JP3561980B2 - 無端走行車両の走行装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、コンバインの旋回装置に関し、無端帯からなる走行装置に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から走行装置を無端帯によって構成する走行車両の走行ミッション装置は旋回装置としてサイドクラッチ装置やサイドブレ−キ装置を使った通常旋回装置と、旋回内側の無端帯を外側の無端帯より低速で駆動してゆっくり大きく旋回する緩旋回装置と、左右の無端帯を互いに逆回転してその場で急激に旋回する急旋回装置との構成があった。
【0003】
そして、これらの各旋回装置は、一連の油圧回路装置から構成される油圧装置によって操作される構成になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
無端帯を有する走行装置を持つ走行車両、例えば、コンバインは、圃場における刈取脱穀作業の途中に車台が圃場の端に達して旋回する場合を考えると、旋回場所に応じた最適の旋回方法を選択できる構成であることが必要である。
すなわち、サイドクラッチ装置やサイドブレ−キ装置を用いた通常旋回装置はごく一般に行われているものであるが、湿田にあっては無端帯の停止に伴うスリップによって圃場表面を破壊する欠陥があり、その上に、比較的広い旋回場所を必要としている。
【0005】
急旋回装置は、左右一対の走行用無端帯を互いに逆転駆動してその場で走行車両を旋回するものであるから、狭い場所で旋回できる利点はあるが、反面、軟弱な圃場では無端帯が旋回に伴って圃場表面を破壊し作土を傷める欠陥があった。また、この急旋回装置は、走行車体をその場で振り回す状態にして旋回するから、例えば、コンバインにおいて機体内部で選別中の処理物は、振り回されて乱れ的確な選別が阻害される問題点もあった。
【0006】
つぎに、緩旋回装置は、旋回外側(一方側)の走行用無端帯に対して、内側(他方側)の走行用無端帯を同方向に低速で駆動して大きな円弧を描きながら旋回するものであるから、軟らかい圃場表面でも破壊されることが少なく、湿田作業に適する利点はあるが、旋回場所を広く必要とするため広い枕地を用意することが要請される。
【0007】
また、緩旋回装置と急旋回装置は、製作にあたっては既製の通常旋回装置の構成に追加して組み込む状態で製作できることが望ましく、メンテナンスにおいても、通常旋回装置とは別系統の操作装置(油圧装置)であることが点検、修理上も望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の如き課題を解決するために次の如き技術手段を講ずるものである。まず、第1の発明は、左右一対の無端帯1,1’からなる走行装置2を伝動する走行ミッション装置3に、左右一対のサイドクラッチギヤ4,4’とサイドブレ−キ装置5,5’とを有するサイドクラッチ軸6と、緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8とを遊嵌した切替軸9とを軸受して設け、該切替軸9には前記緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8との間にあって両ギヤの回転動力を選択的に切替軸9に伝動する切替装置10を設け、前記切替軸9の左右両側にはホイ−ルシャフト11,11’側に伝動するように遊嵌して設けた出力伝動ギヤ12,12’を、該軸9に係脱装置13,13’を介して係脱自由に設け、該係脱装置13,13’を係合、離脱可能に操作する油圧装置14は前記サイドクラッチギヤ4,4’及びサイドブレ−キ装置5,5’を作動操作する油圧装置15とは別系統の回路構成とした無端走行車両の走行装置であって、第2の発明は、前記した係脱装置13を操作する油圧装置14を形成する油圧回路の一部に緩衝用のバルブ16を介装してなる構成とした無端走行車両の走行装置である。
【0009】
【実施例】
まず、その構成について述べる。
走行ミッション装置3は、ミッションケ−ス17の上部位置に入力軸18を横設し、該入力軸18には副変速装置19を構成する大径ギヤ20と小径ギヤ21とを軸方向に摺動自由に軸着して構成している。中間伝動軸22は、上記大径ギヤ20と小径ギヤ21とを摺動操作して切り替えしたときに、それぞれ選択的に噛合する小形ギヤ23と大形ギヤ24とを対応位置に軸着し、中間部分には伝動ギヤ25を軸着している。
【0010】
サイドクラッチ軸6は、その中間位置に前記伝動ギヤ25に常時噛合しているセンタ−ギヤ26を設けており、センタ−ギヤ26の一側部には一体構成の旋回出力ギヤ27を設け、このセンタ−ギヤ26の両外側にはそれぞれサイドクラッチギヤ4,4’を軸方向に摺動自由に設け、前記センタ−ギヤ26の側部に係脱自由に係合できる構成としている。
【0011】
そして、サイドブレ−キ装置5,5’は、前記サイドクラッチギヤ4,4’と同軸で外側に設け、このサイドクラッチギヤ4,4’をセンタ−ギヤ26から離脱させて外側に移動させながら行うブレ−キ操作によってサイドブレ−キを働かせることができる構成となっている。
そして、サイドブレ−キ装置5,5’は、後述する油圧機構によってブレ−キ度合いを調整可能に構成している。
【0012】
サイドクラッチギヤ4,4’は、ミッションケ−ス17の下部位置に設けた減速軸28に遊嵌している大径ギヤ29,29’と伝動可能に噛合しており、この大径ギヤ29,29’と一体とした小径ギヤ30,30’を伝動する構成としている。そして、この小径ギヤ30,30’は、下側に軸架している左右別々のホイルシャフト11,11’に軸着しているホイルギヤ31,31’に伝動可能に噛合している。
【0013】
そして、ホイルシャフト11,11’は、その先端部分に駆動スプロケット32,32’を軸着して走行装置2を構成する無端帯1,1’を駆動できる構成としている。
そして、旋回出力ギヤ27は、切替軸9に遊嵌している緩旋回切替ギヤ7と減速軸28に遊嵌している急旋回用中間ギヤ33とに噛合し、両ギヤ7,33とに伝動できる構成としている。そして、急旋回用中間ギヤ33は、同軸上で一体的に回転する急旋回伝動ギヤ34を介して切替軸9に遊嵌している急旋回切替ギヤ8を伝動するように構成している。
【0014】
そして、切替装置10は、切替軸9上において、緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8との間に設け、ニュ−トラル位置と緩旋回切替ギヤ7に係合した位置と急旋回切替ギヤ8に係合した位置とに選択的に切り替えて切替軸9に楔着する構成としている。
出力伝動ギヤ12,12’は、切替軸9の両外側部分に遊嵌し、係脱装置13,13’によって同軸9に係合離脱ができるように設け、中間軸35に遊嵌している大径ギヤ36,36’にそれぞれ伝動可能に噛合させて構成している。大径ギヤ36,36’は、一体の小ギヤ37,37’を介して減速軸28の大径ギヤ29,29’に伝動可能に連結している。
【0015】
つぎに操作系統の油圧回路とこれに関連する制御機構について説明する。全体の油圧回路は、図3に示すごとく、一連に構成されて作動各部を機能させる構成としている。
まず、前述した係脱装置13,13’を操作する油圧装置14は、上述の油圧回路とは別の構成とし、オイルタンク38から油圧ポンプ39を経て、緩衝用のバルブ16であるショック抜きバルブ40を介し、左右切替バルブ41を通ってオイルが送油され係脱作動する構成としている。なお、係脱装置13,13’は、通常は油圧に抗する方向にばねが働き、出力伝動軸12,12’を切替軸9から開放した遊嵌状態を保持する構成にしている。
【0016】
この油圧回路Aは、油圧ポンプ39とショック抜きバルブ40との間にリリ−フバルブ42と逆止弁43とを介装しており、過度の圧がかかるとオイルをオイルタンク38に還流できる構成としている。
更に、油圧回路Aのショック抜きバルブ40は、油圧ポンプ39からの送油量の一部分を係脱装置13,13’に送油できる部分流入弁40aとオイルタンク38側にオイルを返還する還流弁40bと油圧ポンプ39からの送油量の全部を送油する全量流入弁40cとの3つの弁からなり、電磁的に作動する構成としている。そして、ショック抜きバルブ40は、後述のとおり、走行速度に関連して作動する構成としており、速度が速くなると部分流入弁40aの使用時間が自動的に長くなる構成にしている。
【0017】
左右切替バルブ41は、左右両側の係脱装置13,13’を選択していずれか一方に送油する構成にしている。
つぎに、サイドクラッチギヤ4,4’及びサイドブレ−キ装置5,5’を作動操作する油圧装置15の油圧回路Bは、オイルタンク45から油圧ポンプ46、リリ−フバルブ47、分流弁48、左右切替バルブ49を配置し、左右のサイドブレ−キ装置5,5’を選択的に作動できる構成としている。
【0018】
なお、油圧回路Bのサイドブレ−キ装置5,5’は、油圧ポンプ46からの圧油が一方側に送り込まれると、最初の工程ではサイドクラッチギヤ4,4’の一方側をセンタ−ギヤ26から離脱し、さらに、送油を続けると、一方側のサイドブレ−キ装置5,5’を作動させるように構成している。
そして、サイドブレ−キ装置5,5’は、常時は、ばね作用によって制動作用は全く働かず、逆に、サイドクラッチギヤ4,4’がセンタ−ギヤ26に係合した伝動状態を保持する構成となっている。そして、サイドブレ−キ装置5,5’は、オイルの還元油路50に切替バルブ51を配置し、リリ−フバルブ52と絞り部53とに切替る構成としている。
【0019】
なお、油圧回路Bは、他の油圧作動装置である刈取前処理装置54の昇降シリンダ−55、穀粒排出オ−ガ−56の昇降シリンダ−57等と同一に構成している。
つぎに、コントロ−ラ−60を説明する。
主変速レバ−61は、その前後操作によって油圧変速装置62を操作でき、前進、後進の切替と走行車体63の車速の変速ができる構成としている。ポジションセンサ−64は、主変速レバ−61の下部に設け、レバ−61の操作位置を検出してコントロ−ラ−60に送信する構成としている。これによって、コントロ−ラ−60には、車速が入力される。
【0020】
パワステレバ−65は、左右に操作をすることによって左検出スイッチ66a,右検出スイッチ66bを操作する構成とし、それぞれコントロ−ラ−60に結線している。
旋回操作レバ−67は、中央位置が通常旋回位置(パワステレバ−65のみで旋回する)、左操作位置を緩旋回位置とし、右操作位置を急旋回位置にしてそれぞれ緩検出スイッチ68aと急検出スイッチ68bとを操作する構成とし、各スイッチ68a,68bは、検出結果をコントロ−ラ−60に入力できる構成にしている。
【0021】
そして、コントロ−ラ−60は、左検出スイッチ66aの入力に基づいて出力信号が発せられて作動する左メインソレノイド69aと右検出スイッチ66bからの入力信号によって出力されて作動する右メインソレノイド69bを設けている。この結果、左右切替えバルブ49は、切替られて、右又は左のサイドブレ−キ装置5,5’が作動する構成になっている。
【0022】
切替バルブ51のソレノイド70は、緩旋回と急旋回の操作のときと通常旋回の操作のときとに切替え操作にともなって出力され、還元油路50の切替バルブ51をリリ−フバルブ52側と、絞り部53側とに切替る構成にしている。
71は左右切替バルブ41を切り換えるソレノイド、72aは部分流入弁40aのソレノイド、72bは全量流入弁40cのソレノイドを示す。
【0023】
この場合、ショック抜きバルブ40は、ポジションセンサ−64からコントロ−ラ−60に入力されている車速信号に基づいて作動時間が制御される構成になっている。すなわち、部分流入弁40aは、速度が速くなると自動的に長く継続作動する構成にしている。
以上のように構成した走行ミッション装置3は、コンバイン80に装備している。
【0024】
コンバイン80は、走行車体63上に脱穀装置81を搭載しており、前側には刈取前処理装置54を連結して構成している。まず、刈取前処理装置54は、刈取搬送枠体82に前部の低位置に圃場の穀稈を分草する分草杆83を設け、その後方に倒伏した穀稈を引き起こす穀稈引起し装置84を設けている。刈取装置85は、刈取搬送枠体82の低位置に設け、引起後の穀稈の株元を刈り取るように構成している。
【0025】
穀稈搬送装置86は、穀稈の株元を挾持して搬送する株元搬送装置87と穀稈の穂部を係合して搬送する穂部搬送装置88とからなり、刈り取った穀稈を脱穀装置81に供給する構成としている。
脱穀装置81は、穀稈を搬送するフィ−ドチエン89を有し、上部に扱室を設け、下部に選別室を設けて供給された穀稈を脱穀、選別する構成としている。
【0026】
なお、図8及び図9に示す構成例は、回路Aにおける左右切替バルブ41を刈取懸架装置90の内側に取り付けた実施例である。このように構成すれば、左右切替バルブ41は、刈取前処理装置54を着脱自由のオ−プン方式にすればメンテナンスが極めて容易にできる特徴がある。
つぎにその作用について説明する。
【0027】
まず、主変速レバ−61を前進の作業速度を選択して作業を開始する。
原動機を始動して入力軸18に伝達された回転動力は、副変速装置19を低速側に操作すると、小径ギヤ21から中間伝動軸22の大形ギヤ24に伝動が開始され、中間伝動軸22の伝動ギヤ25を回転伝動する。すると、センタ−ギヤ26は、左右方向のサイドクラッチギヤ4,4’を係合した状態で回転駆動しているから、大径ギヤ29,29’、小径ギヤ30,30’、ホイルギヤ31,31’、ホイルシャフト11,11’の順序で伝動されて駆動スプロケット32,32’が伝動され左右両側の無端帯1,1’を駆動する。
【0028】
このようにして、コンバイン80は、走行装置2の駆動によって前進を開始して刈取脱穀作業を行う。
圃場の穀稈は、走行車体63の前進にともなって前端下部の分草杆83の作用を受け、次いで穀稈引起し装置84によって倒伏状態から直立状態に引き起こされる。このようにして、圃場の穀稈は、直立状態に達すると、株元が刈取装置85によって刈り取られ、株元搬送装置87と穂部搬送装置88とからなる穀稈搬送装置86によって挾持されて上方に搬送される。
【0029】
そして、穀稈は、穀稈搬送装置86の終端部分からフィ−ドチエン89に受け継がれて株元が挟扼されて搬送され、穂先部分が脱穀装置81の扱室に供給されて脱穀される。
以上のように、コンバイン80は、連続的に刈取脱穀作業を行い、脱穀選別した穀粒を収穫してグレンタンクに収集貯留する。
【0030】
さて、次に、コンバイン80が圃場の端に達して走行車体63を旋回する操作について説明する。
まず、普通の圃場条件で作業をしているときに通常旋回をする場合は、仮に、左旋回する場合について述べると、パワステレバ−65を左側に操作する。すると、旋回内側の無端帯1を停止し、旋回外側の無端帯1’を駆動して旋回する。すなわち、左検出スイッチ66aがコントロ−ラ−60に信号を入力すると、駆動されているセンタ−ギヤ26の回転動力は、一方側のサイドクラッチギヤ4がセンタ−ギヤ26から離脱して伝動を中断し、他方側の係合しているサイドクラッチギヤ4’からは大径ギヤ29’、小径ギヤ30’、ホイルギヤ31’、ホイルシャフト11’の順に伝動されて駆動スプロケット32’を駆動し無端帯1’を回転する。そして、一方側のサイドブレ−キ装置5は、サイドクラッチギヤ4を停止した後、パワステレバ−65の操作によって停止している無端帯1に制動力をかけることとなって走行車台41を旋回することになる。
【0031】
その結果、走行車体63は、旋回内側の無端帯1を停止、制動した状態にして旋回外側の無端帯1’を駆動するから左旋回することができる。この場合、走行車体63は、現実には前進、バックを繰り返しながら約90度あるいは往復刈取を行うときは180度の旋回を行う。
次に、圃場表面が軟らかく、通常旋回や急旋回をすると作土が破壊されるおそれがあるときに行なう緩旋回を説明する。仮に、左旋回をすることとする。
【0032】
まず、パワステレバ−65を操作して一方側のサイドブレ−キ装置5を作動して、サイドクラッチギヤ4をセンタ−ギヤ26から離し、中立状態に保ち、旋回操作レバ−67を緩旋回側に操作すると、切替装置10は、緩旋回切替ギヤ7に係合し、同時に旋回内側(左側)の係脱装置13が出力伝動ギヤ12を切替軸9に固定して一体回転ができる状態にする。そして、サイドクラッチギヤ4,4’は、上述のとおり、一方側のサイドクラッチギヤ4をセンタ−ギヤ26から離脱して伝動を中断させ、他方側のサイドクラッチギヤ4’を伝動状態に係合する。すると、旋回外側(右側)の回転動力は、サイドクラッチギヤ4’から大径ギヤ29’、小径ギヤ30’、ホイルギヤ31’、ホイルシャフト11’、駆動スプロケット32’の順序で伝動されて右側の無端帯1’を伝動する。
【0033】
一方側の回転動力は、センタ−ギヤ26と一体回転している旋回出力ギヤ27から緩旋回切替ギヤ7、切替装置10、係脱装置13、出力伝動ギヤ12、大径ギヤ36、小ギヤ37、大径ギヤ29、小径ギヤ30、ホイルギヤ31、ホイルシャフト11、駆動スプロケット32の順序で伝動されて無端帯1を伝動する。
このようにして、走行車体63は、左側の無端帯1が二つの減速経路をへて伝動されており右側の無端帯1’に比較して大幅に減速伝動されているから、円弧を描く状態で左側に旋回する。
【0034】
したがって、無端帯1,1’は、左右の回転周速差によって左側にゆっくり旋回するから湿田において圃場表面が軟弱であっても破壊することが少ない状態で走行車体55を旋回する。
次に、走行車体81は、路上や乾田などの地表面が硬いところで、しかも、狭い場所において旋回するときには、急旋回を利用して方向変換をする。以下、それを説明する。
【0035】
まず、パワステレバ−65を操作して、一方側のサイドブレ−キ装置5を作動させてサイドクラッチギヤ4をセンタ−ギヤ26から離し、中立状態に保ち、続いて旋回操作レバ−67を急検出スイッチ68bをONする側に操作する。すると、切替装置10は、急旋回切替ギヤ8に係合し、同時に旋回側(左側)の係脱装置13が出力伝動ギヤ12を切替軸9に固定して一体伝動ができる状態にする。
【0036】
次に、右側伝動系は、センタ−ギヤ26、サイドクラッチギヤ4’、大径ギヤ29、小径ギヤ30、ホイルギヤ31’、ホイルシャフト11、駆動スプロケット32’の順に伝動されて無端帯1’を前進方向に駆動している。一方、左側の伝動系は、旋回出力ギヤ27、急旋回用中間ギヤ33、急旋回伝動ギヤ34、急旋回切替ギヤ8、切替装置10、切替軸9、係脱装置13、出力伝動ギヤ12、大径ギヤ36、小ギヤ37、大径ギヤ29、小径ギヤ30、ホイルギヤ31、ホイルシャフト11、駆動スプロケット32を経て無端帯1を後進方向に回転するように伝動する。
【0037】
このようにして、走行車体81は、左側の無端帯1が後進回転し、右側の無端帯1’が前進回転することによってその場所で旋回できる。
以上説明したように、通常旋回操作、緩旋回操作、急旋回操作はいずれもパワステレバ−65と旋回操作レバ−67とを組合せ操作すれば、それぞれ入力信号がコントロ−ラ−60に送信されてソレノイド側に出力されて各バルブを切替て制御されながら自動操作されるものである。この場合、油圧回路が回路Aと回路Bとに区分されているから、製作は勿論、メンテナンス上も好都合である。
【0038】
また、各油圧回路は、サイドブレ−キ装置5,5’及び係脱装置13,13’をショックが少ない状態で係合できる特徴を持っている。
なお、油圧回路Bは、サイドブレ−キ装置5、又は、5’の一方に圧油を送ってばねに抗しながらサイドクラッチギヤ4、又は、4’をセンタ−ギヤ26から離脱した中立位置に作動させたときには、ソレノイド70が同時に作動して切替バルブ51を絞り部53側に切り替てオイルをタンクに還元している。
【0039】
【発明の作用効果】
以上説明したように、まず、第1の発明は、左右一対の無端帯1,1’からなる走行装置2を伝動する走行ミッション装置3に、左右一対のサイドクラッチギヤ4,4’とサイドブレ−キ装置5,5’とを有するサイドクラッチ軸6と、緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8とを遊嵌した切替軸9とを軸受して設け、該切替軸9には前記緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8との間にあって両ギヤの回転動力を選択的に切替軸9に伝動する切替装置10を設け、前記切替軸9の左右両側にはホイ−ルシャフト11,11’側に伝動するように遊嵌して設けた出力伝動ギヤ12,12’を、該軸9に係脱装置13を介して係脱自由に設け、該係脱装置13を係合、離脱可能に操作する油圧装置14は前記サイドクラッチギヤ4,4’及びサイドブレ−キ装置5,5’を作動操作する油圧装置15とは別系統の回路構成としたものであるから、油圧関係の製作が追加構成で完成するから製作が極めて容易になるとともに、メンテナンスに際しても独立構成の油圧回路を、比較的簡単に点検、修理等ができる特徴を有する。
【0040】
そして、第2の発明は、前記係脱装置13を操作する油圧装置14を形成する油圧回路の一部に緩衝用のバルブを介装してなるものであるから、係脱装置の継続に際しショックが極めて少なく、これが走行車体の変速によっても左右されずにできる特徴を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であって、線図で示す伝動装置の展開図である。
【図2】本発明の一実施例であって、線図で示す伝動装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施例であって、油圧回路図である。
【図4】本発明の一実施例であって、油圧回路図である。
【図5】本発明の一実施例であって、油圧回路図である。
【図6】本発明の一実施例であって、ブロック回路図である。
【図7】本発明の一実施例であって、コンバインの側面図である。
【図8】本発明の別実施例であって、要部の側面図である。
【図9】本発明の別実施例であって、要部の正面図である。
【符号の説明】
1,1’ 無端帯 2 走行装置 3 走行ミッション装置
4,4’ サイドクラッチギヤ 5,5 サイドブレ−キ装置
6 サイドクラッチ軸 7 緩旋回切替ギヤ 8 急旋回切替キヤ
9 切替軸 10 切替装置 11,11’ ホイ−ルシャフト
12,12’ 出力伝動ギヤ 13 係脱装置 14 油圧装置
15 油圧装置 16 緩衝用のバルブ

Claims (2)

  1. 左右一対の無端帯1,1’からなる走行装置2を伝動する走行ミッション装置3に、左右一対のサイドクラッチギヤ4,4’とサイドブレ−キ装置5,5’とを有するサイドクラッチ軸6と、緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8とを遊嵌した切替軸9とを軸受して設け、該切替軸9には前記緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8との間にあって両ギヤの回転動力を選択的に切替軸9に伝動する切替装置10を設け、前記切替軸9の左右両側にはホイ−ルシャフト11,11’側に伝動するように遊嵌して設けた出力伝動ギヤ12,12’を該軸9に係脱装置13,13’を介して係脱自由に設け、該係脱装置13,13’を係合、離脱可能に操作する油圧装置14は前記サイドクラッチギヤ4,4’及びサイドブレ−キ装置5,5’を作動操作する油圧装置15とは別系統の回路構成とした無端走行車両の走行装置
  2. 左右一対の無端帯1,1’からなる走行装置2を伝動する走行ミッション装置3に、左右一対のサイドクラッチギヤ4,4’とサイドブレ−キ装置5,5’とを有するサイドクラッチ軸6と、緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8とを遊嵌した切替軸9とを軸受して設け、該切替軸9には前記緩旋回切替ギヤ7と急旋回切替ギヤ8との間にあって両ギヤの回転動力を選択的に切替軸9に伝動する切替装置10を設け、前記切替軸9の左右両側にはホイ−ルシャフト11,11’側に伝動するように遊嵌して設けた出力伝動ギヤ12,12’を該軸9に係脱装置13,13’を介して係脱自由に設け、該係脱装置13,13’を係合、離脱可能に操作する油圧装置14は前記サイドクラッチギヤ4,4’及びサイドブレ−キ装置5,5’を作動操作する油圧装置15とは別系統の回路構成とし、前記係脱装置13,13’を操作する油圧装置14を形成する油圧回路の一部に緩衝用のバルブ16を介装してなる無端走行車両の走行装置
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