JP3562310B2 - 熱電素子チップ作製用形材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の熱電素子を配列させ熱電素子チップ作製用形材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図5に示すような熱電素子チップ作製用形材の製造方法が提案されている。この熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、まず、結晶性熱電素子材料インゴットを非酸化性雰囲気中でボールミルなどを用いて粉砕する。次に、得られた粉末をシース材となるアルミニウム合金のような金属製のビレットカプセル3に充填する。さらに、この熱電素子材料粉末4が充填されたビレットカプセル3を脱気・密封して押し出し加工用ビレットとし、押し出し加工機10により押し出し加工を行い、シース材付きの押し出し材5を得る。そして、この押し出し材5に、適切な熱処理条件で焼結を行った後、シース材の除去を行うことにより熱電素子チップ作製用形材を製造している。また、熱電素子チップは、棒状の熱電素子材料を複数本引き揃えて切断することによを得られる。
【0003】
このようにして得られた熱電素子チップ作製用形材は、
(1)インゴットに生じている構成成分の偏析を減少することができ、場所による熱電気的特性のばらつきを減少することが出来る。
(2)焼結により機械的強度がインゴットよりも向上しており、モジュールとしての信頼性向上を図ることができる。
(3)押し出し比(ダイス径)を変えることにより容易に所望の形状に作製することができる。
(4)押し出し加工により一度に大量の押し出し材5を作製することができ、生産性の向上を図ることができる。
等の利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、押し出し加工時に熱電素子材料粉末4がシース材に食い込むことがあり、このため押し出し材5断面における熱電素子材料部の形状が長手方向に亘ってばらつき、所望外径の形材が得られないという問題がある。この場合は、形材の外周を削って所望外径の形材に成形する必要があり、作業効率や材料効率が低下することがある。また、熱電素子材料の外径がφ2.0mmよりも大きくシース材の厚みが1.0mmよりも小さい薄皮細線状の押し出し材5にあっては、シース材の割れや破断といった押し出し成形不良が生じることがある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、熱電素子材料粉末のシース材への食い込みを少なくすることによって、押し出し材における熱電素子材料部の長手方向に亘る形状バラツキを減少させ、作業効率や材料効率が向上した熱電素子チップ作製用形材の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、熱電素子チップ1を切り出すための形材2の製造方法であって、棒材の長手方向に中空部3aを設けてビレットカプセル3を形成し、この中空部3aに熱電素子材料粉末4を充填して押し出し加工することにより形材2を成形する熱電素子チップ作製用形材の製造方法において、中空部3a内面の硬度が熱電素子材料粉末4よりも大きく形成されていることをことを特徴として構成している。
【0007】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、中空部3a内面の硬度が熱電素子材料粉末4よりも大きいため、熱電素子材料粉末4が充填されたビレットカプセル3の押し出し加工時に、熱電素子材料粉末4がビレットカプセル3における中空部3a内面へ食い込む量が減少し、押し出し後の熱電素子材料の外径寸法が長手方向に亘って略均一に形成できる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、中空部3a内面に熱電素子材料粉末4よりも大きい硬度を有する硬化層6が形成されていることを特徴として構成している。
【0009】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、中空部3a内面の硬化層6への熱電素子材料粉末4が食い込む量が減少し、押し出し後の熱電素子材料の外径寸法が長手方向に亘って略均一に形成できる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、熱電素子材料粉末4が充填されたビレットカプセル3を圧力媒体7中で押し出し加工することを特徴として構成している。
【0011】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、圧力媒体7中に熱電素子材料粉末4が充填されたビレットカプセル3を浸漬した状態で押し出し加工するため、ビレットカプセル3の周囲に略均一に圧力媒体7の液圧がかかり、ビレットカプセル3の長手方向に亘って熱電素子材料粉末4が中空部3a内面へ略均一に食い込んでいる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、その粒径が25μmよりも小さい熱電素子材料粉末4を微細粉末8とし、この微細粉末8を中空部3a内面近傍に配設することを特徴として構成している。
【0013】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、押し出し加工時に、粒径が25μmよりも小さい微細粉末8が中空部3a内面に食い込んでも、その食い込み量が25μmよりも小さいため許容できる。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、微細粉末8を成形して熱電素子パイプ9を形成し、この熱電素子パイプ9を中空部3aに内嵌することにより微細粉末8を中空部3a内面近傍に配設することを特徴として構成している。
【0015】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、中空部3aに熱電素子パイプ9を内嵌した後、熱電素子パイプ9内に熱電素子材料粉末4を充填して押し出し加工を行う。
【0016】
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、熱電素子材料粉末4よりも大きい硬度を有する硬化パイプを形成し、ビレットカプセル3における中空部3a周囲部をこの硬化パイプにより形成するを特徴として構成している。
【0017】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、ビレットカプセル3における中空部3a周囲部が硬化パイプにより形成されているため、硬化パイプ内面により中空部3a内面が形成され、中空部3a内面の硬度が熱電素子材料粉末4よりも大きく形成されている。
【0018】
また、請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、中空部3a内面に離型剤が塗布されていることを特徴として構成している。
【0019】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、内面に離型剤が塗布さた中空部3aに熱電素子材料粉末4を充填して押し出し加工を行うため、押し出し加工後にシース材となるビレットカプセル3を容易に除去できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の熱電素子チップ作製用形材の製造方法を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態の熱電素子チップ作製用形材の製造方法を示す説明図であり、(a)及び(b)は、熱電素子材料粉末作製工程、(c)は、ビレットカプセル中空部硬化工程、(d)は、熱電素子材料粉末充填工程、(e)は、形材成形工程、(f)は、形材仕上工程である。また、図2は、同上の製造方法で作製された形材を用いた熱電素子チップの製造工程を示す説明図である。また、図3は、熱電素子チップから熱電モジュールへの一般的な形成過程を示す説明図である。
【0022】
図3に示すように、熱電素子チップ1は、これに熱交換基板33を取着して熱電モジュールを形成するものであり、電気的及び熱的な絶縁材1cによってP型及びN型の熱電素子1a、1bが交互にマトリクス状に配列されて固着され、全てのP型の熱電素子1a及びN型の熱電素子1bが交互に直列に接続されるように、その表裏両面に多数の電極30が形成されているものである。直列に接続された多数の熱電素子1a、1bのうちで両端にあたる一対の熱電素子1a、1bには、通電用のリード線32が半田付けされるリード電極31が形成される。そして、機構的手段により熱電素子チップ1の両電極30形成面に熱交換基板33を接合して、熱電モジュールが完成する。この場合、P型及びN型の熱電素子1a、1bは、P型のものではSb2Te3、N型ののものではBi2Te3をそれぞれ主成分として構成され、その大きさは0.5〜2.0mm角程度である。また、絶縁材1cには、例えば半導体の封止材に用いられるエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などが用いられる。また、電極30及びリード電極31には、銅又はニッケル等の導電性材料が用いられる。
【0023】
図1乃至図2に示すように、この熱電素子チップ作製用形材の製造方法は、熱電素子チップ1を切り出すための形材2の製造方法であって、シース材となるビレットカプセル3の中空部3aに熱電素子材料粉末4を充填して押し出し加工することにより形材2を成形するものであり、中空部3a内面の硬度が熱電素子材料粉末4よりも大きく形成されている。そして、熱電素子材料粉末作製工程、ビレットカプセル中空部硬化工程、熱電素子材料粉末充填工程、形材成形工程、形材仕上工程を経て形材2が作製され、さらに、形材2の切断工程を経て熱電素子チップ1が作製される。
【0024】
熱電素子材料としては、Pのものには、Sb2Te3系化合物を主成分としたもの、N型のものにはBi2Te3系化合物を主成分としたもの用いるのが好ましいが、必ずしもこれらに限定するものではない。なお、ここで、Pとは、不純物半導体で正孔による伝導が支配的である半導体をいい、N型とは、不純物半導体で伝導電子による伝導が支配的である半導体をいう。
【0025】
以下、形材2として棒状のものを採り上げ、各工程について順を追って説明する。
【0026】
まず、熱電素子材料粉末作製工程について説明する。
【0027】
まず、(a)に示すように、結晶性の熱電材料インゴット20を乳鉢21と乳棒22とを用いて粉砕し、粒径2.0mm程度の粗粒状にする。このとき、粉末の酸化による熱電特性の劣化を防ぐため、窒素雰囲気中で粉砕を行うことが望ましい。なお、インゴット20の形状が大きい場合や、粉末を大量に生産する場合にはハンマーミルやスタンプミルを用いて機械的に粉砕を行っても良い。
【0028】
次に、(b)に示すように、粗粉末化した熱電材料を遊星ボールミル23にて機械的に粉砕し、粒径0.2mm以下の微粉末状にする。このとき、粉末の酸化による熱電特性の劣化を防ぐため、N2等の不活性雰囲気、H2等の還元雰囲気、あるいは真空中で行うことが望ましい。なお、熱電材料の粗粉末及び微粉末は、必ずしもインゴット20を粉砕して得る必要はなく、構成元素単体の粉末の混合による粗粉末を用いてもよい。
【0029】
次に、(c)に示すように、ビレットカプセル中空部硬化工程について説明する。
【0030】
ビレットカプセル3は、外径φ18.0mm、中空部3aの肉厚4.5mm、中空部3a深さ100mmのアルミ合金材料製の棒材を例示できる。アルミ合金材料として、融点がSb2Te3系化合物やBi2Te3系化合物のような熱電材料に比較的近く、押し出し加工時の変形抵抗もSb2Te3系化合物やBi2Te3系化合物のような熱電材料に比較的近い、合金番号が5000台のアルミ合金を用いるのが好ましい。そして、ビレットカプセル3の中空部3a内面に膜厚6〜10μmのアルマイト被膜による硬化層6を形成する。この硬化層6は、表面硬さがビッカース硬度で100以上となり、熱電素子材料粉末4における相対密度100%時の圧粉時の最大ビッカース硬度45〜55よりも大きくしている。
【0031】
次に、(d)に示すように、熱電素子材料粉末充填工程について説明する。
【0032】
窒素雰囲気中でビレットカプセル3の中空部3aに熱電素子材料粉末4を充填した後、1×10−2Torrの真空中で中空部3aの開口周囲部に蓋部を電子ビーム溶接してビレットカプセル3に熱電素子材料粉末4を密封する。熱電素子材料粉末4の充填に際し、押し出し後の熱電素子材料の長手方向及び幅方向の寸法誤差が小さくなるように、また、熱電素子材料粉末4の充填密度が50〜55%程度になるように、超音波振動等を利用して十分に中空部3aのタッピングを行う。なお、熱電素子材料粉末4は酸化防止のため粒径20μm以上のものを用いることが望ましい。
【0033】
次に、(e)に示すように、形材成形工程について説明する。
【0034】
熱電素子材料粉末4が密封されたビレットカプセル3を押し出し加工機10のコンテナ部10aにセッティングし、ステム10cを可動させ押し出し加工を行う。この際、ビレットカプセル3を圧力媒体7中で押し出し加工するようにするのがよい。そうすることによって、ビレットカプセル3の周囲に略均一に圧力媒体7の液圧がかかり、ビレットカプセル3の長手方向に亘って熱電素子材料粉末4が中空部3a内面へ略均一に食い込ませることができる。また、押し出し加工は、熱電素子材料に延性を付与し潤滑下で脆性材料でも押し出し加工できるようにするため、温熱加熱下で行うのが良い。この温熱加熱は、押し出し加工前のビレットカプセル3を予備加熱すること、押し出し加工機10に昇温手段を付加すること、雰囲気温度を高くすることなどで実現できる。ビレットカプセル3の予備加熱温度は、熱電素子材料としてSb2Te3系化合物を用いた場合、300〜350℃、Bi2Te3系化合物を用いた場合、350〜400℃とすることが望ましい。なお、この予備加熱は、ビレットカプセル3内部の温度が均一になるよう十分に雰囲気加熱を行うことが望ましい。この雰囲気加熱時間は2時間程度が望ましい。また、セッティング後のビレットカプセル3の冷えがないように、予めコンテナ部10aをビレットの雰囲気加熱温度程度に保持しておく。また、押し出し比は20〜40、ステム10c速度は5〜20mm/sを目安として設定する。前述のアルミ合金材料製の棒材を用い、ダイス径4mmの押し出し加工機10を用い、押し出し比20、ステム10c速度5mm/sとすると、外径4mm、シース材厚さ1.0mm、長さ2000mmの押し出し材5が得られる。
【0035】
次に、(f)に示すように、形材仕上工程について説明する。
【0036】
得られた押し出し材5は、まず、加熱加圧して熱電素子材料粉末4の焼結体にすることが好ましい。この押し出し材5の加熱加圧により、粉末間のネッキング効果が作用し押し出し材5の機械的強度を向上させる。加熱加圧は、熱電素子材料としてSb2Te3系化合物を用いた場合、400℃〜450℃×10hrであり、Bi2Te3系化合物を用いた場合、500℃〜550℃×10hrであり、それぞれ窒素雰囲気中で行う。また、これらの加熱加圧は、熱電素子材料の酸化防止のため、シース材をつけた状態で行うことが望ましい。そして、焼結後の押し出し材5のシース材除去を行う。シース材除去方法としては、例えば、化学的処理、すなわち、塩化第二鉄や化成ソーダ等のアルカリ剤24によってシース材を構成するアルミニウム合金等を溶解させて除去する方法がある。また、熱処理等によって押し出し材5の機械的強度が向上している場合は、旋盤加工や研削加工のような機械的処理によってシース材を除去してもよい。なお、ビレットカプセル3の中空部3a内面に予め離型剤を塗布しておいてもよい。この離型剤によって、焼結後のシース材を化学的処理又は機械的処理によらずに容易に除去することもできる。
【0037】
このようにして得られた熱電素子材料の形材2は、形材切断工程によって切断され、熱電素子チップ1として用いられる。形材2切断工程では、形材2を複数本束ねてそのまま、あるいは絶縁材1c等で固めた後、所定の寸法に切断するのが通常であるが、単体で切断した後、所定の位置に実装する等もあり、切断方法はモジュールの作製方法に応じて選ばれる。
【0038】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、中空部3a内面の硬度が熱電素子材料粉末4よりも大きいため、熱電素子材料粉末4が充填されたビレットカプセル3の押し出し加工時に、熱電素子材料粉末4がビレットカプセル3における中空部3a内面へ食い込む量が減少し、押し出し後の熱電素子材料の外径寸法が長手方向に亘って略均一に形成できる。また、中空部3a内面の硬化層6への熱電素子材料粉末4が食い込む量が減少し、押し出し後の熱電素子材料の外径寸法が長手方向に亘って略均一に形成できる。
【0039】
図4は、本発明の実施形態の同上と異なる熱電素子チップ作製用形材の製造方法を示す説明図である。
【0040】
この熱電素子チップ作製用形材の製造方法は、同上の製造方法と略同様の方法である。異なる点は、同上の製造方法の中のビレットカプセル中空部硬化工程によって中空部3a内面の硬度を熱電素子材料粉末4よりも大きくする工程がなく、その代わりに、その粒径が25μmよりも小さい熱電素子材料粉末4を微細粉末8とし、この微細粉末8を中空部3a内面近傍に配設して微細粉末8を成形して熱電素子パイプ9を形成し、この熱電素子パイプ9を中空部3aに内嵌したのち、この熱電素子パイプ9内に熱電素子材料粉末4を充填する熱電素子材料粉末充填工程を行っていることである。
【0041】
まず、(a)に示すように、粉末粒径10μm以下の熱電素子材料粉末4を用いて外径9.9mm、肉厚0.5mm、高さ100mmの熱電素子パイプ9を一軸プレス成形により作製する。この成形は、粉末の酸化による熱電特性の劣化を防ぐため、窒素雰囲気中で行うことが望ましい。次に、(b)に示すように、得られた熱電素子パイプ9をビレットカプセル3の中空部3aに嵌合させるように挿入する。さらに、(c)、(d)に示すように、熱電材料インゴット20や遊星ボールミル23にて粉砕形成した粒径0.2mm以下の熱電素子材料粉末4を熱電素子パイプ9内に充填したのち十分にタッピングを行い、粉末の充填密度が50〜55%程度になるようにする。なお、充填する熱電素子材料粉末4は酸化防止のため粒径20μm以上のものを用いることが望ましい。以下の手順は同上の製造方法と同様であるので省略する。
【0042】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、ビレットカプセル3の中空部3aとの界面を流動する熱電素子材料粉末4が微細であり、シース材部への食い込み量が小さくなるため、粉末部の断面形状の真円度が向上し、長手方向に対する素子部径バラツキを減少させることができる。
【0043】
また、同上の熱電素子チップ作製用形材の製造方法において、熱電素子パイプ9の代わりに、熱電素子材料粉末4よりも大きい硬度を有する硬化パイプを用いる方法もある。この硬化パイプを構成する材料としては、強度、硬度とも熱電素子材料粉末4よりも大きく、熱電素子材料粉末4の融点以上の融点を持ち、加工温度で延性を示すものであればよい。このような性質を有するものとして、例えば、アルミニウム青銅、Al−Zn−Mg系アルミニウム合金などが挙げられるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0044】
製造方法としては、アルミニウム青銅を用いて外径9.9mm、肉厚0.5mm、高さ100mmの硬化パイプを一軸プレス成形により作製し、得られた硬化パイプをビレットカプセル3の中空部3aに嵌合させるように挿入する。そして、ビレットカプセル3に嵌合された状態の硬化パイプの内部を改めてビレットカプセル3の中空部3aとなし、この中空部3aに熱電素子材料粉末4を充填したのち、上述の製造方法と略同様の手順で形材2を製造する。
【0045】
このような熱電素子チップ作製用形材の製造方法では、ビレットカプセル3の中空部3a内面にアルマイト処理を施す手間が省け、硬化パイプにより簡単に中空部3a内面の硬度を熱電素子材料粉末4よりも大きくしている。
【0046】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、中空部内面の硬度が熱電素子材料粉末よりも大きいため、熱電素子材料粉末が充填されたビレットカプセルの押し出し加工時に、熱電素子材料粉末がビレットカプセルにおける中空部内面へ食い込む量が減少し、押し出し後の熱電素子材料の外径寸法が長手方向に亘って略均一に形成でき、精密な押し出し加工ができる。また、押し出し後の熱電素子材料寸法が安定しているため、ビレットカプセルの厚みを薄くしてシース材除去量が少なくでき、作業効率や材料効率が向上している。
【0047】
また、請求項2記載の発明では、中空部内面の硬化層への熱電素子材料粉末の食い込む量が減少し、押し出し後の熱電素子材料の外径寸法が長手方向に亘って略均一に形成できる。また、硬化層形成により簡単に中空部内面の硬度を熱電素子材料粉末よりも大きくできる。
【0048】
また、請求項3記載の発明では、圧力媒体中に熱電素子材料粉末が充填されたビレットカプセルを浸漬した状態で押し出し加工するため、ビレットカプセルの周囲に略均一に圧力媒体の液圧がかかり、さらに、ビレットカプセルの長手方向に亘って熱電素子材料粉末が中空部内面へ略均一に食い込ませることができる。。
【0049】
また、請求項4記載の発明では、押し出し加工時に、粒径が25μmよりも小さい微細粉末が中空部内面に食い込んでも、その食い込み量が25μmよりも小さいため許容できる。
【0050】
また、請求項5記載の発明では、微細粉末の熱電素子パイプをビレットカプセルに挿入することによって、簡単に微細粉末を中空部内面近傍に配設できる。
【0051】
また、請求項6記載の発明では、ビレットカプセルにおける中空部周囲部が硬化パイプにより形成されているため、硬化パイプ内面により中空部内面が形成され、簡単に中空部内面の硬度を熱電素子材料粉末よりも大きくできる。
【0052】
また、請求項7記載の発明では、内面に離型剤が塗布さた中空部に熱電素子材料粉末を充填して押し出し加工を行うため、押し出し加工後にシース材となるビレットカプセルを容易に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の熱電素子チップ作製用形材の製造方法を示す説明図であり、(a)及び(b)は、熱電素子材料粉末作製工程、(c)は、ビレットカプセル中空部硬化工程、(d)は、熱電素子材料粉末充填工程、(e)は、形材成形工程、(f)は、形材仕上工程である
【図2】同上の製造方法で作製された形材を用いた熱電素子チップの製造工程を示す説明図である。
【図3】熱電素子チップから熱電モジュールへの一般的な形成過程を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の同上と異なる熱電素子チップ作製用形材の製造方法を示す説明図である。
【図5】従来の熱電素子チップ作製用形材の製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 熱電素子チップ
1a Pの熱電素子
1b N型の熱電素子
1c 絶縁材
2 形材
3 ビレットカプセル
3a 中空部
4 熱電素子材料粉末
5 押し出し材
6 硬化層
7 圧力媒体
8 微細粉末
9 熱電素子パイプ
10 押し出し加工機
10a コンテナ部
10b ダイス
10c ステム
20 インゴット
21 乳鉢
22 乳棒
23 遊星ボールミル
24 アルカリ剤
30 電極
31 リード電極
32 リード線
33 熱交換基板
Claims (7)
- 熱電素子チップを切り出すための形材の製造方法であって、ビレットカプセルの中空部に熱電素子材料粉末を充填して押し出し加工することにより形材を成形する熱電素子チップ作製用形材の製造方法において、中空部内面の硬度が熱電素子材料粉末よりも大きく形成されていることを特徴とする熱電素子チップ作製用形材の製造方法。
- 中空部内面に熱電素子材料粉末よりも大きい硬度を有する硬化層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の熱電素子チップ作製用形材の製造方法。
- 熱電素子材料粉末が充填されたビレットカプセルを圧力媒体中で押し出し加工することを特徴とする請求項1記載の熱電素子チップ作製用形材の製造方法。
- その粒径が25μmよりも小さい熱電素子材料粉末を微細粉末とし、この微細粉末を中空部内面近傍に配設することを特徴とする請求項1記載の熱電素子チップ作製用形材の製造方法。
- 微細粉末を成形して熱電素子パイプを形成し、この熱電素子パイプを中空部に内嵌することにより微細粉末を中空部内面近傍に配設することを特徴とする請求項4記載の熱電素子チップ作製用形材の製造方法。
- 熱電素子材料粉末よりも大きい硬度を有する硬化パイプを形成し、ビレットカプセルにおける中空部周囲部をこの硬化パイプにより形成するを特徴とする請求項1記載の熱電素子チップ作製用形材の製造方法。
- 中空部内面に離型剤が塗布されていることを特徴とする請求項1記載の熱電素子チップ作製用形材の製造方法。
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1998
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