬質被膜層5を形成される。
【0015】
一次シーミングロール1および二次シーミングロール11を用いての二重巻締は次のようにして行なわれる。
缶蓋7の凹部にチャック8を嵌入し、缶胴6のフランジ部6aに缶蓋7のシーミングパネル7aが載置された状態で、リフタープレート(図示されない)上に載置された缶胴6をチャック8と共に軸心の周りに高速回転させながら、一次シーミングロール1を半径方向に移動させて缶蓋のカール部7bに接近させて、シーミングパネル7aとカール部7bをシーミンググルーブ3の形状にマッチするまで押圧変形させて前巻締部9を形成する(図4)。直ちに二次シーミングロール11を半径方向に移動させて前巻締部9に接近させ、前巻締部9をシーミンググルーブ13の形状にマッチするまで押圧変形させて二重巻締部10を形成する(図5)。この二重巻締の際に、シーミングロール1、11に、繰り返し衝撃力と摩耗力が作用する。
【0016】
【実施例】
実施例1:
C:1.04重量%、Cr:13.93重量%、Mo:3.55量%、Mn:0.40重量%、Si:0.28重量%、P:0.029重量%、S:0.002重量%、残り不可避的不純物よりなり、1050℃からの焼入、−120℃でのサブゼロ処理、150℃x2時間の2回の焼戻を受けたロックウエルC硬度(HRc)が61.5であるマルテンサイト系不銹鋼よりなる第1シーミングロール1(シーミンググルーブ3表面ののRmaxは0.8μm)および第2シーミングロール11(シーミンググルーブ13表面のRmaxは0.8μm)を用いて、厚さ0.19mmのティンフリースチールよりなる両端開放の公称容積350c.c.の接着缶胴6の片方の端部に、厚さが0.19mmで、硬さ(ロックウエル30T)が62〜68で、外面に厚さ5μmのエポキシ−フェノール系樹脂被膜を被覆されたティンフリースチールよりなる缶蓋7を、1500缶/分の速度で二重巻締した。この場合シーミングロール1およびシーミングロール11の寿命は約800万缶であった。寿命の評価は、硫酸銅溶液に浸漬して、2重巻締部10の外側面10aに銅の析出が連続して見られるまでの缶数に基づいて行なった。実施例2および比較例1、2、3についても同じである。
【0017】
比較例1:
比較のため、母材の組成が、C:1.06重量%、Cr:16.10重量%、Mo:0.01重量%、Mn:0.51重量%、Si:0.56重量%、P:0.034重量%、S:0.004重量%、残り不可避的不純物よりなり、焼戻温度が200℃である点を除いては実施例1と同様の条件で熱処理されたロックウエルC硬度(HRc)が57.0であるマルテンサイト系不銹鋼よりなる第1シーミングロール1および第2シーミングロール11を用いた点以外は、実施例1と同様にして二重巻締した。この場合の寿命は約300万缶であった。
【0018】
実施例2:
実施例1の第1シーミングロール1および第2シーミングロール11の各々の周面部2および12に、厚さ3μmのTiC層5a、厚さ2μmのTiCN層5bおよび厚さ4μmのTiN層を形成してなるシーミングロール1、11を用いた点、および実施例1で作製した有底缶胴にオレンジジュースを充填したものを缶胴6とした点以外は、実施例1と同様にして二重巻締を行なった。この場合の寿命は約1200万缶であった。
【0019】
比較例2:
実施例1の第1シーミングロール1および第2シーミングロール11の各々の周面部2および12に、厚さ9μmのTiC層5aのみを形成してなるシーミングロール1、11を用いた点、および実施例1で作製した有底缶胴にオレンジジュースを充填したものを缶胴6とした点以外は、実施例1と同様にして二重巻締を行なった。この場合の寿命は約700万缶であった。
【0020】
比較例3:
第1シーミングロール1および第2シーミングロール11の母材として比較例1の組成および硬度のものを用いた点以外は、実施例2と同様にして二重巻締を行なった。この場合の寿命は約800万缶であった。
【0021】
【発明の効果】
請求項1に係わる発明のシーミングロールは、両端が開放された缶胴にティンフリースチールよりなる缶蓋を二重巻締して有底缶胴を形成する場合に、寿命が改善されるという効果を奏する。
請求項2に係わる発明のシーミングロールは、内容物が充填された有底缶胴(シームレス缶を含む)に缶蓋を二重巻締して缶胴を密封する場合に、寿命が改善されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシーミングロールの中、第1シーミングロールの正面図である。
【図2】図2は、本発明のシーミングロールの中、第2シーミングロールの正面図である。
【図3】図3は、本発明のシーミングロールの、少なくとも巻締時に缶蓋と接触すべき部分の表面の要部縦断面図である。
【図4】図4は、第1シーミングロールによる前巻締が終了した時点の状態を示す要部縦断面図であう。
【図5】図5は、第2シーミングロールによる二重巻締が終了した時点の状態を示す要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 第1シーミングロール(シーミングロール)
3 シーミンググルーブ(少なくとも巻締時に缶蓋と接触すべき部分)
5 硬質被膜層
5a TiC層
5b TiCN層
5c TiN層
6 缶胴
7 缶蓋
9 前巻締部
10 二重巻締部
11 第2シーミングロール(シーミングロール)
13 シーミンググルーブ(少なくとも巻締時に缶蓋と接触すべき部分)

Claims (2)

  1. C:0.90〜1.20重量%、Cr:12.0〜15.0重量%、Mo:3.0〜4.0重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、Si:0.2〜0.8重量%、残り不可避的不純物よりなり、焼入れ後、サブゼロ処理を行い、次いで、焼戻しを2回行って、ロックウエルC硬度(HRc)が59〜63となるマルテンサイト系不銹鋼より形成され、シーミンググルーブの表面が、最大粗さ(R max )が0.4〜0.8μmで研磨仕上げされたことを特徴とする、ティンフリースチールよりなる缶蓋を缶胴に二重巻締するためのシーミングロール。
  2. ティンフリースチールよりなる缶蓋を缶胴に二重巻締するためのシーミングロールにおいて、該シーミングロールは、C:0.90〜1.20重量%、Cr:12.0〜15.0重量%、Mo:3.0〜4.0重量%、Mn:0.2〜0.8重量%、Si:0.2〜0.8重量%、残り不可避的不純物よりなり、
    ロックウエルC硬度(HRc)が59〜63であるマルテンサイト系不銹鋼より形成された母材表面に、
    少なくとも巻締時に缶蓋と接触すべき部分の表面が、内面側より、厚み2〜5μmのTiC層、厚み1〜2μmのTiCN層、厚み3〜5μmのTiN層よりなる、トータル厚み6〜12μmの硬質被膜層を被覆した後、
    再焼入れ、サブゼロ処理、焼戻しを行った後研磨して、
    シーミンググルーブの表面が、最大粗さ(R max )が0.4〜0.8μmで仕上げられたことを特徴とするシーミングロール。
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