JP2000272737A - 低慣性を有する搬送ロール - Google Patents

低慣性を有する搬送ロール

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JP2000272737A
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直樹 大石
Shinji Sato
信治 佐藤
Masataka Nagaya
正孝 長屋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性に優れていて長期間にわたり継続使
用することができる低慣性を有する搬送ロールを提供す
ること。 【解決手段】 カーボンファイバーを補強材として成形
されたロール芯1の表面に、ロール芯1の表層に一部が
浸透された耐摩耗性を有するクロマイジング金属層2を
形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板、鋼管、棒鋼
などの鋼材、非鉄金属板、紙、樹脂フィルムなどの各種
の製品搬送に長期間にわたり継続使用することができる
耐摩耗性に優れた低慣性を有する搬送ロールに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】例えば、製鉄工場の精整ラインに組み込
まれている鋼材の搬送ロールとしては、従来から耐摩耗
性に優れたスチールロールが広く用いられていたが、ス
チールロールは重くて慣性が高いために鋼材にスリ傷を
発生させる要因となることがあった。そこで、慣性の低
い搬送ロールとしてスチールよりも軽いアルミニウムよ
りなるロール芯の外周にベークライト層を形成したもの
や、カーボンファイバーを補強材として成形されたロー
ル芯の表面にクロムメッキを施したもの(特開平5ー1
71494号公報など)が提案され実用に供されてい
る。
【0003】しかしながら、アルミニウムよりなるロー
ル芯の表面に耐摩耗性を有するベークライトの層を形成
したものや、カーボンファイバーを補強材として成形さ
れたロール芯の表面にクロムメッキを施したものは、軽
量で慣性が低いものの、長期間使用していると、ベーク
ライト層の摩耗変形や、クロムメッキの表面層の剥離に
より製品を傷付ける場合があった。また、最近ではより
一層のコストの低廉化が求められているため、搬送ロー
ルに対しても耐用年数が従来の数年程度のものではな
く、十数年以上の長期間にわたって使用できる長寿命の
ものが要求されるようになってきており、このために単
に慣性が低いばかりでなく耐摩耗性にも優れており、し
かも、長寿命な搬送ロールの開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
するところは上記のような従来の問題点を解決して、軽
量で慣性が低くて製品搬送中におけるスリ傷の発生を防
止することができるばかりでなく、耐摩耗性に優れてい
て長期間にわたって継続使用することができる長寿命で
低慣性を有する搬送ロールを提供することを目的として
完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明に係る低慣性を有する搬送ロール
は、カーボンファイバーを補強材として成形されたロー
ル芯の表面に、ロール芯の表層に一部が浸透された耐摩
耗性を有するクロマイジング金属層を形成したことを特
徴とするものを基本構成とし、これを請求項1に係る発
明とする。なお、このような低慣性を有する搬送ロール
において、ロール芯の表面に形成しておくクロマイジン
グ金属層をビッカース硬さ(HV0.3) 800以上としてあ
り、これを請求項2に係る発明とする。また、クロマイ
ジング金属層は硬質で且つ密着性がよいので、カーボン
ファイバーを補強材として成形されたロール芯を中空と
して一層軽量化しても搬送ロール寿命は良好で、慣性を
より優れたものとすることができ、これを請求項3に係
る発明とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しつつ本発明
の好ましい実施の形態を示す。図面は、製鉄所における
精整ラインに組み込まれて使用される搬送ロールの要部
の拡大断面図を示すものであって、図中1はロール芯、
2はロール芯1の表面に形成された耐摩耗性を有するク
ロマイジング金属層である。
【0007】前記したロール芯1は、カーボンファイバ
ーを補強材としてカーボン系樹脂で成形されたいわゆる
カーボンFRP(以下CFRPと記す)よりなるもので
あって、スチールロールに比べて遙かに軽量であるから
低慣性なものである。そして、このロール芯1の表面に
は耐摩耗性を有するクロマイジング金属層2がその一部
をロール芯1の表層に浸透させた状態として層形成され
ている。前記した表面のクロマイジング金属層2は、ク
ロマイジング処理によって被処理物であるロール芯1の
表層にクロムを浸透拡散させ、これによりカーボンファ
イバーを補強材として成形されたロール芯に耐熱性・耐
摩耗性・耐食性等を付与するものである。なお、前記し
たようなクロマイジング処理は、従来より低炭素鋼やス
テンレス鋼よりなる被処理物の表面強度を増す必要があ
るときの耐摩耗性付与する金属浸透法としてはすでに確
立されている技術であるが、本発明者はこの金属を対象
とされていたクロマイジング処理がカーボンファイバー
を補強材とするCFRP製品にも適用可能であることを
見出し、これにより本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0008】ロール芯1の表面に耐摩耗性を有するクロ
マイジング金属層2を形成するクロマイジング処理を行
なうには、被処理物であるカーボンファイバーを補強材
として所要形状に成形されたロール芯1を用意し、これ
を例えばペレット状のCrを多量に含んだ浸透剤が充填
してある処理鍋内に埋め込み、この処理鍋を約900℃
で数時間加熱処理することによりロール芯1の表面にク
ロマイジング金属層2をその一部が表層に浸透した状態
に形成すればよい。このようにして得られたクロマイジ
ング金属層2は、従来のCrメッキ処理による単一の薄
いメッキ層とは異なり、図示のようにCrとCとが結合
したクロムカーバイド(Cr-C)がロール芯1の表面から内
側に向け深く含浸した状態となっており、従って、従来
のメッキ層と異なって非常に剥離し難いうえに、ビッカ
ース硬さ(HV0.3) を800以上とすることができ、非常
に硬くて優れた耐摩耗性を発揮するものである。さら
に、クロムカーバイドの含浸量を高めることによって、
ビッカース硬さ(HV0.3) 1600以上でより優れた耐摩
耗性を有し、しかも、耐剥離性にも優れたクロマイジン
グ金属層2をCFRPよりなるロール芯1の表面に形成
できる。
【0009】このように構成されたものは、ロール芯1
が比重の軽いカーボンファイバーを補強材としてカーボ
ン系樹脂で成形されたいわゆるCFRPよりなるもので
あって、成形加工性がよいうえに軽くて取扱性がよく、
しかも、このロール芯1の表面に形成されているクロマ
イジング金属層2も任意の厚みとすることができるか
ら、従来のスチールローラ等と何等変わることのない外
径寸法として、従来のスチールローラーその他この種の
搬送ロールと同様にして精整ラインに組み込みんで鋼材
の搬送に用いられるものであるが、耐摩耗性を有するク
ロマイジング金属層2が表面に形成されているロール芯
1は全体重量がスチールローラと比較して極めて軽くて
使用時における慣性が低く、このため、搬送中に鋼材に
疵を付けることがない。また、鋼材と接触するロール芯
表面にその一部を表層に浸透させて形成されているクロ
マイジング金属層2は、ビッカース硬さ(HV0.3) が80
0以上に達するもので、耐摩耗性に優れているばかりで
なく、表層へ一部浸透されていることと相俟って耐剥離
性に優れており、十数年以上の長期間にわたって使用し
ても全く部品交換する必要がなくて大幅なコストダウン
を達成できることとなる。このように、従来のロール芯
表面にクロムメッキを施したものでは、耐摩耗性を確保
できても耐剥離性の問題があり、たとえクロムメッキ層
とロール芯表面との間に剥離防止用の下地メッキ層を介
在させておいても充分満足できる耐摩耗性が得られなか
ったのに対し、本発明では耐摩耗性と耐剥離性の問題を
同時に解決できるため、耐久性も著しく向上されたもの
となる。また、CFRPよりなるロール芯を中空として
更に軽量化すれば、搬送ロールの慣性を格段に低くする
ことができる。
【0010】
【発明の効果】本発明は以上の説明からも明らかなよう
に、従来のスチールローラに比べて遙かに軽量で取扱い
が容易なうえに慣性が低いので製品搬送中におけるスリ
傷の発生を防止することができ、しかも、耐摩耗性と耐
剥離性のいずれにも極めて優れているため、十数年以上
の長期間にわたって継続使用することができる利点があ
る。よって本発明は従来の搬送ロールがもつ問題点を一
掃した低慣性を有する搬送ロールとして、産業の発展に
寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部の拡大断面図で
ある。
【符号の説明】
1 ロール芯 2 クロマイジング金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長屋 正孝 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 Fターム(参考) 3F033 GA06 GC02 GC10 HA01 HA06 3J103 AA02 AA24 AA36 AA83 CA01 DA01 FA09 FA10 FA12 FA13 FA16 FA17 FA19 GA02 GA15 GA23 GA32 GA33 HA05 HA06 HA14 HA15 HA54 HA60

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンファイバーを補強材として成形
    されたロール芯の表面に、ロール芯の表層に一部が浸透
    された耐摩耗性を有するクロマイジング金属層を形成し
    たことを特徴とする低慣性を有する搬送ロール。
  2. 【請求項2】 クロマイジング金属層のビッカース硬さ
    (HV)が、800以上である請求項1に記載の低慣性を有
    する搬送ロール。
  3. 【請求項3】 ロール芯が中空である請求項1または2
    に記載の低慣性を有する搬送ロール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003340512A (ja) * 2002-05-22 2003-12-02 Nippon Steel Hardfacing Co Ltd 無駆動ロール
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