JP3560111B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置に係り、更に詳しくは、シールリップを備えた密封装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から図9に示すように、シールリップ21を備え、このシールリップ21の内周部に摺動の相手材である軸(図示せず)に接触するリップエッジ22を備え、このリップエッジ22の大気側Bの斜面23に多数のねじ状リブ24を円周方向に並べて設けた密封装置が知られている。ねじ状リブ24は、図10に拡大して示すように断面略三角形である。
【0003】
この密封装置は、リップエッジ22を軸の周面に摺動自在に接触させて基本的な密封機能を奏するとともに、軸との相対回転により発生するねじ状リブ24のポンピング作用により密封性能を向上させたものであるが、以下のような不都合を有している。
【0004】
すなわち図11の接触履歴(図の黒塗り部がリップエッジ22およびねじ状リブ24の軸に対する接触状態を示している)が示すように、密封流体側Aと大気側Bとをリップエッジ22による唯一のエンドレスな接触部が仕切る構造であるために、リップ傷、軸傷または異物侵入等により接触部に途切れが生じると直ちに密封流体(密封液)が漏れる虞がある。また、ねじ状リブ24付近の密封流体膜が大気側の境界部で飛沫状に絶えず振動するために、膜の状態が不安定となり、飛沫漏れや反対に潤滑切れを生じ、密封機能が不安定となったり、大気側のダストや摩耗粉等の異物を噛み込む虞がある。またねじ状リブ24が早期に摩耗して、ポンピング効果が低下し易い不都合もある。
【0005】
図12は他の従来例として、ねじ状リブ24の一本一本が船底状のものを示しているが、この例にも上記した不都合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑み、上記従来技術と比較して密封性能および耐久性能に優れた密封装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の密封装置は、一つのシールリップ(4)に摺動の相手材に接触する複数のリップエッジ(6)を備え、前記複数のリップエッジ(6)の間に長手方向の両端部がそれぞれ前記リップエッジ(6)に一体に連結され、前記リップエッジ(6)の各最内周縁部を稜線で結ぶ高さの多数のねじ状リブ(7)を円周方向に並べて設けることにした。
【0008】
上記構成を備えた本発明の密封装置においては、一つのシールリップにリップエッジが複数備えられているためにエンドレスな接触部が複数形成され、その間の空間部にねじ状リブが配置される。したがってこのねじ状リブが恰もベーンポンプのように羽根状に回転して動水力学的に強力なポンピング効果を発揮するために密封性能が向上し、更にリブ間の空間に密封流体が比較的多量に介在するために摺動の低トルク化が実現され、リップエッジの摩耗が抑制され、リブの摩耗も少なく、長期に亙る密封が可能となる。
【0009】
また上記したようにエンドレスな接触部が複数形成されるために、例え一本の接触部に途切れが生じても更なる接触部があるために密封流体が直ちに漏洩せず、よって信頼性の高い密封装置を構成することができる。複数の接触部のうち大気側の接触部には、外部からのダストや摩耗粉等の異物が摺動部に噛み込みにくくする効果もある。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
【0011】
第一実施形態・・・
図1に示すように、断面略L字形の金属環1にゴム状弾性体2が焼き付けられており、このゴム状弾性体2によって、金属環1の外周側にハウジング15(図4参照)の軸孔内周に嵌着される環状の固定密封部3が設けられるとともに、同じく金属環1の内周側に摺動の相手材である軸16(図4参照)に接触して動的密封作用を奏する環状のシールリップ4が設けられ、更にこのシールリップ4に軸16に対するシールリップ4の追随性を補うガータスプリング5が嵌着されている。
【0012】
シールリップ4の内周部に、軸16の周面に直接接触する環状のリップエッジ6が二本所定の間隔を開けて設けられており、この二本のリップエッジ6の間に多数のねじ状リブ7が等配状に設けられている。
【0013】
ねじ状リブ7は、以下のようなものである。
【0014】
すなわち先ず、その断面形状は略三角形であって、図2に示すようなα=βの等辺形状としたり、または図3に示すようなα<βに傾斜させた楔形状としたりしてポンピング特性を調整する。
【0015】
また、そのねじとしての傾斜角度は20〜40度程度であって、この角度を変えることによってもポンピング特性を調整することが可能である。
【0016】
また、このねじ状リブ7は、長手方向の両端部がそれぞれリップエッジ6に一体に連結されるとともに、二本のリップエッジ6の各最内周縁部を稜線で結ぶように高さを設定されており、これにより二本のリップエッジ6が軸16に接触すると、このねじ状リブ7も確実に軸16に接触するようになっている。
【0017】
リップエッジ6は、以下のようなものである。
【0018】
すなわち先ず、その断面形状は図1に示したように、略三角形であって、密封流体側Aの傾斜角度が比較的大きく、大気側Bの傾斜角度が比較的小さくなるような楔形状とされている。
【0019】
また二本のリップエッジ6の各最内周縁の軸方向間隔は実寸で1.0〜2.0mm程度、二本のリップエッジ6の間の凹部8の深さは実寸で0.3〜0.6mm程度が好適であるが、これらの数値は、設計スペース、接触部の数またはポンピング効果の調節等のために適宜変更される。凹部8の深さは換言すれば、ねじ状リブ7の高さということになる。
【0020】
図4は当該実施形態に係る密封装置の装着状態の一例を示しており、図における密封装置の右側に密封流体である油等の液体が封入されている。
【0021】
上記構成を備えた密封装置は、以下の作用効果を奏する。
【0022】
すなわち先ず第一に、シールリップ4の内周部にリップエッジ6が二本備えられているために、図5の接触履歴(図の黒塗り部がリップエッジ6およびねじ状リブ7の軸16に対する接触状態を示している)が示すように、エンドレスな接触部が二本形成され、その間の空間部にねじ状リブ7が配置される。したがってこのねじ状リブ7が恰もベーンポンプのように羽根状に回転して動水力学的に強力なポンピング効果を発揮するために、これにより密封性能を向上させることができる。またそればかりでなくリブ7間の空間に密封流体が比較的多量に介在するために、摺動の低トルク化が実現され、リップエッジ6の摩耗が抑制され、リブ7の摩耗も少なく、長期に亙る密封が可能となる。したがってこれらのことから密封性能および耐久性能の双方に優れた密封装置を提供することができる。
【0023】
また上記したようにエンドレスな接触部が二本形成されるために、例え一本の接触部に途切れが生じても更なる接触部があるために密封流体が直ちに漏洩せず、よって信頼性の高い密封装置を構成することができる。複数の接触部のうち大気側の接触部には、外部からのダストや摩耗粉等の異物が摺動部に噛み込みにくくする効果もある。したがってこれらのことからも密封性能および耐久性能の双方に優れた密封装置を提供することができる。
【0024】
第二実施形態・・・
図6の例では、ゴム状弾性材製のシールリップ4を成形型で成形してから、このシールリップ4の先端部に若干の環状の段部9を残す形でバリ10をメス等でカット(切削加工)している。このようにすると製品に段部9が残ることになるが、カットの仕方がリップエッジ6の形状に影響を与えないために、製作を容易化することができる。他の構成は上記した第一実施形態と同じである。
【0025】
第三実施形態・・・
図7の例では、PTFE等の樹脂よりなる環状のシールリップ4がその外周部において断面略L字形を呈する二つの金属環1の間に挾み込まれており、このシールリップ4の内周部に軸に接触する環状のリップエッジ6が二本所定の間隔を開けて設けられ、この二本のリップエッジ6の間に多数のねじ状リブ7が等配状に設けられている。他の構成は上記した第一実施形態と同じである。
【0026】
PTFE等の樹脂部材には、ゴム状弾性体に比べて密封性能のねじによるポンピング特性への依存度が高く、またシールリップ4先端の接触部に傷が付き易く、一旦傷が付いたら回復できない材質的な特徴がある。したがって本発明の利用価値がことのほか大きい。
【0027】
またPTFE等の樹脂製のシールリップ4への、ねじ形状の成形は、曲げ加工前の平面ワッシャ状のときに加熱状態で加圧しても良いし、或は樹脂部材の射出成形で、型内でリップ部材として成形しても良い。
【0028】
第四実施形態・・・
図8の例では、ゴム状弾性材よりなる環状のシールリップ4の先端部にPTFE等よりなる環状の樹脂部材11が接着され、この樹脂部材11の内周部に軸に接触する環状のリップエッジ6が二本所定の間隔を開けて設けられ、この二本のリップエッジ6の間に多数のねじ状リブ7が等配状に設けられている。他の構成は上記した第一実施形態と同じである。
【0029】
樹脂部材11は曲げ加工前のワッシャ状のときに、これをゴム成形型に挿入し、このワッシャをゴムの加硫成形と同時にシールリップ4に焼き付ける。この場合、ゴム成形型のコア部に上記したねじパターンを彫り込んでおくと、加硫成形時の温度および圧力により、上記ねじ構造を容易に成形することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0031】
すなわち上記構成を備えた本発明の密封装置においては、一つのシールリップの内周部にリップエッジが複数備えられているために、エンドレスな接触部が複数形成され、その間の空間部にねじ状リブが配置される。したがってこのねじ状リブが恰もベーンポンプの如く羽根状に回転して動水力学的に強力なポンピング効果を発揮し、これにより密封性能を向上させることができる。またそればかりでなくリブ間の空間に密封流体が比較的多量に介在するために、低トルク化が実現され、リップエッジの摩耗が抑制され、リブの摩耗も少なく、長期に亙る密封が可能となる。したがってこれらのことから密封性能および耐久性能の双方に優れた密封装置を提供することができる。
【0032】
また上記したようにエンドレスな接触部が複数形成されるために、例え一本の接触部に途切れが生じても更なる接触部があるために密封流体が直ちに漏洩せず、よって信頼性の高い密封装置を構成することができる。複数の接触部のうち大気側の接触部には、外部からのダストや摩耗粉等の異物が摺動部に噛み込みにくくする効果もある。したがってこれらのことからも密封性能および耐久性能の双方に優れた密封装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る密封装置の一部断面図
【図2】図1のA−A線拡大断面図
【図3】ねじ状リブの他の断面形状例を示す断面図
【図4】同密封装置の装着状態を示す断面図
【図5】同密封装置の接触履歴を示す説明図
【図6】本発明の第二実施形態に係る密封装置の一部断面図
【図7】本発明の第三実施形態に係る密封装置の一部断面図
【図8】本発明の第四実施形態に係る密封装置の一部断面図
【図9】従来例に係る密封装置の一部断面図
【図10】図9のB−B線拡大断面図
【図11】同密封装置の接触履歴を示す説明図
【図12】他の従来例に係る密封装置の一部断面図
【符号の説明】
1 金属環
2 ゴム状弾性体
3 固定密封部
4 シールリップ
5 ガータスプリング
6 リップエッジ
7 ねじ状リブ
8 凹部
9 段部
10 バリ
11 樹脂部材
15 ハウジング
16 軸
Claims (1)
- 一つのシールリップ(4)に摺動の相手材に接触する複数のリップエッジ(6)を備え、
前記複数のリップエッジ(6)の間に長手方向の両端部がそれぞれ前記リップエッジ(6)に一体に連結され、前記リップエッジ(6)の各最内周縁部を稜線で結ぶ高さの多数のねじ状リブ(7)を円周方向に並べて設けたことを特徴とする密封装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP31262596A JP3560111B2 (ja) | 1996-11-11 | 1996-11-11 | 密封装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31262596A JP3560111B2 (ja) | 1996-11-11 | 1996-11-11 | 密封装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10141507A JPH10141507A (ja) | 1998-05-29 |
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Family
ID=18031460
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP31262596A Expired - Fee Related JP3560111B2 (ja) | 1996-11-11 | 1996-11-11 | 密封装置 |
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1996
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