JP3562120B2 - 安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体およびその製造方法 - Google Patents

安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はイオンドリフトのない良好な安定化ジルコニア薄膜/単結晶シリコン複合構造体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ジルコニア:ZrOは融点が2700℃と高く、機械的に強靭であるばかりでなく、化学薬品に対する強い耐腐食性を備え、優れた絶縁性と高い誘電率を有しているので、様々な産業分野で応用されている。純粋なジルコニアには3種類の多形、すなわち高温から立方晶、正方晶、単斜晶があることが知られているが、温度の低下によって対称性の低い晶系に相転位してしまうので、応用上有用な立方晶の単結晶は常温では得られない。しかし、これに2価や3価の金属酸化物を固溶させると、結晶が安定化され、高温相である立方晶域を室温付近まで下げることができる。以下このような立方晶系のジルコニアを「安定化ジルコニア」を総称することにする。
【0003】
安定化ジルコニアとして、イットリア:Yで安定化させたイットリア安定化ジルコニア:YSZ(Yttria−Stabilized Zirconia)や、サマリア:Smで安定化させたサマリア安定化ジルコニア(SSZ)、あるいは、酸化カルシウムで安定化させたカルシウム安定化ジルコニア(CSZ)などが報告されている。
【0004】
また、安定化ジルコニアの格子定数a=0.51〜0.52nmは単結晶シリコン(立方晶):c−Siの格子定数a=0.54nmに近いことから、近年、内外の研究者によってc−Si基板上へエピタキシャル成長させることが研究され、すでに電子ビーム蒸着法、イオンビームスパッタリング法、レーザアブレーション法などの成膜手段で成功している。一例を挙げるならば、「Fukumoto等の“Japanese Journal of Applied Physics,” 27, 1988, L1404.」には電子ビーム蒸着法でSi(100)基板にc軸配向したYSZエピタキシャル膜を生成することに成功した旨が報告されている。
【0005】
Siは一般的に他の材料と固相反応や相互拡散しやすく、また、酸化雰囲気では比較的容易に表面に無定形であるSiOを生成しやすいので、ヘテロエピタキシャル成長をさせることは容易ではない。したがって、Si上に安定化ジルコニアがエピタキシャル成長できるという研究成果は新しいSi半導体技術の開拓に極めて有益であった。
【0006】
また、安定化ジルコニアと他の或る一群の結晶との結晶学的関係において特筆するべきことは、安定化ジルコニアの<110>軸長の1/2の長さ(〜0.36nm)或いはa軸長が、つぎのような立方晶あるいは正方晶結晶体のa,b軸長にほぼ等しい、という事実である。ここで一群の結晶体とは、▲1▼白金:Pt(a=0.39nm)やイリジウム:Ir(a=0.38nm)等の金属、▲2▼チタン酸鉛:PbTiO(a=0.39nm)やチタンジルコン酸鉛:Pb(ZrTi1−x)O(略称PZT,a=約0.39nm)などの正方晶ペロブスカイト強誘電体、▲3▼酸化イットリウムバリウム銅:YBaCu7−x(略称YBCO)などの正方晶高温超電導体、▲4▼SrTiOやBaFなどの(常)誘電体、▲5▼SiやGeなどの半導体、などである。
【0007】
上記の事実は安定化ジルコニア単結晶基板上にこれらの多様な材料をエピタキシャル成長できる可能性を示唆している。実際、単結晶(100)YSZ基板上にはc軸配向のYBaCu7−x(例えば G. A. Samara, Journal of AppliedPhysics, 68, 1990, 4214.)やSi(例えばH. M. Masasevit et al., Journalof the Electrochemical Society, 130, 1983, 1752.)のエピタキシャル膜が得られている。また、本出願の発明者は最近実施した実験の中で、単結晶YSZ(100)基板や単結晶SSZ(100)基板上にエピタキシャル成長したPb(ZrTi1−x)O膜とPt膜(ともにc軸配向)を得ることに成功している。
【0008】
また、単結晶安定化ジルコニア基板に前記▲1▼〜▲5▼のごとき様々な膜がエピタキシャル成長できるということは、単結晶安定化ジルコニア膜の上にも▲1▼〜▲5▼の膜をエピタキシャル成長できることを意味する。こうして安定化ジルコニアという酸化物エピタキシャル膜を介して、単結晶Si基板上に多種多様な単結晶薄膜材料をエピタキシャル形成することが可能になった。
【0009】
この新技術にいまもっとも注目しているのは以下に説明する機能性集積回路の分野である。近年、強誘電体薄膜、高温超電導体薄膜、半導体薄膜などの機能性材料を、Si半導体集積回路基板に搭載しようとする意欲的な試みが活発に行なわれるようになってきた。これは、分極反転特性、焦電性、圧電性、超電導性、光・高温半導体特性といった、これまでの回路構成では達成できない特殊機能とSi集積回路の高速演算処理を併せ持つ付加価値の高い機能性集積回路の実現を意図している。
【0010】
機能性薄膜は多くの場合、結晶体となった時、上述のような興味深い物性を示す。したがって、機能性集積回路において、その性能をもっとも効率よく、もっとも高感度に利用するためには、単結晶化させた膜を生成する技術が強く望まれている。また、強誘電体においては、その分極反転特性、焦電性、圧電性が強く結晶異方性を示すので、特性が現れる特定方向に配向させる工夫も必要である。一般的に言って、無定形基体や多結晶基体に単結晶膜を生成することは困難である。この問題を解決するために、成長しようとする単結晶膜の結晶構造(あるいは格子定数)と類似した結晶構造の基体を使用し、この上にヘテロエピタキシャル成長させる方法が知られている。機能性集積回路でこの方法を適用するには、唯一の単結晶体であるSi基板を一部露出させ、ここを基体として、機能性デバイスを構築する。
【0011】
機能性デバイスの構造は様々であるが、応用例が多く実用上重要な構造は、絶縁膜(I)を形成したSi基体(IS構造)に機能性薄膜やその他の膜を形成した構造のものである。たとえば、金属(M)−絶縁膜(I)−半導体(S)トランジスタの“I”部の上に少なくとも一層の強誘電体膜(F=機能性薄膜)を含む積層薄膜体で置き換えたMFIS型、あるいはMFMIS型の不揮発性メモリや焦電センサ、圧電センサなどはその好例である。また、低消費電力・高速演算を目指した高温超電導体(F)配線集積回路はもう一つの例である。ここで高温超電導体配線はコンタクト部を除いて絶縁体膜/Si基板(IS構造)上に配設される。このほかに、単結晶Si基板上に絶縁体膜を介して単結晶半導体膜(F=S)形成したいわゆるSOI型MOSデバイスも一例に加えられよう。このデバイスは高速・高集積・高放射線耐性の集積回路を実現する上で極めて重要であり、その構造はMOF(=S)ISである。このようにIS複合構造体は、Si集積回路基板上に機能性薄膜や機能性デバイスを構築するための基本構造の一つである。
【0012】
このIS構造基体に単結晶の機能性薄膜を含む機能性デバイスを構築するためには、上部に形成する機能性薄膜まで、Si基板の結晶性をヘテロエピタキシによって伝達する必要がある。このためには、少なくとも、I層はエピタキシャル成長させた絶縁膜である必要がある。前記の安定化ジルコニア膜(なかでも、YSZ膜)は、上記のような機能を満たすものであるため、注目を集めているのである。
【0013】
上記のように、安定化ジルコニア/c−Si複合構造体は機能性集積回路等を実現するための基体としての要件を備えているので極めて有用である。しかし、実際にこれを使用するためには、つぎに詳しく説明する「イオンドリフト」問題を解決しなければならない。
【0014】
図5は、Al電極膜/単結晶安定化ジルコニア膜/c−SiからなるMIS容量のC−V特性を様々な掃引速度SR(=1〜0.001V/秒)に関して測定した結果を示す特性図である。図5の特性は、ゲートバイアス電圧の掃引は5Vに30分間維持した後、0.1Vのステップで降圧方向に行い、−5Vに到達した時点で再び30分間、電圧を維持し、その後、掃引方向を反転させ、5Vに向けて昇圧させた結果である。なお、測定周波数は1MHzの正弦波である。
【0015】
図5の結果において、降圧方向の特性と昇圧方向の特性とで、時計廻りのヒステリシスが生じているのが分かる。このヒステリシスは、単結晶安定化ジルコニア膜の中に電界によって移動可能なイオンが存在し、これがドリフトしていることを示すものである。なお、SR>1V/秒のC−V特性(図示省略)はSR=1V/秒のそれと変わらない。また、ヒステリシスがSR=0.005V/秒以下では消失していることから、可動イオンの応答は数秒〜数100秒の範囲に分布していることが理解される。以下、複合構造体のイオンドリフトの程度を測る目安として、イオンドリフト度:ΔV[V]なる量を定義する。ΔVは、図5のような、SRを変化させて得られたC−V特性の中で観察されたヒステリシスの最大幅である。
【0016】
最近のジルコニア研究によれば、このようなイオンドリフトは安定化剤の導入によってジルコニア結晶内に必然的に生じた酸素イオン空孔が、外部電界に誘引されて移動することによって起こることが知られている。これをもう少しくわしく説明すると、安定化ジルコニア:ASZ(Aは安定化剤の金属元素)では、安定化剤の2価または3価の金属イオンA2+、A3+がZrO結晶の4価のZr4+イオンと置換して陽イオン格子位置に入り、電気的中性を維持するために、添加量と置換したイオンの価数に応じて酸素イオン空孔:Voが形成される。このような格子欠陥の生成反応をYSZおよびCSZについて表すと、下記(化1)式に示すようになる。
【0017】
【化1】
Figure 0003562120
【0018】
ただし、Y(Zr):Zrと置換したYを表示
Ca(Zr):Zrと置換したCaを表示
「 + 」:正の有効電荷数
「 − 」:負の有効電荷数
上記(化1)式から明かなとおり、Yのような3価の金属イオンが4価のZrイオンを2個置換すると1個の酸素イオン空孔が生成され、Caのような2価の金属イオンがZrイオンを1個置換すると1個の酸素イオン空孔が生成される。この酸素イオン空孔は電界が印加されると、あたかも正の可動イオンのように振舞い、電界の方向に移動する。
【0019】
図6(a)〜(c)は、立方晶CSZ安定化ジルコニア単結晶を2次元模式図的に描いた図である。この中で“□”は酸素イオン空孔を表している。いま、紙面下から上に向かって正電界:Eが印加されると、酸素イオン空孔から見て電界下手の最近接酸素イオンが、空孔に向けて移動できるようになる。実際に移動すると、(b)のように酸素イオン空孔は、元あった酸素イオンの位置に移動する。新しい位置に移った空孔に向かって、その下手にある最近接酸素イオンが(c)のように再び移動する。このようにして酸素イオン空孔は電界の方向に移動するのである。電界があるとき、負電荷を帯びた酸素イオンが空孔を介して電界と逆方向に移動し、正電荷を帯びた空孔は相対的に電界の方向に向かって漂っていく。これがイオンドリフトである。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
このような安定化ジルコニア膜のイオンドリフト(存在と遅応答)は、下にあるSi半導体基板の表面ポテンシャルや、上部に形成した機能性デバイスの特性を長時間(0.1秒〜1000秒)にわたって不安定にさせるので、極めて有害であり、単結晶安定化ジルコニア膜/c−Si複合構造体を基体にした機能性集積回路の実現の大きな妨げになっていた。
【0021】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、イオンドリフトのない単結晶安定化ジルコニア膜/c−Si複合構造体およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては、特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1に記載の発明においては、複合構造体の構造として、c−Si上にZrよりも高い原子価をもつ金属の酸化物(以下、空孔消滅剤と称する)を含有する新規な組成の単結晶安定化ジルコニアを配設する構成にしている。
また、請求項2〜請求項7に記載の発明は、請求項1の各構成要素の構成例を示すものである。
【0023】
また、請求項8〜請求項11は、上記複合構造体の製造方法の例であり、Si半導体基体表面の自然酸化膜を除去した後、この上に電子ビーム蒸着法、あるいは、イオンビームスパッタリング、レーザアブレーション法、化学的気相成長法で安定化ジルコニア薄膜を形成する。
【0024】
本発明の安定化ジルコニア膜/c−Si複合構造体において、安定化ジルコニアに新規に添加する酸素イオン空孔消滅剤は、安定化ジルコニア膜の酸素イオン空孔を除去する作用をする。よって、ドリフトするべきイオン空孔が安定化ジルコニア結晶体の中からなくなるので、本発明は従来技術の問題点であったイオンドリフト問題を解決できる。さらに、安定化ジルコニア膜は空孔消滅剤を添加しても、依然、立方晶系の結晶構造ならび品質を維持しているので、機能性材料を含む各種材料のエピタキシャル膜形成用基体としての機能は、なんら損なわれることはない。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、単結晶シリコン半導体基体に立方晶安定化ジルコニア薄膜を成長した複合構造体において、安定化ジルコニア薄膜に、4価よりも低い原子価金属の酸化物からなる安定化剤と、4価よりも高い原子価金属の酸化物からなる酸素イオン空孔消滅剤とを、前記安定化剤による酸素イオン空孔のプラス電荷と前記酸素イオン空孔消滅剤によるマイナス電荷とが等量となる量だけ含有させる構成としたことにより、酸素イオン空孔が安定化ジルコニア薄膜から除去され、それによってイオンドリフト問題解決できる、という優れた効果が得られる。
【0026】
また、製造方法の第1の実施の形態(実施例3)に記載した電子ビーム蒸着装置を用いた方法においては、電子ビーム蒸着装置という安価な成膜手段によって安定化ジルコニアを形成しているので、他の成膜法に比べて、低価格で複合構造体を製造できるという利点がある。
【0027】
また、製造方法の第2の実施の形態(実施例4)に記載した方法は、他の実施例と比較して、450℃という低温で成膜できるので、成膜前に非耐熱性の材料や構造がSi基体に形成されている場合には、極めて有効であるという特徴を有している。
【0028】
また、製造方法の第3の実施の形態(実施例5)に記載した方法は、安定化ジルコニア膜の金属元素の組成がターゲットの金属元素の組成に等しくなるという特質を備えているので、或るレーザアブレーション成膜装置で得た最適条件を他のレーザアブレーション成膜装置のものとして使用することが可能である。これは生産用の大規模成膜装置を立ち上げる際には、最適化に要する時間を省けるという有用性を発揮する。
【0029】
また、製造方法の第4の実施の形態(実施例6)は、微細な凹凸があるSi単結晶基体でも被覆性の高い安定化ジルコニア膜を提供できるという優れた特徴がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる安定化ジルコニア薄膜と基体との複合構造体の構成および該構成の製造方法の実施例を図を用いて詳細に説明する。なお、以下の図において同じ番号の対象物はすべて同じ物であって、一度詳細に説明した物は後の図においては簡単に説明するにとどめることにする。
【0031】
(1)複合構造体の第1の実施の形態 <実施例1>
図1は、本発明に係る複合構造体の第1の実施の形態を示す模式図的要部断面図である。図1において、1は単結晶Si(100)基板である。2は、立方晶エピタキシャル安定化ジルコニア薄膜であり、この中には3価の金属酸化物YまたはSm、あるいは、これら混合物からなる安定化剤と、5価の金属酸化物Ta、Nb、V、あるいは、これら混合物からなる空孔消滅剤とが添加されている。安定化剤と空孔消滅剤の濃度は概ね等しく、5mol%〜25mol%の間である。安定化剤および空孔消滅剤はエピタキシャル成長時にその場で添加される。この立方晶エピタキシャル安定化ジルコニア薄膜2は電子ビーム蒸着法、イオンビームスパッタリング法、レーザアブレーション法、化学気相成長法の中から任意に選ばれた一つの方法でエピタキシャル成膜されるが、成膜法の詳細な説明は後述の製造方法の実施例の中で行う。
【0032】
(2)複合構造体の第2の実施の形態 <実施例2>
図2は、本発明に係る複合構造体の第2の実施の形態を示す模式図的要部断面図である。図2において、1は単結晶Si(100)基板である。2’は立方晶エピタキシャル安定化ジルコニア薄膜であり、この中には2価の金属酸化物CaOからなる安定化剤と、6価の金属酸化物WOあるいはMoOからなる空孔消滅剤とが添加されている。安定化剤と空孔消滅剤の濃度は概ね等しく、8mol%〜30mol%の間である。安定化剤および空孔消滅剤はエピタキシャル成長時にその場で添加される。立方晶エピタキシャル安定化ジルコニア薄膜2’は電子ビーム蒸着法、イオンビームスパッタリング法、レーザアブレーション法、化学気相成長法の中から選ばれた一方法でエピタキシャル成膜されるが、成膜法の詳細な説明は後述の製造方法の実施例の中で行う。
【0033】
(3)複合構造体の製造方法の第1の実施の形態 <実施例3>
ここでは図1に記載した複合体構造を電子ビーム蒸着法で実現する製造方法を説明する。
まず、RCA洗浄(アンモニア水と過酸化水素水の混合液による洗浄SC1と塩酸と過酸化水素水の混合液による洗浄SC2からなる伝統的なSi基板洗浄法)と希フッ酸洗浄(5%濃度のHF水溶液に数十秒浸漬した後、純水でリンスし乾燥する洗浄法)とでSi基板1の表面の汚染物および自然酸化物を除去する。
【0034】
つづいてSi基板1上に酸化イットリウムYで安定化され、酸化タンタルTaで空孔消滅された安定化ジルコニア膜2(以下YSZ:Taのように略記する)を電子ビーム蒸着法にて形成する。蒸着のターゲットはY粉末とZrO粉末とTa粉末をモル比でx:(1−x−y):yに混合し、ホットプレスで円盤状(直径15mm、厚み7mm)に整形したタブレットである。ここでx=約9%、y=約15%である。タブレットのTaのモル濃度がYに比べて大きいのは、Taの蒸発がYやZrOに比べて相対的に遅いという事情に基づいている。
【0035】
成膜の手順を説明すると、まず、ハース(=タブレット充填場所)にタブレットを充填し、直ちに、上記洗浄したSi基板1を蒸着槽中の基板ホルダに設置し、蒸着槽内を排気する。このホルダは基板を常温から1000℃までの温度に加熱する能力を有しており、蒸着槽内のハースに収納された蒸着タブレットと十分な距離を置いて対抗している。蒸着装置の排気は強力であり、内部の圧力は10 ̄Torr以下まで減圧することが可能である。蒸着槽の圧力が10 ̄Torrに達したら基板温度を加熱して所定の成膜温度にする。温度が安定し、かつ、蒸着槽内の圧力が10 ̄Torr以下に下がったところで蒸着電源の出力をオンして電子ビームをタブレットに射突させ蒸着を開始する。蒸着開始後、YSZの膜厚が概ね3nmになったところで外部から高純度乾燥酸素を導入して圧力を2×10 ̄Torrに調節すると共にフィラメント電流を増やして成膜を続ける。膜厚は成膜時間、成膜速度はフィラメント電流で決定する。
【0036】
典型的なエピタキシャルYSZ:Taの成膜条件はつぎのとおりである。
Figure 0003562120
上記のようにして成膜し、膜厚が所望の値になったところで蒸着電源の出力を切って成膜を終える。この後、蒸着槽に基板置いたまま基板を徐冷し、基板温度が十分低くなってから基板を蒸着槽から取出す。
【0037】
このようにして堆積したYSZ:Ta膜の安定化剤と空孔消滅剤の濃度は、実験精度の範囲内で同濃度(=11%)であった。また、膜の結晶構造はホタル石構造(立方晶)を有する単結晶エピタキシャル膜であった(詳細は後述する効果の項で説明)。
この製造方法は、電子ビーム蒸着装置という極めてありふれた安価な成膜手段によっているので、後述する他の成膜法に比べて、大面積のエピタキシャルYSZ成膜が低価格でできる、という利点がある。
また、上記の製造方法を用いて(ただし条件は若干異なる)、複合構造体の第2の実施の形態(実施例2)の構造も実現できる。
【0038】
(4)複合構造体の製造方法の第2の実施の形態 <実施例4>
ここでは図2に記載した複合構造をイオンビームスパッタリング法で実現する製造方法を説明する。
まず、前記実施例3と同様にRCA洗浄と希フッ酸洗浄とでSi基板1の表面の汚染物および自然酸化物を除去する。
【0039】
つづいてSi基板1上に酸化カルシウムCaOで安定化され、酸化タグステンWOで酸素イオン空孔を消滅化させた安定化ジルコニア膜2’(以下CSZ:W)をイオンビームスパタリング法でSi基板1に形成する。スパッタリングのターゲットはCaO粉末とZrO粉末とWO粉末をモル比でx:(1−x−y):yに混合し、ホットプレスで円盤状に整形したものである。ここでx=約11%、y=約11%である。
【0040】
成膜の手順を説明すると、まず、ターゲットホルダにターゲットを設置し、前記洗浄直後のSi基板1を蒸着槽中の基板ホルダに設置し、蒸着槽内を排気する。このホルダは基板を常温から600℃までの温度に加熱する能力を有しており、ターゲットから約60cmの距離を挟んで対抗している。蒸着装置の排気は強力であり、内部の圧力は10 ̄Torr以下まで減圧することが可能である。蒸着槽の圧力が10 ̄Torrに達したら基板温度を加熱して所定の成膜温度にする。温度が安定し、かつ、蒸着槽内の圧力が10 ̄Torr以下に下がったところでイオン源の電源の出力をオンにし、イオンビームをタブレットに射突させ蒸着を開始する。蒸着開始後、CSZの膜厚が3nmになるまでは少なくとも10 ̄Torr台の高真空を保って成膜するが、3nmを超えたところで外部から10mol%のオゾンを含む高純度酸素を基板に向けて射出させる。以降、圧力は5×10 ̄Torrに調節する。そしてイオンビーム電流を増やして成膜を続ける。膜厚は成膜時間、成膜速度はイオンビーム電流またはイオンビーム加速電圧で調節する。
【0041】
本発明者が用いた装置での最適な成膜条件はつぎのとおりである。
Figure 0003562120
上記のようにして成膜し、膜厚が所望の値になったところで蒸着電源の出力を切り、O+Oの導入を遮断して、基板を徐冷する。基板温度が十分低くなってから基板を蒸着槽から取出す。
【0042】
このようにして堆積したCSZ:W膜の安定化剤と空孔消滅剤の濃度は実験精度の範囲内で同濃度(=15%)であった。また、膜の結晶構造はホタル石構造(立方晶)を有する単結晶エピタキシャル膜であった(詳細は後述する効果の項で説明)。
本実施例4の製造方法は、前記実施例3の製造方法や後述の実施例と比較して、450℃という低温で成膜できる。これは高熱に耐えられない別の材料がSi基体に形成されている場合などには、極めて有効であり、他の製造方法にない利点である。
なお、詳細な説明はしないが、この製造方法を用いて(ただし条件は若干異なる)、第1の実施の形態(実施例1)に示した複合構造体の構造も実現できる。
【0043】
(5)複合構造体の製造方法の第3の実施の形態 <実施例5>
つぎに図1に記載した複合構造をレーザアブレーション法で実現する製造方法の実施例を説明する。
まず、前記実施例1の製造方法と同様にRCA洗浄と希フッ酸洗浄とでSi基板1の表面の汚染物および自然酸化物を除去する。
【0044】
つづいてSi基板1上に酸化サマリウムSm(サマリア)で安定化させ、酸化ニオビウムNbで酸素イオン空孔を消滅化させた安定化ジルコニア膜2(以下SSZ:Nb)をレーザアブレーション法でSi基板1に形成する。ターゲットはSm粉末とZrO粉末とNb粉末(いすれも99.999%以上の純度)とをモル比でx:(1−x−y):yに混合し、ホットプレスで円盤状(直径10mm、厚さ10mm)に整形したものである。ここでx=約18%、y=約18%である。
【0045】
成膜の手順を説明すると、まず、成膜装置真空槽内のターゲットホルダにターゲットを設置し、前記洗浄直後のSi基板1を蒸着槽中の基板ホルダに設置し、蒸着槽内を排気する。このホルダは基板を常温から600℃までの温度に加熱する能力を有しており、ターゲットから約5cmの距離を挟んで対抗している。蒸着装置の排気は強力であり、内部の圧力は10 ̄Torr以下まで背圧を下げることが可能である。蒸着槽の圧力が10 ̄Torrに達したら基板温度を加熱して所定の成膜温度にする。温度が安定し、かつ、蒸着槽内の圧力が10 ̄Torr以下に下がったところでレーザ光源の出力をオンして高密度のレーザ光をタブレットに射突させ蒸着を開始する。本実施例のレーザ光源はKrF(波長248nm、パルス幅20ns)エキシマレーザである。繰り返し周波数は10Hz、エネルギー密度は1.3J/mであった。蒸着開始後、SSZの膜厚が3nmになるまでは少なくとも10 ̄Torr台の高真空を保って成膜する。そして3nmを超えたところで外部から高純度酸素を導入し、圧力を5×10 ̄Torrとする。標準的な成膜速度は1パルス当り0.025nmであった。また、膜厚は成膜時間(パルス数と等価)で調節する。
【0046】
本発明者が用いた装置での最適な成膜条件はつぎのとおりである。
Figure 0003562120
上記のようにして成膜し、膜厚が所望の値になったところでレーザ光源の発信を停止し、Oの導入を止め、基板を徐冷する。基板温度が十分低くなってから基板を蒸着槽から取出す。
【0047】
このようにして堆積したSSZ:Nb膜の安定化剤と空孔消滅剤の濃度は実験精度の範囲内で共に同濃度(=18%)であった。膜の結晶構造はホタル石構造(立方晶)を有する単結晶エピタキシャル膜であった。
本製造方法で成膜した安定化ジルコニア膜の金属元素の組成は、蒸着条件の変更があってもターゲットの組成にほぼ等しくなるという特徴がある。これは安定化ジルコニア膜の組成が成膜装置に依存せずターゲットの組成で一義的に定まることを意味している。このような特徴は、実験成膜で得た最適条件を元にして大型の生産成膜装置を立ち上げる際に、最適化に要する時間を短縮できるという効果があり、有用である。
なお、詳細な説明はしないが、この製造方法を用いて(ただし条件は若干異なる)、第2の実施の形態(実施例2)に示した複合構造体の構造も実現できる。
【0048】
(6)複合構造体の製造方法の第4の実施の形態 <実施例6>
つぎに図1に記載した複合構造を化学気相成長法(CVD)で実現する製造方法の実施例を説明する。
まず、前記実施例3の製造方法と同様に、RCA洗浄と希フッ酸洗浄とでSi基板1の表面の汚染物および自然酸化物を除去する。
【0049】
つづいてSi基板1上に酸化サマリウムY(イットリア)で安定化させ、酸化タンタルTaで酸素イオン空孔を消滅させた安定化ジルコニア膜2(以下YSZ:Ta)を減圧CVD法でSi基板1に形成する。原料はイットリウム・トリディピバロイルメタン:Y(DPM)、ジルコニウム・テトラディピバロイルメタン:Zr(DPM)、タンタル・ペンタエトキシド:Ta(OC、並びにOである。ここで、DPMはC1119を意味する。
【0050】
使用する装置は、図3に示すごとき伝統的なコールドウォール型の減圧CVD装置である。この装置は、前記実施例3〜5に示した物理的蒸着装置に比べて、装置の構造と操作法が複雑なので、図3を用いて詳しく説明する。
図3において、10は反応器である。反応器10は、単結晶Si基板11を機械的に支持し所定の温度に保持するサセプタ12と、蒸気を混合させ、混合させた蒸気をサセプタ12に向けて均一に噴射させるシャワーヘッド13と、堆積反応で生じた生成ガスや過剰な原料蒸気の排気口14を備えている。15、16、17はそれぞれY(DPM)原料、Zr(DPM)原料、Ta(OC原料の気化容器であり、温度調節機能を有している。気化容器15、16、17には流量制御されたキャリアガス:Arが導入され、気化された原料蒸気はこのArガスによって輸送され、前記シャワーヘッド13に導かれる。
【0051】
シャワーヘッド13には、図のように、流量制御されたOもまた接続されている。気化容器15、16、17とシャワーヘッド13を結ぶ輸送管はそれぞれの原料気化容器の温度よりも約10℃高い温度に保温されている。また、18〜21は各原料蒸気の供給バルブである。反応器の生成ガスや過剰原料蒸気は、排気主バルブ22を経由して、真空排気装置23によって器外に排出される。また、24は成膜中に反応器内の圧力を一定に保つための圧力調節器である。
【0052】
成膜の手順は次のとおりである。上記洗浄を終えたSi単結晶基板1をサセプタ12に乗せ、全ての原料蒸気供給バルブ18〜21を閉じ、排気主バルブ22を開けて反応器10内を一旦真空にする。サセプタ12の温度を所定の基板温度に設定すると共に、反応器10の圧力を10 ̄Torrまで減圧する。つづいて、圧力調節器24を作動させると共に、供給バルブ18〜21を開いて、各原料をシャワーヘッドから噴射させて成膜を開始する。
【0053】
本実施例における代表的な成膜条件を下に示す。
Figure 0003562120
上記のようにして成膜を行ない、膜厚が所望の値になったところで原料蒸気供給バルブ18〜21を閉じ、圧力調節器24を停止させ、反応器10を真空排気しながら基板11を徐冷する。基板温度が十分低くなってから基板11を反応器10から取出す。
【0054】
成膜で重要なのは、生成されたYSZ:Ta膜の組成、すなわち、安定化剤Yと空孔消滅剤Taの濃度がほぼ等しく、所定の値5mol%〜25mol%の間に入るように、Y(DPM)原料とTa(OC原料の温度と流量を制御するということである。上記条件では安定化剤と空孔消滅剤の濃度が11%程度であることが確かめられている。
【0055】
本製造方法で成膜した安定化ジルコニア膜は、前記物理的蒸着法で成膜したものに比べて、基板表面にある幾何学的な段差部などでも被覆性が極めて良好である。たとえば、アスペクト比(底辺長と壁長の比)が1:2の垂直溝構造基板に成膜すると、0.9以上の良好な被覆率(溝内部の最も薄い膜厚値と基板表面の膜厚値の比)が得られる。このような特徴は凹凸のある単結晶Si基板に安定化ジルコニアを均一に成膜するような場合に非常に有利である。
なお、詳細な説明はしないが、この製造方法を用いて(ただし条件は若干異なる)、第2の実施の形態(実施例2)に示した複合構造体の構造も実現できる。
【0056】
次に、図4は、上記の実施例3〜6の製造方法で、Si(100)基板に作製した複合構造体の特性を示す図表である。安定化ジルコニア膜の厚みはすべて同じである。図4において、▲1▼は安定化ジルコニア膜の結晶性を示し、▲2▼はMIS容量の高周波C−V特性(のヒルテリシス)から抽出したイオンドリフト度:ΔV[V]を示す。なお、C−V特性の測定法は先述の従来技術の項において説明している。また、比較のため、図5を用いて説明した従来技術に基づく複合構造体の特性も併せて示した。
【0057】
図4に示すように、本発明に係る複合構造体の安定化ジルコニアの結晶系は全実施例とも立方晶系であり、完全にc軸配向している。そして格子定数は従来例の安定化ジルコニアのそれとほぼ等しい。また、単結晶Si(100)基板との結晶関係は、いずれもSi(001)‖XSZ:Y(001)、Si[110]‖XSZ:Y[110]である。ただし‖は平行を意味する。また、XSZ:Yは実施例3〜6の製造方法による任意の安定化ジルコニア膜を表している。
【0058】
以上の結晶学的事実から、実施例3〜6の製造方法で形成された安定化ジルコニア膜はすべて単結晶Si基板にエピタキシャル成長しており、膜の結晶品質は従来技術のよる安定化ジルコニア膜と比べて、なんら遜色ない膜であることが分かる。
【0059】
次に、イオンドリフトの目安であるMIS容量のΔVに注目すると、従来例ではΔV>5Vと甚だしく大きく、すでに述べたように、デバイス応用上、重大な障害になっていた。これに対し、図4の各実施例は全てΔV<0.05Vと2桁以上抑制されている。このΔVから見積られる可動酸素イオンの濃度はNm=2.9×1010/cmとなり、MOS集積回路のゲート酸化膜の可動イオン(ナトリウムなど)の濃度として許容される1010/cm台まで低減していることが理解される。
【0060】
こうして、実施例1および実施例2の複合構造体、および実施例3〜実施例6の製造方法においては、安定化ジルコニア膜の結晶性を高品質に維持しながら、従来技術の問題点であった酸素イオン空孔によって引き起こされたイオンドリフト問題を解決することができる。
【0061】
次に、本発明は如何なるメカニズムでイオンドリフト問題を解決したかを説明する。イオンドリフトは安定化ジルコニアの酸素イオン空孔が電界で移動することによって引き起こされる。酸素イオン空孔ができるのは、従来技術の説明の項で述べたように、ジルコニアの4価のZrイオンが安定化剤に含まれる2価または3価の金属イオンに置換され、このとき、電気的中性条件を満足しなければならないからであった。しかしながら、本発明では安定化剤の添加と同時に5価または6価の金属イオンを含む酸素イオン空孔消滅剤を添加するので、酸素イオン空孔を生じさせることなく、電気的中性条件を満足させることができる。
たとえば、YSZ:Taの例(実施例1の構造と実施例3の製造方法)では、添加の様子を化学式で表すと下記(化3)式に示すようになる。
【0062】
【化3】
Figure 0003562120
【0063】
(化3)式において下の式はTaを1mol添加すると、1molの過剰な格子間酸素イオンIo−−が形成されることを意味するが、この格子間酸素イオンと、Yの空孔Vo++とが、等量添加によって相殺しあうので、全体としては下記(化4)式に示すようになり、空孔が消滅する。
【0064】
【化4】
Figure 0003562120
【0065】
同様に、CSZ:Wの場合も全体的に下記(化5)式に示すようなり、酸素イオン空孔は生じない。
【0066】
【化5】
Figure 0003562120
【0067】
このように、本発明においては、可動電荷担体としての酸素イオン空孔が安定化ジルコニア膜内に存在しないので、複合構造体に電界が印加されてもイオンドリフトが起こらず、よってこの問題が解決できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合構造体の第1の実施の形態(実施例1)を示す要部断面図。
【図2】本発明の複合構造体の第2の実施の形態(実施例2)を示す要部断面図。
【図3】本発明の製造方法の第4の実施の形態(実施例6)で使用する化学的気相成長装置の構成図。
【図4】本発明の各実施例と従来例との比較を示す図表。
【図5】従来技術による安定化ジルコニア/単結晶シリコン複合構造体のイオンドリフト現象を説明する実験結果を示す図。
【図6】イオンドリフトの機構を説明するための図。
【符号の説明】
1…単結晶Si基板。
2…3価金属の酸化物からなる安定化剤と5価金属の酸化物からなる酸素イオン消滅剤を含有する単結晶安定化ジルコニア薄膜
2’…2価金属の酸化物からなる安定化剤と6価金属の酸化物からなる酸素イオン消滅剤を含有する単結晶安定化ジルコニア薄膜
10…反応器 11…単結晶Si基板
12…サセプタ 13…シャワーヘッド
14…排気口 15、16、17…原料気化容器
18〜21…供給バルブ 22…排気主バルブ
23…真空排気装置 24…圧力調節器

Claims (11)

  1. 単結晶シリコン半導体基体に安定化ジルコニア薄膜(ZrO)を成長した複合構造体において、
    前記安定化ジルコニア薄膜は、Zrの原子価4価よりも低い原子価金属の酸化物からなる安定化剤と、前記Zrの原子価4価よりも高い原子価金属の酸化物からなる酸素イオン空孔消滅剤とを、前記安定化剤による酸素イオン空孔のプラス電荷と前記酸素イオン空孔消滅剤によるマイナス電荷とが等量となる量だけ含有する、ことを特徴とする安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体。
  2. 前記安定化剤の酸化物金属の価数が3価である場合、前記酸素イオン空孔消滅剤の酸化物金属の価数は5価である、ことを特徴とする請求項1に記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体。
  3. 前記の安定化剤がYまたはSmであるか、あるいはYとSmの混合物であり、前記酸素イオン空孔消滅剤がTaまたはNbまたはVであるか、あるいはTaとNbとVのうちの2種以上を含む混合物である、ことを特徴とする請求項2に記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体。
  4. 前記安定化剤の酸化物金属の価数が2価である場合、前記酸素イオン空孔消滅剤の酸化物金属の価数は6価である、ことを特徴とする請求項1に記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体。
  5. 前記の安定化剤がCaO、前記酸素イオン空孔消滅剤がWOまたはMoOで構成されることを特徴とする請求項4項に記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体。
  6. 前記安定化剤および酸素イオン消滅剤の濃度が5mol%〜30mol%の範囲の値である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体。
  7. 単結晶シリコン半導体基体に安定化ジルコニア薄膜を成長した複合構造体において、該安定化ジルコニア薄膜が該単結晶シリコン半導体基体にヘテロエピタキシャル成長している単結晶膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体。
  8. 前記請求項1乃至請求項7の何れかに記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体を製造する方法であって、
    該単結晶シリコン半導体基体の表面の自然酸化膜を除去し、洗浄する工程と、
    該洗浄後の基体を自然酸化膜を生成させることなく速やかに真空蒸着槽に装着し、10 ̄Torr以下に排気する工程と、
    該真空蒸着槽の中で電子ビーム蒸着法、イオンビームスパッタリング法、レーザアブレーション法の中から選ばれた一つの成膜方法で該単結晶シリコン基板上に安定化ジルコニア薄膜を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする複合構造体の製造方法。
  9. 前記電子ビーム蒸着法、イオンビームスパッタリング法、レーザアブレーション法で使用される蒸着ターゲットが、前記安定化剤、酸素イオン空孔消滅剤、およびジルコニアの各粉末を所定に割合で混合したのち円盤状に加圧整形したものである、ことを特徴とする請求項8に記載の複合構造体の製造方法。
  10. 前記各成膜方法による安定化ジルコニア薄膜の形成工程において、蒸着の初期は高真空中で成膜を行い、膜厚が3nmに達したところで、外部から蒸着槽に酸素、もしくはオゾンを含む酸素を導入し、引続き成膜を行うことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の複合構造体の製造方法。
  11. 前記請求項1乃至請求項7の何れかに記載の安定化ジルコニア薄膜と単結晶シリコン基体との複合構造体を製造する方法であって、
    該単結晶シリコン半導体基体の表面の自然酸化膜を除去し、洗浄する工程と、
    該洗浄後の基体を自然酸化膜を生成させることなく速やかに反応器に装着し、10 ̄Torr以下に排気する工程と、
    該反応器の中で化学気相成長法で該単結晶シリコン基板上に安定化ジルコニア薄膜を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする複合構造体の製造方法。
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