JP3559253B2 - 残留塩素計およびこれを用いた液体殺菌装置 - Google Patents

残留塩素計およびこれを用いた液体殺菌装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、残留塩素計に関し、詳しくは多孔性材料を用いて形成された電極を有する残留塩素計、およびこの残留塩素計を用いた液体殺菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浴槽やプール内の水等の液体について殺菌処理を行う業務用あるいは家庭用の液体殺菌装置には、通常、液体の殺菌状態(いわゆる液体の残留塩素濃度の状態)を判断するために、残留塩素計が設けられている。そして、この残留塩素計の測定値に基づいて、浴槽等に必要量の塩素が供給され、使用状況に適応するように液体の殺菌が行われている。
【0003】
従来技術にかかる残留塩素計には、様々な種類のものが存在し、例えば、ポーラログラフ方式、隔膜式、ガルバーニ式等がある。
【0004】
図6は、従来技術にかかる残留塩素計の電極部近傍の概略構成図を示したものであり、この残留塩素計は、ポーラログラフ方式の残留塩素計(以下、単に「残留塩素計」という。)である。図6において、残留塩素計は、第一の電極210と、第二の電極220と、この第二の電極220を回転させるために設けられたモータ部230と、複数のビーズ240とを用いて構成されている。ここで、第一の電極210は対極と呼ばれ、例えば塩化銀(AgCl)を用いて形成されている。また、第二の電極220は作用極と呼ばれ、例えば白金(Pt)を用いて形成されている。
【0005】
図6に示された残留塩素計は、残留塩素濃度を測定する手段として一対の電極(第一の電極210および第二の電極220)を有しており、液体の残留塩素を測定する際には、この一対の電極210,220を液体中に浸漬する。一対の電極210,220を液体中に浸漬することによって、電極間には電位差が生じ、残留塩素濃度に比例して還元電流が発生する。したがって、図6に示された残留塩素計においては、この還元電流に基づいて残留塩素濃度を測定している。
【0006】
また、従来技術にかかる残留塩素計においては、常に、モータ部230によって、第二の電極(作用極)220を回転させている。そうすると、第二の電極220の周りに設けられている複数のビーズ240と、第二の電極220とが接触を繰り返すこととなり、液体中のカルシウム・鉄分等の汚れが第二の電極220に付着しにくくなる。すなわち、従来技術にかかる残留塩素計によれば、第二の電極220は、複数のビーズ240によって、常に洗浄されていることとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にかかる残留塩素計においては、次のような問題があった。
【0008】
上記残留塩素計においては、作用極である第二の電極220にて主反応が起こり、対極である第一の電極210にて副反応が起こることによって、測定対象たる液体中の残留塩素濃度の測定が行われる。よって、このように構成された残留塩素計においては、両電極210,220に汚染等が生ずると、上記反応が適切に行われないこととなり、残留塩素濃度の測定感度が低下してしまう。特に、上記従来技術においては、金属イオンの付着等によって面積の小さい対極(第一の電極210)が汚れやすい。そして、第一の電極210が汚染されると、作用極(第二の電極220)が反応可能な状況(例えば、特に汚染されていない状態)にあっても、両反応が促進されず、残留塩素濃度の測定感度が低下する。
【0009】
このような問題を解決するために、従来技術においては、対極(第一の電極210)についても機械洗浄等を行う場合がある。しかしながら、一般的に、対極は面積が小さいため、簡単に汚れやすく、機械洗浄等を行っても十分な効果を得ることが難しい。つまり、従来技術においては、面積の小さな対極を有しているため、若干の汚れが発生した場合であっても、作用極(第二の電極220)が必要とする反応電流を供給できないことがあり、反応および測定感度が低下してしまう。
【0010】
さらに、上記従来技術にかかる残留塩素計を用いて、純水についての測定を行う場合においては、純水は電気伝導度が低いために測定が困難であり、加えて、上述した種々の理由から、従来の装置は、作用極の反応に対して対極が追従できない。したがって、従来技術にかかる残留塩素計によれば、純水中の残留塩素濃度の測定を適切に行うことが困難であった。
【0011】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、汚れに強く、高い安定性等を有する残留塩素計、およびこの残留塩素計を用いた液体殺菌装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明にかかる残留塩素計は、電極を用いて残留塩素濃度の測定を行う測定手段を備えた残留塩素計であって、前記測定手段が電子を受容する対極および電子を供給する作用極を有し、前記対極が多孔性材料を用いて形成され、前記作用極が金属材料を用いて形成されていることを特徴としている。具体的には、対極として機能する電極が多孔性材料にて形成され、作用極として機能する電極が金属材料(例えば白金等)を用いて形成される。
【0013】
このように構成された残留塩素計によれば、多孔性材料を用いて電極が構成されているため、サンプル液との接触面積を飛躍的に向上させることができる。したがって、このような残留塩素計によれば、電極に若干の汚れが付着しても、汚れが付着していない部分の面積が大であるため、その部分を用いて、上述した残留塩素濃度を測定する際に必要な反応電流を十分に供給可能である。つまり、この構成によれば、従来よりも、汚れに強く、高い安定性を有する残留塩素計を得ることができる。また、このような残留塩素計によれば、作用極の反応に対極が容易に追従可能であるため、電気伝導度が低い純水等についても適切な測定を行うことができる。
【0014】
また、このように構成された残留塩素計によれば、一方の電極(対極)が多孔性材料を用いて形成され、他方の電極(作用極)が金属材料を用いて形成されているため、対極に若干の汚れが付着しても、多孔性材料から成る対極は作用極が必要とする反応電流を十分に供給可能である。つまり、大きな面積を有する対極を用いることによって、残留塩素濃度を測定する際の主反応および副反応を適切に促進させることができるため、残留塩素濃度の測定を高い感度にて行うことができる。
また、従来であれば対極の能力不足等が原因となって、測定範囲に応じて作用極の面積等を変更していたが、上記構成を有する残留塩素計によれば、極端に大きな接触面積を有する対極が用いられているため、いかなる作用極に対しても、必要とする反応電流を十分に供給可能である。したがって、広い濃度測定範囲を有する残留塩素計を得ることができる。また、対極の反応電流供給性能に十分な余裕があるため、残留濃度測定の際の検知電圧を低減させることもできる。
【0015】
さらに、前記残留塩素計は、測定対象たる液体を残留塩素計内に流入させるための流入部と、測定対象たる液体を残留塩素計外に流出させるための流出部とが設けられ、ビーズを用いて電極の洗浄を行う洗浄手段を備え、前記ビーズが、前記他方の電極の周囲に設けられ、測定対象たる液体の流れにより流動して前記他方の電極(金属材料から成る電極)に接触する。
【0016】
このように構成された残留塩素計によれば、測定対象たる液体の流れによって前記ビーズが流動して、前記ビーズと前記測定手段を構成する金属材料から成る電極とが接触を繰り返すこととなる。そうすると、前記ビーズによって、金属材料から成る前記他方の電極に対する汚れが付着しにくくなり、また、付着していた汚れも取り除かれる。したがって、この構成によれば、モータ等の動力を用いずに、測定手段の洗浄を効果的に行うことが可能となる。
【0017】
また、本発明にかかる残留塩素計においては、前記対極が白金板の表面に炭素繊維を張り付けて構成されていることが好ましい。
この好ましい構成によれば、白金板に炭素繊維を張り付けているため、薄く形成された炭素繊維を適切に保持して対極を構成することができる。また、このように白金板を用いることによって、炭素繊維に効果的に電流を供給することができる。
【0018】
また、本発明にかかる残留塩素計においては、前記多孔性材料が炭素繊維あるいは焼結金属であることが好ましい。このような構成において、焼結金属を用いる場合には、耐食性を有する材料にて形成するか、あるいは耐食性を有する材料等にてメッキ処理を施すことが好ましい。
【0019】
また、上記課題を解決するための本発明にかかる液体殺菌装置は、測定対象たる液体のサンプル液の残留塩素濃度を測定する残留塩素測定手段と、該残留塩素測定手段の測定値に基づいて前記液体に塩素を供給する塩素供給手段とを備えた液体殺菌装置において、前記残留塩素測定手段として、上述した構成のいずれかの残留塩素計を用いたことを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、上述したように、汚染等に強く、高い安定性を有する等の特徴を有する残留塩素計を用いて液体殺菌装置が構成されているので、前記サンプル液の汚染や濃度変化が大きくなったとしても、正確な残留塩素濃度の測定を行うことが可能となる。つまり、このように構成された液体殺菌装置であれば、この正確な残留塩素濃度の測定値に基づき、適切な殺菌処理を行うことが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態にかかる残留塩素計の概略側面図(部分断面図を含む)を示したものであり、図2は、図1のII−II線矢視図である。また、図3は、本実施形態にかかる残留塩素計を構成する第一電極部の概略図を示したものであり、図3(a)は第一電極部の側面図(部分断面図を含む)、図3(b)は図3(a)のIII−III線矢視図である。さらに、図4は、本実施形態にかかる残留塩素計を構成する第二電極部の概略図を示したものであり、図4(a)は第二電極部の側面図(部分断面図を含む)、図4(b)は図4(a)のIV−IV線矢視図である。
【0023】
図1に示された本実施形態にかかる残留塩素計1は、浴槽やプール等内における液体のサンプル液の残留塩素濃度を測定するための装置であり、この残留塩素計1には、サンプル液を残留塩素計1内に流入させるための流入部70と、サンプル液を残留塩素計1外に流出させるための流出部80とが設けられている。
【0024】
残留塩素計1は、サンプル液の残留塩素濃度の測定を行う測定手段たる一対の電極部(第一電極部10,第二電極部20)と、第二電極部20の電極表面の洗浄を行うために設けられた複数のビーズ31を有する洗浄部30と、電極部10,20に接触するサンプル液の流量を調整するために設けられた調整バルブ40と、電極部10,20、洗浄部30(本発明の「洗浄手段」に相当)、および調整バルブ40を保持し、サンプル液の流通経路を有するホルダ部50等とを用いて構成されている。
【0025】
第一電極部10は、図3に示すように構成されており、具体的には、対極として機能する第一電極11と、この第一電極11を保持すると共に、サンプル液の流通経路12aが形成された第一電極保持部12等とを用いて構成されている。第一電極11は、白金板11bの表面に炭素繊維電極11a(本発明の「炭素繊維」に相当)を張り付けて構成されている。そして、この第一電極11を第一電極保持部12に保持する際には、白金板11bを保持部12側に向けて、サンプル液が接触しやすい位置に炭素繊維電極11aを設ける。本実施形態においては、このように白金板11bに炭素繊維電極11aを張り付けているため、薄く形成された炭素繊維電極11aを適切に保持して第一電極11を構成することができる。また、このように白金板11bを用いることによって、炭素繊維電極11aに効果的に電流を供給することができる。
【0026】
また、この第一電極部10を成す第一電極保持部12には、第一電極部10をホルダ部50に螺合させるためのネジ部12bが形成されている。そして、本実施形態においては、液漏れ防止のために、ネジ部12bの上方にOリング等のパッキン13(図1参照)を取り付けた状態にて、第一電極部10をホルダ50に螺合、装着させる。
【0027】
第二電極部20は、図4に示すように構成されており、具体的には、作用極として機能する第二電極21と、本体部22等とを用い、第二電極部20の先端面から第二電極21の電極面が表出するように構成されている。
ここで、第二電極21は、例えば、Pt(白金)を用いて形成されている。また、本体部22は、例えば、PVC(塩化ビニル樹脂)を用いて形成されている。
【0028】
本体部22内において、第二電極21はリード線23に接続され、残留塩素濃度の測定時においては、これらのリード線23を介して、所定の電圧が一対の電極部10,20(電極11,21)に印可される。第二電極21とリード線23とは、それぞれゴム栓24を介して接続されている。こうすることにより、耐水性をより向上させることができる。
【0029】
また、第二電極部20の端面においては、第二電極21の先端部周囲にOリング25が設けられている。このように構成したことにより、第二電極部20の先端から本体部22内への液体の流入を防止することが可能となり、第二電極部20の耐水性をさらに向上させることができる。
そして、この電極21、リード線23およびゴム栓24、本体部22内において、エポキシ樹脂等から成る接着剤26を用いて固定されている。このように構成したことにより、第二電極部20の耐圧性を向上させることが可能であるとともに、耐水性をも向上させることができる。
【0030】
また、第二電極部20をホルダ部50に取り付ける際には、第二電極部20とホルダ部50との間におけるサンプル液の漏出を防止するために、第二電極部20の適当な箇所にパッキン(図示省略)が設けられている。さらに、第二電極部20は、電極部20に設けられた電極ナット29を用いてホルダ部50に取り付けられている。
【0031】
第二電極部20を構成する第二電極21の表面を洗浄するために設けられた洗浄部30を構成するビーズ31は、例えば、ガラス、セラミック等を用いて形成されており、ビーズ受け部(図示省略)に封入されている。このビーズ受け部は、第一のビーズ受けと第二のビーズ受けとを用いて構成されており、それぞれ、例えば、SUS等を用いて形成されている。第一のビーズ受けおよび第二のビーズ受けは、サンプル液が流通可能であるように形成されている。第一のビーズ受けは、複数の貫通孔を穿孔したSUS製の薄板を円筒状に形成して成り、第二のビーズ受けは、SUS製の網を用いて形成されている。
【0032】
調整バルブ40は、ホルダ部50に形成されたサンプル液の流路の開閉を行うニードル部41と、このニードル部41の調節を行うハンドル部42とを用いて構成されている。ここで、調整バルブ40は、例えば、PVC(塩化ビニル樹脂)を用いて形成されている。
【0033】
ホルダ部50は、電極部10,20、洗浄部30、および調整バルブ40等を保持するように形成され、ホルダ部50の内部には、サンプル液の流通経路が形成されている。また、ホルダ部50におけるサンプル液の流入箇所には、流入部70をホルダ部50に接続するための流入部接続口50aが設けられ、ホルダ部50におけるサンプル液の流出箇所には、流出部80をホルダ部50に接続するための流出部接続口50bが設けられている。ここで、ホルダ部50は、例えば、アクリル樹脂を用いて形成されている。
【0034】
また、流入部70および流出部80には、適宜、流量あるいは流速調整用のバルブ等を設けてもよい。そうすれば、残留塩素計1内に流入するサンプル液の流量、流速等を適宜調整することが可能となり、安定した残留塩素濃度の測定を行うことができる。
【0035】
本実施形態にかかる残留塩素計1は、以上説明したように、ホルダ部50に、電極部10,20、洗浄部30、および調整バルブ40等を装着して構成されている。したがって、各構成要素をホルダ部50に装着する際には、各構成要素とホルダ部50との間からサンプル液が漏出しないように考慮し、例えば、各構成要素をパッキン等を介してホルダ部50に装着する。
【0036】
また、各電極部10,20をホルダ部50に装着する際には、各電極部10,20の電極11,21表面(残留塩素濃度を測定する部位)に、第一の流路50bから流入するサンプル液が適当に接触して、電極部10,20において残留塩素濃度を安定して測定できるように、サンプル液の流れA(図1参照)に対する電極11,21の表面位置を、適宜、適当に設定して装着する。
【0037】
以上のように構成された本実施形態にかかる残留塩素計1においては、以下のようにして、サンプル液の残留塩素濃度の測定が行われる。
【0038】
まず、流入部接続口50aに接続された流入部70からサンプル液が流入され、このサンプル液が、図1に示された流入経路Aに沿って流通する。この際、流通するサンプル液の流量等の調整は調整バルブ40によって行われ、必要に応じて適宜各流路に流通するサンプル液の流量等が調整される。
【0039】
次に、このようにして流入したサンプル液によって、各電極11,21の表面がサンプル液に浸漬された状態となる。また、このサンプル液の流通によって、複数のビーズ31が流動することとなる。そうすると、残留塩素濃度の測定部位である第二電極21の先端部(露出端面)が、複数のビーズ31と接触を繰り返すこととなり、液体中のカルシウム・鉄分等の汚れが第二電極部20の先端部端面に付着しにくくなる。
【0040】
本実施形態にかかる残留塩素計1によれば、残留塩素計1内を流通経路A(図1参照)に沿ってサンプル液が流れ、測定部位である各電極11,21の表面がが、サンプル液に浸漬した状態となるので、サンプル液の残留塩素濃度を適当に測定することができる。
【0041】
また、本実施形態にかかる残留塩素計1においては、対極として機能する第一電極11が炭素繊維(炭素繊維電極11a)を用いて構成されているため、この第一電極11とサンプル液との接触面積が、従来よりも飛躍的に大きくなる。これは、炭素繊維が多孔性材料であるからであり、具体的には、従来の金属電極の場合と比較すると、その接触面積は100万倍程度となる。このことから、本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0042】
まず、本実施形態によれば、従来よりも対極(第一電極11)の面積が極端に大きく形成されているため、対極に若干の汚れ等が付着しても、汚れが付着していない部分において、作用極(第二電極12)が必要とする反応電流を十分に供給可能である。つまり、従来技術において各電極における主反応および副反応が促進されない程度の汚れが対極に付着したとしても、大きな面積を有する対極(第一電極11)を用いることによって、両反応を適切に促進させ、残留塩素濃度の測定を高い感度にて行うことができる。したがって、本実施形態によれば、イオン付着等の影響を受けず、汚れに強く、高い安定性を有する、残留塩素計を得ることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、作用極(第二電極21)の面積を変更することなく、残留塩素濃度の測定範囲を広げることが可能となる。従来は、対極の能力不足等が原因となって、測定範囲に応じて作用極の面積等を変更して、必要な濃度測定範囲に対応していた。しかしながら、本実施形態においては、上述したように、極端に大きな面積を有する対極(第一電極11)が用いられているため、いかなる作用極に対して、必要とする反応電流を十分に供給可能である。したがって、本実施形態によれば、広い濃度測定範囲を有する残留塩素計を得ることができる。
さらに、このように、本実施形態にかかる残留塩素計を成す対極(第一電極11)には反応電流供給性能に十分な余裕があるため、残留濃度測定の際の検知電圧を低減させることも可能となる。
【0044】
以上のように、本実施形態にかかる残留塩素計は、対極を炭素繊維電極11aを用いて構成しているため、測定能力(測定感度、測定精度等)が飛躍的に高まることとなる。したがって、導電率が低い純水中の残留塩素濃度の測定や、無試薬での残留塩素濃度の測定を容易に行うことが可能となる。
【0045】
さらに、本実施形態にかかる残留塩素計1においては、サンプル液の流通によって、複数のビーズ31が流動することとなる。したがって、本実施形態によれば、残留塩素濃度の測定部位である第二電極21の露出端面が、複数のビーズ31と接触を繰り返すこととなり、液体中のカルシウム・鉄分等の汚れが第二電極部20の先端部端面に付着しにくくなるので、第二電極部20の端面を効果的に洗浄することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、モータ等の動力を用いずに、第二電極部20とビーズ31とを接触させて、第二電極部20の洗浄を行うので、従来よりも経済性に優れた残留塩素計を得ることができる。
【0046】
次に、上述した残留塩素計を用いて構成された液体殺菌装置について説明する。
【0047】
図5は、先に説明した残留塩素計1を用いて構成された液体殺菌装置の概略図を示したものであり、具体的には、本実施形態にかかる液体殺菌装置を、浴槽90の水を殺菌するために用いた状態を示した概略図である。
【0048】
図5において、本実施形態にかかる液体殺菌装置は、循環ポンプ95および濾過器96を介して循環されている浴槽90中の水を定期的にサンプリングし、そのサンプリングした水(以下「サンプル水」という。)の残留塩素濃度に基づいて、浴槽90中の水を殺菌している。この液体殺菌装置は、サンプル水の残留塩素濃度を測定する残留塩素計1と、この残留塩素計1の測定値に基づいて浴槽90中に塩素を供給する塩素供給手段を構成する次亜タンク92および次亜注入ポンプ94と、残留塩素計1と次亜注入ポンプ94との制御を行う制御装置93とを具備している。また、本実施形態にかかる液体殺菌装置においては、残留塩素濃度の測定を行った後のサンプル水を、再度、配管中に戻すように構成されている。
【0049】
本実施形態にかかる液体殺菌装置を構成する残留塩素計は、前述したように、対極(第一電極11)が炭素繊維を用いて構成されているため、汚れに強く、高い安定性を有し、幅広い範囲での測定が可能である。したがって、このような残留塩素計を備えた液体殺菌装置であれば、サンプル水中の残留塩素濃度が極端に大きく変化した場合であっても、容易に対応可能であって、測定誤差等を減少させ、正確な残留塩素の測定が可能である。よって、本実施形態にかかる液体殺菌装置によれば、この正確な測定値に基づき、適切な殺菌処理を行うことが可能となる。
【0050】
また、本実施形態にかかる液体殺菌装置は、従来の液体殺菌装置のようにサンプル水を外部に排出することなく、残留塩素濃度測定後のサンプル水を再度浴槽90中に戻すように構成されている。すなわち、本実施形態にかかる液体殺菌装置においては、残留塩素濃度測定後のサンプル水をドレンとして排出することなく、再度浴槽90中に循環させて使用することができる。
したがって、本実施形態によれば、水の補給およびガス等の燃料による加温を必要最低限に抑え、水の補給や加温操作を行う制御系等も不要となるので、装置の複雑化を防止し、運転コスト等の向上をも抑制することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態においては、本実施形態にかかる液体殺菌装置を浴槽90の水を殺菌するために用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、プールあるいは飲料水の貯水槽等の水を殺菌するために本実施形態にかかる液体殺菌装置を用いてもよい。さらに、水以外の液体の殺菌を行うために、本発明にかかる装置および方法を適用してもよい。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態においては、対極が炭素繊維を用いて構成された場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、対極は、焼結金属等の他の多孔性材料を用いて構成してもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、対極を炭素繊維等の多孔性材料を用いて構成することによって、汚れに強く、高い安定性等を有する残留塩素計、およびこの残留塩素計を用いた液体殺菌装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる残留塩素計の部分断面図を含んだ概略側面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】本実施形態にかかる残留塩素計を成す第一電極部の概略図であって、図3(a)は部分断面図を含んだ概略側面図、図3(b)は図3(a)のIII−III線矢視図である。
【図4】本実施形態にかかる残留塩素計を成す第二電極部の概略図であって、図4(a)は部分断面図を含んだ概略側面図、図4(b)は図4(a)のIV−IV線矢視図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる液体殺菌装置の概略図
【図6】従来技術にかかる残留塩素計の電極部近傍の概略図
【符号の説明】
1…残留塩素計
10…第一電極部、11…第一電極(対極)、11a…炭素繊維電極、11b…白金板、12…第一電極保持部、12a…流通経路、12b…ネジ部、13…パッキン
20…第二電極部、21…第二電極(作用極)、22…本体部、23…リード線、24…ゴム栓、25…Oリング、26…接着剤、29…電極ナット
30…洗浄部(洗浄手段)、31…ビーズ
40…調整バルブ、41…ニードル部、42…ハンドル
50…ホルダ部、50a…流入部接続口、50b…流出部接続口
70…流入部
80…流出部
90…浴槽、92…次亜タンク、93…制御装置、94…次亜注入ポンプ、95…循環ポンプ、96…濾過器

Claims (5)

  1. 電極を用いて残留塩素濃度の測定を行う測定手段を備えた残留塩素計であって、
    前記測定手段が電子を受容する対極および電子を供給する作用極を有し、前記対極が多孔性材料を用いて形成され、前記作用極が金属材料を用いて形成されており、
    測定対象たる液体を残留塩素計内に流入させるための流入部と、測定対象たる液体を残留塩素計外に流出させるための流出部とが設けられ、
    ビーズを用いて電極の洗浄を行う洗浄手段を備え、前記ビーズが、前記作用極の周囲に設けられ、測定対象たる液体の流れにより流動して前記作用極に接触することを特徴とする残留塩素計。
  2. 前記多孔性材料が炭素繊維である請求項1に記載の残留塩素計。
  3. 前記多孔性材料が焼結金属である請求項1に記載の残留塩素計。
  4. 前記対極が白金板の表面に炭素繊維を張り付けて構成されている請求項1に記載の残留塩素計。
  5. 測定対象たる液体のサンプル液の残留塩素濃度を測定する残留塩素測定手段と、該残留塩素測定手段の測定値に基づいて前記液体に塩素を供給する塩素供給手段とを備えた液体殺菌装置において、前記残留塩素測定手段として、請求項1からのいずれか1項に記載の残留塩素計を用いたことを特徴とする液体殺菌装置。
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