JP3560151B2 - 酸化セリウム研磨剤、半導体チップ、それらの製造法及び基板の研磨法 - Google Patents
酸化セリウム研磨剤、半導体チップ、それらの製造法及び基板の研磨法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化セリウム研磨剤、酸化セリウム研磨剤の製造法、基板の研磨法、及び、半導体チップの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、超LSIの急激な高密度・高集積化が進み、アルミニウム配線の多層化及びその配線パターンの微細化に伴う最小加工線幅の低減が要求されている。そこで、これらのLSIに用いられる層間絶縁膜にはこの微細な配線間隔を空洞無く埋め、かつ、その表面を平坦にする平坦化技術が求められている。
【0003】
一般に、この平坦化を必要とする層間絶縁膜は、プラズマCVD法及びECR−CVD法等の蒸着法、SOG法などの塗布法により形成されている。これらの内、SOG法は、アルコキシシランおよびアルキルアルコキシシランをアルコールなどの有機溶媒中で水及び触媒により加水分解して得られる塗布液を、スピンコート法により塗布後、加熱処理により硬化させることによって平坦化させる方法で、中でも、クラックの発生を抑制し厚膜形成を可能とするために有機成分(例えばアルキル基)を膜中に残した有機SOG膜が主に用いられている。この有機SOG膜は、硬化時の体積収縮が少ない、疎水性を示す、誘電率が低いなどの利点を有する。また、この有機SOG膜は局部的な平坦化には適応可能であるが、配線の疎密に由来する様なグローバルな平坦化には力不足である。
【0004】
また、この層間絶縁膜形成材料として、絶縁性、接着性などに優れたものとしてケイ素を含まない有機高分子樹脂の適用も進められている。この有機高分子樹脂をアルコールなどの有機溶媒中に溶解させた塗布液をスピンコート法により塗布後、加熱処理等により絶縁膜を形成させるので、比較的容易に厚い膜を形成することができる。
【0005】
超LSIは高密度・高集積化のために多層配線化が進み、特にロジック系デバイスではすでに4層以上になり表面の段差が大きくなる傾向にある。一方、配線のパターンニングのために用いるレジストの焦点深度は、配線の微細化に伴って浅くなる傾向にあり、上記の表面の高段差化が問題視されてきている。この高段差化を解消させるためにグローバルな平坦化が求められてきている。その一方法として、従来からSiウエハーの研磨に使用されている、化学研磨作用と機械的研磨作用の複合効果を利用した化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)の適用が期待されている。
【0006】
絶縁膜のうち、CVD法により形成された膜は、従来からSiウエハーの研磨に用いられているコロイダルシリカを分散させたスラリーを研磨剤として用いることにより比較的容易に研磨が可能である。しかし、このCVD法は、配線パターンの微細化に伴う高アスペクト比の溝に対する埋込み性は悪く、アスペクト比3程度が限界とされている。また、膜の低誘電率化を図るためにフッ素の導入等が試みられているが、導入したフッ素の脱離や膜の吸湿性の増加などの問題点がまだ解決されていない状況にある。
【0007】
一方、SOG法により形成された有機SOG膜は、高アスペクト比の溝に対する埋込み性は良好で、アスペクト比10以上でも可能とされている。また、膜の誘電率は3程度とそのままでも低く、膜形成のコストもCVD法よりも低く抑えることが可能である。しかし、上記コロイダルシリカを用いた研磨剤で研磨すると研磨傷が発生しやすく、これを防ぐために研磨条件を緩やかにすると研磨速度が極端に低下してしまう。さらに、同じ条件で研磨しても、有機SOG膜の研磨速度はCVD膜の場合と比較すると極めて低い値しか得られず、このままではコストが高くなってしまうので適用は困難である。そこで、この有機SOG膜を高速で研磨することが可能な研磨剤の開発が求められている。
【0008】
また、有機高分子樹脂を用いた膜は、1回の塗布で10μm以上の厚い膜を形成することができるので、グローバルな平坦化に有望と考えられている。また、膜の誘電率は3程度とそのままでも低いが、フッ素を含んだ樹脂を用いれば更に低い誘電率が得られ、アクリレート系ポリマーを用いれば紫外線硬化等の熱を使用しない形成方法が可能である。しかし、この有機高分子樹脂の硬度がCVD膜及び有機SOG膜と比較すると極めて低いために、上記コロイダルシリカを用いた研磨剤で研磨すると研磨傷が発生してしまう。これを防ぐために研磨傷が発生しなくなるまで研磨条件を緩やかにすると、ほとんど研磨されなくなってしまう。そこで、この有機高分子樹脂を用いた膜を研磨傷の発生無く研磨することが可能な研磨剤の開発が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、グローバルな平坦化が可能で、かつ、微細な配線間の埋め込み性が良好で誘電率の低い有機SOG膜、有機高分子樹脂膜の絶縁膜を研磨するために好適な酸化セリウム研磨剤、酸化セリウム研磨剤の製造法、その酸化セリウム研磨剤を使用する基板の研磨法、及び、その基板の研磨法を利用する半導体チップの製造法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、水中に酸化セリウム粒子を分散させたスラリーを含む、所定の基板上に設けられた絶縁膜を研磨するための酸化セリウム研磨剤が提供される。このスラリは、水溶媒100重量部に対して、酸化セリウム粒子を10重量部以下分散させたものであることが望ましい。また、本発明では、水中に酸化セリウム粒子を分散させてスラリーを調製する工程を含む、酸化セリウム研磨剤の製造法が提供される。
【0011】
ここで、酸化セリウム粒子は、つぎの(1)〜(11)の少なくともいずれかであることが望ましい。
(1)水中に分散された3価の非水溶性セリウム化合物を酸化剤で酸化することによって得られる酸化セリウム粒子
(2)3価の水溶性セリウム化合物の水溶液から得られる非水溶性セリウム化合物を酸化剤で酸化することによって得られる酸化セリウム粒子
この(1)または(2)において、酸化剤は過酸化水素であることが望ましい。
(3)4価のセリウム化合物の水溶液を中性又はアルカリ性にして得られる酸化セリウム粒子
(4)比表面積が25m2/g以上である酸化セリウム粒子
(5)静置法により測定した見掛け密度が1.30g/ml以下である酸化セリウム粒子
(6)タップ法により測定した見掛け密度が1.60g/ml以下である酸化セリウム粒子
(7)粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅が0.4°以上である酸化セリウム粒子
(8)透過型電子顕微鏡による観察で一次粒子径が10nm以下である一次粒子が全数の90%以上の酸化セリウム粒子
(9)一次粒子径が10nm以下である一次粒子が全数の90%以上であり一次粒子が凝集した二次粒子径が1μm以下である二次粒子が全数の90%以上の酸化セリウム粒子
(10)直径が1μm以下である二次粒子が全数の90%以上であり、二次粒子が120°より小さい角部を含まない輪郭を示す酸化セリウム粒子
(11)一次粒子のアスペクト比が2.0以下である粒子の数が全数の90%以上である酸化セリウム粒子
【0012】
また、スラリーは分散剤を含むことが望ましい。この分散剤としては、例えば、水溶性有機高分子、水溶性陰イオン性界面活性剤、水溶性非イオン性界面活性剤、水溶性アミンから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。なお、スラリーはアルカリ性であることが望ましく、そのpHは8〜12であることが特に望ましい。
【0013】
さらに、本発明では、所定の基板に絶縁膜を形成し、絶縁膜を上述の酸化セリウム研磨剤で研磨する工程を備える基板の研磨法が提供される。この研磨法は、半導体基板の絶縁層の研磨に特に適している。また、本発明では、所定の半導体基板に有機基を有する化合物を含む絶縁層を備える絶縁膜を形成し、前記有機基を有する化合物を含む絶縁層を、この酸化セリウム研磨剤で研磨する工程を備える半導体チップの製造法と、該方法により製造された半導体チップとが提供される。さらに、本発明では、この半導体チップを支持基板に搭載し、該半導体チップを封止材で封止する工程を有する半導体装置の製造法と、該方法により製造された半導体装置とが提供される。
【0014】
なお、絶縁膜は単一の層でなくてもよく、2層以上の絶縁層によって構成されてもよい。この場合は、複数の絶縁層のうち、少なくとも一層を上述の酸化セリウム研磨剤で選択的に研磨する。
【0015】
この複数の絶縁層によって構成される絶縁膜は、有機基を有する化合物を含む絶縁層を含むことが望ましい。この有機基を有する化合物を含む絶縁層としては、例えば、アルコキシシランおよびアルキルアルコキシシランを有機溶媒中で水及び触媒の存在下で加水分解して得られる塗布液を基板に塗布後加熱硬化させて得らたものがある。絶縁膜は、この加水分解生成物を加熱硬化させて得られた絶縁層と、SiO2からなる絶縁膜層とを備えることが望ましい。上述の酸化セリウム研磨剤は、この有機基を有する化合物を含む絶縁層を選択的に研磨することができる。
【0016】
なお、この有機基を有する化合物を含む絶縁層中のシロキサン結合に由来するSi原子数とアルキル基に由来するC原子数は
C原子数/(Si原子数+C原子数)≧ 0.1
の関係にあることが望ましい。
また、絶縁膜層として、ケイ素を含まない有機高分子樹脂膜層を用いることもできる。
【0017】
本発明では、絶縁膜が二以上の絶縁層を備える場合、第一の絶縁膜層に対する研磨速度の、第二の絶縁膜層の研磨速度に対する比が10以上である酸化セリウム研磨剤により絶縁膜を研磨する基板の研磨法が提供される。ここで、第一の絶縁膜層および第二の絶縁膜層は、例えば、それぞれ、有機基を有する化合物を含む絶縁層およびSiO2絶縁膜層である。
【0018】
なお、本発明の基板研磨法では、絶縁膜層を研磨した後、基板を、過酸化水素と硝酸との混合物、硫酸、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムから選ばれる少なくとも一種を含む液で洗浄する工程を設けることが望ましい。
【0019】
一般に、酸化セリウムは、代表的な希土類鉱物であるバストネサイト、モザントライト等を分離精製して得られるセリウム化合物(水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩等)を焼成することによって得られる。有機SOG膜を研磨する場合には、酸化セリウムの結晶性が高いと研磨速度が低下する傾向を示すことから、本発明で用いる酸化セリウム粒子は、あまり結晶性を上げないで作製される。また、半導体チップの研磨に用いるので不純物の混入を防ぐために特にアルカリ金属類及びハロゲン類の含有量は1ppm以下に抑えることが好ましい。
【0020】
本発明に於いて、酸化セリウム粒子を作成する方法としては、
(1)3価のセリウム化合物の中で水に溶解しないセリウム化合物を出発材料とし、これを水中に分散後、酸化剤を滴下することによって固体状態のままで酸化処理を施すことにより4価の酸化セリウム粒子を作製する方法、
(2)3価のセリウム化合物の中で水溶性のものを出発材料とし、これを溶解させた水溶液に炭酸水素アンモニウム等を添加して得られる非水溶性セリウム化合物(沈殿物)に酸化剤を滴下することによって固体状態のままで酸化処理を施すことにより4価の酸化セリウム粒子を作製する方法、
(3)4価のセリウム塩を出発材料とし、これを溶解させた水溶液にアンモニア水を添加する等により水溶液を中性、アルカリ性にすることにより4価の酸化セリウム粒子を作製する方法
が好ましく使用される。
【0021】
3価の非水溶性セリウム化合物としては、炭酸セリウム、水酸化セリウム、シュウ酸セリウム、酢酸セリウムなどの非水溶性セリウム塩が挙げれ、特に制限はない。これらの3価の非水溶性セリウム化合物を水中に分散させる方法としては、通常の撹拌機による分散処理の他に、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミルなどを用いることができる。特に、分散粒子を細かくした方が後で施す酸化処理が容易に行えるので、ボールミルによる分散処理を施すのが好ましい。3価の非水溶性セリウム化合物の濃度には特に制限は無いが、分散液の取り扱い易さから1〜30重量%の範囲が好ましい。この3価の非水溶性セリウム化合物の分散液に酸化剤を添加することによって、固体状態のままで酸化処理を施すことにより4価の酸化セリウム粒子を得る。ここで用いる酸化剤としては、硝酸カリウム等の硝酸塩、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩、クロム酸カリウム等のクロム酸塩、過酸化水素、ハロゲン、オゾンなどが挙げられる。これらの中では、酸化処理に伴う不純物の混入を防ぐために、過酸化水素を用いることが好ましい。酸化剤の添加量は、3価の非水溶性セリウム化合物1モルに対して1モル以上が必要であり、酸化処理を完結させることから1モル〜10モルの範囲が好ましい。処理温度には特に制限は無いが、過酸化水素等の自己分解性の酸化剤を用いる場合には40℃以下で処理を開始することが好ましく、全量添加後、過剰な酸化剤を分解させるために80℃以上に加熱することが好ましい。酸化処理を施して得られた粒子の回収は、デカンテーション、ろ過、遠心分離などの通常の方法が用いられるが、効率良く短時間で分離することが可能な遠心分離が好ましい。この際に、溶液のpHが酸側にあると粒子の沈殿が極めて遅く、一般的な遠心分離機では固液分離が困難になってしまうので、アンモニアなどの金属イオンを含まないアルカリ性物質を添加して溶液のpHを8以上にしてから遠心分離を行うことが好ましい。また、不純物濃度を低下させるために、沈殿物の洗浄を繰り返すことも有効である。回収した沈殿物をそのまま酸化セリウム粒子として使用してもよいが、回収した沈殿物を乾燥機などで水分を除去するようにしても良い。乾燥温度には特に制限は無いが、420℃以上では酸化セリウム粒子の結晶性が著しく増加してしまうので、420℃以下のできるだけ低い温度で乾燥させることが好ましい。
【0022】
3価の水溶性セリウム化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウムなどの水溶性セリウム塩が挙げられ、特に制限はない。これらを溶解させた水溶液中の3価の水溶性セリウム化合物の濃度には特に制限は無いが、沈殿物である非水溶性セリウム化合物生成後の懸濁液の取り扱い易さから1〜30重量%の範囲が好ましい。これらの水溶液に炭酸水素アンモニウムの水溶液等を添加すると白色沈殿(非水溶性セリウム化合物)を生じる。ここで、炭酸水素アンモニウムの濃度は、3価の水溶性セリウム化合物1モルに対して1.5モル以上が必要であり、反応を完結させることから1.5モル〜30モルの範囲が好ましい。この3価の水溶性セリウム化合物から得られた沈殿物(非水溶性セリウム化合物)の分散液に酸化剤を添加することによって、固体状態のままで酸化処理を施すことにより4価の酸化セリウム粒子を得る。ここで用いる酸化剤としては、3価の非水溶性セリウム化合物の場合と同じものが使用できる。これらの中では、酸化処理に伴う不純物の混入を防ぐために、過酸化水素を用いることが好ましい。酸化剤の添加量は、3価の水溶性セリウム化合物1モルに対して1モル以上が必要であり、酸化処理を完結させることから1モル〜10モルの範囲が好ましい。処理温度には特に制限は無いが、過酸化水素等の自己分解性の酸化剤を用いる場合には40℃以下で処理を開始することが好ましく、全量添加後、過剰な酸化剤を分解させるために80℃以上に加熱することが好ましい。酸化処理を施して得られた粒子の回収は、デカンテーション、ろ過、遠心分離などの通常の方法が用いられるが、効率良く短時間で分離することが可能な遠心分離が好ましい。この際に、溶液のpHが酸側にあると粒子の沈殿が極めて遅く、一般的な遠心分離機では固液分離が困難になってしまうので、アンモニアなどの金属イオンを含まないアルカリ性物質を添加して溶液のpHを8以上にしてから遠心分離を行うことが好ましい。また、不純物含有量を低下させるために、沈殿物を繰り返し洗浄することも有効である。回収した沈殿物をそのまま酸化セリウム粒子として使用してもよいが、回収した沈殿物を乾燥機などで水分を除去するようにしても良い。乾燥温度には特に制限は無いが、420℃以上では酸化セリウム粒子の結晶性が著しく増加してしまうので、420℃以下のできるだけ低い温度で乾燥させることが好ましい。
【0023】
4価のセリウム化合物としては、硫酸セリウム、硫酸アンモニウムセリウム、硝酸アンモニウムセリウムなどのセリウム塩が挙げられ、特に制限はない。これらを溶解させた水溶液中の4価のセリウム化合物の濃度には特に制限は無いが、沈殿物(酸化セリウム粒子)生成後の懸濁液の取り扱い易さから1〜30重量%の範囲が好ましい。これらの水溶液は酸性であるが、水溶液にアンモニア水を添加する等により水溶液を中性、アルカリ性にすると白色沈殿(酸化セリウム粒子)を生じる。ここで、アンモニア水の添加量は、懸濁液のpHが初めの酸性から中性を示すまで加える必要があり、中性を経てアルカリ性を示すまで若干過剰に添加することが好ましい。沈殿処理を施して得られた粒子の回収は、デカンテーション、ろ過、遠心分離などの通常の方法が用いられるが、効率良く短時間で分離することが可能な遠心分離が好ましい。また、不純物の含有量を低下させるために、沈殿物を繰り返し洗浄することも有効である。回収した沈殿物をそのまま酸化セリウム粒子として使用してもよいが、回収した沈殿物を乾燥機などで水分を除去するようにしても良い。乾燥温度には特に制限は無いが、420℃以上では酸化セリウム粒子の結晶性が著しく増加してしまうので、420℃以下のできるだけ低い温度で乾燥させることが好ましい。
【0024】
本発明に於いては、以下の示す物性の酸化セリウム粒子が用いられる。
本発明に於いては、比表面積が25m2/g以上で好ましくは1,000m2/g以下、更に好ましくは50m2/g以上で500m2/g以下を有する酸化セリウム粒子が用いられる。比表面積が25m2/g未満の酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、その一次粒子径が大きくなるために研磨後の被研磨表面に傷が発生する場合がある。また、比表面積が1,000m2/gを越える酸化セリウム粒子を用いると、その研磨速度が極端に小さくなるために十分な研磨効果が得られにくい。ここで、比表面積の測定方法としては、窒素吸着法、窒素脱着法、水銀圧入法などが挙げられ、特に制限はないが、測定が簡便なことから窒素吸着法を用いることが好ましい。
【0025】
本発明に於いては、静置法により測定した見掛け密度が好ましくは0.80g/ml以上で1.30g/ml以下、更に好ましくは0.90g/ml以上1.20g/ml以下を有する酸化セリウム粒子が用いられる。見掛け密度が1.30g/mlを越える酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、その一次粒子径が大きくなるために研磨後の被研磨表面に傷が発生する場合がある。また、見掛け密度が0.80g/ml未満の酸化セリウム粒子を用いると、その研磨速度が極端に小さくなるために十分な研磨効果が得られない場合がある。
【0026】
ここで、見掛け密度の測定方法は、静的測定法と動的測定法があり特に制限は無いが、JIS K−5101に規定されている静置法が測定が簡便なことから好ましい。
【0027】
本発明に於いては、タップ法により測定した見掛け密度が好ましくは1.00g/ml以上で1.60g/ml以下、更に好ましくは1.05g/ml以上1.55g/ml以下を有する酸化セリウム粒子が用いられるを用いる。見掛け密度が1.6g/mlを越える酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、その一次粒子径が大きくなるために研磨後の被研磨表面に傷が発生する場合がある。また、見掛け密度が1.00g/ml未満の酸化セリウム粒子を用いると、その研磨速度が極端に小さくなるために十分な研磨効果が得られない場合がある。
【0028】
ここで、見掛け密度の測定方法は、静的測定法と動的測定法があり特に制限は無いが、JIS K−5101に規定されているタップ法が測定が簡便なことから好ましい。
【0029】
本発明に於いては、粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅が好ましくは0.4°以上で5.0°以下、更に好ましくは0.5°以上で2.0°以下の値を有する酸化セリウム粒子が用いられる。この範囲では、有機SOG膜あるいは有機高分子樹脂膜の研磨速度がCVD膜(SiO2)よりも10倍以上大きい値を示すので、選択的な研磨に優れる。粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅が0.4°未満の酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、その結晶性が向上するために研磨後の被研磨表面に傷が発生する場合がある。また、CVD膜の研磨速度が有機SOG膜あるいは有機高分子樹脂膜の場合と同程度まで上昇してしまうので、選択的な研磨ができにくくなる。一方、粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅が5.0°より大きい酸化セリウム粒子を用いると、その研磨速度が極端に小さくなるために十分な研磨効果が得られにくい。 本発明に於いては、一次粒子径が10nm以下である一次粒子が全数の90%以上であり、一次粒子が凝集した二次粒子径が1μm以下である二次粒子が全数の90%以上である酸化セリウム粒子が用いられる。粒子径の測定方法には特に制限は無いが、一次粒子径は透過型電子顕微鏡観察で、また、二次粒子径は走査型電子顕微鏡観察又は粒度分布測定装置による測定を用いる方法が簡便で好ましい。この範囲では、粒子濃度が低くても良好な研磨速度が得られるので、スラリーの低コスト化が可能である。また、粒子濃度を低下できると、スラリーの粘度が低下するので、研磨装置へのスラリーの輸送が容易となり、輸送パイプ内での粒子の詰りなども低減できる。さらに、研磨パッド上に滴下したスラリーの拡散が容易になるので、ウエハー内の均一研磨が可能となる。その一次粒子径が10nmを越える大きい粒子が凝集した二次粒子が1μmを越える酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、研磨後の被研磨表面に傷が発生する場合がある。
【0030】
本発明に於いては、一次粒子径が10nm以下である一次粒子が全数の90%以上であり、一次粒子が凝集した二次粒子径が1μm以下である二次粒子が全数の90%以上である酸化セリウム粒子が用いられる。粒子径の測定方法には特に制限は無いが、一次粒子径は透過型電子顕微鏡観察で、また、二次粒子径は走査型電子顕微鏡観察又は粒度分布測定装置による測定を用いる方法が簡便で好ましい。この範囲では、粒子濃度が低くても良好な研磨速度が得られるので、スラリーの低コスト化が可能である。また、粒子濃度を低下できると、スラリーの粘度が低下するので、研磨装置へのスラリーの輸送が容易となり、輸送パイプ内での粒子の詰りなども低減できる。さらに、研磨パッド上に滴下したスラリーの拡散が容易になるので、ウエハー内の均一研磨が可能となる。その一次粒子径が10nmを越える大きい粒子が凝集した二次粒子が1μmを越える酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、研磨後の被研磨表面に傷が発生する場合がある。さらに、上記と同様な研磨速度を得るためには、粒子濃度を増加させなければならないので、コスト高、粘度の上昇などの問題点が生じがちである。
【0031】
本発明に於いては、直径が1μm以下である二次粒子が全数の90%以上であり、二次粒子が120°より小さい角部を含まない輪郭を示す酸化セリウム粒子が用いられる。粒子径の測定方法には特に制限は無いが、走査型電子顕微鏡観察又は粒度分布測定装置による測定を用いる方法が簡便で好ましい。この範囲では、粒子濃度が低くても良好な研磨速度が得られるので、スラリーの低コスト化が可能である。また、粒子濃度を低下できると、スラリーの粘度が低下するので、研磨装置へのスラリーの輸送が容易となり、輸送パイプ内での粒子の詰りなども低減できる。さらに、研磨パッド上に滴下したスラリーの拡散が容易になるので、ウエハー内の均一研磨が可能となる。二次粒子径が1μmを越える酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、研磨後の被研磨表面に傷が発生する。さらに、上記と同様な研磨速度を得るためには、粒子濃度を増加させなければならないので、コスト高、粘度の上昇などの問題点が生じやすくなる。また、二次粒子径が1μm以下でも、その粒子の輪郭に120°より小さい角部があると、研磨後の被研磨面に傷が発生しやすくなる。
【0032】
本発明に於いては、一次粒子のアスペクト比が2.0以下である粒子の数が全数の90%以上である酸化セリウム粒子が用いられる。その一次粒子のアスペクト比が2.0を越える酸化セリウム粒子を水中に分散させたスラリーを用いると、研磨後の被研磨表面に傷が発生す場合がある。ここで、アスペクト比は、透過型電子顕微鏡による観察で一次粒子の短径と長径を測定し、これらの比を算出することによって求める方法が簡便で好ましい。
【0033】
以上のような物性の酸化セリウム粒子を作製する方法としては、例えば前述したような、
(1)3価のセリウム化合物の中で水に溶解しないセリウム化合物を出発材料とし、これを水中に分散後、酸化剤を滴下することによって固体状態のままで酸化処理を施すことにより4価の酸化セリウム粒子を作製する方法、
(2)3価のセリウム化合物の中で水溶性のものを出発材料とし、これを溶解させた水溶液に炭酸水素アンモニウム等を添加して得られる非水溶性セリウム化合物(沈殿物)に酸化剤を滴下することによって固体状態のままで酸化処理を施すことにより4価の酸化セリウム粒子を作製する方法、
(3)4価のセリウム化合物を出発材料とし、これを溶解させた水溶液にアンモニア水を添加する等により水溶液を中性、アルカリ性にすることにより4価の酸化セリウム粒子を作製する方法など好ましく使用されるが、特に制限は無い。
【0034】
本発明の酸化セリウム粒子は、以上説明した次に示す特性の二以上を兼ね備えるものがより好ましい。
(1)比表面積が25m2/g以上。
(2)静置法により測定した見掛け密度が1.3g/ml以下。
(3)タップ法により測定した見掛け密度が1.6g/ml以下。
(4)粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅が0.4°以上。
(5)透過型電子顕微鏡による観察で一次粒子径が20nm以下である一次粒子が全数の90%以上。
(6)一次粒子径が20nm以下である一次粒子が全数の90%以上であり、一次粒子が凝集した二次粒子径が1μm以下である二次粒子が全数の90%以上。
(7)直径が1μm以下である二次粒子が全数の90%以上であり、二次粒子が120°より小さい角部を含まない輪郭を示す。
(8)一次粒子のアスペクト比が2.0以下である粒子の数が全数の90%以上。
【0035】
本発明における酸化セリウムスラリーは、水、上記の酸化セリウム粒子及び好ましくは分散剤からなる組成物を分散させることによって得られる。ここで、酸化セリウム粒子の濃度には制限は無いが、懸濁液の取り扱い易さから1〜30重量%の範囲が好ましい。水溶媒100重量部に対して、酸化セリウム粒子を10重量部以下分散させてスラリーとすることが好ましい。
【0036】
また分散剤としては、金属イオン類を含まないものとして、アクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、メタクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、ポリビニルアルコール等の水溶性有機高分子類、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等の水溶性陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート等の水溶性非イオン性界面活性剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の水溶性アミン類などが挙げられる。これらの分散剤の添加量は、スラリー中の粒子の分散性及び沈降防止性などから酸化セリウム粒子100重量部に対して0.1重量部〜100重量部の範囲が好ましく、その分散効果を高めるためには分散処理時に分散機の中に粒子と同時に入れることが好ましい。これらの酸化セリウム粒子を水中に分散させる方法としては、通常の撹拌機による分散処理の他に、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミルなどを用いることができる。特に酸化セリウム粒子を1μm以下の微粒子として分散させるためには、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、媒体撹拌式ミルなどの湿式分散機を用いることが好ましい。またスラリーはアルカリ性であることが好ましく、スラリーのアルカリ性を高めたい場合には、分散処理時又は処理後にアンモニア水などの金属イオンを含まないアルカリ性物質を添加することができる。スラリーのpHが8〜12が好ましい。
【0037】
本発明のスラリーには、本発明の酸化セリウム粒子以外に例えば希土類金属の酸化物、塩等が添加されていて良い。他の添加物の混入により分散性向上、化学反応促進、すべり特性向上、選択性向上等の特性向上が期待できる。他の添加物の混入量は固形分の50重量%以下が好ましい。
【0038】
本発明の酸化セリウム研磨材で研磨される有機基を有する化合物を含む絶縁層は、アルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランをアルコールなどの有機溶媒中で水及び触媒により加水分解して得られる塗布液をスピンコート法などにより基板に塗布後、加熱処理により硬化させることにより製造される。
【0039】
ここで、アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどのモノマ又はオリゴマなどが挙げられ、それぞれ単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。また、アルキルアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。ここで、フルオロトリメトキシシラン、フルオロメチルジメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルメチルジメトキシシランなどのアルキルアルコキシシランのアルキル基の少なくとも一部がフッ素化されたもの、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランのSiにフッ素が結合したものも用いることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。ここで、アルコシシランとアルキルアルコキシシランとの添加量の割合は、これらにより構成される絶縁膜中のシロキサン結合に由来するSi原子数とアルキル基に由来するC原子数が
C原子数/(Si原子数+C原子数)≧0.1
の関係にあることが好ましい。この割合が0.1より小さいと絶縁膜の形成時に膜中にクラックが発生し、膜の欠落、絶縁性の低下などの欠陥が生じてしまう。
【0040】
有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの1価アルコール類及びそのエーテル又はエステル類、グリセリン、エチレングリコールなどの多価アルコール類及びそのエーテル又はエステル類、アセトン、メチエチルケトン、などのケトン類などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。触媒としては、加水分解用として、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、マレイン酸などの有機酸、これらの酸無水物又は誘導体などの酸及び水酸化ナトリウム、アンモニア、メチルアミンなどのアルカリが挙げられる。
【0041】
ここで、水の添加量はアルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランそれぞれのアルコキシ基100%に対して75%より少ない範囲が好ましく、75%以上ではアルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランの加水分解が急激に生じるために塗布液がゲル化又は白濁してしまう。触媒の添加量は、アルコキシシラン及びアルキルアルコキシシラン100重量部に対して0.1重量部から5重量部が好ましく、0.1重量部未満ではアルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランの加水分解が不十分なために塗布時に膜が形成されず、5重量部を越えると加水分解が急激に生じるために塗布液がゲル化してしまう。アルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランは有機溶媒100重量部に対して1重量部から40重量部の範囲が好ましい。アルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランが1重量部未満では塗布時に膜が形成されにくくなり、また、40重量部を超えると均一な膜が得にくくなる。高分子量化時の反応温度には、特に制限はないが、使用している有機溶媒の沸点以下が好ましく、得られる加水分解物の分子量を制御するために特に5℃から70℃が好ましい。加水分解時の反応時間には、特に制限はなく、所定の分子量に到達した時点で反応を終了する。この時の分子量の測定方法としては、特に制限はないが、液体クロマトグラフを用いた方法が簡便で好ましい。
【0042】
これらの4成分から得られる絶縁層形成用材料は、次の様にして製造される。まず、有機溶媒中に所定量のアルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランを分散させ、これに水及び触媒を混合してしばらく撹拌後、室温下又は加温下で高分子量化させることによって製造される。
【0043】
以上の方法により製造した絶縁層形成用材料を、所定の半導体基板、すなわち回路素子と配線パターンが形成された段階の半導体基板(予めIC回路等の所定の回路素子を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの半導体基板)、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上に塗布して、乾燥により有機溶媒を除去後、100℃以上で加熱硬化させることにより絶縁層が形成される。図1において、11はIC回路等の所定の回路素子を形成させたSiウエハー、12はアルミニウム配線、13はCVD−SiO2膜(TEOS膜)、14は有機基を有する化合物を含む絶縁層である。絶縁層は配線の厚みより厚く、例えば配線の厚みの1.2倍以上の厚みで形成するのが好ましい。
【0044】
ここで、半導体基板としては、Siウエハー、GaAsウエハーなどが挙げられるが、特に制限は無い。また、塗布法としては、スピンコート法、スプレー法、ディップコート法などが挙げられ、特に制限はない。乾燥温度には、特に制限がないが、有機溶媒の揮散を促進するために100℃から300℃の範囲が好ましい。加熱硬化温度は、300℃以上で特に制限はないが、使用する基板によりその上限が有り、アルミニウム配線を施してあるものでは500℃以下が好ましい。加熱硬化時間には、特に制限はなく、硬化した膜の物性がほぼ平衡に到達した時点で加熱を終了する。この時の判定方法としては、特に制限はないが、膜の表面硬度、膜の厚さなどの測定が簡便で好ましい。加熱硬化時の雰囲気には、特に制限がないが、加熱中のアルキルアルコキシシラン中のアルキル基の脱離を低減させるために窒素、アルゴンなどの不活性ガスを導入することが好ましい。
【0045】
所定の半導体基板、すなわち回路素子と配線パターンが形成された段階の半導体基板、回路素子が形成された段階の半導体基板等の半導体基板上に形成された絶縁層を上記酸化セリウムスラリーで研磨することによって、図2に示すように絶縁層表面の凹凸を解消し、半導体基板全面に渡って平滑な面とする。
【0046】
ここで、研磨する装置としては、半導体基板を保持するホルダーと研磨布(パッド)を貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)定盤を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨布としては、一般的な不職布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限は無い。また、研磨布にはスラリーが留まる様な溝加工を施すことが好ましい。研磨条件には制限は無いが、定盤の回転速度は半導体基板が飛び出さない様に100rpm以下の低回転が好ましく、半導体基板にかける圧力は研磨後に傷が発生しない様に1Kg/cm2以下が好ましい。研磨している間、研磨布にはスラリーをポンプ等で連続的に供給する。この時の供給量には制限は無いが、研磨布の表面が常にスラリーで覆われていることが好ましく、単位面積当りの供給量が例えば18インチ定盤に対して25ml/min以上の割合が特に好ましい。この供給量が25ml/minより少ないと、十分な研磨速度が得られず、また、スラリーの拡散が不十分なために均一な研磨が得られない場合がある。さらに、機械的研磨の影響が大きくなるために、CVD膜の研磨速度が大きくなる傾向を示し、有機SOG膜との速度比で表される選択性が低下するために、選択的な研磨が不可能になってしまう場合がある。
【0047】
研磨終了後の半導体基板は、流水中で良く洗浄後、表面に付着した酸化セリウム粒子を除去するために、
(a)過酸化水素及び
(b)硝酸、硫酸、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウムから選ばれる少なくとも一種を含む液中に浸漬してから再度水洗し乾燥する。(a)及び(b)を含む液は二種以上を混合して使用しても良い。
【0048】
ここで、浸漬時間には特に制限は無いが、酸化セリウム粒子の溶解によって生じる気泡が発生しなくなる時点で処理の終了を判断することができる。また、浸漬温度には特に制限は無いが、過酸化水素水などの自己分解性を示すものを用いる場合には、40℃以下で処理することが好ましい。水洗後は、スピンドライヤ等を用いて半導体基板上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。
【0049】
この様にして平坦化された絶縁層の上に、第2層目のアルミニウム配線を形成し、その配線間及び配線上に再度上記方法により絶縁層を形成後、上記酸化セリウムスラリーを用いて研磨することによって、絶縁層表面の凹凸を解消し、半導体基板全面に渡って平滑な面とする。この工程を所定数繰り返すことにより半導体チップを製造する。
【0050】
本発明の酸化セリウム研磨剤により、半導体基板等の基板に形成されたケイ素を含まない有機高分子樹脂層を研磨することができる。
このようなケイ素を含有しない有機高分子樹脂としては、フェノール、エポキシ、不飽和ポリエステル、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの熱硬化性樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルホルマール、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化塩化エチレンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらの中で、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化塩化エチレンなどのフッ素樹脂を用いると膜の低誘電率化に有効であり、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂などを用いると膜の耐熱性に有効であるが、特に制限は無い。
【0051】
これらのケイ素を含有しない有機高分子樹脂の絶縁膜形成用材料は次の様にして作製する。熱硬化性樹脂を用いる場合、それぞれのモノマー及び/又は低分子量のものをアルコールなどの上記に記載した有機溶媒中に溶解させることによって、絶縁層形成用の塗布液を作製する。ここで、硬化をより進めるために、一般に使用される硬化剤、促進剤、触媒などを併用することができる。また、熱可塑性樹脂を用いる場合、それぞれの樹脂をアルコールなどの上記に記載した有機溶媒中に溶解させることによって、絶縁層形成用の塗布液を作製する。有機高分子樹脂10重量部に対して有機溶媒は0重量部から900重量部の範囲が好ましい。有機溶媒が900重量部を超えると、塗布時に膜が形成されにくくなる。
【0052】
本発明の酸化セリウム研磨剤により、半導体基板等の基板に形成された互いに異なる材料からなる2種類以上の絶縁層の少なくとも1種を選択的に研磨することができる。
【0053】
2種類以上の異なる絶縁層としては、アルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランを有機溶媒中で水及び触媒の存在下で加水分解して得られる塗布液を基板に塗布後加熱硬化させて得らた絶縁層と、SiO2絶縁層と含むものが好ましく、本発明の酸化セリウム研磨剤により、前者の絶縁層を選択的に研磨することができる。
【0054】
互いに異なる材料からなる2種類以上の絶縁層が形成される基板としては、SiO2絶縁膜等が形成された配線板、フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス、ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路、光ファイバ−の端面、シンチレ−タ等の光学用単結晶、固体レ−ザ単結晶、青色レ−ザ用LEDサファイア基板、SiC、GaP、GaAS等の半導体単結晶、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ヘッド等がある。
【0055】
半導体基板等の基板に形成された互いに異なる材料からなる2種類以上の絶縁層の少なくとも1種を選択的に研磨する場合、第一の絶縁層(例えば有機基を有する化合物を有する絶縁層)に対する研磨速度と、第二の絶縁層(例えばSiO2絶縁層)に対する研磨速度との比が10以上である酸化セリウム研磨剤を使用すれば、選択研磨が良好に行える。
【0056】
図3は、本発明の研磨剤で絶縁膜を研磨して製造された半導体チップを支持基板に搭載し、半導体チップを封止材で封止した半導体装置の一例を示すものである。半導体装置としては図3に示すようなLOC(lead on chip)タイプに限らず、COL(chip on lead)タイプでも、チップをダイパッドに搭載するタイプでも通常のものが製造される。封止材はエポキシ樹脂系の通常のものが使用できる。図3で、1はボンド材、2は本発明の研磨材で絶縁膜を研磨して製造された半導体チップ、3はリードフレーム、4はワイヤ、5は封止材である。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各種実施例について説明する。
【0058】
実施例1
(酸化セリウム粒子の作製、1の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。
【0059】
(酸化セリウム粒子の作製、1の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。
【0060】
(酸化セリウム粒子の作製、1の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して(pH10)、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。
【0061】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記3種類の各酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の3種類の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0062】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーをスピンコータにセットし、テトラメトキシシラン(4モル)及びメチルトリメトキシシラン(1モル)をイソプロピルアルコール中で水及び硝酸を添加することにより加水分解して得られた塗布液5mlをウエハー上に塗布して、2,500rpmで30秒間回転後、250℃のホットプレートで1分間乾燥した。このウエハーを加熱炉中にセットし、450℃で30分間焼成することにより、絶縁層を形成させた。
【0063】
(絶縁層の研磨)
保持する基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに上記絶縁層を形成させたSiウエハーをセットし、多孔質フッ素樹脂製の研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)定盤上にSiウエハー面を下にしてホルダーを載せ、さらにその上に5Kgの重しを載せた。定盤上に上記3種類の酸化セリウムスラリーをそれぞれ滴下しながら、上盤を50rpmで4分間回転させ、絶縁膜を研磨した。研磨後、Siウエハーをホルダーから外して、流水中で良く洗浄後、硝酸を入れたビーカの中に浸し、このビーカを超音波洗浄機中にセットして10分間洗浄した。酸化セリウムの溶解に伴う発泡が収まったことを確認後、ビーカ中からSiウエハーを取りだし、スピンドライヤで水滴を除去後、120℃の乾燥機で10分間乾燥させた。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0064】
比較例1
実施例1と同様にして半導体基板に絶縁膜層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0065】
また、上記絶縁膜層の研磨をアンモニア水溶媒系のコロイダルシリカスラリー(SS−225、Cabot社製商品名)を用いて試みたが、50rpmで10分間研磨しても約400Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0066】
実施例2
(酸化セリウム粒子の作製、2の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、窒素吸着法によりその比表面積を測定した結果、111m2/gを示した。
【0067】
(酸化セリウム粒子の作製、2の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、窒素吸着法によりその比表面積を測定した結果、112m2/gを示した。
【0068】
(酸化セリウム粒子の作製、2の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、窒素吸着法によりその比表面積を測定した結果、130m2/gを示した。
【0069】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0070】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0071】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0072】
比較例2
実施例2と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0073】
また、上記絶縁層を試薬として市販されている酸化セリウム粒子(比表面積:4m2/g)を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、研磨により約4100Åと同程度の絶縁膜が削られたが、その表面には多数の研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約1000Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0074】
実施例3
(酸化セリウム粒子の作製、3の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、静置法により測定した見かけ密度は1.07g/mlを示した。
【0075】
(酸化セリウム粒子の作製、3の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、静置法により測定した見かけ密度は1.11g/mlを示した。
【0076】
(酸化セリウム粒子の作製、3の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、静置法により測定した見かけ密度は1.08g/mlを示した。
【0077】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0078】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0079】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0080】
比較例3
実施例と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0081】
また、上記絶縁層を試薬として市販されている酸化セリウム粒子(静置法により測定した見かけ密度:1.33g/ml)を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、研磨により約4100Åと同程度の絶縁膜が削られたが、その表面には多数の研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約1000Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0082】
実施例4
(酸化セリウム粒子の作製、4の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、タップ法によりその見掛け密度を測定した結果、1.43g/mlを示した。
【0083】
(酸化セリウム粒子の作製、4の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、タップ法によりその見掛け密度を測定した結果、1.52g/mlを示した。
【0084】
(酸化セリウム粒子の作製、4の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、タップ法によりその見掛け密度を測定した結果、1.49g/mlを示した。
【0085】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0086】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0087】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0088】
比較例4
実施例4と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0089】
また、上記絶縁層を、タップ法によりその見掛け密度を測定した結果、1.67g/mlを示した試薬として市販されている酸化セリウム粒子を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、研磨により約4100Åと同程度の絶縁膜が削られたが、その表面には多数の研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約1000Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0090】
実施例5
(酸化セリウム粒子の作製、5の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、その主ピークの半値幅を測定した結果、1.38°を示した。
【0091】
(酸化セリウム粒子の作製、5の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、その主ピークの半値幅を測定した結果、1.30°を示した。
【0092】
(酸化セリウム粒子の作製、5の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、その主ピークの半値幅を測定した結果、1.44°を示した。
【0093】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0094】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0095】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0096】
また、同じ条件でCVD膜(SiO2)の研磨を試みた結果、約200Åしか研磨されておらず、有機SOG膜の研磨速度との比は約20となり、有機SOG膜を選択的に研磨することが可能であることが認められた。
【0097】
比較例5
実施例5と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0098】
また、上粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅を測定した結果0.25°を示した試薬として市販されている酸化セリウム粒子を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、有機SOG膜は約4100Åと同程度研磨されたが、CVD膜も約4000Å研磨されてしまったので、有機SOG膜を選択的に研磨することは不可能であることが認められた。また、両者の場合とも、研磨後の表面に研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約1000Åしか削れなくなり、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0099】
実施例6
(酸化セリウム粒子の作製、6の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約5〜10nmを示した。
【0100】
(酸化セリウム粒子の作製、6の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約2〜5nmを示した。
【0101】
(酸化セリウム粒子の作製、6の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約5〜10nmを示した。
【0102】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0103】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0104】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0105】
比較例6
実施例6と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0106】
また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約50nmを示した試薬として市販されている酸化セリウム粒子を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、研磨により約2000Åしか削られず、その表面には多数の研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約500Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0107】
実施例7
(酸化セリウム粒子の作製、7の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約5〜10nmを示した。さらに、走査型電子顕微鏡での観察によりその二次粒子径を測定した結果、約0.2μmを示した。
【0108】
(酸化セリウム粒子の作製、7の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約2〜5nmを示した。さらに、走査型電子顕微鏡での観察によりその二次粒子径を測定した結果、約0.2〜0.3μmを示した。
【0109】
(酸化セリウム粒子の作製、7の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約5〜10nmを示した。さらに、走査型電子顕微鏡での観察によりその二次粒子径を測定した結果、約0.2μmを示した。
【0110】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0111】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0112】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0113】
比較例7
実施例7と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0114】
また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子径を測定した結果、約50nmを示し、また、走査型電子顕微鏡での観察によりその二次粒子径を測定した結果約5.0μmを示した試薬として市販されている酸化セリウム粒子を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、研磨により約2000Åしか削られず、その表面には多数の研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約500Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0115】
実施例8
(酸化セリウム粒子の作製、8の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、走査型電子顕微鏡での観察よりその二次粒子径を測定した結果、約0.2μmを示した。さらに、その二次粒子の輪郭にはほとんど角部が無く、滑らかな曲線を示していることが認められた。
【0116】
(酸化セリウム粒子の作製、8の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、走査型電子顕微鏡での観察によりその二次粒子径を測定した結果、約0.2〜0.3μmを示した。さらに、その二次粒子の輪郭にはほとんど角部が無く、滑らかな曲線を示していることが認められた。
【0117】
(酸化セリウム粒子の作製、8の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、走査型電子顕微鏡での観察によりその二次粒子径を測定した結果、約0.2μmを示した。さらに、その二次粒子の輪郭にはほとんど角部が無く、滑らかな曲線を示していることが認められた。
【0118】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0119】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0120】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0121】
比較例8
実施例8と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0122】
また、走査型電子顕微鏡での観察によりその二次粒子径を測定した結果約1.0μmを示し、60〜110°の角部を含んだ輪郭を示す、試薬として市販されている酸化セリウム粒子を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、研磨により約2100Åしか削られず、その表面には多数の研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約500Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0123】
実施例9
(酸化セリウム粒子の作製、9の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子のアスペクト比を算出した結果、1.1を示した。
【0124】
(酸化セリウム粒子の作製、9の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子のアスペクト比を算出した結果、1.4を示した。
【0125】
(酸化セリウム粒子の作製、9の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子のアスペクト比を算出した結果、1.2を示した。
【0126】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末10gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0127】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0128】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0129】
比較例9
実施例9と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0130】
また、透過型電子顕微鏡での観察よりその一次粒子のアスペクト比が3.0を示した試薬として市販されている酸化セリウム粒子を用いて上記と同様にして作製したスラリーで上記絶縁膜の研磨を試みた結果、研磨により約4000Åとほぼ同じ量が削られたが、その表面には多数の研磨傷が発生していることが認められた。そこで、ホルダーに乗せる重しを5kgから1kgに減少させると、研磨傷の発生は見られなくなったが、50rpmで10分間研磨しても約500Åしか削れなくなり、、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。
【0131】
実施例10
(酸化セリウム粒子の作製、10の1)
炭酸セリウム50gを脱イオン水450g中に添加後、遊星ボールミルを用いて2800rpmで15分間分散処理を施すことによって、白色の炭酸セリウムスラリーを得た。このスラリーに撹拌をしながら過酸化水素水(約35%)29.2gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末30gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、窒素吸着法により測定した比表面積は111m2/gを示し、静置法により測定した見掛け密度は1.07g/mlを示し、タップ法により測定した見掛け密度は1.43g/mlを示し、粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅は1.38°を示し、透過型電子顕微鏡での観察より測定した一次粒子径は約5〜10nmを示し、走査型電子顕微鏡での観察より測定した二次粒子径は約0.2μmを示し、その二次粒子の輪郭にはほとんど角部が無く、滑らかな曲線を示していることが認められた。
【0132】
(酸化セリウム粒子の作製、10の2)
硝酸セリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながら炭酸水素アンモニウム75gを蒸留水400gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離した。この白色沈殿物を再度脱イオン水500g中に入れて良く分散後、過酸化水素水(約35%)60.9gを滴下し、さらに撹拌を続けながら1時間反応を進めてから、ウォーターバスを用いて90℃まで昇温させた。90℃で1時間撹拌後、室温まで冷却し、遠心分離機による固液分離後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末20gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、窒素吸着法により測定した比表面積は112m2/gを示し、静置法により測定した見掛け密度は1.11g/mlを示し、タップ法により測定した見掛け密度は1.52g/mlを示し、粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅は1.30°を示し、透過型電子顕微鏡での観察より測定した一次粒子径は約2〜5nmを示し、走査型電子顕微鏡での観察により測定した二次粒子径は約0.2〜0.3μmを示し、その二次粒子の輪郭にはほとんど角部が無く、滑らかな曲線を示していることが認められた。
【0133】
(酸化セリウム粒子の作製、10の3)
硝酸アンモニウムセリウム50gを脱イオン水500g中に入れて良く混合後、撹拌を続けながらアンモニア水27gを蒸留水500gに溶解させた水溶液を滴下して、そのまま室温下で1時間反応させることにより白色沈殿を得た。遠心分離機を用いて3000rpm、10分間処理することによりこの白色沈殿物を固液分離し後、120℃の乾燥機で24時間乾燥させることにより白色粉末15gを得た。この白色粉末のX線回折パターンを測定した結果、酸化セリウムであることが同定された。また、窒素吸着法により測定した比表面積は130m2/gを示し、静置法により測定した見掛け密度は1.08g/mlを示し、タップ法により測定した見掛け密度は1.49g/mlを示し、粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅は1.44°を示し、透過型電子顕微鏡での観察より測定した一次粒子径は約5〜10nmを示し、走査型電子顕微鏡での観察により測定した二次粒子径は約0.2μmを示し、その二次粒子の輪郭にはほとんど角部が無く、滑らかな曲線を示していることが認められた。
【0134】
(酸化セリウムスラリーの作製)
上記酸化セリウム粉末2.5gを脱イオン水100g中に分散して、これにポリアクリル酸アンモニウム塩1gを添加後、遊星ボールミル(Pー5型、フリッチェ製)を用いて2800rpmで30分間分散処理を施すことによって、乳白色の酸化セリウムスラリーを得た。コールターカウンタ(N−4型、日科機製)を用いてこのスラリーの粒度分布を測定した結果、平均粒子径が176nmと小さく、その分布は単分散で比較的分布も狭いことが分かった。
【0135】
(絶縁層の形成)
予めIC回路を形成させてその上にアルミニウム配線をパターニング済みの4インチSiウエハーに実施例1と同様にして絶縁層を形成させた。
【0136】
(絶縁層の研磨)
上記酸化セリウムスラリーを使用し、実施例1と同様にして上記絶縁層を形成させたSiウエハーの絶縁膜を研磨した。自動エリプソメータを用いて研磨前後の膜厚変化を測定した結果、この研磨により約4000Åの絶縁層が削られ、Siウエハー全面に渡ってほぼ均一の厚みになっていることが分った。また、Siウエハーをカットし、その断面をSEMで観察した結果、幅0.1μmで深さ1.0μmの配線間の溝部分にも空洞等の欠陥が見られず、十分な埋め込み性を示すことが分った。この工程を6回繰り返して6層配線を形成させたが、その断面のSEM観察から、各層においてSi基板全面に渡りその表面の段差がほとんど認められず、配線パターンも精度良く切れていることが分った。
【0137】
また、同じ条件でCVD膜(SiO2)の研磨を試みた結果、約200Åしか研磨されておらず、有機SOG膜の研磨速度との比は約1/20となり、有機SOG膜を選択的に研磨することが可能であることが認められた。
【0138】
比較例10
実施例10と同様にして絶縁層を形成し、酸化セリウムスラリーを用いた研磨をせずに多層配線の形成を試みたが、3層以上になると表面の段差が極めて大きくなるために上下層間の絶縁性が破壊され、これ以上の多層化はできないことが分った。
【0139】
また、上記絶縁層の研磨をアンモニア水溶媒系のコロイダルシリカスラリー(SS−225、Cabot社製商品名)を用いて試みたが、50rpmで10分間研磨しても約400Åしか削れず、Siウエハー全面に渡って平坦にするには極めて効率が悪いことが分った。同じ条件でCVD膜の研磨を試みた結果、約400Åが研磨され、有機SOG膜の研磨速度との比が1しか得られないので、有機SOG膜を選択的に研磨することは不可能であることが分かった。
【0140】
【発明の効果】
本発明の研磨剤により、有機SOG膜あるいは有機高分子樹脂膜等の絶縁膜を研磨傷を発生させること無く高速で研磨することが可能となる。
本発明の基板の研磨法により、各層において基板全面に渡りその表面の段差がほとんど生じなくなるので、配線の微細化にも十分に対応でき、高密度・高集積化による多層配線化が実現できる。また、絶縁膜として有機SOG膜あるいは有機高分子樹脂膜を使用できるので、微細な配線間の埋め込み性の向上及び低誘電率化も同時に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回路素子、アルミニウム配線、CVD−SiO2膜を形成したSiウエハーに有機基を有する化合物を含む絶縁層を形成した半導体基板の断面図である。
【図2】絶縁層を研磨した半導体基板の断面図である。
【図3】本発明の研磨剤で絶縁膜を研磨して製造された半導体チップを支持基板に搭載した半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1…ボンド材、2…半導体チップ、3…リードフレーム、4…ワイヤ、5…封止材、11…IC回路等の所定の回路素子を形成させたSiウエハー、12…アルミニウム配線、13…CVD−SiO2膜(TEOS膜)、14…有機基を有する化合物を含む絶縁層。
Claims (5)
- 所定の基板に有機基を有する化合物を含む絶縁膜を形成し、水中に酸化セリウム粒子を分散させたスラリーを含む酸化セリウム研磨剤で該絶縁膜を研磨する工程を備える基板の研磨法であって、
上記絶縁膜が、
アルコキシシランおよびアルキルアルコキシシランを有機溶媒中で水及び触媒の存在下で加水分解して得られる塗布液を、基板に塗布後、加熱硬化させて得られた、有機基を有する化合物を含む絶縁膜層を含み、
上記酸化セリウム粒子が、
(a)水中に分散された3価の非水溶性セリウム化合物を酸化剤で酸化することによって得られる酸化セリウム粒子、
(b)3価の水溶性セリウム化合物の水溶液から得られる非水溶性セリウム化合物を酸化剤で酸化することによって得られる酸化セリウム粒子、及び
(c)4価のセリウム化合物の水溶液を中性又はアルカリ性にして得られる酸化セリウム粒子、
の少なくともいずれかであり、
下記(1)〜(7)の特性を兼ね備えることを特徴とする基板の研磨法。
(1)上記酸化セリウム粒子の比表面積が50〜500m2/gである。
(2)上記酸化セリウム粒子の、静置法により測定した見掛け密度が1.30g/ml以下である。
(3)上記酸化セリウム粒子の、タップ法により測定した見掛け密度が1.60g/ml以下である。
(4)上記酸化セリウム粒子の、粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅が0.4°以上である。
(5)上記酸化セリウム粒子が、透過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径が20nm以下である1次粒子が全数の90%以上の酸化セリウム粒子である。
(6)上記酸化セリウム粒子が、1次粒子径が20nm以下である1次粒子が全数の90%以上であり1次粒子が凝集した2次粒子径が1μm以下である2次粒子が全数の90%以上の酸化セリウム粒子である。
(7)上記酸化セリウム粒子が、直径が1μm以下である2次粒子が全数の90%以上であり、2次粒子が120°より小さい角部を含まない輪郭を示す酸化セリウム粒子である。 - 上記有機基を有する化合物を含む絶縁膜層中のシロキサン結合に由来するSi原子数とアルキル基に由来するC原子数とが、
C原子数/(Si原子数+C原子数)≧0.1
の関係にある請求項1記載の基板の研磨法。 - 所定の基板に、アルコキシシラン及びアルキルアルコキシシランを有機溶媒中で水及び触媒の存在下で加水分解して得られる塗布液を基板に塗布後加熱硬化させて得られた有機基を有する化合物を含む絶縁膜層と、SiO2絶縁膜層とを含む二以上の絶縁膜層を形成し、
前記有機基を有する化合物を含む絶縁層を、水中に酸化セリウム粒子を分散させたスラリーを含む酸化セリウム研磨剤により選択的に研磨する基板の研磨法であって、
上記酸化セリウム粒子が、
(a)水中に分散された3価の非水溶性セリウム化合物を酸化剤で酸化することによって得られる酸化セリウム粒子、
(b)3価の水溶性セリウム化合物の水溶液から得られる非水溶性セリウム化合物を酸化剤で酸化することによって得られる酸化セリウム粒子、及び
(c)4価のセリウム化合物の水溶液を中性又はアルカリ性にして得られる酸化セリウム粒子、
の少なくともいずれかであり、
下記(1)〜(7)の特性を兼ね備えることを特徴とする基板の研磨法。
(1)上記酸化セリウム粒子の比表面積が50〜500m2/gである。
(2)上記酸化セリウム粒子の、静置法により測定した見掛け密度が1.30g/ml以下である。
(3)上記酸化セリウム粒子の、タップ法により測定した見掛け密度が1.60g/ml以下である。
(4)上記酸化セリウム粒子の、粉末X線回折パターンの主ピークの半値幅が0.4°以上である。
(5)上記酸化セリウム粒子が、透過型電子顕微鏡による観察で1次粒子径が20nm以下である1次粒子が全数の90%以上の酸化セリウム粒子である。
(6)上記酸化セリウム粒子が、1次粒子径が20nm以下である1次粒子が全数の90%以上であり1次粒子が凝集した2次粒子径が1μm以下である2次粒子が全数の90%以上の酸化セリウム粒子である。
(7)上記酸化セリウム粒子が、直径が1μm以下である2次粒子が全数の90%以上であり、2次粒子が120°より小さい角部を含まない輪郭を示す酸化セリウム粒子である。 - 有機基を含有した絶縁膜層の研磨速度の、SiO2絶縁膜層の研磨速度に対する比が10以上である酸化セリウム研磨剤により研磨する請求項3記載の基板の研磨法。
- 有機基を有する化合物を含む絶縁層中のシロキサン結合に由来するSi原子数とアルキル基に由来するC原子数とが、
C原子数/(Si原子数+C原子数)≧0.1
の関係にある請求項4記載の基板の研磨法。
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