JP3561920B2 - 雑音低減装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、雑音低減装置、特にマイクロホン出力の雑音成分を低減させる雑音低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロホンは、音波の音圧の変化を振動板の機械的な振動に変換し、該振動に基づき電気音響変換系を動作させる構造のものが多い。従って、マイクロホンで収音する際、何らかの要因によって振動板に影響が及ぼされると雑音が発生することになる。
【0003】
上述の要因が振動であれば振動による雑音〔以下、これを振動雑音と称する〕が発生する。例えば、カメラ一体型VTR、テープレコーダ等のように、テープ駆動系が設けられている電子機器では、機械的な振動が不可避的に生ずる。このような電子機器に設けられているマイクロホンでは、機械的な振動によって振動雑音が発生してしまうものである。
【0004】
上述の振動雑音を低減する従来技術としては、例えば、以下のようなものがある。
(1)防振機構の採用
(2)無指向性マイク素子の採用
(3)電気的/音響的フイルタによる低減
(4)アナログの雑音キャンセル方式
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の振動雑音を低減する従来技術にあっては、夫々、以下のような問題点があった。
(1)に対して・・・機器の小型化に反する。
一般的に、防振機構は、ゴム或いは金属ばねといった弾性体によりマイク素子或いは付加の重りを吊り、外部からの機械的振動に備えている。マイク素子等の重量には自ずと限界があるため、必然的に弾性体のコンプライアンスを大きく設計する必要がある。従って、外形寸法が大きくなってしまうものである。
【0006】
(2)に対して・・・低域では効果があるが、中、高域では効果がない。
(3)に対して・・・収音品質が低下する。
振動雑音の主たる周波数成分を含む周波数域をカットすることは振動雑音に対して有効である。しかしながら、この場合には、振動雑音のみならず音声に含まれるその周波数域成分も同様にカットされてしまう。
【0007】
(4)に対して・・・マイク素子の感度等の精密な調整が必要になり、コストアップを伴う。
【0008】
マイクロホンを備えた機器が一層小型化すると共に、より高い収音品質が望まれる現在の状況にあって、上述の従来技術のみを以てしては振動雑音の低減が困難になりつつある。
【0009】
従って、この発明の目的は、小型化可能且つ調整不要で、振動雑音を確実に除去し得る雑音低減装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる発明は、第1のマイクロホンと
第2のマイクロホンと、
第1および第2のマイクロホンのそれぞれの受音面が互いに180度異なる方向に向き、かつ近接して配置するように、第1および第2のマイクロホンを結合する結合部材と、
第1および第2のマイクロホンの出力の間で減算を行い、振動雑音成分を形成する減算手段と、
第1のマイクロホンの出力を主要入力とし、減算手段からの振動雑音成分を参照入力として、主要入力及び参照入力を適応的に処理する手段とを備えたことを特徴とする雑音低減装置である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、第1のマイクロホンと
第2のマイクロホンと、
第1および第2のマイクロホンのそれぞれの受音面が互いに180度異なる方向に向き、かつ近接して配置するように、第1および第2のマイクロホンを結合する結合部材と、
第1及び第2のマイクロホンの出力の和信号を形成する手段と、
第1及び第2のマイクロホンの出力の間で減算を行い、振動雑音成分を形成する減算手段と、
和信号を主要入力とし、減算手段からの振動雑音成分を参照入力として、主要入力及び参照入力を適応的に処理する手段とを備えたことを特徴とする雑音低減装置である。
【0012】
【作用】
請求項1にかかる雑音低減装置の作用について説明する。
第1及び第2のマイクロホンの出力には、共に音声信号成分と振動雑音成分が含まれている。音声信号成分は同相で出力され、振動雑音成分は相互に逆相で出力される。
【0013】
第1及び第2のマイクロホンの出力の一方から他方を減算することによって、振動雑音成分のみが分離される。この結果、一方のマイクロホンの出力には音声信号成分と振動雑音成分が含まれ、他方のマイクロホンの出力は振動雑音成分のみとされる。上述の音声信号成分と振動雑音成分の含まれる出力が主要入力とされ、振動雑音成分のみの出力が参照入力とされる。
【0014】
参照入力が主要入力の振動雑音成分に等しくなるように適応的に処理される。そして、適応的に処理された参照入力が主要入力から減算されることにより、主要入力の内、雑音成分のみが最小化、即ち、キャンセルされる
【0015】
請求項2にかかる雑音低減装置の作用について説明する。
第1及び第2のマイクロホンの出力には、共に音声信号成分と振動雑音成分が含まれている。音声信号成分は同相で出力され、振動雑音成分は相互に逆相で出力される。
【0016】
第1及び第2のマイクロホンの出力が加算されることによって、音声信号成分が加算され、該音声信号成分のレベルが強められると共に、音声信号成分に振動雑音成分の差分が付加される。また、第1及び第2のマイクロホンの出力の一方から他方を減算することによって、音声信号成分がキャンセルされると共に、振動雑音成分が加算され該振動雑音成分のレベルが強められる。上述の音声信号成分と振動雑音成分の含まれる出力が主要入力とされ、振動雑音成分のみの出力が参照入力とされる。
【0017】
参照入力が主要入力の振動雑音成分に等しくなるように適応的に処理される。そして、適応的に処理された参照入力が主要入力から減算されることにより、主要入力の内、雑音成分のみが最小化、即ち、キャンセルされる
【0018】
【実施例】
以下、この発明の実施例について図1乃至図15を参照して説明する。
図1乃至図12は、この発明の一実施例を示す図である。
【0019】
図1の構成に於いて、近接して配置されている一対のマイクロホン1、2では、周囲の音声が収音され、電気信号に変換されて出力される。該マイクロホン1、2は同種のマイクロホンであり近接して配置されているため、同一の音声及び振動雑音が電気信号に変換されて出力される。
【0020】
マイクロホン1、2の配置の状態が図3に示されている。このマイクロホン1、2は、実際には、図4及び図5に示されるように、結合子21で固定されている。図3乃至図5に示される配置状態では、マイクロホン1、2の主軸は同一直線上に配され、マイクロホン1、2の受音面1a、2aが対向状態とされ、そして、マイクロホン1、2の振動板が近接するように配置されている。
【0021】
上述のマイクロホン1、2の配置の例は図3乃至図5に限定されるものではない。例えば、図6、図7に示されるような状態としてもよい。
【0022】
図6には、マイクロホン1、2の主軸が平行で、マイクロホン1、2の受音面1a、2aの向いている方向が180度異なる状態とされ、そして、マイクロホン1、2の振動板が近接するように配置されている例が示されている。
【0023】
また、図7には、マイクロホン1、2の主軸は同一直線上に配され、マイクロホン1、2の受音面1a、2aが相互に逆向き、即ち、背向状態とされ、そして、マイクロホン1、2の振動板が離れるように配置されている。
【0024】
先ず、マイクロホン1、2に於ける振動雑音の発生について説明する。
振動雑音は、マイクロホン1、2が加振された時、その動きに振動板が追従できない時に発生する。従って、振動雑音の発生レベルには方向性がある。以下、図8及び図9を参照して説明する。
【0025】
図8に示されるように、マイクロホン1、2が振動板Cと平行な方向〔図8中、矢示UD方向〕に加振された場合には振動板Cは殆ど動かない。これに対して、図9に示されるように、マイクロホン1、2が振動板Cと垂直な方向〔図9中、矢示LR方向〕に加振された場合には振動板Cは大きく振動する。
【0026】
振動板Cに対して垂直な方向〔LR方向〕と振動方向とのなす角度をθとすれば、出力の形成に寄与する速度成分は〔V・cos θ〕となるので、振動雑音の指向性は8の字形となる。この振動雑音は、振動加速度と振動板の面密度に比例している。このことから、振動板Cに対して垂直な方向の振動成分を除去できれば振動雑音を低減し得ることが判る。
【0027】
次いで、音声信号成分と振動雑音成分の位相の状態について説明する。
図4に於いて、矢示LR方向にマイクロホン1、2全体が加振された場合、マイクロホン1の振動板C1と、マイクロホン2の振動板C2とは同一の方向に振動する。この場合、マイクロホン1、2は対向状態で配置されているので、該マイクロホン1、2からの出力は相互に逆相になる。
【0028】
一方、図5に示されるように、結合子21に設けられている孔22を介して音波WSが入射された時には、マイクロホン1、2及び結合子21で囲まれた空間23は音波WSの波長よりも十分に小さいと考えられる。従って、図5に示されるように、振動板C1、C2が逆方向に振動する。この場合、マイクロホン1、2は対向状態で配置されているので、該マイクロホン1、2からの出力は同相になる。
【0029】
以上のことから、振動雑音に対してはマイクロホン1、2の出力は相互に逆相となり、また、音声信号に対してはマイクロホン1、2の出力は同相になることが判る。
【0030】
マイクロホン1、2の夫々の出力に含まれる音声信号成分と振動雑音成分の合成された波形の例が図10に示されている。図10では、擬似的な音声信号成分として用いられている1KHz の正弦波と、振動雑音成分として用いられている100Hzの信号の混入している状態が示されている。
【0031】
図1に於いて、マイクロホン1から出力される電気信号はA/D変換回路3に供給され、マイクロホン2から出力される電気信号はA/D変換回路4に供給される。
【0032】
A/D変換回路3、4では、マイクロホン1、2から供給される電気信号がデジタル信号に変換される。A/D変換回路3にて変換されたデジタル信号が(S+n)で表わされる主要入力とされる。また、A/D変換回路4にて変換されたデジタル信号が(S−(n*))で表わされる。
【0033】
上述の説明に於いて、Sは音声信号成分を表わし、n及び(n*)は振動雑音成分を表わしている。また、振動雑音成分nは加法性を有し、振動雑音成分n、(n*)は相関を有するものとされている。前述したように、振動雑音成分n、(n*)は、相互に逆相になるので、図1では、振動雑音成分nに対して、振動雑音成分(n*)の極性が反転された状態で表される。
【0034】
上述の主要入力(S+n)が、加算器5、適応ノイズキャンセラ6に設けられている遅延回路7に供給される。そして、A/D変換回路4の出力に負符号が付されて加算器5に供給される。
【0035】
加算器5では、負符号が付されてなるA/D変換回路4の出力、即ち、〔−(S−(n*))〕に、上述の主要入力(S+n)が加算される。この加算の結果、音声信号成分Sは除去され、(n+(n*))で表されてなる参照入力が形成される。該参照入力(n+(n*))は適応ノイズキャンセラ6の適応フイルタ9に供給される。
【0036】
適応ノイズキャンセラ6の遅延回路7では、主要入力(S+n)が所定時間、遅延せしめられた後に出力され、加算器8に供給される。この遅延量は、適応処理のための演算に要する時間遅れ或いは適応フイルタ9に於ける時間遅れ等に相当するものとされ、システムの構成により適宜、設定可能とされている。
【0037】
加算器8では、遅延回路7からの出力と、負符号が付され適応フイルタ9から出力される信号Yとの加算がなされる。この信号Yは、後述するように、主要入力(S+n)中の雑音成分nに類似する成分とされている。従って、加算器8では、主要入力(S+n)から雑音成分nに類似している成分である信号Yが減算される。換言すれば、主要入力(S+n)の雑音成分nは最小化され、実質的にはキャンセルされる。
【0038】
音声信号成分Sは、適応フイルタ9にフイードバックされると共に、D/A変換回路10に供給される。該D/A変換回路10では、デジタル信号で表されている音声信号成分Sがアナログ信号に変換され、該アナログ信号が端子11から取出される。
【0039】
雑音低減の効果が、適応ノイズキャンセラ6の出力として図11に示されている。前述したように、音声信号成分Sを擬似的に表わしている1kHzの正弦波のみが示されている。この図11からも明らかなように、適応ノイズキャンセラ6の出力に於ける雑音成分nが最小化されていることが明瞭に示されている。
【0040】
以下、適応ノイズキャンセラ6の適応フイルタ9の作用について説明する。
適応フイルタ9では、主要入力(S+n)の雑音成分nに類似する成分としての信号Yが形成される。即ち、適応ノイズキャンセラ6の出力が主要入力(S+n)の音声信号成分Sに似るようにフイルタ特性が逐次自己調整される。
【0041】
適応フイルタ9は、図2に示される構成のFIRフイルタ型の適応形線形結合器が用いられている。図2の構成に於いて、DL1〜DLLは遅延回路を表わし、MP〜MPLは係数乗算器を表している。また、16は加算器、15、17は夫々、端子を表している。
【0042】
上述の遅延回路DL1〜DLLに於ける〔Z−1〕は単位サンプリング時間の遅延を表し、係数乗算器MP〜MPLに供給されるWnkは加重係数を表している。加重係数Wnkが固定されていれば通常のFIRデジタルフイルタである。
【0043】
ここで、適応フイルタ9を、適応動作させるためのアルゴリズムについて説明する。この適応フイルタ9に於ける演算のアルゴリズムは、各種のものを使用できるが、計算量が比較的少なく、実用的で且つ多用されているLMS(最小平均自乗)アルゴリズムについて、以下に説明する。
【0044】
入力ベクトルXkを
=〔Xk−1 k−2 ・・・・・・Xk−L
として表せば、適応フイルタ9の出力Yは、
Figure 0003561920
で与えられる。
【0045】
遅延回路7の出力をdとすれば、その差分出力〔残差出力〕εは、
ε=d−X
となる。LMS(最小平均自乗)法では、加重ベクトルの更新は以下の式に従って行われる。
k+1 =W+2με
上式に於けるμは、適応速度を安定性を決める利得因子、いわゆるステップゲインである。
【0046】
加重ベクトルを上述のようにして更新していくことによって、システムの出力パワーを最小化するよう動作がなされる。以下、この動作を定式化して説明する。簡単のため、遅延回路7を無視した場合、加算器8からの差分出力εは、
ε=S+n−Y
である。
【0047】
εの自乗の期待値は、以下の式で表される。
E〔ε〕=E〔S〕+E〔(n−Y)〕+2E〔S(n−Y)〕
ここで、Sはn及びYと無相関であるところから、上式に於いて、
E〔S(n−Y)〕=0
となる。従って、εの自乗の期待値E〔ε〕は以下の式で表される。
E〔ε〕=E〔S〕+E〔(n−Y)
【0048】
適応フイルタ9は、E〔ε〕が最小になるように調整されるが、E〔S〕は影響を受けないので、以下の式のようになる。
Emin 〔ε〕=E〔S〕+Emin 〔(n−Y)
【0049】
E〔S〕は適応フィルタ9の加重ベクトルの更新の影響を受けないことから、E〔ε〕が最小化されることは、E〔(n−Y)〕が最小化されることを意味している。従って、適応フイルタ9の出力Yは、の最良の最小自乗推定値になっている。
【0050】
E〔(n−Y)〕が最小化される時、〔ε−S=n−Y〕であることから、E〔(ε−S)〕も最小化される。従って、適応フイルタ9を調整して全出力パワ−を最小化することは、差分出力εが音声信号成分Sの最良の最小自乗推定値になることに等しい。
【0051】
差分出力εは、一般的に音声信号成分Sに多少の雑音成分が加わったものとなるが、出力される雑音成分は(n−Y)で与えられるので、E〔(ε−Y)〕を最小化することは出力の信号対雑音比を最大化することに等しい。
【0052】
図12には、一実施例の変形例が示されている。この変形例が、前述の一実施例と異なる点は、加算器5をアナログの加算器25に変えると共に、このアナログの加算器25を、マイクロホン1、2とA/D変換回路3、4の間に配していることである。つまり、参照入力がアナログ的に形成されていることである。尚、その他の構成、作用、効果等の内容については、前述の一実施例と同様につき、一実施例と共通する部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0053】
この一実施例によれば、振動雑音に対してはマイクロホン1、2の出力が相互に逆相となり、音声信号に対してはマイクロホン1、2の出力が同相になるようにマイクロホン1、2が近接配置され、マイクロホン1の出力に基づき主要入力(S+n)が形成されると共に、マイクロホン1、2の出力の差分をとることで参照入力(n+(n*))が形成される。そして、適応フイルタ9では、上述の参照入力(n+(n*))に基づいて、主要入力(S+n)中の振動雑音成分nに類似する信号Yを形成するような処理がなされる。該信号Yが加算器8にて主要入力(S+n)から減算されることによって、雑音成分nが最小化される
【0054】
従って、通常の一対のマイクロホン1、2を用いることによって、振動雑音成分を実質的に除去できる。そして、マイクロホン1、2が近接して配置されるため機器の小型化に貢献できる。そして、マイクロホン1、2の特性として無指向性が要求されないので、低域のみならず中域、高域であっても効果的に振動雑音成分を除去できる。
【0055】
また、振動雑音成分n、(n*)のキャンセルに際しては、電気的/音響的ハイパスフィルタ等を使用する必要がなく収音品質の低下を防止することができる。また、マイク素子の感度等の精密な調整が不要であり、コストアップを防止できる。
【0056】
更に、適応ノイズキャンセラ6を用いているので、振動雑音の特性〔例えば、レベル或いはスペクトル分布等〕が変化しても、適応フイルタ9の特性が自動的に更新され、振動雑音成分を安定して低減させることができる。
【0057】
図13乃至図15には他の実施例が示されている。この他の実施例が、前述の一実施例と異なる点は以下の事項である。それ以外の構成については、前述の一実施例と同様であるので、一実施例と共通する部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
(1)A/D変換回路3と遅延回路7の入力側との間に加算器31を設けると共に、A/D変換回路4と適応フイルタ9の入力側との間に加算器32を設けていること。
(2)A/D変換回路3の出力が加算器31、32に供給されるように構成すると共に、A/D変換回路4の出力が加算器31、32に供給されるように構成されていること。
【0059】
マイクロホン1、2からの出力には、夫々、音声信号成分と振動雑音成分が含まれている。音声信号成分と振動雑音成分が合成されてなる波形は、前述の一実施例と同様であり、図10に示されている。
【0060】
マイクロホン1から出力される電気信号はA/D変換回路3に供給され、デジタル信号に変換される。該デジタル信号は、加算器31、32に供給される。
【0061】
マイクロホン2から出力される電気信号はA/D変換回路4に供給され、デジタル信号に変換される。該デジタル信号が加算器31、32に供給される。
【0062】
加算器31では、A/D変換回路3、4の出力が加算されて、主要入力〔2S+(n−(n*))〕が形成される。また、加算器32では、負符号の付されてなるA/D変換回路4の出力とA/D変換回路3の出力とが加算されて、参照入力(n+(n*))が形成される。
【0063】
前述したように、マイクロホン1、2の出力に於いて、振動雑音成分n、n*は相互に逆相となり、また、音声信号成分Sは同相になる。
【0064】
加算器31に於いて、音声信号成分Sは同相の信号成分が加算されるので、レベル的には2倍になる。振動雑音成分nは、相互に逆相であるので、差分(n−(n*))が形成される。従って、音声信号成分Sのレベルが2倍にされてなる信号成分2Sに振動雑音成分(n−(n*))の加えられてなる出力〔2S+(n−(n*))〕が、主要入力として適応ノイズキャンセラ6の遅延回路7に供給される。
【0065】
加算器31にて形成される出力に、低いレベルで残っている振動雑音成分(n−(n*))は、マイクロホン1、2の主軸が僅かにずれていたり、感度に僅かな違いがあることによるものである。
【0066】
加算器32に於いて、音声信号成分Sは同相の信号成分同士が減算されるので除去される。振動雑音成分n、(n*)は、相互に逆相であるが、一方の位相を反転させた状態で加算するので、同相の信号成分同士の加算となりレベル的には2倍になる。従って、振動雑音成分n、(n*)の加算されてなる出力(n+(n*))が参照入力として適応ノイズキャンセラ6の適応フイルタ9に供給される。
【0067】
主要入力〔2S+(n−(n*))〕と、参照入力(n+(n*))とが適応ノイズキャンセラ6で適応的に処理されることによって、主要入力〔2S+(n−(n*))〕から信号Yが減算される。換言すれば、主要入力〔2S+(n−(n*))〕に含まれる振動雑音成分(n−(n*))が最小化され、実質的にはキャンセルされる。
【0068】
雑音低減の効果が、適応ノイズキャンセラ6の出力として図14に示されている。前述したように、音声信号成分Sを擬似的に表わしている1kHzの正弦波が示されている。この図14からも明らかなように、適応ノイズキャンセラ6の出力に於ける振動雑音成分(n−(n*))が最小化されていることが明瞭に示されている。尚、この図15に示されるように、加算器31に於いて音声信号成分Sが加算されるので、音声信号成分Sのレベルは前述の一実施例の場合に比して、略々2倍になる。
【0069】
尚、この他の実施例に示される構成、作用、効果等の内容については、前述の一実施例と同様につき重複する説明を省略する。
【0070】
図15には、他の実施例の変形例が示されている。この変形例が、上述の他の実施例と異なる点は、加算器31、32をアナログの加算器41、42に変えると共に、このアナログの加算器41、42を、マイクロホン1、2とA/D変換回路3、4の間に配していることである。
【0071】
尚、その他の構成、作用、効果等の内容については、上述の他の実施例及び、前述の一実施例に於ける変形例と同様につき、共通する部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0072】
この他の実施例によれば、マイクロホン1からA/D変換回路3を介してなる出力が加算器31、32に供給され、また、マイクロホン2からA/D変換回路4を介してなる出力が加算器31に供給されると共に、A/D変換回路4の出力の位相が反転されて加算器32に供給される。加算器31にて主要入力〔2S+(n−(n*))〕が形成され、加算器32にて参照入力(n+(n*))が形成される。この主要入力〔2S+(n−(n*))〕及び参照入力(n+(n*))が適応ノイズキャンセラ6で適応的に処理されることによって、主要入力〔2S+(n−(n*))〕に含まれる振動雑音成分nが最小化される
【0073】
従って、上述の一実施例と同様の効果に加えて、音声信号成分Sのレベルを、前述の一実施例に比して2倍に高めることができる。
【0074】
この実施例に示される雑音低減装置は、多方面の収音システムに対して適用が可能である。例えば、小型携帯用のビデオカメラ装置に対して、或いは単品のマイクロホンに対して適用が可能である。この実施例に示される一対のマイクロホン1、2は、指向性の有無を問わず使用可能である。
【0075】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、通常の一対のマイクロホンを用いることによって、振動雑音を除去できるという効果がある。マイクロホンが近接して配置されるため機器の小型化に貢献できるという効果がある。そして、マイクロホンの特性として無指向性が要求されないので、低域のみならず中域、高域でも効果的に振動雑音を除去できるという効果がある。
【0076】
更に、振動雑音成分のキャンセルに際しては、電気的/音響的ハイパスフィルタ等を使用する必要がなく収音品質の低下を防止することができるという効果がある。また、マイク素子の感度等の精密な調整が不要であり、コストアップを防止できるという効果がある。
【0077】
また、実施例によれば、適応ノイズキャンセラを用いているので、振動雑音の特性〔例えば、レベル或いはスペクトル分布等〕が変化しても、適応フイルタの特性が自動的に更新され、振動雑音成分を安定して低減させることができるという効果がある。
【0078】
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加えて、音声信号成分のレベルを、より一層高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】適応フイルタの構成を示すブロック図である。
【図3】一対のマイクロホンの配置の例を示す図である。
【図4】対向状態に固定されたマイクロホンにて生ずる振動及び音波の影響の例を示す断面図である。
【図5】対向状態に固定されたマイクロホンにて生ずる振動及び音波の影響の例を示す断面図である。
【図6】一対のマイクロホンの配置の例を示す図である。
【図7】一対のマイクロホンの配置の例を示す図である。
【図8】振動がマイクロホンの振動板に及ぼす影響を示す図である。
【図9】振動がマイクロホンの振動板に及ぼす影響を示す図である。
【図10】音声信号成分と振動雑音成分の混合された状態を示す波形図である。
【図11】一実施例の雑音低減効果を示す波形図である。
【図12】一実施例の変形例を示すブロック図である。
【図13】この発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図14】他の実施例の雑音低減効果を示す波形図である。
【図15】他の実施例の変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、2 マイクロホン
1a、2a 受音面
C、C1、C2 振動板
5、25、31、32、41、42 加算器
6 適応ノイズキャンセラ
21 結合子

Claims (2)

  1. 第1のマイクロホンと
    第2のマイクロホンと、
    上記第1および第2のマイクロホンのそれぞれの受音面が互いに180度異なる方向に向き、かつ近接して配置するように、上記第1および第2のマイクロホンを結合する結合部材と、
    上記第1および第2のマイクロホンの出力の間で減算を行い、振動雑音成分を形成する減算手段と、
    上記第1のマイクロホンの出力を主要入力とし、上記減算手段からの振動雑音成分を参照入力として、上記主要入力及び参照入力を適応的に処理する手段とを備えたことを特徴とする雑音低減装置。
  2. 第1のマイクロホンと
    第2のマイクロホンと、
    上記第1および第2のマイクロホンのそれぞれの受音面が互いに180度異なる方向に向き、かつ近接して配置するように、上記第1および第2のマイクロホンを結合する結合部材と、
    上記第1及び第2のマイクロホンの出力の和信号を形成する手段と、
    上記第1及び第2のマイクロホンの出力の間で減算を行い、振動雑音成分を形成する減算手段と、
    上記和信号を主要入力とし、上記減算手段からの振動雑音成分を参照入力として、上記主要入力及び参照入力を適応的に処理する手段とを備えたことを特徴とする雑音低減装置。
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