JP3560252B2 - 骨関連カドヘリン様タンパク質およびその製造法 - Google Patents
骨関連カドヘリン様タンパク質およびその製造法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な骨関連タンパク質を提供する。本発明のタンパク質はOSF−4と名付けられたものであり、カドヘリン分子の仲間に属する新規なタンパク質である。このOSF−4はマウスまたはヒトを含む哺乳動物の骨組織より得ることができる。本発明で提供される骨関連タンパク質は、骨代謝性疾患の診断及び治療に有用である。
【0002】
【発明の背景】
骨代謝性疾患と総称される疾患の中には、骨粗鬆症(Osteoporosis)、ページェット病(Paget’s disease)、骨軟化症、過骨形成症、大理石病等が含まれ、このうち、特に骨粗鬆症は発生頻度が閉経後の女性及び老齢人口の約半分を越える程に高く、その診断と有効な治療法が強く望まれている。
【0003】
骨代謝性疾患とは、何らかの骨組織における、細胞レベルでの、骨に特異的な代謝の変調を伴うものであり、骨の代謝に特異的に関与する因子の発見、分離そして同定は、この代謝の異常を明らかにするのに非常に有効である。本発明者等は、これらの骨の代謝に特異的な因子の発見のために鋭意研究し、ついに、本発明を完成させるに至ったものである。
【0004】
より詳しくは、本発明者等は、特に、骨形成において主要な働きをする骨芽細胞の細胞株を用い、この細胞株により特異的に生成されるタンパク性因子を同定したものである。さらに、本発明は、こうした研究によって得られた、従来知られている種々のカドヘリン型の細胞接着分子とアミノ酸配列上で強いホモロジーを有する実質的に骨特異的なOSF−4と名付けられた新規なタンパク質を提供する。
【0005】
本発明のOSF−4は、本明細書に記載されたDNA配列から当業者において公知の通常の遺伝子工学的手法によっても生産でき、また本明細書に記載のアミノ酸配列から、化学的なペプチド合成法により、OSF−4又はその断片を生産することができる。さらに、本発明に記載されたOSF−4のDNA配列のうち特に他のカドヘリン分子と比べてOSF−4に特徴的な部分配列を通常のオリゴヌクレオチド化学合成法により、15〜50塩基長で合成し、骨由来細胞を識別診断するDNAプローブとして使用することができる。このような骨由来細胞の識別は、特に、転移再発性癌の由来を識別するために有用であり、適切な再発性癌の治療をもたらす。さらにOSF−4の部分ペプチドのうち、抗体の認識しうるエピトープ(epitope)部分のペプチドは、OSF−4に特異的なモノクローナル抗体を作成するために使用できる。こうして得られたモノクローナル抗体は、免疫学的細胞組織染色法により骨由来細胞の同定に有用である。また、OSF−4はその細胞接着分子との類似性から、骨折の治療にも有用である。
【0006】
【従来の技術】
本発明で提供されるOSF−4はカドヘリン様タンパク性因子であると考えられる。カドヘリンは、細胞接着作用を有し、次のことが知られている。
【0007】
細胞群の区画化は動物体構築の最も基本的な要素の一つである。この区画化は発生のごく初期から始まり、各細胞の分化が進むにつれ、同種の細胞が秩序正しく移動し再配置することにより形態形成や組織の構築と維持が行われている。このような秩序正しい細胞の移動をコントロールする要素の一つに、細胞の選択的接着性がある。各細胞は隣接した細胞ないしは隣接した細胞外基質を認識し、特定のものとのみ接着する性質を有する。そして、細胞の分化に伴いこれらの接着特異性が変化することにより、特定の場所から離れて、本来あるべき場所へと移動し集合すると考えられている。これまでに、数多くの細胞接着分子が同定されているが、全て細胞タイプ特異性を示す。これらの分子を大別するとカドヘリンファミリー、免疫グロブリンスーパーファミリー接着分子、インテグリンスーパーファミリー、セレクチン、およびこれらには属さないものの4つ以上のグループに分けることができる(Hynes et al., (1992), Cell, vol.68, p.303〜322)。
【0008】
これらのなかでも、とりわけカドヘリンはその解析が進んでおり、構造はもちろんのこと機能面においても研究が進んでいる。カドヘリンは分子量約120kDの糖タンパク質であり、カルシウムイオンに依存して働く細胞間接着分子である(Takeichi, (1991), Science, vol.251, p.1451〜1455)。これまでに10種類近くが同定されており、それぞれのタイプは結合特異性を有し、同じ分子同士がホモフィリックに反応する。その結果、同じタイプのカドヘリンを持つ細胞が選択的に結合し合い、細胞間接着の特異性を決めるために必須の因子であると考えられている。代表的なものに上皮由来のE(Epitherial)カドヘリン、胎盤由来のP(Placenta)カドヘリン、神経細胞由来のN(Neural)カドヘリン、肝細胞由来のL−CAM(liver cell adhesion molecule)などが挙げられる。その構造はどれもほぼ類似しており、約110アミノ酸の4、5回の繰り返しから成る細胞外領域、細胞膜貫通領域と約150アミノ酸から成る細胞内領域で構成されている。各カドヘリンのサブクラスにおいて、それぞれ全体で約50%のホモロジーが見られる。細胞外領域においてはアミノ末端に近い部位でホモロジーが高く膜貫通領域に近づくにつれ徐々に低くなり、細胞内領域において最も高いホモロジーが見られる。近年、新しいカドヘリンが次々と報告されつつある。たとえば、筋肉細胞由来のM(Muscle)カドヘリン、脳細胞由来のB(Brain)カドヘリンや胎児脳由来のT(Truncated)カドヘリン、さらに、デスモソームに局在するデスモグレインなど、これら全ては同じ祖先を持つ1つの遺伝子に由来するものでカドヘリンファミリーを形成していると考えられている。
【0009】
カドヘリン分子の詳細な研究により、そのN末端領域にはカルシウムイオンと結合する部位と接着特異性を決定する部位を有していることがわかっている。さらに、細胞内領域においては接着分子として機能的にも重要であることのみならず、カテニンやアクチン等の裏打ちタンパクと結合していることがわかっており、細胞内伝達に寄与していることが示唆されている。一方、癌細胞の侵入と転移において、これらカドヘリンの量的変化が認められ、腫瘍形成との関連でも興味がもたれている。しかしながら、これら多くのカドヘリン分子の報告があるにもかかわらず、骨細胞に特異性を持つカドヘリン分子の報告はない。
【0010】
骨のリモデリングは、骨を形成する骨芽細胞(Osteoblast)と骨を吸収する破骨細胞(Osteoclast)のバランスによって骨の形成・維持が担われている。骨芽細胞は間葉系の細胞由来で筋細胞や脂肪細胞と起源を同じくし、破骨細胞は造血幹細胞由来であり、好中球やマクロファージなどと同様な起源を持つ細胞であると考えられている。細胞接着分子としては、破骨細胞がインテグリンファミリーに属するビトロネクチンレセプターを発現していることが知られているのみであり、骨芽細胞についてはその存在が示唆されているにすぎない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、骨芽細胞に特異的に発現している新しいタイプの細胞接着因子を見い出すことである。こうした新しい細胞接着因子は、骨芽細胞の増殖、分化、移動や再配置に重要な分子である。この物質は、種々の骨代謝性疾患の診断、治療に用いることが期待できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
マウスOSF−4(mOSF−4)のcDNAは、マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3−E1由来のcDNAからPCR(Polymerase Chain Reaction)法とサブトラクション(Subtraction)法を組み合わせた方法によりcDNAライブラリーを作成し、ディファレンシャルスクリーニング(Differential Screening)法によりクローン化された。つづいて、マウスOSF−4cDNAをプローブとして、ヒト骨肉種細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、2種類のOSF−4が得られ、それぞれ、hOSF−4−1及びhOSF−4−2 と名付けられ、その塩基配列を決定した。OSF−4の塩基配列は、マウスとヒトの間で、非常に良く保存されている。mOSF−4とhOSF−4−1、及びhOSF−4−2とのアミノ酸配列との比較では、それぞれ97.1%、及び96.4%のホモロジーを示している(図1〜3)。これら種間での非常に高い保存性は、OSF−4が脊椎動物の骨の代謝に必須な働きを持っていることを示唆している。OSF−4は他の脊椎動物の骨抽出物からも分離精製できる。組換え遺伝子技術を用いて、他の動物種のOSF−4を、それぞれの骨、培養骨細胞、及び他の体組織から作成したcDNAライブラリー、またはゲノム遺伝子DNAライブラリーから、本発明のcDNAまたはそのDNA断片をプローブとして用いてクローニングすることが出来る。本発明で示されたcDNAの配列は現在利用できる種々のDNA及びアミノ酸配列データベースによる検索で、新規であることが明らかにされた。
【0013】
mOSF−4のアミノ酸配列との比較で、hOSF−4−1は全ての領域において非常に保存されている。一方、hOSF−4−2はN末端から631番目のアミノ酸残基まではhOSF−4−1と完全に一致しているのに対し、細胞膜貫通領域の中において、179塩基の挿入がある為にフレームシフトがおこり、632番目のアミノ酸残基から693番目のC末端までの62アミノ酸残基は全く異なった構造をしている(図1〜3)。従って、細胞膜貫通領域のC末端9アミノ酸残基と細胞内領域はhOSF−4−1とhOSF−4−2では完全に異なっている。このようなC末端領域が欠失したカドヘリンはTカドヘリンに相当するものであり、このタイプのカドヘリンの存在はOSF−4の細胞接着の制御に関与することを示唆している。
【0014】
mOSF−4のEC1ドメイン中の101番目から115番目までの親水性(hydrophilic)の15アミノ酸残基に相当するペプチドを化学合成し、KLH(Keyhole limpet hemacyanin)と架橋し、ウサギの免疫に使用した。得られた抗mOSF−4ペプチド抗血清を新生児マウス全身切片中のOSF−4の免疫組織化学的検出に用いた。OSF−4は骨芽細胞、軟骨細胞等に検出された。
【0015】
一般に、OSF−4は、ヒト、ウシ、マウス、または、その他の材料から、公知の生化学的技術により、直接骨組織または軟骨組織から抽出することが出来る。また、OSF−4をコードするDNAは、脊椎動物の骨組織から抽出したmRNAから作成されたcDNAライブラリー、または、ゲノムDNAライブラリーから、本明細書中で開示されたヒトまたはマウスのcDNA配列の断片を標識してプローブとして用い、得ることができる。全長cDNAクローンは上記の及び他の標準的な分子生物学的な技術を組み合わせて得る事ができる。
【0016】
このように、OSF−4は既知の代表的なカドヘリン分子とホモロジーはあるが、これまでに報告されているものとは異なり新しいサブクラスに属するカドヘリン分子である。その構造は、細胞外領域において5回の繰り返し構造、細胞膜貫通領域、及び、細胞内領域から構成されている(図4)。OSF−4と他のカドヘリンとの比較をすると、これまでの異なったカドヘリン分子間のホモロジー様式と同様に、細胞外領域ではN末端から膜貫通領域に近づくにつれてホモロジーは低くなり、細胞内領域で最も高いホモロジーが認められた(表1)。
【0017】
【表1】
表1はマウスOSF−4と他のカドヘリン分子とのアミノ酸比較表である。各領域ごとのアミノ酸での相同性を計算し%で表した。領域の略語はEC1〜EC5:5つの細胞外領域、TM:細胞膜貫通領域、CP:細胞内領域、そしてMPは成熟タンパク質の全体での比較を示す。また、NはNカドヘリン、EはEカドヘリン、PはPカドヘリン、MはMカドヘリンを示す。比較したカドヘリンのタイプにおいて、OSF−4:NはOSF−4とNカドヘリン間でのアミノ酸配列の各領域ごとの比較を示す。以下同じ。
【0018】
本発明により提供されるタンパク質は、骨形成において重要な役割を担っている新しいサブクラスのカドヘリンに属する糖タンパク質でOSF−4と名付けたグループであり、より具体的には本明細書中に記載されているヒト及びマウスのOSF−4である。OSF−4は骨形成の過程において骨芽細胞で発現し、細胞接着分子及び形態形成関連物質として作用する。これらヒト又はマウスのOSF−4は、塩基配列やアミノ酸配列において類似した他の哺乳類由来のOSF−4タンパク質を分離同定するために使用できる。
【0019】
本発明は、さらに、OSF−4の類似体よりなるポリペプチド、即ち、ミュータント、融合タンパク、及びOSF−4の一部を含む断片を提供する。マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3−E1から分離したマウスOSF−4のcDNAは、24アミノ酸残基からなるシグナルペプチドを含む796個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。ヒト骨肉種細胞(Osteosarcoma)cDNAライブラリーより分離したヒトOSF−4は2種類あり、その内の1つヒトOSF−4−1 のcDNAは24アミノ酸残基からなるシグナルペプチドを含む796個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。他の1つヒトOSF−4−2 のcDNAは24アミノ酸残基からなるシグナルペプチドを含む693個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。本発明は、また組換え遺伝子技術によるOSF−4の製造方法を提供する。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕 サブトラクション/PCRによるcDNAライブラリーの作成この実施例では骨芽細胞様細胞株MC3T3−E1に特異的なcDNAライブラリーの構築について記述する。このcDNAライブラリーはサブトラクション法とPCR法を組み合わせることにより、マウス肝組織で発現している遺伝子を差し引いたMC3T3−E1cDNAライブラリーであり、各cDNAクローンは平均約300塩基の遺伝子断片を有し、さらに、本来含有量の少ない遺伝子をも増幅されるという特徴を有している。
【0021】
全ての一般的な組換えDNA技術に関する手順(protocol)は、特に他に断らなければ、サムブルック(Sambrook)らによる「Molecular Cloning manual」(1989年、Cold Spring Harbor Laboratory社、米国、Cold Spring Harbor)に準じて行った。総RNAは、グアニジン法により、MC3T3−E1細胞及びマウス肝組織の、それぞれ、8×107個、約1gから抽出した。ポリA+RNAは総RNAから市販の「オリゴdTラテックスmRNA精製キット」(宝酒造(株))により精製した。各1μgポリA+RNAをテンプレートとし、cDNA合成キット(Amersham社)を用いてcDNAを合成した。ただし、オリゴdTプライマーの代わりにランダムプライマーを用い、その量は通常使用量の1.5倍使用した。これにより、cDNA鎖伸長反応を平均約300塩基に制限した。上記のキットを用いて2本鎖平滑末端にした後、下記の2種類の合成DNAリンカーをT4DNAリガーゼ(宝酒造(株))により、それぞれ、MC3T3−E1cDNAはATOS−1/2(配列表の配列番号4及び5)と、肝臓cDNAはATOS−4/5(配列表の配列番号6及び7)と結合させた。
【0022】
ATOS−1/2
ATOS−1 5′− CTCTTGCTTGAATTCGGACTA−3′
ATOS−2 3′−ACACGAGAACGAACTTAAGCCTGAT−5′
ATOS−4/5
ATOS−4 5′− CTCTTGCTTAAGCTTGGACTA−3′
ATOS−5 3′−ACACGAGAACGAATTCGAACCTGAT−5′
【0023】
次に、各反応産物をPCR(Polymerase Chain Reaction)法により、プライマーとして、それぞれ、ATOS−1とATOS−4を用いてDNAを増幅した。増幅したDNA濃度測定は「DNA濃度測定キット“DNA Dipstick”」(Invitrogen社)を用いて行った。サブトラクション法はフォトビオチン(Photobiotin, Pirce社)を用いて行った。PCR法により増幅した20μgの肝臓cDNAに20ngのフォトビオチンを加え、サンランプを10cm隔て10分間照射することにより、DNAをビオチンで標識した。この標識した肝臓cDNA3.0μgに、標識していないMC3T3−E1cDNA0.3μgを加え、ハイブリダイゼーションを行った。次いで、これにストレプトアビジン(Streptavidin,宝酒造(株))を反応し、フェノール抽出する事により、MC3T3−E1cDNAから肝臓cDNAと共通のcDNAを除いた。サブトラクション法を再度繰り返し行い、MC3T3−E1cDNAから肝臓cDNAと共通なものをできるだけ除いた。さらに、上記のATOS−1を用いてPCR法によりDNAを増幅し、DNA濃度を測定した。このcDNA10ngを制限酵素EcoRIで消化した後、EcoRIで消化し末端を脱燐酸化したファージベクターλgt10(λgt10/EcoRIクローニングキット、Stratagene社)1μgとT4リガーゼを用いて連結した。これを市販のインビトロパッケイジングキット(in vitro packaging kit)「ギガパックゴールド(Gigapack−gold)」(Stratagene社)によりλファージ粒子にパッケイジングした。この組換え体ファージを、大腸菌C600(日本予防衛生研究所、日本癌研究資源バンクにHT003として保存されている)に感染させ、軟寒天培地とともに寒天培地の上にまきファージプラークを形成させ感染効率を測定したところ、1μgのcDNAあたり3×106のファージプラークが得られた。
【0024】
さらに、このcDNAライブラリーをディファレンシャルスクリーニング(differential screening)法を用い、MC3T3−E1に特異性の高いクローンを選択した。つまり、2.25×104個のファージを計10枚のプレートにまき、それぞれ2枚(計20枚)のナイロンメンブレンフィルターに移した。これらの一方を放射能でラベルしたMC3T3−E1のcDNAと、また、他方を同様にラベルした肝臓のcDNAをプローブとして、プラークハイブリダイゼーション法を行った。MC3T3−E1cDNAプローブでシグナルが認められ、しかも、肝臓のcDNAプローブでシグナルの認められない273クローンをミニライブラリーとし、以後の実験に用いた。
【0025】
〔実施例2〕 マウスOSF−4クローンの単離
この実施例では、上記の実施例1で作成したミニライブラリーから、MC3T3−E1に特異的なクローンとして、OSF−4の部分的cDNA断片を同定し、さらに、これを用いてMC3T3−E1のcDNAライブラリーから完全長cDNAをクローニングする方法について記述している。
【0026】
実施例1で調製したMC3T3−E1及び肝臓の各総RNAを、それぞれ1μgづつナイロンメンブレンフィルターにスポットし、このフィルターを273個作成し、以下のハイブリダイゼーションに用いた。一方、実施例1で作成した273個のファージクローンの挿入部分のDNAをPCR法を用いて増幅した。このDNAをアガロースゲル電気泳動した後、主なバンドを切り出し精製し、放射能ラベルしてプローブとして用いた。オートラジオグラフィーの結果、MC3T3−E1でシグナルが認められ、しかも肝臓でシグナルの認められないクローンについてプラスミドベクターにリクローニング(recloning)した。つまり、PCR法により増幅し精製した挿入部分のDNAを制限酵素EcoRIで消化し、プラスミドベクターpUC118(宝酒造(株))のEcoRIサイトにリクローニングした。これらのクローンについて市販の「DNAシーケンスキット」(宝酒造(株))を用いユニバーサルプライマーにて塩基配列を決定した。得られた塩基配列をDNA及びタンパク質データベースを検索したところ、既存のカドヘリンとホモロジーを示すクローンが得られ、これをD45と命名し、これを用いて以後の完全長cDNAのクローニングを行った。
【0027】
完全長cDNAクローニングのために、実施例1で精製したMC3T3−E1のポリA+RNA5μgから「cDNA合成キット」(cDNA systhsis system plus, Amersham社)を用いて平滑末端2本鎖cDNAを合成した。これにEcoRI/NotIアダプター(宝酒造(株))をT4リガーゼを用いて連結した後、アガロースゲル電気泳動し、約700塩基対以上のフラクションを精製した。この断片をλgt10ファージベクター(Stratagene社)のEcoRIサイトに連結し、実施例1と同様にファージ粒子にパッケイジングした後、大腸菌に感染させ感染効率を測定したところ、1μgのベクターDNAあたり、1.5×107であった。前述のD45を放射能ラベルしてプローブとして用い、このcDNAライブラリー1.0×106個のファージクローンをプラークハイブリダイゼーション法によりスクリーニングした。その結果、14個のポジティブシグナルが得られ、その内、最も挿入断片の長いファージクローンのNotI断片をプラスミドベクターpGEM11Zf(+)(Stratagene社)のNotIサイトにリクローニングし、これをpKOT164と命名した。
【0028】
〔実施例3〕 マウスのOSF−4のDNA配列の決定
pKOT164、及びこのcDNA断片を有するサブクローン(subclone)から「キロシークエンス用デレーションキット」(宝酒造(株))を用いて、それぞれ約300塩基対おきに両方向からのデレーションミュータントを作成した。それぞれのデレーションミュータントの塩基配列の決定は、米国Applied Biosystems社製の自動DNAシークエンサー・モデル373A(automatic DNA sequencer)を用いて行った。この完全長cDNAの塩基配列と、塩基配列より翻訳したアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示した。このcDNAにコードされるタンパク質をマウスOSF−4と名付けた。アミノ酸残基の番号1は予想されるマウスOSF−4前駆体タンパク質のN末端に相当する。また、このDNAの制限酵素地図を図5に示した。
【0029】
〔実施例4〕 マウスOSF−4の組織特異的発現
マウスOSF−4の組織特異的発現をみるためにRNAドットブロッティング(RNA dot blotting)を行った。マウス(日本クレアから購入)の胸腺、脾臓、脳、腎臓、肝臓、肺、睾丸、及び心臓の総RNAをグアニジン法で調製した。頭蓋冠由来の骨芽細胞を多く含む細胞は、新生児マウスの頭蓋冠より調製し、これを培養して得られた。さらに、この細胞から総RNAを前述と同様な方法で抽出した。上記の組織、頭蓋冠培養細胞、MC3T3−E1及びマウス線維芽細胞株NIH3T3(ATCC CRL 1658)、の各総RNA1μgをナイロンメンブレンフィルター(Biodyne, PALL社)にドットし、加熱固定した後に、ハイブリダイゼーションに用いた。一方、pKOT164をNotIで消化し、アガロースゲル電気泳動による分離精製を行った後、放射能でラベルしプローブとして用いた。オートラジオグラフィーの結果、頭蓋冠培養細胞とMC3T3−E1に強いシグナルが見られ、睾丸で弱いシグナルが見られた(図6)。
【0030】
〔実施例5〕 ヒトOSF−4をコードするcDNAのクローニング
pKOT164のcDNA領域を含むNotI断片を精製し、これをプローブとして用い、1.3×105個のクローンから成るヒト骨肉腫cDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、21個のポジティブシグナルが得られた。そのうち、5クローンを分離し、挿入断片の大きい2つのクローンについてプラスミドベクターpHSG398にリクローニングした。この結果、得られたプラスミドをpKOT161、およびpKOT170と名付けた。
【0031】
〔実施例6〕 ヒトのOSF−4のDNA配列の決定
上記の実施例5でクローン化されたpKOT161、pKOT170、及びそれらのサブクローンについても実施例3に示した方法と同様にデレーションミュータントを作成し、cDNAの塩基配列を決定した。これらのcDNAの塩基配列と予想されるアミノ酸配列を配列表の配列番号2及び3に示した。これらのcDNAにコードされるタンパク質をヒトOSF−4−1、ヒトOSF−4−2と名付けた。各々アミノ酸残基の番号1は予想されるOSF−4前駆体タンパク質のN末端に相当する。
【0032】
〔実施例7〕 抗OSF−4抗血清の調製
マウスOSF−4の抗ペプチド抗体を作成するにあたり、Mカドヘリンの実験報告例(Donalies et al.,(1991) Proc. Natle. Acad. Sci. USA, vol.88, p.8024−8028)に従い、これに相当するEC1領域内の15アミノ酸残基をペプチド合成機(Applied Biosystems社、モデル430A)により、固相合成法で合成した。合成したペプチドはOSF−4.1(FVIDDKSGNIHATKT:配列表の配列番号8)である。合成ペプチドはグルタルアルデヒドをカップリング剤としてKLH(Keyhole limpet hemacyanin)担体と結合し、ウサギの免疫に使用した。得られた抗血清は、新生児マウス全身切片中で、組織免疫化学的に、OSF−4の存在を検索したり、大腸菌、酵母及び動物細胞でのOSF−4の発現を検出するのに使用できた。
【0033】
〔実施例8〕 動物細胞でのOSF−4の発現
本実施例ではマウスOSF−4の動物細胞での発現プラスミドベクターの作製と発現、及び機能解析について記載する。
配列表の配列番号1に示される塩基配列中にはOSF−4をコードする領域の5′上流に他のオープンリーディングフレームが存在する。このため、この配列によるOSF−4の翻訳効率の低下が予想された。そこで、実施例3で作製したデレーションミュータントの中からOSF−4のコーディング領域のみを含むクローンを選びOSF−4発現ベクターの作製に用いた。このクローンから配列表の配列番号1の191番目のGから2700番目のAまでの断片を切り出し、5′上流にXhoIとBamHIサイトのリンカーを、3′下流にXhoIサイトのリンカーを結合した。ついで、このXhoI断片を動物細胞発現用プラスミドベクターpCXN2(Niwa et ai., (1991), Gene, 108, 193−200)のXhoIサイトに挿入しクローニングした。得られたOSF−4発現ベクターをpMSS60と命名した(図7)。
【0034】
カルシウム・リン酸共沈法を用いて、この発現ベクターpMSS60をマウス表皮由来繊維芽細胞株のL細胞に導入した。ついで、このpMSS60により形質転換したG418耐性のコロニーを分離培養し12個のクローン化細胞株を得た。これらのクローン化細胞株のそれぞれからRNAを抽出した。これらのRNAを用いてマウスOSF−4をプローブとしたRNAドットブロット法により、OSF−4のmRNA発現量の高いクローン化細胞株3個を選択した。それぞれ、C1、C7、C11と名付けた。
これらの細胞株を用いてウエスタンブロット法(Western blot analysis)により生成された蛋白質を解析したところ、抗OSF−4抗体に反応する約100キロダルトンのバンドが検出された。
【0035】
さらに、これらのクローン化細胞株を用いて、カドヘリンの細胞接着性を調べるアグリゲーションアッセイ法(Aggregation assay)によりOSF−4の活性の解析を行った。アグリゲーションアッセイ法の詳細は竹市らの方法(Takeichi,(1977), J.C.B., vol.75, p.464−474)に従って行った。
まず、各クローン化細胞の単層細胞からTC処理群とTE処理群の2種類の細胞懸濁液を調製した。
【0036】
TC処理群は以下の様に調製した。即ち、単層細胞を1mM塩化カルシウムを含むCMF溶液(パックのGa2 +,Mg2 +フリー生理食塩水:J, Exp. Med. vol.108, p.954−956, 1958)で3回洗った後に、0.01%トリプシンと0.1mM塩化カルシウムを含むHCMF溶液(HEPES−緩衝生理食塩水:NaCl 8.0g,KCl 0.4g,Na2HPO4・7H2O 0.09g,グルコース1g,HEPES 2.38gを水に溶解し、1N NaOH 4.8mlを加えpH 7.4とし、最終的に1リットルの水溶液にする)中で37℃、15分間処理しTC処理群の細胞懸濁液を調製した。
また、TE処理群の細胞懸濁液は1mM EDTAと0.01%トリプシンを含むHCMF溶液中で37℃、15分間処理する事以外は、TC処理群と同様の方法により調製した。
【0037】
ついで、それぞれの処理群の細胞懸濁液をCMF溶液で2回洗った後に、各細胞懸濁液をさらに二分し、それぞれ1mM塩化カルシウムを含むものと含まないHCMF溶液に再懸濁し、細胞濃度が3ml当たり1×106個になるように細胞懸濁液を調製した。これらの各細胞懸濁液を15mlコニカルチユーブに移し、37℃で毎分80回転、1時間攪拌する事により細胞のアグリゲーションを行わせた。攪拌前の細胞数(N0)と1時間攪拌後の細胞の塊の数(N1)をコールターカウンターにより測定し、その割合(N1/N0)を求めた。その結果、以下の表2に示すようにOSF−4を発現しているクローン化細胞株でのみカドヘリンと同様のカルシウム依存性の細胞接着性を示した。カドヘリン分子はカルシウム存在下ではトリプシンの分解を受けない事が知られている。従って、EDTAで処理したトリプシンの分解を受けたものは細胞接着性を示さなかった。
【0038】
【表2】
* 1時間後に細胞塊の数が少ないほど細胞同士が凝集している事を示している。その数が1の時は細胞接着性がない。
** mockはベクターのみを導入したL細胞を示す。
【0039】
【発明の効果】
本発明により提供されるOSF−4は、骨代謝性疾患の治療剤として用いることができ、また、骨に対する臓器特異性が高いので骨代謝性疾患の診断剤として用いることできる。
【0040】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:3581
配列の型:核酸
鎖の数:二重鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:
生物名:マウス (Mus musculus)
株名:骨芽細胞株 MC3T3E1
配列の特徴:
【0041】
配列番号:2
配列の長さ:3712
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:
生物名:ヒト (Homo sapiens)
細胞の種類:原発生骨腫瘍
配列の特徴:
【0042】
配列番号:3
配列の長さ:3914
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:
生物名:ヒト (Homo sapiens)
細胞の種類:原発生骨腫瘍
配列の特徴:
【0043】
配列番号:4
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。 配列番号5と相補的配列。名称「ATOS−1」
【0044】
配列番号:5
配列の長さ:25
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。配列番号4と相補的配列。名称「ATOS−2」
【0045】
配列番号:6
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。 配列番号7と相補的配列。名称「ATOS−4」
【0046】
配列番号:7
配列の長さ:25
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。配列番号6と相補的配列。名称「ATOS−5」
【0047】
配列番号:8
配列の長さ:15
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直線状
配列の種類:ペプチド
起源:
生物名:マウス
配列の特徴:OSF−4−1 (抗原ペプチド)
存在位置:マウスOSF−4の断片で101番目から115番目まで。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスOSF−4とヒトOSF−4−1とヒトOSF−4−2の各々のアミノ酸配列の比較図(alignment)である。マウスとヒトのOSF−4の間で全て共通なアミノ酸残基はコンセンサスとして示した。
【図2】図1のマウスOSF−4とヒトOSF−4−1とヒトOSF−4−2の各々のアミノ酸配列の比較図の続きを示す。マウスとヒトのOSF−4の間で全て共通なアミノ酸残基はコンセンサスとして示した。
【図3】図2のマウスOSF−4とヒトOSF−4−1とヒトOSF−4−2の各々のアミノ酸配列の比較図の続きを示す。マウスとヒトのOSF−4の間で全て共通なアミノ酸残基はコンセンサスとして示した。
【図4】マウスOSF−4前駆体タンパク質の構造の模式図である。OSF−4前駆体タンパク質は8つの領域に分けることができ、シグナル領域(斜線部)、5つの細胞外領域(EC1、EC2、EC3、EC4、及びEC5)、細胞膜貫通領域(TM)、及び細胞内領域(CP)である。
【図5】マウスOSF−4をコードするcDNAの制限酵素地図である。太字はOSF−4のアミノ酸をコードする領域を示す。KpnIとSalIサイトは存在しない。
【図6】マウスOSF−4の組織特異的発現を示す図である。RNAを種々の組織や細胞株から精製し、RNAドットブロット法により解析したものであり、オートラジオグラフィーの結果を示す。
【図7】発現ベクターpMSS60の模式図である。
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な骨関連タンパク質を提供する。本発明のタンパク質はOSF−4と名付けられたものであり、カドヘリン分子の仲間に属する新規なタンパク質である。このOSF−4はマウスまたはヒトを含む哺乳動物の骨組織より得ることができる。本発明で提供される骨関連タンパク質は、骨代謝性疾患の診断及び治療に有用である。
【0002】
【発明の背景】
骨代謝性疾患と総称される疾患の中には、骨粗鬆症(Osteoporosis)、ページェット病(Paget’s disease)、骨軟化症、過骨形成症、大理石病等が含まれ、このうち、特に骨粗鬆症は発生頻度が閉経後の女性及び老齢人口の約半分を越える程に高く、その診断と有効な治療法が強く望まれている。
【0003】
骨代謝性疾患とは、何らかの骨組織における、細胞レベルでの、骨に特異的な代謝の変調を伴うものであり、骨の代謝に特異的に関与する因子の発見、分離そして同定は、この代謝の異常を明らかにするのに非常に有効である。本発明者等は、これらの骨の代謝に特異的な因子の発見のために鋭意研究し、ついに、本発明を完成させるに至ったものである。
【0004】
より詳しくは、本発明者等は、特に、骨形成において主要な働きをする骨芽細胞の細胞株を用い、この細胞株により特異的に生成されるタンパク性因子を同定したものである。さらに、本発明は、こうした研究によって得られた、従来知られている種々のカドヘリン型の細胞接着分子とアミノ酸配列上で強いホモロジーを有する実質的に骨特異的なOSF−4と名付けられた新規なタンパク質を提供する。
【0005】
本発明のOSF−4は、本明細書に記載されたDNA配列から当業者において公知の通常の遺伝子工学的手法によっても生産でき、また本明細書に記載のアミノ酸配列から、化学的なペプチド合成法により、OSF−4又はその断片を生産することができる。さらに、本発明に記載されたOSF−4のDNA配列のうち特に他のカドヘリン分子と比べてOSF−4に特徴的な部分配列を通常のオリゴヌクレオチド化学合成法により、15〜50塩基長で合成し、骨由来細胞を識別診断するDNAプローブとして使用することができる。このような骨由来細胞の識別は、特に、転移再発性癌の由来を識別するために有用であり、適切な再発性癌の治療をもたらす。さらにOSF−4の部分ペプチドのうち、抗体の認識しうるエピトープ(epitope)部分のペプチドは、OSF−4に特異的なモノクローナル抗体を作成するために使用できる。こうして得られたモノクローナル抗体は、免疫学的細胞組織染色法により骨由来細胞の同定に有用である。また、OSF−4はその細胞接着分子との類似性から、骨折の治療にも有用である。
【0006】
【従来の技術】
本発明で提供されるOSF−4はカドヘリン様タンパク性因子であると考えられる。カドヘリンは、細胞接着作用を有し、次のことが知られている。
【0007】
細胞群の区画化は動物体構築の最も基本的な要素の一つである。この区画化は発生のごく初期から始まり、各細胞の分化が進むにつれ、同種の細胞が秩序正しく移動し再配置することにより形態形成や組織の構築と維持が行われている。このような秩序正しい細胞の移動をコントロールする要素の一つに、細胞の選択的接着性がある。各細胞は隣接した細胞ないしは隣接した細胞外基質を認識し、特定のものとのみ接着する性質を有する。そして、細胞の分化に伴いこれらの接着特異性が変化することにより、特定の場所から離れて、本来あるべき場所へと移動し集合すると考えられている。これまでに、数多くの細胞接着分子が同定されているが、全て細胞タイプ特異性を示す。これらの分子を大別するとカドヘリンファミリー、免疫グロブリンスーパーファミリー接着分子、インテグリンスーパーファミリー、セレクチン、およびこれらには属さないものの4つ以上のグループに分けることができる(Hynes et al., (1992), Cell, vol.68, p.303〜322)。
【0008】
これらのなかでも、とりわけカドヘリンはその解析が進んでおり、構造はもちろんのこと機能面においても研究が進んでいる。カドヘリンは分子量約120kDの糖タンパク質であり、カルシウムイオンに依存して働く細胞間接着分子である(Takeichi, (1991), Science, vol.251, p.1451〜1455)。これまでに10種類近くが同定されており、それぞれのタイプは結合特異性を有し、同じ分子同士がホモフィリックに反応する。その結果、同じタイプのカドヘリンを持つ細胞が選択的に結合し合い、細胞間接着の特異性を決めるために必須の因子であると考えられている。代表的なものに上皮由来のE(Epitherial)カドヘリン、胎盤由来のP(Placenta)カドヘリン、神経細胞由来のN(Neural)カドヘリン、肝細胞由来のL−CAM(liver cell adhesion molecule)などが挙げられる。その構造はどれもほぼ類似しており、約110アミノ酸の4、5回の繰り返しから成る細胞外領域、細胞膜貫通領域と約150アミノ酸から成る細胞内領域で構成されている。各カドヘリンのサブクラスにおいて、それぞれ全体で約50%のホモロジーが見られる。細胞外領域においてはアミノ末端に近い部位でホモロジーが高く膜貫通領域に近づくにつれ徐々に低くなり、細胞内領域において最も高いホモロジーが見られる。近年、新しいカドヘリンが次々と報告されつつある。たとえば、筋肉細胞由来のM(Muscle)カドヘリン、脳細胞由来のB(Brain)カドヘリンや胎児脳由来のT(Truncated)カドヘリン、さらに、デスモソームに局在するデスモグレインなど、これら全ては同じ祖先を持つ1つの遺伝子に由来するものでカドヘリンファミリーを形成していると考えられている。
【0009】
カドヘリン分子の詳細な研究により、そのN末端領域にはカルシウムイオンと結合する部位と接着特異性を決定する部位を有していることがわかっている。さらに、細胞内領域においては接着分子として機能的にも重要であることのみならず、カテニンやアクチン等の裏打ちタンパクと結合していることがわかっており、細胞内伝達に寄与していることが示唆されている。一方、癌細胞の侵入と転移において、これらカドヘリンの量的変化が認められ、腫瘍形成との関連でも興味がもたれている。しかしながら、これら多くのカドヘリン分子の報告があるにもかかわらず、骨細胞に特異性を持つカドヘリン分子の報告はない。
【0010】
骨のリモデリングは、骨を形成する骨芽細胞(Osteoblast)と骨を吸収する破骨細胞(Osteoclast)のバランスによって骨の形成・維持が担われている。骨芽細胞は間葉系の細胞由来で筋細胞や脂肪細胞と起源を同じくし、破骨細胞は造血幹細胞由来であり、好中球やマクロファージなどと同様な起源を持つ細胞であると考えられている。細胞接着分子としては、破骨細胞がインテグリンファミリーに属するビトロネクチンレセプターを発現していることが知られているのみであり、骨芽細胞についてはその存在が示唆されているにすぎない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、骨芽細胞に特異的に発現している新しいタイプの細胞接着因子を見い出すことである。こうした新しい細胞接着因子は、骨芽細胞の増殖、分化、移動や再配置に重要な分子である。この物質は、種々の骨代謝性疾患の診断、治療に用いることが期待できる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
マウスOSF−4(mOSF−4)のcDNAは、マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3−E1由来のcDNAからPCR(Polymerase Chain Reaction)法とサブトラクション(Subtraction)法を組み合わせた方法によりcDNAライブラリーを作成し、ディファレンシャルスクリーニング(Differential Screening)法によりクローン化された。つづいて、マウスOSF−4cDNAをプローブとして、ヒト骨肉種細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、2種類のOSF−4が得られ、それぞれ、hOSF−4−1及びhOSF−4−2 と名付けられ、その塩基配列を決定した。OSF−4の塩基配列は、マウスとヒトの間で、非常に良く保存されている。mOSF−4とhOSF−4−1、及びhOSF−4−2とのアミノ酸配列との比較では、それぞれ97.1%、及び96.4%のホモロジーを示している(図1〜3)。これら種間での非常に高い保存性は、OSF−4が脊椎動物の骨の代謝に必須な働きを持っていることを示唆している。OSF−4は他の脊椎動物の骨抽出物からも分離精製できる。組換え遺伝子技術を用いて、他の動物種のOSF−4を、それぞれの骨、培養骨細胞、及び他の体組織から作成したcDNAライブラリー、またはゲノム遺伝子DNAライブラリーから、本発明のcDNAまたはそのDNA断片をプローブとして用いてクローニングすることが出来る。本発明で示されたcDNAの配列は現在利用できる種々のDNA及びアミノ酸配列データベースによる検索で、新規であることが明らかにされた。
【0013】
mOSF−4のアミノ酸配列との比較で、hOSF−4−1は全ての領域において非常に保存されている。一方、hOSF−4−2はN末端から631番目のアミノ酸残基まではhOSF−4−1と完全に一致しているのに対し、細胞膜貫通領域の中において、179塩基の挿入がある為にフレームシフトがおこり、632番目のアミノ酸残基から693番目のC末端までの62アミノ酸残基は全く異なった構造をしている(図1〜3)。従って、細胞膜貫通領域のC末端9アミノ酸残基と細胞内領域はhOSF−4−1とhOSF−4−2では完全に異なっている。このようなC末端領域が欠失したカドヘリンはTカドヘリンに相当するものであり、このタイプのカドヘリンの存在はOSF−4の細胞接着の制御に関与することを示唆している。
【0014】
mOSF−4のEC1ドメイン中の101番目から115番目までの親水性(hydrophilic)の15アミノ酸残基に相当するペプチドを化学合成し、KLH(Keyhole limpet hemacyanin)と架橋し、ウサギの免疫に使用した。得られた抗mOSF−4ペプチド抗血清を新生児マウス全身切片中のOSF−4の免疫組織化学的検出に用いた。OSF−4は骨芽細胞、軟骨細胞等に検出された。
【0015】
一般に、OSF−4は、ヒト、ウシ、マウス、または、その他の材料から、公知の生化学的技術により、直接骨組織または軟骨組織から抽出することが出来る。また、OSF−4をコードするDNAは、脊椎動物の骨組織から抽出したmRNAから作成されたcDNAライブラリー、または、ゲノムDNAライブラリーから、本明細書中で開示されたヒトまたはマウスのcDNA配列の断片を標識してプローブとして用い、得ることができる。全長cDNAクローンは上記の及び他の標準的な分子生物学的な技術を組み合わせて得る事ができる。
【0016】
このように、OSF−4は既知の代表的なカドヘリン分子とホモロジーはあるが、これまでに報告されているものとは異なり新しいサブクラスに属するカドヘリン分子である。その構造は、細胞外領域において5回の繰り返し構造、細胞膜貫通領域、及び、細胞内領域から構成されている(図4)。OSF−4と他のカドヘリンとの比較をすると、これまでの異なったカドヘリン分子間のホモロジー様式と同様に、細胞外領域ではN末端から膜貫通領域に近づくにつれてホモロジーは低くなり、細胞内領域で最も高いホモロジーが認められた(表1)。
【0017】
【表1】
表1はマウスOSF−4と他のカドヘリン分子とのアミノ酸比較表である。各領域ごとのアミノ酸での相同性を計算し%で表した。領域の略語はEC1〜EC5:5つの細胞外領域、TM:細胞膜貫通領域、CP:細胞内領域、そしてMPは成熟タンパク質の全体での比較を示す。また、NはNカドヘリン、EはEカドヘリン、PはPカドヘリン、MはMカドヘリンを示す。比較したカドヘリンのタイプにおいて、OSF−4:NはOSF−4とNカドヘリン間でのアミノ酸配列の各領域ごとの比較を示す。以下同じ。
【0018】
本発明により提供されるタンパク質は、骨形成において重要な役割を担っている新しいサブクラスのカドヘリンに属する糖タンパク質でOSF−4と名付けたグループであり、より具体的には本明細書中に記載されているヒト及びマウスのOSF−4である。OSF−4は骨形成の過程において骨芽細胞で発現し、細胞接着分子及び形態形成関連物質として作用する。これらヒト又はマウスのOSF−4は、塩基配列やアミノ酸配列において類似した他の哺乳類由来のOSF−4タンパク質を分離同定するために使用できる。
【0019】
本発明は、さらに、OSF−4の類似体よりなるポリペプチド、即ち、ミュータント、融合タンパク、及びOSF−4の一部を含む断片を提供する。マウス骨芽細胞様細胞株MC3T3−E1から分離したマウスOSF−4のcDNAは、24アミノ酸残基からなるシグナルペプチドを含む796個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。ヒト骨肉種細胞(Osteosarcoma)cDNAライブラリーより分離したヒトOSF−4は2種類あり、その内の1つヒトOSF−4−1 のcDNAは24アミノ酸残基からなるシグナルペプチドを含む796個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。他の1つヒトOSF−4−2 のcDNAは24アミノ酸残基からなるシグナルペプチドを含む693個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。本発明は、また組換え遺伝子技術によるOSF−4の製造方法を提供する。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕 サブトラクション/PCRによるcDNAライブラリーの作成この実施例では骨芽細胞様細胞株MC3T3−E1に特異的なcDNAライブラリーの構築について記述する。このcDNAライブラリーはサブトラクション法とPCR法を組み合わせることにより、マウス肝組織で発現している遺伝子を差し引いたMC3T3−E1cDNAライブラリーであり、各cDNAクローンは平均約300塩基の遺伝子断片を有し、さらに、本来含有量の少ない遺伝子をも増幅されるという特徴を有している。
【0021】
全ての一般的な組換えDNA技術に関する手順(protocol)は、特に他に断らなければ、サムブルック(Sambrook)らによる「Molecular Cloning manual」(1989年、Cold Spring Harbor Laboratory社、米国、Cold Spring Harbor)に準じて行った。総RNAは、グアニジン法により、MC3T3−E1細胞及びマウス肝組織の、それぞれ、8×107個、約1gから抽出した。ポリA+RNAは総RNAから市販の「オリゴdTラテックスmRNA精製キット」(宝酒造(株))により精製した。各1μgポリA+RNAをテンプレートとし、cDNA合成キット(Amersham社)を用いてcDNAを合成した。ただし、オリゴdTプライマーの代わりにランダムプライマーを用い、その量は通常使用量の1.5倍使用した。これにより、cDNA鎖伸長反応を平均約300塩基に制限した。上記のキットを用いて2本鎖平滑末端にした後、下記の2種類の合成DNAリンカーをT4DNAリガーゼ(宝酒造(株))により、それぞれ、MC3T3−E1cDNAはATOS−1/2(配列表の配列番号4及び5)と、肝臓cDNAはATOS−4/5(配列表の配列番号6及び7)と結合させた。
【0022】
ATOS−1/2
ATOS−1 5′− CTCTTGCTTGAATTCGGACTA−3′
ATOS−2 3′−ACACGAGAACGAACTTAAGCCTGAT−5′
ATOS−4/5
ATOS−4 5′− CTCTTGCTTAAGCTTGGACTA−3′
ATOS−5 3′−ACACGAGAACGAATTCGAACCTGAT−5′
【0023】
次に、各反応産物をPCR(Polymerase Chain Reaction)法により、プライマーとして、それぞれ、ATOS−1とATOS−4を用いてDNAを増幅した。増幅したDNA濃度測定は「DNA濃度測定キット“DNA Dipstick”」(Invitrogen社)を用いて行った。サブトラクション法はフォトビオチン(Photobiotin, Pirce社)を用いて行った。PCR法により増幅した20μgの肝臓cDNAに20ngのフォトビオチンを加え、サンランプを10cm隔て10分間照射することにより、DNAをビオチンで標識した。この標識した肝臓cDNA3.0μgに、標識していないMC3T3−E1cDNA0.3μgを加え、ハイブリダイゼーションを行った。次いで、これにストレプトアビジン(Streptavidin,宝酒造(株))を反応し、フェノール抽出する事により、MC3T3−E1cDNAから肝臓cDNAと共通のcDNAを除いた。サブトラクション法を再度繰り返し行い、MC3T3−E1cDNAから肝臓cDNAと共通なものをできるだけ除いた。さらに、上記のATOS−1を用いてPCR法によりDNAを増幅し、DNA濃度を測定した。このcDNA10ngを制限酵素EcoRIで消化した後、EcoRIで消化し末端を脱燐酸化したファージベクターλgt10(λgt10/EcoRIクローニングキット、Stratagene社)1μgとT4リガーゼを用いて連結した。これを市販のインビトロパッケイジングキット(in vitro packaging kit)「ギガパックゴールド(Gigapack−gold)」(Stratagene社)によりλファージ粒子にパッケイジングした。この組換え体ファージを、大腸菌C600(日本予防衛生研究所、日本癌研究資源バンクにHT003として保存されている)に感染させ、軟寒天培地とともに寒天培地の上にまきファージプラークを形成させ感染効率を測定したところ、1μgのcDNAあたり3×106のファージプラークが得られた。
【0024】
さらに、このcDNAライブラリーをディファレンシャルスクリーニング(differential screening)法を用い、MC3T3−E1に特異性の高いクローンを選択した。つまり、2.25×104個のファージを計10枚のプレートにまき、それぞれ2枚(計20枚)のナイロンメンブレンフィルターに移した。これらの一方を放射能でラベルしたMC3T3−E1のcDNAと、また、他方を同様にラベルした肝臓のcDNAをプローブとして、プラークハイブリダイゼーション法を行った。MC3T3−E1cDNAプローブでシグナルが認められ、しかも、肝臓のcDNAプローブでシグナルの認められない273クローンをミニライブラリーとし、以後の実験に用いた。
【0025】
〔実施例2〕 マウスOSF−4クローンの単離
この実施例では、上記の実施例1で作成したミニライブラリーから、MC3T3−E1に特異的なクローンとして、OSF−4の部分的cDNA断片を同定し、さらに、これを用いてMC3T3−E1のcDNAライブラリーから完全長cDNAをクローニングする方法について記述している。
【0026】
実施例1で調製したMC3T3−E1及び肝臓の各総RNAを、それぞれ1μgづつナイロンメンブレンフィルターにスポットし、このフィルターを273個作成し、以下のハイブリダイゼーションに用いた。一方、実施例1で作成した273個のファージクローンの挿入部分のDNAをPCR法を用いて増幅した。このDNAをアガロースゲル電気泳動した後、主なバンドを切り出し精製し、放射能ラベルしてプローブとして用いた。オートラジオグラフィーの結果、MC3T3−E1でシグナルが認められ、しかも肝臓でシグナルの認められないクローンについてプラスミドベクターにリクローニング(recloning)した。つまり、PCR法により増幅し精製した挿入部分のDNAを制限酵素EcoRIで消化し、プラスミドベクターpUC118(宝酒造(株))のEcoRIサイトにリクローニングした。これらのクローンについて市販の「DNAシーケンスキット」(宝酒造(株))を用いユニバーサルプライマーにて塩基配列を決定した。得られた塩基配列をDNA及びタンパク質データベースを検索したところ、既存のカドヘリンとホモロジーを示すクローンが得られ、これをD45と命名し、これを用いて以後の完全長cDNAのクローニングを行った。
【0027】
完全長cDNAクローニングのために、実施例1で精製したMC3T3−E1のポリA+RNA5μgから「cDNA合成キット」(cDNA systhsis system plus, Amersham社)を用いて平滑末端2本鎖cDNAを合成した。これにEcoRI/NotIアダプター(宝酒造(株))をT4リガーゼを用いて連結した後、アガロースゲル電気泳動し、約700塩基対以上のフラクションを精製した。この断片をλgt10ファージベクター(Stratagene社)のEcoRIサイトに連結し、実施例1と同様にファージ粒子にパッケイジングした後、大腸菌に感染させ感染効率を測定したところ、1μgのベクターDNAあたり、1.5×107であった。前述のD45を放射能ラベルしてプローブとして用い、このcDNAライブラリー1.0×106個のファージクローンをプラークハイブリダイゼーション法によりスクリーニングした。その結果、14個のポジティブシグナルが得られ、その内、最も挿入断片の長いファージクローンのNotI断片をプラスミドベクターpGEM11Zf(+)(Stratagene社)のNotIサイトにリクローニングし、これをpKOT164と命名した。
【0028】
〔実施例3〕 マウスのOSF−4のDNA配列の決定
pKOT164、及びこのcDNA断片を有するサブクローン(subclone)から「キロシークエンス用デレーションキット」(宝酒造(株))を用いて、それぞれ約300塩基対おきに両方向からのデレーションミュータントを作成した。それぞれのデレーションミュータントの塩基配列の決定は、米国Applied Biosystems社製の自動DNAシークエンサー・モデル373A(automatic DNA sequencer)を用いて行った。この完全長cDNAの塩基配列と、塩基配列より翻訳したアミノ酸配列を配列表の配列番号1に示した。このcDNAにコードされるタンパク質をマウスOSF−4と名付けた。アミノ酸残基の番号1は予想されるマウスOSF−4前駆体タンパク質のN末端に相当する。また、このDNAの制限酵素地図を図5に示した。
【0029】
〔実施例4〕 マウスOSF−4の組織特異的発現
マウスOSF−4の組織特異的発現をみるためにRNAドットブロッティング(RNA dot blotting)を行った。マウス(日本クレアから購入)の胸腺、脾臓、脳、腎臓、肝臓、肺、睾丸、及び心臓の総RNAをグアニジン法で調製した。頭蓋冠由来の骨芽細胞を多く含む細胞は、新生児マウスの頭蓋冠より調製し、これを培養して得られた。さらに、この細胞から総RNAを前述と同様な方法で抽出した。上記の組織、頭蓋冠培養細胞、MC3T3−E1及びマウス線維芽細胞株NIH3T3(ATCC CRL 1658)、の各総RNA1μgをナイロンメンブレンフィルター(Biodyne, PALL社)にドットし、加熱固定した後に、ハイブリダイゼーションに用いた。一方、pKOT164をNotIで消化し、アガロースゲル電気泳動による分離精製を行った後、放射能でラベルしプローブとして用いた。オートラジオグラフィーの結果、頭蓋冠培養細胞とMC3T3−E1に強いシグナルが見られ、睾丸で弱いシグナルが見られた(図6)。
【0030】
〔実施例5〕 ヒトOSF−4をコードするcDNAのクローニング
pKOT164のcDNA領域を含むNotI断片を精製し、これをプローブとして用い、1.3×105個のクローンから成るヒト骨肉腫cDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、21個のポジティブシグナルが得られた。そのうち、5クローンを分離し、挿入断片の大きい2つのクローンについてプラスミドベクターpHSG398にリクローニングした。この結果、得られたプラスミドをpKOT161、およびpKOT170と名付けた。
【0031】
〔実施例6〕 ヒトのOSF−4のDNA配列の決定
上記の実施例5でクローン化されたpKOT161、pKOT170、及びそれらのサブクローンについても実施例3に示した方法と同様にデレーションミュータントを作成し、cDNAの塩基配列を決定した。これらのcDNAの塩基配列と予想されるアミノ酸配列を配列表の配列番号2及び3に示した。これらのcDNAにコードされるタンパク質をヒトOSF−4−1、ヒトOSF−4−2と名付けた。各々アミノ酸残基の番号1は予想されるOSF−4前駆体タンパク質のN末端に相当する。
【0032】
〔実施例7〕 抗OSF−4抗血清の調製
マウスOSF−4の抗ペプチド抗体を作成するにあたり、Mカドヘリンの実験報告例(Donalies et al.,(1991) Proc. Natle. Acad. Sci. USA, vol.88, p.8024−8028)に従い、これに相当するEC1領域内の15アミノ酸残基をペプチド合成機(Applied Biosystems社、モデル430A)により、固相合成法で合成した。合成したペプチドはOSF−4.1(FVIDDKSGNIHATKT:配列表の配列番号8)である。合成ペプチドはグルタルアルデヒドをカップリング剤としてKLH(Keyhole limpet hemacyanin)担体と結合し、ウサギの免疫に使用した。得られた抗血清は、新生児マウス全身切片中で、組織免疫化学的に、OSF−4の存在を検索したり、大腸菌、酵母及び動物細胞でのOSF−4の発現を検出するのに使用できた。
【0033】
〔実施例8〕 動物細胞でのOSF−4の発現
本実施例ではマウスOSF−4の動物細胞での発現プラスミドベクターの作製と発現、及び機能解析について記載する。
配列表の配列番号1に示される塩基配列中にはOSF−4をコードする領域の5′上流に他のオープンリーディングフレームが存在する。このため、この配列によるOSF−4の翻訳効率の低下が予想された。そこで、実施例3で作製したデレーションミュータントの中からOSF−4のコーディング領域のみを含むクローンを選びOSF−4発現ベクターの作製に用いた。このクローンから配列表の配列番号1の191番目のGから2700番目のAまでの断片を切り出し、5′上流にXhoIとBamHIサイトのリンカーを、3′下流にXhoIサイトのリンカーを結合した。ついで、このXhoI断片を動物細胞発現用プラスミドベクターpCXN2(Niwa et ai., (1991), Gene, 108, 193−200)のXhoIサイトに挿入しクローニングした。得られたOSF−4発現ベクターをpMSS60と命名した(図7)。
【0034】
カルシウム・リン酸共沈法を用いて、この発現ベクターpMSS60をマウス表皮由来繊維芽細胞株のL細胞に導入した。ついで、このpMSS60により形質転換したG418耐性のコロニーを分離培養し12個のクローン化細胞株を得た。これらのクローン化細胞株のそれぞれからRNAを抽出した。これらのRNAを用いてマウスOSF−4をプローブとしたRNAドットブロット法により、OSF−4のmRNA発現量の高いクローン化細胞株3個を選択した。それぞれ、C1、C7、C11と名付けた。
これらの細胞株を用いてウエスタンブロット法(Western blot analysis)により生成された蛋白質を解析したところ、抗OSF−4抗体に反応する約100キロダルトンのバンドが検出された。
【0035】
さらに、これらのクローン化細胞株を用いて、カドヘリンの細胞接着性を調べるアグリゲーションアッセイ法(Aggregation assay)によりOSF−4の活性の解析を行った。アグリゲーションアッセイ法の詳細は竹市らの方法(Takeichi,(1977), J.C.B., vol.75, p.464−474)に従って行った。
まず、各クローン化細胞の単層細胞からTC処理群とTE処理群の2種類の細胞懸濁液を調製した。
【0036】
TC処理群は以下の様に調製した。即ち、単層細胞を1mM塩化カルシウムを含むCMF溶液(パックのGa2 +,Mg2 +フリー生理食塩水:J, Exp. Med. vol.108, p.954−956, 1958)で3回洗った後に、0.01%トリプシンと0.1mM塩化カルシウムを含むHCMF溶液(HEPES−緩衝生理食塩水:NaCl 8.0g,KCl 0.4g,Na2HPO4・7H2O 0.09g,グルコース1g,HEPES 2.38gを水に溶解し、1N NaOH 4.8mlを加えpH 7.4とし、最終的に1リットルの水溶液にする)中で37℃、15分間処理しTC処理群の細胞懸濁液を調製した。
また、TE処理群の細胞懸濁液は1mM EDTAと0.01%トリプシンを含むHCMF溶液中で37℃、15分間処理する事以外は、TC処理群と同様の方法により調製した。
【0037】
ついで、それぞれの処理群の細胞懸濁液をCMF溶液で2回洗った後に、各細胞懸濁液をさらに二分し、それぞれ1mM塩化カルシウムを含むものと含まないHCMF溶液に再懸濁し、細胞濃度が3ml当たり1×106個になるように細胞懸濁液を調製した。これらの各細胞懸濁液を15mlコニカルチユーブに移し、37℃で毎分80回転、1時間攪拌する事により細胞のアグリゲーションを行わせた。攪拌前の細胞数(N0)と1時間攪拌後の細胞の塊の数(N1)をコールターカウンターにより測定し、その割合(N1/N0)を求めた。その結果、以下の表2に示すようにOSF−4を発現しているクローン化細胞株でのみカドヘリンと同様のカルシウム依存性の細胞接着性を示した。カドヘリン分子はカルシウム存在下ではトリプシンの分解を受けない事が知られている。従って、EDTAで処理したトリプシンの分解を受けたものは細胞接着性を示さなかった。
【0038】
【表2】
* 1時間後に細胞塊の数が少ないほど細胞同士が凝集している事を示している。その数が1の時は細胞接着性がない。
** mockはベクターのみを導入したL細胞を示す。
【0039】
【発明の効果】
本発明により提供されるOSF−4は、骨代謝性疾患の治療剤として用いることができ、また、骨に対する臓器特異性が高いので骨代謝性疾患の診断剤として用いることできる。
【0040】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:3581
配列の型:核酸
鎖の数:二重鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:
生物名:マウス (Mus musculus)
株名:骨芽細胞株 MC3T3E1
配列の特徴:
【0041】
配列番号:2
配列の長さ:3712
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:
生物名:ヒト (Homo sapiens)
細胞の種類:原発生骨腫瘍
配列の特徴:
【0042】
配列番号:3
配列の長さ:3914
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源:
生物名:ヒト (Homo sapiens)
細胞の種類:原発生骨腫瘍
配列の特徴:
【0043】
配列番号:4
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。 配列番号5と相補的配列。名称「ATOS−1」
【0044】
配列番号:5
配列の長さ:25
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。配列番号4と相補的配列。名称「ATOS−2」
【0045】
配列番号:6
配列の長さ:21
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。 配列番号7と相補的配列。名称「ATOS−4」
【0046】
配列番号:7
配列の長さ:25
配列の型:核酸
鎖の数:一重鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:他の核酸
起源:なし
生物名:なし
株名:なし
配列の特徴:リンカーDNA。配列番号6と相補的配列。名称「ATOS−5」
【0047】
配列番号:8
配列の長さ:15
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直線状
配列の種類:ペプチド
起源:
生物名:マウス
配列の特徴:OSF−4−1 (抗原ペプチド)
存在位置:マウスOSF−4の断片で101番目から115番目まで。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスOSF−4とヒトOSF−4−1とヒトOSF−4−2の各々のアミノ酸配列の比較図(alignment)である。マウスとヒトのOSF−4の間で全て共通なアミノ酸残基はコンセンサスとして示した。
【図2】図1のマウスOSF−4とヒトOSF−4−1とヒトOSF−4−2の各々のアミノ酸配列の比較図の続きを示す。マウスとヒトのOSF−4の間で全て共通なアミノ酸残基はコンセンサスとして示した。
【図3】図2のマウスOSF−4とヒトOSF−4−1とヒトOSF−4−2の各々のアミノ酸配列の比較図の続きを示す。マウスとヒトのOSF−4の間で全て共通なアミノ酸残基はコンセンサスとして示した。
【図4】マウスOSF−4前駆体タンパク質の構造の模式図である。OSF−4前駆体タンパク質は8つの領域に分けることができ、シグナル領域(斜線部)、5つの細胞外領域(EC1、EC2、EC3、EC4、及びEC5)、細胞膜貫通領域(TM)、及び細胞内領域(CP)である。
【図5】マウスOSF−4をコードするcDNAの制限酵素地図である。太字はOSF−4のアミノ酸をコードする領域を示す。KpnIとSalIサイトは存在しない。
【図6】マウスOSF−4の組織特異的発現を示す図である。RNAを種々の組織や細胞株から精製し、RNAドットブロット法により解析したものであり、オートラジオグラフィーの結果を示す。
【図7】発現ベクターpMSS60の模式図である。
Claims (7)
- 配列表の配列番号1において、25番から796番目までのアミノ酸配列を有するmOSF−4、配列番号2において、25番から796番目までのアミノ酸配列を有するhOSF−4−1、および配列番号3において、25番から693番目までのアミノ酸配列を有するhOSF−4−2、よりなるグループから選ばれたタンパク質。
- 配列表の配列番号1において、1番から24番目までのシグナルペプチドを含む、1番から796番目までのアミノ酸配列を有するmOSF−4前駆体タンパク質、配列表の配列番号2において、1番から24番目までのシグナルペプチドを含む、1番から796番目までのアミノ酸配列を有するhOSF−4−1前駆体タンパク質、および配列表の配列番号3において、1番から24番目までのシグナルペプチドを含む、1番から693番目までのアミノ酸配列を有するhOSF−4−2前駆体タンパク質、よりなるグループから選ばれたタンパク質。
- 請求項1または2のタンパク質をコードするDNAまたはRNA。
- 以下の手順を含む、請求項1のタンパク質を産生させる方法:
(a) 以下のDNA配列より構成される異種のDNAを含む細胞集団を得ること。
(i) 当該細胞で機能しうる転写と翻訳をコントロールする配列。
(ii) 上記のコントロール配列の下に結合した、前記のタンパク質をコードするDNA配列。
(b) 当該細胞集団を前記のタンパク質が産生される条件下で培養すること。 - コントロール配列がさらに、請求項1のタンパク質を細胞外に分泌させるためのシグナルペプチドをコードするDNAを、前記のタンパク質をコードするDNA配列のすぐ上流に位置するように含むことを特徴とする請求項4のタンパク質を産生させる方法。
- 細胞集団が大腸菌または酵母または哺乳動物細胞である請求項4または5のタンパク質を産生させる方法。
- 請求項1のタンパク質に対するポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体。
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