JP3559124B2 - ランナー固定金具の取付構造 - Google Patents

ランナー固定金具の取付構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱内壁下地パネルを施工する際に用いられるランナー固定金具の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄骨構造の建物において、外壁にカーテンウォール構造を採用する場合、特開平8−13654号公報に記載されるように、内壁の施工に際して、縦桟および横桟によって矩形に枠組みされた木製枠材の各区画された枠内部に断熱材を詰め込むとともに、その片面に防水防湿シートを貼着してなる断熱内壁下地パネルを外壁から離隔して床材に立設することにより、断熱内壁下地を形成することが提案されている。
【0003】
この断熱内壁下地は、断熱内壁下地パネルの上端部に金具本体を固定する一方、床材に鉄骨梁に合わせてランナーを固定し、断熱内壁下地パネルの下端部をランナーに差し込むとともに、金具本体を鉄骨梁の下フランジの室内側端縁に当接させ、固定部材を金具本体を通して鉄骨梁の下フランジの室内側端縁部に噛み込ませて固定することにより形成されるものである。この結果、室内空間の断熱性を高めると同時に、外壁裏面と断熱材との間に通風空間を確保して内部結露の発生を防止するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した断熱内壁下地を形成する場合、断熱内壁下地パネルの立設位置は、鉄骨梁に合わせて床材に固定されたランナーおよび鉄骨梁の下フランジの室内側端縁に当接する金具本体によって自動的に決定されることから、断熱内壁下地パネルを外壁により近づけて、あるいは、外壁からより離して立設するためには、外壁に対する断熱内壁下地パネルの立設位置に合わせて大きさの異なる複数種類の金具本体が必要になるものである。したがって、大きさが同じ単一の金具本体を使用するかぎり、室内空間をより広く確保しようとする場合や、和室に障子を設ける場合、あるいは、柱との関係などにより、外壁からの距離を変えて断熱内壁下地パネルを立設することは不可能である。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、鉄骨梁に簡単に取り付けることができるとともに、断熱内壁下地パネルを建て込む際に用いられるランナーを任意の位置に取り付けることのできるランナー固定金具の取付構造を提供するものである。
【0006】
本発明は、鉄骨梁の下フランジに設けられてランナーを固定するようになされたランナー固定金具の取付構造であって、ランナー固定金具は、取り付け部およびこの取り付け部の両端から上方に向けて折曲された垂直部を備える断面コ字状に形成され、取り付け部下にランナーをビス固定するようになされた下地材と、この下地材の取り付け部に固定された補強部、この補強部の両端から鉄骨梁の下フランジの幅に相当する間隔をおいて上方に向けて折曲された垂直部およびこれらの垂直部の上端から内方に向けて折曲された当接部を備える断面略C字状のブラケットと、このブラケットの各垂直部に固定され、鉄骨梁の下フランジの左右端縁に係合して鉄骨梁の下フランジをブラケットの当接部との間で挟持するようになされた係合部を有する係合バネ片とからなり、下地材の取り付け部および垂直部は、断熱内壁パネルの上端部が差し込まれる断面略コ字状のランナーの中心と鉄骨梁の中心とが一致する標準位置から室外側に一定距離移動させた位置または鉄骨梁の幅よりもさらに室内側にランナーの中心が位置する所まで一定距離移動させた位置にそれぞれランナーを固定することができる長さに形成されるとともに、補強部は標準位置と、この標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置とに孔または切り欠き部が形成されてなり、このランナー固定金具は、係合バネ片が鉄骨梁の下フランジの左右端縁に係合され、係合バネ片とブラケットの当接部とによって鉄骨梁の下フランジを挾持した状態に取り付けられ、この下地金具の取り付け部において、ランナーが、その中心と鉄骨梁の中心とが一致する標準位置、あるいはこの標準位置から室外側または室内側に下地金具の取り付け部の長さの範囲内において一定距離移動させた位置に設けられ、補強部の孔または切り欠き部を通して取り付け部にビス固定できるようになされたことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例の形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図1には、本発明のランナー固定金具が示されている。
【0009】
このランナー固定金具1は、鉄骨梁Hの下フランジh1に取り付けられるもので、取り付け部111およびこの取り付け部111の両端から上方に向けて折曲された垂直部112を備える断面コ字状の下地材11と、この下地材11の取り付け部111に溶着された補強部121、この補強部121の両端から上方に向けて折曲された垂直部122およびこれらの垂直部122の上端から内方に向けて折曲された当接部123を備える断面略C字状のブラケット12と、このブラケット12の各垂直部122にリベットを介して固定され、鉄骨梁Hの下フランジh1の左右端縁に係合可能な係合部13aを有する係合バネ片13と、からなり、ブラケット12の垂直部122の間隔は、鉄骨梁Hの下フランジh1の幅に設定されている他、ブラケット12の当接部123と係合バネ片13の係合部13aとの間隔は、鉄骨梁Hの下フランジh1の厚みに設定されている。
【0010】
なお、ブラケット12の補強部121には、適数個の穴121aが形成されている他、ブラケット12の一方の垂直部122が補強部121を切り起こして形成されることにより、補強部121の一端部に切り欠き部121bが形成されている。この結果、ランナー固定金具1の下地材11の取り付け部111に後述するランナー2をビスを介して固定する際、前述したブラケット12の補強部121に形成された穴121aや切り欠き部121bを通してビスを打ち込むことができる。
【0011】
このランナー固定金具1を鉄骨梁Hに取り付けるには、ランナー固定金具1を把持して各係合バネ片13を鉄骨梁Hの下フランジh1の左右端縁に押し付け、係合バネ片13をその弾性により押し開いて鉄骨梁Hの下フランジh1の左右端縁に係合させる。この際、ブラケット12の当接部123が鉄骨梁Hの下フランジh1の下面に当接することから、ランナー固定金具1は、その係合バネ片13の係合部13aとブラケット12の当接部123とによって鉄骨梁Hの下フランジh1を挾持するものである(図2参照)。
【0012】
このように、係合バネ片13を押し付けるだけでランナー固定金具1を鉄骨梁Hに簡単に取り付けることができる。
【0013】
ところで、前述したランナー固定金具1には、後述する断熱内壁下地パネル4の上端部を差し込むことができるように、断面略コ字状に形成されたランナー2がビスを介して固定されるようになっている。この際、ランナー2は、基準位置から設定された距離をおいてランナー固定金具1の下地材11の取り付け部111に付された墨出し線に合わせて固定されるものである。すなわち、ランナー2は、その中心と鉄骨梁Hの中心とが一致する標準位置(図3(a)参照)あるいは下地材11の取り付け部111の長さの範囲内においてその標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置(図3(b),(c)参照)にそれぞれ固定することができる。
【0014】
一方、ランナー2を介して上端部が差し込まれた断熱内壁下地パネル4の下端部を固定する固定金具3は、図4に示すように、断熱内壁下地パネル4の奥行きに相当する長さに形成された水平部31および水平部31の一端に上方に向けて折曲された垂直部32によって断面L字状に折曲されており、水平部31の他端には係止片33が延設されている。そして、固定金具3は、前述したランナー2の固定位置に合わせて床材Fに付された墨出し線に沿って固定されるものであり、その垂直部32に断熱内壁下地パネル4の下端部背面が当接するようになっている。
【0015】
なお、断熱内壁下地パネル4は、縦桟および横桟によって矩形に枠組みされた木製枠材41の各区画された空間内にロックウールやグラスウールなどの断熱材42を詰め込み、片面に防水防湿シート(図示せず)を貼着して形成されている。
【0016】
次に、前述したランナー固定金具1、ランナー2、固定金具3および断熱内壁下地パネル4によって断熱内壁下地10を形成する場合について、図5に基づいて説明する。まず、複数個のランナー固定金具1を一定間隔をおいて鉄骨梁Hの下フランジh1に取り付ける。すなわち、ランナー固定金具1の係合バネ片13を鉄骨梁Hの下フランジh1の左右端縁に押し付け、その係合部13aを押し開いて係合させ、ランナー固定金具1のブラケット12の当接部123との間で鉄骨梁Hの下フランジh1を挾持する。
【0017】
ランナー固定金具1が取り付けられたならば、ランナー固定金具1の下地材11の取り付け部111に基準位置から設定された距離をおいて墨を打ち、その墨出し線に合わせてランナー2を配置し、ビスを介して固定する。さらに、ランナー2の固定位置に合わせて床材Fに墨を打ち、その墨出し線に合わせて一定間隔をおいて複数個の固定金具3をビスを介して固定する。この結果、ランナー2および固定金具3は、家を建築する際の基準位置から正確に距離をおいて位置決めされることになる。
【0018】
次いで、断熱内壁下地パネル4を把持し、その上端部をランナー2に差し込むとともに、その下端部背面を固定金具3の垂直部32に当接させた後、固定金具3の係止片33を上方に向けて折り返して断熱内壁下地パネル4の下端部表面に密着させ、ビスを介して固定する。以下、同様に断熱内壁下地パネル4を建て込んで区画する。その後、石膏ボードなどの内壁ボード5を取り付け、天井6を施工すればよい(図6および図7参照)。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、鉄骨梁の下フランジの左右端縁に各係合バネ片の係合部を係合させてこの係合部とブラケットの当接部との間で鉄骨梁の下フランジを挟持することにより、鉄骨梁に簡単に取り付けることができる。また、下地材の取り付け部および垂直部は、ランナーの中心と鉄骨梁の中心とが一致する標準位置から室外側に一定距離移動させた位置または鉄骨梁の幅よりもさらに室内側にランナーの中心が位置する所まで一定距離移動させた位置にそれぞれランナーを固定することができる長さに形成し、補強部は標準位置と、この標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置とに孔または切り欠き部を形成しているので、これら孔または切り欠き部を通して下地材の取り付け部にランナーをビス固定することで、標準位置と、この標準位置から室外側または室内側に下地金具の取り付け部の長さの範囲内において一定距離移動させた位置とにランナーを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のランナー固定金具を示す斜視図である。
【図2】本発明のランナー固定金具を鉄骨梁に取り付けた状態の断面図である。
【図3】本発明のランナー固定金具に対するランナーの固定位置を示す断面図である。
【図4】固定金具を示す斜視図である。
【図5】断熱内壁下地の施工状態を示す説明図である。
【図6】断熱内壁下地を有する内壁の縦断面図である。
【図7】図6の内壁を一部省略して示す拡大図である。
【符号の説明】
1 ランナー固定金具
11 下地材
111 取り付け部
112 垂直部
12 ブラケット
121 補強部
122 垂直部
123 当接部
13 係合バネ片
13a 係合部
2 ランナー
3 固定金具
31 水平部
32 垂直部
33 係止片
4 断熱内壁下地パネル
10 断熱内壁下地
H 鉄骨梁
h1 下フランジ

Claims (1)

  1. 鉄骨梁の下フランジに設けられてランナーを固定するようになされたランナー固定金具の取付構造であって、
    ランナー固定金具は、取り付け部およびこの取り付け部の両端から上方に向けて折曲された垂直部を備える断面コ字状に形成され、取り付け部下にランナーをビス固定するようになされた下地材と、この下地材の取り付け部に固定された補強部、この補強部の両端から鉄骨梁の下フランジの幅に相当する間隔をおいて上方に向けて折曲された垂直部およびこれらの垂直部の上端から内方に向けて折曲された当接部を備える断面略C字状のブラケットと、このブラケットの各垂直部に固定され、鉄骨梁の下フランジの左右端縁に係合して鉄骨梁の下フランジをブラケットの当接部との間で挟持するようになされた係合部を有する係合バネ片とからなり、
    下地材の取り付け部および垂直部は、断熱内壁パネルの上端部が差し込まれる断面略コ字状のランナーの中心と鉄骨梁の中心とが一致する標準位置から室外側に一定距離移動させた位置または鉄骨梁の幅よりもさらに室内側にランナーの中心が位置する所まで一定距離移動させた位置にそれぞれランナーを固定することができる長さに形成されるとともに、補強部は標準位置と、この標準位置から室外側または室内側に一定距離移動させた位置とに孔または切り欠き部が形成されてなり、
    このランナー固定金具は、係合バネ片が鉄骨梁の下フランジの左右端縁に係合され、係合バネ片とブラケットの当接部とによって鉄骨梁の下フランジを挾持した状態に取り付けられ、
    この下地金具の取り付け部において、ランナーが、その中心と鉄骨梁の中心とが一致する標準位置、あるいはこの標準位置から室外側または室内側に下地金具の取り付け部の長さの範囲内において一定距離移動させた位置に設けられ、補強部の孔または切り欠き部を通して取り付け部にビス固定できるようになされたことを特徴とするランナー固定金具の取付構造
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