JP3561808B2 - 粉体塗布ノズル装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は粉体塗装の分野等で、粉体を被塗物に帯状に塗布したり広い幅にわたって安定した塗布をするのに適した粉体塗布ノズル装置に関するものであり、更に詳細には最近普及がめざましい飲料缶などの、缶の内面の縦方向溶接継ぎ目線上を、粉体コーティング剤で帯状にコーティングするのに適した、粉体塗布ノズル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から飲料や食料品などを缶詰にする場合、容器である缶が、内容物によって腐食されたり、逆に缶材成分が内容物中に溶出して、うま味などを損なうのを防止する等の目的で、缶の内面にコーティングが施されてきた。
【0003】
最近の製缶技術やコーティング技術の進歩により、食料品等の缶はあらかじめコーティングが施された、いわゆるプレコートメタルから製缶されるのがほとんどである。ところが、アルミ材などのしぼり缶いわゆる2ピース缶や引抜缶を除けば、缶の縦方向の継ぎ目の部分は溶接工程が必要となるため、どうしても溶接工程後に、溶接の継ぎ目の部分を覆うように帯状にコーティングする、コーティング加工が必要とになる。
【0004】
この溶接線上を覆うように帯状にコーティングするための、コーティング剤として、従来は液状コーティング剤が用いられているのが一般的であった。特に最近普及がめざましい小容量の飲料缶、例えば直径が52〜65mm、内容積が190〜350mlクラスの缶においては、ほとんど全てのものが液状コーティング剤を用いているといっても過言ではない。それは一般的に、粉体コーティング剤用のノズル装置の方が、液体コーティング剤用のノズル装置よりも、構造的に大きくなってしまうことにもよっていた。
【0005】
しかし最近、大気汚染、悪臭防止や有機溶剤等による環境汚染を防止する等の観点や、うま味などに対して無溶媒型のコーティング剤の利点などから、小型缶においていも無公害型の粉体コーティング剤を用いた、コーティング技術の開発要請が高くなり、粉体コーティング剤を用いた缶のコーティング加工が試みられつつある。その一例として、プレシジョン・ツール社(スイス)の粉体塗布用のノズル装置を上げることができる。そのノズル装置を図7に示した要部断面構成図を用いて説明する。
【0006】
すなわち、図7は従来の粉体塗布ノズル装置の要部断面図であり、図において符号50はノズル本体部を示し、該ノズル本体部50は、一連の製缶工程における図示されていないシーム溶接機の下流に連設した形で配置し、シーム溶接機側から送られてくる粉体コーティング剤の供給路52、被塗物に付着しなかった粉体コーティング剤を回収するための回収路54、電極ピン60、電極ピン60のクリーニング用のエア通路56が設けられ、先端側には高電圧発生装置58を内在した保持部材64が設けられ、更に保持部材の下流側には、これも図示されていない加熱炉等が一連の製缶工程として設けられる。供給路52は被塗物である缶胴62の内面の溶接線へ向けて軸方向にスリット状に開口したノズル開口部64と接続し、また電極ピン60は高電圧発生装置58と接続されている。
【0007】
上記した従来の粉体塗布ノズル装置の作用を説明すると、縦方向の継ぎ目部をシーム溶接機で溶接した円筒状の缶胴62は、図7の左上流側より連続的に供給される。缶胴62の供給スピードは、従来の液体コーティング剤の塗布の場合において1分間に150から多いものでは600個、ラインスピードで表すと30〜120m/分にも達する。搬送エアと共に供給される粉体コーティング剤66は、図示されていないホース等の管路を介して供給路52に供給される。高電圧発生装置58から電極ピン60へ供給される高電圧は、電極ピン60と被塗物である缶胴62との間の電位差によってコロナ放電を発生し、この電界を粉体コーティング剤66が通過することにより、粉体コーティング剤66は静電気的に荷電され、被塗物である缶胴62に付着する。
【0008】
そして缶胴62に付着した粉体コーテイング剤66は、保持部材64の下流側に設けた、これも図示されていない加熱炉で熱処理が施されて、コーティング膜が形成される。また付着しなかった粉体コーティング剤は、回収路54を通り図示されないホース等の管路を介して回収タンク等へ回収される。また電極ピン60の先端は、粉体コーティング剤66が付着してコロナ放電の妨げにならないように、常に清浄に維持するため、エア通路56からクリーニング用のエアが供給される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の技術である粉体塗布ノズル装置においては、次のような問題があった。すなわち、それは十分な塗膜厚みが得られないことである。これは電極ピン60が、粉体コーテイング剤66の供給通路52からノズル開口部64に連通する部分に、1個だけ設けられているのみであり、粉体コーテイング剤66の静電気帯電力が不十分なためと考えられる。
【0010】
本発明者らの実験によれば、前述した従来の粉体塗布ノズル装置では、ノズル装置に供給される粉体コーテイング剤66の、約40%が被塗物に付着せずに回収路54を通って回収される、というデータがある。このように塗着効率が悪いため、十分なコーティング膜圧が得られず、また膜厚も不均一なものとなり、検査工程で不良品としてはねられるケースが多く、製品歩留りを悪くしていた。そして更に十分な塗膜厚みを得るためには、被塗物である缶胴62の送り速度を低速にし、粉体コーティング剤66の供給量も多くしなければならなかった。すなわち、ラインスピードとしては精々15m/分が限界であり、これを越えると被塗物表面に発生する乱気流が粉体コーティング剤の付着の妨げとなり、付着効率は急激に低下し、さらに粉体供給量を多くすると、搬送エアと共に輸送される粉体コーティング剤66の輸送量に脈動が発生したりして、膜厚が不安定となるなど、生産ラインの高速化の障害ともなっていた。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、粉体コーティング剤を帯状に塗布するのに適した構造でありしたり、塗着効率が良く、十分なコーティング膜厚が安定して得られ、しかも生産ラインの高速化にも対応できる構造をした、粉体塗布ノズル装置を提供することを、目的とするものである。さらに比較的ラインスピードが高速であっても、広幅の面塗布にも対応できる構造の、粉体塗布ノズル装置を提供することをも、目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために次のような構成とした。すなわち、粉体塗布ノズル装置において、粉体供給管路に連通させて、ノズル本体に、被塗物の移動方向である該ノズル本体の軸方向に沿って細長く開口し該被塗物が該細長い開口に面した外側で移動するようにスリット状のノズル開口部を設け、該ノズル開口部の該ノズル本体の軸方向の一端側に該粉体供給管路の粉体供給開口を形成すると共に他端側に粉体回収管路の粉体回収開口を形成して粉体を該開口部内を該ノズル本体の軸方向に沿って流す構成とし、該ノズル開口部内に、高電圧発生装置と導電状に連結され、先端に3個以上の多数の鋸刃を該開口部のノズル本体の軸方向に沿う方向である粉体が流れる方向のほぼ全長にわたって該ノズル本体の軸方向に沿って所定の間隔をおいて備え、かつその各々の尖端を該粉体が該粉体供給開口から該粉体回収開口へ向けて流れる方向と交差する方向に向けて備えた、金属又はカーボン等の導電体又は半導体からなる鋸刃状の電極板を設け、該ノズル本体の軸方向に沿って設けた多数の鋸刃の尖端からコロナ放電させることによって粉体が該開口部内を該粉体供給開口から該粉体回収開口に至る間でノズル本体の軸方向に流れるにつれて該粉体に十分に帯電させる構成の粉体塗布ノズル装置とした。
【0013】
また、前記構成の粉体塗布ノズル装置において、該鋸刃状の電極板をノズル開口部内で該ノズル本体の軸方向に沿って複数列に配列した構成の粉体塗布ノズル装置とした。
【0015】
【作用】
次に本発明の作用について説明する。本発明では、前記したような構成の粉体塗布ノズル装置としたので、搬送エアと共に供給される粉体コーティング剤は、ノズル本体の軸方向すなわち被塗物の移動方向に沿って細長く開口するスリット状のノズル開口部内に設けた、先端に鋸刃を3個以上多数設けた鋸刃状の電極板と被塗物との間に発生する多数のコロナ放電によって、十分に静電気的に帯電されて、被塗物に塗布される。このとき、該鋸刃状の電極板の先端には、多数の鋸刃が、該ノズル開口部内において該開口部の該ノズル本体の軸方向に沿う方向、即ち被塗物の移動方向に沿う方向である粉体が流れる方向のほぼ全長にわたって所定の間隔をおいて、かつその各々の尖端を該粉体が流れる方向と交差する方向に向けて設けられているので、該鋸刃状の多数の尖端のそれぞれからノズル開口部の細長い開口に面した外側で移動する被塗物の方向に向けて発せられる多数のコロナ放電によって形成される電界を粉体コーティング剤が通過することにより、ノズル開口部の最初の部分では帯電不足であった粉体も該開口部内を該一端側の粉体供給開口から他端側の粉体回収開口に至る間でノズル本体の軸方向に流れるにつれて十分に帯電される。このため、粉体の静電気帯電効率も優れ、従ってラインスピードが高くなって被塗物表面に乱気流が発生しても、静電気的な吸着力がすぐれ、塗着効率が良く、十分なコーティング膜厚が安定して得られ、しかも生産ラインの高速化にも対応できる。また粉体輸送量に多少脈動があってもノズル開口部が細長く開口するスリット状をしているので、粉体がノズル開口部を進行方向に進につれて平準化されて均一な膜厚が得られる。
【0016】
【実施例】
以下本発明の粉体塗布ノズル装置を、その実施例を示す図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の粉体塗布ノズル装置の第1実施例を示す縦断面図であり、図2は図1の横断面図であり、図3は同様の電極ピンを複数列に設けた実施例を示す横断面図である。また図4は第2実施例を示す縦断面図であり、図5は図4の横断面図であり、図6は同様の電極板を複数列に設けた実施例を示す横断面図である。
【0017】
まず、第1実施例から説明する。図1及び図2において、符号1は粉体塗布ノズル装置を示し、該粉体塗布ノズル装置1は、被塗物である小型飲料用缶等の内面のシーム溶接部を、帯状にコーティングするのに適するように構成されたもので、一連の製缶工程における図示されていないシーム溶接機の下流に、連設した形で配置される。2はノズル本体を示し、該ノズル本体2は、ポリプロピレン等のプラスチック製で、被塗物である缶胴3の内面の溶接線4へ向けて軸方向(被塗物の移動方向)に細長いスリット状に開口したノズル開口部5が設けられている。ノズル開口部5の軸方向長さは少なくとも20mm以上が望ましい。
【0018】
シーム溶接機側から送られてくる粉体コーティング剤17の供給管路6及び被塗物に付着しなかった粉体コーティング剤17を回収するための回収管路7が前記ノズル本体部2のノズル開口部5に連通して設けられる。即ち、該ノズル開口部5の該ノズル本体の軸方向の一端側には該粉体コーティング剤の供給管路6の粉体供給開口が形成されると共に、他端側には該粉体コーティング剤の回収管路7の粉体回収開口が形成され、該粉体コーティング剤は該開口部5内を該ノズル本体の軸方向(長手方向)に沿って流される構成とされている。8はスパーク防止型のカーボンファイバーからなる電極ピンであり、該電極ピン8は電気抵抗値が105〜107Ω・cm、望ましくは106Ω・cm程度のものが用いられる。電極ピン8は電気抵抗値がこれから外れると火花放電を発生したり、望ましいコロナ放電が得られない。電極ピン8はシリコーン材からなる絶縁材9を介してノズル本体部2のノズル開口部5内に開口部5のノズル本体2の軸方向に沿う方向のほぼ全長にわたってノズル本体の軸方向に沿って所定の間隔をおいて3個以上多数個設けられている。10はカーボンファイバー材等からなる電極棒で、該電極棒10はシリコーン材からなる絶縁被覆材11を介してノズル本体2に埋設され、電極棒10と電極ピン8とは導電材からなる接続ピン12で連結される。なお電極ピン8はブラシ状にノズル開口部5の長手方向に連続して植毛された構成であってもよい。
【0019】
13は高電圧発生装置であり、該高電圧発生装置13は、ポリプロピレン又はMCナイロン等からなるプラスチック製の支持部材14を介してノズル本体2に連結され、高電圧発生装置13の出力端子部は前記電極棒10に接続される。15はノズル開口部5の両側に設けられたブラシ又はブレードで、該ブラシ又はブレード15は柔軟性のあるグラスファイバー、ナイロン、PET等のプラスチック等からなり、ノズル開口部5から被塗物へむけて噴出される粉体コーティング剤17の幅が必要以上に広がるのを、防止する機能を果たす。16は高電圧発生装置13の給電用ケーブルの一部を示すものであり、また17は搬送用のエアと共に供給される粉体コーティング剤を示し、18は塗布作業中の被塗物である缶胴3がアース接地されていることを示したものである。
【0020】
上記した本発明の第1実施例による、粉体塗布ノズル装置の作用を説明すると、被塗物である小型飲料缶等の縦方向の継ぎ目部を、シーム溶接機で溶接した円筒状の缶胴3は、図1の左手上流側より連続的に供給される。そして、搬送エアと共に供給される粉体コーティング剤17は、図示されていないホース等の管路を介して供給管路6に供給される。高電圧発生装置13から電極棒10及び接続ピン12を介して電極ピン8へ供給される高電圧は、電極ピン8とアース接地18されている被塗物すなわち缶胴3との間の電位差によってコロナ放電を発生し、この電界を粉体コーティング剤17が通過することにより、粉体コーティング剤17は静電気的に荷電され、被塗物である缶胴3に付着する。
【0021】
その際に電極ピン8は軸方向に細長いスリット状のノズル開口部5内に、開口部5のノズル本体の軸方向に沿う方向のほぼ全長にわたって所定の間隔をおいてノズル本体の軸方向(長手方向)に多数箇所に設けられているので、ノズル開口部5の最初の部分では静電気的に帯電不足であった粉体コーティング剤17も、進行方向に流れるにつれて十分に帯電されるので、付着効率も極めて高く、十分な塗膜厚みも得られ、また被塗物の高速移動にも十分に対応することができる。
【0022】
次に第1実施例の変形として、電極ピンを複数列に設けた構造の粉体塗布ノズル装置について、図3を用いて説明する。なお図1及び図2に示した構成と同様の機能を果たす部分には、図1及び図2と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。図3は図1における電極ピン8を複数列に設けた実施例を示す横断面図である。図において符号2はノズル本体であり、5はノズル開口部、6は供給管路、10は電極棒、11は絶縁被覆材であり、20は複列に設けた電極ピンであり、該電極ピン20は複数個がノズル開口部5の長手方向に沿って複数列に配列される。なお電極ピン20は第1実施例でも述べたようにブラシ状に長手方向に連続して植毛されたものであってもよい。21は電極棒10と前記電極ピン20とを連結する接続ピンであり、該接続ピン21は上部がY字状に分岐している。なお図3では電極ピン20を2列に設けたものを示したが、これに限るものではなく、3列或いはそれ以上の列に設けたものであってもよく、またノズル開口部5の両側壁に設けたものであってもよい。以上の構成による粉体塗布ノズル装置においては、粉体コーティング剤17の静電気帯電効率は一層高まるので高品質の塗膜が得られる。
【0023】
次に第2実施例を図4及び図5を用いて説明する。なお第1実施例と同様の機能を果たす部分には、第1実施例と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。図において、符号1は粉体塗布ノズル装置を示し、該粉体塗布ノズル装置1は、被塗物である小型飲料用缶等の内面のシーム溶接部を、帯状にコーティングするのに適するように構成されたもので、一連の製缶工程における図示されていないシーム溶接機の下流に、連設した形で配置される。
【0024】
2はノズル本体を示し、該ノズル本体2は、ポリプロピレン等の樹脂からなり、被塗物である缶胴3の内面の溶接線4へ向けて軸方向(被塗物の移動方向)に細長いスリット状に開口したノズル開口部5が設けられている。シーム溶接機側から送られてくる粉体コーティング剤17の供給管路6及び被塗物に付着しなかった粉体コーティング剤17を回収するための回収管路7が、前記ノズル本体2のノズル開口部5に連通して設けられる。即ち、該ノズル開口部5の該ノズル本体の軸方向の一端側には該粉体コーティング剤の供給管路6の粉体供給開口が形成されると共に、他端側には該粉体コーティング剤の回収管路7の粉体回収開口が形成され、該粉体コーティング剤は該開口部5内を該ノズル本体の軸方向(長手方向)に沿って流される構成とされている。30は鋸刃状の形状をした金属又はカーボン等の導電体又は半導体からなる電極板であり、該電極板30はノズル本体部2のノズル開口部5内に軸方向に埋設されている。即ち、該鋸刃状の電極板30は、先端に3個以上の多数の鋸刃を該開口部5のノズル本体の軸方向に沿う方向である粉体が流れる方向のほぼ全長にわたって所定の間隔をおいて、かつ該鋸刃の各々の尖端を粉体が流れる方向と交差する方向に向けて該ノズル本体2の軸方向に沿って備えて構成されている。10はカーボン材等からなる電極棒で、該電極棒10はシリコーン材からなる絶縁被覆材11を介してノズル本体2に埋設され、電極板30と電極棒10とは導電材からなる接続ピン12で連結される。
【0025】
13は高電圧発生装置であり、該高電圧発生装置13は、ポリプロピレン又はMCナイロン等からなるプラスチック製の支持部材14を介して、ノズル本体2に連結される。高電圧発生装置13の出力端子部は、前記電極棒10に接続される。15はノズル開口部5の両側に設けられたブラシ又はブレードで、該ブラシ又はブレード15は柔軟性のあるグラスファイバー、ナイロン、PET等のプラスチック等からなり、ノズル開口部5から被塗物へむけて噴出される粉体コーティング剤17の幅が、必要以上に広がるのを防止する機能を果たす。16は高電圧発生装置13の給電用ケーブルの一部を示すものであり、また17は搬送用のエアと共に供給される粉体コーティング剤を示し、18は塗布作業中の被塗物である缶胴3がアース接地されていることを示したものである。
【0026】
上記した本発明の第2実施例による、粉体塗布ノズル装置の作用を説明すると、被塗物である小型飲料缶等の縦方向の継ぎ目部をシーム溶接機で溶接した円筒状の缶胴3は、図4の左手上流側より連続的に供給される。そして、搬送エアと共に供給される粉体コーティング剤17は、図示されていないホース等の管路を介して供給管路6に供給される。高電圧発生装置13から電極棒10及び接続ピン12を介して電極板30へ供給される高電圧は、電極板30とアース接地されている被塗物すなわち缶胴3との間の電位差によって、鋸刃状の電極板30の先端の多数の鋸刃の尖端からそれぞれ多数のコロナ放電を発生し、この電界を粉体コーティング剤17が通過することにより、粉体コーティング剤17は静電気的に荷電され、被塗物である缶胴3に付着する。その際、電極板30の先端の多数の鋸刃は、ノズル本体2の軸方向に長いスリット状のノズル開口部5内に、該開口部5の該ノズル本体の軸方向に沿う方向である粉体が流れる方向のほぼ全長にわたってノズル本体の軸方向(長手方向)に沿って所定の間隔をおいて、かつ各々の尖端を粉体が流れる方向と交差する方向に向けて設けられているので、ノズル開口部5の最初の部分では静電気的に帯電不足であった粉体も、進行方向に流れるにつれて、十分に帯電するので付着効率も極めて高く、十分な塗膜厚みも得られ、また被塗物の高速移動にも十分に対応することができる。
【0027】
次に第2実施例の変形として、電極板を複数列に設けた構造の粉体塗布ノズル装置について、図6を用いて説明する。なお図4及び図5に示した構成と同様の機能を果たす部分には、図4及び図5と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。図6は図4における電極板30を複数列に設けた実施例を示す横断面図ある。図において符号2はノズル本体であり、5はノズル開口部、6は供給管路、10は電極棒、11は絶縁被覆材であり、31は電極板であり、該電極板31はノズル開口部5の長手方向に沿って複数列に配列される。32は電極棒10と前記電極板31とを連結する接続ピンであり、該接続ピン32は上部がY字状に分岐している。なお図6では電極板31を2列に設けたものを示したが、これに限るものではなく、3列或いはそれ以上の列に設けたものであってもよく、またノズル開口部5の両側壁に設けたものであってもよい。以上の構成による粉体塗布ノズル装置においては、粉体コーティング剤の静電気帯電効率は一層高まるので高品質の塗膜が得られる。
【0028】
本発明者らの実験によれば、本発明による粉体塗布ノズル装置を用いた粉体コーティング剤の帯状塗布において、従来と同一条件の基で塗着効率が85%以上であるというデータが得られている。これは従来の塗着効率が60%程度であったものに比較して、十分に高いものであり、またコーティング膜の厚み、均一性等の品質あるいは被塗物の高速移動にも十分に満足できるものであった。
【0029】
以上本発明の実施例を説明したが、本発明は、そもそも従来粉体コーティング剤による帯状コーテイングが困難であった飲料缶などの、缶の内面の縦方向溶接継ぎ目線上を、粉体のコーティング剤で帯状にコーティングすることを目的に開発されたもので、実施例の説明も便宜上、飲料缶等の缶を対象にして説明した。しかし、被塗物対象は単に飲料缶に限定されるものではない。例えば家具や電気製品等の粉体コーティング分野においても、粉体コーティング剤の帯状塗布はしばしば必要となる。また帯状塗布は単列だけでなく、本発明の粉体塗布ノズル装置を複数個並列に設けることにより、複数列の帯状コーティングを同時に塗布することもできるし、また複数列の粉体塗布ノズル装置のそれぞれに異なった粉体コーティング剤を供給することにより、異なった材質による縞模様のコーティング膜が得られるなど、その用途は幅広いものである。更に1個のノズル本体に複数の電極ピン又は電極板を配設したスリット状のノズル開口溝を複数列隣接して設けることにより広幅の面塗布も可能となる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の粉体塗布ノズル装置は、上記のような構成としたので、粉体コーティング剤を帯状に塗布するのに適した構造であり、塗着効率が良く、十分なコーティング膜厚が安定して得られ、しかも生産ラインの高速化にも対応できる構造の、粉体塗布ノズル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉体塗布ノズル装置の第1実施例を示す縦断面図。
【図2】図1の横断面図。
【図3】図1における電極ピンを複数列に設けた実施例を示す横断面図。
【図4】第2実施例を示す縦断面図。
【図5】図4の横断面図。
【図6】図4における電極板を複数列に設けた実施例を示す横断面図。
【図7】従来の粉体塗布ノズル装置の要部断面図。
【符号の説明】
1…粉体塗布ノズル装置 2…ノズル本体
3…被塗物(缶胴) 5…ノズル開口部
6…供給管路 8…電極ピン
13…高電圧発生装置 17…粉体コーティング剤
30…電極板
Claims (2)
- 粉体塗布ノズル装置において、粉体供給管路に連通させて、ノズル本体に、被塗物の移動方向である該ノズル本体の軸方向に沿って細長く開口し該被塗物が該細長い開口に面した外側で移動するようにスリット状のノズル開口部を設け、該ノズル開口部の該ノズル本体の軸方向の一端側に該粉体供給管路の粉体供給開口を形成すると共に他端側に粉体回収管路の粉体回収開口を形成して粉体を該開口部内を該ノズル本体の軸方向に沿って流す構成とし、該ノズル開口部内に、高電圧発生装置と導電状に連結され、先端に3個以上の多数の鋸刃を該開口部のノズル本体の軸方向に沿う方向である粉体が流れる方向のほぼ全長にわたって該ノズル本体の軸方向に沿って所定の間隔をおいて備え、かつその各々の尖端を該粉体が該粉体供給開口から該粉体回収開口へ向けて流れる方向と交差する方向に向けて備えた、金属又はカーボン等の導電体又は半導体からなる鋸刃状の電極板を設け、該ノズル本体の軸方向に沿って設けた多数の鋸刃の尖端からコロナ放電させることによって粉体が該開口部内を該粉体供給開口から該粉体回収開口に至る間でノズル本体の軸方向に流れるにつれて該粉体に十分に帯電させる構成としたことを特徴とする粉体塗布ノズル装置。
- 該鋸刃状の電極板をノズル開口部内で該ノズル本体の軸方向に沿って複数列に配列したことを特徴とする請求項1に記載の粉体塗布ノズル装置。
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